(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5697929
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】サーマルヘッド
(51)【国際特許分類】
B41J 2/345 20060101AFI20150319BHJP
B41J 2/335 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
B41J2/345 K
B41J2/335 101F
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-202932(P2010-202932)
(22)【出願日】2010年9月10日
(65)【公開番号】特開2012-56231(P2012-56231A)
(43)【公開日】2012年3月22日
【審査請求日】2013年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113322
【氏名又は名称】東芝ホクト電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082740
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 恵基
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(74)【代理人】
【識別番号】100081732
【弁理士】
【氏名又は名称】大胡 典夫
(72)【発明者】
【氏名】菅原 確
【審査官】
嵯峨根 多美
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−265145(JP,A)
【文献】
特開2004−230584(JP,A)
【文献】
特開2003−072125(JP,A)
【文献】
特開2010−137576(JP,A)
【文献】
特開平05−004362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/345
B41J 2/335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一表面に発熱素子が配置された支持基板と、前記発熱素子を駆動する駆動ICと、該駆動ICに電流を供給する回路が形成された回路基板と、前記駆動ICを前記発熱素子および前記回路に電気的に接続する接続部と、前記駆動ICおよび前記接続部を樹脂の封止する封止部材と、前記支持基板および前記回路基板が載置された放熱基板と、を具備するサーマルヘッドであって、
前記封止部材では、エポキシ基をもつ有機高分子材料からなる第1の封止部分上で記録媒体が摺接する位置に、前記第1の封止部分よりも摺接による静電気帯電量が小さいシロキサン結合をもつ有機珪素高分子材料からなる第2の封止部分が形成されていることを特徴とするサーマルヘッド。
【請求項2】
前記第1の封止部分はエポキシ系樹脂材料からなることを特徴とする請求項1に記載のサーマルヘッド。
【請求項3】
前記第2の封止部分はシリコン系樹脂材料からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のサーマルヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像記録デバイスとして用いられるサーマルヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
サーマルヘッドは、その基板上に配置された発熱抵抗体を発熱させ、感熱紙、製版フィルム、印画紙等の記録媒体に文字や図形などから成る画像等を形成する。そして、バーコードプリンタや計量機、デジタル製版機、ビデオプリンター、イメージャー、シールプリンター等の各記録機器の出力用デバイスとして広く利用されている。通常、サーマルヘッドは、上記発熱抵抗体を設けた抵抗体基板部および駆動ICを搭載した駆動回路基板部などを、放熱基板の一主面上に載置した構造になっている。
【0003】
ここで、従来のサーマルヘッドの一例について
図4および
図5を参照して説明する。
図4はその上面説明図である。
図5は、
図4におけるY−Y矢視の記録媒体が搬送される方向(副走査方向)における拡大断面図であり、記録媒体、プラテンローラを併せて示す。従来のサーマルヘッドは、上記副走査方向に直交する方向(主走査方向)に沿い所要の長さに延在し、発熱抵抗体からなる多数の発熱部がその主走査方向に配列される構造になっている。
【0004】
