【文献】
NAKAYAMA Y. et al.,New serine protease inhibitors with leukotriene B4 (LTB4) receptor binding affinity,Bioorg. Med. Chem.,1997年 5月,Vol.5, No.5,pp.971-985
【文献】
CONDE Santiago and LOPEZ-SERRANO Paloma,Regioselective Lipase-Catalysed Amidation of N-Blocked L- and D-Aspartic Acid Diesters,European Journal of Organic Chemistry,2002年 2月12日,Vol.2002, No.5,pp.922-929
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
式(I)で表される化合物を化合物(I)と前記で定義したが、他の式番号の化合物についても以下同様である。
式(I)〜(VII)、(III-A)、及び(IV-A)の各基の定義において、
低級アルキルとしては、例えば直鎖又は分岐状の炭素数1〜6のアルキルが挙げられ、より具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等が挙げられる。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を意味する。
【0019】
「保護基で保護されたアミノ」における保護基とは、例えば、有機合成化学で常用されるアミノの保護基[例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス第3版 (Protective Groups in Organic Synthesis, third edition)、グリーン(T.W. Greene)著、John Wiley & Sons Inc. (1999年) 等に記載されているもの]等が挙げられ、より好ましくは、チオール若しくは酸の作用、又は加水素分解等により脱保護される保護基が挙げられる。
【0020】
チオールの作用により脱保護される保護基としては、例えば、2-ニトロベンゼンスルホニル、4-ニトロベンゼンスルホニル、2,4-ジニトロベンゼンスルホニル等が挙げられる。
酸の作用により脱保護される保護基としては、例えば、アセチル、トリチル、及びtert-ブトキシカルボニル等が挙げられ、より好ましくはtert-ブトキシカルボニルが挙げられる。
【0021】
加水素分解により脱保護される保護基としては、例えば、ベンゼン環上にハロゲン原子、低級アルキル、低級アルコキシ及びニトロからなる群から選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよいベンジルオキシカルボニル、ベンジル等が挙げられる。より好ましくは、ベンジルオキシカルボニル、4-ニトロベンジルオキシカルボニル、4-クロロベンジルオキシカルボニル、4-メチルベンジルオキシカルボニル、2-メトキシベンジルオキシカルボニル、ベンジル、4-ニトロベンジル,4-クロロベンジル、4-メチルベンジル、2-メトキシベンジル、4-メトキシベンジル等が挙げられる。
【0022】
本発明において、保護基で保護されたアミノは、反応中にアミノに変換されてもよい。
式中のR
1及びR
1Aとしては、例えば、チオール若しくは酸の作用、又は加水素分解等により脱離しうる保護基で保護されたアミノ等が挙げられ、好ましくは、ベンジルオキシカルボニルアミノ、tert-ブトキシカルボニルアミノが挙げられる。
式中のR
2及びR
3としては、例えば、エチル等が挙げられる。R
2Aとしても、例えば、エチル等が挙げられる。
【0023】
R
1、R
2、及びR
3の好ましい組み合わせとしては、例えば、R
1がベンジルオキシカルボニルアミノであり、かつR
2及びR
3がエチルである場合が挙げられる。R
1、R
2A、及びR
3の好ましい組み合わせとしては、例えば、R
1がベンジルオキシカルボニルアミノであり、かつR
2A及びR
3がエチルである場合が挙げられる。R
1A とR
3 との好ましい組み合わせとしては、R
1Aがベンジルオキシカルボニルアミノであり、かつR
3がエチルである場合が挙げられる。
Yとしては、ハロゲンが挙げられ、好ましくはヨウ素、臭素、塩素等が挙げられる。より好ましくは、臭素、塩素が挙げられる。
【0024】
アンモニア源としては、アンモニア若しくはアンモニア等価体等が挙げられ、好ましくは、アンモニアが挙げられる。アンモニアの形態としては気体又は水溶液が挙げられ、好ましくは水溶液が挙げられる。
アンモニア等価体としては、例えば、アンモニアと酸との塩が挙げられ、好ましくは、酢酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、又は炭酸アンモニウム等が挙げられ、さらに好ましくは酢酸アンモニウムが挙げられる。
【0025】
縮合剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N'-カルボニルジイミダゾール(CDI)、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、ジフェニルリン酸アジド(DPPA)、N-ヒドロキシスクシンイミド、N-ヒドロキシフタルイミド、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリスジメチルアミノホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート(BOP)、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド (DMTMM)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、2-クロロ-1-メチルピリジニウムヨージド等が挙げられる。
【0026】
活性化試薬としては、例えば、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、クロロギ酸イソプロピル、クロロギ酸イソブチル、塩化ピバロイル、ホスゲン、トリホスゲン、オキシ塩化リン、五塩化リン、塩化チオニル等が挙げられ、好ましくは、クロロギ酸イソブチルが挙げられる。
【0027】
