特許第5697972号(P5697972)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5697972
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】有機発光表示装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/26 20060101AFI20150319BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20150319BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20150319BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20150319BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20150319BHJP
   H05B 33/28 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   H05B33/26 Z
   H05B33/10
   H05B33/14 A
   H05B33/12 B
   H05B33/22 Z
   H05B33/28
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-288081(P2010-288081)
(22)【出願日】2010年12月24日
(65)【公開番号】特開2011-210700(P2011-210700A)
(43)【公開日】2011年10月20日
【審査請求日】2013年11月29日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0028082
(32)【優先日】2010年3月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000981
【氏名又は名称】アイ・ピー・ディー国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高 武恂
(72)【発明者】
【氏名】丁 憙星
(72)【発明者】
【氏名】安 致旭
(72)【発明者】
【氏名】金 沃炳
【審査官】 濱野 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−006327(JP,A)
【文献】 特開2004−355918(JP,A)
【文献】 特開2004−311418(JP,A)
【文献】 特開2006−164961(JP,A)
【文献】 特開2006−277989(JP,A)
【文献】 特開2005−011793(JP,A)
【文献】 特開2005−038642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/26
H01L 51/50
H05B 33/10
H05B 33/12
H05B 33/22
H05B 33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配された第1電極と、
前記第1電極上に配されて有機発光層を有する中間層と、
前記中間層上に配される第2電極と、を備え、
前記第1電極は、前記中間層に向かう方向にエッチング部が形成され、
前記第1電極の領域のうち、前記エッチング部が形成された領域は、結晶化され、
前記エッチング部は前記第1電極の表面に対する結晶化を進行した後にエッチング工程を進行して形成されたことを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項2】
前記第1電極上に前記第1電極の所定領域を露出するように画素定義膜が形成され、前記エッチング部は、前記露出された第1電極の領域に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置
【請求項3】
前記第1電極は、Agを含有することを特徴とする請求項2に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記第1電極の領域のうち、前記エッチング部が形成された領域は、結晶化されたITOを含有することを特徴とする請求項に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記第1電極は、第1導電層/第2導電層/第3導電層の積層構造で形成し、
前記第1導電層及び前記第3導電層は、ITOを含有し、前記第2導電層は、Agを含有することを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項6】
前記エッチング部は、前記第3導電層に形成されたことを特徴とする請求項に記載の有機発光表示装置。
