(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698005
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】ヘッド接触を検出するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G11B 21/21 20060101AFI20150319BHJP
G11B 5/09 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
G11B21/21 N
G11B5/09 321Z
G11B5/09 361B
G11B21/21 E
【請求項の数】17
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-5519(P2011-5519)
(22)【出願日】2011年1月14日
(65)【公開番号】特開2011-210352(P2011-210352A)
(43)【公開日】2011年10月20日
【審査請求日】2013年11月14日
(31)【優先権主張番号】12/750,675
(32)【優先日】2010年3月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508243639
【氏名又は名称】エルエスアイ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100121061
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ハーレイ バーガー
(72)【発明者】
【氏名】ディヴィッド フィッツジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン ピー. ブレンデン
(72)【発明者】
【氏名】スチーヴン クエン
【審査官】
堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−077751(JP,A)
【文献】
特開2008−226370(JP,A)
【文献】
特開2007−179717(JP,A)
【文献】
特開2007−157185(JP,A)
【文献】
特開2005−093055(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0225426(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 21/21
G11B 5/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ記憶システムであって、
ヘッドと、リード/ライトヘッド組立体に対して配置された記憶媒体との間の接触を示す接触信号を生じるように動作可能なヘッドディスクインターフェース・センサを含む前記ヘッドと、
前記接触信号と前記記憶媒体に保持されている情報に対応する読み出し信号の両方を受け取って、該両信号のうちの一方を選択して出力する選択手段と、
前記選択手段から出力された前記読み出し信号及び前記接触信号を受け取って処理するように動作可能なデータ処理回路
を備え、
前記選択手段が前記接触信号を出力したときには、前記データ処理回路は、該出力された接触信号を処理して前記記憶媒体と前記リード/ライトヘッド組立体の間の接触の表示を生じるように動作可能である、データ記憶システム。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ記憶システムにおいて、前記ヘッドが、前記記憶媒体上に保持されている情報を検知し、前記検知された情報に対応する読み出し信号を生じるように動作可能なリードヘッドを更に含む、データ記憶システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のデータ記憶システムにおいて、前記選択手段が前記読み出し信号を出力したときには、前記データ処理回路は、前記読み出し信号を処理して、前記読み出し信号に対応する前記情報を復元するように更に動作可能である、データ記憶システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のデータ記憶システムにおいて、前記データ処理回路がデータ検出器回路及びデータデコーダ回路を含む、データ記憶システム。
【請求項5】
請求項4に記載のデータ記憶システムにおいて、前記データデコーダ回路が低密度パリティチェックデコーダ回路である、データ記憶システム。
【請求項6】
前記接触信号と前記読み出し信号が前記選択手段で受け取られる前に、それらの信号をフィルタし増幅して出力するための増幅手段を含むプリアンプ回路を更に備え、
前記選択手段は前記プリアンプ回路に含まれ、前記選択手段は、前記増幅手段の出力を受け取る、請求項1〜5のいずれかに記載のデータ記憶システム。
【請求項7】
前記選択手段から出力された前記読み出し信号と前記接触信号が前記データ処理回路で受け取られる前に、それらの信号をフィルタし増幅するための増幅手段を含むプリアンプ回路を更に備え、
前記選択手段は前記プリアンプ回路に含まれ、前記データ処理回路は、前記増幅手段の出力を受け取る、請求項1〜5のいずれかに記載のデータ記憶システム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のデータ記憶システムにおいて、前記選択手段がアナログマルチプレクサである、データ記憶システム。