図4,5に示すように、サーマルヘッドでは、例えば放熱基板101の主面上に抵抗体基板部102Aおよび駆動回路基板部102Bが隣接して設けられる。抵抗体基板部102Aでは、放熱基板101の主面上に支持基板103が貼着され、支持基板103上に保温層となるグレーズ層104がヘッドの主走査方向に延在して設けられている。そして、グレーズ層104表面を被覆して発熱抵抗体105が形成され、この発熱抵抗体105上に、共通電極106aおよび個別電極106bが間隙Gを挟んで対向して配置されている。ここで、共通電極106aおよび個別電極106bからなる一対の電極106が発熱抵抗体105に重層して電気接続している。そして、これ等の間隙Gで露出する発熱抵抗体が発熱部107となる。
【0005】
図に示されるように、発熱部107の通電用電極である一対の電極106と上記発熱部107が1つの発熱素子となり、サーマルヘッドの主走査方向に所要ピッチ(dpi:ドット/インチ)の発熱素子アレイとして1列に形成される。更に、後述するボンディングワイヤー接続のために個別電極106bの縁端部が露出され全体が保護層108により被覆される。
【0006】
駆動回路基板部102Bは、放熱基板101に貼着した駆動回路基板109等から構成され、その基板表面に回路パターン(不図示)等が形成され、また駆動IC110等が搭載されている。そして、抵抗体基板部102Aの上記通電用電極と駆動回路基板部102Bの駆動IC110との間、および、駆動IC110と駆動回路基板部102Bの回路パターンとの間などがボンディングワイヤーWで電気的に接続されている。そして、これ等のボンディングワイヤーWおよび駆動IC110は、機械的強度の大きな例えばエポキシ樹脂から成る封止部材111によって気密封止され保護されている。
【0007】
上記サーマルヘッドを用いた記録媒体への画像形成では、例えば印画紙112やインクリボン113の記録媒体が保護層108といわゆるプラテンローラ114との間で挟圧され、矢印R方向の回転により副走査方向に所定の速度でステップ搬送される。そして、矩形のパルス電圧が通電されて発熱した発熱部107によって、印画紙112およびインクリボン113が加熱され、その熱により印画あるいはオーバーコート処理等がなされる。
【0008】
上述したような構造のサーマルヘッドの動作においては、上記駆動IC110およびボンディングワイヤーWを樹脂封止する封止部材111が記録媒体の摺接を受ける。そして、この記録媒体との摩擦によって静電気(電荷)が封止部材111の表面に帯電して蓄積されるようになる。このような静電気帯電は駆動IC110の誤動作を引き起こし、場合によっては駆動IC110の電気的な破損につながる虞がある。また、前記電荷と異符号の電荷が帯電する上記記録媒体は、プラテンローラ114の矢印R方向の回転によりサーマルヘッドの発熱部107を通過するとき、その放電現象により発熱抵抗体105を破壊する虞がある。あるいは、上記記録媒体の静電気帯電は印画あるいはオーバーコート処理に影響し、画像形成の高画質化に支障をきたすようにもなる。
【0009】
上述したような静電気帯電に伴う不具合は、サーマルヘッドが小型化し駆動IC110の搭載される位置と発熱部107の離間距離が短くなると共に顕在化する。また、サーマルヘッドの動作の高速化に伴って顕著になってくる。
【0010】
一方、従来のサーマルヘッドにおいては、
図6に示すように駆動IC110の上方を例えばステンレス、アルミニウム等の金属製のカバー体115で覆う構造のものが提示され一部で使用されてきた(例えば、特許文献1,2参照)。このカバー体115付設のサーマルヘッドの場合では、上述した記録媒体はプラテンローラ114とカバー体115の間を通るようになり、記録媒体と封止部材111との摺接は防止される。ここで、記録媒体はカバー体115と摺接することになるが、金属製のカバー体115との摩擦による静電気帯電はほとんど起こらない。そして、上述したような問題は生じない。
【0011】
しかしながら、
図6に示したようなカバー体115の付設は、サーマルヘッド全体を厚くすると共にその重量を増大させることから、サーマルヘッドの小型化、軽量化にとって不都合になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】実開平2−8948号公報
【特許文献1】特開2006−334791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、簡便に封止部材および記録媒体の静電気帯電を抑制してサーマルヘッドの小型化、軽量化を図り高速動作を容易にするサーマルヘッドを提供することを目的とする。また、サーマルヘッドの低コスト化を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、これまでにサーマルヘッドの動作時に生じる静電気発生について検討を行ってきた。その中で、サーマルヘッドの小型化に伴い、記録媒体はサーマルヘッドの保護層108との摺接により静電気帯電する以外に、上記封止部材111との摺接による静電気帯電が大きくなることを見出した。また、封止部材111の材質を変えることによりその帯電量が異なってくることを見出した。本発明はこのような知見に基づいてなされている。
【0015】
