特許第5697994号(P5697994)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5697994
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】液体除草性製剤
(51)【国際特許分類】
   A01N 25/02 20060101AFI20150319BHJP
   A01N 47/22 20060101ALI20150319BHJP
   A01N 43/08 20060101ALI20150319BHJP
   A01N 43/54 20060101ALI20150319BHJP
   A01N 25/30 20060101ALI20150319BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20150319BHJP
   A01P 13/02 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   A01N25/02
   A01N47/22 B
   A01N43/08 G
   A01N43/54 F
   A01N25/30
   A01N25/00 101
   A01P13/02
【請求項の数】10
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2010-546240(P2010-546240)
(86)(22)【出願日】2009年2月5日
(65)【公表番号】特表2011-512337(P2011-512337A)
(43)【公表日】2011年4月21日
(86)【国際出願番号】EP2009000766
(87)【国際公開番号】WO2009100846
(87)【国際公開日】20090820
【審査請求日】2012年1月16日
(31)【優先権主張番号】08002708.9
(32)【優先日】2008年2月14日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507203353
【氏名又は名称】バイエル・クロップサイエンス・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】BAYER CROPSCIENCE AG
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(72)【発明者】
【氏名】ゲーアハルト・ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ウード・ビッケルス
(72)【発明者】
【氏名】マンディー・デナー
(72)【発明者】
【氏名】ライナー・ブックペシュ
(72)【発明者】
【氏名】フランク・シクスル
【審査官】 江間 正起
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−539225(JP,A)
【文献】 特開昭50−040742(JP,A)
【文献】 特表平09−500892(JP,A)
【文献】 特表平06−510767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 25/00−25/34
A01N 43/08
A01N 43/54
A01N 47/22
A01P 13/02
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
除草性オイルディスパージョンであって、以下:
(a)10〜40質量%の式(a1)、(a2)、(a3)および(a4)の除草性有効成分
【化1】
【化2】
【化3】
ここで、[(a1)および(a2)]:(a3):(a4)の重量比は、(1):(0.1):(0.01)〜(1):(5):(3)である、
(b)5〜70質量%の1種またはそれ以上の界面活性剤
(c)10〜70質量%の以下の群から選択される1種またはそれ以上の化合物から選択される、溶剤としてのリン酸トリエステル
(c1.7) アルキル基中に1〜22個の炭素原子、およびポリアルキレンオキシ部分に1〜30個のアルキレンオキシ単位を有するアルコキシル化短鎖アルコールを付加したリン酸トリエステル、
(c1.8) 5〜22個の炭素原子を有するアルキルアルコールを付加したリン酸トリエステル、および
(c1.9) リン酸モノ−/ジブトキシエチルと2モルのエチレンオキサイドおよび/または2モルのプロピレンオキサイドとの反応生成物、
(d)0〜40質量%の他の有機溶媒
(e)0〜20質量%の他の通常処方される助剤
(f)0〜20質量%の水、
を含む、ビート中の雑草を選択的に防除するための除草性オイルディスパージョン。
【請求項2】
請求項1の界面活性剤(b)として、炭素環式芳香族(b1)もしくは非芳香族(b2)ベースの1種またはそれ以上の界面活性剤、または芳香族(b1)および非芳香族(b2)ベースの界面活性剤の混合物を含む、請求項1に記載のオイルディスパージョン。
【請求項3】
以下の群から選択される、炭素環式芳香族(b1)ベースの1種またはそれ以上の界面活性剤(b)を含む、請求項1または2に記載のオイルディスパージョン:
(b1.1) フェノール、フェニル(C1−C4)アルキルエーテルまたは(ポリ)アルコキシル化フェノール、
(b1.2) (ポリ)アルキルフェノールまたは(ポリ)アルキルフェノールアルコキシレート、
(b1.3) ポリアリールフェノールまたはポリアリールフェノールアルコキシレート、
(b1.4) 硫酸またはリン酸を付加した(b1.1)〜(b1.3)に記載した分子と、適切な塩基で中性化したこれらの塩との反応生成物を表す化合物、および
(b1.5) 酸性(ポリ)アルキル−および (ポリ)アリール−ベンゼンスルホネートならびに適切な塩基でこれらを中性化したもの。
【請求項4】
以下の群から選択される1種またはそれ以上の芳香族ベースの界面活性剤(b1)を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のオイルディスパージョン:
− 4〜10molのエチレンオキシドと反応させたフェノール、
− 4〜50molのエチレンオキシドと反応させたトリイソブチルフェノール、トリ(sec−ブチル)フェノールまたはトリ(n−ブチル)フェノール、
− 4〜50molのエチレンオキシドと反応させたノニルフェノール、
− 4〜150molのエチレンオキシドと反応させたトリスチリルフェノール、および
− 酸性(直鎖状)ドデシルベンゼンスルホネート。
【請求項5】
成分(c)がリン酸トリブトキシエチルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のオイルディスパージョン。
【請求項6】
成分を互いに混合する工程を包含する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のオイルディスパージョンの製造方法。
【請求項7】
望ましくない植物の成長を抑制する方法であって、植物、植物の一部分または栽培場所に対して、有効量の請求項1〜5のいずれか1項に記載のオイルディスパージョンを施用する工程を包含する、方法。
【請求項8】
ビート中の雑草を選択的に防除する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
望ましくない植物の成長を抑制するための、請求項1〜5のいずれか1項に記載のオイルディスパージョンの使用。
【請求項10】
ビート中の雑草を選択的に防除する、請求項9に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物保護有効成分の製剤(preparation、formulation)の技術分野に関し、より具体的には共製剤(coformulation)、すなわち1つの製剤中に2種またはそれ以上の作物保護有効成分が配合される製剤の分野に関する。特に、本発明は、双子葉類作物(例えばビート、好ましくはテンサイ)中の雑草を抑制するための農薬の液体共製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ビート中の雑草の抑制のためには構造的に異なる複数の単一有効成分がよいとされている。この用途でできるだけ能率的に利用するために、ある用途(雑草種類の拡張、有効範囲のギャップの埋め合わせ)でこれらの複数の単一有効成分の特性を調和して最大限に利用することを可能にするために、あるいは単一有効成分を組み合わせると相乗的である(すなわち、有利で超付加的な活性の増加がもたらされる)ので、1種またはそれ以上のこれらの有効成分をしばしば組み合わせて使用する。この有効成分の併用は、もちろん有効成分がタンク混合においてのみ合わせられるかまたは貯蔵可能な完成混合物の形態で実際に提供されるかによって様々な技術的側面を有する。
【0003】
