(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記返送管が、前記一次処理槽内において略上下方向に沿って配置されるとともに先端側を前記一次処理槽の底壁近傍に配置させる縦管部と、該縦管部の先端側において前記底壁に略沿うように配置される横管部と、を備える構成とされ、
前記流出孔が、前記横管部において、前記底壁と対向して開口するように形成されるとともに、前記横管部の長手方向に沿って複数形成されていることを特徴とする請求項1に記載の排水処理装置。
前記一次処理槽が、上部側に、前記排水中の前記汚泥を分離して、前記一次処理槽内の下部に落下させるとともに、前記原水を前記二次処理槽側に案内する汚泥分離手段を、配置させていることを特徴とする請求項1又は2に記載の排水処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の排水処理装置では、二次処理槽から返送される被処理水を、上方から一次処理槽内に流入させている構成であることから、被処理水が、一次処理槽内の深い箇所まで到達し難く、被処理水を、嫌気ろ床に到達させることができない状態で、二次処理槽に流出させてしまったり、あるいは、嫌気ろ床に汚泥が目詰まりして、接触面積が減少する等の理由により、良好な窒素除去作用を得られない場合があった。また、従来の排水処理装置では、一次処理槽内に嫌気ろ床を配置させていることから、嫌気ろ床を定期的に清掃する必要が生じ、メンテナンスが容易ではなかった。
【0005】
また、排水処理装置としては、従来、一次処理槽内に、汚泥を低速で攪拌させるためのポンプを設け、このポンプを駆動させることにより、一次処理槽内に返送される被処理水と汚泥とを攪拌させて、接触させ、被処理水中の窒素を除去する構成のものもあった。
【0006】
しかしながら、このような排水処理装置は、ポンプが必要となるため、製造コストが高く、製造コストを低減させる点に改善の余地があった。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、メンテナンスが容易で製造コストの増大を招かず、かつ、高い窒素除去率を得ることが可能な排水処理装置及び排水処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る排水処理装置は、排水を導入させて汚泥と原水とを分離させる一次処理槽と、原水を二次処理する二次処理槽と、を有して、
二次処理後の被処理水の一部を、一次処理槽内に返送させ、一次処理槽内の汚泥と接触させることにより、被処理水中の窒素を除去させる構成の排水処理装置であって、
一次処理槽内に、二次処理後の被処理水を内部に流通させて、一次処理槽内に返送可能な返送管が、配置され、
返送管が、先端を、一次処理槽における底壁近傍に配置させるとともに、先端側に形成される流出孔から、一次処理槽内に堆積している汚泥中に被処理水を流出させる構成とされ
、
返送管内に、被処理水中の溶存酸素を低減させるための接触材が、配置されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の排水処理装置では、二次処理後の被処理水を、返送管を経て、一次処理槽内における底壁付近に流出させることから、二次処理された被処理水が、窒素を除去されない状態で、二次処理槽に流出することを抑制できる。また、本発明の排水処理装置では、返送管は、被処理水を、一次処理槽内に堆積している汚泥中に流出させる構成であることから、被処理水と汚泥とを攪拌するポンプを設けなくとも、被処理水と汚泥とを充分に接触させることができる。また、本発明の排水処理装置では、従来技術のごとく、嫌気ろ床を設けなくとも、被処理水と汚泥とを接触させることにより、被処理水中の窒素を効果的に除去できる。そのため、本発明の排水処理装置では、嫌気ろ床や、被処理水と汚泥とを攪拌させるためのポンプが、不要となって、製造コストの増大を招かず、また、定期的な清掃作業やメンテナンスも容易である。
【0010】
したがって、本発明の排水処理装置では、メンテナンスが容易で製造コストの増大を招かず、かつ、高い窒素除去率を得ることができる。
【0011】
また、本発明の排水処理装置
では、返送管内に、被処理水中の溶存酸素を低減させるための接触材を、配置させ
ていることから、溶存酸素を除去した状態で、被処理水を、一次処理槽内に流入させることがで
き、被処理水の窒素除去率を一層高めることができ
る。
【0012】
