(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記弾性係合部はスリットにより分割されて前記第1分岐部及び前記第2分岐部を構成し、前記スリットは、外装化粧材の凹部又は凸部に対して各分岐部が個別に弾性による動作ができる長さ以上の寸法で形成される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の外装化粧材の固定構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の方法を含む従来の方法では、鉤状の係合手段は係合部一箇所に付き一組のみ設けられていた。また、例え一箇所の係合部に二つの係合手段を有していても、その寸法は同一であった。
【0005】
一方、外装化粧材には、樹脂、天然木材セメント、人工木質材、塗装された鉄板、セメントや陶磁器等の窯業系等がある。窯業系の外装化粧材は、一般的に厚み寸法があるため質量が重く、完成品の寸法誤差が他の構造物と比較すると大きい。そのため、窯業系の外装化粧材は、特許文献1のような鉤状の係合手段に係合していなくても自重と係合手段との摩擦力により仮固定された状態と、正しく係合されて恒久的に固定された状態が施工後に確認することが難しかった。
【0006】
また、係合手段の弾性片が外装化粧材を取付時の押された状態から係合して戻る時に発する音で判断できる場合も有るが、作業時に常時、明確に音が発生するとは限らず、また、作業者の方でもその音が聴力の個人差で聞こえ辛い場合、周囲の雑音が大きく聞こえない場合等があるため確認できない場合もある。
【0007】
そのような窯業系の外装化粧材は、施工時に固定されたと考えられていたものが、実際には仮固定状体である場合があり、仮固定状態の窯業系の外装化粧材は、地震によるずれや係合手段の経年変化等により外れる可能性がある。
【0008】
そこで本発明は、上記の課題を解決するために、完成品の寸法誤差が比較的大きい窯業系の外装化粧材を、建物躯体に取り付け金具を用いて確実に固定する外装化粧材の固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するために、本発明の一実施態様に係る外装化粧材の固定構造は、取り付け金具を用いて建物躯体に窯業系の外装化粧材を固定する固定構造であって、外装化粧材は、取り付け金具と係合する凹部を備え、取り付け金具は、外装化粧材の内周側の側面を建物躯体の外側方向に押圧しつつ外装化粧材の凹部と係合する弾性係合部を備え、弾性係合部は複数の分岐部に分割され、少なくとも一つの第1分岐部は所定の基準値の長さで形成され、少なくとも一つの第2分岐部は所定の基準値の長さよりも短く形成されることを特徴とする。
【0010】
(2)上記課題を解決するために、本発明の一実施態様に係る外装化粧材の固定構造は、取り付け金具を用いて建物躯体に窯業系の外装化粧材を固定する固定構造であって、外装化粧材は、取り付け金具と係合する凸部を備え、取り付け金具は、外装化粧材の内周側の側面を建物躯体の外側方向に押圧しつつ外装化粧材の凸部と係合する弾性係合部を備え、弾性係合部は複数の分岐部に分割され、少なくとも一つの第1分岐部は所定の基準値の長さで形成され、少なくとも一つの第2分岐部は所定の基準値の長さよりも短く形成されることを特徴とする。
【0011】
上記した本発明の各実施態様によれば、弾性係合部を、所定の基準値の長さで形成された第1分岐部と、少なくとも一つの所定の基準値の長さよりも短く形成された第2分岐部に分割し、外装化粧材の凸部に確実に係合するようにした。これにより、完成品の寸法誤差が大きい窯業系の外装化粧材であっても、本発明の各実施態様の取り付け金具を用いることで建物躯体に確実に固定することができ、地震や係合手段の経年変化等により外れる可能性を減少させることができる。
【0012】
(3)好ましくは、本発明の一実施態様に係る外装化粧材の固定構造のように、弾性係合部はスリットにより分割されて第1分岐部及び第2分岐部を構成し、スリットは、外装化粧材の凹部又は凸部に対して各分岐部が個別に弾性による動作ができる長さ以上の寸法で形成されるようにしてもよい。
