特許第5698003号(P5698003)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698003
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】電動モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 13/00 20060101AFI20150319BHJP
   H02K 23/00 20060101ALI20150319BHJP
   H02K 23/04 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   H02K13/00 T
   H02K13/00 D
   H02K23/00 A
   H02K23/04
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-3967(P2011-3967)
(22)【出願日】2011年1月12日
(65)【公開番号】特開2012-147569(P2012-147569A)
(43)【公開日】2012年8月2日
【審査請求日】2013年10月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】時崎 哲平
(72)【発明者】
【氏名】川島 義親
(72)【発明者】
【氏名】小島 直希
【審査官】 宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−315250(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/119456(WO,A1)
【文献】 特開平07−059301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 13/00−13/14
H02K 23/00
H02K 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーマチュアと同軸上に設けられたコンミテータに摺接して給電を行う少なくとも1対のブラシと、
前記ブラシを出没自在に収納するブラシホルダと、
前記ブラシホルダに、各前記ブラシを径方向外側から前記コンミテータに向かって付勢する少なくとも1対のねじりコイルばねと、
を備え、
前記ねじりコイルばねは、
螺旋状に巻回された巻回部と、
前記巻回部の一端側から延出し、各前記ブラシを付勢する押圧部と、
前記巻回部の他端側から延出し、前記ブラシホルダに係止する係止部と、を有し、
前記1対のブラシは、前記アーマチュアの軸心を通る任意の直線を中心に線対称に配置されている電動モータにおいて、
前記ブラシホルダは、軸方向における前記1対のねじりコイルばねの取り付け高さを、それぞれ前記ねじりコイルばねの自由長に応じて変化させるように形成され
前記ブラシホルダには、前記1対のねじりコイルばねの前記巻回部を互いに異なる方向から挿入可能なばね挿入部が前記軸方向に沿って立設され、
各ばね挿入部に、それぞれ前記1対のねじりコイルばねを互い違いとなるように挿入し、
各前記ねじりコイルばねは、それぞれ前記押圧部により各前記ブラシを付勢していることを特徴とする電動モータ。
【請求項2】
前記アーマチュアを回転自在に支持するヨークの内周面に、磁極数が4極のマグネットを設け、
前記1対のブラシを、機械角で90°周方向に間隔をあけて配置したことを特徴とする請求項に記載の電動モータ。
【請求項3】
前記ブラシホルダは、軸方向平面視で長円形状に形成され、
短手方向で対向する1対の平坦壁と、
長手方向両端に配置され前記1対の平坦壁に跨るように設けられた1対の弧状壁と、を有し、
前記弧状壁の内側に、前記1対のブラシを配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の電動モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動モータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動モータとして、例えば、有底筒状のヨークの内周面にマグネットを複数配置し、このマグネットよりも径方向内側にアーマチュアを回転自在に設けたブラシ付きの電動モータがある。アーマチュアは、回転軸に外嵌固定されたアーマチュアコアと、複数のセグメントが配設されたコンミテータとを有している。アーマチュアコアには、径方向外側に向かって延びる複数のティースが設けられ、これらティース間に軸方向に長いスロットが複数形成されている。このスロットから巻線が挿通され、各ティースに集中巻や分布巻にて巻線が巻装されている。
【0003】
巻線は、コンミテータのセグメントに導通している。各セグメントは給電を行うためのブラシ(給電用ブラシ)に摺接しており、このブラシを介して巻線に電流が供給されるようになっている。巻線に電流が供給されると磁界が形成され、この磁界とマグネットとの間に生じる磁気的な吸引力や反発力によってアーマチュアが回転する。
【0004】
ここで、ブラシを保持する構造として、例えば、略有底筒状のヨークと、コネクタ部が形成され前記ヨークを閉塞するように固定されるエンドブラケット(本願の「ブラシホルダ」に相当)とを備え、エンドブラケットに1対のブラシを保持させる技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