第一に、複数の単一有効成分または有効成分混合物は、一般的に単独の化合物としては用いられないが、代わりに施用範囲および所望の物理的施用形態に依存して、特定の助剤と組み合わせて用いられる−すなわち、それらは「処方される」。作物保護有効成分は、一般的な生物学的および/または物理化学的パラメーターに従って種々の方法で処方することができる。一般的には、以下の処方選択肢が考えられる:水和剤(WP)、水中油系または油中水系エマルション(EWまたはEO)、懸濁製剤(suspensions(SC))、サスポエマルション(suspoemulsions(SE))、乳剤(EC)または土壌処理もしくは散布処理用の粒剤、あるいは顆粒水和剤(WG)。上記の剤形は、原則的には公知であり、例えば以下に記載されている:非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3。
【0004】
処方される有効成分が極性の低いもの(例えば塩のようなもの(saltlike)ではないかまたは主に疎水基を含む化合物)であって実質的に水に不溶である場合は、当然処方選択肢が限られている。これは、例えばデスメディファム(DMP)およびフェンメディファム(PMP)のような除草有効成分(これらはビスカルバメート類に属し、これらの水溶解度はそれぞれ20℃において7mg/l、室温で4.7mg/lである)に当てはまる。ベンゾフラニルスルホネート群由来の除草有効成分(例えばエトフメセート(25℃における水溶解度:50mg/l)またはベンフレセート(25℃における水溶解度:261mg/l))を用いる状況でも同様である。ビート中の雑草抑制に用いられる別の公知の有効成分であるレナシルは、ウラシル(すなわち、ピリミジンジオン)の構造群由来の有効成分である。レナシルはまた、例えば、タンク混合または調製済製剤として、フェンメディファムやエトフメセートのような他の作物保護有効成分と組み合わせることができることも知られている:例えば、非特許文献4を参照のこと。レナシルも同様に、25℃において3mg/lという比較的低い水溶解性を有している。
【0005】
上述したタイプの特定の除草剤の液体製剤は既に公知である。したがって、例えば特許文献1は、PMPおよび/またはメタミトロンを含む液体製剤を記載している。前記文献において溶媒としては多価アルコールのエステル、エーテル、ケトン、水に不溶のアルコール、(ポリ)グリコール並びに植物由来および鉱物由来の油が挙げられ、一方上記の液体製剤のために特定された適当な乳化剤としては一般的に非イオン性界面活性剤のほか、両性、陽イオン性または陰イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0006】
上記の有効成分のための溶媒ベース乳剤に対する適当な別の選択肢としては水を含む懸濁製剤(SC)およびサスポエマルション(SE)が挙げられる。そのような製剤は特許文献2、特許文献3および特許文献4に記載されている。
【0007】
特許文献5および特許文献6は、有効成分デスメディファム(DMP)およびフェンメディファム(PMP)およびエトフメセートの共製剤用の乳剤または懸濁製剤のような安定な液体製剤の製造を可能にする界面活性剤−溶媒系を既に開示している。これらの共製剤は、ビート中の雑草防除に適切である。
【0008】
製剤中に合わせる構造的に異なる有効成分の数が多いほど、剤形の自由度が制限される。あるいは、貯蔵可能な混合済み製剤は、一般的には有効成分および処方助剤が互いに合うように合わせられた割合で存在しているにもかかわらず、タンク混合の際にその割合はその時々および個々の成分について用いられる剤形に依存してユーザーによって設定されねばならず、助剤間の非親和性も存在する場合があるタンク混合よりも利点がある。
【0009】
水で希釈するときに、物理的/施用の観点から有利な特性を有する噴霧溶液を製造するための安定な濃縮製剤を提供するという純粋に処方上の目的に加えて、本発明の目的はさらに好ましくは、生物学的に有利な特性を有する製剤を提供することである。それ故にその製剤に使用すべき助剤は、用いられる有効成分の生物学的特性を用いるために十分な適合性を有しており、その特性を維持させるべきであり、また該特性を可能な限り妨害してはならない。
【0010】
特定の場合において、幾つかの農薬有効成分の生物学的活性を、低分子量有機化合物で高めうることが知られている。例えば、特許文献7によれば、オルトリン酸並びにアルキル−、アリール−、アルキルアリール−、シクロアルキルアリール−および/または複素環系アルコールをベースにしたエステルまたは部分的エステルは、除草剤、例えば除草剤のフェニルウレア誘導体(例えばモヌロン)、アゾール(例えばアミトロール)、トリアジン(例えばシマジン)、およびプロピオン酸誘導体(例えばダラポン)の作用を高めるのに適している。この中で助剤として具体的に記載されたリン酸エステルは、液体濃縮物の製造には特に適さない、比較的に非極性または完全に水溶性のリン酸エステルを含んでいる。加えて、上述の目的の範囲内で好ましいビート除草剤、例えばビスカルバメート(phen−およびデスメディファム)またはベンゾフラニルスルホネート(エトフメセート)は、この刊行物には挙げられていない。
【0011】
特許文献8は、冶金産業において、金属回収において、またはポリマーのための可塑剤として用いられる種類の溶媒と組み合わせた場合、作物植物に対して乾燥剤作用をもつ除草剤(すなわち例えばフェニルウレア群の除草剤(例えばメトキシウロン、ジウロン)またはトリアジン(例えばアトラジン、シマジン))によって生じる相乗作用を記載している。この文献は、一般的に述べられた溶媒のどれが液体濃縮物およびこれから製造可能な液体製剤を製造するのに適するのかを明らかにしていない。
【0012】
特許文献9は、テンサイに使用するための相乗的除草性混合物をすでに記載している。とりわけ分散剤の形態で施用される有効成分エトフメセート、フェンメディファム、およびレナシル(実施例18を参照のこと)の組み合わせについての活性が記載されている。この文献は、その分散剤の組成を明らかにしておらず、その製剤が生物学的結果において特定の効果を有するか否かも明らかにしていない。さらに、その製剤が共製剤用に特に適切であることについての情報は存在していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】WO−A−85/01286号
【特許文献2】WO−A−95/23505号
【特許文献3】EP−A−0637910号
【特許文献4】WO−A−92/09195号
【特許文献5】EP1164842
【特許文献6】EP1251736
【特許文献7】BE−A−597284
【特許文献8】DE−A−2914164号
【特許文献9】DE−A−2334787
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Winnacker−Kuechler,「Chemische Technologie」,volume 7,C.Hanser−Verlag,Munich,4th edition 1986
【非特許文献2】van Valkenburg,「Pesticide Formulations」,Marcel−Dekker N.Y.,1973
【非特許文献3】K.Martens,「Spray Drying Handbook」,3rd Ed.,1979,G.Goodwin Ltd.London
【非特許文献4】「The Pesticide Manual」,British Crop Protection Council,14th edition 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、本発明の目的は、ビート中の雑草抑制に特に適切な、安定な調製済製剤を提供することである。
【0016】
ここで驚くことに、特定の界面活性剤−溶媒系がビスカルバメート除草剤(例えばフェンメディファムおよび/またはデスメディファム)、ベンゾフラニルスルホネート(例えばエトフメセート)、およびレナシルの群由来の有効成分の共製剤に用いるのに特に適切であることが明らかとなった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、以下:
(a)式(a1)および(a2)の、1種またはそれ以上のビスカルバメート除草剤
【化1】
【0018】
エトフメセート(a3)のような、1種またはそれ以上のベンゾフランスルホネート除草剤
【化2】
および以下の式のレナシル(a4)
【化3】
【0019】
(b)1種またはそれ以上の界面活性剤
(c)可能な限り極性化合物であるが、それと同時に水不溶性であるかまたは5g/l程度まで、好ましくは3g/lまで、より特定的には2g/lまでの水への溶解度を有している1種またはそれ以上の化合物であって、該化合物は、溶媒として、完全にエステル化された有機リン酸エステルおよび完全にエステル化されたホスホン酸エステルの群由来である、化合物