【請求項7】
基板上に第1電極を形成する工程と、
前記第1電極上に有機発光層を備える中間層を形成する工程と、
前記中間層上に第2電極を形成する工程と、
前記第1電極を形成した後、前記中間層を形成する前に、前記第1電極上に前記第1電極の所定領域を露出するように画素定義膜を形成する工程と、
前記露出された第1電極の表面をエッチングして前記第1電極の前記中間層に向かう方向にエッチング部を形成する工程と、を含み、
前記第1電極に前記エッチング部を形成する前に、前記第1電極の表面を結晶化し、 前記結晶化は前記画素定義膜を形成した後に、前記画素定義膜を形成時に露出された前記第1電極の表面に対して進行する、有機発光表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記エッチング部は、ウェットエッチング法で形成することを特徴とする請求項7に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記エッチング部は、シュウ酸を利用したエッチング方法で形成することを特徴とする請求項に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1電極は、Agを含有することを特徴とする請求項に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1電極の表面は、ITOを含有し、前記第1電極の表面を結晶化する工程は、前記ITOを結晶化する工程を含むことを特徴とする請求項に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1電極の表面を結晶化する工程は、熱処理を利用して行うことを特徴とする請求項に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記第1電極は、第1導電層/第2導電層/第3導電層の積層構造で形成し、
前記第1導電層及び前記第3導電層は、ITOを含有し、前記第2導電層は、Agを含有することを特徴とする請求項に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記エッチング部は、前記第3導電層に形成することを特徴とする請求項13に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光表示装置及びその製造方法に係り、さらに詳細には、画質特性を容易に向上させうる有機発光表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の表示装置は、携帯が可能な薄型の平板表示装置に代替されてきている。平板表示装置のうちでも、有機または無機発光表示装置は、自発光型表示装置であって、視野角が広く、コントラストが優秀であるだけでなく、応答速度が速いという長所があって、次世代表示装置として注目されている。また、発光層の形成物質が有機物で構成される有機発光表示装置は、無機発光表示装置に比べて、輝度、駆動電圧及び応答速度特性が優秀であり、多様な色相を実現することができる長所を有している。
【0003】
有機発光表示装置は、有機発光層を中心に第1電極、第2電極が配され、このような両電極に電圧を加えれば、両電極に連結された有機発光層から可視光線を発生させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】大韓民国特許公開第2003−0057015号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第1電極及び第2電極のうち、通常、第1電極は、所定の形態にパターニングされるが、パターニング工程中に除去されねばならない部分が完全に除去されず、第1電極の表面に残存する。
【0006】
このような残存物は、有機発光表示装置を最終的に製造した後、作動時に暗点のような不良を発生させて、有機発光表示装置の画質特性の向上に限界がある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、画質特性を容易に向上させうる有機発光表示装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、本発明は、基板上に配された第1電極、上記第1電極上に配されて有機発光層を備える中間層、及び上記中間層上に配される第2電極を備え、上記第1電極は、上記中間層に向かう方向にエッチング部が形成されている有機発光表示装置を開示する。
【0009】
本発明において、上記第1電極上に上記第1電極の所定の領域を露出するように画素定義膜が形成され、上記エッチング部は、上記露出された第1電極の領域に形成されてよい。
【0010】
本発明において、上記第1電極は、Agを含有してもよい。
【0011】
本発明において、上記第1電極の領域のうち、上記エッチング部が形成された領域は、結晶化されてもよい。