すなわち、上記目的を達成するために、本発明にかかるサーマルヘッドは、一表面に発熱素子が配置された支持基板と、前記発熱素子を駆動する駆動ICと、該駆動ICに電流を供給する回路が形成された回路基板と、前記駆動ICを前記発熱素子および前記回路に電気的に接続する接続部と、前記駆動ICおよび前記接続部を樹脂の封止する封止部材と、前記支持基板および前記回路基板が載置された放熱基板と、を具備するサーマルヘッドであって、
前記封止部材では、エポキシ基をもつ有機高分子材料からなる第1の封止部分上で記録媒体が摺接する位置に、
前記第1の封止部分よりも摺接による静電気帯電量が小さいシロキサン結合をもつ有機珪素高分子材料からなる第2の封止部分が形成されている構成になっている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の構成により、簡便に封止部材および記録媒体の静電気帯電が抑制されてサーマルヘッドの小型化、軽量化が容易になる。そして、サーマルヘッドの高速動作が容易になると共にサーマルヘッドの低コスト化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態にかかるサーマルヘッドの一例を示す上面説明図。
【
図3】本発明の実施形態にかかるサーマルヘッドの変形例を示す拡大断面図。
【
図4】従来技術におけるサーマルヘッドの上面説明図。
【
図6】
図4のサーマルヘッドの駆動ICに保護カバーが取り付けられる場合の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態にかかるサーマルヘッドについて
図1乃至3を参照して説明する。
図1は本実施形態にかかるサーマルヘッドの一例を示す上面説明図であり、
図2は
図1のX−X矢視の拡大断面図である。そして、
図3は本実施形態にかかるサーマルヘッドの変形例を示す拡大断面図である。以下、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なる。
【0019】
本実施形態におけるサーマルヘッドでは、その要部は、一表面に発熱素子が配置された支持基板、この発熱素子を駆動する駆動IC、この駆動ICに電流を供給する回路が形成された回路基板から構成される。ここで、発熱素子基板および回路基板は放熱基板上に載置される。そして、上記発熱素子および回路に駆動ICを電気的に接続する接続部と上記駆動ICとを樹脂封止する封止部材は、第1の封止部分と、この第1の封止部分上に形成された第2の封止部分から成る。ここで、第1の封止部分はエポキシ基をもつ有機高分子樹脂材料からなり、第2に封止部分はシロキサン結合をもつ有機珪素高分子樹脂材料からなる。
【0020】
例えば、
図1,2に示されるサーマルヘッド10において、放熱基板11上に抵抗体基板部12Aおよび駆動回路基板部12Bが設けられる。そして、抵抗体基板部12Aにおいて、放熱基板11の主面上に耐熱性および熱伝導性のよい支持基板13が貼着されている。この支持基板13上の主走査方向に沿って、保温層となるグレーズ層14が形成され、このグレーズ層14表面を被覆して発熱抵抗体15が形成される。更に発熱抵抗体15上に重層して電気接続する共通電極16aおよび個別電極16bが間隙Gを挟んで対向して配置されている。この間隙Gで露出する発熱抵抗体15が発熱部17になる。この共通電極16aと個別電極16bから成る一対の電極16および発熱部17が1つの発熱素子である。
【0021】
その複数の発熱素子はサーマルヘッドの主走査方向に発熱素子アレイとして所定ピッチで一列に配置される。ここで、1つの発熱素子はいわゆる1ビット構成の発熱部17を有する。そして、後述するボンディングワイヤー接続のために個別電極16bの縁端部が露出され全体が熱伝導性のよい保護層18により被覆される。
【0022】
上記駆動回路基板部12Bにおいて、回路基板である駆動回路基板19が放熱基板11に貼着され、その基板表面に回路パターン等が形成され、さらに駆動IC20が搭載されている。この駆動IC20と上記個別電極16bおよび回路パターンとの間はボンディングワイヤーWで電気的に接続される。
【0023】
そして、上記ボンディングワイヤーWを含む接続部および駆動IC20が、第1の封止部分21aおよび第2の封止部分21bの2層構造の封止部材21により樹脂封止されている。上記接続部は、ボンディングワイヤーWが個別電極16bおよび回路パターンに接続する領域も含んでいる。この封止部材21は、上記接続部および駆動IC20の防水、外力による破損防止等の機能を有するものである。
【0024】
ここで、第1の封止部分21aは、駆動回路基板19への接着性が高く、充分な機械的強度を有する硬質のモールド樹脂からなる。そして、熱ストレスや外圧による例えばボンディングワイヤーWの切断等を防止するようになっている。しかも、優れた耐水性を有している。
【0025】
そこで、第1の封止部分21aは、エポキシ基をもつ有機高分子樹脂材料からなっている。例えばエポキシ系樹脂のようなモールド樹脂が好適である。
