特許第5698021号(P5698021)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698021
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】眼科用ドレープ
(51)【国際特許分類】
   A61B 19/08 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
   A61B19/08 502
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2011-25629(P2011-25629)
(22)【出願日】2011年2月9日
(65)【公開番号】特開2012-161542(P2012-161542A)
(43)【公開日】2012年8月30日
【審査請求日】2013年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雅也
【審査官】 村上 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−284385(JP,A)
【文献】 特開2009−153547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科用ドレープであって、
患者の顔面の上部を覆うとともに前記患者の目に対応する開口が形成された上部被覆部と、
前記上部被覆部に連続するとともに前記患者の顔面の下部を覆う下部被覆部と、
前記下部被覆部に固定された展開用把持部と、
を備え、
前記下部被覆部が、使用前の状態において、前記患者の鼻部または口部に対応する位置にて左右方向に延びる第1折り畳み線および第2折り畳み線にて折り畳まれた折り畳み部を有し、
前記第1折り畳み線の両側の部位が、不潔領域に面する不潔面同士を対向させ、
前記第2折り畳み線の両側の部位が、清潔領域に面する清潔面同士を対向させ、
前記展開用把持部の一端が、前記第2折り畳み線近傍にて前記清潔面に接合され、前記展開用把持部が、前記第2折り畳み線から前記第1折り畳み線に向かって、前記第2折り畳み線の前記両側の部位の間から前記第1折り畳み線を越えて延び
前記展開用把持部の他端が引っ張られることにより、前記折り畳み部が展開されることを特徴とする眼科用ドレープ。
【請求項2】
請求項1に記載の眼科用ドレープであって、
前記展開用把持部の前記一端が、前記第2折り畳み線の一方側の部位のみに接合されることを特徴とする眼科用ドレープ。
【請求項3】
請求項1に記載の眼科用ドレープであって、
前記展開用把持部の前記一端が、複数の分割端に分割されており、
前記複数の分割端のうち一の分割端が、前記第2折り畳み線の一方側の部位に接合され、他の分割端が、前記第2折り畳み線の他方側の部位に接合されることを特徴とする眼科用ドレープ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の眼科用ドレープであって、
前記下部被覆部に固定されたもう1つの展開用把持部をさらに備え、
前記下部被覆部が、前記患者の鼻部または口部に対応する位置にて前記左右方向に延びる第3折り畳み線および第4折り畳み線にて折り畳まれたもう1つの折り畳み部をさらに有し、
前記第3折り畳み線の両側の部位が、前記不潔面同士を対向させ、
前記第4折り畳み線の両側の部位が、前記清潔面同士を対向させ、
前記下部被覆部を展開した場合に、前記第1折り畳み線、前記第2折り畳み線、前記第3折り畳み線および前記第4折り畳み線が、この順にて上下方向に並び、
前記もう1つの展開用把持部の一端が、前記第4折り畳み線近傍にて前記清潔面に接合され、前記もう1つの展開用把持部が、前記第4折り畳み線から前記第3折り畳み線に向かって、前記第4折り畳み線の前記両側の部位の間から前記第3折り畳み線を越えて延びることを特徴とする眼科用ドレープ。
【請求項5】
請求項4に記載の眼科用ドレープであって、
前記展開用把持部と、前記もう1つの展開用把持部とが、他端にて、または、他端に至る途中にて互いに接合されることを特徴とする眼科用ドレープ。
【請求項6】
眼科用ドレープであって、
患者の顔面の上部を覆うとともに前記患者の目に対応する開口が形成された上部被覆部と、
前記上部被覆部に連続するとともに患者の顔面の下部を覆う下部被覆部と、
前記下部被覆部に固定された展開用把持部と、
を備え、
前記下部被覆部が、
使用前の状態において、前記患者の鼻部または口部に対応する位置にて左右方向に延びる第1折り畳み線および第2折り畳み線にて折り畳まれた折り畳み部と、
使用前の状態において、前記患者の鼻部または口部に対応する位置にて左右方向に延びる第3折り畳み線および第4折り畳み線にて折り畳まれたもう1つの折り畳み部と、
を有し、
前記第1折り畳み線の両側の部位および前記第4折り畳み線の両側の部位が、不潔領域に面する不潔面、または、清潔領域に面する清潔面のいずれか一方の面同士を対向させ、
前記第2折り畳み線の両側の部位および前記第3折り畳み線の両側の部位が、前記不潔面および前記清潔面のうちの他方の面同士を対向させ、
前記下部被覆部を展開した場合に、前記第1折り畳み線、前記第2折り畳み線、前記第3折り畳み線および前記第4折り畳み線が、この順にて上下方向に並び、
前記展開用把持部の一端が、前記第2折り畳み線と前記第3折り畳み線との間にて前記清潔面に接合され、前記展開用把持部が、前記第1折り畳み線または前記第4折り畳み線を越えて延び
前記展開用把持部の他端が引っ張られることにより、前記折り畳み部および前記もう1つの折り畳み部が展開されることを特徴とする眼科用ドレープ。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の眼科用ドレープであって、
前記下部被覆部の少なくとも前記患者の鼻部および口部に対応する部位が通気性を有さないことを特徴とする眼科用ドレープ。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の眼科用ドレープであって、
前記上部被覆部に固定され、前記顔面と前記上部被覆部との間に空間を形成する保形部材をさらに備えることを特徴とする眼科用ドレープ。
【請求項9】
請求項8に記載の眼科用ドレープであって、
前記保形部材が、使用時に前記患者の鼻部上において前記左右方向に延びる帯状部材を含むことを特徴とする眼科用ドレープ。
【請求項10】
請求項8または9に記載の眼科用ドレープであって、
前記保形部材が、使用時に前記患者の鼻部から口部に向かって延びる帯状部材を含むことを特徴とする眼科用ドレープ。
【請求項11】
請求項8ないし10のいずれかに記載の眼科用ドレープであって、
