(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
編成された1枚生地のコース方向両側に生じている対向2側縁を、コース方向と直交するウエール方向へずらした状態で繋ぎ合わせることにより筒軸方向で螺旋状に捻れた筒状生地を作成し、
筒状生地の捻れ方向に合わせて一方の筒端から当該筒状生地の筒軸方向に螺旋状となるように切り出しを行うことによりテープ生地を製造する
ことを特徴とするテープ生地の製造方法。
前記1枚生地の対向2側縁を繋ぎ合わせるのに先立ち、この対向2側縁を繋ぎ合わせる際のずらし位置を指示する位置合わせマークを、前記1枚生地に対して印刷により表示することを特徴とする請求項1記載のテープ生地の製造方法。
前記切り出しを行うのに先立ち、前記筒状生地から切り出し位置を検出するための裁断ラインを、前記筒状生地を製作する前の1枚生地に対して印刷により表示することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のテープ生地の製造方法。
前記1枚生地は、丸編機によって編成した筒状素材生地をその筒軸方向で切り開くことにより作成することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のテープ生地の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
本発明に係るテープ生地の製造方法は、
図2に示すように、基本的には、筒状生地Wにおける一方の筒端外周面から所定のテープ幅に合わせてテープ生地Tを切り出すようにする。テープ生地Tの切り出しは、実際には筒状生地Wをその筒軸まわりに回転させながら行うようにすればよい。
【0014】
但し、本発明に係るテープ生地の製造方法で用いる筒状生地Wは、編み目のコース方向(丸編機によって編成を進めてゆく場合を例示すればその筒形としての周方向)が筒軸方向(コース方向に直交する方向であって編み目のウエール方向に同じ)で螺旋状に捻れたものとしてある。本発明に係るテープ生地の製造方法では、筒状生地Wにおける、このような捻れ方向に合わせ、筒軸方向に沿って螺旋状となるようにテープ生地Tを切り出しを行うので、切り出されたテープ生地Tは、その長手方向がコース方向に平行となるものである。
【0015】
図6は、本発明に係るテープ生地の製造方法で用いる筒状生地Wの作成過程を示している。この筒状生地Wは、まず丸編機により筒状素材生地W
0 を一旦編成し、この筒状素材生地W
0 をその筒軸方向に沿って切り開いて1枚生地W
1 にする。そして更に、この1枚生地W
1 について、コース方向両側に生じている対向2側縁(切り開き線α,β)を互いに繋ぎ合わせることで形成させている。
【0016】
なお、筒状素材生地W
0 を用いて1枚生地W
1 を得ているのは、製作の容易性や高生産性、低コスト性等の利点があるからであって、丸編機により筒状素材生地W
0 を編成することが1枚生地W
1 を得る手順(条件)として必須不可欠とされるものではない。
筒状生地Wには、テープ生地Tを切り出す際に、適正な切り出し位置の検出に用いるため、テープ幅を1ピッチとする螺旋状の裁断ラインLを表示させてある。この裁断ラインLは、筒状生地Wを作成する前の1枚生地W
1 (すなわち、筒状素材生地W
0 を切り開いたもの)に対してインクジェット印刷などを行うことで表示させたものである。
【0017】
この裁断ラインLは、1枚生地W
1 における両側の切り開き線α,β間をコース方向に対して平行に通り抜ける状態で、且つ互いに平行するように、複数本の直線を配列させておき、この1枚生地W
1 から筒状生地Wを形成させるに際し(切り開き線α,βを繋ぎ合わせるときに)、各直線を筒軸方向に1ピッチずらすようにすることで、1本に連続したライン(裁断ラインL)として形成させたものである。
【0018】
切り開き線α,β間を繋ぎ合わせる方法としては、縫着、接着、融着などを採用すればよい。なお、裁断ラインLの元にする直線は、印刷以外にも、丸編機において筒状素材生地W
0 を編成する際に、対応するコースおきにジャガード編みを行う方法や、着色糸による編成を入れる方法などの採用で、表示することができる。
一方、1枚生地W
1 には、切り開き線α,βを繋ぎ合わせる際のずらし位置を指示するため、位置合わせマークを表示させてある。この位置合わせマークについても、1枚生地
W
