【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の第1態様に係るバイオセンサの製造方法は、第一基板と、前記第一基板と積層されると共に、試料液を吸引するキャピラリを前記第一基板の先端部との間に形成する第二基板と、前記第二基板における少なくとも前記キャピラリに面する領域に形成された親水層とを有するバイオセンサ形成部を複数有
し、前記第二基板よりも前記第一基板の方が積層方向の厚みが厚いシート材を形成するシート材形成工程と、前記シート材に対し、前記キャピラリの先端が前記第一基板及び前記第二基板の先端面に開口されるように、前記各バイオセンサ形成部の先端を前記第一基板側から前記第二基板へ向かう方向に刃を入れて裁断し、複数のバイオセンサを得る裁断工程と、を備えている。
【0008】
このバイオセンサの製造方法によれば、親水層が形成された第二基板とは反対側の第一基板側から
第二基板へ向かう方向に刃を入刃するので、裁断時に生ずる第二基板のバリが親水層側に突出することを抑制することができる。これにより、裁断時に親水層に剥離や傷等が生じることを抑制することができるので、キャピラリの吸引性能を確保することができる。
【0009】
本発明の第2態様に係るバイオセンサの製造方法は、第1態様に記載のバイオセンサの製造方法における前記シート材形成工程において、前記第一基板として前記第二基板よりも靭性が高いものを用いる方法である。
【0010】
このバイオセンサの製造方法によれば、第一基板として第二基板よりも靭性が高いものを用いているので、第一基板側から刃を入刃したときには、第一基板からキャピラリ側にバリが発生することを抑制することができる。これにより、試料液がキャピラリに吸引される際の障害を無くすことができるか又は少なくすることができるので、キャピラリの吸引性能をより一層確保することができる。
【0011】
しかも、第一基板側から刃を入刃したときには、第一基板の先端部が第二基板側に変形され、その後、刃を後退させたときには、この第一基板の先端部が元の形状に戻る。そして、これにより、第一基板の先端部におけるキャピラリ側の面は、その先端に向かうに従って第二基板から離間されるように傾斜される。従って、これにより、キャピラリの先端側は、その先端に向かうに従って第一基板及び第二基板の積層方向に径が拡がるので、例えば、試料液の量が少なくても、キャピラリの先端に試料液を容易に点着させることができ、且つ、試料液をキャピラリに円滑に吸引させることができる。
【0012】
本発明の第3態様に係るバイオセンサの製造方法は、第1態様又は第2態様に記載のバイオセンサの製造方法における前記裁断工程において、前記第一基板の先端面が、前記第二基板から離間される側に向かうに従って前記第一基板の後端側に向かう傾斜面となるように、前記各バイオセンサ形成部の先端を裁断する方法である。
【0013】
このバイオセンサの製造方法によれば、第一基板の先端面が、第二基板から離間される側に向かうに従って第一基板の後端側に向かう傾斜面として形成される。これにより、キャピラリに試料液を吸引させる際に、試料液を親水層に容易に接触させることができるので、試料液をキャピラリに円滑に吸引させることができる。
【0014】
本発明の第4態様に係るバイオセンサの製造方法は、第1態様〜第3態様のいずれか一つに記載のバイオセンサの製造方法における前記裁断工程において、前記刃として、前記第一基板及び前記第二基板の先端面との接触面が前記第二基板側から前記第一基板側に向かうに従って前記第一基板の後端側に向かう傾斜面とされた片刃を用いる方法である。
【0015】
このバイオセンサの製造方法によれば、刃として、第一基板及び第二基板の先端面との接触面が第二基板側から第一基板側に向かうに従って第一基板の後端側に向かう傾斜面とされた片刃を用いるので、第一基板側から刃を入刃しても、裁断後においては、第一基板の先端面を第二基板の先端面よりも第二基板の後端側に位置させることができる。これにより、キャピラリに試料液を吸引させる際に、試料液を保持する保持体と第一基板の先端面との干渉を抑制して、試料液をキャピラリに円滑に吸引させることができる。
【0016】
本発明の第5態様に係るバイオセンサの製造方法は、第1態様〜第3態様のいずれか一つに記載のバイオセンサの製造方法における前記裁断工程において、前記刃として、裁断される一対の前記バイオセンサ形成部の配列方向に並ぶ一対の刃部を有する両刃を用いる方法である。
【0017】