(d)所望の場合、他の有機溶媒
(e)所望の場合、他の通常処方される助剤
(f)所望の場合、水、
を含む、除草性オイルディスパージョンを提供する。
【0020】
式(a1)および(a2)の化合物はカルバミン酸の誘導体である。これらの化合物の除草特性は、例えばDE−A−3799758に記載されている。慣用名「デスメディファム」の式(a1)の化合物は、化学名がエチル3−(フェニルカルバモイルオキシ)フェニルカルバメートであり、慣用名「フェンメディファム」の式(a2)の化合物は化学名がメチル3−(3−メチルフェニルカルバモイルオキシ)フェニルカルバメートである。慣用名「エトフメセート」の式(a3)の化合物は、化学名が(2RS)−2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチルベンゾフラン−5−イル エタンスルホネートである。エトフメセートは、不斉炭素原子を保持している。エトフメセートの両方のエナンチオマーは、生物学的活性を有していると考えられている。従って、式(a3)は、全ての立体異性体およびそれらの混合物、より具体的にはラセミ化合物を包含する。これらの除草特性は、例えばGB−A−1271659に記載されている。
【0021】
慣用名が「レナシル」である式(a4)の化合物は、化学名が3−シクロヘキシル−1,5,6,7−テトラヒドロシクロペンタピリミジン−2,4(3H)−ジオンである。レナシルの除草特性は例えばUS−A−3235360に記載されている。
【0022】
(a1)〜(a4)の有効成分はまた、「The Pesticide Manual」,British Crop Protection Council,14th edition,2006およびその中の引用文献に記載されている。これらは、ビートの除草剤としての使用について公知である。
【0023】
本発明に従って使用され得る界面活性剤(b)は、1種またはそれ以上の炭素環式芳香族をベースにした(省略して「芳香族ベースの」)界面活性剤(b1)もしくは非芳香族ベースの界面活性剤(b2)、または芳香族ベースおよび非芳香族ベースの界面活性剤の混合物(b1)および(b2)を含んでいてもよい。
【0024】
芳香族ベースの界面活性剤(b1)は、例えば1つまたはそれ以上のアルキル基で置換され、その後誘導体化された界面活性のベンゼンまたはフェノールであり、これらは溶媒相に不溶であり、(噴霧溶液を作るために)水で希釈する際に、そこに溶解している有効成分と一緒になってこの相を乳化させる。この種の界面活性剤の例は以下のとおりである:
(b1.1) フェノール、フェニル(C1−C4)アルキルエーテルまたは(ポリ)アルコキシル化フェノール[=フェノール(ポリ)アルキレングリコールエーテル](例えばその(ポリ)アルキレンオキシ部分に1〜50個のアルキレンオキシ単位を有しており、そのアルキレン部分は各場合において好ましくは1〜4個の炭素原子を有しており、好ましくは3〜10molのアルキレンオキシドと反応させたフェノール)、
(b1.2) (ポリ)アルキルフェノールまたは(ポリ)アルキルフェノールアルコキシレート[=ポリアルキルフェノール(ポリ)アルキレングリコールエーテル](例えばアルキル基1つあたり1〜12個の炭素原子、そのポリアルキレンオキシ部分に1〜150個のアルキレンオキシ単位を有しており、好ましくは1〜50molのエチレンオキシドと反応させたトリ−n−ブチルフェノール、トリイソブチルフェノールまたはトリ(sec−ブチル)フェノール)、
(b1.3) ポリアリールフェノールまたはポリアリールフェノールアルコキシレート[=ポリアリールフェノール(ポリ)アルキレングリコールエーテル](例えば、そのポリアルキレンオキシ部分に1〜150個のアルキレンオキシ単位を有するトリスチリルフェノールポリアルキレングリコールエーテルであり、好ましくは1〜50molのエチレンオキシドと反応させたトリスチリルフェノール)、
(b1.4) 硫酸またはリン酸を付加した(b1.1)〜(b1.3)に記載した分子と、適切な塩基で中性化したこれらの塩との反応生成物を形式的に表す化合物(例えば三重にエトキシ化されたフェノールの酸性リン酸エステル、9molのエチレンオキシドと反応させたノニルフェノールの酸性リン酸エステル、および20molのエチレンオキシドと1molのトリスチリルフェノールとの反応生成物であるトリエタノールアミンで中性化したリン酸エステル)、ならびに
(b1.5) 例えば、1つのアルキル基あたり1〜12個の炭素原子を有し、ポリアリール基中には3個までのスチレン単位を有する、酸性(ポリ)アルキル−および(ポリ)アリール−ベンゼンスルホネートおよび適切な塩基で中性化したものであって、好ましくは(直鎖状)ドデシルベンゼンスルホン酸および油溶性のその塩(例えばドデシルベンゼンスルホン酸のイソプロピルアンモニウム塩)。
【0025】
前述のアルキレンオキシ単位に関しては、好ましくは1,2−エチレンオキシ、1,2−プロピレンオキシ、1,2−ブチレンオキシ、2,3−ブチレンオキシ−、および2,2−ジメチル−1,2−エチレンオキシ単位、特に好ましくは1,2−エチレンオキシ単位があげられる。
【0026】
芳香族ベースの界面活性剤の群由来の好ましい界面活性剤は、具体的には例えば、Agrisol(登録商標)製品(Akcros)の形態で市販されている4〜10molのエチレンオキシドと反応させたフェノール;
例えば、Sapogenat T(登録商標)製品(Clariant)の形態で市販されている4〜50molのエチレンオキシドと反応させたトリイソブチルフェノールまたはトリ(sec−ブチル)フェノール(例えば、Sapogenat T060(6EO単位のエトキシ化トリ(sec−ブチル)フェノールまたはSapogenat T080(8EO単位のエトキシ化トリ(sec−ブチル)フェノール));
例えば、Arkopal(登録商標)製品(Clariant)の形態で市販されている4〜50molのエチレンオキシドと反応させたノニルフェノール;
例えばPhospholan(登録商標)PHB14(4EO単位のリン酸処理したフェノールエトキシレート、Akzo)というリン酸処理したフェノールエトキシレート(phosphated phenol ethoxylate)(遊離酸);
例えば、Soprophor CY/8(登録商標)(Rhodia)という4〜150molのエチレンオキシドと反応させたトリスチリルフェノール、および
例えば、Marlon(登録商標)製品(Huels)の形態で市販されている酸性(直鎖状)ドデシルベンゼンスルホネート。
【0027】
炭素環式芳香族構造部分を持たない非芳香族ベースの界面活性剤(b2)は、例えば、脂肪族ベース、環式脂肪族ベース、オレフィンベースまたは複素環ベースの界面活性剤が挙げられ、例としては溶媒相に不溶であり、(噴霧溶液を作るために)水で希釈した際に相内に溶解している有効成分と一緒になってその相を乳化させるのに適切である1つまたはそれ以上のアルキル基を有する界面活性化合物がある。この化合物は炭素環式芳香族環を保持していないが、環状構造であるシクロアルキル(例えば、飽和または部分的に不飽和のヘテロシクリル基)を含む場合があり、また芳香族複素環基を含むこともある。好ましい非芳香族界面活性剤は芳香族複素環基を含まない界面活性剤である。
【0028】
この種の界面活性剤(b)の例を以下に列挙する。その中でEO=1,2−エチレンオキシド単位、PO=1,2−プロピレンオキシド単位、およびBO=ブチレンオキシド単位であり、好ましくはEO、PO、およびBO=2,3−ブチレンオキシまたは2,2−ジメチル−1,2−エチレンオキシ単位である:
(b2.1) 0〜60EOおよび/または0〜20POおよび/または0〜15BOを任意の順序で有し、10〜24個の炭素原子を有する脂肪アルコール。これら化合物の末端ヒドロキシル基は、1〜24個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキルまたはアシルラジカルで末端基キャップされうるものである。そのような化合物の例は以下のとおりである:Clariantのgenapol(登録商標)C、L、O、T、UD、UDD、X製品;BASFのPlurafac(登録商標)およびLutensol(登録商標)A、AT、ON、TO製品;CondeaのMarlipal(登録商標)24およびMarlipal(登録商標)O13製品;HenkelのDehypon(登録商標)製品;Akzo−NobelのEthylan(登録商標)製品(例えばEthylan CD 120)。
(b2.2) (b2.1)に記載した製品の陰イオン性誘導体であって、その形態がエーテルカルボキシレート、スルホネート、スルフェートおよびホスフェート並びにその無機塩(例えばアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩)および有機塩(例えばアミン系またはアルカノールアミン系)であるもの、例えばClariantのGenapol(登録商標)LRO、Sandopan(登録商標)製品、Hostaphat/Hordaphos(登録商標)製品、ElementisのServoxyl製品。