1 に対してインクジェット印刷などを行うことで表示させたものである。
【0019】
図6では、位置合わせマークの一例として、切り開き線βに沿う生地側縁に英子文字を表示させ、切り開き線αに沿う生地側縁に英大文字を表示させたものを示している。
判りやすく説明すると、一方側の切り開き線βに沿う生地側縁には、上から1本目と2本目の裁断ラインL,L間に「a」を表示し、以下、下方へ向けて「b」「c」「d」・・・といった具合に英小文字を仮に表示させるものとする。最も下の裁断ラインLとその上位の裁断ラインLとの間には「☆」印を表示しておく。
【0020】
これに対して他方側の切り開き線αに沿う生地側縁には、上から1本目と2本目の裁断ラインL,L間に「★」印を表示しておく。そして次の2本目と3本目の裁断ラインL,L間に「A」を表示し、以下、下方へ向けて「B」「C」「D」・・・といった具合に英大文字を仮に表示させるものとする。
このような位置合わせマークの表示を行っておけば、切り開き線α側の「A」と切り開き線β側の「a」とを合致させ、以下同様に、「B」と「b」、「C」と「c」、「D」と「d」・・・といった具合に合致させることで、切り開き線α,β間の位置合わせが簡単且つ正確に行えるものである。
【0021】
すなわち、このようにして切り開き線α,β間を繋ぎ合わせて製作した筒状生地Wは、切り開き線α側の「★」印が上方へ突出し、切り開き線β側の「☆」印が下方へ突出しており、切り開き線β側の生地側縁は、切り開き線α側の生地側縁に対して上から1ピッチだけ下方へずれた状態となっている。更に言えば、この筒状生地Wは、筒状素材生地W
0 と比較すれば、編み目のコース方向が筒軸方向で螺旋状に捻れていることになる。
【0022】
次に、本発明に係るテープ生地の製造方法を実施するに際し、好適に使用することのできるテープ生地製造装置1につき説明する。
このテープ生地製造装置1は、
図1に示すように、ベース部2を備えた縦型フレーム3により、筒状生地Wにおける一方の筒端を装着することのできるヘッド部4が、所定高さに支持された構成となっている。ヘッド部4は、装着後の筒状生地Wをその筒軸まわりで回転させることができ、また、筒状生地Wを回転させながら、この筒状生地Wの上周部からテープ生地Tを切り出すことができるようになっている。
【0023】
以下、具体的に説明する。
ヘッド部4には、複数本のロータ(図例では符号7〜9で示す3本)が斜め下方へ突出する状態に設けられており、これらロータ(7〜9)のまわりを取り囲むように、筒状生地Wにおける一方の筒端を巻回装着することになる。またヘッド部4には、装着された筒状生地Wの上周部に対応する配置で、裁断部12と、位置調整機構13と、位置検出部14とが設けられている。これに対し、ベース部2には、装着状態の筒状生地Wにおいて垂れ下がった部分(他方の筒端側)を支持するための生地受台15が設けられている。
【0024】
テープ生地製造装置1には、更に、位置検出部14等から得られる筒状生地Wの状態に応じて、裁断部12、位置調整機構13、及び生地受台15の各動作を制御するための制御部16が設けられている。
まず、ロータ(7〜9)について説明する。
図1、
図2及び
図4に示すように、ロータ(7〜9)としては、第1駆動ロータ7、第2駆動ロータ8、及びテンションロータ9が設けられており、このうち少なくとも1本が回転駆動されるようになっている。本実施形態では、第1駆動ロータ7がロータ用モータ20によって回転駆動され、第2駆動ロータ8がロータ用モータ21によって回転駆動されるものとしてある。
【0025】
ロータ用モータ20,21は、第1駆動ロータ7と第2駆動ロータ8との回転方向を同じにし、且つ周速を一致させるように、互いの速度比が設定されている。なお、これらロータ用モータ20,21には、ステッピングモータやサーボモータなどの制御用モータを採用するのが好適である。
第1駆動ロータ7は他の2本のロータ(第2駆動ロータ8及びテンションロータ9)に比べて最も径大に形成されており、その外周面にはウレタンやゴムなどの弾性カバー(図示略)が貼り付けられている。この弾性カバーが設けられていることで、装着する筒状生
地Wに対して擦過傷を生じさせるのを防止し、また筒状生地Wに回転力を伝える際のスリップが生じないようにしている。
【0026】
第2駆動ロータ8には、そのロータ外周面に前記した位置調整機構13が設けられている。この位置調整機構13の詳細に関しては後述する。また、この第2駆動ロータ8には、ヘッド部4内に設けられた横軸18を支点として、第2駆動ロータ8の傾斜角度を調節できるようにする角度調節機構19が設けられている。