本実施態様では、第1分岐部と第2分岐部との間のスリットを、外装化粧材の凹部又は凸部に対して各分岐部が、個別に弾性による動作ができる長さ以上の寸法で形成することで、第1分岐部が外装化粧材の凹部又は凸部に係合できない場合でも、第2分岐部が外装化粧材の凹部又は凸部に係合できる。
【0013】
(4)好ましくは、本発明の一実施態様に係る外装化粧材の固定構造のように、外装化粧材の凹部又は凸部は、複数箇所であって、弾性係合部は、外装化粧材の少なくとも2箇所の各凹部又は凸部と係合でき、且つ、係合する方向が逆方向となるように形成されるようにしてもよい。
本実施態様では、外装化粧材の凹部又は凸部を複数箇所とし、2箇所の凹部又は凸部における弾性係合部の係合方向を逆方向にすることで外装化粧材を建物躯体に確実に固定することができる。
【0014】
(5)好ましくは、本発明の一実施態様に係る外装化粧材の固定構造のように、分岐部は、三以上の分岐に分割され、複数の第2分岐部の長さ寸法が、所定の基準値の長さよりも短く、且つ、各々異なる長さとなるように形成されるようにしてもよい。
本実施態様では、第2分岐部の長さ寸法の設定を2段階以上の多段階にできるので、外装化粧材の完成品の寸法誤差がばらつく場合でも適切な長さの第2分岐部が、ガタツキ無く固定することができる。また、外装化粧材の完成品の寸法誤差が非常に大きい場合でも、第2分岐部の長さ寸法を調節することで、固定後のガタツキを少なくしつつ対応することができる。
【0015】
(6)好ましくは、本発明の一実施態様に係る外装化粧材の固定構造のように、外装化粧材は、縦方向に2分割された化粧柱であり、建物躯体は、構造柱であるようにしてもよい。
本実施態様では、寸法誤差が大きい窯業系の2分割化粧柱であっても、本発明の各実施態様の取り付け金具を用いることで、建造物の構造柱に確実に固定することができ、地震や係合手段の経年変化等により外れる可能性を減少させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の外装化粧材の固定構造の実施の形態について、以下に図面を用いながら詳細に説明する。
【0018】
<第1実施形態>
本発明の外装化粧材の第1実施形態である家屋の玄関ポーチ柱に化粧柱を設ける場合、より詳しくは、取り付け金具31を用いて構造柱91上に2分割柱体11を固定する場合の固定構造と方法について
図1(a)、(b)、
図2、
図3(a)〜(c)を用いて説明する。
【0019】
化粧柱1は、建造物に用いられ、例えば、見た目の安定感を高め、又は、柱の見栄えを良くする等の理由から、実際に構造体の加重を支持する構造柱91(建物躯体)より大きい断面で内部に空洞部95を有してその周囲に追加され、その外周面に装飾用の塗装等の化粧仕上げが施された柱である。尚、玄関ポーチとは、一般的に玄関扉前の庇(ひさし)の下で、アプローチ部分から数段程度の段差で高くなったスペースのことである。化粧柱1は、玄関ポーチの基礎部分の上部と、庇の下部部分を垂直に結んで設けられる。又、化粧柱1は、その他にベランダ等にも使用される場合がある。
【0020】
2分割柱体11は、上記したような住宅等の建造物に用いられる化粧柱1が縦に2等分割されたものであり、比重が0.7〜1.5程度のセメント系押出成形体からなる。2分割柱体11の内部は建造物の構造柱91を包含できるように空洞(空洞部95)が形成されている。構造柱91を挟んで対向して取り付けられる2分割柱体11は、空洞部95を挟んだ両側部14、15に取り付け金具31と係合する凹部97を各々備えるように形成される。
【0021】
また、2分割柱体11の内周面の第一側部14と第二側部15は、各々空洞部95を挟んで各々対向する側部であり、この側部14、15の各々に凹部97が形成される。凹部97の形状は、後述する弾性係合部32に係合させることで2分割柱体11を固定できるように、弾性係合部32と係合でき、且つ、係合する方向が逆方向となるような形状に形成される。このように2分割柱体11の凹部97を複数箇所とし、2箇所の凹部97における弾性係合部32の係合方向を逆方向にすることで2分割柱体11を構造柱91(建物躯体)に確実に固定することができる。
【0022】