これら1対のブラシは、径方向に移動可能に保持されており、1対の給電用ブラシ間には、1対のねじりコイルばねが設けられている。1対のねじりコイルばねは、1対の給電ブラシの径方向における外側端部を押圧して、径方向外側から径方向内側に向かって付勢し、コンミテータのセグメントに1対の給電ブラシを摺接させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−112095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1における1対のブラシは、軸方向から見てアーマチュア軸を通る任意の直線を中心に線対称となるように配置されている。また、配置スペースの制約上、各ブラシ間に1対のねじりコイルばねが配置されている。
ここで、1対のねじりコイルばねにより、1対のブラシをそれぞれ同じように押圧する必要がある。このため、1対のねじりコイルばねを軸方向から見て線対称となるように形成し、1対のねじりコイルばねの押圧部の軸方向における高さを合わせて、径方向外側から径方向内側に向かって1対の給電用ブラシを押圧部により付勢している。(特許文献1の図3および図4参照)。
【0008】
すなわち、特許文献1の1対のねじりコイルばねは、一方のねじりコイルばねと他方のねじりコイルばねとで、それぞれ異なった形状に形成されているため、部品の共通化ができずに高コストになるという問題がある。
また、一方のねじりコイルばねと他方のねじりコイルばねとでは、互いに形状が類似しているため、電動モータの組立工程における誤組が発生するおそれがある。
【0009】
さらに、軸方向の向きが逆になるように、一方のねじりコイルばねと他方のねじりコイルばねとを、互い違いになるように配置することで、各ねじりコイルばねの形状を同一としつつ、軸方向から見て、1対のブラシを付勢する方向を線対称にすることができる。したがって、各ねじりコイルばねを互い違いに配置することで、線対称となるように配置された1対のブラシを、同一形状の一対のねじりコイルばねで押圧することができる。
【0010】
しかし、各ねじりコイルばねを互い違いに配置すると、軸方向における押圧部の位置がずれる。したがって、1対のブラシの端部をそれぞれ同じように押圧することができなくなり、ブラシの磨耗が偏って電動モータの性能が低下する等の問題が発生するおそれがある。
【0011】
そこで本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、低コストで誤組を防止でき、高性能な電動モータの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1に係る電動モータは、アーマチュアと同軸上に設けられたコンミテータに摺接して給電を行う少なくとも1対のブラシと、前記ブラシを出没自在に収納するブラシホルダと、前記ブラシホルダに、各前記ブラシを径方向外側から前記コンミテータに向かって付勢する少なくとも1対のねじりコイルばねと、を備え、前記ねじりコイルばねは、螺旋状に巻回された巻回部と、前記巻回部の一端側から延出し、各前記ブラシを付勢する押圧部と、前記巻回部の他端側から延出し、前記ブラシホルダに係止する係止部と、を有し、前記1対のブラシは、前記アーマチュアの軸心を通る任意の直線を中心に線対称に配置されている電動モータにおいて、軸方向における前記ブラシホルダは、前記1対のねじりコイルばねの取り付け高さを、それぞれ前記ねじりコイルばねの自由長に応じて変化させるように形成され、前記ブラシホルダには、前記1対のねじりコイルばねの前記巻回部を互いに異なる方向から挿入可能なばね挿入部が前記軸方向に沿って立設され、各ばね挿入部に、それぞれ前記1対のねじりコイルばねを互い違いとなるように挿入し、各前記ねじりコイルばねは、それぞれ前記押圧部により各前記ブラシを付勢していることを特徴としている。
【0015】
また、本発明の請求項に係る電動モータは、前記アーマチュアを回転自在に支持するヨークの内周面に、磁極数が4極のマグネットを設け、前記1対のブラシを、機械角で90°周方向に間隔をあけて配置したことを特徴としている。
【0016】
また、本発明の請求項に係る電動モータは、前記ブラシホルダが、軸方向平面視で長円形状に形成され、短手方向で対向する1対の平坦壁と、長手方向両端に配置され前記1対の平坦壁に跨るように設けられた1対の弧状壁と、を有し、前記弧状壁の内側に、前記1対のブラシを配置したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の電動モータによれば、軸方向における1対のねじりコイルばねの取り付け高さを変化させるように形成することで、各ねじりコイルばねを互い違いに配置しても、各ねじりコイルばねの各押圧部の高さを同一とすることができる。これにより、特許文献1のようにねじりコイルばねを線対称形状に形成することなく、同一形状のねじりコイルばねを互い違いに配置して、各ブラシの所定位置を同じように付勢することができる。すなわち、1対のねじりコイルばねの形状を共通化できるので、低コストな電動モータを提供することができる。
また、1対のねじりコイルばねの形状を共通化することにより、先行文献1のように1対のねじりコイルばねの形状が異なっている場合と比較して、組立工程におけるねじりコイルばねの誤組を抑制できる。