この角度調節機構19は、筒状生地Wの上周部から切り出されるテープ生地Tのテープ幅を調節するためのもので、
図7に示すように、第2駆動ロータ8のロータ軸8a(回転軸)とロータ用モータ21のモータ軸との継手部(連結部分)を収納するために設けられた箱形の継手ケース22から、ロータ軸8aと直交しつつ且つ継手ケース22の両側方へ向けて、前記した横軸18を突出させている。
【0027】
横軸18は、継手ケース22内を貫通しておらず、継手ケース22の両側面から相反する方向へ突出するようにして、当該継手ケース22に対して回転不能に固定されている。従って、この横軸18を回転させることで、継手ケース22を当該横軸18のまわりで揺動させることができる。言うまでもなく、継手ケース22の揺動により、第2駆動ロータ8及びロータ用モータ21も一体となって揺動することになる。
【0028】
このときの第2駆動ロータ8の揺動方向は、そのロータ軸方向において下方側(突端側)を上下させる方向である。すなわち、第2駆動ロータ8については、その突端側を第1駆動ロータ7のロータ外周面よりも径方向外方へ突き出させるような傾きを付与できるようになる。そのため、この第1駆動ロータ7と第2駆動ロータ8とのまわりに巻回装着される筒状生地Wが筒軸まわりに回転されるとき、第2駆動ロータ8の傾斜成分により、筒状生地Wに螺旋状の昇り回転力を付与することができる。この昇り回転力が、筒状生地Wの上昇寸法を決定することになり、筒状生地Wの上周部から切り出されるテープ生地Tのテープ幅が左右されることになる。
【0029】
横軸18の一端部には、ウオームギヤとウオームホイールとの噛合より成る交差型伝動部23が設けられ、この交差型伝動部23に対して操作ハンドル24のハンドル軸24aが連結されている。従って、この操作ハンドル24を回転操作することで、横軸18に対して回転力を伝達することができる。
また、継手ケース22を超えて反対側となる横軸18の他端部には、すり割り付きの軸孔28aを有する軸受台28が設けられている。この軸受台28には、すり割りを締め込みむことのできるクランプレバー付きロックボルト29がネジ取り付けされており、ロックボルト29を緩め方向へ回転操作すれば横軸18を回転自在に解放することができ、ロックボルト29を締め方向へ回転操作すれば横軸18を回転不能にロックすることができる。
【0030】
テンションロータ9(
図1参照)は、第1駆動ロータ7と第2駆動ロータ8との間で巻回装着される筒状生地Wに対し、その筒径を拡大させるようなテンションを付与するためのもので、回転自在に保持されている。また、このテンションロータ9は、そのロータ軸方向において下方側(突端側)よりも上方側(根本側)になるほど、第1駆動ロータ7や第2駆動ロータ8から離れるように(テンションを張るように)斜めに傾けて設けられている。
【0031】
更に、この傾き成分には、筒状生地Wを斜め上方へ巻き出すような傾斜角をも含めさせてあり、この傾斜角により、回転中の筒状生地Wに対して螺旋状の昇り回転力を付与する役目をも有している。このテンションロータ9は、斜めに傾ける際の角度調節や傾け方向を調節できるようにする機構を備えた取付アーム37により、ヘッド部4又は縦型フレーム3に取り付けられている。
【0032】
次に、裁断部12について説明する。
裁断部12は、
図2〜
図4に示すように、筒状生地Wの外周面を表裏両側(筒状生地Wの筒外と筒内)から挟持するように当接する回転刃25,26と、これらの回転刃25,26を回転させる切り出しモータ27(
図1参照)とを有している。回転刃25,26は、歯車機構(図示略)などによって相対逆方向に連動回転するようになされ、この歯車機
構に切り出しモータ27の駆動が入力されるようになっている。なお、切り出しモータ27には、ステッピングモータやサーボモータなどの制御用モータを採用することができる。DCブラシレスモータや一般的な(ブラシ付きの)モータ等を採用してもよい。
【0033】
従って、この裁断部12により、筒状生地Wの上周部(筒端からテープ生地Tのテープ幅だけ入り込んだ位置)に切れ目を入れるようになっている。すなわち、この切れ目が、筒状生地Wの回転に伴い、筒状生地Wの筒軸方向に沿って螺旋状となるようにして延伸形成され、その結果としてテープ生地Tが切り出されることになる。