EO、POおよび/またはBO単位からなるコポリマー(例えばブロックコポリマー)、例えばBASFのPluronic(登録商標)製品、および分子量が400〜108であるUniquemaのSynperonic(登録商標)製品。
1−C9アルコールのアルキレンオキシドアダクト、例えばUniquemaのAtlox(登録商標)5000またはClariantのHoe(登録商標)−S3510。
b2.3およびb2.4)に記載する製品の陰イオン性誘導体であって、その形態がエーテルカルボキシレート、スルホネート、スルフェートおよびホスフェート並びにその無機塩(例えばアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩)および有機塩(例えばアミン系またはアルカノールアミン系)であるもの。
(b2.3) 脂肪酸アルコキシレートおよびトリグリセリドアルコキシレート、例えばCondeaのSerdox(登録商標)NOG製品またはClariantのEmulsogen(登録商標)製品、またはRhodia のAlkamuls(登録商標)OR製品、脂肪族の塩、環式脂肪族、およびオレフィン系カルボン酸およびポリカルボン酸、ならびにHenkelから入手可能なのうなのα−スルホ脂肪酸エステルも可である。
(b2.4) 脂肪アミドアルコキシレート、例えばHenkelのComperlan(登録商標)製品またはRhodiaのAman(登録商標)製品。
アルキレンジオールのアルキレンオキシドアダクト、例えばAir ProductsのSurfynol(登録商標)製品。糖誘導体、例えばClariantのアミノ糖およびアミド糖、Clariantのグルシトール、アルキルポリグリコシド(HenkelのAPG(登録商標)製品として)、または例えばソルビタンエステル(UniquemaのSpan(登録商標)またはTween(登録商標)製品として)、またはシクロデキストリンエステルまたはシクロデキストリンエーテル(Wacker)。
(b2.5) 界面活性セルロース誘導体並びにアルギン、ペクチンおよびグアー誘導体、例えばClariantのTylose(登録商標)製品、KelcoのManutex(登録商標)製品、およびCesalpinaのグアー誘導体。
ポリオールベースのアルキレンオキシドアダクト、例えばClariantのPolyglykol(登録商標)製品。Clariantの界面活性ポリグリセリドおよびそれらの誘導体。
【0029】
(b2.6) スルホスクシネート、アルカンスルホネート、パラフィンスルホネートおよびオレフィンスルホネート、例えば、ClariantのNetzer IS(登録商標)、Hoe(登録商標)S1728、Hostapur(登録商標)OS、Hostapur(登録商標)SAS、Union Carbide のTriton(登録商標)GR7MEおよびGR5、Albright and WilsonのEmpimin(登録商標)製品、Condea のMarlon(登録商標)−PS65。
(b2.7) スルホスクシナメート、例えばCytecのAerosol(登録商標)製品またはAlbright and WilsonのEmpimin(登録商標)製品。
(b2.8) 脂肪アミンのアルキレンオキシドアダクト、8〜22個の炭素原子をもつ(C8−C22)第四級アンモニウム化合物、例えばClariantのGenamin(登録商標)C、L、O、T製品。
(b2.9) 界面活性双性イオン性化合物、例えばGoldschmidtのTegotain(登録商標)製品形態、ClariantのHostapon(登録商標)TおよびArkopon(登録商標)T製品の形態でのタウリド(taurides)、ベタイン、およびスルホベタイン。
(b2.10) シリコーン系またはシラン系界面活性化合物、例えばGoldschmidtのTegopren(登録商標)製品およびWackerのSE(登録商標)製品ならびにRhodia(Dow Corning、Reliance、GE、Bayer)のBevaloid(登録商標)、Rhodorsil(登録商標)およびSilcolapse(登録商標)製品。
(b2.11) 過フッ素化またはポリフッ素化界面活性化合物、例えばClariantのFluowet(登録商標)製品、BayerのBayowet(登録商標)製品、DuPontのZonyl(登録商標)製品ならびにダイキンおよび旭硝子のこの種の製品。
(b2.12) 界面活性スルホンアミド、例えばBayerの製品。
(b2.13) 界面活性ポリアクリル誘導体およびポリメタクリル誘導体、例えばBASFのSokalan(登録商標)製品。
(b2.14) 界面活性ポリアミド、例えばBayerの改変ゼラチンまたは誘導ポリアスパラギン酸およびその誘導体。
(b2.15) 界面活性ポリビニル化合物、例えば変性PVP(例えばBASFのLuviskol(登録商標)製品、およびISPのAgrimer(登録商標)製品)、または誘導ポリビニルアセテート(例えばClariantのMowilith(登録商標)製品)またはポリビニルブチレート(例えばBASFのLutonal(登録商標)製品、WackerのVinnapas(登録商標)およびPioloform(登録商標)製品)、または改変ポリビニルアルコール(例えばClariantのMowiol(登録商標)製品)。
(b2.16) 無水マレイン酸および/または無水マレイン酸の反応生成物をベースにした界面活性ポリマーおよび、無水マレイン酸および/または無水マレイン酸の反応生成物を含むコポリマー、例えばISPのAgrimer(登録商標)−VEMA製品。
(b2.17) モンタン、ポリエチレンおよびポリプロピレンワックスの界面活性誘導体、例えばClariantのHoechst(登録商標)ワックスまたはLicowet(登録商標)製品。
(b2.18) 界面活性ホスホネートおよびホスフィネート、例えばClariantのFluowet(登録商標)−PL。
(b2.19) ポリハロゲン化または過ハロゲン化界面活性剤、例えばClariantのEmulsogen(登録商標)−1557。
【0030】
このオイルディスパージョンは、好ましくは1種またはそれ以上の芳香族ベースの界面活性剤(b1)を含む。
【0031】
本発明のオイルディスパージョンはまた、界面活性剤(b1)と(b2)の混合物を含んでもよい。従って非イオン性界面活性剤(b1)および/または(b2)だけではなく、イオン性界面活性剤(例えば陰イオン性界面活性剤(b1)または陽イオン性界面活性剤(b2))を用いることがしばしば好都合である。
【0032】
好例として、芳香族界面活性剤(b1)と陰イオン性界面活性剤(b2)(例えばAkypo RLM 45(登録商標)(花王)またはMarlowet 4538(登録商標)(Condea)のようなアルキルポリグリコールエーテルカルボキシレートの群からの陰イオン性界面活性剤)の組み合わせが挙げられる。
【0033】
芳香族界面活性剤(b1)と非イオン性および/または陰イオン性界面活性剤(b2)(例えば、エトキシ化脂肪もしくは脂肪酸の群からの非イオン性界面活性剤(例えば、Emulsogen EL 400(登録商標)(40EOのヒマシ油エトキシレート、Clariant)、Etocas 12(登録商標)(12EOのヒマシ油エトキシレート、Croda)、Alkamuls OR/40(14個のHLBを有するヒマシ油エトキシレート、Rhodia)、Serdox NOG 600(登録商標)(14〜15EOのオレイン酸エトキシレート、Servo))、またはアルキレンオキシドベースの非イオン性界面活性ポリマー(例えば、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(例えば、Genapol PF40(登録商標)(Clariant))、または陰イオン性界面活性剤(例えば、Servoxyl VPDZ 20/100(リン酸で処理し、エトキシ化したイソトリデシルアルコール、Elementis))との組み合わせもまた好ましい。
【0034】
本発明の目的のための有機リン酸エステルまたはホスホン酸エステル[成分(c)、溶媒]は、オルトリン酸またはアルキル−、アリール−、アルキルアリール−、ポリ(アルキル)アリール−またはポリ(アリールアルキル)アリールホスホン酸の完全に反応させた、鹸化されていないエステルである。ここで好ましいものは、(可能な限り)極性であると同時に主に水不溶性である化合物であって、その界面活性のために、製剤中にさらに存在する界面活性剤/乳化剤と一緒になって、1種の有効成分(a)または数種の有効成分(a)を含む噴霧溶液中の油滴の界面張力を、施用技術に関して欠点のない安定な希釈/噴霧溶液を形成するように、外側の水相に対して低下させる化合物である。成分(c)の規定の水溶解度の限度は、20℃での測定値に基づく。特に好ましく適するものは、オルトリン酸またはホスホン酸でエステル化する前または後にアルコキシル化された上記タイプの化合物、特に、20℃で1.1g/Lの水溶解度を有するリン酸トリ(ブトキシエチル)(TBEP)である。