前記保形部材が樹脂により形成されることを特徴とする眼科用ドレープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科用ドレープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、手術室において外科手術等の医療処置が行われる際には、不潔領域と定められる患者の体表を医療用のドレープにて覆い、清潔領域を当該不潔領域から隔離することが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1では、眼科手術用ドレープにおいて、患者の鼻部および口部近傍に対応する位置に支持体を設け、当該支持体を湾曲させることにより、眼科手術用ドレープのシート体と患者の鼻孔部および口部との間に空間を形成する技術が開示されている。これにより、呼吸が苦しい等の不快感を患者に与えることが抑制される。特許文献1の眼科手術用ドレープでは、支持体近傍に、シート体を弛ませることにより形成される弛み部が設けられ、弛み部に指先等を挿入して支持体を裏面側から変形させることが提案されている。また、支持体を変形させた後、弛み部を引き出すことにより、シート体と患者の鼻孔部および口部との間に新たな空間が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−284385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の眼科手術用ドレープでは、支持体を裏面側から変形させる必要があるため、弛み部は支持体に重なる位置にて、支持体の裏面側に設けられる必要がある。このため、弛み部の配置の自由度が少なく、弛み部を引き出すことにより形成される空間を、患者の不快感低減のために適切な位置に配置することが容易ではない。また、弛み部を引き出す際に、弛み部の一部を摘む必要があるが、弛み部は医師から見て奥まった位置にあるため容易に視認できず、さらに、シート体の表面は滑らかで摘みにくい。このため、弛み部を引き出して患者の鼻下部に空間を形成することは容易ではない。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、眼科用ドレープにて顔面を覆われた患者の鼻下部に空間を容易に形成し、患者が容易に呼吸することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、眼科用ドレープであって、患者の顔面の上部を覆うとともに前記患者の目に対応する開口が形成された上部被覆部と、前記上部被覆部に連続するとともに前記患者の顔面の下部を覆う下部被覆部と、前記下部被覆部に固定された展開用把持部とを備え、前記下部被覆部が、使用前の状態において、前記患者の鼻部または口部に対応する位置にて左右方向に延びる第1折り畳み線および第2折り畳み線にて折り畳まれた折り畳み部を有し、前記第1折り畳み線の両側の部位が、不潔領域に面する不潔面同士を対向させ、前記第2折り畳み線の両側の部位が、清潔領域に面する清潔面同士を対向させ、前記展開用把持部の一端が、前記第2折り畳み線近傍にて前記清潔面に接合され、前記展開用把持部が、前記第2折り畳み線から前記第1折り畳み線に向かって、前記第2折り畳み線の前記両側の部位の間から前記第1折り畳み線を越えて延び、前記展開用把持部の他端が引っ張られることにより、前記折り畳み部が展開される
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の眼科用ドレープであって、前記展開用把持部の前記一端が、前記第2折り畳み線の一方側の部位のみに接合される。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の眼科用ドレープであって、前記展開用把持部の前記一端が、複数の分割端に分割されており、前記複数の分割端のうち一の分割端が、前記第2折り畳み線の一方側の部位に接合され、他の分割端が、前記第2折り畳み線の他方側の部位に接合される。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の眼科用ドレープであって、前記下部被覆部に固定されたもう1つの展開用把持部をさらに備え、前記下部被覆部が、前記患者の鼻部または口部に対応する位置にて前記左右方向に延びる第3折り畳み線および第4折り畳み線にて折り畳まれたもう1つの折り畳み部をさらに有し、前記第3折り畳み線の両側の部位が、前記不潔面同士を対向させ、前記第4折り畳み線の両側の部位が、前記清潔面同士を対向させ、前記下部被覆部を展開した場合に、前記第1折り畳み線、前記第2折り畳み線、前記第3折り畳み線および前記第4折り畳み線が、この順にて上下方向に並び、前記もう1つの展開用把持部の一端が、前記第4折り畳み線近傍にて前記清潔面に接合され、前記もう1つの展開用把持部が、前記第4折り畳み線から前記第3折り畳み線に向かって、前記第4折り畳み線の前記両側の部位の間から前記第3折り畳み線を越えて延びる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の眼科用ドレープであって、前記展開用把持部と、前記もう1つの展開用把持部とが、他端にて、または、他端に至る途中にて互いに接合される。
【0012】
請求項6に記載の発明は、眼科用ドレープであって、患者の顔面の上部を覆うとともに前記患者の目に対応する開口が形成された上部被覆部と、前記上部被覆部に連続するとともに患者の顔面の下部を覆う下部被覆部と、前記下部被覆部に固定された展開用把持部とを備え、前記下部被覆部が、使用前の状態において、前記患者の鼻部または口部に対応する位置にて左右方向に延びる第1折り畳み線および第2折り畳み線にて折り畳まれた折り畳み部と、使用前の状態において、前記患者の鼻部または口部に対応する位置にて左右方向に延びる第3折り畳み線および第4折り畳み線にて折り畳まれたもう1つの折り畳み部とを有し、前記第1折り畳み線の両側の部位および前記第4折り畳み線の両側の部位が、不潔領域に面する不潔面、または、清潔領域に面する清潔面のいずれか一方の面同士を対向させ、前記第2折り畳み線の両側の部位および前記第3折り畳み線の両側の部位が、前記不潔面および前記清潔面のうちの他方の面同士を対向させ、前記下部被覆部を展開した場合に、前記第1折り畳み線、前記第2折り畳み線、前記第3折り畳み線および前記第4折り畳み線が、この順にて上下方向に並び、前記展開用把持部の一端が、前記第2折り畳み線と前記第3折り畳み線との間にて前記清潔面に接合され、前記展開用把持部が、前記第1折り畳み線または前記第4折り畳み線を越えて延び、前記展開用把持部の他端が引っ張られることにより、前記折り畳み部および前記もう1つの折り畳み部が展開される
