(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5697948
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】密閉容器の吸排気弁構造
(51)【国際特許分類】
A45C 11/20 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
A45C11/20 C
A45C11/20 D
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-247576(P2010-247576)
(22)【出願日】2010年11月4日
(65)【公開番号】特開2012-95913(P2012-95913A)
(43)【公開日】2012年5月24日
【審査請求日】2013年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】591011650
【氏名又は名称】アスベル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118924
【弁理士】
【氏名又は名称】廣幸 正樹
(72)【発明者】
【氏名】今井 勤
【審査官】
横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】
実開平03−102462(JP,U)
【文献】
実開昭58−073746(JP,U)
【文献】
特開2010−132356(JP,A)
【文献】
特開2012−056587(JP,A)
【文献】
特開平8−33515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 11/20
A47J 27/00
B65D 51/16
B65D 81/34
F16K 24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋体にその内外に貫通するように形成した取付穴を有し、中央に内外に貫通した排気穴を有し外周の溝が前記取付穴の口縁に弾性的に嵌合させた吸気弁と、蓋体の外面まわりに連結されて前記吸気弁の排気穴に外部から挿入されて栓閉じする栓体と、を備え、蓋体の取付穴の口縁と吸気弁の溝との間で、外部から取付穴の前記口縁の下面に圧接して内外をシールしているシールフランジの上面に至る吸気通路が形成されていると共に、前記蓋体の下面に内側をシールしているシールフランジを囲う保護周壁が形成されていることを特徴とする密閉容器の吸排気弁構造。
【請求項2】
栓体は、蓋体の外面に、排気穴への挿入、抜去を許容する可撓連結部を介し一体成形されている請求項1に記載の密閉容器の吸排気弁構造。
【請求項3】
栓体は、吸排気弁構造の設置域を覆う蓋板の下面に一体成形され、蓋板の自由端部両側に設けた係止爪を、蓋板含む吸排気弁構造の設置域を収容する凹部の両側面に形成した係合凹部に、弾性係合させて栓閉じ状態にロックするロック機構を設けた請求項1、2のいずれか1項に記載の密閉容器の吸排気弁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を収容する弁当箱などの繰り返し使用される密閉容器に設けて、内圧を調節するための吸排気弁構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の密閉容器は、下記の特許文献1が開示するように、収容物の汁や臭いが外へ漏れず、また、保温や細菌の侵入を防止するために、密閉性に優れたものでなければならない反面、熱い食品を収容した場合、収容物が冷えると内圧が低くなり蓋体が開けられなくなったりする。また、逆に、冷えた食品を密閉容器に入れたまま電子レンジに入れてマイクロ波で温めるような場合、内圧が上がって危険になる。このような問題に対応した吸排気弁構造は、例えば、特許文献1および下記特許文献2が開示している。
【0003】
特許文献1は、舌片状の排気弁および吸気弁を1つの弁体に一体形成した単純形態でありながら、排気弁および吸気弁が互いに逆向きに位置ずれして、排気口、吸気口に対して排気弁は弁口の外側にて作用し、吸気弁は弁口の内側にて作用する断面Z型の弁体となっている。そこで、弁体は、排気口、吸気口の間に開口した弁体固定部に一方の弁体全体を内外一方側から他方側に潜らせるようにして、排気弁および吸気弁が真逆の排気口の外側および吸気口の内側に位置させて組み付けられている。