さらに、各ブラシの所定位置を同じように付勢することができるので、各ブラシの磨耗の偏りを防止できる。したがって、各ブラシの磨耗の偏りに起因する電動モータの性能低下を抑制し、耐久性に優れた高性能な電動モータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】減速機構付モータ装置の部分断面図である。
図2図1におけるA−A線に沿った断面図である。
図3参考形態のブラシホルダユニットの斜視図である。
図4参考形態のブラシホルダユニットの平面図である。
図5図4におけるB−B線に沿った断面図である。
図6】ブラシホルダユニットにより構成される電気回路の説明図である。
図7施形態のブラシホルダユニットの斜視図である。
図8施形態のブラシホルダユニットの平面図である。
図9図8におけるC−C線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図1および図2を用いて電動モータ2およびこの電動モータ2を用いた減速機構付モータ装置1の説明をする。
図1および図2に示す電動モータ2を用いた減速機構付モータ装置1は、例えば車両のパワーウィンドウ、サンルーフ、電動シートおよびワイパ装置の少なくとも何れか1つの駆動用として用いられる。
【0020】
電動モータ2は、ヨーク5の筒部53内にアーマチュア6が回転自在に設けられ、筒部53の開口縁53bに形成されたブラシホルダ収納部90に、ブラシ30等を収納するブラシホルダユニット20(図3参照)が内嵌固定されたものである。
【0021】
ヨーク5は、例えば鉄等の金属からなる有底筒状の部材であり、深絞りによるプレス加工等により成型される。
ヨーク5の大部分を占める筒部53は、軸方向平面視で中心軸Oを挟んで径方向で対向する1対の平坦部61と、1対の平坦部61を連結する弧状部63と、により構成されている。
平坦部61の離間距離は、筒部53内に配置されるアーマチュア6の直径よりも若干広くなるように設定される。なお、平坦部61の離間距離は、後述するブラシホルダ22の平坦壁22aの離間距離に対応して設定される。
【0022】
弧状部63は、対向する平坦部61に跨るように形成されており、対向する平坦部61の周方向端部を接続している。弧状部63の曲率中心は、軸方向平面視でアーマチュア6の回転中心(すなわち中心軸O)と同一となるように設定される。また、弧状部63の内周面63aの曲率半径は、アーマチュア6の半径に後述のマグネット7の厚さを加えた寸法よりも若干大きくなるように設定される。
【0023】
ヨーク5の筒部53の内周面53aには、マグネット7が設けられている。マグネット7には、ネオジ焼結磁石およびネオジボンド磁石の希土類磁石や、フェライト磁石等が使用される。マグネット7は、軸方向平面視で略円弧形状に形成されている。
マグネット7の内周面の曲率半径は、アーマチュア6の半径よりも若干大きくなるように設定される。また、マグネット7の外周面の曲率半径は、筒部53に形成された弧状部63の内周面63aの曲率半径と略同一となるように設定される。また、マグネット7の軸方向の長さは、ヨーク5の筒部53の軸方向の長さと略同一に設定される。
【0024】
また、マグネット7は、筒部53の弧状部63側にマグネット7の外周面を向け、弧状部63の内周面63aに4個固定されている。なお、マグネット7は、弧状部63の内周面63aに接着材等により貼付される。
4個のマグネット7は、周方向に沿ってN極およびS極の磁極が交互になるように配置されている。そして、4個のマグネット7は、N極およびS極の磁極がそれぞれ対向するように配置されている。また、隣り合うマグネット7のピッチ角は、約90°になるように設定されている。すなわち、電動モータ2は、2極対のモータを構成している。
【0025】
ヨーク5の底壁51の略中央には、中心軸Oに沿って外側に突出するボス19が形成されている。ボス19の内周面には、円環状の金属等からなる軸受18が圧入固定されている。モータ回転軸3の一端側(図1における右側)は、軸受18を介してヨーク5のボス19に軸支されている。
【0026】
また、ボス19の底部には、スラストプレート54が設けられている。スラストプレート54は、スチールボール55を介してモータ回転軸3のスラスト荷重を受けている。スチールボール55は、モータ回転軸3とスラストプレート54との間の摺動抵抗を減少するとともにモータ回転軸3の芯ズレを吸収している。
【0027】
ヨーク5の筒部53には、開口縁53b側(図1における左側)に、ブラシホルダ収納部90が一体成形されている。ブラシホルダ収納部90の周壁90aは、後述のブラシホルダユニット20を収納するためのものである。ブラシホルダ収納部90の周壁90aは、軸方向平面視で略長円形状に形成されており、径方向の一方向(図2における上下方向)が長手方向となり、径方向の他方向(図2における左右方向)が短手方向となっている。
【0028】
ブラシホルダ収納部90の周壁90aは、短手方向で対向する平坦面を有する1対の平坦部91と、1対の平坦部91に跨るように形成されており、長手方向において対向する平坦部91の周方向端部を接続する1対の弧状部92とを有している。
ブラシホルダ収納部90の1対の平坦部91および1対の弧状部92は、後述するブラシホルダ22の外形に対応して形成されている。すなわち、ブラシホルダ収納部90の平坦部91の離間距離は、ブラシホルダ22の平坦壁22aの幅に対応して設定される。また、ブラシホルダ収納部90の弧状部92の内周面における曲率半径は、ブラシホルダ22の弧状壁22bの曲率半径に対応して設定される。
【0029】
また、ブラシホルダ収納部90側の周壁90aには、電動モータ2をウォームギヤ減速機構4に締結固定するための外フランジ部52が設けられている。