化合物(I)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、又は(IV-A)の塩としては、例えば酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等が挙げられる。酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩などの有機酸塩などが挙げられる。金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等が挙げられる。アンモニウム塩としては、例えば、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム等の塩が挙げられ、有機アミン付加塩としては、例えば、モルホリン、ピペリジン等の付加塩が挙げられる。アミノ酸付加塩としては、例えばリジン、グリシン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等の付加塩が挙げられる。
【0028】
次に本発明の製造方法について説明するが、反応温度、試薬の種類、試薬の量、及び反応時間などの反応条件は例示のために言及したものであり、いかなる意味においても限定的に解釈してはならない。
【化15】
(式中、R
1はアミノ又は保護基で保護されたアミノを表し、R
1Aは保護基で保護されたアミノを表し、R
2及びR
3は、それぞれ同一又は異なって低級アルキルを表し、Yはハロゲンを表す)
【0029】
(工程1)
化合物(II)に対し、溶媒中、-50℃と150℃の間の温度で、1〜30当量の塩基の存在下、1当量〜大過剰量の化合物(III)を、5分間〜72時間反応させることにより化合物(IV)を得ることができる。また、ハロゲン化アルカリを添加して反応を行ってもよい。
溶媒は、反応に関与しないものであればいずれも使用可能であるが、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ピリジン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド (DMF) 、ジメチルスルホキシド (DMSO)、アセトニトリル等が挙げられ、好ましくはDMFが挙げられる。これらは単独若しくは混合物として用いることができる。
【0030】
塩基としては、有機塩基又は無機塩基が挙げられ、好ましくは無機塩基が挙げられ、より好ましくは、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert-ブトキシド等が挙げられ、さらに好ましくは、水素化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム等が挙げられ、最も好ましくは水素化ナトリウム、炭酸カリウムが挙げられる。
【0031】
ハロゲン化アルカリとしては、臭化アルカリ、ヨウ化アルカリ等が挙げられ、好ましくはヨウ化アルカリが挙げられ、さらに好ましくはヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化セシウムが挙げられる。最も好ましくは、ヨウ化カリウムが挙げられる。
化合物(III)としては、2-クロロ酢酸エチル、2-ブロモ酢酸エチル等が挙げられる。
化合物(II)及び化合物(III)は市販品として入手することもできる。
【0032】
(工程2)
化合物(IV)に、水中又は水及び溶媒の混合溶媒中、基質濃度は0.1%〜50%、好ましくは1%〜30%で0〜60℃、好ましくは10〜40℃の間の温度で、反応pHは3〜10、好ましくはpH 4〜9で、基質に対し100,000分の1から10倍量、好ましくは10,000分の1から1倍量の酵素を作用させて、1〜200時間、好ましくは5〜150時間反応させることにより化合物(V)を得ることができる。さらに、緩衝液、又は金属塩を加えて反応を行うこともできる。
【0033】
溶媒としては、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、THF、ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、アセトン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、四塩化炭素、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert-ブチルアルコール、DMF、 DMSO、アセトニトリル等が挙げられ、好ましくは、エタノール、アセトニトリルが挙げられる。混合溶媒で用いる際は、水と溶媒が均一系、不均一系のいずれを形成してもかまわないが、均一系を形成するのが好ましい。
【0034】
酵素としては、動物由来、好ましくは動物の臓器由来のエステラーゼが挙げられる。動物としては、ブタ、ウサギ、牛、馬、犬、鳥が挙げられ、ブタ、ウサギがより好ましい。エステラーゼの由来臓器としては、肝臓、すい臓、小腸、胃等が挙げられ、肝臓、すい臓が好ましい。好ましいエステラーゼとしては、例えば、ブタ肝臓由来エステラーゼ、ウサギ肝臓由来エステラーゼ等を挙げることができる。
【0035】
このようなエステラーゼとしては、配列番号2又は4で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質のほか、該アミノ酸配列と95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、上記蛋白質と同様のエステラーゼ作用を有する蛋白質等を挙げることができる。また、配列番号1又は3で表される塩基配列からなるDNAによりコードされる蛋白質、又は該塩基配列と95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNAによりコードされ、上記蛋白質と同様のエステラーゼ作用を有する蛋白質などが挙げられる。
【0036】
上記の酵素は、動物の臓器より抽出されたものであってもよく、また組換えDNA技術を利用して生産されたものでもよい。
上記の酵素は、精製酵素若しくは粗酵素でもよい。また、これらの酵素を適宜の手段で担体に固定化した固定化酵素であってもよい。担体としては一般に用いられるものであればなんでもよい。例えば、セルロース、アガロース、デキストラン、κ‐カラギーナン、アルギン酸、ゼラチン、酢酸セルロース等の多糖類、グルテン等の天然高分子、活性炭、ガラス、白土、カオリナイト、アルミナ、シリカゲル、ベントナイト、ヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウム等の無機物、ポリアクリルアミド、ポリビニルアセテート、ポリプロピレングリコール、ウレタン等の合成吸着剤等が挙げられる。固定化方法としては、例えば、架橋法、物理的吸着法、包括法が使用できる。
【0037】
緩衝液としては、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液又はトリス緩衝液等が挙げられ、好ましくはリン酸緩衝液が挙げられる。緩衝液の濃度は0.1 mmol/L 〜1 mol/L、好ましくは1 mmol/L〜100 mmol/Lである。
金属塩としては、NaCl、FeCl
3、KCl、CaCl
2、MgSO
4、MnSO
4、ZnCl
2又はCoCl
2等が挙げられる。金属塩の濃度は0.01〜10%が好ましい。