【0004】
特許文献2は、特許文献1に開示の吸排気弁構造の弁体の取り付けが容易でないことに対し、排気通路を外部から開閉する硬質材料よりなる弁体と、この弁体の裏面中央に突設された軸部に、その内端の膨出状態の係止部を弾性的に乗り越えて装着されたキャップ状のパッキンとを備えている。これにより、パッキンを、弁体および軸部を支持体および心材にして、排気通路と並ぶ弁穴に外側から内側に弾性的に挿入するだけで、弁穴に簡易に装着できる弁構造を開示している。この弁体の弁穴への装着によって、パッキンは弁穴の内側に外周のスカート部が圧接されてシール状態となり、その際のシール圧によって弁体を排気通路の外部開口に圧接させることで排気通路をも閉じる。
【0005】
内圧が高まると、これが排気通路を通じて弁体に働くので、パッキンの弾性による閉じ力に打ち勝って、弁体をパッキンの外側への弾性変形的な持ち上げを伴い押し開き、圧力を外部に逃がす。また、内圧が低くなると、弁体は排気通路を通じ閉じ側に吸引されるが、パッキンは、その弁穴への圧着部の外まわりまで排気通路をバイパスして大気に通じていることから内側への吸引力を受けてスカート部が内側に弾性変形され、弁穴から離れるので、外気が吸引されるようにする。
【0006】
一方、下記特許文献3は、蓋体の栓装着孔に通気栓をねじ締めして自身に装着しているシールリングによって密閉した状態でマイクロ波加熱で炊飯などの加圧調理を行い、加熱終了後、加熱殺菌した密閉状態のままで冷まし、室温もしくは冷蔵庫による低温保存する密閉容器を開示している。低温保温時に容器内が減圧して蓋体が容器本体に吸着し開けにくいか開けられない場合に、通気栓を緩めてシールを浮かせると、栓装着孔の内周に設けた通気道が外部に通じて外気を吸引し蓋体が容易に開けられるようになる。また、通気栓を取り外すと丸洗いができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−84110号公報
【特許文献2】特開平8−33515号公報
【特許文献3】特開平7―298982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、本出願人は、特許文献3が開示しているような加圧のために変形強度の高いポリカーボネート製のハードで重い容器本体および蓋体を利用するのではなく、容器本体および蓋体の双方、または少なくとも一方が特許文献1、2が開示するような加圧や減圧による変形に配慮が必要な軽量で安価なポリプロピレン製などとして、食品の温めはもとより、蒸気が多量に発生する炊飯を始めとした煮炊きする調理も可能とする密閉容器の開発をかねてから進めてきた。
【0009】
開発する密閉容器の材質上、当然のことながら、特許文献3が開示するような加圧調理は実現できない。しかし、電子レンジでのマイクロ波による調理は短時間で行える反面、煮炊きする際の蒸気は短時間内に多量に発生する。このため、特許文献1、2が開示するような排気弁構造では、蒸気が外部に抜けにくく内圧が上がって蓋体や容器本体が変形する問題に開発当初から遭遇した。
【0010】
そこで、排気通路を広げて、収容物を温める際の昇温はもとより、煮炊き時の多量な蒸気の発生にも対応することを試みたが、内容物保存中、弁当などとしての持ち運び中の臭いや汁類の漏れ出し、異物の混入などの防止上密閉できることが必須で、温度の高い収容物を入れて冷めていき、また冷蔵保存することによりさらに降温するような場合の万一の減圧に対応するために吸気機能も必須となり、これらを満足する吸排気弁構造は未だ提供されていない。
【0011】
本発明は、このような問題点に鑑み、排気系と吸気系とを巧みに分断して排気系の排気口を単純にして蒸気の多量発生に対応し、減圧に対応する吸気系との組み合わせにより密閉にも簡単に対応できる密閉容器の吸排気弁構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の密閉容器の吸排気弁構造は、蓋体にその内外に貫通するように形成した取付穴を有し、中央に内外に貫通した排気穴を有し外周の溝が前記取付穴の口縁に弾性的に嵌合させた吸気弁と、蓋体の外面まわりに連結されて前記吸気弁の排気穴に外部から挿入されて栓閉じする栓体と、を備え、蓋体の取付穴の口縁と吸気弁の溝との間で、外部から