外フランジ部52は、ブラシホルダ収納部90の長手方向に沿って長くなるように軸方向平面視略5角形状に形成され、かつ頂点となる部分が長手方向に位置するように形成されている。また、外フランジ部52の短手方向の幅は、ブラシホルダ収納部90に設けられた1対の平坦部91の幅よりも若干大きくなるように設定されている。
【0030】
また、外フランジ部52の長手方向における一端側(図2における上側)には、頂点となる部分にボルト孔(不図示)が1つ形成されると共に、他端側(図2における下側)には各角部にそれぞれボルト孔(不図示)が形成されている。各ボルト孔には、ボルト44が挿通される。
【0031】
(アーマチュア)
ヨーク5の筒部53内に回転自在に設けられたアーマチュア6は、モータ回転軸3に外嵌固定されたアーマチュアコア8と、アーマチュアコア8に巻装されたアーマチュアコイル(不図示)と、モータ回転軸3の他端側に配置されたコンミテータ10とを備えている。アーマチュアコア8は、電磁鋼板等からなるリング状の板部材11を軸方向に複数枚積層したものである。
【0032】
図2に示すように、板部材11の外周部には、軸方向平面視で略T字状に形成された10個のティース12が、周方向に沿って等間隔かつ放射状に配置されている。各ティース12は、径方向に延出する巻胴部12aと、巻胴部12aの先端に設けられ周方向に張り出した外周部12bとで構成されている。
【0033】
アーマチュアコア8の外周には、軸方向に沿って延在する溝状のスロット13が形成されている。スロット13は、モータ回転軸3に複数枚の板部材11を外嵌固定することにより形成され、隣接するティース12の外周部12b間に形成される。前述のとおりティース数が10個であるため、ティース12間のスロット13も10スロット形成される。また、ティース12が周方向に沿って等間隔に配置されているため、各スロット13も周方向に沿って等間隔に複数形成される。
【0034】
各スロット13間には、樹脂等の絶縁材料からなるインシュレータ(不図示)が設けられている。そして、ティース12の巻胴部12aに、インシュレータを介して巻線(不図示)が巻装される。これにより、アーマチュアコア8の外周に、複数のアーマチュアコイル(不図示)が形成される。
【0035】
モータ回転軸3の他端側(図1における左側)に外嵌固定されるコンミテータ10の外周面には、導電材で形成されたセグメント15が10枚取り付けられている。
セグメント15は、軸線方向に長い板状の金属片により形成されている。そして、セグメント15は、互いに離間して絶縁された状態で周方向に沿って等間隔に並列に固定されている。したがって、電動モータ2は、マグネット7が4個、スロット13が10スロット、セグメント15が10枚の、4極10スロット10セグメントで構成された直流モータとなっている。
【0036】
各セグメント15のアーマチュアコア8側の端部には、外径側に折り返す形で折り曲げられたライザ(不図示)が一体成形されている。ライザには、アーマチュアコイルの巻線が掛け回わされ、巻線は例えばヒュージングによりライザに固定されている。これにより、セグメント15と、これに対応するアーマチュアコイルとが導通される。
【0037】
セグメント15には、このセグメント15に電力を供給するためのブラシ30(図3参照)が摺接されている。ここでブラシ30は、ブラシホルダ収納部90の周壁90aに収納されているブラシホルダ22に設けられている。
【0038】
次に、参考形態におけるブラシホルダユニット20について図を用いて説明する。
図3は、参考形態におけるブラシホルダユニット20の斜視図、図4は、参考形態におけるブラシホルダユニット20の平面図、図5は、図4におけるB−B線に沿った断面図である。
【0039】
ブラシホルダユニット20は、本体部分を構成するブラシホルダ22と、ブラシホルダ22を貫通するターミナル32と、ブラシ30を付勢するねじりコイルばね21と、ブラシホルダユニット20上の各部品(図6参照)を電気的に接続するジャンパ線33(図5参照)、および各リード線34(34a〜34f)と、外部電源から供給される電流のノイズを抑制するコンデンサ26およびチョークコイル27と、過電流から電動モータ2を保護する熱保護素子35と、により構成されている。
【0040】
(ブラシ)
ブラシホルダユニット20に収納されるブラシ30は、略直方体形状をしたカーボン等の導電性材料からなる、略直方体形状に形成された部材である。ブラシ30は、ブラシホルダ22に2個設けられており、一方が陽極ブラシ、他方が陰極ブラシとなっている。
ブラシ30の長手方向における外径側端面30aは、平坦に形成されており、後述するねじりコイルばね21の押圧部21aが当接する。そして、ブラシ30は、ねじりコイルばね21によって内径側に押圧され、セグメント15に摺接している。
【0041】
また、ブラシ30からは、軸方向に沿ってピグテール36が延出している。ピグテール36は銅等からなる撚線である。ピグテール36の一端側は、例えばハンダ等によりブラシ30に接続されている。また、ピグテール36の他端側は、例えばハンダ等により後述するチョークコイル27に接続されている。
【0042】
(ねじりコイルばね)
ブラシ30を押圧する一対のねじりコイルばね21は、鋼等の線状の金属部材により形成されており、市販品を用いることができる。一対のねじりコイルばね21は、同一のものが使用される。