1本の構造柱91の周囲に配置される2個の2分割柱体11は、各々が構造柱91を挟んで対向するように配置される。2個の2分割柱体11の隙間は、通常、コーキング剤等が穴埋め用に充填されるか、乾式目地材で隠される。コーキング剤等は凝固する際に被接着面の接着作用を有し、一種の接着剤となる。
【0023】
取り付け金具31は、建造物の構造柱91を挟んで一カ所につき2個用いて、2分割柱体11を構造柱91に固定可能であるように形成されている。2個の取り付け金具31は、建造物の構造柱91を挟んで、固定用ネジ100を固定用ネジ穴81にねじ込むことで固定可能であるように同形状に形成され、構造柱91の上下2カ所を含む複数箇所に固定用ネジ100により取り付けられる。取り付け金具31を設置する間隔は、構造柱91の上下方向に、例えば、700mm間隔程度で設けられる。
【0024】
取り付け金具31は、ステンレス鋼板(例えばSUS430)に対して型を用いてプレス成形と折り曲げ成形等を実施することにより形成される。取り付け金具31は、2分割柱体11の内周側の側面14、15を2分割柱体11の外側方向に押圧しつつ2分割柱体11の少なくとも2箇所の凹部97と係合でき、且つ、各々の係合する方向が逆方向となるように形成されて、2分割柱体11を位置決め固定する弾性係合部32を有する。
【0025】
弾性係合部32は、2分割柱体11に対向する端部側が解放端で、直線的に形成されており、ステンレス鋼板から成形されるため、板ばね的に平面に垂直方向に弾性力を有している。また、弾性係合部32の開放端側は、スリット71により複数の分岐部に分割されており、本実施形態では第1分岐部41及び第2分岐部51に分かれている。
【0026】
スリット71は、第1分岐部41と第2分岐部51との間に設けられ、2分割柱体11の凹部97に対して各分岐部41、51が個別に弾性による動作ができる長さ以上の寸法で形成される。各分岐部41、51が個別に弾性による動作ができる長さとは、例えば、各分岐部の一方が2分割柱体11の凹部97に係合できない場合であっても、他方の分岐部は、それに影響されることなく弾性により2分割柱体11の凹部97に係合できる長さであることを意味する。より具体的には、例えば、分岐部41が弾性圧縮されて構造柱91側に近づいている場合でも、分岐部51は、何も連動する圧縮力を受けないで構造柱91側に近づかないように充分に各分岐部41、51が分離された長さである。
【0027】
また、第1分岐部41は所定の基準値の長さで形成され、第2分岐部51は所定の基準値の長さよりも短く形成される。これにより第1分岐部41が2分割柱体11の凹部97に係合できない場合でも、第2分岐部51を2分割柱体11の凹部97に係合させることができる。
【0028】
第2分岐部51を第1分岐部41よりも短くする長さは、例えば、2mm程度が好ましい。この長さについては、例えば、第2分岐部51を所定の基準値の長さよりも極端に短くすると固定はできるものの、固定後に可動域ができてしまい、結果的にがたついてしまう。逆に、第2分岐部51を所定の基準値の長さに近づけすぎると、第1分岐部41との差がないことから同様に固定できない場合があり、第2分岐部51を設ける意味が無くなってしまう。このように、第2分岐部51の長さ寸法の設定は短すぎても所定の基準値に近づけすぎても問題が発生するので、第1分岐部41と第2分岐部51との長さの差L1=2mm前後等の適切な範囲で設定する必要がある。
【0029】
また、所定の基準値の長さとは、例えば、仕様に規定された値又は設計値であり、セメント系押出成形体で形成された2分割柱体11の乾燥後の凹部97と係合できるように設定された寸法である。さらに、第1分岐部41の先端部には、凹部97と係合する第1係合端部42が一体に形成され、第2分岐部51の先端部には、凹部97と係合する第2係合端部52が一体に形成される。
【0030】
第1分岐部41と第1係合端部42は、例えば2分割柱体11の凹部97に係合できるように鉤型に形成される。同様に第2分岐部51と第2係合端部52も、2分割柱体11の凹部97に係合できるように鉤型に形成される。鉤型というのは、第1係合端部42又は第2係合端部52を単独で鉤型にすることも含むが、本実施形態では、取り付け金具31における第1分岐部41と第1係合端部42の全体、又は第2分岐部51と第2係合端部52の全体で鉤型を構成している。この鉤型が凹部97に係合して2分割柱体11が構造柱91に固定される。