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の眼科用ドレープであって、前記下部被覆部の少なくとも前記患者の鼻部および口部に対応する部位が通気性を有さない。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の眼科用ドレープであって、前記上部被覆部に固定され、前記顔面と前記上部被覆部との間に空間を形成する保形部材をさらに備える。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の眼科用ドレープであって、前記保形部材が、使用時に前記患者の鼻部上において前記左右方向に延びる帯状部材を含む。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項8または9に記載の眼科用ドレープであって、前記保形部材が、使用時に前記患者の鼻部から口部に向かって延びる帯状部材を含む。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項8ないし10のいずれかに記載の眼科用ドレープであって、前記保形部材が樹脂により形成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、患者の鼻下部に空間を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施の形態に係るドレープの平面図である。
図2】ドレープの部分断面図である。
図3】ドレープの平面図である。
図4】使用中のドレープの側面図である。
図5】鼻部近傍の図である。
図6.A】第2の実施の形態に係るドレープの部分断面図である。
図6.B】ドレープの一部を拡大して示す図である。
図7】展開用把持部の平面図である。
図8】第3の実施の形態に係るドレープの平面図である。
図9】ドレープの平面図である。
図10】使用中のドレープの側面図である。
図11】第4の実施の形態に係るドレープの平面図である。
図12】ドレープの部分断面図である。
図13】使用中のドレープの側面図である。
図14】第5の実施の形態に係るドレープの部分断面図である。
図15】他のドレープの平面図である。
図16】他のドレープの平面図である。
図17】保形部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る眼科用ドレープ1(以下、単に「ドレープ1」という。)の使用前の状態を示す平面図である。ドレープ1は、滅菌処理が施されたシート状部材であり、手術室や処置室等の医療施設内において、手術等の医療処置が行われる患者の顔面等を覆うことにより、不潔領域である患者の体表から清潔領域を隔離する。図1中の左右方向は患者の顔面の左右方向に対応し、図1中の上下方向は患者の顔面の左右方向に垂直な上下方向(すなわち、鼻部が延びる方向)に対応する。
【0021】
図1に示すように、ドレープ1は、患者の一方の目に対応する開口20が形成された略矩形のシート部2、並びに、シート部2の患者側とは反対側の主面21(すなわち、清潔領域に面する清潔面であり、以下、「表面21」という。)に固定された保形部材3、展開用把持部4および医療用パウチ5を備える。医療用パウチ5は、手術時における術野からの液体(例えば、血液や体液、術野の洗浄に利用された生理食塩水等)を受ける、いわゆる受水袋であり、受液口51がドレープ1の開口20を向くように開口20近傍に両面粘着テープ等で固定される。
【0022】
シート部2の患者に対向する主面22(すなわち、不潔領域に面する不潔面であり、以下、「裏面22」という。)には、開口20の周囲に粘着層23が形成されている。ドレープ1により患者の顔面を覆う際には、医療処置が行われる一方の目に開口20が重なるようにシート部2が配置され、目がシート部2から露出する。そして、粘着層23が目の周囲の皮膚に貼付される。これにより、ドレープ1により患者の顔面が覆われた状態で、開口20を介して処置対象部位である目に容易にアクセスすることができる。
【0023】
シート部2は、好ましくは、不織布やプラスチックフィルムにより形成される。本実施の形態では、シート部2はプラスチックフィルムにより形成されるため、実質的に通気性を有さない。シート部2をこのような構造とすることにより、シート部2の表面21に付着した血液等が、シート部2の上から力が加わった場合等にシート部2を通過し、当該血液等によりシート部2の表面21と裏面22とが連通してしまう(すなわち、清潔領域と不潔領域との間に当該血液等による通り道が形成されてしまう)ことが防止される。シート部2の厚さは、好ましくは、200μm〜500μmである。シート部2の厚さを200μm以上とすることにより、ドレープ1の強度を十分に確保することができ、シート部2の厚さを500μm以下とすることにより、ドレープ1の風合いを柔らかくすることができる。
【0024】
図2は、ドレープ1を図1中のA−Aの位置にて切断した断面の一部を示す図である。図1および図2に示すように、シート部2は、開口20の図1中の上側および下側に位置する2つの折り畳み部24を有する。各折り畳み部24は、患者の鼻部または口部に対応する位置にて左右方向に延びる2本の折り畳み線241a,241bにて折り畳まれる。各折り畳み部24では、折り畳み部24を展開した状態において、折り畳み線241aが折り畳み線241bよりも開口20に近い。以下の説明では、折り畳み線241a,241bをそれぞれ、「第1折り畳み線241a」および「第2折り畳み線241b」という。
【0025】
シート部2では、第1折り畳み線241aの両側の部位(すなわち、第1折り畳み線241aが境界となる2つの部位)が、裏面22が対向するように折り返され、第2折り畳み線241bの両側の部位が、表面21が対向するように折り返される。これにより、折り畳み部24が形成される。換言すれば、折り畳み部24は、シート部2が裏面22側に折り重ねられるようにして形成される。
【0026】
図2に示すように、各折り畳み部24の第1折り畳み線241aと第2折り畳み線241bとの間ではシート部2が3層に重なっており、当該3つの層(すなわち、第1折り畳み線241aおよび第2折り畳み線241bのそれぞれの両側の部位)は、図1中に平行斜線を付して示すように、折り畳み部24の左右方向の両端部において両面粘着テープ等により互いに接合される。以下の説明では、折り畳み部24の両端部をそれぞれ「折り畳み端部243」という。折り畳み端部243における接合は、熱圧着や超音波圧着、または、ホットメルト接着剤による接着により行われてもよい。
【0027】
一方、折り畳み部24の左右方向における中央部(すなわち、2つの折り畳み端部243の間にて2つの折り畳み端部243に連続する部位であり、以下、「折り畳み中央部242」という。)では、折り畳み部24の重ねられた3つの層は接合されない。折り畳み中央部242の左右方向の幅は、好ましくは、30cm以上80cm以下であり、より好ましくは、40cm以上60cm以下である。換言すれば、折り畳み中央部242の左右方向の幅は、通常の成人の鼻部および口部近傍における顔の幅の約2〜5倍であることが好ましい。
【0028】
保形部材3は、上下方向において開口20と各折り畳み部24との間に位置する(すなわち、後述する上部被覆部25に設けられた)2つの帯状部材31を備える。各帯状部材31は、シート部2の左右方向のおよそ中央、すなわち、折り畳み中央部242の左右方向のおよそ中央に配置される。帯状部材31は、好ましくは、容易に塑性変形可能な(すなわち、形状が容易に変更可能な)樹脂により形成され、本実施の形態では、ポリエチレン等により形成される。
【0029】