取付穴の前記口縁の下面に圧接して内外をシールしているシールフランジの上面に至る吸気通路
が形成されていると共に、前記蓋体の下面に内側をシールしているシールフランジを囲う保護周壁が形成されていることを特徴としている。
【0013】
このような構成では、排気通路をなす排気穴と、吸気通路とが、吸気弁の内周と外周とに分断形成されて、排気穴を単純で大きく形成できる上、これを開放した状態で密閉容器を使用できる。しかも、排気穴の栓体は吸気弁からの独立部材となり、蓋体に連結されたまま必要に応じ排気穴に挿入して吸気弁と協働して密閉し、また開放することが、吸気経路とは全く無関係に達成できる。これによって、吸気弁の吸気通路は栓体による排気穴の密閉に関係なく機能でき、密閉容器の使用上内圧が低下しても、吸気通路を通じてシールフランジ上面に働いている外圧との圧力差でシールフランジが内側に押し開かれて外気を吸引させられるので、減圧を回避することができる。
【0014】
上記において、さらに、栓体は、蓋体の外面に、排気穴への挿入、抜去を許容する可撓連結部を介し一体成形されたものとすることができる。
【0015】
このような構成では、上記に加え、さらに、栓体は蓋体との一体成形によって部品点数の増大にはならずに付帯させられるし、蓋体と一体成形する樹脂ヒンジ部や樹脂紐部といった可撓連結部の撓みによって排気穴に挿入しての密閉、内圧上昇時の押し戻しや抜去により双方を独立状態にすることができる。樹脂ヒンジ部ではこれを中心にした起伏によって栓体を排気穴に対し位置ずれなく挿入させられる。
【0016】
上記において、さらに、栓体は、吸排気弁構造の設置域を覆う蓋板の下面に一体成形され、蓋板の自由端部両側に設けた係止爪を、蓋板を含む吸排気弁構造の設置域を収容する凹部の両側面に形成した係合凹部に、弾性係合させて栓閉じ状態にロックするロック機構を設けたものとすることができる。
【0017】
このような構成では、上記に加え、さらに、栓閉じ状態で外観が複雑になりがちな吸排気弁構造の設置域を、部品点数の増大に繋がらない蓋板によって覆い平滑化できる。また、蓋板は栓体に比し広く、栓体が排気穴に挿入されているか否かによる姿勢や位置の違いを、拡大してまわりに視認させやすくする。また、栓体の閉じ状態がロック機構によってロックされるので、収容物の保存中や、弁当などとしての持ち運び中に他の取扱物が接触したり引っ掛かったりするなどして不用意に開かれるのを防止することができる。
【0018】
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面によって明らかになる。本発明の各特徴はそれ自体で、または可能な限り複合して採用することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の密閉容器の吸排気弁構造によれば、排気通路をなす排気穴が、吸気通路との吸気弁の内、外周への分断で単純で大きく形成でき、これを開放したまま密閉容器を使用することで、収容物の温め時の昇圧には勿論、煮炊き時に多量に発生する蒸気のスムーズな発散にも対応でき、昇圧による容器本体や蓋体の変形や、容器本体と蓋体との間のシール部からの蒸気漏れによる無理な力がシール部やロック機構にはたらくのを防止することができる。また、排気穴の栓体は吸気弁から独立して、蓋体に連結されたまま、従って紛失などすることなく必要に応じ排気穴に挿入して吸気弁と協働して密閉し、また開放することが、吸気経路とは全く無関係に簡単に達成して、収容物の密閉保存ができ食品衛生上好適である。さらに、吸気弁の吸気通路は栓体による排気穴の密閉に関係なく機能でき、温度の高い食品の密閉保存で収容物が冷めたり冷蔵保存されて内圧が低下しても吸気弁が開いて吸気通路を通じ外気を吸引するので減圧を回避し蓋体や容器本体の変形を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる密閉容器の吸排気弁構造の1つの具体例を示す密閉容器要部の断面図と、その吸気弁の取付穴まわりを吸気経路と共に示す平面図である。