【0031】
突起62は、1個の取り付け金具31について2個が形成され、2個の突起62は、構造柱91の断面正方形の一辺を挟み込んで保持できる寸法だけ離して形成される。開口部61は、突起62が型抜きされたために形成された開口部である。
【0032】
取り付け金具31は、上記のようにプレス成形と折り曲げ成形等により形成することで、製造を容易にして製造コストを低減させることができ、2個の取り付け金具31が同形状であるので、製造コストおよび部品点数を減少させることができる。
【0033】
固定用ネジ穴81は、構造柱91を挟んで対向して取り付けられる2個の取り付け金具31を、固定具、例えば固定用ネジ100で取り付けるための穴である。尚、固定用ネジ100がドリルネジ又はタッピングネジ等のようにネジ穴を開けて溝を切りながら締め付けするタイプの場合は、予め固定用ネジ穴81を設ける必要はなく、取り付け金具31をネジ止めする時に形成される。又、固定用ネジ100がネジ溝を切りながら締め付けするタイプでない場合には、予め固定用ネジ穴81の内側にネジ溝を形成しておく。又、固定用ネジ100としてボルトをナットと共に使用する場合には、予め固定用ネジ穴81の内側にネジ溝を形成しておく必要はなはなく単なる円形の開口でよい。
【0034】
本実施形態の2個の取り付け金具31を構造柱91の断面正方形の対向する2辺に各々挿入し、固定用ネジ100を固定用ネジ穴81に入れて締めることで各取り付け金具31は構造柱91に固定される。次に、
図2の構造柱91の断面正方形の右側の2分割柱体11を構造柱91の右側に被せるように押し込む。これにより、
図2の構造柱91の右側の2分割柱体11の凹部97は第1分岐部41の第1係合端部42と係合して、2分割柱体11が構造柱91に固定される。その次に
図2の構造柱91の断面正方形の左側の2分割柱体11を構造柱91の左側に被せるように押し込む。これにより、
図2の構造柱91の左側の2分割柱体11の凹部97は第1分岐部41の第1係合端部42と係合しようとするが、第1分岐部41と第1係合端部42の寸法が長すぎて係合できない。しかし、本実施形態では第2分岐部51と第2係合端部52が第1分岐部41と第1係合端部42の寸法よりも短く形成されるため、第2分岐部51と第2係合端部52が凹部97と係合する。これにより左側の2分割柱体11も構造柱91に固定される。この状態を示すのが
図3(a)である。
【0035】
また、
図3(b)に示すように、
図2の構造柱91の左側の2分割柱体11を先に構造柱91の左側に被せるように押し込んで固定してから、
図2の構造柱91の右側の2分割柱体11を押し込む場合、左右が逆になる。即ち、
図2の構造柱91の右側の2分割柱体11の凹部97は第1分岐部41の第1係合端部42と係合しようとするが、第1分岐部41と第1係合端部42の寸法が長すぎて係合できない。しかし、本実施形態では第2分岐部51と第2係合端部52が第1分岐部41と第1係合端部42の寸法よりも短く形成されるため、第2分岐部51と第2係合端部52が凹部97と係合する。これにより右側の2分割柱体11も構造柱91に固定される。
【0036】
また、
図3(c)に示すように、
図2の構造柱91の左右両側の2分割柱体11を、複数人員によりほぼ同時に構造柱91の左右側に被せるように押し込んで固定する場合が考えられる。この場合、
図2に示したように
図2の構造柱91の左右両側の2分割柱体11の凹部97が第1分岐部41の第1係合端部42と係合する場合や、
図3(a)のように、左側の2分割柱体11の凹部97と第2係合端部52とが係合する場合、
図3(b)のように、右側の2分割柱体11の凹部97と第2係合端部52とが係合する場合もあるが、
図3(c)に示したように、左右両側の2分割柱体11の凹部97と第2係合端部52とが係合する場合も考えられる。上記した何れの場合も、本実施形態の取り付け金具31を用いることで構造柱91に2分割柱体11を確実に固定することができる。
【0037】