帯状部材31は、左右方向に延びる直線状の部材であり、およそ全長に亘ってシート部2の表面21に粘着テープ等により接合される。帯状部材31の左右方向の長さは、折り畳み中央部242の左右方向の長さよりも小さく、折り畳み中央部242の左右方向の両端部は、帯状部材31の両端部よりも左右方向の外側に位置する。ドレープ1の使用前の状態においては、シート部2全体が小さく折り畳まれており(例えば、上下左右に折り畳まれており)、帯状部材31はおよそ中央において2つ折りにされる。なお、シート部2は、線状かつ平坦な帯状部材31を変形させることなく、小さく折り畳まれてもよい。
【0030】
2つの折り畳み中央部242にはそれぞれ、不織布により形成された帯状の展開用把持部4が設けられる。展開用把持部4は、折り畳み中央部242の左右方向のおよそ中央において上下方向に延びる。図1および図2に示すように、展開用把持部4は、折り畳み部24の3つの層のうち第2折り畳み線241bの両側の部位である2層の間に配置され、折り畳み部24から開口20とは反対側に突出する。展開用把持部4の一端(すなわち、開口20に近い側の端部41)は、図1中において平行斜線を付して示すように、第2折り畳み線241b近傍にてシート部2の表面21に接合される。換言すれば、展開用把持部4は、第2折り畳み線241bから第1折り畳み線241aに向かって、第2折り畳み線241bの両側の部位の間から第1折り畳み線241aを越えて延びる。
【0031】
以下の説明では、展開用把持部4のシート部2に固定される端部41を、「固定端41」という。また、固定端41とは反対側の端部42を、「自由端42」という。図2に示すように、展開用把持部4では、固定端41以外の部位は、シート部2と非接合である。固定端41は、第2折り畳み線241bの近傍において、第2折り畳み線241bの第1折り畳み線241aとは反対側の部位のみに、ホットメルト接着剤等により接合される。第2折り畳み線241bの近傍とは、折り畳み部24を平面視した際に、第1折り畳み線241aよりも第2折り畳み線241bに近い位置、または、第2折り畳み線241bに重なる位置を意味する。本実施の形態では、展開用把持部4の固定端41側のエッジは、第2折り畳み線241bにおよそ一致する。
【0032】
ドレープ1の製造では、展開用把持部4の固定端41において、一方の面のみにホットメルト接着剤が塗布される。続いて、予め折り畳まれている折り畳み部24において、第2折り畳み線241bの両側の部位である2層の間が少し広げられ、当該2層の間に展開用把持部4が固定端41側から挿入される。展開用把持部4の固定端41側のエッジが第2折り畳み線241bにおよそ一致すると、折り畳み部24の第2折り畳み線241b近傍が押圧され、展開用把持部4の固定端41が、ホットメルト接着剤によりシート部2に接合される。ドレープ1では、展開用把持部4の固定端41が、第2折り畳み線241bの一方側の部位のみに接合されるため、上述のような簡素な方法で展開用把持部4をシート部2に容易に接合することができる。
【0033】
図3は、ドレープ1が患者の顔面90上に広げられた状態を示す平面図である。図3では、シート部2の開口20が患者の左目に重なるようにドレープ1が配置され、図3中の下側の帯状部材31が、患者の鼻部91上において鼻部91を横切るように左右方向に延びる。また、図3中の下側の折り畳み部24が、患者の鼻下部911および口部93上に配置される。ドレープ1では、患者の顔面90の下部を覆う下部被覆部26が、使用前の状態において折り畳まれた折り畳み部24を有する。また、2つの折り畳み部24の間にて2つの折り畳み部24に連続する部位25が、患者の顔面90の上部を覆うとともに開口20が形成された上部被覆部25となる。保形部材3の帯状部材31は、ドレープ1の上部被覆部25に固定され、展開用把持部4の固定端41は、下部被覆部26の折り畳み部24に固定される。折り畳み部24では、折り畳み中央部242の左右方向の中心は、患者の顔面90の左右方向に垂直な中心線(すなわち、鼻梁を通る線)におよそ一致する。
【0034】
ドレープ1の使用時には、展開用把持部4の自由端42が、医師や看護士等により把持されて患者の顔面90から離れる方向に引っ張られることにより、下側の折り畳み部24の折り畳み中央部242が、顔面90から離れる方向に引き上げられて広げられる(すなわち、展開される)。また、開口20の下側の帯状部材31が、医師や看護士等により摘まれて顔面90から離れるように湾曲される。図4は、使用中のドレープ1の側面図であり、図5は、患者の鼻部91近傍を下側(すなわち、口部93側)から見た図である。図5では、帯状部材31の位置でのドレープ1の断面を示す。図4に示すように、折り畳み部24では、折り畳み中央部242が展開されることにより、折り畳み中央部242が患者の鼻部91および口部93から離れる方向に立体的に(すなわち、ドーム状に)突出する。これにより、患者の顔面90とシート部2との間に、鼻下部911および口部93から左右の頬部92に至る空間951が形成される。
【0035】
患者の鼻部91上において左右方向に延びる帯状部材31は、左右方向の両端部を除く部位が鼻部91から離間するように変形した状態で形状が維持され、シート部2の上部被覆部25が患者の鼻部91およびその近傍から離間する。これにより、図4に示すように、上部被覆部25と患者の顔面90との間に、空間951から連続する空間952が形成される。以下の説明では、シート部2と顔面90との間の空間951,952を合わせて空間95ともいう。
【0036】
ドレープ1では、展開用把持部4が把持されて引っ張られることにより、図4に示すように、折り畳み中央部242を容易に展開し、患者の鼻下部911に空間951を容易に形成することができる。これにより、シート部2が患者の鼻下部911、口部93および頬部92に密着することなく離間する。折り畳み部24では、折り畳み中央部242の左右方向の幅が30cm以上(より好ましくは、40cm以上)であるため、折り畳み部24の展開により十分な大きさの空間951を形成することができる。その結果、シート部2の鼻下部911、口部93および頬部92に対する密着が防止され、空間951を介して患者が容易に呼吸することが可能となる。また、折り畳み中央部242の左右方向の幅が80cm以下(より好ましくは、60cm以下)であるため、展開された折り畳み部24の形状を容易に保持し、空間951を容易に維持することができる。
【0037】
また、ドレープ1では、保形部材3の変形により、空間951に連続する空間952を鼻部91上に形成することにより、空間95を介して患者がより容易に呼吸することが可能となる。保形部材3は、その形状を容易に変更して維持することができるため、様々な患者の顔面形状に合わせて適切な呼吸用の空間95を容易に形成することができる。さらに、折り畳み中央部242の展開により、保形部材3をあまり大きく変形させることなく空間95を確保することができるため、ドレープ1の使用の際における保形部材3の変形作業を簡素化することができる。
【0038】