【0012】
本発明において、上記第1電極の領域のうち、上記エッチング部が形成された領域は、結晶化されたITO(Indium
Tin Oxide)を含有してもよい。
【0013】
本発明において、上記第1電極は、第1導電層/第2導電層/第3導電層の積層構造で形成し、上記第1導電層及び上記第3導電層は、ITOを含有し、上記第2導電層は、Agを含有してもよい。
【0014】
本発明において、上記エッチング部は、上記第3導電層に形成されてもよい。
【0015】
本発明の他の側面によれば、基板上に第1電極を形成する工程、上記第1電極上に有機発光層を備える中間層を形成する工程、及び上記中間層上に第2電極を形成する工程を含み、上記第1電極の上記中間層に向かう方向にエッチング部が形成される有機発光表示装置の製造方法を開示する。
【0016】
本発明において、上記第1電極を形成した後、上記中間層を形成する前に、上記第1電極上に上記第1電極の所定の領域を露出するように画素定義膜を形成する工程、及び上記露出された第1電極の表面をエッチングして上記エッチング部を形成する工程をさらに含んでもよい。
【0017】
本発明において、上記エッチング部は、ウェットエッチング方法で形成してもよい。
【0018】
本発明において、上記エッチング部は、シュウ酸を利用したエッチング方法で形成してもよい。
【0019】
本発明において、上記第1電極は、Agを含有してもよい。
【0020】
本発明において、上記第1電極に上記エッチング部を形成する前に、上記第1電極の表面を結晶化してもよい。
【0021】
本発明において、上記第1電極の表面は、ITOを含有し、上記第1電極の表面を結晶化する工程は、上記ITOを結晶化する工程を含んでもよい。
【0022】
本発明において、上記第1電極の表面を結晶化する工程は、熱処理を利用して行ってもよい。
【0023】
本発明において、上記第1電極は、第1導電層/第2導電層/第3導電層の積層構造で形成し、上記第1導電層及び上記第3導電層は、ITOを含有し、上記第2導電層は、Agを含有してもよい。
【0024】
本発明において、上記エッチング部は、上記第3導電層に形成してもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の有機発光表示装置及びその製造方法によれば、画質特性を容易に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に関する有機発光表示装置を概略的に示す断面図である。
図2A】本発明の一実施形態に関する有機発光表示装置の製造方法を順次に示す概略的な断面図である。
図2B】本発明の一実施形態に関する有機発光表示装置の製造方法を順次に示す概略的な断面図である。
図2C】本発明の一実施形態に関する有機発光表示装置の製造方法を順次に示す概略的な断面図である。
図2D】本発明の一実施形態に関する有機発光表示装置の製造方法を順次に示す概略的な断面図である。
図2E】本発明の一実施形態に関する有機発光表示装置の製造方法を順次に示す概略的な断面図である。
図2F】本発明の一実施形態に関する有機発光表示装置の製造方法を順次に示す概略的な断面図である。
図3】本発明の一実施形態に関する有機発光表示装置を概略的に示す断面図である。
図4A】本発明の他の実施形態に関する有機発光表示装置の製造方法を順次に示す概略的な断面図である。
図4B】本発明の他の実施形態に関する有機発光表示装置の製造方法を順次に示す概略的な断面図である。
図4C】本発明の他の実施形態に関する有機発光表示装置の製造方法を順次に示す概略的な断面図である。
図4D】本発明の他の実施形態に関する有機発光表示装置の製造方法を順次に示す概略的な断面図である。
図4E】本発明の他の実施形態に関する有機発光表示装置の製造方法を順次に示す概略的な断面図である。
図4F】本発明の他の実施形態に関する有機発光表示装置の製造方法を順次に示す概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付した図面に示された本発明に関する実施形態を参照して、本発明の構成及び作用を詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に関する有機発光表示装置を示した概略的な断面図である。
【0029】
図1を参照すれば、基板101の上部に第1電極110が配され、第1電極110上に画素定義膜115が配される。画素定義膜115を通じて露出された部分に中間層120が配され、中間層120の上部に第2電極130が配される。
【0030】
第1電極110の表面のうち、中間層120に向かう表面にエッチング部110aが形成されている。具体的に、第1電極110の表面のうち、画素定義膜115を通じて露出された表面にエッチング部110aが形成される。
【0031】