このように本実施形態の外装化粧材の固定構造によれば、完成品の寸法誤差が大きい窯業系の2分割柱体11であっても、本実施態様の取り付け金具31を用いることで構造柱91に確実に固定することができ、地震や係合手段の経年変化等により外れる可能性を減少させることができる。
【0038】
<変形例1:第1実施形態>
上記の第1実施形態では、2分割柱体11の内周面の第一側部14と第二側部15の各々に凹部97が形成され、そこに係合する取り付け金具31により構造柱91に固定できることを示した。しかし、本実施形態はこれに限らず、内周面の第一側部14と第二側部15には凸部を設けた場合でも、取り付け金具31により構造柱91に固定することができる。
【0039】
以下に、
図4を用いて第1実施形態の変形例1を説明する。本実施形態では、2分割柱体11には、取り付け金具31と係合する凸部98(
図4(a))又は凸部99(
図4(b)が備えられる。取り付け金具31の弾性係合部32は、2分割柱体11の内周側の側面14、15を構造柱91の外側方向に押圧しつつ2分割柱体11の凸部98又は99と係合する。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0040】
このように本変形例の2分割柱体11に取り付け金具31と係合する凸部を設けた場合でも、本実施態様の取り付け金具31を用いることで構造柱91に確実に固定することができ、地震や係合手段の経年変化等により外れる可能性を減少させることができる。
【0041】
<変形例2:第1実施形態>
上記の第1実施形態では、弾性係合部32の開放端側は、スリット71により第1分岐部41及び第2分岐部51に2分割され、それにより、完成品の寸法誤差が大きい窯業系の2分割柱体11であっても、取り付け金具31により構造柱91に確実に固定できることを示した。しかし、第1実施形態では、凹部97は第1係合端部42に係合されるか、第2係合端部52に係合されるかの二者択一であった。その場合、上記したように、第2分岐部51の長さ寸法の設定は短すぎても所定の基準値に近づけすぎても問題が発生するので、ガタツキ無く、完成品の寸法誤差を吸収できる長さ設定が難しくなる。本変形例2では、第2分岐部51の長さ寸法の設定を容易にするために、弾性係合部32の開放端側を3分割又は4分割して、構造柱91に固定する場合について説明する。
【0042】
図5(a)は、弾性係合部132の開放端側を3分割にした場合を示し、
図5(b)は、弾性係合部232の開放端側を4分割にした場合を示す。
図5(a)の3分割にした場合、弾性係合部132の開放端側は、スリット171と172により3個の第1分岐部141、第2分岐部151及び第3分岐部161に分割されている。第1分岐部141と第2分岐部151との長さの差がL1であり、第2分岐部151と第3分岐部161との長さの差がL2であるので、第1実施形態と比較して2倍の完成品の寸法誤差に対応することができる。あるいは、L1とL2の各差の範囲を狭くすることで、よりガタツキ無く完成品の寸法誤差を吸収することができる。ただし、各分岐部と凹部との接触領域は減少するので、各分岐部が充分な強度を有している範囲で弾性係合部132の分割を実施する必要がある。
【0043】
一方、
図5(b)の4分割にした場合、弾性係合部232の開放端側は、スリット281と282と283により4個の第1分岐部241、第2分岐部251、第3分岐部261及び第4分岐部271に分割されている。第1分岐部241と第2分岐部251との長さの差がL1であり、第2分岐部251と第3分岐部261との長さの差がL2であり、第3分岐部261と第4分岐部271との長さの差がL3であるので、第1実施形態と比較して3倍の完成品の寸法誤差に対応することができる。あるいは、L1〜L3の各差の範囲を狭くすることで、さらにガタツキ無く完成品の寸法誤差を吸収することができる。但しこの場合も、各分岐部と凹部との接触領域は減少するので、各分岐部が充分な強度を有している範囲で弾性係合部232の分割を実施する必要がある。
【0044】