上記反応によって得られた式(V)の光学活性カルボン酸誘導体は、反応終了後、反応液を濾過して不溶物を除去し、酸を加えてpH 1〜3、好ましくはpH 2程度に調整した後、適当な溶媒により反応物を抽出することにより分離することができる。
【0038】
(工程3)
化合物(V)に対し、(A)溶媒中、-50℃〜150℃、好ましくは-30℃〜80℃の温度で、1当量〜大過剰量の縮合剤を5分間〜72時間反応させた後、-50℃〜150℃、好ましくは-30℃〜80℃の温度で、1当量〜大過剰量のアンモニア源を添加して、5分間〜72時間反応させるか、(B)溶媒中、-50℃〜150℃、好ましくは-30℃〜80℃の温度で、1当量〜大過剰量の活性化試薬を5分間〜72時間反応させた後、-50℃〜150℃、好ましくは-30℃〜80℃の温度で、1当量〜大過剰量のアンモニア源を添加して、5分間〜72時間反応させるか、又は、(C)溶媒中、-50℃〜150℃、好ましくは20℃〜80℃の温度で、1当量〜大過剰量の縮合剤の存在下、1当量〜大過剰量のアンモニア源を添加して、5分間〜72時間反応させることにより、化合物(VI)を得ることができる。
【0039】
(A)〜(C)いずれの場合も、溶媒は反応に関与しないものであればいずれも使用可能であるが、例えば、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、THF、ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、アセトン、ピリジン、DMF、 DMSO、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル等が挙げられ、好ましくはTHFが挙げられる。これらの溶媒は単独又は任意の混合物として用いることができる。
【0040】
また、(A)〜(C)いずれの場合も、アンモニア源との反応の際は、上記溶媒に加えて水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の溶媒が使用可能であり、これらは単独又は任意の混合物として用いることができる。
さらに、(A)〜(C)いずれの場合も、10分の1〜30当量の塩基を加えて反応を行うこともできる。
【0041】
塩基としては、有機塩基又は無機塩基が挙げられ、好ましくは、有機塩基が挙げられる。有機塩基としては、例えば1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン(DBU)、トリエチルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジメチルアニリン、ピリジン、N-メチルモルホリン、エチルジイソプロピルアミン等が挙げられ、好ましくは、トリエチルアミンが挙げられる。無機塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert-ブトキシド等が挙げられる。縮合剤としては前記と同様の縮合剤を用いることができる。活性化試薬及びアンモニア源も前記と同様のものを用いることができる。
【0042】
(工程4)
化合物(VI)に対し、溶媒中、-50℃〜150℃、好ましくは-20℃〜60℃の温度で、1当量〜大過剰量の塩基を5分間〜72時間作用させることにより化合物(I)又は化合物(VII)を得ることができる。
溶媒としては、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、THF、ジオキサン、水、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、DMF、DMSO等が挙げられ、好ましくはエタノールが挙げられる。これらの溶媒は単独又は任意の混合物として用いることができる。
【0043】
塩基としては、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert-ブトキシド等が挙げられ、好ましくはナトリウムエトキシドが挙げられる。
【0044】
(工程5)
化合物(VII)のR
1Aが加水素分解により脱保護される保護基で保護されたアミノであるときは、溶媒中、-50℃〜150℃、好ましくは20℃〜100℃の温度で、1〜10気圧、より好ましくは1〜5気圧の圧力下で、基質に対して10分の1〜50重量%、好ましくは1〜10重量%の金属触媒を添加して、水素又は水素供与体共存下、5分間〜72時間反応させることにより化合物(I)を得ることができる。
【0045】
溶媒としては、酢酸、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、THF、ジオキサン、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、DMF等が挙げられ、好ましくはエタノールが挙げられる。これの溶媒は単独又は任意の混合物として用いることができる。
【0046】
金属触媒としては、酸化プラチナ(IV)、プラチナ-炭素、水酸化パラジウム(II)、水酸化パラジウム(II)-炭素、パラジウム-炭素、パラジウム-アルミナ、ルテニウム-炭素、ロジウム-炭素、ロジウム-アルミナ、ウィルキンソン触媒及びラネーニッケル等が挙げられ、好ましくはパラジウム-炭素が挙げられる。パラジウム-炭素におけるパラジウム含量は、特に限定されないが、好ましくは5〜10%が挙げられる。
水素供与体としては、ギ酸アンモニウム、シクロヘキセン、シクロヘキサ-1,3-ジエン、シクロヘキサ-1,4-ジエン等が挙げられる。
【0047】
化合物(VII)のR
1Aが酸の作用により脱保護しうる保護基で保護されたアミノであるときは、無溶媒下又は溶媒中、-50℃〜150℃、好ましくは20℃〜100℃の温度で、酸を作用させることにより化合物(I)を得ることができる。
溶媒としては、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、THF、ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、水、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、DMF、ジクロロメタン、クロロホルム等が挙げられ、これの溶媒を単独又は任意の混合物として用いることができる。
【0048】
酸としては、無機酸、有機酸等が挙げられ、無機酸としては、塩酸、硫酸及び硝酸等が挙げられ、有機酸としては、酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸及びp-トルエンスルホン酸等が挙げられる。好ましくは、トリフルオロ酢酸が挙げられる。
【0049】
化合物(VII)のR
1Aがチオールの作用により脱保護される保護基で保護されたアミノであるときは、溶媒中、-50℃〜150℃、好ましくは20℃〜100℃の温度で、1当量〜大過剰量のチオールを1当量〜大過剰量の塩基存在下で5分間〜72時間作用させることにより化合物(I)を得ることができる。