【0035】
成分(c)の化合物は、水溶液中でミセル凝集体(これは例えば光散乱測定法または他の方法を用いて検出できる)を形成しないという共通の特色を有する。このことは、リン酸エステル界面活性剤とこれらの化合物を区別するのではなく、溶媒としてのそれらの分類を判断するものである。
【0036】
適切な極性かつ主として水不溶性でもある好適な有機リン酸エステル[成分(c)]は、形式的にアルコールと3回反応させたオルトリン酸のエステル、および形式的にアルコールと1回および/または2回反応させたオルトリン酸のオキシアルキル化物である。適切な成分(c)の例は以下のものである:
(c1) 以下を含む群からの主に水不溶性のリン酸の極性エステル:
(c1.1) 5〜22個の炭素原子を有する、一価アルカノール(例えば、n−、イソ−またはネオ−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール)とのリン酸トリエステル、
(c1.2) ジオールまたはポリオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはグリセロール)とのリン酸トリエステル、
(c1.3) アリール、アルキルアリール、ポリ(アルキル)アリールおよびポリ(アリールアルキル)アリールアルコール(例えば、フェノール、クレゾール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、トリイソブチルフェノール、トリ−n−ブチルフェノール、トリ(sec−ブチル)フェノールおよび/またはトリスチリルフェノールとのリン酸トリエステル、
(c1.4) 上記の(c1.1)〜(c1.3)で特定したアルコール成分とアルキレンオキシド(好ましくは、(C2−C4)アルキレンオキシド)とを反応させることによって得られるアルコキシル化アルコールとのリン酸トリエステル、ならびに
(c1.5) 1〜4個の炭素原子を有する一価アルカノールとアルキレンオキシド(好ましくは、(C2−C4)アルキレンオキシド)とを反応させることによって得られるアルコキシル化アルコールとのリン酸トリエステル、あるいは
(c1.6) 上記の(c1.1)〜(c1.5)で特定したアルコール成分を2種またはそれ以上含むアルコールの混合物とのリン酸トリエステル、
ここでグループ(c1.1)〜(c1.5)からのリン酸エステルの3つのアルコール成分はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、そのエステルが主に水不溶性の極性溶媒として用いることのできるように選択される。
【0037】
さらに、成分(c)として適切なものは以下のとおりである:
(c2) アルコールおよび/またはアルコキシル化アルコールで二重にエステル化したアルキル−、アリール−、アルキルアリール−、ポリ(アルキル)−アリール−またはポリ(アリールアルキル)−アリール−ホスホン酸をベースにした主に水不溶性でありかつ極性のホスホン酸エステルであって、好ましくは以下のとおりである:
(c2.1) 1〜22個の炭素原子を有する一価アルコール(例えば、n−メタノール、n−エタノール、もしくはn−イソプロパノール、n−、イソ−もしくはt−ブタノール、n−、イソ−もしくはネオ−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、またはsec−ブタノール)とのホスホン酸のジエステル、
(c2.2) ジオールまたはポリオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはグリセロール)とのホスホン酸のジエステル、
(c2.3) アリール、アルキルアリール、ポリ(アルキル)アリールまたはポリ(アリールアルキル)アリールアルコール(例えば、フェノール、クレゾール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、トリイソブチルフェノールおよび/またはトリスチリルフェノール)とのホスホン酸のジエステル、
(c2.4) 上記(c2.1)〜(c2.3)で特定したアルコールとアルキレンオキシド(好ましくは(C2−C4)アルキレンオキシド)との反応によって得られるアルコキシル化アルコールとのホスホン酸のジエステル、あるいは
(c2.5) 上記(c2.1)〜(c2.4)で特定した2種またはそれ以上のアルコール成分からのアルコールの混合物とのホスホン酸のジエステル、
ここでグループ(c2.1)〜(c2.4)からのホスホン酸ジエステルの2つのアルコール成分は同一であっても異なっていてもよく、そのエステルが主に水不溶性の極性溶媒として用いることができるように選択される。
【0038】
アルキレンオキシ単位として、(C2−C4)アルキレンオキシド単位、例えば、1,2−エチレンオキシ、1,2−プロピレンオキシおよび/またはブチレンオキシ単位(1,2−ブチレンオキシ、2,3−ブチレンオキシ、および2,2−ジメチル−1,2−エチレンオキシ単位)、より具体的には1,2−プロピレンオキシおよび/または1,2−エチレンオキシ単位が好ましい。
【0039】
上記のアルコール成分は好ましくは1〜200、より特定的には1〜150、最も特定的には1〜100のアルキレンオキシ単位、好ましくは1,2−エチレンオキシ単位を含む。
【0040】
好ましいリン酸エステル(c1)(オルト−リン酸のエステル)は、具体的には例えば下記のものである:
(c1.7) アルキル基中に1〜22個の炭素原子およびポリアルキレンオキシ部分中に1〜30個のアルキレンオキシ単位を有する、アルコキシル化短鎖アルコールとのリン酸トリエステル、例えばリン酸トリブトキシエチル (Clariant)より正確にまたは好ましくは、リン酸トリ[2−(n−ブトキシ)エチル]、
(c1.8) 5〜22個の炭素原子を有するアルキルアルコールとのリン酸トリエステル、例えばHostaphat CG 120(登録商標)(Clariant)、リン酸トリ−n−オクチル(「TOF」、Bayer)ならびに、
(c1.9) アルキル基中に1〜22個の炭素原子を有する、場合によりアルコキシル化されたアルコールまたは場合によりアルコキシル化されたフェノール誘導体(各場合に、ポリアルキレンオキシ部分中に0〜30個のアルキレンオキシ単位を有する)で部分エステル化されたオルトリン酸(ここで、オルトリン酸の残りのOH原子価は後に(例えば1〜10モルの、2〜4個の炭素原子を有するアルキレンオキサイドで)アルコキシル化されている)、例えばリン酸モノ−/ジブトキシエチルと2モルのエチレンオキサイドおよび/または2モルのプロピレンオキサイドとの反応生成物(Clariant)。
【0041】
好ましいホスホン酸エステル(c2(完全にエステル化されたリン酸))は、特に例えば下記のものである:
(c2.6) 形式的にアルコールと2回反応させたn−オクチルホスホン酸のエステル、例えばHostarex(登録商標)製品(Clariant)。
【0042】
さらに、本発明の製剤は、界面活性剤−溶媒系の有利な特性を失うことなく、追加溶媒を含んでいてもよい。本発明に関して、適切な追加溶媒の例としては、無極性溶媒、極性プロトン性溶媒または非プロトン性二極性溶媒、およびこれらの混合物が挙げられる。本発明の溶媒の例は、下記のとおりである:
− 脂肪族または芳香族の炭化水素、例えば鉱油、パラフィン、またはトルエン、キシレンおよびナフタレン誘導体、より具体的には1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレンなど、6−16Cの芳香族混合物(例えばSolvesso(登録商標)シリーズ(ESSO)の製品;Solvesso(登録商標)100(沸点162〜177℃)、Solvesso(登録商標)150(沸点187〜207℃)およびSolvesso(登録商標)200(沸点219〜282℃))、および直鎖状でも環状でもよい6〜20Cの脂肪族化合物(例えばShellsol(登録商標)シリーズの製品;タイプTおよびK)、またはBP−nパラフィン、
− ハロゲン化された脂肪族または芳香族炭化水素、例えば塩化メチレンまたはクロロベンゼン、
− エステル、例えばトリアセチン(酢酸トリグリセリド)、ブチロラクトン、炭酸プロピレン、クエン酸トリエチルおよびフタル酸(C1−C22)アルキル、具体的にはフタル酸(C4−C8)アルキルなど、