このバイオセンサの製造方法によれば、刃として両刃を用いるので、第一基板側から刃を入刃しても、裁断後においては、第一基板の先端面を第二基板の先端面よりも第二基板の後端側に位置させることができる。これにより、キャピラリに試料液を吸引させる際に、試料液を保持する保持体と第一基板の先端面との干渉を抑制して、試料液をキャピラリに円滑に吸引させることができる。
【0018】
また、前記課題を解決するために、本発明の第6態様に係るバイオセンサは、第一基板と、前記第一基板と積層されると共に、試料液を吸引するキャピラリを前記第一基板の先端部との間に形成する第二基板と、前記第二基板における少なくとも前記キャピラリに面する領域に形成された親水層と、を備え、前記
第一基板は、前記第二基板よりも積層方向の厚みが厚く形成されており、前記第二基板は、前記キャピラリとは反対側へ延出するバリを有する。
【0019】
このバイオセンサによれば、第一基板及び第二基板が刃によって裁断されることに伴って第二基板にバリが形成されているが、このバリは、第一基板側から刃が入刃されることにより、第二基板からキャピラリと反対側に延出されている。従って、この第二基板のバリがキャピラリ側、すなわち、親水層側に突出することが抑制されるので、キャピラリの吸引性能を確保することができる。
【0020】
本発明の第7態様に係るバイオセンサは、第6態様に記載のバイオセンサにおいて、前記第一基板が、前記第二基板よりも靭性が高く形成された構成とされている。
【0021】
このバイオセンサによれば、第一基板は、第二基板よりも靭性が高く形成されているので、第一基板側から刃を入刃したときには、第一基板からキャピラリ側にバリが発生することを抑制することができる。これにより、試料液がキャピラリに吸引される際の障害が無くなるか又は少なくなるので、キャピラリの吸引性能をより一層確保することができる。
【0022】
本発明の第8態様に係るバイオセンサは、第6態様又は第7態様に記載のバイオセンサにおいて、前記キャピラリの先端側が、その先端に向かうに従って前記第一基板及び前記第二基板の積層方向に径が拡がる構成とされている。
【0023】
このバイオセンサによれば、キャピラリの先端側は、その先端に向かうに従って第一基板及び第二基板の積層方向に径が拡がっている。従って、例えば、試料液の量が少なくても、キャピラリの先端に試料液を容易に点着させることができ、且つ、試料液をキャピラリに円滑に吸引させることができる。
【0024】
本発明の第9態様に係るバイオセンサは、第6態様〜第8態様のいずれか一つに記載のバイオセンサにおいて、前記第一基板の先端面が、前記第二基板から離間される側に向かうに従って前記第一基板の後端側に向かう傾斜面として形成された構成とされている。
【0025】
このバイオセンサによれば、第一基板の先端面は、第二基板から離間される側に向かうに従って第一基板の後端側に向かう傾斜面として形成されている。これにより、キャピラリに試料液を吸引させる際に、試料液を親水層に容易に接触させることができるので、試料液をキャピラリに円滑に吸引させることができる。
【0026】
本発明の第10態様に係るバイオセンサは、第6態様〜第8態様のいずれか一つに記載のバイオセンサにおいて、前記第一基板の先端面が、前記第二基板の先端面よりも前記第二基板の後端側に位置された構成とされている。
【0027】
このバイオセンサによれば、第一基板の先端面は、第二基板の先端面よりも第二基板の後端側に位置されている。これにより、キャピラリに試料液を吸引させる際に、試料液を保持する保持体と第一基板の先端面との干渉を抑制して、試料液をキャピラリに円滑に吸引させることができる。
【0028】
本発明の第11態様に係るバイオセンサは、第6態様〜第10態様のいずれか一つに記載のバイオセンサにおいて、前記第一基板のキャピラリに面する領域に試薬または電極を有する構成とされている。
【0029】
このバイオセンサによれば、試料液を試薬と早く混ぜることができる。
【0030】
本発明の第12態様に係るバイオセンサは、第6態様〜第11態様のいずれか一つに記載のバイオセンサにおいて、前記第一基板のキャピラリに面する領域にも親水層を有する構成とされている。
【0031】
このバイオセンサによれば、より早く試料液が反応領域に到着するので、短時間での反応及び測定が可能となる。
【0032】
なお、第13態様及び第14態様に係るバイオセンサは、試料液として血液を吸引したり、血糖値を測定したりするために用いられると好適である。
【0033】
また、本発明の第15態様に係るバイオセンサは、前記キャピラリの先端側より前記試料液を点着させ、試料液を前記第二基板における前記第一基板側の面に這わせて、かつ前記試料液が前記第一基板における前記第二基板側の面にも這うようにして、試料液を吸引させると好適である。