第1電極110の表面にエッチング部110aを形成し、第1電極110の表面に残存する不純物を容易に除去する。特に、第1電極110は、Agを含有できるが、この場合、エッチング部110aの形成を通じて第1電極110の表面にAgパーティクルが残らないようにする。
【0032】
この時、第1電極110の側面及びコーナーが損傷されないように、第1電極110の領域のうち、画素定義膜115で覆われずに露出された表面にエッチング部110aを形成する。
【0033】
基板101の一面に対向するように、すなわち、第2電極130の上部に密封部材(図示せず)が配されうる。密封部材(図示せず)は、外部の水分や酸素から有機発光層を保護するために形成するものであって、密封部材(図示せず)は、透明な材質で形成される。このために、密封部材は、ガラス、プラスチックまたは有機物と無機物との複数の重畳構造で形成されることもある。
【0034】
具体的な構成及び製法についての説明は、図2Aないし図2Fを参照しつつ後述する。
【0035】
図2Aないし図2Fは、本発明の一実施形態に関する有機発光表示装置の製造方法を順次に示した概略的な断面図である。
【0036】
図2Aを参照すれば、基板101を準備する。具体的に、基板101は、SiOを主成分とする透明なガラス材質で形成されうる。基板101は、必ずしもこれに限定されず、透明なプラスチック材質で形成することもある。プラスチック材質は、絶縁性有機物であるポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)からなるグループから選択される有機物でありうる。
【0037】
また、金属で基板101を形成できる。金属で基板101を形成する場合、基板101は、炭素、鉄、クロム、マンガン、ニッケル、チタン、モリブデン、ステンレススチール(SUS)、インバー合金、インコネル合金及びコバール合金からなる群から選択された一つ以上を含みうるが、これらに限定されるものではない。基板101は、金属フォイルで形成することもある。
【0038】
また、図示していないが、基板101の上部に平滑な面を形成し、基板101の上部への不純元素の浸透を遮断するために、基板101の上部にバッファ層(図示せず)を形成できる。バッファ層(図示せず)は、SiO及び/またはSiNxで形成できる。
【0039】
次いで、図2Bを参照すれば、基板101上に第1電極110を形成する。第1電極110を形成する前に、基板101上に薄膜トランジスタを形成することもある。もちろん、本実施形態の有機発光表示装置100は、能動駆動型装置及び受動駆動型装置にいずれも適用可能である。
【0040】
第1電極110は、所定の形態にパターニングされるが、受動駆動型装置では、ストライプ状にパターニングされてもよく、能動駆動型装置では、各副画素に対応するようにパターニングされてもよい。
【0041】
第1電極110は、多様な材料を含有できるが、Agを含有できる。第1電極110がAgを含有する場合、後続工程で形成される中間層から発生した可視光線のうち、第1電極110方向に進んだ光線が第2電極方向に反射されうる。また、第1電極110の表面のうち、基板101から遠く離れた面、すなわち、後続工程で中間層に向かう表面は、ITOを含有することが望ましい。
【0042】
次いで、図2Cを参照すれば、第1電極110上に画素定義膜115を形成する。画素定義膜115は、第1電極110の所定領域が露出されるように形成される。画素定義膜115は、多様な絶縁物で形成できるが、有機物または無機物で形成できる。
【0043】
次いで、図2Dを参照すれば、第1電極110にエッチング部110aを形成する。図示していないが、エッチング部110aを形成する前に、第1電極110の表面を結晶化する工程を進める。第1電極110の表面を結晶化する工程は、熱処理工程を通じて進めるが、第1電極110の表面がITOを含有するので、ITOが結晶化されうるほどの温度に熱処理工程を進める。
【0044】
次いで、エッチング部110aを形成するが、エッチング部110aは、第1電極110の表面のうち、画素定義膜115を通じて露出された表面に形成される。エッチング部110aは、シュウ酸(C)を利用して形成する。
【0045】
前述した第1電極110の形成時、残存物が第1電極110の表面に存在する。特に、第1電極110のAg成分が存在することがある。本実施形態で、シュウ酸を利用したエッチング部110aの形成工程中に、第1電極110上に残存するAg成分のような不純物が容易に除去される。この時、画素定義膜115によって第1電極110の側面及びコーナーは、シュウ酸によって損傷されない。また、第1電極110の表面は、結晶化されていて、シュウ酸によってエッチング部110aが形成される時、過度にエッチングされることを防止し、第1電極110の電気的特性に影響を与えない。
【0046】
次いで、図2Eを参照すれば、第1電極110上に中間層120を形成する。中間層120は、可視光線を発光させる有機発光層を備えるが、多様な材料で形成できる。