なお、回転刃25,26はいずれか一方だけを備える構成とすることができる。また、場合によっては、回転刃25,26を、レーザ裁断機やノッチ刃(レシプロ型)裁断機などと置換することも可能である。
【0034】
次に、位置調整機構13について説明する。
位置調整機構13は、
図4及び
図5に示すように、第2駆動ロータ8のロータ外周面に対して、ロータ軸8aまわりの放射状配置で複数の巻掛け駆動手段30が設けられたものである。各巻掛け駆動手段30は、第2駆動ロータ8のロータ軸8aに対し、その先端部と基端部とに設けられたプーリ31を介してエンドレスベルト32が巻き掛けられた構造となっている。各巻掛け駆動手段30は、エンドレスベルト32のベルト面を、第2駆動ロータ8のロータ外周面に沿わせるように露出させた配置とされている。
【0035】
基端部のプーリ31には、ヘリカルギヤやベベルギヤ等の交差型伝動部34を介して入力ホイル35が接続されている。この入力ホイル35は、ロータ軸8aのまわりに回転自在に保持されており、歯付きベルトなどの伝動手段36を介して駆動モータ39(
図7参照)からの駆動がこの入力ホイル35に入力されるようになっている。なお、
図7から明らかなように、この駆動モータ39は、第2駆動ロータ8とロータ用モータ21との連結部分に設けられた継手ケース22に対して固定されており、前記した角度調節機構19の操作によって第2駆動ロータ8が揺動するときには、この駆動モータ39も継手ケース22と一体で揺動することになる。
【0036】
このような構造であるため、駆動モータ39を駆動すると、入力ホイル35から駆動が各巻掛け駆動手段30へ分配されて、これら各巻掛け駆動手段30が一斉に同方向に駆動するようになる。そのため、第2ロータ8のロータ軸8aに沿ってエンドレスベルト32が循環走行する状態となり、これらエンドレスベルト32の走行により、筒状生地Wの内面に対して筒軸方向に沿った移動力が加えられるものである。
【0037】
但し、第2駆動ロータ8は、前記したように第1駆動ロータ7の回転に同調して、ロータ用モータ21によって回転駆動される。そのため、各巻掛け駆動手段30のプーリ31は、第2駆動ロータ8のロータ軸8aと一体回転するように、このロータ軸8aに対してキー嵌合されたプーリブラケット38により保持される構造となっている。
そこで、これに伴い、各巻掛け駆動手段30に駆動力を分配する入力ホイル35には、第2駆動ロータ8のロータ軸8aと相対速度差が生じない回転速度(即ち、同一の回転速度)で回転する状態を、各巻掛け駆動手段30の停止状態として設定する必要が生じる。言い換えれば、入力ホイル35を回転駆動するための駆動モータ39は、入力ホイル35を第2駆動ロータ8のロータ軸8aと同一回転速度で回転させながら、この回転速度を増速させたときに各巻掛け駆動手段30に一方向駆動(例えば、筒状生地Wを下降させる方向の駆動)を行わせ、反対に、減速させたときに各巻掛け駆動手段30に他方向駆動(例えば、筒状生地Wを上昇させる方向の駆動)を行わせるものとなっている。
【0038】
なお、各巻掛け駆動手段30は、前記したように第2駆動ロータ8のロータ軸8aまわりで放射状配置となっているので、第2駆動ロータ8が回転することでそれぞれのエンドレスベルト32は周方向移動をする。このようなエンドレスベルト32の周方向移動は、筒状生地Wの内面に対して筒軸まわりの回転力付与作用と、この回転力に対する筒状生地Wのスリップ防止作用とを奏するものとなる。
【0039】
次に、位置検出部14について説明する。
位置検出部14は、ロータ7〜9まわりに巻回装着された筒状生地Wを検出対象にして、裁断部12がこの筒状生地Wを裁断すべき位置(適正裁断位置)を検出するところであ
る。この位置検出部14は、
図3及び
図4に示すように、筒状生地Wの回転方向(裁断部12に向けて筒状生地Wが送り込まれる方向)において、裁断部12の上流側となる位置(
図3、
図4において裁断部12の各右側)に配置されている。
【0040】
この位置検出部14は、筒状生地Wの筒軸に沿う方向(
図3の上下方向)で互いにずらして配置された3つのセンサ40〜42を有している。3つのセンサ40〜42のうち、裁断部12に最も近い配置とされたセンサ40は、筒状生地Wに対してテープ幅を1ピッチとして表示された螺旋状の裁断ラインLを検出するための『適位置センサ』とされている。すなわち、この裁断ラインLが裁断部12による裁断位置と合致していれば、裁断位置として適正であることを判別し、又は確認することができる。