【0026】
そして、第2の封止部分21bは、背景技術において説明したような記録媒体との摺接において、第1の封止部分21aに較べ静電気が発生し難い絶縁性樹脂からなり、記録媒体等の静電気帯電を抑制するようになっている。しかも、この第2の封止部分21bも耐水性を有するようになっているのが好ましい。
【0027】
そこで、第2の封止部分21bは、シロキサン結合をもつ有機珪素高分子樹脂材料からなっている。例えばシリコン系樹脂のようなモールド樹脂が好適である。
【0028】
上記封止部材21は、第1の封止部分21aと第2の封止部分21bの2層構造になっているが、第1の封止部分21aと第2の封止部分21bの間に他の樹脂からなる中間層が存在する構造になっていてもよい。更に、第1の封止部分21aの下層に別の樹脂層が形成されていても構わない。いずれにしても、封止部材21では、上述したような第1の封止部分21aの上方に上述したような第2の封止部分21bが形成され、この第2の封止部分21bが記録媒体と摺接する構造になっている。
【0029】
一般に、2つの物質間の摩擦では、電子を放ち易い物質が正に帯電し、電子を受け取り易い物質が負に帯電するという帯電列が知られている。しかし、この帯電列は、物質の温度、物質の硬度、物質表面の粗さ等の他の条件により同一物質であっても異なってくる。現在、記録媒体(紙あるいはインクリボン等)の静電気帯電量が第1の封止部分21aとの摺接の場合より第2の封止部分21bとの摺接で低減する確かな理由は明らかになっていない。しかし、これまでの検討から、上記有機珪素高分子樹脂材料からなる第2の封止部分21bの方が、上記有機高分子樹脂材料からなる第1の封止部分21よりも電子を放ち易くなっているように思われる。
【0030】
上記サーマルヘッド10においては、その他に、放熱基板11は例えばAl(アルミニウム)金属から成る。支持基板13は、通常、耐熱性を有する絶縁体材料から成る支持基板であり、アルミナセラミックスの他に、シリコン、石英、炭化珪素等により構成される。また、駆動回路基板19は、例えばガラスエポキシ系製のPCB(Printed Circuit Board)、あるいは例えばポリイミド系製のFPC(Flexible Printed Circuit)からなる。
【0031】
グレーズ層14は、発熱部17の発する熱の適度な蓄熱および熱放散の作用を有し、表面平滑性のある絶縁体材料から成る絶縁体膜である。このような絶縁体膜としては、例えばSiO
2膜(シリコン酸化膜)、SiON膜(シリコン酸窒化膜)あるいはSiN膜(シリコン窒化膜)が挙げられる。発熱抵抗体15は、例えばTaSiO、NbSiO、TaSiNO、TiSiCO系の電気抵抗体材料からなる。そして、共通電極16aおよび個別電極16bの通電用電極となる一対の電極16は低抵抗になるほど好ましく、例えば、Al、Cu(銅)あるいはAlCu合金等の金属を主材料に構成される。
【0032】
そして、保護層18は、SiO
2膜、SiN膜、SiON膜あるいはSiC膜(炭化ケイ素膜)等の硬質で緻密な熱伝導性のある絶縁体材料から成る。ここで、保護層18の最表面に少なくともSi(シリコン)と炭素(C)が含まれていると熱伝導性が高くなり好適である。この保護層18は、発熱素子アレイの一対の電極16a、16bおよび発熱部17を被覆し記録媒体の圧接あるいは摺接による磨耗、並びに大気中に含まれている水分等の接触による腐食から保護する機能を有する。
【0033】
次に、上記サーマルヘッド10の製造における組み立て工程について概略説明する。この組立工程では、成膜プロセス、そのエッチング加工のプロセス等を経て形成した所要数の上記発熱素子を有する支持基板13を熱伝導性のよい両面テープ等により放熱基板11表面に貼着する。同様に、例えばベアチップの駆動IC20が予め組み込まれている駆動回路基板19を上記放熱基板11上に例えばシリコン樹脂等の接着剤を介して載置し固着する。
【0034】
そして、発熱素子アレイの全ての通電用電極を駆動IC20の出力側のボンディンブパッドに例えばAl線あるいはAu(金)線から成るボンディングワイヤーWで電気接続する。また、駆動IC20の入力側のボンディンブパッドを駆動回路基板19の回路パターンにボンディングワイヤーWで電気接続する。
【0035】
そして、例えばエポキシの液状熱硬化性樹脂をシリンジなどにより駆動IC20およびボンディングワイヤーW等の接続部に塗布し、加熱処理により熱硬化させて硬質のエポキシ系樹脂からなる第1の封止部分21aを形成する。ここで、エポキシ系樹脂は一例として150℃程度まで加熱して30分程度で硬化させる。
【0036】
その後、更に例えばシリコンの液状熱硬化性樹脂をシリンジなどにより上記第1の封止部分21aを覆うように塗布し、加熱処理により熱硬化させて軟質のシリコン系樹脂からなる第2の封止部分21bを形成する。ここで、シリコン系樹脂は一例として80℃〜150℃程度まで加熱して30分〜2時間程度で熱硬化させる。このようにして、本実施形態のサーマルヘッド10は出来上がる。