【0047】
次いで、中間層120上に第2電極130を形成し、最終的に、有機発光表示装置100を完成する。
【0048】
第2電極130は、全体副画素をいずれも覆うように形成できる。第2電極130は、仕事関数が小さい金属、すなわち、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca及びこれらの化合物を蒸着した後、その上にITO、IZO、ZnO、またはInのような透明導電物質を蒸着して形成できる。
【0049】
本実施形態で、第1電極110は、アノードであり、第2電極130は、カソードと定義して説明したが、本発明は、これに限定されず、極性が互いに変わることもある。
【0050】
基板101の一面に対向するように、すなわち、第2電極130の上部に密封部材(図示せず)が配されうる。密封部材(図示せず)は、外部の水分や酸素から有機発光層を保護するために形成するものであって、密封部材(図示せず)は、透明な材質で形成される。このために、密封部材は、ガラス、プラスチックまたは有機物と無機物との複数の重畳構造で形成されることもある。
【0051】
本実施形態では、第1電極110を形成した後、エッチング部110aを形成し、第1電極110の表面に残存するAgのような残存物を容易に除去できる。これを通じて、暗点のような不良を防止して有機発光表示装置100の画質特性を向上できる。
【0052】
特に、画素定義膜115を形成した後、エッチング部110aを形成するので、第1電極110の側面損傷を防止できる。また、第1電極110の表面を結晶化して、第1電極110の表面が過度にエッチングされることを防止して第1電極110の電気的特性に影響を与えないので、有機発光表示装置100の画質特性の向上効果が増大する。
【0053】
また、エッチング部110aの形成に使用するシュウ酸は、第1電極110の表面のAgを十分に除去できるほどであり、かつ結晶化されたITOを適切にエッチングできるエッチング力を有しているので、所望の形態にエッチング部110aを容易に形成できる。
【0054】
また、第1電極110にエッチング部110aが形成されて、中間層120がエッチング部110aに配されるので、中間層120と第1電極110との接着力を向上できる。
【0055】
図3は、本発明の他の実施形態に関する有機発光表示装置を示した概略的な断面図である。
【0056】
図3を参照すれば、基板201の上部に第1電極210が配され、第1電極210上に画素定義膜215が配される。画素定義膜215を通じて露出された部分に中間層220が配され、中間層220の上部に第2電極230が配される。
【0057】
第1電極210は、第1導電層211、第2導電層212及び第3導電層213を備える。第1導電層211及び第3導電層213は、ITOを含有し、第2導電層212は、Agを含有することが望ましい。
【0058】
第1電極210の表面のうち、中間層220に向かう表面にエッチング部210aが形成されている。具体的に、第1電極210の表面のうち、画素定義膜215を通じて露出された第3導電層213の表面にエッチング部210aが形成される。
【0059】
第3導電層213の表面にエッチング部210aを形成し、第3導電層213の表面に残存する不純物を容易に除去する。この時、第1電極210の側面及びコーナーは損傷されないように、第1電極210の領域のうち、画素定義膜215で覆われずに露出された表面にエッチング部210aを形成する。
【0060】
基板201の一面に対向するように、すなわち、第2電極230の上部に密封部材(図示せず)が配されうる。密封部材(図示せず)は、外部の水分や酸素から有機発光層を保護するために形成するものであって、密封部材(図示せず)は、透明な材質で形成される。このために、密封部材は、ガラス、プラスチックまたは有機物と無機物との複数の重畳構造で形成されることもある。
【0061】
具体的な構成及び製法についての説明は、図4Aないし図4Fを参照しつつ後述する。
【0062】
図4Aないし図4Fは、本発明の他の実施形態に関する有機発光表示装置の製造方法を順次に示した概略的な断面図である。
【0063】
図4Aを参照すれば、基板201を準備する。具体的な基板201の材料は、前述した実施形態と同一であるので、説明は省略する。基板201の上部にバッファ層(図示せず)を形成できる。
【0064】
次いで、図4Bを参照すれば、基板201上に第1電極210を形成する。第1電極210は、所定の形態にパターニングされるが、受動駆動型装置では、ストライプ状にパターニングされてもよく、能動駆動型装置では、各副画素に対応するようにパターニングされてもよい。
【0065】
第1電極210は、第1導電層211、第2導電層212及び第3導電層213を備える。
【0066】
第1導電層211は、ITOを含みうるが、これを通じて、第1電極210と基板201との接着性を向上させる。基板201と第1電極210との間に他の絶縁膜が配される時、このような絶縁膜と第1電極210との接着性も向上させうる。