【請求項9】
データ処理の方法であって、
リードヘッドとヘッドディスクインターフェース・センサを有するヘッドを設けるステップと、
前記リードヘッドからの読み出し信号を選択手段で受け取るステップであって、前記読み出し信号は前記ヘッドに対して配置された記憶媒体上に記憶された情報に対応する、ステップと、
前記ヘッドディスクインターフェース・センサからの接触信号を前記選択手段で受け取るステップと、
処理のために前記接触信号と前記読み出し信号の一方を選択するステップと、
前記選択するステップにおいて前記接触信号を選択した場合には、該選択された接触信号をデータ処理回路に渡すステップと、該接触信号を処理して前記ヘッドと前記記憶媒体の間の接触の発生を判定するステップとを実施するステップ
を備え、
前記選択するステップにおいて前記接触信号を選択する場合には、前記選択手段の出力として前記接触信号が供給されるように該選択手段が制御される、方法。
【請求項10】
前記選択するステップにおいて前記読み出し信号を選択した場合には、該選択された読み出し信号をデータ処理回路に渡すステップと、該読み出し信号を処理して、該読み出し信号に対応する前記情報を復元するステップとを実施するステップを更に備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記選択するステップにおいて前記読み出し信号を選択する場合には、前記選択手段の出力として前記読み出し信号が供給されるように該選択手段が制御される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれかに記載の方法において、前記ヘッドと前記記憶媒体の間の接触の発生を判定するステップが、前記接触信号が閾値を超えたかどうかを判定するステップを含む、方法。
【請求項13】
前記選択手段がアナログマルチプレクサ回路である、請求項9〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
接触表示装置であって、
ヘッドであって、
前記ヘッドと、前記ヘッドに対して配置された記憶媒体との間の接触を示す接触信号を生じるように動作可能なヘッドディスクインターフェース・センサ、及び
前記記憶媒体上に保持された情報を検知し、前記検知された情報に対応する読み出し信号を生じるように動作可能なリードヘッド
を含むヘッド、並びに、
前記読み出し信号と前記接触信号を受け取り、少なくとも部分的にセレクタ入力に基づいて、前記読み出し信号と前記接触信号のうちの一方を出力するように動作可能なマルチプレクサと、
前記マルチプレクサから出力された前記読み出し信号及び前記接触信号を受け取って処理するように動作可能なデータ処理回路
を備え、
前記マルチプレクサが前記接触信号を出力したときには、前記データ処理回路は、該出力された接触信号を処理して、前記記憶媒体と前記ヘッドとの間の接触の表示を生じるように動作可能である、接触表示装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置において、前記データ処理回路がデータ検出器回路及びデータデコーダ回路を含む、装置。
【請求項16】
前記接触信号と前記読み出し信号が前記マルチプレクサで受け取られる前に、それらの信号をフィルタし増幅して出力するための増幅手段を含むプリアンプ回路を更に備え、
前記マルチプレクサは前記プリアンプ回路に含まれ、前記マルチプレクサは、前記増幅手段の出力を受け取る、請求項14または15に記載の装置。
【請求項17】
前記マルチプレクサから出力された前記読み出し信号と前記接触信号が前記データ処理回路で受け取られる前に、それらの信号をフィルタし増幅するための増幅手段を含むプリアンプ回路を更に備え、
前記マルチプレクサは前記プリアンプ回路に含まれ、前記データ処理回路は、前記増幅手段の出力を受け取る、請求項14または15に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータ記憶装置に関し、より詳細にはセンサと記憶媒体の間の接触を検出するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リードチャネル集積回路は磁気記憶装置の構成要素である。動作時にはリードチャネル構成要素はデータを変換し符号化して、リード/ライトヘッド組立体がディスクにデータを書き込み、後にデータを読み出すことを可能にする。例えばハードディスク装置では、ディスクは通常は放射状のパターンにてディスクを周って延びる、符号化されたデータを含む多くのトラックを含む。各トラックは、1つ以上のユーザデータ領域、及び介在するサーボデータ領域を含む。サーボデータ領域の情報は、ユーザデータ領域に記憶された情報を正確に取り出せるように、ディスクに対してリード/ライトヘッド組立体を位置決めするために用いられる。
【0003】
図1は、破線として示される2つの例示のトラック150、155を有する記憶媒体100を示す。トラックはくさび形160、165内に書き込まれたサーボデータによって分離される。これらのくさび形は、データ、及び記憶媒体100上の所望の位置の上でリード/ライトヘッド組立体を制御し同期させるために用いられる補助のビットパターン110を含む。具体的にはこれらのくさび形は、一般にプリアンブルパターン152とそれに続くセクタアドレスマーク154(SAM)を含む。セクタアドレスマーク154にはグレイコード156が続き、グレイコード156にはバースト情報158が続く。2つのトラック及び2つのくさび形が示されるが、通常は数百個のそれぞれが所与の記憶媒体上に含まれ得ることに留意されたい。更に1組のサーボデータは2つ以上のバースト情報のフィールドを持ち得ることに留意されたい。ビットパターン110の間には、ユーザデータの領域184が設けられる。このようなユーザデータ領域184は、結果としてユーザデータの領域184内に保持されるデータの密度の減少となる様々なオーバヘッド及び費やされる区域を含む。