【0050】
溶媒としては、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジン、ジエチルエーテル、THF、ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、水、アセトン、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、DMF、ジクロロメタン、クロロホルム等が挙げられ、これの溶媒を単独又は任意の混合物として用いることができる。
【0051】
チオールとしては、スルフヒドリル基を有する化合物であれば、いずれも用いることができるが、好ましくは、置換基を有していてもよいチオフェノール、置換基を有していてもよい低級アルキルチオールが挙げられ、さらに好ましくは、チオフェノール、メタンチオール、エタンチオール、又は1-ドデカンチオール等が挙げられる。
【0052】
塩基としては、有機塩基又は無機塩基が挙げられる。有機塩基としては、例えばDBU、トリエチルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジメチルアニリン、ピリジン、N-メチルモルホリン、エチルジイソプロピルアミン等が挙げられ、無機塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert-ブトキシド等が挙げられ、好ましくは炭酸カリウム、トリエチルアミンが挙げられる。
【0053】
化合物(I)及び化合物B:
【化16】
を化合物Aの中間体として利用できることが非特許文献3に示されているので、化合物(I)及び化合物Bを化合物Aの製造原料として利用できることは当業者に自明である。この文献の記載に従えば、例えば、前記(15)の(b)〜(e)の各工程は以下のように実施される。
【0054】
工程(b)では、例えば、化合物B、約1.5当量の2,5-ジメトキシテトラヒドロフラン及び過剰量の酢酸の混合物を約70℃で約1.5時間撹拌する。通常では、常法に従って粗製の反応生成物を単離し、これを次工程に用いることができる。
工程(c)では、例えば、前記工程(b)で得られた生成物、約3当量のトリクロロアセチルクロリド、及び適量のクロロホルムの混合物を約16時間加熱還流させる。クロロホルムに代えて他の不活性溶媒(例えば、ジクロロメタン、THF等)を用いることもできる。通常では、常法に従って粗製の反応生成物を単離し、これを次工程に用いることができる。
【0055】
工程(d)では、例えば、前記工程(c)で得られた生成物、約1.2当量の4-ブロモ-2-フルオロベンジルアミン塩酸塩、及び約2.5当量のトリエチルアミンを適量の乾燥DMF溶媒中、室温で約16時間撹拌する。通常では、常法に従って粗製の反応生成物(化合物A)を単離し、これを次工程に用いることができる。
工程(e)では、例えば、工程(d)で得られた化合物Aを適量の酢酸エチルとヘキサンの混合溶媒から再結晶する。他の再結晶溶媒として、エタノールなどのアルコール類を用いることもできる。
【実施例】
【0056】
以下に実施例及び参考例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例及び参考例で用いられるプロトン核磁気共鳴スペクトル (
1H NMR) は、300 MHzで測定されたものであり、化合物及び測定条件によって交換性プロトンが明瞭には観測されないことがある。なお、シグナルの多重度の表記としては通常用いられるものを用いるが、brとは見かけ上幅広いシグナルであることを表す。さらに、質量スペクトル(MS)により化合物の分子量の確認を行った。
【0057】
ジエチル=2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-2-エトキシカルボニルスクシナートから(R)-1-エチル=水素=3-ベンジルオキシカルボニルアミノ-3-エトキシカルボニルスクシナートへの転換反応については、含量分析を行ない、液量×含量により生成量を求め収率を算出した。含量分析は、HPLCを用いて次の条件で行った。カラムはジーエルサイエンス社製Inertsil ODS-3 (φ4.6×75 mm、3 μm)、展開溶媒はアセトニトリル/0.05 mol/L リン酸緩衝液(pH 2.5)=50/50 (容積比)、流速1.0 mL/min、オーブン温度は40℃、検出波長は254 nmで行った。含量は既知濃度の標準液による検量線から算出した。
【0058】
また、光学純度分析についてはHPLCを用いて次の条件で行った。カラムはダイセル化学工業社製CHIRALCEL OJ-RH (φ4.6×150 mm)を用いた。1-エチル=水素=3-ベンジルオキシカルボニルアミノ-3-エトキシカルボニルスクシナートの光学純度分析は、展開溶媒はアセトニトリル/過塩素酸水溶液 (pH 2.0)=30/70 (容積比)、流速1.0 mL/min、オーブン温度は20℃、検出波長は254 nmで行った。ジエチル=2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-2-カルバモイルスクシナートの光学純度分析は、展開溶媒はアセトニトリル/水=30/70 (容積比)、流速0.5 mL/min、オーブン温度は20℃、検出波長は254 nmで行った。2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-2-エトキシカルボニルスクシンイミドの光学純度分析は、展開溶媒はアセトニトリル/過塩素酸水溶液 (pH 2.0)=30/70 (容積比)、流速0.5 mL/min、オーブン温度は20℃、検出波長は254 nmで行った。(R)-2-アミノ-2-エトキシカルボニルスクシンイミドの光学純度分析は、展開溶媒は過塩素酸水溶液 (pH 1.0)、流速0.45 mL/min、オーブン温度は5℃、検出波長は196 nmで行った。
【0059】
上記各製造方法における中間体及び目的化合物は、有機合成化学で常用される分離精製法、例えば、濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等に付して単離精製することができる。また、中間体においては特に精製することなく次の反応に供することも可能である。
【0060】
化合物(I)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、又は(IV-A) の塩を取得したいとき、化合物(I)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、又は(IV-A) が塩の形で得られるときはそのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られるときは、化合物(I)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、又は(IV-A) を適当な溶媒に溶解又は懸濁し、酸又は塩基を加えて単離、精製すればよい。