【0067】
第1導電層211上に形成される第2導電層212は、Agを含む。第2導電層212は、後続工程で形成される中間層から発生した可視光線のうち、第1電極210方向に進んだ光線を第2電極方向に反射させる。
【0068】
第2導電層212上に形成される第3導電層213は、ITOを含む。
【0069】
次いで、図4Cを参照すれば、第1電極210上に画素定義膜215を形成する。画素定義膜215は、第1電極210の所定領域が露出されるように形成される。
【0070】
次いで、図4Dを参照すれば、第1電極210にエッチング部210aを形成する。
【0071】
図示していないが、エッチング部210aを形成する前に、第1電極210の表面を結晶化する工程を進める。すなわち、第1電極210の第3導電層213を結晶化する。
【0072】
結晶化する工程は、熱処理工程を通じて進めるが、第1電極210の第3導電層213がITOを含有するので、ITOが結晶化されうるほどの温度で熱処理工程を進める。
【0073】
次いで、エッチング部210aを形成するが、エッチング部210aは、第1電極210の表面のうち、画素定義膜215を通じて露出された表面に形成される。具体的に、第1電極210の第3導電層213にエッチング部210aを形成する。
【0074】
エッチング部210aは、シュウ酸(C)を利用して形成する。前述した第1電極210の形成時、残存物が第1電極210の表面に存在する。特に、第1電極210の第2導電層212に含まれたAg成分が存在できる。本実施形態で、シュウ酸を利用したエッチング部210aの形成工程中に、第1電極210上に残存するAg成分のような不純物が容易に除去される。この時、画素定義膜215によって、第1電極210の側面及びコーナーは、シュウ酸によって損傷されない。また、第1電極210の第3導電層213は、結晶化されているので、シュウ酸によってエッチング部210aが形成される時、過度にエッチングされることを防止して、第1電極210の電気的特性に影響を与えない。
【0075】
次いで、図4Eを参照すれば、第1電極210上に中間層220を形成する。中間層220は、可視光線を発光させる有機発光層を備えるが、多様な材料で形成できる。
【0076】
次いで、中間層220上に第2電極230を形成し、最終的に、有機発光表示装置200を完成する。
【0077】
本実施形態で、第1電極210は、アノードであり、第2電極250は、カソードと定義して説明したが、本発明は、これに限定されず、極性が互いに変わることもある。
【0078】
基板201の一面に対向するように、すなわち、第2電極230の上部に密封部材(図示せず)が配されうる。密封部材(図示せず)は、外部の水分や酸素から有機発光層を保護するために形成するものであって、密封部材(図示せず)は、透明な材質で形成される。このために、密封部材は、ガラス、プラスチックまたは有機物と無機物との複数の重畳構造で形成されることもある。
【0079】
本実施形態では、第1電極210を形成した後、エッチング部210aを形成し、第1電極210の表面に残存する第2導電層212の材料であるAgのような残存物を容易に除去できる。特に、画素定義膜215を形成した後、エッチング部210aを形成し、第1電極210の側面の損傷を防止できる。また、第1電極210の第3導電層213を結晶化して、第1電極210の表面が過度にエッチングされることを防止し、第1電極210の電気的特性に影響を与えず、有機発光表示装置200の画質特性の向上効果が増大する。
【0080】
また、エッチング部210aの形成に使用するシュウ酸は、第1電極210の表面のAgを十分に除去できるほどであり、かつ結晶化されたITOを適切にエッチングできるエッチング力を有しているので、所望の形態にエッチング部210aを容易に形成できる。
【0081】
また、第1電極210にエッチング部210aが形成され、中間層220がエッチング部210aに配されるので、中間層220と第1電極210との接着力を向上できる。
【0082】
図面に示された実施形態を参照して説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるということが分かるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、表示装置関連の技術分野に好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0084】
100,200 有機発光表示装置
101,201 基板
110,210 第1電極
110a,210a エッチング部
115,215 画素定義膜
120,220 中間層
130,230 第2電極


図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F