【0004】
記憶媒体100の読み出し及び書き込みは、記憶媒体100に対して配置されるリード/ライトヘッド組立体(図示せず)を用いて行われる。時には記憶媒体100の表面上の異常、又はリード/ライトヘッド組立体の不適当な配置により、リード/ライトヘッド組立体は記憶媒体100と接触状態になる。この結果、記憶媒体100の表面への、及び/又はリード/ライトヘッド組立体への損傷を生じ得る。接触が正確に検出されない場合は、後に同じ接触が繰り返され、且つ/又は記憶媒体100の損傷した区域にデータが書き込まれる場合があり、結果としてデータ損失の可能性を生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って少なくとも上記の理由により、当技術分野では記憶媒体との接触を判定する先進的なシステム及び方法の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はデータ記憶装置に関し、より詳細にはセンサと記憶媒体の間の接触を検出するためのシステム及び方法に関する。
【0007】
本発明の様々な実施形態はリード/ライトヘッド組立体及びデータ処理回路を含むデータ記憶システムを提供する。リード/ライトヘッド組立体は、リード/ライトヘッド組立体と、リード/ライトヘッド組立体に対して配置された記憶媒体との間の接触を示す接触信号を生じるように動作可能な、ヘッドディスクインターフェース・センサを含む。データ処理回路は接触信号を処理して、記憶媒体とリード/ライトヘッド組立体の間の接触の表示を生じるように動作可能である。
【0008】
上記の実施形態の一部の場合では、リード/ライトヘッド組立体は更に、記憶媒体上に保持された情報を検知し、検知された情報に対応する読み出し信号を生じるように動作可能なリードヘッドを含む。一部のこのような場合ではデータ処理回路は更に、読み出し信号を処理して、初めに記憶媒体上に記憶するために用意されたデータを取り出すように動作可能である。特定の場合ではデータ処理回路はデータ検出器回路及びデータデコーダ回路を含む。データデコーダ回路は、例えば低密度パリティチェックデコーダ回路とすることができる。
【0009】
上記の実施形態の他の場合では、データ記憶システムは更に、接触信号と読み出し信号の両方を受け取り、接触信号又は読み出し信号のうちの1つを選択してデータ処理回路に供給するプリアンプ回路を含む。一部のこのような場合ではプリアンプは、読み出し信号をフィルタし増幅するように動作可能である。様々な場合ではプリアンプは接触信号をフィルタし増幅するように動作可能である。1つ以上のこのような場合ではプリアンプは、接触信号と読み出し信号のうちの選択された1つをフィルタし増幅するように動作可能である。他のこのような場合ではプリアンプは読み出し信号と接触信号の両方を受け取り、読み出し信号と接触信号のうちの選択された1つを供給するアナログマルチプレクサを含む。
【0010】
本発明の他の実施形態は、データ処理の方法を提供する。方法は、リードヘッドとヘッドディスクインターフェース・センサを有するリード/ライトヘッド組立体を設けるステップ、及びリードヘッドから読み出し信号を受け取るステップを含む。読み出し信号は、リード/ライトヘッド組立体に対して配置された記憶媒体上に記憶された情報に対応する。方法は更に、ヘッドディスクインターフェースから接触信号を受け取るステップ、処理のために接触信号を選択するステップ、接触信号をデータ処理回路に渡すステップ、及び接触信号を処理してリード/ライトヘッド組立体と記憶媒体の間の接触の発生を判定するステップを含む。
【0011】
上記の実施形態の一部の場合では、方法は更に、処理のために読み出し信号を選択するステップ、読み出し信号をデータ処理回路に渡すステップ、読み出し信号を処理して、初めに書き込みのために記憶媒体に送られたデータを判定するステップを含む。一部のこのような場合では、方法は更に、接触信号と読み出し信号の両方を受け取るアナログマルチプレクサ回路を設けるステップを含む。このような場合には、読み出し信号を選択するステップは、アナログマルチプレクサ回路の出力として読み出し信号が供給されるように、選択制御をアサートするステップを含む。
【0012】
上記の実施形態の様々な場合では、リード/ライトヘッド組立体と記憶媒体の間の接触の発生を判定するステップは、接触信号が閾値を超えたかどうかを判定するステップを含む。他の場合では、方法は更に、接触信号と読み出し信号の両方を受け取るアナログマルチプレクサ回路を設けるステップを含む。このような場合では、接触信号を選択するステップは、アナログマルチプレクサ回路の出力として接触信号が供給されるように、選択制御をアサートするステップを含む。
【0013】