【
図2】同吸排気弁構造部の向きを
図1の場合と90度変えて見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態に係る密閉容器の吸排気弁構造につき、
図1〜
図3に示す具体例を参照しながら詳細に説明し、本発明の理解に供する。以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲の記載事項を限定するものではない。
【0022】
本実施の形態に係る吸排気弁構造は、密閉容器に適用され、排気系と吸気系とを巧みに分断して排気系の排気穴を単純にして蒸気の多量発生に対応し、減圧に対応する吸気系との組み合わせにより密閉にも簡単に対応できるようにする。
【0023】
例えば、
図1に示すような弁当用の密閉容器100は、多くの場合、汁や臭いが外部に漏れ出さないように、容器本体1とシールパッキン3を介し閉じた蓋体2とを、蓋体2に樹脂ヒンジ部4aなどで連結などされたレバー4によりシールパッキン3を挟圧するよう掛け止めて、タイト状態にロックするタイトロック容器とされている。また、容器本体1および蓋体2は、マイクロ波透過性、耐熱性、耐冷凍性、保形性を満足するポリプロピレンなどの樹脂によるインジェクション成形品とされ、透明なものが多い。しかし、これに限られることはなく、容器本体1が耐熱ガラスであったり、別な密閉手段が講じられたりするなど、上記密閉特性を示し、容器本体1および蓋体2の少なくとも一方が昇圧や減圧によって変形するような密閉容器に適用して有効である。
【0024】
以上のような密閉容器100などにおいて、本実施の形態に係る吸排気弁構造の
図1〜
図3に示す1つの具体例では、蓋体2にその内外に貫通するように形成した取付穴11を有し、中央に内外に貫通した排気穴12を有し外周の溝13が取付穴11の口縁11aに弾性的に嵌合させた吸気弁14と、蓋体2の外面まわりに連結されて前記吸気弁14の排気穴12に外部から挿入されて栓閉じする栓体15と、を備え、蓋体2の取付穴11の口縁11aと吸気弁14の溝13との間で、外部から取付穴11の前記口縁11aの下面に圧接して内外をシールしているシールフランジ14bの上面に至る吸気通路16を形成している。
【0025】
このように排気通路をなす排気穴12と、吸気通路16とが、吸気弁14の内周と外周とに分断形成されて、排気穴12を単純で大きく形成できる上、これを開放した状態で密閉容器100を使用できる。しかも、排気穴12の栓体15は吸気弁14からの独立部材となり、必要に応じ排気穴12に挿入して吸気弁14と協働して密閉し、また開放することが、吸気通路16とは全く無関係に達成できる。これによって、吸気弁14の吸気通路16は栓体15による排気穴12の密閉に関係なく機能でき、密閉容器100の使用上内圧が低下しても、吸気通路16を通じてシールフランジ14b上面に働いている外圧との圧力差でシールフランジ14bが内側に押し開かれて外気を吸引させられるので、減圧を回避することができる。
【0026】
したがって、吸気通路16との吸気弁14の内、外周への分断で単純で大きく形成できる排気穴12を排気通路として、これを開放したまま密閉容器100を使用することで、収容物の温め時の昇圧には勿論、煮炊き時に多量に発生する蒸気のスムーズな発散にも対応でき、昇圧により容器本体1や蓋体2が変形することや、容器本体1と蓋体2との間のシール部からの蒸気漏れによる無理な力がシール部や掛け止め機構に働くのを防止することができる。
【0027】
また、排気穴12の栓体15は吸気弁14から独立して、蓋体2に連結されたままで、従って紛失するようなことなく、必要に応じ排気穴12に挿入して吸気弁14と協働して密閉容器100を密閉し、また開放することが、吸気通路16とは全く無関係に簡単に達成して、収容物の密閉保存ができ食品衛生上好適である。さらに、吸気弁14の吸気通路16は栓体15による排気穴12の密閉に関係なく機能でき、温度の高い食品の密閉保存時に収容物が冷めたり冷蔵保存されて内圧が低下しても吸気弁14が開いて吸気通路16を通じ外気を吸引するので減圧を回避し蓋体2や容器本体1の変形を防止することができる。
【0028】