ドレープ1では、保形部材3が、使用時に患者の鼻部91上において左右方向に延びる帯状部材31を備えることにより、シート部2を患者の鼻部91から確実に離間させることができ、その結果、空間95がより確実に維持される。さらに、帯状部材31が上部被覆部25の開口20と折り畳み部24との間に配置されることにより、折り畳み中央部242の展開が帯状部材31により阻害されることが防止される。
【0039】
このように、ドレープ1は、シート部2と患者の鼻下部911、口部93および頬部92との密着を防止して患者の呼吸を容易にすることができるため、実質的に通気性を有さないシート部2(少なくとも、患者の鼻部91および口部93に対応する部位が通気性を有さないシート部2)を備えるドレープに特に適している。
【0040】
ドレープ1では、保形部材3が樹脂により形成されるため、主に不織布やプラスチックフィルム等により形成されるシート部2と保形部材3とを分別することなくドレープ1を廃棄することができる。これにより、ドレープ1の廃棄に要する作業を簡素化することができる。
【0041】
ドレープ1は患者の左右いずれの目の手術にも利用可能であり、患者の右目の手術が行われる場合には、ドレープ1は図3に示す状態からドレープ1に垂直な軸を中心に水平面内にて180°回転した状態で患者の顔面90上に配置される。そして、図3中の上側の折り畳み部24に固定された展開用把持部4が引っ張られて折り畳み中央部242が展開されるとともに、図3中の上側に位置する帯状部材31が変形される(以下の実施の形態に係るドレープにおいても同様。)。これにより、上記と同様に、折り畳み部24が患者の鼻部91および口部93から離間してドーム状に突出し、患者の顔面90とシート部2との間に、上述の空間95が容易に形成される。その結果、シート部2が患者の鼻下部911、口部93および頬部92に密着することが防止され、空間95を介して患者が容易に呼吸することが可能となる。
【0042】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る眼科用のドレープについて説明する。図6.Aは、第2の実施の形態に係るドレープ1aの部分断面図であり、図2に対応する。図6.Bは、図6.Aに示すドレープ1aの一部を拡大して示す断面図であり、図7は、ドレープ1aの展開用把持部4aを示す平面図である。図6.Bでは、図の理解を容易にするために、展開用把持部4aを太実線にて描いている。ドレープ1aでは、展開用把持部4aの形状が、第1の実施の形態に係る展開用把持部4の形状とは異なる。また、展開用把持部4aのシート部2に対する接合の態様も、第1の実施の形態とは異なる。ドレープ1aの他の構成は、図1に示すドレープ1の構成と同様であり、以下の説明では、対応する構成に同符号を付す。
【0043】
図7に示すように、展開用把持部4aでは、固定端41側のエッジから、自由端42側へと長手方向に延びる切り込み43が設けられ、固定端41が、2つの分割端に分割される。以下の説明では、固定端41の図7中における左側の部位を「第1固定端41a」といい、右側の部位を「第2固定端41b」という。
【0044】
展開用把持部4aがシート部2に接合される際には、第1固定端41aの一方の面にホットメルト接着剤が塗布され、第2固定端41bの他方の面にホットメルト接着剤が塗布される。図7では、ホットメルト接着剤が塗布される領域に平行斜線を付す。続いて、図6.Aに示すように、予め折り畳まれている折り畳み部24において、第2折り畳み線241bの両側の部位である2層の間に、展開用把持部4aが固定端41側から挿入される。そして、折り畳み部24の第2折り畳み線241b近傍が押圧されることにより、図6.Bに示すように、展開用把持部4aの第1固定端41aが、第2折り畳み線241bの第1折り畳み線241aとは反対側にて、第2折り畳み線241bの近傍に接合される。また、展開用把持部4aの第2固定端41bは、折り畳み部24の第1折り畳み線241aと第2折り畳み線241bとの間にて、第2折り畳み線241bの近傍に接合される。換言すれば、第2折り畳み線241bの近傍において、第1固定端41aが第2折り畳み線241bの一方側の部位に接合され、第2固定端41bが第2折り畳み線241bの他方側の部位に接合される。
【0045】
図6.Aに示すドレープ1aの使用時には、展開用把持部4aが医師や看護士等により把持されて引っ張られることにより、折り畳み中央部242が容易に展開される。また、帯状部材31が、医師や看護士等により摘まれ、患者の顔面から離れるように変形される。これにより、折り畳み中央部242が患者の顔面から離れ、第1の実施の形態と同様に、患者の顔面とシート部2との間に空間95(図4参照)が容易に形成される。その結果、シート部2が患者の鼻下部、口部および頬部に密着することが防止され、空間95を介して患者が容易に呼吸することが可能となる。
【0046】
ドレープ1aでは、展開用把持部4aの固定端41が2つに分割され、第2折り畳み線241bの両側の部位に接合されるため、折り畳み部24の最も奥の部位(すなわち、第1折り畳み線241aから最も遠い部位)である第2折り畳み線241b近傍の部位を容易に引き出すことができる。その結果、空間95をより容易に大きく形成することができる。なお、展開用把持部4aの固定端41は、3つ以上の分割端に分割されてもよい。すなわち、展開用把持部4aの固定端41は、複数の分割端に分割される。
【0047】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る眼科用のドレープについて説明する。図8は、第3の実施の形態に係るドレープ1bを示す平面図である。ドレープ1bでは、保形部材3aが、図1に示す2本の帯状部材31に代えて、図8中の上下方向に直線状に伸びる2本の帯状部材31aを備える。ドレープ1bの他の構成は、図1に示すドレープ1の構成と同様であり、以下の説明では、対応する構成に同符号を付す。
【0048】
各帯状部材31aは、折り畳み中央部242の左右方向のおよそ中央に配置され、平面視において展開用把持部4と重なっている。図8中において開口20よりも上側に位置する帯状部材31aの下端部は、上部被覆部25の開口20と上側の折り畳み部24との間にてシート部2の裏面22に接合され(すなわち、固定され)、下端部以外の部位は、シート部2の裏面22側にて、シート部2に接合されることなく折り畳み部24を上下方向に横切る。開口20よりも下側に位置する帯状部材31aの上端部は、上部被覆部25の開口20と下側の折り畳み部24との間にてシート部2の裏面22に接合され、上端部以外の部位は、シート部2の裏面22側にてシート部2に接合されることなく折り畳み部24を上下方向に横切る。図8では、図の理解を容易にするために、帯状部材31aを細実線にて描いている(図9図15および図16においても同様)。ドレープ1bの使用前の状態においては、第1の実施の形態と同様に、シート部2全体が小さく折り畳まれている。
【0049】