本発明の別の実施形態は、接触表示回路を提供する。このような回路は、リード/ライトヘッド組立体と、リード/ライトヘッド組立体に対して配置された記憶媒体との間の接触を示す接触信号を生じるように動作可能なヘッドディスクインターフェース・センサを含むリード/ライトヘッド組立体、記憶媒体上に保持された情報を検知し、検知された情報に対応する読み出し信号を生じるように動作可能なリードヘッド、及び記憶媒体とリード/ライトヘッド組立体の間の接触の表示を生じるための接触信号と、初めに記憶媒体に向けて送られたデータを取り出すための読み出し信号とのうちの選択された1つを処理するように動作可能なデータ処理回路を含む。
【0014】
この概要は本発明のいくつかの実施形態の全体的な概略を示すのみものである。本発明の多くの他の目的、特徴、利点、及び他の実施形態は、以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面から、より十分に明らかとなるであろう。
【0015】
本発明の様々な実施形態の更なる理解は、本明細書の残りの部分で説明される図を参照することによって得られる。図において、同様な構成要素を指すために同じ参照番号が複数の図面にわたって用いられる。一部の場合では、複数の同様な構成要素のうちの1つを示すために、参照番号に小文字からなるサブラベルが付随する。存在するサブラベルの指定なしに参照番号が参照されるときは、すべてのそのような複数の同様な構成要素を指すものとする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】サーボデータを含む既存の記憶媒体を示す図である。
【
図2a】本発明の1つ以上の実施形態による接触検出回路を有するリードチャネルを含む記憶装置を示す図である。
【
図2b】本発明の様々な実施形態に関連して用いることができる
図2aの回路のサブセットを示す図である。
【
図3a】
図2aの回路のプリアンプ、リードチャネル、及びリード/ライトヘッド組立体の全体にわたって分散された接触検出回路のブロック図である。
【
図3b】
図2aの回路のプリアンプ、リードチャネル、及びリード/ライトヘッド組立体の全体にわたって分散された別の接触検出回路のブロック図である。
【
図4】本発明の様々な実施形態によるリードチャネル・データ処理回路を用いてヘッド接触センサデータを処理する方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、データ記憶装置に関し、より詳細にはセンサと記憶媒体の間の接触を検出するためのシステム及び方法に関する。
【0018】
本発明の様々な実施形態は、ヘッドと記憶媒体の間で接触が起きたかどうかを判定するためのシステム及び方法を提供する。ヘッドは、ヘッドディスクインターフェースとリードヘッドとを含む。本明細書で用いられる「ヘッドディスクインターフェース」又は「ヘッドディスクインターフェース・センサ」という語句は、それが組み込まれたヘッドとの接触が起きたかどうかを示す接触信号を生じることができる任意のセンサを意味するようにそれらの最も広い意味で用いられる。本明細書に記載された開示に基づいて当業者なら、本発明の実施形態に関連して用いることができる多様なヘッドディスクインターフェースが理解されよう。本明細書で用いられる「ヘッド」という用語は、記憶媒体に対して配置することができる1つ以上のセンサを含む任意の組立体を意味するようにその最も広い意味で用いられる。一例としてヘッドは、前に記憶された情報を記憶媒体から検知するためのリードヘッドを含むリードヘッド組立体でよい。このようなリードヘッドは記憶媒体から検知された情報に対応する読み出し信号を生じる。別の例としてヘッドは、記憶媒体にデータを書き込むためのライトヘッドと、前に記憶された情報を記憶媒体から検知するためのリードヘッドとを含むリード/ライトヘッド組立体とすることができる。本明細書に記載された開示に基づいて当業者なら、本発明の異なる実施形態に関連して用いることができる多様なヘッドが理解されよう。
【0019】
いくつかの実施形態では、接触信号は、読み出し信号の代わりにデータ処理回路に供給される。データ処理回路は、受け取った読み出し信号を処理して、初めに書き込むために記憶媒体に送られたデータを復元するように設計される。接触信号がデータ処理回路に供給されたときは、データ処理回路は、接触信号がヘッドと記憶媒体の間の接触が起きたことを示すかどうかを判定するために用いられる。本明細書で用いられる「データ処理回路」という語句は、受け取った信号を処理することができる任意の回路を意味するようにその最も広い意味で用いられる。一部の場合には、データ処理回路は更に、読み出し信号を処理して初めに書き込まれたデータを復元することができるものとして特定される。一例としてデータ処理回路はデータ検出器回路とデコーダ回路とを含むことができる。データ検出器回路は、非限定的に、ソフト出力ビタビアルゴリズム検出器回路とすることができる。デコーダ回路は、非限定的に、低密度パリティチェック(LDPC:low density parity check)デコーダ回路、又はリードソロモンデコーダ回路とすることができる。本明細書に記載された開示に基づいて当業者なら、ヘッドディスクインターフェースとリードヘッドの両方からの情報を処理するように設計することができる多様なデータ処理回路が理解されよう。
【0020】
図2aを参照すると、本発明の1つ以上の実施形態による接触検出回路を有するリードチャネル210を含む記憶システム200が示される。記憶システム200は、例えばハードディスク装置とすることができる。リードチャネル210は、プリアンプ270、リード/ライトヘッド組立体276、及びヘッドディスクインターフェース・センサバイアス280から得られる情報に対して動作する接触検出回路を含むことができる。このような接触検出回路の一実装形態については、以下で