また、化合物(I)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)又は(IV-A)並びにそれらの塩は、水あるいは各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これらの付加物も本発明に包含される。
【実施例1】
【0061】
ジエチル=2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-2-エトキシカルボニルスクシナートの製造
(クロロ酢酸エチル法)
ジエチル=2-ベンジルオキシカルボニルアミノマロナート5.0 g、炭酸カリウム2.7g、ヨウ化カリウム0.27 g及び2-クロロ酢酸エチル2.6 gのDMF 50 mL懸濁液を50℃で1時間撹拌した。冷後、反応液を希塩酸中に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣を酢酸エチル-n-ヘキサンから結晶化して表記の化合物5.5 g (収率86%)を無色結晶として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ(ppm): 7.34 (5H, m), 6.39 (1H, s), 5.10 (2H, s), 4.24 (4H, q, J= 6.9Hz), 4.10 (2H, q, J= 7.2Hz), 3.49 (2H, s), 1,21 (9H, m)
MS (FAB) : m/z 396(M+H
+)
HR-MS(FAB) : calcd for C
19H
26NO
8 396.1658, found 396.1653(M+H
+)
【実施例2】
【0062】
ジエチル=2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-2-エトキシカルボニルスクシナートの製造
(ブロモ酢酸エチル法)
ジエチル=2-ベンジルオキシカルボニルアミノマロナート50 gの無水DMF溶液300 mLに、氷冷撹拌下、水素化ナトリウム(60%) 6.47 gを徐々に加えた後、室温で30分間撹拌し、次いで2-ブロモ酢酸エチル22.6 gを加え一夜撹拌した。反応液を希塩酸中に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、n-ヘキサン-酢酸エチル(5:1)で溶出、精製した後、酢酸エチル-n-ヘキサンから結晶化して表記の化合物46.7 g (収率83%)を無色結晶として得た。
【実施例3】
【0063】
(R)-1-エチル=水素=3-ベンジルオキシカルボニルアミノ-3-エトキシカルボニルスクシナートの製造(ブタ肝臓由来エステラーゼによる加水分解)
シグマ社製のブタ肝臓由来エステラーゼ [PLE (27 kU/g)、凍結乾燥品、製品番号 E3019] 4.0 gをpH 6.5に調整した0.05 mol/Lリン酸緩衝液360 mLに溶解し、ジエチル=2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-2-エトキシカルボニルスクシナート4.0 gをエタノール40 mLに溶解したものを加えた。30℃で20時間撹拌し、収率84%、光学純度93.6% eeの(R)-1-エチル=水素=3-ベンジルオキシカルボニルアミノ-3-エトキシカルボニルスクシナートを得た。
【0064】
反応終了後、反応液をろ過助材(KCフロッグ100)を用いて濾過し、不溶物を除去した。ろ液を冷却し、6 mol/L 塩酸を加えpH 2に調整した後、酢酸エチルにて目的物を抽出し、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルム-メタノール(10:1)で溶出、精製した後、表記の化合物3.26 g(収率80%)を得た。旋光度は[α]
D28 -0.6°(c 0.58、エタノール)、光学純度は93.6% eeであった。
1H NMR (CDCl
3) δ(ppm): 7.35 (5H, m), 6.51 (1H, s), 5.09 (2H, m), 4.24 (2H, q, J= 7.2Hz), 4.08 (2H, q, J= 7.2Hz), 3.48 (2H, s), 1,19 (6H, m)
MS (FAB) : m/z 368(M+H
+)
HR-MS(FAB) : calcd for C
17H
22NO
8 368.1345, found 368.1314(M+H
+)
【実施例4】
【0065】
(R)-1-エチル=水素=3-ベンジルオキシカルボニルアミノ-3-エトキシカルボニルスクシナートの製造(ウサギ肝臓由来エステラーゼによる加水分解)
シグマ社製のウサギ肝臓由来エステラーゼ(80 kU/g、凍結乾燥品、製品番号E0887) 5 mgをpH 6.5に調整した0.05 mol/Lリン酸緩衝液0.4 mLに溶解し、ジエチル=2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-2-エトキシカルボニルスクシナート5 mgをエタノール0.05 mLに溶解したものを加えた。30℃で16時間撹拌し、収率52%、光学純度94.6% eeの(R)-1-エチル=水素=3-ベンジルオキシカルボニルアミノ-3-エトキシカルボニルスクシナートを得た。
【実施例5】
【0066】
(R)-ジエチル=2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-2-カルバモイルスクシナートの製造
(R)-1-エチル=水素=3-ベンジルオキシカルボニルアミノ-3-エトキシカルボニルスクシナート1.8 gのTHF 20 mL溶液に-15℃撹拌下、トリエチルアミン0.96 mL、クロロギ酸イソブチル0.84 mL (0.87 g)の順で加え、5分間撹拌した。同温度にて25%アンモニア水0.47 mLを反応液に滴下した。同温度にて1時間撹拌後、反応液を希塩酸中に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、n-ヘキサン-酢酸エチル(1:1)で溶出、精製した後、酢酸エチル-n-ヘキサンから結晶化して表記の化合物1.51 g (収率84%)を無色結晶として得た。旋光度は[α]
D25 -5.7°(c 0.52、エタノール)、光学純度は96.1% eeであった。
1H NMR (CDCl
3) δ(ppm): 7.34 (5H, m), 6.51 (1H, br), 6.35 (1H, br), 5.63 (1H, br), 5.12 (2H, s), 4.26 (2H, m), 4.10 (2H, q, J= 7.2 Hz), 3.48 (2H, s), 1,23 (6H, m)
MS (FAB) : 367(M+H
+)
HR-MS(FAB) : calcd for C
17H
23N
2O