図9は、ドレープ1bが患者の顔面90上に広げられた状態を示す平面図である。図9では、シート部2の開口20が患者の左目に重なるようにドレープ1bが配置され、図9中の下側の帯状部材31aは、患者の顔面90の左右方向の略中央において患者の鼻部91から口部93に向かって上下方向に伸びる。また、図9中の下側の折り畳み部24が、患者の鼻下部911および口部93上に配置される。本実施の形態では、下側の帯状部材31aの上端部は鼻部91の上下方向の略中央上に位置し、下端部は口部93よりも下側(より好ましくは、下顎部の輪郭から下側に突出した位置)に位置している。
【0050】
ドレープ1bの使用時には、図9中の下側の展開用把持部4が、医師や看護士等により把持されて引っ張られることにより、折り畳み中央部242が容易に展開される。また、下側の帯状部材31aが、医師や看護士等によりシート部2の表面21側から摘まれ、患者の顔面90から離れるように変形される。これにより、図10に示すように、折り畳み中央部242が患者の顔面90から離れ、第1の実施の形態と同様に、患者の顔面90とシート部2との間に空間95が容易に形成される。その結果、シート部2が患者の鼻下部911、口部93および頬部92に密着することが防止され、空間95を介して患者が容易に呼吸することが可能となる。また、保形部材3aの形状を容易に変更して維持することができるため、様々な患者の顔面形状に合わせて適切な呼吸用の空間95を容易に形成することができる。ドレープ1bでは、保形部材3aが、使用時に患者の鼻部91から口部93に向かって伸びる帯状部材31aを備えることにより、シート部2を患者の鼻下部911、口部93および頬部92からより確実に離間させることができ、その結果、空間95がより確実に維持される。
【0051】
次に、本発明の第4の実施の形態に係るドレープについて説明する。図11は、第4の実施の形態に係るドレープ1cの使用前の状態を示す平面図であり、図12はドレープ1cを図11中のB−Bの位置にて切断した断面の一部を示す図である。図11および図12に示すように、ドレープ1cでは、開口20の上下に位置する2つの下部被覆部26がそれぞれ、折り畳み部24に加えて、もう1つの折り畳み部24aを有する。また、展開用把持部4に加えて、もう1つの展開用把持部4bが各下部被覆部26に固定される。ドレープ1cの他の構成は、図1に示すドレープ1の構成と同様であり、対応する構成に同符号を付す。
【0052】
以下の説明では、折り畳み部24,24aをそれぞれ、「第1折り畳み部24」および「第2折り畳み部24a」という。また、展開用把持部4,4bをそれぞれ、「第1展開用把持部4」および「第2展開用把持部4b」という。第2折り畳み部24aは、第1折り畳み部24の開口20とは反対側に設けられる。第2折り畳み部24aは、患者の鼻部または口部に対応する位置にて左右方向に伸びる2本の折り畳み線241c,241dにて折り畳まれる。以下の説明では、折り畳み線241c,241dをそれぞれ、「第3折り畳み線241c」および「第4折り畳み線241d」という。
【0053】
シート部2では、第1折り畳み部24および第2折り畳み部24aを展開した場合に、第1折り畳み線241aが開口20に最も近く、開口20から離れる上下方向に、第1折り畳み線241a、第2折り畳み線241b、第3折り畳み線241cおよび第4折り畳み線241dが、この順にて並ぶ。第3折り畳み線241cの両側の部位(すなわち、第3折り畳み線241cが境界となる2つの部位)は、裏面22が対向するように折り返され、第4折り畳み線241dの両側の部位は、表面21が対向するように折り返される。これにより、第2折り畳み部24aが形成される。換言すれば、第2折り畳み部24aも、第1折り畳み部24と同様に、シート部2が裏面22側に折り重ねられるようにして形成される。
【0054】
図12に示すように、第1折り畳み部24の第1折り畳み線241aと第2折り畳み線241bとの間、および、第2折り畳み部24aの第3折り畳み線241cと第4折り畳み線241dとの間では、シート部2が3層に重なっている。当該3つの層(すなわち、折り畳み線241a〜241dのそれぞれの両側の部位)は、図11中に平行斜線を付して示す折り畳み端部243において、両面粘着テープ等により互いに接合される。一方、第1折り畳み部24および第2折り畳み部24aのそれぞれの折り畳み中央部242では、重ねられた3つの層は接合されない。折り畳み中央部242の左右方向の幅は、30cm以上80cm以下であり、好ましくは、40cm以上60cm以下である。
【0055】
図11および図12に示すように、第2折り畳み部24aの折り畳み中央部242には、第1展開用把持部4と同様に、不織布により形成された帯状の第2展開用把持部4bが設けられる。第2展開用把持部4bは、折り畳み中央部242の左右方向のおよそ中央において上下方向に延びる。第2展開用把持部4bは、第2折り畳み部24aの3つの層のうち第4折り畳み線241dの両側の部位である2層の間に配置され、第2折り畳み部24aから開口20とは反対側に突出する。第2展開用把持部4bの一端(すなわち、開口20に近い側の端部である固定端41)は、図11中において平行斜線を付して示すように、第4折り畳み線241d近傍にてシート部2の表面21に接合される。換言すれば、第2展開用把持部4bは、第4折り畳み線241dから第3折り畳み線241cに向かって、第4折り畳み線241dの両側の部位の間から第3折り畳み線241cを越えて延びる。
【0056】
図12に示すように、第2展開用把持部4bの固定端41は、第4折り畳み線241dの近傍において、第4折り畳み線241dの第3折り畳み線241cとは反対側の部位のみに、ホットメルト接着剤等により接合される。第4折り畳み線241dの近傍とは、第2折り畳み部24aを平面視した際に、第3折り畳み線241cよりも第4折り畳み線241dに近い位置、または、第4折り畳み線241dに重なる位置を意味する。本実施の形態では、第2展開用把持部4bの固定端41側のエッジは、第4折り畳み線241dにおよそ一致する。第2展開用把持部4bでは、固定端41以外の部位は、シート部2と非接合である。
【0057】
第1展開用把持部4の長さは、第2展開用把持部4bの長さよりも長く、第1展開用把持部4の自由端42と第2展開用把持部4bの自由端42とは、ホットメルト接着剤等により互いに接合される。図11では、図の理解を容易にするために、第2展開用把持部4bの幅を第1展開用把持部4の幅よりも大きく描いているが、実際には、第1展開用把持部4の幅と第2展開用把持部4bの幅とは等しい。なお、第2展開用把持部4bの幅は、第1展開用把持部4の幅よりも大きくてもよく、小さくてもよい。
【0058】
ドレープ1cの使用時には、図12に示す第1展開用把持部4および第2展開用把持部4bの自由端42が、医師や看護士等によりまとめて把持されて引っ張られることにより、第1折り畳み部24および第2折り畳み部24aが容易に展開される。これにより、図13に示すように、第1折り畳み部24および第2折り畳み部24aの折り畳み中央部242が患者の顔面90から離れ、第1の実施の形態と同様に、患者の顔面90とシート部2との間に、鼻下部911および口部93から左右の頬部92に至る空間951が容易に形成される。また、帯状部材31が、医師や看護士等により摘まれ、患者の顔面から離れるように変形されることにより、シート部2の上部被覆部25が患者の鼻部91およびその近傍から離間し、上部被覆部25と患者の顔面90との間に、空間951から連続する空間952が形成される。