図3に関連して述べ、このような接触検出回路を動作させるための1つの方法については、以下で
図4に関連して述べる。
【0021】
リードチャネル210に加えて、記憶システム200は、リード/ライトヘッド組立体276から受け取った微小電気信号を増幅するプリアンプ270を含む。リード/ライトヘッド組立体276は、ディスク板278に対して配置される。記憶システム200はまた、インターフェースコントローラ220、ハードディスクコントローラ266、モータコントローラ268、及びスピンドルモータ272を含む。インターフェースコントローラ220は、ディスク板278への又はディスク板278からのデータのアドレス指定及びタイミングを制御する。ディスク板278上のデータは磁気信号の群からなり、この磁気信号の群は、リード/ライトヘッド組立体276がディスク板278の上に正しく位置決めされたときに組立体によって検出することができる。一実施形態ではディスク板278は、垂直記録方式により記録された磁気信号を含む。本発明の他の実施形態ではディスク板278は長手記録方式により記録された磁気信号を含む。
【0022】
典型的な読み出し動作では、リード/ライトヘッド組立体276は、モータコントローラ268によってディスク板278上の所望のデータトラックの上に正確に位置決めされる。モータコントローラ268は、ハードディスクコントローラ266の指示の下に、リード/ライトヘッド組立体276をディスク板278上の正しいデータトラックへ移動することによってリード/ライトヘッド組立体276をディスク板278に対して位置決めすると共にVCMを駆動する。スピンドルモータ272は、所定の回転速度(RPM)にてディスク板278を回転させる。リード/ライトヘッド組立体276が正しいデータトラックに近接して位置決めされた後に、ディスク板278上のデータを表す磁気信号は、ディスク板278がスピンドルモータ272によって回転されるのに従って、リード/ライトヘッド組立体276によって検知される。検知された磁気信号は、ディスク板278上の磁気データを表す連続した微小アナログ信号として得られる。この微小アナログ信号は、リード/ライトヘッド組立体276からプリアンプ270を通じてリードチャネル210に転送される。プリアンプ270は、ディスク板278からアクセスされた微小アナログ信号を増幅するように動作可能である。リードチャネル210は、ディスク板278に初めに書き込まれた情報を再現するために、受け取ったアナログ信号を復号しデジタル化する。このデータは、読み出しデータ203として、それを受け取る回路に供給される。書き込み動作は先の読み出し動作のほぼ反対であり、書き込みデータ201がリードチャネルモジュール210に供給される。このデータは次いで符号化され、ディスク板278に書き込まれる。
【0023】
いくつかの時点にて、リードチャネル210に供給されるリード/ライトヘッド組立体276のリードヘッドからの情報は、リード/ライトヘッド組立体276のヘッドディスクインターフェースからの情報に置き換えることができる。この接触情報は、リード/ライトヘッド組立体276とディスク板278の間の接触が起きたかどうかを判定するためにリードチャネルによって処理される。このような接触が示された場合は、リードチャネル210は、接触事象検出出力信号202をアサートする。断続的にリードヘッドとヘッドディスクインターフェース・センサとの切り換えを発生させることができ、それによりリードチャネル210はディスク板278からのサーボデータにアクセスし処理することが可能となる。この断続的なサーボデータへのアクセスにより、ディスク板278に対するリード/ライトヘッド組立体276の位置を特定することが可能となる。このような位置情報が得られる場合は、位置情報を接触事象検出出力202の一部として供給することができ、それによりそれを受け取るホスト(図示せず)に接触事象の発生と接触事象の位置の両方を認識させることができる。これにより、それを受け取るホストがディスク板278の特定の問題区域をマッピングし、特定された位置の更なる使用を避けることを可能にする。
【0024】
図2bは、
図2aの回路のサブセット299を示す。サブセット299は、プリアンプ270、ヘッドディスクインターフェース・センサバイアス280、及びリード/ライトヘッド組立体276の間の接続を含む。図示のようにリード/ライトヘッド組立体276は、浮上量281として特定される距離にてディスク板278の上に維持される。浮上量281が小さく維持されるほど、ディスク板278に書き込むことができるビット密度は大きくなり、ディスク板278から読み出されるデータの信号対雑音比は高くなる。従って浮上量278の距離は、ディスク板278に記憶することができるデータ量に直接影響を与える。
【0025】
リード/ライトヘッド組立体276は、ライトヘッド284、リードヘッド286、及びヘッドディスクインターフェース・センサ288を含む。ライトヘッド284は、電気信号234を通じて受け取った情報パターンに対応する磁界を発生することができる、当技術分野で知られている任意のトランスデューサでよい。この磁界はディスク板278の近傍で発生されると、後の時点で検知することができる実質的に不揮発性のパターンをディスク板278上に生成する。本明細書に記載された開示に基づいて当業者なら、本発明の異なる実施形態に関連して用いることができる多様な書き込みトランスデューサが理解されよう。リードヘッド286はディスク板278上の磁気パターンを検知し、検知された磁気パターンを対応する電気信号236に変換することができる、当技術分野で知られている任意のトランスデューサでよい。従ってリードヘッド286は、ディスク板278上に保持されたデータを検知、即ち「読み出す」ために用いられる。本明細書に記載された開示に基づいて当業者なら、本発明の異なる実施形態に関連して用いることができる多様な読み出しトランスデューサが理解されよう。