このように本変形例で弾性係合部の開放端側を3分割以上に分割し、複数の第2分岐部の各長さ寸法が、所定の基準値の長さよりも短く、且つ、各々異なる長さとなるように形成した場合には、本実施態様の取り付け金具31を用いることで、第2分岐部の各長さ寸法の設定を2段階以上の多段階にできるので、2分割柱体11の完成品の寸法誤差がばらつく場合でも適切な長さの第2分岐部51を、ガタツキ無く固定することができる。さらに、2分割柱体11の完成品の寸法誤差が非常に大きい場合でも、第2分岐部の各長さ寸法を調節することで、固定後のガタツキを少なくしつつ対応することができる。すなわち、より広い完成品の寸法誤差に対応することができ、よりガタツキ無く完成品の寸法誤差を吸収することができる。
【0045】
<第2実施形態>
上記の第1実施形態では、取り付け金具31を用いて建物躯体として構造柱91上に窯業系の外装化粧材である化粧柱1(2分割柱体11)を固定する固定構造について説明した。しかし、本発明の固定構造は、化粧柱1に限らず、例えば、建物躯体としてベランダの壁面上に窯業系の外装化粧材である笠木を固定する固定構造についても適用することができる。以下、
図6を参照してベランダの壁面上に取り付け金具を用いて笠木を固定する場合の第2実施形態について説明する。
【0046】
本実施形態の取り付け金具331は、ベランダの壁面391の上面392上に設置され、固定用ネジ穴81を介して固定用ネジ100により固定される。さらに取り付け金具331上に笠木311がベランダの壁面391を跨ぐように挟んで取り付けられる。笠木311は、内周の再奥面に取り付け金具331と係合する凹部397を備えるように形成される。
【0047】
取り付け金具331は、建造物のベランダの壁面391の上面392上に一カ所につき1個用いて、笠木311を壁面391の上面392上に固定可能であるように形成されている。取り付け金具331は、壁面391の上面392上に、固定用ネジ100を固定用ネジ穴81にねじ込むことで固定可能であるように形成され、壁面391の上面392上の複数箇所に固定用ネジ100により取り付けられる。取り付け金具331を設置する間隔は、壁面391の上面392上でベランダの壁面391が延伸される水平方向に、例えば、700mm間隔程度で設けられる。
【0048】
取り付け金具331も、第1実施形態と同様にステンレス鋼板(例えばSUS430)に対して型を用いてプレス成形と折り曲げ成形等を実施することにより形成される。取り付け金具331は、笠木311の内周側の上面を笠木311の上側方向に押圧しつつ笠木311の内周側の上面に設けられた少なくとも2箇所の凹部397と係合でき、且つ、各々の係合する方向が逆方向となるように形成されて、笠木311を位置決め固定する弾性係合部332を有する。
【0049】
弾性係合部332は、笠木311に対向する一部にスリット371及び372により複数の解放端を有する分岐部に分割され、直線的に形成されており、ステンレス鋼板から成形されるため、板ばね的に平面に垂直方向に弾性力を有している。また、弾性係合部332の分岐部は、複数の分岐部に分割されており、本実施形態では第1分岐部341及び第2分岐部351に分かれている。
【0050】
スリット371は、取り付け金具331の本体部と第1分岐部341との間に設けられ、スリット372は、取り付け金具331の本体部と第2分岐部351との間に設けられる。スリット371、スリット372は、笠木311の凹部397に対して各分岐部341/351が弾性による動作ができる長さ以上の寸法で形成される。
【0051】
また、第1分岐部341は所定の基準値の長さで形成され、第2分岐部351は所定の基準値の長さよりも短く形成される。これにより第1分岐部341が笠木311の凹部397に係合できない場合でも、第2分岐部351を笠木311の凹部397に係合させることができる。第2分岐部351を第1分岐部341よりも短くする長さは、第1実施形態と同様にそれらの差L4=2mm前後等の適切な範囲で設定する。
【0052】
また、所定の基準値の長さも第1実施形態と同様に、例えば、仕様に規定された値又は設計値であり、セメント系押出成形体で形成された笠木311の乾燥後の凹部397と係合できるように設定された寸法である。さらに、第1分岐部341の先端部には、凹部397と係合する第1係合端部342が一体に形成され、第2分岐部351の先端部には、凹部397と係合する第2係合端部352が一体に形成される。