【0041】
これに対し、適位置センサ40に隣接する配置とされたセンサ41は、裁断ラインLが適位置センサ40から下側へ外れたことを検出する『下限センサ』とされている。また、この下限センサ41に隣接する配置(適位置センサ40から最も遠い配置)とされたセンサ42は、裁断ラインLが適位置センサ40から上側へ外れたことを検出する『上限センサ』とされている。
【0042】
これら適位置センサ40、下限センサ41、上限センサ42には、裁断ラインLが白色等のように反射性の高い色である場合には、反射型のフォトセンサを用いることができる。しかし、筒状生地Wの生地色や柄などとの関係で裁断ラインLが反射性の低い色である場合には、カラーセンサを用いるのが好適である。
なお、適位置センサ40と裁断部12との間には均し板44が設けられ、上限センサ42の上流位置には2本の抑え込みバー45が設けられている。これら均し板44及び抑え込みバー45は、いずれも筒状生地Wのバタツキを抑え、皺を除去し、且つ蛇行を防止する作用を奏するものである。従って、均し板44によって裁断部12による筒状生地Wの裁断が確実且つ綺麗に行われる効果が得られ、また抑え込みバー45によって位置検出部14による裁断ラインLの正確な検出が可能になる効果が得られるものとなる。
【0043】
次に、生地受台15について説明する。
図1に示すように、ロータ7〜9の下方に設けられた生地受台15は、ロータ7〜9まわりに巻回装着されて垂れ下がった筒状生地Wを、ジグザグの折り畳み状態で支持できる上面広さとして形成されている。この生地受台15を支えるベース部2には、この生地受台15を旋回駆動するための旋回モータ47が設けられている。なお、この旋回モータ47には、DCブラシレスモータや一般的な(ブラシ付きの)モータ等を採用すればよい。
【0044】
次に、制御部16について説明する。
制御部16には、第1駆動ロータ7を回転駆動するためのロータ用モータ20と、第2駆動ロータ8を回転駆動するためのロータ用モータ21と、第2駆動ロータ8に組み込まれた位置調整機構13を駆動するための駆動モータ39と、裁断部12の回転刃25,26を回転駆動するための切り出しモータ27と、生地受台15を回転駆動するための旋回モータ47と、位置検出部14が備える3つのセンサ(適位置センサ40、下限センサ41、上限センサ42)とが、それらの駆動回路(ドライバ等)を介して接続されている。
【0045】
制御部16は、ロータ用モータ20,21などから取得した動作量(筒状生地Wの回転数など)や、位置検出部14から出力される位置情報(筒状生地Wにおける裁断ラインLの位置)に基づき、位置調整機構13や裁断部12、更には生地受台15を制御するようになっているが、これらの制御の内容については、以下の動作状況の中で説明する。
次に、テープ生地製造装置1の動作状況を説明する。
【0046】
生地受台15上にジグザグの折り畳み状態にした筒状生地Wを置き、この筒状生地Wから折り畳み上面にある一方の筒端を持ち上げて、第1駆動ロータ7、第2駆動ロータ8、及びテンションロータ9のまわりに巻回装着する。必要に応じて、角度調節機構19を操作して第2駆動ロータ8の角度を調節したり、取付アーム37によってテンションロータ9の傾斜角を調節したりする。
【0047】
筒状生地Wの装着後、第1駆動ロータ7及び第2駆動ロータ8を同一方向に連動回転させるべく、ロータ用モータ20,21を作動させて、筒状生地Wをその筒軸まわりに回転させる。このロータ用モータ20,21の作動開始と共に、制御部16は、裁断部12の
切り出しモータ27を作動させ、回転刃25,26を相対逆回転させる。このとき制御部16は、ロータ用モータ20,21の駆動で回転する筒状生地Wの周速に比べ、回転刃25,26の周速の方が高速となるように制御する。
【0048】
このように回転刃25,26の周速を高速にすることで、筒状生地Wが伸縮性の大きな生地(筒径を拡大させるようなテンションを付与し難い生地)である場合にも、テンションロータ9による適度なテンションを保持させながら確実な裁断が可能となり、また綺麗な裁断線が得られるものとなる。この効果は、径大な筒状生地Wを用いたテープ生地Tの切り出しが可能となり、それだけ生産性や低コスト性を推進できるといった効果にも派生する。
【0049】