【0026】
ヘッドディスクインターフェース・センサ288は、リード/ライトヘッド組立体276とディスク板278の間の接触の発生を検出し、検出した接触の表示を電気信号238を通じて供給することができる、当技術分野で知られている任意のセンサでよい。このような接触は、それが複数回繰り返された場合のみに結果としてディスク板278及び/又はリード/ライトヘッド組立体276に損傷を生じる軽度の接触の場合、又はより重大な接触事象である重度の接触の場合がある。このような接触事象は時には、ヘッドがディスク板278と接触するときのかなりのヘッド温度の増加により、「サーマルアスペリティ」と呼ばれる。ヘッドディスクインターフェース・センサ288は、同じ組立体においてライトヘッド284とリードヘッド286の近くに配置することができる。
【0027】
一例としてヘッドディスクインターフェース・センサ288は、その両端にヘッドディスクインターフェース・センサバイアス280によって発生される直流電流バイアス232が印加される、抵抗としてモデル化することができる。リード/ライトヘッド組立体276がディスク板278と接触した場合は、運動エネルギーが放出され、結果としてヘッドディスクインターフェース・センサ288の基板温度の上昇を生じる。この温度の上昇はヘッドディスクインターフェース・センサ288の抵抗を変化させ、それによってヘッドディスクインターフェース・センサ288の両端の電圧降下が変化する。ヘッドディスクインターフェース・センサ288の抵抗の変化は、センサの温度係数の符号に応じて増加又は減少となり得る。また抵抗の変化は、ヘッドディスクインターフェース・センサ288の両端に生じる電圧の変化、又はヘッドディスクインターフェース・センサ288を通る電流の変化を監視することによって検出できることに留意されたい。本明細書に記載された開示に基づいて当業者なら、本発明の異なる実施形態に関連して用いることができる多様なヘッドディスクインターフェース・センサが理解されよう。例えばヘッドディスクインターフェース・センサ288は、抵抗に印加される低帯域幅の電圧を使用し、電圧又は電流の変化が検知される。
【0028】
一部の場合には電気信号238はヘッドディスクインターフェース・センサ288を通る電流を表す電流を含む。この電流は増幅することができ、増幅された電流はプリアンプ270内の基準抵抗器(図示せず)に通されて、ヘッドディスクインターフェース・センサ288の両端間の抵抗に従って伝わる電圧を生じる。この基準電圧は、プリアンプ内の比較器(図示せず)に供給され、比較器は基準電圧を閾値電圧と比較する。基準電圧が閾値電圧を超える場合は、プリアンプ270は、リード/ライトヘッド組立体276とディスク板278の間の接触が起きたことを示す信号をリードチャネル210に供給する。有利には、このような手法は、接触検出をプリアンプ270内に包含する。しかしこのような手法は、軽微な接触のみに対応する接触の事象は、基準電圧が閾値電圧を超えない場合があるので検出できない場合がある。
【0029】
プリアンプ270のチップ面積及び電力消費の制約、及び/又はプロセス技術の制約により、より高度な接触検出システムをリード/ライトヘッド組立体276内に実装できない場合があり得る。本発明の一部の実施形態では、プリアンプ270は、増幅しリードチャネル210に供給するために、リードヘッド286からの電気信号236、又はヘッドディスクインターフェース・センサ288からの電気信号238のいずれかを選択するように変更することができる。このような場合には、増幅された電気信号236を処理してディスク板278に初めに書き込まれたデータをもたらすために一般に用いられるリードチャネル210内に含まれる回路を用いて、増幅された電気信号238を処理して接触事象が起きたかどうか及び接触事象の重大さを判定することができる。先に述べた最も簡単な形での閾値検出の方法は、接触事象が起きたことを示す2進表示しか生じないが、リードチャネル210による処理は、接触事象が起きたことを判定するだけでなく、電気信号238から得られた値に基づいて接触事象の大きさを定量化することができる。
【0030】
ヘッドディスクインターフェース・センサ288からの電気信号238と、リードヘッド286からの電気信号236の切り換えは、当技術分野で知られている任意のタイプのスイッチを用いて行うことができる。スイッチはリード/ライトヘッド組立体276への外部入力を通じて管理することができる。このピンは、リードチャネル210による処理の前に、又はリードチャネル210による処理の後に、リードヘッド286の出力に基づいて駆動することができる。動作時には、ヘッドディスクインターフェース・センサ288から生じたデータを処理するときは、ディスク板278上のサーボデータを処理するために、リードヘッド286から生じたデータの処理への断続的な切り換えが望ましい場合がある。このようなサーボデータの断続的処理により、リード/ライトヘッド組立体276がディスク板278に対してどこに配置されているかを特定することが可能になる。このような位置情報が得られる場合は、リードチャネル210によって発生される接触情報は、接触に関連する位置情報を含むように補うことができる。この位置が補われた接触情報は上位のホストに供給することができ、ホストは、その位置のその後の使用を避けるために、接触が生じる特定の位置をマッピングすることができる。これによりディスク板278の損傷した部分を使用することによるデータの損失の可能性を避けられ、且つ/又はディスク板278の再接触が特定された位置となる可能性が低減される。
