【実施例1】
【0019】
図1において、冷媒を作動流体とする冷凍サイクルに適したスクロール型圧縮機1が示されている。このスクロール型圧縮機1は、アルミ合金で構成されたハウジング2内に、図中左方において圧縮機構3を配設し、また図右側において圧縮機構を駆動する電動機4を配設している。尚、
図1において、図中右側に圧縮機の前方、図中左側を圧縮機の後方としている。
【0020】
ハウジング2は、圧縮機構3を収容する圧縮機構収容ハウジング部材2aと、圧縮機構3を駆動する電動機4を収容する電動機収容ハウジング部材2bと、電動機4を駆動制御するインバータ装置(図示せず)を収容するインバータ収容ハウジング部材2cとを有し、これらハウジング部材を位置決めピン7により位置決めすると共に、締結ボルト8により軸方向に締結するようにしている。
【0021】
電動機収容ハウジング部材2bの圧縮機構収容ハウジング部材2aと対峙する側には、軸支部9aが一体に形成された仕切壁9が設けられ、またインバータ収容ハウジング部材2cの電動機収容ハウジング部材2bと対峙する側にも軸支部10aが一体に形成された仕切壁10が設けられ、これら仕切壁9,10の軸支部9a,10aに駆動軸12がベアリング13,14を介して回転可能に支持されている。この電動機収容ハウジング部材2bとインバータ収容ハウジング部材2cとに形成されたそれぞれの仕切壁9,10によりハウジング2の内部が後方から圧縮機構3を収縮する圧縮機構収容部15、電動機4を収容する電動機収容部16、及びインバータ装置(図示せず)を収容するインバータ収容部17に仕切られている。
【0022】
圧縮機構3は、固定スクロール部材20と、これに対向配置された旋回スクロール部材21を有するスクロールタイプのもので、固定スクロール部材20は、ハウジング2の後部内側において固定された円板状の端板20aと、この端板20aの外縁に沿って全周に亘って設けられると共に、前方に向かって立設された円筒状の外周壁20bと、その外周壁20bの内側において前記端板20aから前方向に沿って延設された渦巻状の渦巻壁20cとから構成されている。
【0023】
また、旋回スクロール部材21は、円板状の端板21aと、この端板21aから後方に向かって立設された渦巻状の渦巻壁21cとから構成され、端板21aの背面に立設されたボス部21dに、後述するように、頭部付偏心軸23がブッシュ24及びベアリング25を介して連結され、駆動軸12の軸心を中心として公転運動可能に支持されている。
【0024】
固定スクロール部材20と旋回スクロール部材21とは、それぞれの渦巻壁20c,21cをもって互いに噛み合わされており、それぞれのスクロール部材20,21の渦巻壁20c,21cの先端が相手のスクロール部材の端板20a,21aに当接されており、したがって、固定スクロール部材20の端板20a及び渦巻壁20cと、旋回スクロール部材21の端板21a及び渦巻壁21cとによって囲まれた空間に圧縮室27が画成されている。
【0025】
また、固定スクロール部材20の外周壁20bと仕切壁9との間には、薄板状の環状のスラストレース28が挟持され、固定スクロール部材20と仕切壁9とは、このスラストレース28を介して突き合わされている。
【0026】
スラストレース28は、耐摩耗性に優れる素材で形成されているもので、中央には、旋回スクロール部材21のボス部21dや、オルダムリング30が貫挿する中央孔が形成されている。また、固定スクロール部材20、スラストレース28、及び電動機収容ハウジング部材2bは、スラストレース28に形成されたピン挿通孔に挿通される位置決めピン31により、位地決め固定されている。
【0027】
電動機収容ハウジング部材2bの仕切壁9は、中央貫通孔を有し、その内面がスラストレース28に向って径も段階的に大きく形成されているもので、スラストレース28から最も離れた前方側から、ベアリング13が収容されるベアリング収容部32、前記ブッシュ24と一体をなして駆動軸12の回転に伴って回転するバランスウエイト33を収容するバランスウエイト収容部34、仕切壁9の端面から形成されて旋回スクロール部材21との間で旋回スクロール部材21の自転を防止するオルダムリング30を収容するオルダム収容部35が形成されている。
【0028】
したがって、旋回スクロール部材21は、駆動軸12の回転により自転力が発生するが、オルダムリング30により自転が規制されつつ駆動軸12の軸心に対して公転運動するようになっている。