【0059】
ドレープ1cでは、シート部2の下部被覆部26が、第1折り畳み部24および第2折り畳み部24aを有することにより、第1折り畳み部24および第2折り畳み部24aを展開した際に空間951をより大きくすることができる。これにより、シート部2が患者の鼻下部911、口部93および頬部92に密着することがより確実に防止される。その結果、空間95(すなわち、空間951および空間952)を介して、患者がより容易に呼吸することが可能となる。ドレープ1cでは、保形部材3の変形により、空間951に連続する空間952を鼻部91上に形成することにより、患者がさらに容易に呼吸することが可能となる。
【0060】
ドレープ1cでは、図12に示すように、第1展開用把持部4と第2展開用把持部4bとが、自由端42にて互いに接合される。これにより、第1展開用把持部4および第2展開用把持部4bをまとめて容易に把持することができる。このため、第1展開用把持部4および第2展開用把持部4bを同時に引っ張って、第1折り畳み部24および第2折り畳み部24aを同時に展開することができる。
【0061】
第1展開用把持部4と第2展開用把持部4bとは、自由端42に至る途中にて(すなわち、固定端41と自由端42との間にて)互いに接合されてもよい。この場合であっても、第1展開用把持部4および/または第2展開用把持部4bの自由端42を把持して引っ張ることにより、第1展開用把持部4および第2展開用把持部4bが同時に引っ張られ、第1折り畳み部24および第2折り畳み部24aを同時に展開することができる。なお、第1展開用把持部4および第2展開用把持部4bの自由端42を同時に把持するという観点からは、第1展開用把持部4と第2展開用把持部4bとは、第3折り畳み線241cの開口20とは反対側において、自由端42に近い位置にて接合されることが好ましい。
【0062】
次に、本発明の第5の実施の形態に係るドレープについて説明する。図14は、第5の実施の形態に係るドレープ1dの部分断面図であり、図12に対応する。ドレープ1dでは、第2折り畳み部24bの形状が、図12に示すドレープ1cの第2折り畳み部24aと異なる。また、各下部被覆部26には1本の展開用把持部4が固定される。ドレープ1dの他の構成は、図11および図12に示すドレープ1cの構成と同様であり、対応する構成に同符号を付す。
【0063】
図14に示すように、第2折り畳み部24bは、第1折り畳み部24の開口20(図11参照)とは反対側に設けられる。第2折り畳み部24bは、患者の鼻部または口部に対応する位置にて左右方向に伸びる第3折り畳み線241cおよび第4折り畳み線241dにて折り畳まれる。第2折り畳み部24bでは、使用前の状態において、第3折り畳み線241cの両側の部位が、表面21が対向するように折り返され、第4折り畳み線241dの両側の部位が、裏面22が対向するように折り返される。シート部2では、第1折り畳み部24および第2折り畳み部24bを展開した場合に、第1折り畳み線241aが開口20に最も近く、開口20から離れる上下方向に、第1折り畳み線241a、第2折り畳み線241b、第3折り畳み線241cおよび第4折り畳み線241dが、この順にて並ぶ。
【0064】
展開用把持部4の固定端41は、第2折り畳み線241bと第3折り畳み線241cとの間にて、シート部2の表面21にホットメルト接着剤等により接合される。本実施の形態では、固定端41は、平面視において第1折り畳み部24に重なっており、展開用把持部4は、第1折り畳み線241aと第4折り畳み線241dとの間から、第4折り畳み線241dを越えて第2折り畳み部24b上(すなわち、第2折り畳み部24bの患者とは反対側)に延びる。固定端41が、平面視において第2折り畳み部24bに重なっている場合等、展開用把持部4は、第1折り畳み線241aと第4折り畳み線241dとの間から、第1折り畳み線241aを越えて第1折り畳み部24上に延びてもよい。すなわち、展開用把持部4は、第1折り畳み線241aまたは第4折り畳み線241dを越えて延びる。
【0065】
ドレープ1dの使用時には、展開用把持部4の自由端42が、医師や看護士等により把持されて引っ張られることにより、シート部2の第2折り畳み線241bと第3折り畳み線241cとの間が引き上げられ、第1折り畳み部24および第2折り畳み部24bが容易に展開される。また、帯状部材31が、医師や看護士等により摘まれ、患者の顔面から離れるように変形される。これにより、ドレープ1cと同様に、患者の顔面とシート部2との間に空間95(図13参照)が容易に形成される。
【0066】
ドレープ1dでは、シート部2の下部被覆部26が、第1折り畳み部24および第2折り畳み部24bを有することにより、第1折り畳み部24および第2折り畳み部24bを展開した際に空間95をより大きくすることができる。その結果、空間95を介して、患者がより容易に呼吸することが可能となる。ドレープ1dでは、第2折り畳み線241bと第3折り畳み線241cとの間に固定された1本の展開用把持部4を引っ張ることにより、第1折り畳み部24および第2折り畳み部24bを同時に容易に展開することができる。また、展開用把持部4が、第1折り畳み線241aまたは第4折り畳み線241dを越えて延びるため、展開用把持部4を容易に把持することができる。
【0067】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0068】
例えば、第1の実施の形態に係るドレープ1では、展開用把持部4の固定端41は、第2折り畳み線241bと第1折り畳み線241aとの間のみにおいて、シート部2の表面21に接合されてもよい。このように、展開用把持部4の固定端41が、第2折り畳み線241bの一方側の部位のみに接合されることにより、予め形成された折り畳み部24に、展開用把持部4を容易に接合することができる。なお、折り畳み部24が形成される前に展開用把持部4の接合が行われる場合等、展開用把持部4の固定端41が、第2折り畳み線241bを跨いで第2折り畳み線241bの両側の部位に接合されてもよい。
【0069】
展開用把持部4,4aは、プラスチックフィルム等、不織布以外の様々な材料により形成されてよい。展開用把持部は、帯状には限定されず、紐状やシート状であってもよい。ただし、展開用把持部として使用する材料を少なくし、かつ、展開用把持部を容易に把持するという観点からは、展開用把持部が帯状であることがより好ましい。なお、展開用把持部は、折り畳み部の展開後、必要に応じてシート部2から取り外し可能なように、着脱自在にシート部2に固定されてもよい。
【0070】