7 367.1505, found 367.1509(M+H
+)
【実施例6】
【0067】
(R)-2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-2-エトキシカルボニルスクシンイミドの製造
氷冷撹拌下、(R)-ジエチル=2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-2-カルバモイルスクシナート200 mgの無水エタノール10 mL溶液に、ナトリウムエトキシド 41 mgを加え、同温度で2時間撹拌した後、冷1 mol/L塩酸を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去し残渣を酢酸エチル-n-ヘキサンから再結晶して表記の化合物149 mg (収率85%)を無色結晶として得た。旋光度は[α]
D28 -31.8°(c 0.59、エタノール)、光学純度は99.2% eeであった。
1H NMR (CDCl
3) δ(ppm): 8.39 (1H, s), 7.36 (5H, m), 6.27 (1H, s), 5.12 (2H, m), 4.32 (2H, q, J= 6.9Hz), 3.18 (2H, m), 1,29 (3H, t, J= 7.1Hz)
MS (FAB) : 321(M+H
+)
HR-MS(FAB) : calcd for C
15H
17N
2O
6 321.1087, found 321.1074(M+H
+)
【実施例7】
【0068】
(R)-2-アミノ-2-エトキシカルボニルスクシンイミドの製造
(R)-2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-2-エトキシカルボニルスクシンイミド80 mgをエタノール10 mLに溶解し、5%パラジウム-炭素4 mgを加え、水素雰囲気下、室温で接触水素化した。触媒を濾去した後、濾液を減圧濃縮した。残渣をエタノールから再結晶して、表記の化合物43 mg (収率93%)を無色結晶として得た。旋光度は[α]
D24-35.9°(c0.22、エタノール)であった。光学純度 は 99.9% ee 以上であった。
1H NMR (CDCl
3) δ(ppm): 4.28 (2H, q, J= 7.2Hz), 3.19 (1H, d, J= 18.0Hz), 2.74 (1H, d, J= 18.0Hz), 1,30 (3H, t, J= 7.1Hz)
MS (FAB) : 187(M+H
+)
HR-MS(FAB) : calcd for C
7H
11N
2O
4 187.0719, found 187.0700(M+H
+)
【実施例8】
【0069】
実施例2と同様の方法で以下の化合物1〜4を合成した。
化合物1 ジエチル=2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-2-(メトキシカルボニルメチル)マロナートの製造
ジエチル=2-ベンジルオキシカルボニルアミノマロナート3.0 g、炭酸カリウム1.6g、ヨウ化カリウム0.19 g、及び2-ブロモ酢酸メチル1.9 gのDMF 50 mL懸濁液を50℃で1時間撹拌した。冷後、反応液を希塩酸中に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、n-ヘキサン-酢酸エチル(4:1)で溶出、精製した後、酢酸エチル-n-ヘキサンから結晶化して表記の化合物3.52 g (収率95%)を無色油状物として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ(ppm): 7.34 (5H, m), 6.40 (1H, s), 5.09 (2H, s), 4.24 (4H, q, J= 6.9Hz), 3.64 (3H, s), 3.51 (2H, s), 1.22 (6H, m)
MS (FAB) : m/z 382(M+H
+)
【0070】
化合物2 ジエチル=2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-2-(イソプロピルオキシカルボニルメチル)マロナートの製造
ジエチル=2-ベンジルオキシカルボニルアミノマロナート5.0 g、炭酸カリウム2.7g、ヨウ化カリウム0.32 g及び2-ブロモ酢酸イソプロピル3.5 gのDMF 50 mL懸濁液を50℃で1時間撹拌した。冷後、反応液を希塩酸中に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、n-ヘキサン-酢酸エチル(5:1)で精製し、表記の化合物6.8 g (収率99%)を無色油状物として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ(ppm): 7.33 (5H, m), 6.38 (1H, s), 5.10 (2H, s), 4.96 (1H, m), 4.24 (4H, q, J= 6.9Hz), 3.45 (2H, s), 1.23 (6H, m), 1.18 (6H, d, J= 6.3 Hz)
MS (FAB) : m/z 410(M+H
+)
【0071】
化合物3 ジエチル=2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-2-(t-ブトキシカルボニルメチル)マロナートの製造
ジエチル=2-ベンジルオキシカルボニルアミノマロナート5.0 g、炭酸カリウム2.7g、ヨウ化カリウム0.27 g及び2-ブロモ酢酸-t-ブチル4.1 gのDMF 50 mL懸濁液を50℃で1時間撹拌した。冷後、反応液を希塩酸中に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、n-ヘキサン-酢酸エチル(5:1)で精製し、表記の化合物6.9 g (収率99%)を無色油状物として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ(ppm): 7.34 (5H, m), 6.38 (1H, s), 5.10 (2H, s), 4.23 (4H, q, J= 6.9Hz), 3.40 (2H, s), 1.39 (9H, s), 1.22 (6H, t, J= 7.1 Hz)
MS (FAB) : m/z 424(M+H
+)
【0072】
化合物4 ジエチル=2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-2-(ベンジルオキシカルボニルメチル)マロナートの製造