【0053】
第1分岐部341と第1係合端部342は、例えば笠木311の凹部397に係合できるように鉤型に形成される。同様に第2分岐部351と第2係合端部352も、笠木311の凹部397に係合できるように鉤型に形成される。鉤型というのは、第1係合端部342又は第2係合端部352を単独で鉤型にすることも含むが、本実施形態では、取り付け金具331における第1分岐部341と第1係合端部342の全体、又は第2分岐部351と第2係合端部352の全体で鉤型を構成している。この鉤型が凹部397に係合して笠木311がベランダの壁面391の上面392上に固定される。
【0054】
このように本実施形態の外装化粧材の固定構造によれば、完成品の寸法誤差が大きい窯業系の笠木311であっても、本実施態様の取り付け金具331を用いることでベランダの壁面391の上面392上に確実に固定することができ、地震や係合手段の経年変化等により外れる可能性を減少させることができる。また、第1実施形態の変形例1、変形例2についても、本実施形態に同様に適用することができる。
【0055】
<第3実施形態>
上記の第1実施形態では、窯業系の外装化粧材である化粧柱の場合について説明し、第2実施形態では、窯業系の外装化粧材である笠木の場合について説明した。しかし、本発明の固定構造は、化粧柱や笠木に限らず、例えば、建造物の外壁面上に窯業系の外装化粧材である胴差し(幕板)、見切り材、又はコーナー部材を固定する固定構造についても適用することができる。以下、
図7(a)、(b)、(c)を参照して建造物の外壁面上に取り付け金具を用いて胴差し又はコーナー部材を固定する場合の第3実施形態について説明する。
【0056】
本実施形態の取り付け金具431は、建造物の外壁面5上に設置され、固定用ネジ穴81を介して固定用ネジ100により固定される。さらに取り付け金具431上に胴差し2又はコーナー部材3が取り付けられる。胴差し2又はコーナー部材3は、内側になる面に取り付け金具431と係合する凹部497、498、及びネジ固定用凹部499を備えるように形成される。
【0057】
取り付け金具431は、建造物の外壁面5上に一カ所につき1個用いて、胴差し2又はコーナー部材3を外壁面5上に固定可能であるように形成されている。取り付け金具431は、外壁面5上に、固定用ネジ100を固定用ネジ穴81にねじ込むことで固定可能であるように形成され、外壁面5上の複数箇所に固定用ネジ100により取り付けられる。取り付け金具431を設置する間隔は、外壁面5上で胴差し2又はコーナー部材3が延伸される水平又は垂直方向に、胴差し2又はコーナー部材3の長辺寸法の間隔程度で設けられる。
【0058】
取り付け金具431も、第1実施形態又は第2実施形態と同様にステンレス鋼板(例えばSUS430)に対して型を用いてプレス成形と折り曲げ成形等を実施することにより形成される。取り付け金具431は、胴差し2又はコーナー部材3の内側面を胴差し2又はコーナー部材3の表面側方向に押圧しつつ胴差し2又はコーナー部材3の内側面に設けられた少なくとも2箇所の凹部497と係合して胴差し2又はコーナー部材3を位置決め固定する弾性係合部432と、胴差し2又はコーナー部材3の内側面の凹部498と係合して位置決め固定する係合部462と、胴差し2又はコーナー部材3の内側面の凹部498と係合して位置決め固定する係合部462と、胴差し2又はコーナー部材3の内側面の凹部499の中に配置され、最終的にタッピンネジ110によりネジを切られながら胴差し2又はコーナー部材3を取り付け金具431に位置決め固定するネジ固定部481とを有する。
【0059】
弾性係合部432は、胴差し2又はコーナー部材3に対向する一部にスリット471及び472により解放端を有し、直線的に形成されており、ステンレス鋼板から成形されるため、板ばね的に平面に垂直方向に弾性力を有している。また、弾性係合部432の分岐部は、複数の分岐部を有しており、本実施形態では第1分岐部441及び第2分岐部451に分かれている。
【0060】