【0029】
前述した固定スクロール部材20の外周壁20bと旋回スクロール部材21の渦巻壁21cの最外周部との間には、後述する吸入口36から導入された冷媒を吸入経路37を介して吸入する吸入室38が形成され、また、ハウジング内の固定スクロール部材20の背後には、圧縮室27で圧縮された冷媒ガスが固定スクロール部材20の略中央に形成された吐出孔39を介して吐出される吐出室40が圧縮機構収容ハウジング部材2aの後端壁との間に画成されている。この吐出室40に吐出された冷媒ガスは、吐出口41を介して外部冷媒回路へ圧送されるようになっている。
【0030】
これに対して、ハウジング2内の仕切壁9より前方の部分に形成された電動機収容部16には、電動機4を構成するステータ42とロータ43とが設けられている。ステータ42は、円筒状をなす鉄心とこれに巻回されたコイルとで構成され、ハウジング2の内面に固定されている。また、駆動軸12には、ステータ42の内側において回転可能に収容されたマグネットからなるロータ43が固装され、このロータ43が、ステータ42によって形成される回転磁力によって回転され、駆動軸12を回転するようになっている。これらステータ42やロータ43によって、ブラシレスDCモータからなる電動機4が構成されている。
【0031】
そして、ハウジング2の側面には、電動機収容部16に冷媒ガスを吸入する吸入口36が形成され、ステータとハウジング2との間の隙間や、仕切壁9に形成された孔、及び固定スクロール部材20とハウジング2との間に形成される隙間を介して、吸入口40から電動機収容部16に流入した冷媒を前記吸入室38に導く吸入経路37が構成されている。
【0032】
図2、
図3において、公転機構45となる頭部付偏心軸23は、円柱状の軸部23aと、その一端に設けられた円柱状の頭部23bとより成っており、前記頭部23bの径が前記軸部23aの径よりも大きく形成されている。この頭部付偏心軸23は、前記電動機4の駆動軸12の一方の端部にあって軸方向に形成の嵌合孔46に下記するように圧入されている。この嵌合孔46は、駆動軸12の軸心に対して偏心した位置に穿設されていることから、前記頭部付偏心軸23は、駆動軸12の中心に対して偏心して取付られることになる。
【0033】
また、前記頭部付偏心軸23は、ブッシュ24を支えており、実施例では、ブッシュ24に形成の貫通孔47に挿入している。このブッシュ24への挿入は、前記頭部付偏心軸23が前記駆動軸12の嵌合孔46に圧入する前に行なわれる。その際にワッシャー48が介在される。
【0034】
前記頭部付偏心軸23の圧入は、ブッシュ24を介在しながら行なわれ、その深さがブッシュ24が回転可能で、かつブッシュ24が頭部付偏心軸23に対して傾きが極力小さくなるように、圧力を感知しながら高さを調整しながら行なわれる。即ち、ブッシュ24は止部となる頭部付偏心軸23の頭部23bとの間のスラスト方向隙間を極力小さく管理できるようになる。これにより、ブッシュ24の傾きを抑制できる。なお、ブッシュ24には、バランスウエイト33が、その取付孔49を介して圧入して取付られている。
【0035】
前述したように、前記頭部付偏心軸23は、それに取付られたブッシュ24、ベアリング25を介して前記旋回スクロール部材21に形成のボス部21dにそのボス部21dが作る円形凹部51に嵌合して連結されており、駆動軸12からの回転力が前記旋回スクロール部材21に伝えられる。
【0036】
旋回スクロール部材21は、
図4にも示すように、その背面にオルダムリング30のキー部30aが摺動するキー溝52が縦方向の上下2ケ所にボス部21dを挟んで形成されている。このオルダムリング30により、自転が規制されつつ駆動軸12の軸心に対して公転運動するようになっている。
【0037】
また、旋回スクロール部材21の背面には、軽量化のための凹部53が中心に形成のボス部21dの回りに7ケ所形成され、それらの凹部53間にリブ54が形成されている。この凹部53には、前記バランスウエイト収容部34、オルダム収容部35、ベアリング13を介して電動機収容部16と繋がっていることから、冷媒が流入されるが、この冷媒中に含まれる潤滑油が凹部53内に溜まる。上部の凹部53に溜まる潤滑油を前記ボス部21dが作る円形凹部51内に導く潤滑油導通孔55が形成されている。この潤滑油導通孔55を介して潤滑油は流れ、円形凹部51内に入り、ベアリング25、ブッシュ24等を潤滑する作用を与えている。