ジエチル=2-ベンジルオキシカルボニルアミノマロナート30 gの無水DMF溶液100 mLに、氷冷撹拌下、水素化ナトリウム(60%) 4.27 gを徐々に加えた後、室温で30分間撹拌し、次いで2-ブロモ酢酸ベンジル28.9 gを加え一夜撹拌した。反応液を希塩酸中に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、n-ヘキサン-酢酸エチル(4:1)で精製し、表記の化合物43.9 g (収率99%)を無色油状物として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ(ppm): 7.33 (10H, m), 6.39 (1H, s), 5.09 (4H, s), 4.20 (4H, q, J= 6.9Hz), 3.56 (2H, s), 1.23 (6H, m)
MS (FAB) : m/z 458(M+H
+)
【実施例9】
【0073】
化合物5 (R)-1-メチル=水素=3-ベンジルオキシカルボニルアミノ-3-エトキシカルボニルスクシナート
シグマ社製のブタ肝臓由来エステラーゼ [PLE (27 kU/g)、凍結乾燥品、製品番号 E3019] 10mgをpH 7.5に調整した0.1mol/Lリン酸緩衝液0.9 mLに溶解し、化合物1の10mgをアセトニトリル0.1mLに溶解したものを加えた。30℃で4時間撹拌し、HPLCにより収率99.0%で化合物5を得たことを確認した。HPLCは前述の条件から変更し、展開溶媒はメタノール/水=60/40 (容積比、0.1%トリフロロ酢酸を含む)、流速0.7 mL/minとした。生成物の確認はMS分析により行った。生成物はHPLC(前述の条件から変更し展開溶媒のアセトニトリルは40%とした)により光学純度93.1%eeであることを確認した。
MS (FAB) : m/z 354(M+H
+)
【実施例10】
【0074】
実施例9と同様にして化合物2〜4を反応させ、対応する化合物6〜8を得た。
化合物6 (R)-1-イソプロピル=水素=3-ベンジルオキシカルボニルアミノ-3-エトキシカルボニルスクシナート
【実施例11】
【0075】
化合物7 (R)-1-t-ブチル=水素=3-ベンジルオキシカルボニルアミノ-3-エトキシカルボニルスクシナート
【実施例12】
【0076】
化合物8 (R)-1-ベンジル=水素=3-ベンジルオキシカルボニルアミノ-3-エトキシカルボニルスクシナート
光学純度測定の際の展開溶媒のアセトニトリル濃度は前述の条件から変更して以下の条件で行なった。
実施例10 アセトニトリル30%
実施例11 アセトニトリル40%
実施例12 アセトニトリル40%
以下にその結果をまとめて示す。
【0077】
【表1】
【実施例13】
【0078】
ジエチル=2-t-ブチルオキシカルボニルアミノ-2-エトキシカルボニルスクシナートの製造
ジエチル=2-t-ブチルオキシカルボニルアミノマロナート5.0 g、炭酸カリウム3.0 g及び2-ブロモ酢酸エチル3.9 gのDMF 20 mL懸濁液を50℃で4時間撹拌した。冷後、反応液を希塩酸中に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、n-ヘキサン-酢酸エチル(5:1)で精製し、表記の化合物5.7 g (収率79%)を無色油状物として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ(ppm): 6.13 (1H, s), 4.25 (4H, m), 4.12 (2H, q, J= 6.9 Hz), 3.45 (2H, s), 1.43 (9H, s), 1.26 (9H, m)
MS (FAB) : m/z 362(M+H
+)
【実施例14】
【0079】
(R)-1-エチル=水素=3-t-ブチルオキシカルボニルアミノ-3-エトキシカルボニルスクシナートの製造(ブタ肝臓由来エステラーゼによる加水分解)
シグマ社製のブタ肝臓由来エステラーゼ [PLE (27 kU/g)、凍結乾燥品、製品番号 E3019] 1.0 gをpH 7.5に調整した0.1 mol/Lリン酸緩衝液90 mLに溶解し、ジエチル=2-t-ブチルオキシカルボニルアミノ-2-エトキシカルボニルスクシナート1.0 gをアセトニトリル10 mLに溶解したものを加えた。30℃で4時間撹拌し反応した。反応終了後、反応液をろ過助材(KCフロッグ100)を用いて濾過し、不溶物を除去した。ろ液を冷却し、6 mol/L 塩酸を加えpH 2に調整した後、酢酸エチルにて目的物を抽出し、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去し、表記化合物1.0 gを得た。
MS (FAB) : m/z 334(M+H
+)
【実施例15】
【0080】
(R)-ジエチル=2-t-ブチルオキシカルボニルアミノ-2-カルバモイルスクシナートの製造
実施例14で得られた(R)-1-エチル=水素= 3-t-ブチルオキシカルボニルアミノ-3-エトキシカルボニルスクシナート1.0 gのTHF 20 mL溶液に-15℃で撹拌下、トリエチルアミン0.62 mL、クロロギ酸イソブチル0.55 mL (0.57 g)の順で加え、30分間撹拌した。同温度にて25%アンモニア水0.30 mLを反応液に滴下した。同温度にて30分間撹拌後、反応液を希塩酸中に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、n-ヘキサン-酢酸エチル(1:1)で溶出、精製した後、酢酸エチル-n-ヘキサンから結晶化して表記の化合物0.67 g (収率73%)を無色結晶として得た。旋光度は[α]
D22 +2.74°(c 0.50、エタノール)であった。
1H NMR (CDCl
3) δ(ppm): 6.42 (1H, br), 6.23 (1H, br), 5.50 (1H, br), 4.27 (2H, m), 4.14 (2H, q, J= 7.2 Hz), 3.43 (2H, s), 1.44 (9H, s), 1.26 (6H, m)
MS (FAB) : m/z 333(M+H
+)
【実施例16】
【0081】
(R)-2-t-ブチルオキシカルボニルアミノ-2-エトキシカルボニルスクシンイミドの製造
実施例15で得られた(R)-ジエチル=2-t-ブチルオキシカルボニルアミノ-2-カルバモイルスクシナート590 mgをアセトン6 mLと水6 mLに溶解し、炭酸カリウム 295 mgを加え、6時間撹拌した後、1 mol/L塩酸を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去し残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、n-ヘキサン-酢酸エチル(1:1)で溶出、精製した後、酢酸エチル-n-ヘキサンから再結晶して表記の化合物450 mg (収率88%)を無色結晶として得た。旋光度は[α]
D25 -39.1°(c 0.50、エタノール)であった。
1H NMR (CDCl
3) δ(ppm): 8.50 (1H, br), 5.99 (1H, br), 4.32 (2H, q, J= 7.2 Hz), 3.16 (2H, m), 1.44 (9H, s), 1,30 (3H, t, J= 7.2 Hz)