ねじりコイルばね21は、螺旋状に巻回された巻回部21cと、巻回部21cの一端側から延出し、ブラシ30を付勢する押圧部21aと、巻回部21cの他端側から延出し、ブラシホルダ22に係止する係止部と、を有している。
【0043】
ねじりコイルばね21は、後述するブラシホルダ22に形成されたばね挿入部23に巻回部21cを挿入することにより、ブラシホルダ22に装着される。
また、押圧部21aの先端は、内径側に湾曲して形成されている。押圧部21aの先端の湾曲部分がブラシ30の外径側端面30aに当接して、ねじりコイルばね21の付勢力によりブラシ30を内径側に押圧している。
【0044】
(ブラシホルダ)
ブラシホルダ22は、軸方向平面視で略長円形状に形成された、樹脂等からなる部材である。ブラシホルダ22は、短手方向で対向した平坦面を有する1対の平坦壁22aと、長手方向両端に配置され、1対の平坦壁22aに跨るように設けられた1対の弧状壁22bとを有している。1対の平坦壁22aと、1対の弧状壁22bとにより囲まれた領域に、ブラシ30、ターミナル32、ジャンパ線33、各リード線34、コンデンサ26、チョークコイル27、および熱保護素子35を配置している。
【0045】
ブラシホルダ22の略中央には、ブラシホルダ22を貫通する貫通孔22cが形成されており、モータ回転軸3を軸支する軸受部となっている。貫通孔22cには、滑り軸受40が圧入されている。すべり軸受40は、外形が略球形状をしており、貫通孔22cに組み付けられた状態で傾動する。したがって、すべり軸受40が傾動することにより、モータ回転軸3が軸ずれした場合でも、摺動抵抗により発生する負荷を最小限に抑制し、モータ回転軸3が効率よく回転できるようにしている。
【0046】
また、ブラシホルダ22には、貫通孔22cよりも弧状壁22b側(図4における上側)であって、軸方向平面視で中心軸Oを通り長手方向に沿った直線L(図4参照)を挟んで両側に、ターミナル32が設けられている。ターミナル32は、銅等の金属からなる部材であり、外部電源と電気的に接続される。
【0047】
ブラシホルダ22の長手方向における弧状壁22bの内側には、1対のブラシ30を収納する1対のホルダ部31が設けられている。1対のホルダ部31は、機械角で90°周方向に間隔を空けた状態で、なおかつ直線L(図4参照)を中心に、線対称になるように形成されている。
1対のホルダ部31は、ブラシ30に対応した形状でブラシ30を覆うように、略直方体形状に形成されている。ホルダ部31は、長手方向が電動モータ2の径方向に沿うように形成されており、径方向における両端が開口している。また、ホルダ部31は略直方体の箱状に形成されており、ホルダ部31の内部に、径方向に沿ってブラシ30が収納される。
【0048】
そして、1対のホルダ部31内には、一対のブラシ30が機械角で90°周方向に間隔を空けた状態で、ブラシ30の長手方向が電動モータ2の径方向に沿うように配置される。すなわち、一対のブラシ30は、1対のホルダ部31によって、直線L(図4参照)を中心に、線対称になるように配置される。
【0049】
ホルダ部31のヨーク側(図3における上側)の壁部には、第1スリット31cが形成されている。第1スリット31cは、ホルダ部31の長手方向に沿うように形成されている。第1スリット31cを介して、ピグテール36がホルダ部31の外側に延出されている。
【0050】
また、ホルダ部31の内径側面には、軸方向における略中央に、第2スリット31dが形成されている。第2スリット31dは、ホルダ部31の長手方向に沿うように形成されている。第2スリット31dには、ねじりコイルばね21の押圧部21aが配置され、ブラシ30を内径側に押圧している。
【0051】
また、ホルダ部31の内径側面には、長手方向に沿うように支持壁24が形成されている。ねじりコイルばね21の係止部21bは、支持壁24を押圧した状態で、ねじりコイルばね21の付勢力により係止される。
さらに、ホルダ部31の外径側開口部31a近傍には、径方向視略L字形状のフック25が形成されている。フック25にねじりコイルばね21の押圧部21aを係合し、ブラシ30の外径側端面30aを押圧部21aで内径側に向かって押圧している。
【0052】
また、ホルダ部31の内径側開口部31bからは、ねじりコイルばね21により押圧されたブラシ30の内径側端面が突出し、セグメント15に摺接している。このように、ホルダ部31には、ブラシ30の内径側端面が径方向に沿って出没自在に収納されている。
【0053】
(ねじりコイルばね取付部)
ホルダ部31の内径側には、ねじりコイルばね取付部65が設けられている。ねじりコイルばね取付部65は、ねじりコイルばね21が挿入される一対のばね挿入部23(第1ばね挿入部23aおよび第2ばね挿入部23b)と、挿入されたねじりコイルばね21の端部が当接する台座部66(第1台座部66aおよび第2台座部66b)とにより構成されている。
【0054】
一対のばね挿入部23は、軸方向に沿うようにブラシホルダ22からヨーク5側(図5における上側)に向かって立設されている。一対のばね挿入部23は、直線Lを挟んで一方側(図4における右側)に立設された第1ばね挿入部23aと、直線Lを挟んで他方側(図4における左側)に立設された第2ばね挿入部23bと、により構成されている。
【0055】
一対のばね挿入部23は、ともにブラシホルダ22側からヨーク5側(図5における下側から上側)に向かって、先端側が細くなる先細り形状に形成されている。ばね挿入部23の基端側の最大外径は、ねじりコイルばね21の巻回部21cの内径よりも若干小径となるように設定されている。また、ばね挿入部23の軸方向の長さは、ねじりコイルばね21の軸方向の長さよりも十分長くなるように設定される。