【0037】
上記サーマルヘッド10を用いた記録媒体への画像形成では、その記録媒体が、発熱部17領域上の保護層18といわゆるプラテンローラとの間で挟圧され、副走査方向に所定の速度で搬送される。ここで、特定の発熱素子の個別電極16bが選択されて接地電位にされ、例えば数十Vに印加されている共通電極16aとの間で通電が行われて、その発熱部17が発熱する。そして、上記搬送において、例えば感熱記録媒体が発熱部17により加熱され、その熱により記録媒体が印画される。このような画像形成あるいはオーバーコート処理において、記録媒体は封止部材21の最上層である第2の封止部分21bと摺接するようになる。
【0038】
次に、本実施形態の変形例について
図3を参照して説明する。
図3は
図1と同様にサーマルヘッドの副走査方向における拡大断面図である。以下、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略する。この変形例では、
図2の場合と異なり、第2の封止部分21bが第1の封止部分21aの一部を覆うように形成される。すなわち、第2の封止部分21bは、第1の封止部分21aの上部にあって、記録媒体が摺接し易いヘッドの副走査方向の下流側を主に覆うようになっている。
【0039】
本実施形態では、例えばサーマルヘッド10において、発熱素子アレイを駆動する駆動IC20、この駆動IC20を発熱素子および回路に電気的に接続するボンディングワイヤーW等のような接続部が、例えば2層構造の封止部材21により極めて簡便にモールドされる。ここで、封止部材21では、エポキシ基をもつ有機高分子材料からなる第1の封止部分21a上にシロキサン結合をもつ有機珪素高分子材料からなる第2の封止部分21bが形成される。ここで、例えば第1の封止部分21aはエポキシ系樹脂からなり、第2の封止部材21bはシリコン系樹脂からなる。
【0040】
このような構造であると、サーマルヘッドによる印画あるいはオーバーコートにおいて、その記録媒体の封止部材21との摺接による記録媒体および封止部材21表面の静電気帯電は低減しその影響がほとんどみられなくなる。そして、従来技術で説明したような封止部材の静電気帯電による駆動IC20の誤動作、損傷等が抑制される。また、封止部材21との摺接による記録媒体の静電気帯電が抑制されることから、印画の高速化と高画質化が容易になると共に、その放電現象による発熱抵抗体15の破損が低減する。このような効果はサーマルヘッドの小型化において顕著になる。
【0041】
以上のようにして、本実施形態のサーマルヘッドは、簡便に封止部材および記録媒体の静電気帯電が抑制され、その小型化、軽量化を容易にする。そして、サーマルヘッドの高速動作が容易になりサーマルヘッドの低コスト化が可能になる。
【0042】
更に、第1の封止部分21aが硬質のエポキシ系樹脂からなり、第2の封止部分21bがシリコン系樹脂からなる場合、エポキシ系樹脂の硬化の過程で生じ易い支持基板13の熱歪み変形が軽減される。これは、第2の封止部分21bを形成する軟質のシリコン系樹脂が上記熱歪みを吸収し、上記歪み変形を抑制するようになるからである。
【0043】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、上述した実施形態は本発明を限定するものでない。当業者にあっては、具体的な実施態様において本発明の技術思想および技術範囲から逸脱せずに種々の変形・変更を加えることが可能である。
【0044】
上述した実施形態のサーマルヘッド10では、グレーズ層14が平坦になったいわゆるFG(Flat Glaze)構造の場合について説明している。ここで、グレーズ層14がパーシャルエッチング(PE)され、発熱部17の形成される領域が部分的に盛り上る構造のいわゆるPEG構造になっていてもよい。あるいは、グレーズ層14がその盛り上がり部分のみからなるいわゆるPG構造になっていても構わない。
【0045】
また、サーマルヘッドにおいて、駆動IC20が駆動回路基板19でなく、支持基板13上に搭載されるようになっていてもよい。
【0046】
また、駆動IC20の発熱素子あるいは回路基板の回路との電気的な接続は、ワイヤーボンディングの他に、例えばボールバンプを用いたフリップチップボンディング等で行われるようになっていてもよい。
【0047】
また、放熱基板11への支持基板13および駆動回路基板19の貼着は、それぞれ同じ材質の接着剤を用いて行うようにしてもよい。
【0048】
最後に、本発明は、上述した第1の封止部分21aがポリイミド系樹脂からなる場合にも同様に適用できることに言及しておく。
【符号の説明】
【0049】
11…放熱基板,12A…抵抗体基板部,12B…駆動回路基板部,13…支持基板,14…グレーズ層,15…発熱抵抗体,16a…共通電極,16b…個別電極,17…発熱部,18…保護層,19…駆動回路基板,20…駆動IC,21…封止部材,21a…第1の封止部分,21b…第2の封止部分,G…間隙,W…ボンディングワイヤー