MS (FAB) : m/z 287(M+H
+)
【実施例17】
【0082】
(R)-2-アミノ-2-エトキシカルボニルスクシンイミド塩酸塩の製造
実施例16で得られた(R)-2-t-ブチルオキシカルボニルアミノ-2-エトキシカルボニルスクシンイミド380 mgを4 mol/L塩酸の酢酸エチル溶液8 mLに溶解し、1時間撹拌した後、反応液を減圧濃縮した。残渣をエーテルで懸濁ろ過して、表記の化合物288 mg (収率97%)を白色結晶として得た。旋光度は[α]
D25-14.8°(c1.0、メタノール)であった。光学純度 は 75.6% ee であった。
1H NMR (DMSO-d
6) δ(ppm): 12.36 (1H, br), 9.65 (2H, br), 4.27 (2H, q, J= 7.2 Hz), 3.34 (1H, d, J= 18.2 Hz), 3.11 (1H, d, J= 18.2 Hz), 1,20 (3H, t, J= 7.2 Hz)
MS (FAB) : m/z 187(M+H
+)
【実施例18】
【0083】
ジエチル=2-t-ブチルオキシカルボニルアミノ-2-(ベンジルオキシカルボニルメチル)マロナートの製造
ジエチル=2-t-ブチルオキシカルボニルアミノマロナート5.0 g、炭酸カリウム3.0g及び2-ブロモ酢酸ベンジル5.4 gのDMF 20 mL懸濁液を50℃で4時間撹拌した。冷後、反応液を希塩酸中に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、n-ヘキサン-酢酸エチル(5:1)で精製し、表記の化合物6.5 g (収率85%)を無色油状物として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ(ppm): 7.32 (5H, m), 6.1 (1H, s), 5.11 (2H, s), 4.21 (4H, m), 3.53 (2H, s), 1.41 (9H, s), 1.22 (6H, t, J= 7.1 Hz)
MS (FAB) : m/z 424(M+H
+)
【実施例19】
【0084】
(R)-1-ベンジル=水素=3-t-ブチルオキシカルボニルアミノ-3-エトキシカルボニルスクシナートの製造(ブタ肝臓由来エステラーゼによる加水分解)
シグマ社製のブタ肝臓由来エステラーゼ[PLE (27 kU/g)、凍結乾燥品、製品番号 E3019] 1.0 gをpH 7.5に調整した0.1 mol/L リン酸緩衝液90 mLに溶解し、ジエチル=2-t-ブチルオキシカルボニルアミノ-2-(ベンジルオキシカルボニルメチル)マロナート1.0 gをアセトニトリル10 mLに溶解したものを加えた。30℃で4時間撹拌し、表記化合物を生成させた。光学純度をHPLCで測定したところ78.1% eeであった。反応終了後、反応液をろ過助材(KCフロッグ100)を用いて濾過し、不溶物を除去した。ろ液を冷却し、6 mol/L 塩酸を加えpH 2に調整した後、酢酸エチルにて目的物を抽出し、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去し、表記化合物1.0 gを得た。
MS (FAB) : m/z 396(M+H
+)
【実施例20】
【0085】
(R)-1-ベンジル=エチル=3-t-ブチルオキシカルボニルアミノ-3-カルバモイルスクシナートの製造
実施例19で得られた(R)-1-ベンジル=水素= 3-t-ブチルオキシカルボニルアミノ-3-エトキシカルボニルスクシナート1.0 gのTHF 20 mL溶液に-15℃で撹拌下、トリエチルアミン0.62 mL、クロロギ酸イソブチル0.55 mL (0.57 g)の順で加え、30分間撹拌した。同温度にて25%アンモニア水0.30 mLを反応液に滴下した。同温度にて30分間撹拌後、反応液を希塩酸中に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、n-ヘキサン-酢酸エチル(1:1)で溶出、精製した後、酢酸エチル-n-ヘキサンから結晶化して表記の化合物0.60 g (収率55%)を無色結晶として得た。旋光度は[α]
D25 +1.28°(c 0.50、エタノール)であった。
1H NMR (CDCl
3) δ(ppm): 7.33 (5H, m), 6.39 (1H, br), 6.21 (1H, br), 5.56 (1H, br), 5.12 (2H, s), 4.22 (2H, q, J= 7.2 Hz), 3.51 (2H, s), 1.41 (9H, s), 1.22 (3H, t, J= 7.0 Hz)
MS (FAB) : m/z 395(M+H
+)
【実施例21】
【0086】
(R)-2-t-ブチルオキシカルボニルアミノ-2-エトキシカルボニルスクシンイミドの製造
実施例20で得られた(R)-1-ベンジル=エチル=3-t-ブチルオキシカルボニルアミノ-3-カルバモイルスクシナート550 mgをアセトン11 mLと水6 mLに溶解し、炭酸カリウム 231 mgを加え、5時間撹拌した後、1 mol/L塩酸を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去し残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、n-ヘキサン-酢酸エチル(1:1)で溶出、精製した後、酢酸エチル-n-ヘキサンから再結晶して表記の化合物358 mg (収率90%)を無色結晶として得た。旋光度は[α]
D25 -29.5°(c 0.50、エタノール)であった。
1H NMR (CDCl
3) δ(ppm): 8.33 (1H, br), 5.99 (1H, br), 4.32 (2H, q, J= 7.2 Hz), 3.16 (2H, m), 1.44 (9H, s), 1,30 (3H, t, J= 7.2 Hz)
MS (FAB) : m/z 287(M+H
+)
【実施例22】
【0087】
(R)-2-アミノ-2-エトキシカルボニルスクシンイミド塩酸塩の製造
実施例21で得られた(R)-2-t-ブチルオキシカルボニルアミノ-2-エトキシカルボニルスクシンイミド243 mgを4 mol/L塩酸の酢酸エチル溶液5 mLに溶解し、1時間撹拌した後、反応液を減圧濃縮した。残渣をエーテルで懸濁ろ過して、表記の化合物179 mg (収率95%)を白色結晶として得た。旋光度は[α]
D25-14.2°(c1.0、メタノール)であった。光学純度 は 71.6% ee であった。
1H NMR (DMSO-d
6) δ(ppm): 12.36 (1H, br), 9.65 (2H, br), 4.27 (2H, q, J= 7.2 Hz), 3.34 (1H, d, J= 18.2 Hz), 3.11 (1H, d, J= 18.2 Hz), 1,20 (3H, t, J= 7.2 Hz)
MS (FAB) : m/z 187(M+H
+)