【0056】
第1ばね挿入部23aの基端側には、第1台座部66aが設けられている。第1台座部66aは、ブラシホルダ22の底部の一般面M(図5参照)よりも高くなるように形成されている。具体的には、第1台座部66aの表面の高さが、ブラシホルダ22の底部の一般面Mよりも高く、なおかつホルダ部31の内径側に形成された第2スリット31dと略同一の高さとなるように設定される。また、軸方向からみたときの第1台座部66aの形成領域は、ねじりコイルばね21の巻回部21cの外形よりも十分大きくなるように形成される。
【0057】
第2ばね挿入部23bの基端側には、第2台座部66bが設けられている。第2台座部66bは、ブラシホルダ22の底部の一般面Mよりも低くなるように形成されている。具体的には、第2台座部66bの表面に、ねじりコイルばね21の軸方向における長さを加えた高さが、ホルダ部31の内径側に形成された第2スリット31dと略同一の高さとなるように設定される。また、第1台座部66aと同様に、軸方向からみたときの第2台座部66bの形成領域は、ねじりコイルばね21の巻回部21cの外形よりも十分大きくなるように形成される。
【0058】
ブラシ30を挟んでねじりコイルばね21と反対側であって、ブラシホルダ22の平坦壁22aの内側には、チョークコイル27が配置されている。チョークコイル27は、フェライト等の磁性材料に銅線を巻きつけたものである。
チョークコイル27の一端側は、ブラシ30のピグテール36に接続されている。また、チョークコイル27の他端側は、リード線34やジャンパ線33等を介して、外部電源を供給するターミナル32と接続されている。すなわち、図6の電気回路図に示すように、チョークコイル27は、ブラシ30と直列接続されている。
【0059】
中心軸O(モータ回転軸3)を挟んで上述したブラシ30の反対側には、電気回路39を保護するための熱保護素子35が配置されている。熱保護素子35は、略長方形状をした平板状の部材である。熱保護素子35は、ブラシホルダ22に軸方向平面視で略U字形状に形成された熱保護素子保持部38により挟持され、軸方向に沿って立設された状態で保持されている。熱保護素子35としては、例えばPTCサーミスタ(Positive Temperature Coefficient Thermistor)が採用される。なお、熱保護素子35として、PTCサーミスタに換えて、バイメタルからなるサーキットブレーカや過電流により溶断するヒューズ等を採用してもよい。
【0060】
また、熱保護素子35を挟んで中心軸O(モータ回転軸3)の反対側には、雑防素子としてコンデンサ26が配置されている。コンデンサ26は、ブラシホルダユニット20に構成されている電気回路39(図6参照)に電流の高周波成分が流れるのを阻止している。コンデンサ26は2個設けられており、リード線34e,34fによってブラシ30に接続されている。
【0061】
図6は、電気回路39の説明図である。
ブラシホルダユニット20上では、ブラシ30、チョークコイル27、熱保護素子35、およびコンデンサ26が電気的に接続されることにより、図6に示す電気回路39が構成されている。
ブラシ30とチョークコイル27とは、リード線34a,34b,34c,34dを介して直列接続されている。一方側(図4における右側)のチョークコイル27と熱保護素子35とは、ジャンパ線33を介して直列接続されている。コンデンサ26は、リード線34e,34fを介してチョークコイル27と並列接続されており、チョークコイル27とともに、いわゆるローパスフィルタを構成している。
【0062】
上述のように構成されたブラシホルダユニット20は、ヨーク5に形成されたブラシホルダ収納部90に収納される。ブラシホルダユニット20は、ブラシホルダ収納部90の平坦部91がブラシホルダ22の平坦壁22aと接し、ブラシホルダ収納部90の弧状部92がブラシホルダ22の弧状壁22bと接した状態で、ブラシホルダ収納部90をカシメ等することで嵌合される。
【0063】
また、上述のように形成された電動モータ2は、ヨーク5の外フランジ部52に形成されたボルト孔にボルト44を挿通し、ウォームギヤ減速機構4に螺合することで固定される。
ウォームギヤ減速機構4には、ウォーム軸45およびウォームホイール46を収納するギヤハウジング43が設けられている。
【0064】
ギヤハウジング43に形成されたウォーム軸収容部47には、ウォーム軸45が収容されている。ウォーム軸45は、電動モータ2のモータ回転軸3の他端側(図1における左側)に、カップリング等のジョイント部材88を介して連結されている。
【0065】
ウォーム軸45は、モータ回転軸3と同軸上に設けられている。また、ウォーム軸45の他端側は、ウォーム軸収容部47に設けられた軸受41によって回転自在に支持されている。なお、ウォーム軸45の他端側(図1における左側)には、モータ回転軸3と同様にスラストプレート58およびスチールボール57が設けられ、ウォーム軸45のスラスト荷重を受けている。
【0066】
ウォーム軸45に噛合されるウォームホイール46には、出力軸48が設けられている。出力軸48は、ウォームホイール46とともに回転可能に連結されており、電動モータ2のモータ回転軸3の直交方向に沿うように設けられている。そして、出力軸48が回転することにより、車両のパワーウィンドウやサンルーフ、電動シート、ワイパ装置等の電装品を動作させる。
【0067】