− エーテル、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、アルキレングリコールモノアルキルエーテルおよびジアルキルエーテル、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、具体的にはDowanol(登録商標) PM(プロピレングリコールモノメチルエーテル)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルまたはモノエチルエーテルなど、ジグライムおよびテトラグライム、
− アミド、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジメチルカプリル/カプリン脂肪酸アミドおよびN−アルキルピロリドンなど、
− ケトン、例えば水溶性アセトン、ならびに水不混和性ケトン、例えばシクロヘキサノンまたはイソホロン
− ニトリル、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルおよびベンゾニトリルなど、
− スルホキシドおよびスルホン、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)およびスルホランなど、
− 一般的な油、例えば植物ベースの油、例えばトウモロコシ油およびナタネ油。
【0043】
メタノール、エタノール、n−およびイソプロパノール、n−、イソ−、t−、および2−ブタノールのようなアルコールをさらに含む異なる溶媒の組み合わせもまたしばしば適切である。
【0044】
本発明の目的に好ましい追加の有機溶媒は、特にアミド、例えばジメチルカプリル/カプリン脂肪酸アミドおよびN−メチルピロリドンである。
【0045】
成分(b)および(c)を含む本発明の界面活性剤/溶媒系を用いると、驚くべきことに、とりわけビスカルバメート殺草剤(デスメディファムおよび/またはフェンメディファム)、スルホネート殺草剤(エトフメセート)、およびウラシル殺草剤(レナシル)の、安定な乳化可能なオイルディスパージョンを製造することができる。さらに、本発明に係る界面活性剤系は混合された有効成分の農薬作用に好ましい影響を与える。
【0046】
本発明の界面活性剤/溶媒系(b)および(c)はまた、溶解度について同様の特性を有していれば、本明細書中に記した有効成分以外の有効成分を含む乳剤の製造も可能である。また、例えばフェノキシフェノキシプロピオネートの群(例えば、ジクロホップ(diclofop)−メチル、シハロホップ(cyhalofop)−ブチニル)、ヘテロアリールオキシフェノキシプロピオネート(例えば、フェノキサプロップ(fenoxaprop)−エチル、フェノキサプロップ(fenoxaprop)−P−エチル、フルアジポップ(fluazifop)−ブチル、フルアジポップ(fluazifop)−P−ブチル、ハロキシホップ(haloxyfop)−メチル、ハロキシホップ−エトチル(haloxyfop−etotyl)、ハロキシホップ(haloxyfop)−P−メチル、プロパキザホップ(propquizofop)、キザロホップ(quizalofop)−エチル、キザロホップ(quizalofop)−P−エチルまたはクロジナホップ(clodinafop)−プロパルギル)、トリアジノンの群(例えば、メタミトロン(metamitron)、メトリブジン(metribuzin)またはヘキサジノン(hexazinone))、スルホニル尿素の群(例えば、トリフルスルフロン(triflusulfuron)−メチル、アミドスルフロン(amidosulfuron)、ヨードスルフロン(iodosulfuron)−メチル、トリベヌロン(tribenuron)−メチル、トリアスルフロン(triasulfuron)、チフェンスルフロン(thifensulfuron)−メチル、スルホスルフロン(sulfosulfuron)、スルホメツロン(sulfometuron)−メチル、プロスルフロン(prosulfuron)、プリミスルフロン(primisulfuron)−メチル、オキサスルフロン(oxasulfuron)、メトスルフロン(metsulfuron)−メチル、エトキシスルフロン(ethoxysulfuron)、エタメトスルフロン(ethametsulfuron)−メチル、シクロスルファムロン(cyclosulfamuron)、シノスルフロン(cinosulfuron)、クロルスルフロン(chlorsulfuron)、クロリムロン(chlorimuron)−エチルまたはベンスルフロン(bensulfuron)−メチル)から選択される除草剤も適切であり、非塩(nonsalt)の形態であることが好ましいが、低い水溶解度のピリジルスルホニル尿素、またはベンフレセートのような他の除草剤、または殺菌剤プロクロラズ(prochloraz)のような他の有効成分および/またはデルタメトリン(deltamethrin)のような殺虫剤もまた適切である。このことは、記載された界面活性剤/溶媒系の融通性を示している。前記化合物は、「The Pesticide Manual」,British Crop Protection Council,14th edition,2006より、当業者に公知である。
【0047】
本発明のオイルディスパージョンは、水で希釈すると、水中油相の分散液を与えるか、または個々の成分の選択に応じて、油中水相の分散液を与える。それ故に組成より、水または油のいずれかで希釈可能であり、結果としてコロイド構造を保持する分散液が得られる。従って、上記の濃縮物から希釈により得られる分散液が、本発明によりさらに提供される。
【0048】
タイプ(a)の組み合わせた殺草有効成分の重量比、すなわちカルバメート除草剤(a1)および/または(a2):エトフメセート(a3):レナシル(a4)は、広い範囲で変化させることが可能であるが、一般的には(1):(0.1):(0.01)〜(1):(5):(3)、好ましくは(1):(0.2):(0.05)〜(1):(2):(2)、より特定的には(1):(0.5):(0.1)〜(1):(1.5):(1)の範囲である。
【0049】
4種類の組み合わせで合わせた有効除草成分の重量比(a1):(a2):(a3):(a4)は、一般的には(1):(0.5):(0.2):(0.02)〜(1):(10):(20):(10)の範囲、好ましくは(1):(1):(0.5):(0.05)〜(1):(6):(10):(5)、より特定的には (1):(1):(1):(0.3)〜(1):(5):(8):(4)の範囲である。
【0050】
この除草成分の施用量は広い範囲で変化してもよく、一般的には、除草剤(a1)〜(a4)の総量に対してヘクタール当たりの有効成分(=AS/ha)を100〜5000g、好ましくは150〜3500gAS/ha、より特定的には200〜2500gAS/ha、特に特定的には300〜1200gAS/haの範囲にある。
【0051】
本発明の個々の除草剤の施用量範囲は一般的には以下のとおりである:
10〜500g AS/ha、好ましくは10〜200g AS/ha、より特定的には20〜150g AS/haのデスメディファム(a1)、
15〜1000g AS/ha、好ましくは15〜500g AS/ha、より特定的には20〜200g AS/haのフェンメディファム(a2)、
15〜1000g AS/ha、好ましくは20〜500g AS/ha、より特定的には20〜250g AS/haのエトフメセート(a3)、
5〜500g AS/ha、好ましくは10〜300g AS/ha、より特定的には15〜150g AS/haのレナシル(a4)。
【0052】
同一の除草効果について、4つの除草剤(a1)〜(a4)全てを組み合わせた施用の場合における施用量は、実質的にはタイプ(a1)および(a2)のビスカルバメート除草剤の組み合わせまたは単一での施用についての施用量である。
【0053】
この理由で、4つの全有効成分が存在している安定な製剤は、有効成分含有量における全体的な減少に対してその生物学的有効性が高いので、特に重要である。しかしながら、重量比および施用量の最適な選択は、特定の広葉雑草およびイネ科雑草の成長期、はびこる雑草スペクトル、環境的要因および気候条件に依存するので、上記の重量比および施用量は個々の場合についてチェックすべきである。
【0054】
上記の製剤の製造に必要な助剤、例えば特に界面活性剤および溶媒は原則として公知であり、例えば以下:McCutcheon’s「Detergents and Emulsifiers Annual」,MC Publ.Corp.,Ridgewood N.J.;Sisley and Wood,「Encyclopedia of Surface active Agents」,Chem.Publ.Co.Inc.,N.Y.1964;Schonfeldt,「Grenzflaechenaktive
Aethylenoxidaddukte」,Wiss.Verlagsgesellschaft,Stuttgart 1976;Winnacker−Kuechler,「Chemische Technologie」,volume 7,C.Hanser−Verlag,Munich,4th edition 1986.に記載されている。