【0031】
図3aを参照すると、本発明の様々な実施形態による記憶システム200のプリアンプ、リードチャネル、及びリード/ライトヘッド組立体の全体にわたって分散された接触検出回路300のブロック図が示される。接触検出回路300は、リード/ライトヘッド組立体276に含まれるヘッドディスクインターフェース・センサ288を包含する。更に、リードヘッド286が含まれる。ヘッドディスク・センサバイアス280は、先に述べたようにヘッドディスクインターフェース・センサ288に印加される。リードヘッド286からの電気信号236はプリアンプ270の一部として組み込まれるリードプリアンプ回路310に供給される。リードプリアンプ回路310はリードヘッドから電気信号を受け取り、それを下流側のリードチャネルによる使用のために増幅することができる、当技術分野で知られている任意の増幅器回路でよい。本発明の特定の一実施形態では、リードプリアンプ回路310は、ハイパスフィルタを組み込んだ低雑音増幅器とそれに続くプログラマブル利得増幅器を含む。本明細書に記載された開示に基づいて当業者なら、電気信号232を受け取り増幅するために本発明の異なる実施形態に関連して用いることができる他の回路が理解されよう。
【0032】
ヘッドディスクインターフェース・センサ288からの電気信号238は、プリアンプ270の一部として組み込まれているヘッドディスクインターフェース・センサ回路315に供給される。ヘッドディスクインターフェース・センサ回路315はヘッドディスクインターフェースから電気信号を受け取り、それを下流側のリードチャネルによる使用のために増幅することができる、当技術分野で知られている任意の増幅器回路でよい。本発明の特定の一実施形態では、ヘッドディスクインターフェース・センサ回路315は、ハイパスフィルタを組み込んだ低雑音増幅器とそれに続くプログラマブル利得増幅器を含む。本明細書に記載された開示に基づいて当業者なら、電気信号238を受け取り増幅するために本発明の異なる実施形態に関連して用いることができる他の回路が理解されよう。
【0033】
ヘッドディスクインターフェース・センサ回路315の出力はアナログマルチプレクサ320の入力Bに供給され、リードプリアンプ回路310の出力はアナログマルチプレクサ320の入力Aに供給される。アナログマルチプレクサ320のセレクタ入力(S)はHDIモード選択信号305によって駆動される。アナログマルチプレクサは、選択されたヘッドディスクインターフェース・センサ回路315の出力、又はリードプリアンプ回路310の出力をリードプリアンプ出力ドライバ325に供給する。リードプリアンプ出力ドライバは受け取った信号を操作し、リードチャネル210の信号処理回路335が必要とする特性を有した対応する信号を供給する。本明細書に記載された開示に基づいて当業者なら、具体的な設計特性に応じてリードプリアンプ出力ドライバ325の代わりに用いることができる多様な駆動回路が理解されよう。
【0034】
HDIモード選択信号305は、標準の読み出しデータ処理(即ちリードヘッド286から生じたデータの処理)と、接触データ処理(即ちヘッドディスクインターフェース・センサ288から生じたデータの処理)の切り換えを受け持つ。本発明の一部の実施形態では、HDIモード選択信号305は、コンピュータ可読媒体(図示せず)上に保持された命令を実行するプロセッサ(図示せず)によって発生される。一部の場合にはHDIモード選択信号305は、リードチャネル210による処理の前に、又はリードチャネル210による処理の後に、リードヘッド286から生じたデータに基づいて駆動される。他の場合にはHDIモード選択信号305はユーザ入力によって手動で選択される。一部の場合には手動による選択は上記のプロセッサによって駆動される。本明細書に記載された開示に基づいて当業者なら、HDIモード選択信号305をアサートするレベルを制御しそれによってアナログマルチプレクサ320から選択された出力を制御するために使用することができる、多様なドライバ及び/又は駆動条件が理解されよう。
【0035】
信号処理回路335はリードヘッド286から生じたデータを受け取り、サーボデータを処理することによって記憶媒体上の位置を特定し、書き込み回路によってディスク板に初めに書き込まれたデータを復元することができる、当技術分野で知られている任意の信号処理回路でよい。復元された元のデータは、読み出しデータ出力203としてもたらされる。本発明の特定の一実施形態では、信号処理回路335は、当技術分野で知られているような1つ以上のデータ検出器回路、及び/又は当技術分野で知られているような1つ以上のデコーダ回路を含むことができる。本明細書に記載された開示に基づいて当業者なら、本発明の異なる実施形態に関連して信号処理回路を実装するために用いることができる多様な回路が理解されよう。
【0036】