(作用)
次に、上述したブラシホルダ22におけるねじりコイルばね取付部65の作用について説明する。ねじりコイルばね取付部65には、1対のねじりコイルばね21を装着している。
第1ばね挿入部23aには、押圧部21aが形成された側からねじりコイルばね21を挿入して装着している。したがって、第1ばね挿入部23aの先端側(図5における上側)に係止部21bが配置され、第1ばね挿入部23aの基端側(図5における下側)に押圧部21aが配置される。そして、第1台座部66aに、ねじりコイルばね21の押圧部21a側の端部が当接した状態で、ねじりコイルばね21が配置される。
【0068】
ここで、前述のとおり第1台座部66aの表面の高さが、第2スリット31dと略同一の高さとなるように設定されている。したがって、第1ばね挿入部23aの基端側に配置された押圧部21aは、第2スリット31dからホルダ部31の内径側に入り込んで、ブラシ30の外径側端面30aにおける中央付近を押圧する。
【0069】
また、第2ばね挿入部23bには、係止部21bが形成された側からねじりコイルばね21を挿入して装着している。したがって、第2ばね挿入部23bの先端側に押圧部21aが配置され、第2ばね挿入部23bの基端側(図5における下側)に係止部21bが配置される。そして、第1台座部66aに、ねじりコイルばね21の押圧部21a側の端部が当接した状態で、ねじりコイルばね21が配置される。
【0070】
すなわち、第1ばね挿入部23aに装着されたねじりコイルばね21と、第2ばね挿入部23bに装着されたねじりコイルばね21とは、それぞれ装着の方向が互い違いになるように配置されている。
【0071】
ここで、前述のとおり第2台座部66bの表面の高さは、第1台座部66aの表面の高さよりも低くなるように設定されている。そして、第2台座部66bの表面の高さに、ねじりコイルばね21の軸方向における長さを加えた高さが、第2スリット31dと略同一の高さとなるように設定されている。したがって、第2ばね挿入部23bの先端側に配置された押圧部21aは、第2スリット31dに入り込んで、ブラシ30の外径側端面30aにおける中央付近を押圧する。
【0072】
参考形態の電動モータ2によれば、軸方向における1対のねじりコイルばね21が取り付けられる第1台座部66aおよび第2台座部66bの高さを変化させるように形成することで、各ねじりコイルばね21を互い違いに配置しても各ねじりコイルばね21の各押圧部21aの高さを同一とすることができる。これにより、特許文献1のようにねじりコイルばね21を線対称形状に形成することなく、同一形状のねじりコイルばね21を互い違いに配置して、各ブラシ30の所定位置を同じように付勢することができる。すなわち、1対のねじりコイルばね21の形状を共通化できるので、低コストな電動モータ2を提供することができる。
また、1対のねじりコイルばね21の形状を共通化することにより、1対のねじりコイルばね21の形状が異なっている場合と比較して、組立工程におけるねじりコイルばね21の誤組を抑制できる。
さらに、各ブラシ30の外径側端面30aにおける中央付近を同じように付勢することができるので、各ブラシ30の磨耗の偏りを防止できる。したがって、各ブラシ30の磨耗の偏りに起因する電動モータ2の性能低下を抑制し、耐久性に優れた高性能な電動モータ2を提供することができる。
【0073】
また、第1ばね挿入部23aおよび第2ばね挿入部23bは、ブラシホルダ22からヨーク5側に向かって同一方向に立設されているので、ねじりコイルばね21の巻回部21cを同一方向から挿入できる。したがって、ねじりコイルばね21を効率よく組み付けることができる。
【0074】
また、参考形態の電動モータ2によれば、ブラシホルダ22が軸方向平面視で長円形状に形成されているので、ブラシホルダ22を軸方向平面視で円形状に形成する場合よりも、電動モータ2の小型化および薄型化ができる。
【0075】
実施形態)
次に、実施形態について、図7から図9を用いて説明する。参考形態では、第1ばね挿入部23aおよび第2ばね挿入部23bは、ブラシホルダ22からヨーク5側に向かって同一方向に立設されており、ねじりコイルばね21の巻回部21cを同一方向から挿入し、各ねじりコイルばね21を互い違いに配置していた。
しかし、実施形態では、第1ばね挿入部23aおよび第2ばね挿入部23bは、互いに異なる方向に向かって立設されている点で、参考形態のブラシホルダ22とは異なっている。なお、参考形態と同様の構成部分については、詳細な説明を省略する。
【0076】
(実施形態のねじりコイルばね取付部)
ホルダ部31の内径側には、ねじりコイルばね取付部65が設けられている。ねじりコイルばね取付部65は、ねじりコイルばね21が挿入される一対のばね挿入部23(第1ばね挿入部23aおよび第2ばね挿入部23b)と、挿入されたねじりコイルばね21の端部が当接する台座部66(第1台座部66aおよび第2台座部66b)とにより構成されている。
【0077】
第1ばね挿入部23aは、直線Lを挟んで一方側(図8における右側)に設けられており、ブラシホルダ22側からヨーク5側(図9における下側から上側)に向かって、先端側が細くなる先細り形状に形成されている。また、第1ばね挿入部23aの基端側には第1台座部66aが設けられている。本実施形態の第1ばね挿入部23aおよび第1台座部66aは、参考形態の第1ばね挿入部23aおよび第1台座部66aと同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0078】