【0055】
使用できる個々の成分の化学「構造」は上記文献に充分に記載されているが、特定の有効成分系を処方するためのこのような化合物の混合物の特性に関して予測することは、通常は上記ハンドブックから推測することができない。例えば、界面活性剤/溶媒の組み合わせを用いるとデスメディファム、フェンメディファム、エトフメセートおよびレナシルの有効成分の組み合わせのために比較的に低い「有効成分添加量」で安定なオイルディスパージョンが生成される場合、界面活性剤が存在するにもかかわらず、有効成分濃度を高めると、得られる生成物は安定な濃縮物ではなく、有効成分の激しい結晶化傾向を示すような不安定な多相系が得られる。これは、製造すべきオイルディスパージョンを安定化するための溶媒として本発明の成分(c)(オルトリン酸エステルおよび/またはホスホン酸エステル)の重要性を直接的に示している。
【0056】
一般的には、本発明のオイルディスパージョンは、溶解した形態で有効成分(a1)〜(a3)を含むが、そのうちの有効成分(a4)は懸濁した形態で存在する。
【0057】
従って、例えばリン酸トリブトキシエチル(TBEP)のような、使用される溶媒(c)は、非常に水に不溶な有効成分(a1)〜(a3)をより多く仕込んだ処方を可能にし、「溶解力」という点に関してリン酸トリブチル(TBP)のような他の構造的に類似した溶媒を上回る。しかし、これとは関係なく任意の場合において、安定なオイルディスパージョンを得るために、存在する有効成分の結晶化を十分に防ぐさらなる溶媒が必要な場合もある。
【0058】
記載したオイルディスパージョンの中で、有効成分(a4)は、主に未溶解、すなわち懸濁した形態で存在する。このような有機の界面活性剤含有溶媒中の固体の分散物は、しばしば貯蔵の際に振って混ぜられない固体沈殿物を形成する傾向を示す。分散した結晶サイズの成長は、実際問題として連続的に繰り返される別の問題である;ゆえに、噴霧溶液が製造され、その後噴霧によって施用された後、ノズルの目詰まりを引き起こす場合がある。
【0059】
従って、有効成分(a4)は、このような厄介な問題なしに有効成分(a1)〜(a3)の溶液中に一体化されることは容易に想像することができない。それにもかかわらず、実施例2に示した組成物を含む製品において、1年の静置期間の後も沈殿物が全く形成されなかったことがわかった。この期間、製造後に(a4)を直接測定した平均結晶サイズ(例えば約4μm)に変化はなかった。
【0060】
溶媒としてのオルト−リン酸エステルおよび/またはホスホン酸エステルの組み合わせならびに芳香族ベースの界面活性剤を含む1種またはそれ以上の界面活性剤(好ましくは非イオン性の芳香族ベースの界面活性剤)は、安定したオイルディスパージョンを製造するのに優先的であり、特に適している。
【0061】
追加の界面活性剤成分を選択する際に重要な因子は、単位質量または単位容量あたりの酸性度または塩基性度であり、これはその酸価またはアミン価(amine number)によって予測される。調製済製剤において総酸価またはアミン価の増加が急激すぎると、処方された有効成分の凝集/結晶化を伴う場合があるため問題である。つまり、追加の界面活性剤成分を選択する場合、確実に総酸価またはアミン価を急激に増加させないことが必要である。従って、好ましくは非イオン性界面活性剤の他に、十分に酸価またはアミン価が低い酸性成分または塩基性成分のみが適切である。また、この価は分子量に比例するので、企図される追加の界面活性剤成分はまた、多くの場合において、例えばトリスチルフェノールアルコキシレートなどの高分子量の化合物の酸性誘導体または塩基性誘導体でもある。非イオン性界面活性剤の場合においては、これらの成分の非イオン的性質に応じて、これらの検討は無意味である。
【0062】
これに関して、本発明の界面活性剤/溶媒系が、広い範囲内で変化しうる有効成分添加量を有する安定なオイルディスパージョンおよび組成物の製造を可能にすることもさらに指摘すべきであり:従って、例えば有効成分添加量は20〜40、好ましくは24〜30質量%の間で変化しうる。オルトリン酸エステル/ホスホン酸エステル:芳香族ベースの界面活性剤の好ましい重量比は、有効成分添加量および乳剤の組成に応じて、100:1〜1:100、より好ましくは20:1〜1:20、さらにより好ましくは5:1〜1:5である。
【0063】
本発明により製造される濃縮されたオイルディスパージョンは、理論的には追加の水を含まず、上記の市販の界面活性剤および界面活性剤混合物、ポリマーおよび溶媒中に存在する残留水のみを含んでいる。しかしながら、製剤中に界面活性剤が存在するため、製剤が白濁または不安定になることなく、この製剤を臨界体積率まで水で希釈できる。この場合、生成物は、形式上は、最初にW/Oマイクロエマルションであり、これは水の割合をさらに高めるとW/Oエマルションに変わり、そして最後に、水でさらに希釈するとO/Wエマルションに変わる。従って、本発明の界面活性剤/溶媒混合物(b)+(c)に加えて、本発明は(追加の)水をも含む、タイプ(a1)、(a2)、(a3)、および(a4)の有効成分の液体製剤をも包含する。
【0064】
成分混合物(b)+(c)の助けで、以下のものを含む、好ましい濃縮された液体オイルディスパージョンを製造することが可能である:
(a) 1〜50質量%、好ましくは10〜40質量%の有効成分(a1)〜(a4)、
(b) 3〜70質量%、好ましくは5〜60質量%の界面活性剤、
(c) 5〜70質量%、好ましくは10〜50質量%のリン酸エステルまたはホスホン酸エステル(c1)および/または(c2)、
(d) 0〜40質量%、好ましくは0〜20質量%の追加溶媒、
(e) 0〜20質量%、好ましくは0〜10質量%の追加の通常処方される助剤、
(f) 0〜20質量%、好ましくは0〜10質量%の水。
【0065】
主に水を含まない濃縮オイルディスパージョンは、タイプ(a)の除草有効成分の有利な施用形態を示しており、好ましくは本発明によって提供される。特に好ましいのは、以下のものを含むオイルディスパージョンである:
(a) 10〜40質量%、好ましくは15〜30質量%の有効成分(a1)〜(a4)、
(b) 5〜70質量%、好ましくは15〜60質量%の界面活性剤、
(c) 10〜70質量%、好ましくは15〜50質量%のリン酸エステルまたはホスホン酸エステル(c1)および/または(c2)、
(d) 0〜40質量%、好ましくは0〜20質量%の追加溶媒、ならびに
(e) 0〜20質量%、好ましくは0〜10質量%の追加の通常処方される助剤。
【0066】
典型的な処方助剤(e)の例としては、オイルディスパージョンのチキソトロピー(揺変性)およびレオロジー(流体力学)に影響を及ぼす薬剤が挙げられ、例えば、増粘剤、氷結防止剤、蒸発抑制剤、防腐剤、香料、着色剤、脱泡剤、増量剤、担体、および色素、pH改変剤(緩衝剤、酸、および塩基)およびその他などがある。
【0067】
好ましい処方助剤e)は、
・例えば、0.001〜5質量%の量の増粘剤、
・例えば、2〜10質量%の量のグリセロールなどの氷結防止剤および蒸発抑制剤、ならびに
・各場合において用いられる特定の薬剤について通例の使用濃度での防腐剤(例えば、Mergal K9N(登録商標)(Riedel)またはCobate C(登録商標))。
【0068】
企図される増粘剤は、一般的には作物保護組成物用に適切であるかまたはそれ用に用いられる全ての増粘剤であり、例えば、ケイ酸アルミニウムベースの増粘剤のような無機(ミネラル)増粘剤または有機増粘剤(例えば、カンテン、カラゲニン(carrageen)、トラガカントゴム、アラビアゴム、アルギナート、ペクチン、ポリオース、グアール粉末、イナゴマメカーネル粉末、でんぷん、デキストリン、セルロースエステル(例えばカルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース)、ポリアクリル化合物およびポリメタクリル化合物、ビニルポリマー、ポリエーテルまたはポリアミド)のような別のタイプの増粘剤がある。
【0069】
企図される増粘剤としては、ケイ酸アルミニウムベースの増粘剤が挙げられ、例えば、ヘクトライト、モンモリロナイト、サポナイト、カオリナイト、ベントナイト、アタパルジャイトなどがある。これらの種類の増粘剤の例は、Engelhardt Corp.,のAttagels(登録商標(例えば、Attagel 50、ヒドロケイ酸マグネシウムアルミニウム(magnesium aluminum hydrosilicate)(アタパルジャイト))、またはBentone(登録商標)シリーズ(Elementis)(例えば、Bentone(登録商標) EW、ヒドロケイ酸マグネシウムアルミニウム(magnesium aluminum hydrosilicate)(ベントナイト)、または他のシリカ誘導体(例えば、Bentone(登録商標) 38、有機的に改変されたスメクタイトベースのフィロシリケート)である。