保形部材の形状は、様々に変更されてよい。例えば、図15に示すドレープ1eでは、保形部材3bが、4本の帯状部材31bを備える。帯状部材31bは、開口20近傍から、図15中の上下方向および左右方向に対して傾斜する方向(すなわち、略矩形のシート部2の各辺に対して傾斜する方向)に、それぞれ直線状に伸びる。図15中において開口20よりも下側に位置する2本の帯状部材31bの左右方向の間の距離は、図15中の上側から下側に向かうに従って大きくなる。換言すれば、当該2本の帯状部材31bは、上端部が下端部よりも互いに近接したハの字型に配置される。開口20よりも上側に位置する2本の帯状部材31bは、下端部が上端部よりも互いに近接した逆ハの字型に配置される。各帯状部材31bでは、上下方向に関して開口20に近い端部が、上部被覆部25の開口20と折り畳み部24との間にてシート部2の裏面22に接合され、当該端部以外の部位は、シート部2の裏面22側にてシート部2に接合されることなく折り畳み部24を上下方向に横切る。
【0071】
ドレープ1eの使用時には、図15中における開口20の下側の2本の帯状部材31bが、患者の鼻部91から左右の頬部92に向かって(すなわち、口部93を間に挟んで)伸びるように、ドレープ1eが患者の顔面90上に配置される。2本の帯状部材31bの上端部は、鼻部91の上下方向の略中央の左右両側に位置し、下端部は左右の頬部92よりも下側(すなわち、下顎部の輪郭から下側に突出した位置)に位置する。ドレープ1eでは、図15中の下側の展開用把持部4が、医師や看護士等により把持されて引っ張られることにより、折り畳み中央部242が容易に展開される。また、下側の2本の帯状部材31bが、医師や看護士等によりシート部2の表面21側から摘まれ、患者の顔面90から離れるように変形される。これにより、患者の顔面90とシート部2との間に、鼻下部911および口部93から左右の頬部92に至る空間が容易に形成される。
【0072】
また、図16に示すドレープ1fでは、保形部材3cが、8本の帯状部材31cを備える。2つの折り畳み部24上にはそれぞれ、格子状に接合された4本の帯状部材31cが配置される。格子状の4本の帯状部材31cのうち、上下方向に伸びる2本の帯状部材31cの開口20側の端部は、上部被覆部25の開口20と折り畳み部24との間にてシート部2の裏面22に接合され、当該2本の帯状部材31cの他の部位、および、左右方向に伸びる他の2本の帯状部材31cはシート部2には接合されない。
【0073】
ドレープ1fの使用時には、図16中の下側の展開用把持部4が、医師や看護士等により把持されて引っ張られることにより、折り畳み中央部242が容易に展開される。また、下側の4本の帯状部材31cが、医師や看護士等によりシート部2の表面21側から摘まれ、図17に示すように、中央部315が患者の顔面から離れる方向に突出するドーム状に変形される。これにより、患者の顔面90とシート部2との間に、鼻下部911および口部93から左右の頬部92に至る空間が容易に形成される。
【0074】
第1ないし第4の実施の形態に係るドレープでは、折り畳み部は、シート部2が表面21側に折り重ねられるようにして形成されてもよい。すなわち、折り畳み部を展開した状態において開口20から数えて奇数番目の折り畳み線の両側の部位が表面21が対向するように折り返され、偶数番目の折り畳み線の両側の部位が裏面22が対向するように折り返される。
【0075】
例えば、図2に示すドレープ1では、折り畳み線241aの両側の部位が表面21が対向するように折り返され、折り畳み線241bの両側の部位が裏面22が対向するように折り返されることにより、折り畳み部24が形成される。この場合、展開用把持部4の固定端41は、折り畳み線241a近傍にてシート部2の表面21に接合される。また、展開用把持部4は、折り畳み線241aから折り畳み線241bに向かって、折り畳み線241aの両側の部位の間から折り畳み線241bを越えて延びる。
【0076】
また、図12に示すドレープ1cでは、折り畳み線241a,241cの両側の部位が表面21が対向するように折り返され、折り畳み線241b,241dの両側の部位が裏面22が対向するように折り返されることにより、折り畳み部24,24aが形成される。この場合、展開用把持部4,4bの固定端41はそれぞれ、折り畳み線241a近傍および折り畳み線241c近傍にてシート部2の表面21に接合される。展開用把持部4は、折り畳み線241aから折り畳み線241bに向かって、折り畳み線241aの両側の部位の間から折り畳み線241bを越えて延びる。展開用把持部4bは、折り畳み線241cから折り畳み線241dに向かって、折り畳み線241cの両側の部位の間から折り畳み線241dを越えて延びる。
【0077】
一方、図14に示すドレープ1dでは、第1折り畳み線241aおよび第4折り畳み線241dの両側の部位が表面21が対向するように折り返され、第2折り畳み線241bおよび第3折り畳み線241cの両側の部位が裏面22が対向するように折り返されることにより、第1折り畳み部24および第2折り畳み部24bが形成されてもよい。当該構造とすることにより、ドレープ1dと同様に、第1折り畳み部24および第2折り畳み部24bを展開した際に空間95をより大きくすることができる。また、固定端41が第2折り畳み線241bと第3折り畳み線241cとの間にてシート部2の表面21に固定された展開用把持部4を引っ張ることにより、第1折り畳み部24および第2折り畳み部24bを同時に容易に展開することができる。
【0078】
上記実施の形態に係るドレープの折り畳み部では、折り畳み端部243におけるシート部2の接合は行われなくてもよい。また、シート部2の各下部被覆部26には、3つ以上の折り畳み部が設けられてもよい。
【0079】
上述のドレープでは、使用前にドレープを小さく折り畳むことができるのであれば、保形部材は必ずしも線状または平坦でなくてもよく、一般的な患者の顔面に合わせることができるのであれば、保形部材の形状は変更不能であってもよい。ドレープでは、保形部材が樹脂以外の材料(例えば、アルミニウム(Al)等の金属)により形成されている場合であっても、患者が容易に呼吸することが可能となる。また、ドレープでは、患者の両目に対応する2つの開口がシート部2に形成されてもよく、この場合、2つの開口の下側にのみ保形部材および折り畳み部が設けられる。
【0080】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせられてよい。
【符号の説明】
【0081】
1,1a〜1d ドレープ
4,4a,4b 展開用把持部
3,3a 保形部材
20 開口
21 表面
22 裏面
24,24a,24b 折り畳み部
25 上部被覆部
26 下部被覆部
31,31a 帯状部材
41 固定端
41a 第1固定端
41b 第2固定端
42 自由端
90 顔面
91 鼻部
93 口部
241a 第1折り畳み線
241b 第2折り畳み線
241c 第3折り畳み線
241d 第4折り畳み線
952 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6.A】
図6.B】
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17