さらに、栓体15は、蓋体2の外面に、排気穴12への挿入、抜去を許容する可撓連結部21を介し一体成形されたものとしている。これにより、栓体15は蓋体2との一体成形によって互いに部品点数の増大にはならずに付帯させられるし、蓋体2と一体成形する樹脂ヒンジ部21や樹脂紐部といった可撓連結部の撓みによって排気穴12に挿入しての密閉、内圧上昇時の押し戻しや抜去により双方を独立状態にすることができる。
図1(a)に示す樹脂ヒンジ部21では樹脂ヒンジ部21を中心にした起伏によって栓体15を左右に振れたりせず排気穴12に対し位置ずれなく容易かつ確実に挿入されるし、人手による抜去がこじれなく確実になされるので、排気構造の損傷の防止が図れる。
【0029】
また、栓体15は、吸排気弁構造の設置域を覆うように蓋体2の上面に一縁が樹脂ヒンジ部21で一体に連結された蓋板22の下面に一体成形され、蓋板22の自由端部両側に設けた係止爪22aを、蓋板22を含む吸排気弁構造の設置域を収容する凹部23の両側面に形成した係合凹部23aに、弾性係合させて栓閉じ状態にロックするロック機構を設けている。
【0030】
これにより、栓閉じ状態で外観が複雑になりがちな吸排気弁構造の設置域を、部品点数の増大に繋がらない蓋板22によって覆い平滑化できる。また、蓋板22は栓体15に比し広く、栓体15が排気穴12に挿入されているか否かによる姿勢や位置の違いを、拡大してまわりに視認させやすくする。また、栓体15の閉じ状態がロック機構によってロックされるので、収容物の保存中や、弁当などとしての持ち運び中に他の取扱物や混在物が接触したり引っ掛かったりするなどして不用意に開かれてしまうのを防止することができ、臭いや汁類の漏れ出し、異物の混入などを防止できる。ロック機構の採用で、栓体15の排気穴12への挿入は、臭いや汁類が漏れ出るのを防止する程度に密嵌すればよく、弾性的に圧入する程度でよい。
【0031】
さらに詳述すると、吸気弁14は耐熱性、弾性に優れた例えばシリコンゴムよりなり、
図1(a)に示すように、外周の溝13が前記取付穴11の口縁11aへの溝13の弾性的な嵌め合わせによって、溝13上の基部フランジ14aと溝13下のシールフランジ14bとで取付穴11の口縁11aを挟み付けた状態で装着されて、栓体15が挿入される排気穴12を取付穴11によって溝13の底部まわりからバックアップするので、排気穴12と栓体15との所定の密嵌合状態を確保しやすい。
【0032】
栓体15は、筒状で上端が蓋板22で閉じられ、下端が開放されたキャップ形状をなし、径方向に幾分の弾性を発揮するので、下端が閉じたり、中実体であったりする場合に比して、吸気弁14の排気穴12との圧入によって吸気弁14に過剰な負担を与えることはない。
【0033】
吸気通路16は、蓋体2と基部フランジ14aおよび溝13との間の少なくとも一方で形成されればよいが、図示例では
図1(a)(b)、
図2に示すように、強度の高い蓋体2側で形成してある。具体的には、取付穴11の内周に形成した切欠き部16aと、この切欠き部16aに繋がって取付穴11の口縁11aの基部フランジ14aが圧接する上面に、基部フランジ14aの圧接域よりも外側に張り出すように刻設した溝16bとで形成している。これにより、吸気弁14の側に局部的な溝などができて強度が低下するようなことを防止している。なお、吸気通路16は、
図1(b)に示すように取付穴11まわりの周方向4か所に等配して設けているが、これに限られることはない。
【0034】
さらに、吸気弁14のシールフランジ14bは、
図1(a)に示すように、内周側から外周に向け厚みが減じ、かつ、蓋体2の下面への圧接代Sが増大するリップ形態をなしたものとしている。これにより、密閉容器100の内圧が高まる程、シールフランジ14bの外周部が蓋体2の下面に強く圧着されていくので、内圧がシールフランジ14bと蓋体2下面との間に潜り込むのを阻止することができる。従って、内圧でシールフランジ14bの厚みの薄い外周部が蓋体2の下面から捲れあがって吸気通路16を通じ内圧がイレギュラーに逃げ、収容物の水分条件に悪影響するようなことを防止することができる。
【0035】
また、蓋体2の上面には、
図1、