【0070】
有機増粘剤もまた企図される。好ましい有機増粘剤の例は、キサンタン(ヘテロ多糖)(例えば、Rhodopol(登録商標)製品(Rhodia)(例えば、Rhodopol 50 MC(キサンタンガム)またはRhodopol 23(キサンタンヘテロ多糖)である。
【0071】
増粘剤もまた、組み合わせて用いられる。この内容において、有機および無機の増粘剤の組み合わせは、適切な増粘剤の中であればよい。
【0072】
増粘剤の適切な分率は、製剤の粘度および個々の増粘剤の粘度に依存し、一般的には例えば、製剤重量をベースに0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.005質量%〜5質量%である。本発明のオイルディスパージョン中のケイ酸アルミニウムベースの増粘剤の分率は、好ましくは0.01質量%〜5質量%、より好ましくは0.1質量%〜3.5質量%である。キサンタンタイプの増粘剤の場合においては、その分率は好ましくは0.001質量%〜5質量%、より好ましくは0.005質量%〜1質量%である。
【0073】
本発明の界面活性剤/溶媒系を用いて製造した製剤および噴霧液の特徴は、生物学的な観点からも有利な施用をもたらす。従って、本発明の製剤中で用いられる有効成分(a1)〜(a4)の生物学的活性は、いくつかの場合において相乗的に向上することが観察される。
【0074】
この製剤は、相当数の経済的に重要な雑草を有効的に抑制することができる。その雑草としては、ビート中に生える代表的な単子葉類および双子葉類が挙げられ、例としては以下の種である:アエツサ・キナピウム(Aethusa cynapium)、アオゲイトウ(Amaranthus retroflexus)、セイヨウハマアカザ(Atriplex patula)、アブラナ科(Brassica sp.)、ナズナ(Capsella bursa pastoris)、シロザ(Chenopodium album)、イヌビエ(Echinocloa crus−galli)、カラクサケマン(Fumaria officinalis)、コゴメギク(Galinsoga parviflora)、シラホシムグラ(Galium aparine)、ホトケノザ(Lamium amplexicaule)、ヒメオドリコソウ(Lamium purpureum)、カミツレ(Matricaria chamomilla)、トウダイグサ(Mercurialis annua)、ノハラムラサキ(Myosotis arvensis)、スズメノカタビラ(Poa annua)、ミチヤナギ(Polygonum aviculare)、ソバカズラ(Polygonum convulvulus)、オオイヌタデ(Polygonum lapathifolium)、ハルタデ(Polygonum persicaria)、シロガラシ(Sinapis arvensis)、イヌホウズキ(Solanum nigrum)、アレチノゲシ(Sonchus arvensis)、ハコベ(Stellaria media)、グンバイナズナ(Thlaspi arvense)、ヒメイラクサ(Urtica urens)、タチイヌノフグリ(Veronica arvensis)、フラサバソウ(Veronica hederifolia)、オオイヌノフグリ(Veronica persica)およびマキバスミレ(Viola arvensis)。
【0075】
以下の実施例A)およびB)において、量は他に示されない限り重量で与えられる。
【実施例】
【0076】
A)調製例
表1は、オイルディスパージョン濃縮物の組成を示している(調製例F1〜F11)。このオイルディスパージョン濃縮物は、それぞれ水に容易に分散可能であり、加熱しながら成分を混合することにより得られ、混合後、冷却し、攪拌設備を備えたボールミル中で細かく砕いて約4μmの平均粒子サイズとした。
【0077】
【表1】
【0078】
表1の略語:
Comp. = 成分
(a1) = デスメディファム
(a2) = フェンメディファム
(a3) = エトフメセート
(a4) = レナシル
(b1−1) = 60EO単位のエトキシ化トリ(sec−ブチル)フェノール、非イオン性界面活性剤
(b1−2) = 4EO単位のリン酸処理したフェノールエトキシレート、遊離酸、陰イオン性界面活性剤
(b2−1) = 40EO単位のエトキシ化ひまし油、非イオン性界面活性剤
(b2−2) = 20EO単位のリン酸処理したエトキシ化イソトリデシルアルコール、陰イオン性界面活性剤
(c1−1) = リン酸トリ(ブトキシエチル)
(e−1) = 増粘剤、シリカ誘導体(有機的に改変されたスメクタイトベースのフィロシリケート)
【0079】
実施例F12: 比較例 (EC製剤):
レナシル除草成分を含まない乳剤として、実施例1に従って製剤を製造した。この乳剤中の成分分率は、4.7質量%の(a1)、6.0質量%の(a2)、7.5質量%の(a3)、19.4質量%の(b1−1)、4.3質量%の(b1−2)、21.6質量%の(b2−1)、2.1質量%の(b2−2)、および31.7質量%の(c1−1)であった。ここで用いた(a1)〜(c1−1)の略号は、実施例F1〜F11で説明した定義と同じである。
【0080】
比較例(実施例F12)を生物学的実施例にて用いた。
【0081】
B) 生物学的実施例
1. 噴霧液の調製
初期充填として300l/haの水施用量を取り入れた。その後、施用量ならびに表2および表3で特定したタイプ(下記を参照のこと)に従って除草剤を攪拌しながら添加し、均一な噴霧液を形成した。タンク混合において、レナシルを標準製剤(Venzar(登録商標)、DuPont、80%、水に分散可能な粉末)の形態で用いた。
【0082】
2. 生物学的試験
以下に用いる略号は、下記の意味を有する:
a.i. = 有効成分(100%の有効成分物質をベースにして)、AS = 有効成分物質と同義
g a.i./ha= ヘクタールあたりの有効成分のグラム数
F(#) = A)章の製造例番号F(#)
Venzar= Venzar(登録商標)(レナシル ストレート、WP80、DuPont)
l/ha = リットル/ヘクタール
PMP = フェンメディファム
DMP = デスメディファム
ETH = エトフメセート
LEN = レナシル
BEAVA = サトウダイコン(Beta vulgaris)(テンサイ)
BRSNW = アブラナ(Brassica napus)
POAAN = スズメノカタビラ(Poa annua)
MATCH = カミツレ(Matricaria chamomilla)
AMARE = アオゲイトウ(Amaranthus retroflexus)
STEME = ハコベ(Stellaria media)
CHEAL = シロザ(Chenopodium album)
GALAP = ヤエムグラ(Galium aparine)
【0083】
植物の種を1cmの深さにまき、気候を制御(12時間の日照時間、温度:日中18℃、夜間11℃)してチャンバー内で、成長段階BBCH10〜BBCH11まで成長させた。この植物を研究室の噴霧トラック上で除草剤の噴霧液を用いて処理した。噴霧散布用の水施用量は、300l/haであった。処理後、その植物を気候制御チャンバーに移した。
【0084】
2.1 (a1)〜(a3)のPMP/DMP/ETHと(a4)のLENの組み合わせ
施用の21日後、BEAVAに対して最大の損害を達成し、評価した:広葉類雑草に対する効果を噴霧の14日後に測定した。除草効果を0〜100%の尺度(0%=未処理の植物と比べて検出可能な効果なし;100%=全ての植物が枯死)で評価した。
【0085】
評価の結果を表2および表3に示しており、表1の実施例1に従って4つの有効成分を処方した場合、PMP/DMP/ETHの有効成分の組み合わせにおけるレナシルの相乗効果が明らかに示された。さらに、表1の実施例F1に従った4つの有効成分の組み合わせ製剤は、比較例(A章の調製例F12)に従ったEC製剤へのタンク混合でのレナシルの外部混合よりも明らかに損害が少なかった。
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
2.2 (a1)〜(a3)のPMP/DMP/ETHと(a4)のLENの組み合わせによる比較試験
ガラスの下でのさらなる試験において、A章(調製例F1およびF12)の製剤を単独でかまたはタンク混合法でVenzarと組み合わせて水中に組み合わせて混合し、多くの雑草に対して発芽後処理法(postemergence method)によって試験し、各場合において成長段階10〜11のテンサイに対するダメージについても同様に試験した。除草効果をB)章実施例2.1.のように評価した。結果を表4〜10にまとめた。
【0089】
【表4】
【0090】
【表5】
【0091】
【表6】
【0092】
【表7】
【0093】
【表8】
【0094】
【表9】
【0095】
【表10】