一方、第2ばね挿入部23bは、直線Lを挟んで一方側(図8における左側)に設けられており、ブラシホルダ22側からウォームギヤ減速機構4側(図9における上側から下側)に向かって立設されている。すなわち、第2ばね挿入部23bは、第1ばね挿入部23aとは互い違いとなるように、第1ばね挿入部23aとは逆方向に向かって立設されている。第2ばね挿入部23bは、ブラシホルダ22側からウォームギヤ減速機構4側(図9における上側から下側)に向かって、先端側が細くなる先細り形状に形成されている。
【0079】
また、第2ばね挿入部23bの基端側(図9における上側)には、第2台座部66bが設けられている。第2台座部66bは、ホルダ部31と一体的に形成されており、ホルダ部31のヨーク5側(図9における上側)の面と、第2台座部66bのヨーク5側の面とは、面一となるように形成されている。また、第2台座部66bの表面の高さは、ホルダ部31の内径側に形成された第2スリット31dと略同一の高さとなるように設定されている。
【0080】
(実施形態の作用)
次に、上述した実施形態のブラシホルダ22の作用について説明する。
ねじりコイルばね取付部65に、1対のねじりコイルばね21が装着されている。
本実施形態では、参考形態と同様に、ヨーク5側(図9における上側)から、第1ばね挿入部23aにねじりコイルばね21を挿入している。このとき、押圧部21aが形成された側から、第1ばね挿入部23aにねじりコイルばね21を挿入している。したがって、第1ばね挿入部23aの先端側(図9における上側)に係止部21bが配置され、第1ばね挿入部23aの基端側(図9における下側)に押圧部21aが配置される。そして、第1台座部66aに、ねじりコイルばね21の押圧部21a側の端部が当接した状態で、ねじりコイルばね21が配置される。
【0081】
ここで、参考形態と同様に、第1台座部66aの表面の高さが、第2スリット31dと略同一の高さとなるように設定されている。したがって、第1ばね挿入部23aの基端側に配置された押圧部21aは、第2スリット31dからホルダ部31の内径側に入り込んで、ブラシ30の外径側端面30aにおける中央付近を押圧する。
【0082】
これに対して、第2ばね挿入部23bにおいては、ウォームギヤ減速機構4側(図9における下側)から、第2ばね挿入部23bにねじりコイルばね21を挿入している。このとき、押圧部21aが形成された側から、第2ばね挿入部23bにねじりコイルばね21を挿入している。したがって、第2ばね挿入部23bの先端側(図9における下側)に係止部21bが配置され、第1ばね挿入部23aの基端側(図9における上側)に押圧部21aが配置される。すなわち、第1ばね挿入部23aに装着されたねじりコイルばね21と、第2ばね挿入部23bに装着されたねじりコイルばね21とは、それぞれ装着の方向が互い違いになるように配置されている。
そして、第2台座部66bに、ねじりコイルばね21の押圧部21a側の端部が当接した状態で、ねじりコイルばね21が配置される。
【0083】
ここで、前述のとおり第2台座部66bの表面は、第2スリット31dと略同一の高さとなるように設定されている。したがって、第2ばね挿入部23bの基端側に配置された押圧部21aは、第2スリット31dに入り込んで、ブラシ30の外径側端面30aにおける中央付近を押圧する。
【0084】
(効果)
本実施形態の電動モータ2によれば、第1ばね挿入部23aおよび第2ばね挿入部23bは、互い違いとなるように立設されているので、ねじりコイルばね21の挿入方向を、第1ばね挿入部23aと第2ばね挿入部23bとで互い違いとすることができる。これにより、第1ばね挿入部23aおよび第2ばね挿入部23bに対して、共にねじりコイルばね21の押圧部21aが形成された側からねじりコイルばね21を挿入するので、参考形態の効果に加え、誤組をさらに抑制できるという効果が期待できる。
【0085】
なお、この発明は上述した実施の形態に限られるものではない。
本実施形態では、電動モータ2にウォームギヤ減速機構4を連結した場合について説明した。しかしながら、電動モータ2の連結先はウォームギヤ減速機構4に限られるものではなく、電動モータ2をウォームギヤ減速機構4以外のアクチュエータ機構や、他の外部機器に連結するようにしてもよい。
【0086】
本実施形態では、減速機構付モータ装置1(駆動装置)が、例えば車両のパワーウィンドウ、サンルーフ、電動シートおよびワイパ装置の少なくとも何れか1つの駆動用として用いられる場合について説明した。しかしながら、減速機構付モータ装置1の用途はこれらに限られるものではなく、例えば車両の電動パワーステアリングや車両以外の電装品など、さまざまな装置に適用することが可能である。
【0087】
本実施形態では、ヨーク5の筒部53に1対の平坦部61を形成し、ブラシホルダ22の短手方向に配置することで、電動モータ2の小型化および薄型化をしていた。しかし、ヨーク5の筒部53に、短手方向の平坦部61に加えて長手方向にも平坦部を形成することにより、長手方向に弧状部63を形成した場合よりも筒部53の小型化ができる。
【符号の説明】
【0088】
2 電動モータ
6 アーマチュア
7 マグネット
10 コンミテータ
21 ねじりコイルばね
21a 押圧部
21b 係止部
21c 巻回部
22 ブラシホルダ
22a 平坦壁
22b 弧状壁
23 ばね挿入部
30 ブラシ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9