スリット471は、取り付け金具431の本体部と第1分岐部441との間に設けられ、スリット472は、取り付け金具431の本体部と第2分岐部451との間に設けられ、スリット473は、取り付け金具431の本体部と係合部462との間に設けられる。スリット471、スリット472は、胴差し2又はコーナー部材3の凹部497に対して各分岐部441/451が弾性による動作ができる長さ以上の寸法で形成される。
【0061】
また、第1分岐部441は所定の基準値の長さで形成され、第2分岐部451は所定の基準値の長さよりも短く形成される。これにより第1分岐部441が胴差し2又はコーナー部材3の凹部497に係合できない場合でも、第2分岐部451を胴差し2又はコーナー部材3の凹部497に係合させることができる。第2分岐部451を第1分岐部441よりも短くする長さは、第1実施形態及び第2実施形態と同様にそれらの差L5=2mm前後等の適切な範囲で設定する。
【0062】
また、所定の基準値の長さも第1実施形態及び第2実施形態と同様に、例えば、仕様に規定された値又は設計値であり、セメント系押出成形体で形成された胴差し2又はコーナー部材3の乾燥後の凹部497と係合できるように設定された寸法である。さらに、第1分岐部441の先端部には、凹部497と係合する第1係合端部442が一体に形成され、第2分岐部451の先端部には、凹部497と係合する第2係合端部452が一体に形成される。
【0063】
第1分岐部441と第1係合端部442は、例えば胴差し2又はコーナー部材3の凹部497に係合できるように鉤型に形成される。同様に第2分岐部451と第2係合端部452も、胴差し2又はコーナー部材3の凹部497に係合できるように鉤型に形成される。鉤型というのは、第1係合端部442又は第2係合端部452を単独で鉤型にすることも含むが、本実施形態では、係合部462と取り付け金具431における第1分岐部441と第1係合端部442の全体、又は第2分岐部451と第2係合端部452の全体で鉤型を構成している。この鉤型が凹部497に係合して胴差し2又はコーナー部材3が建造物の外壁面5上に固定される。
【0064】
ネジ固定部481は、取り付け金具431の本体部に対しては直角よりも大きく、すなわちネジ固定部481と取り付け金具431との狭角が鋭角になるように折り曲げられる。これは、建造物の外壁面5とネジ固定部481とのなす角が直角よりも鈍角である方が、建造物の作業現場では工具を使うスペース等が確保しやすく、壁と平行の位置から固定具を打込むより、壁とのスペースがある方が作業効率を向上させることができるためである。また、ネジ固定部481は末端部483までの途中に折り曲げ部482を有している。これは、タッピンネジ110によりネジを切りながら、胴差し2又はコーナー部材3の構造体411をネジ固定部481に固定する場合に、ネジ固定部481の逃げを抑制して固定しやすくするためである。なお、鋭角に折り曲げたネジ固定部をさらに2回折り曲げて、ネジ固定部の先端部分をV字形状とし、末端部483ではなく、ネジ固定部481上面と構造体411の内側とを接触させるようにすることも可能である。
【0065】
このように本実施形態の外装化粧材の固定構造によれば、完成品の寸法誤差が大きい窯業系の胴差し2又はコーナー部材3であっても、本実施態様の取り付け金具431を用いることで建造物の外壁面5上に確実に固定することができ、地震や係合手段の経年変化等により外れる可能性を減少させることができる。また、第1実施形態の変形例1、変形例2についても、本実施形態に同様に適用することができる。
【0066】
又、上記した第1実施形態では、本発明の取り付け金具31を軽量鉄骨住宅の玄関ポーチの角柱の構造柱91に用いる場合について説明したが、本発明の技術的範囲は上記した実施の形態に記載された範囲には限定されるものではなく、例えば、木造住宅の任意箇所の角柱又は形状が円形の構造柱に対しても、取り付け金具31の形状を変更することで適用することができる。また、上記した第2実施形態では、本発明の取り付け金具331をベランダの壁面391の上面392上に用いる場合について説明し、第3実施形態では、本発明の取り付け金具431を建造物の外壁面5上に用いる場合について説明したが、本発明の技術的範囲は上記した実施の形態に記載された範囲には限定されるものではなく、任意の建造物上の窯業系の外装化粧材を取り付け金具を用いて取り付ける場所に適用することができる。