図2に示すように、吸気弁14の基部フランジ14aを囲い、基部フランジ14aよりも低い保護周壁31を設けている。これにより、保護周壁31が吸気弁14の基部フランジ14aを囲っていることにより、基部フランジ14aに不用意な外力が及ぶのを抑えながら、基部フランジ14aよりも低いことにより、シールフランジ14bに比し小径な基部フランジ14aの側に手を掛けて起こし取付穴11をシールフランジ14b側に潜らせての取り外し作業を容易にする。従って、吸気弁14単体の、取付穴11単体の丸洗いが簡単に行える。
【0036】
同様に、蓋体2の下面には
図1(a)、
図2に示すように、吸気弁14のシールフランジ14bを囲い、シールフランジ14bと同等かそれよりも若干高い保護周壁32を設けている。これにより、保護周壁32が吸気弁14のシールフランジ14bをそれと同等か若干高く囲っていることにより、シールフランジ14bの、特に蓋体2下面に最も強く密着し、かつ最も薄い外周部に不用意な外力が及んでの、引っ掛かりによる変形や損傷を抑えることができる。従って、栓体15と協働した排気機能、蓋体2との間での吸気機能を長期に適正に発揮することができる。
【0037】
なお、特許文献1、2が開示する吸排気弁構造は、排気弁、吸気弁共に弾性的な閉止力を受けて通常は閉止状態を保っている。排気通路は特に、水分が蒸発した水蒸気のほか、油分など水以外の蒸気なども含み、これらが複合しての濡れ汚れが生じやすい。しかし、このような汚れは弁体と排気通路との圧着面に残りやすく、蓄積しやすいが、そのままでは洗浄が及び難く堆積する。また、臭い付きの元になる。
【0038】
したがって、効果的な洗浄は吸排気弁を取り外して行うしかない。これを使用の度に行うのでは面倒であるし、吸排気弁を損傷させやすく、吸排気弁を紛失しやすい問題がある。使用回数に対する洗浄回数を減らすと、その分だけ臭い付きの問題があるし、夏場では細菌繁殖の原因になりかねない。
【0039】
また、特許文献2の硬質材料よりなる弁体は、排気通路の外部開口を閉じる面にシール性を高める軟質材量よりなりシール部材を配設する必要があり、部品点数、組み立て工数の増大、コスト上昇の原因になる。
【0040】
さらに、特許文献3が開示する排気構造は、栓装着孔にねじ込む通気栓を用いたもので、栓装着孔および通気栓共にねじが切られるので、洗浄し難いディテール部が多い上に、通気栓は密閉のためにシールリングを装着しており、これも洗浄し難いディテール部を形成してしまう。従って、洗浄に不便である。なお、通気栓は単体で取り外すと紛失の怒れがある。
【0041】
本実施の形態の栓体15および排気穴12共に、簡単な形態で、栓開きによって分離されると、汚れやすい排気系をディテール部分なしに開放し丸洗いなどお手入れするのに便利で清潔に保ちやすい。
【0042】
また、吸気系は排気系に比し汚れにくいが、何回目かに1回洗浄するような場合でも、吸気弁14単体を、具体的には基部フランジ14aなどの一部を取付穴11から弾性的に抜き出せば取付穴11から取り外して対応でき、特許文献1、2が開示する技術のように吸排気弁を同時に着脱する場合のような不便はない。また、このような吸気弁14の機能は、吸気弁14をシリコンゴム製とすることにより耐熱性、弾性復元力によるシール性を長期に保って保証することができる。
【0043】
ここで、栓体15は、蓋体2の外面にどのように連結されても、収容物の出し入れ、温めなどに影響しないが、図示例では
図1(a)に示すように、排気穴12への挿入、抜去を許容する可撓連結部21を介し一体成形されたものとしてある。これにより、部品点数の増大にはならずに栓体15を蓋体2に付帯させられるし、蓋体2と一体成形する可撓連結部21の撓みによって排気穴12に挿入しての密閉、内圧上昇時の押し戻しや抜去により双方を丸洗いに便利な独立状態にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、密閉容器において、排気系の排気口を単純にして蒸気の多量発生に対応し、減圧に対応する吸気系との組み合わせにより密閉にも簡単に対応できるようにするのに実用できる。
【符号の説明】
【0045】
1 容器本体
2 蓋体
11 取付穴
12 排気穴
13 溝
14 吸気弁
14a 基部フランジ
14b シールフランジ
15 栓体
16 吸気通路
21 可撓連結部(樹脂ヒンジ部)
22 蓋板
22a 係止爪
23 凹部
23a 係合凹部
31、32 保護周壁