また同時に、制御部16は、生地受台15を回転駆動するための旋回モータ47をも作動させる。旋回モータ47による生地受台15の回転は、連続回転であっても、間欠回転であってもよい。但し、このとき制御部16は、筒状生地Wが捻れを生じる回転量に達する前に、この回転量以内で生地受台15を回転させるべく旋回モータ47を駆動させる。
例えば、連続回転とする場合であれば、ロータ用モータ20,21の駆動で回転する筒状生地Wの回転数と、生地受台15の回転数とを同じとすればよい。また間欠回転とする場合であれば、筒状生地Wが1回転するのを待って、生地受台15を1回転させるようにすればよい。いずれにしても、筒状生地Wは、ヘッド部4と生地受台15との上下間において1回転以上の捻れを生じることがないので、結果として筒状生地Wには、捻れを原因として下方へ引っ張られる作用が付加されることがない。従って、筒状生地Wの捻れを原因とするようなテープ幅の変動は生じないことになる。
【0050】
前記の如くロータ用モータ20,21が作動を開始すると、位置検出部14では、適位置センサ40が裁断ラインLを検出し、下限センサ41及び上限センサ42は非検出の状態になる。適位置センサ40が裁断ラインLを検出している間は、裁断部12の回転刃25,26に対して筒状生地Wに表示された裁断ラインLが合致している(適正位置が裁断されている)ことになる。従って、制御部16は、このような位置検出部14からの信号を受けても、位置調整機構13を作動させることなく、筒状生地Wの装着位置をそのまま維持させる。
【0051】
なお、このとき制御部16は位置調整機構13を制御していないのではなく、「不作動」という制御を行っていることになる。
しかし、位置検出部14において適位置センサ40が非検出状態となり、下限センサ41又は上限センサ42が検出状態にあるとき(下限センサ41又は上限センサ42の一方が裁断ラインLの通過信号を検出後に非検出状態となっている場合を含む)には、適位置センサ40の検出ポイントに対して裁断ラインLが下限センサ41側又は上限センサ42側に位置ズレしていることになる。そこで制御部16は、このような位置検出部14からの信号を受けたときに、適位置センサ40が裁断ラインLを検出状態になるまで、位置調整機構13の駆動モータ39を増速又は減速させて、各巻掛け駆動手段30により筒状生地Wを下降移動又は上昇移動させるように制御する。
【0052】
前記したような制御部16による位置調整機構13の制御は、ロータ用モータ20,21の作動中、位置検出部14の出力に基づいて常に行われる。そのため、裁断部12の回転刃25,26に対して筒状生地Wに表示された裁断ラインLが合致する(適正位置が裁断される)状況が確実に保持され、テープ幅の一定したテープ生地Tが切り出されることになる。
【0053】
このテープ生地製造装置1では、テープ幅を高精度に保持しつつテープ生地Tを切り出すことが可能である。実際に、テープ生地Tのテープ幅をプラスマイナス1mm以内の高精度に収められることが確認されており、これによってこのテープ生地Tを用いた衣類の品質を飛躍的に向上させることができる。また、このテープ生地製造装置1では、テープ幅の変更も簡単且つ迅速に行えるものとなっている。
【0054】
以上、テープ生地製造装置1の動作状況として、本発明に係るテープ生地の製造方法を詳説したところから明らかなように、この製造方法によって製造されたテープ生地Tは、テープ長手方向と生地に生じた編み目のコース方向とが平行するようになっている。その
ため、テープ生地Tをその長手方向へ引っ張ったときにコース方向に沿った直線的な伸縮が生じることになって、捻れが生じないという利点が得られるものである。これにより、このテープ生地Tを衣類(例えば、パンツのウエスト部)へ取り付けたときに、衣類の撚れ防止などが得られるものであり、衣類への取付状態において生じていた従来の諸問題を解消除去できるようになっている。
【0055】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
例えば、筒状生地Wに対し、裁断ラインLや位置合わせマークを表示させることは限定されるものではなく、これらを簡易化したり又は省略したりすることもできる。殊に位置合わせマークに関しては、別の記号やカラーマークなどとして、1組みだけ設けるようなことが可能である。
【0056】
テープ生地製造装置1として、制御部16による筒状生地Wの位置制御が行われる構成は必ずしも限定されるものではなく、また必須不可欠とされるものでもない。