信号処理回路335は、ヘッドディスクインターフェース・センサ288から生じたデータを処理するように再構成可能である。これは受け取った信号内の異常を判定し、ディスク板に対する異常の位置を特定し、異常が接触事象を示唆する場合にその事象を報告することを含む。特定された事象とその位置は、接触事象検出出力202としてもたらされる。このデータは、ディスク板上の問題のある区域をマッピングするように動作可能なプロセッサ又は他のコントローラに供給することができる。
【0037】
図3bを参照すると、本発明の他の実施形態による記憶システム200のプリアンプ、リードチャネル、及びリード/ライトヘッド組立体の全体にわたって分散された別の接触検出回路399のブロック図が示される。接触検出回路399は接触検出回路300とほぼ同様であるが、接触検出回路399は、リードヘッド286及びヘッドディスクインターフェース・センサ288から生じた両方のデータを操作するために、リードアンプ回路310を用いる点が異なる。これはリードアンプ回路310をアナログマルチプレクサ320の入力側からアナログマルチプレクサ320の出力側に移動することによって行われる。
【0038】
図4を参照すると、流れ
図400は、本発明の様々な実施形態によるリードチャネル・データ処理回路を用いてヘッド接触センサデータを処理する方法を示す。流れ
図400に従って、ディスク板に対するヘッド位置が既知であるかどうかが判定される(ブロック440)。位置が既知でない場合(ブロック440)は、位置を求める処理が開始される。具体的には、読み出しデータ処理が選択される(ブロック445)。これは、プリアンプ回路から供給されるデータから、リード/ライトヘッド組立体のリードヘッドから生じたデータへの切り換えを含む。このリードヘッドから生じたデータはデータ処理回路に供給され、そこでは標準のデータ処理が適用される。これは、ディスク板を周るように分散されたサーボデータ領域からのサーボデータの検出及び処理を含む(ブロック450)。これは、サーボデータを検出し処理するための当技術分野で知られている任意のプロセスを用いて行うことができる。この処理されたサーボデータは、リード/ライトヘッド組立体がディスク板に対してどこに配置されているかの表示をもたらす。
【0039】
ディスク板に対するヘッド位置が既知の場合(ブロック440)、又はヘッド位置が新たに確立された場合(ブロック445、450)も、ヘッド接触処理が選択されているかどうかが判定される(ブロック405)。ヘッド接触処理は、リードヘッドから生じたデータの代わりに、リード/ライトヘッド組立体のヘッドディスクインターフェースから生じたデータを選択することを含む。従ってヘッド接触処理が選択されている場合は(ブロック405)、ヘッドディスクインターフェース・センサからのデータは、プリアンプによってデータ処理回路に送られる(ブロック410)。データ処理回路は、ヘッドディスクインターフェース・センサから生じたデータを処理する(ブロック415)。この処理は、ヘッドディスクインターフェース・センサの電圧又は電流出力の大きさを判定する。このデータ処理は、ノイズ低減処理及び/又は平均化を含む。本明細書に記載された開示に基づいて当業者なら、ヘッドディスクインターフェース・センサから生じたデータを処理するために用いることができる多様な手法が理解されよう。
【0040】
次いで処理されたデータが、1つ以上の閾値を超えたかどうかが判定される(ブロック420)。このような閾値はプログラマブルとすることができ、リード/ライトヘッド組立体との接触が生じたかどうか、及び接触の大きさを示すために用いられる。接触が検出された場合は(ブロック420)、ホストに対して接触事象信号がアサートされ(ブロック425)、報告された接触の位置を特定する位置情報がホストに供給される(ブロック430)。このような場合にはホストは、例えばコンピュータ可読媒体に通信可能に結合されたプロセッサとすることができる。コンピュータ可読媒体は、タスクを行うためにプロセッサによって実行される命令を含む。1つの場合には、行われるタスクは、ディスク板上の接触位置を避けることができるように、その位置をマッピングすることを含む。これにより発生する接触事象の数を制限し、且つ/又はデータ損失を避けることができる。接触事象が特定されない場合(ブロック420)、又は接触情報が報告された場合(ブロック425、430)も、プロセスが報告される。
【0041】
あるいはヘッド接触処理が選択されていない場合(ブロック405)は、読み出しデータが処理される。これはリード/ライトヘッド組立体のリードヘッドから生じたデータをデータ処理回路に送ることを含む(ブロック450)。このリードヘッドからのデータは、ディスク板に初めに書き込まれたデータを復元するための当技術分野で知られている手法を用いてデータ処理回路によって処理される(ブロック455)。次いでリードヘッドから生じたデータが、初めに書き込まれたデータに収束したかどうかが判定される(ブロック460)。データが収束した場合は(ブロック460)、復元された読み出しデータはそれを要求するホストに供給される(ブロック430)。あるいはデータが収束しなかった場合は(ブロック460)、データエラーが発行される(ブロック465)。
【0042】
最後に、本発明は、記憶媒体との接触を検出するための新規なシステム、装置、方法、フォーマット、及び構成を提供する。本発明の1つ以上の実施形態についての詳細な説明を上記に述べてきたが、当業者には本発明の趣旨から変わることなく、様々な代替形態、変更形態、及び等価物が明らかであろう。従って上記の説明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。