さらに、本発明の排水処理装置において、返送管を、略上下方向に沿って配置されて先端側を一次処理槽の底壁近傍に配置させる縦管部と、縦管部の先端側において底壁に略沿うように配置される横管部と、を備える構成とし、
流出孔を、横管部において、底壁と対向して開口するように形成されるとともに、横管部の長手方向に沿って複数形成している構成とすることが好ましい。
【0013】
上記構成の排水処理装置では、返送管において、底壁の近傍に配置される横管部が、流出孔を底壁と対向して開口するように配置させていることから、流出孔から流出される被処理水は、底壁に向かって流れた後、底壁にぶつかって底壁に沿って放射状に広がるように、流れることとなる。そして、この流出孔は、横管部の長手方向に沿って、複数配置されていることから、各流出孔から流出される被処理水を、底壁に沿って広い範囲に流すことができる。そのため、上記構成の排水処理装置では、一次処理槽内に堆積している汚泥が少量の場合にも、被処理水を汚泥と確実に接触させることができる。
【0014】
さらにまた、上記構成の排水処理装置において、一次処理槽の上部側に、排水中の汚泥を分離して、一次処理槽内の下部に落下させるとともに、原水を二次処理槽側に案内する汚泥分離手段を配置させる構成することが、好ましい。
【0015】
上記構成の排水処理装置では、一次処理槽内の上部側に配置される汚泥分離手段により、汚泥を一次処理槽内の下部に落下させ、原水を、二次処理槽側に案内するように、排水を汚泥と原水とに分離させる構成であることから、一旦一次処理槽内に堆積した汚泥と原水とが混合され難く、汚泥には、底壁近傍に位置する返送管の先端側に形成される流出孔から流出される被処理水が、主に接触することとなる。そのため、汚泥と原水とが混濁することを極力抑制できて、汚泥と被処理水とを安定して接触させることができ、被処理水中からの窒素除去を円滑に進行させることができる。
【0016】
本発明に係る排水処理方法は、排水を一次処理槽に導入させて汚泥と分離させた原水を、二次処理槽内において二次処理させ、
二次処理後の被処理水の一部を、一次処理槽内に返送させて、一次処理槽内の汚泥と接触させることにより、被処理水中の窒素を除去させる排水処理方法であって、
被処理水を、
内部に被処理水中の溶存酸素を低減させるための接触材を配置させた返送管を経て、一次処理槽内の底部付近に流出させて、一次処理槽内に堆積している汚泥と接触させることを特徴とする。
【0017】
本発明の排水処理方法では、二次処理後の被処理水を、一次処理槽内の底部付近に流出させて、汚泥と接触させることから、被処理水と汚泥とを充分に接触させることができて、被処理水から、窒素を効果的に除去することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態では、排水処理装置として、地中に埋設して使用される浄化槽Cを例に採り説明をする。実施形態の浄化槽Cは、
図1〜6に示すように、略直方体状のタンク1の内部を、複数の区画壁2,3,4,5,6によって、区画して構成されるもので、タンク1の上面には、点検口となる2つの開口(図符号省略)と、開口を開閉する蓋(図符号省略)と、が配置されている。
【0020】
なお、実施形態では、特に断らない限り、上下、左右、前後の方向を、地中に埋設した状態でのタンク1の高さ方向を上下方向とし、排水W0の流入方向における上流側(後述する汚泥貯留槽9側)を左側としてタンク1の長手方向を左右方向とし、タンク1の短手方向を前後方向として、説明をする。
【0021】
実施形態の浄化槽Cは、
図1〜6に示すように、一次処理槽S1を構成する汚泥貯留槽9、二次処理槽S2を構成する担体流動槽12、沈殿槽16、及び、消毒槽17を備えるとともに、汚泥貯留槽9内に配置される汚泥分離手段19と、汚泥貯留槽9内の原水W1を担体流動槽12に移送するための定量移送装置25と、担体流動槽12内に設置される散気管27(27A,27B)と、二次処理後の被処理水W2を汲み上げるポンプ28と、ポンプ28により汲み上げられた被処理水W2を汚泥貯留槽9内に返送する返送管30と、を備えて構成されている。
【0022】
汚泥貯留槽9は、排水W0を汚泥Hと原水W1とに分離させる一次処理槽S1を構成するもので、排水W0を、タンク1における左側の壁部の上端側に配置される流入管1aから、内部に流入させる構成である。汚泥貯留槽9内における上部側の領域には、流入管1aを経て流入する排水W0中の汚泥Hを分離させる汚泥分離手段19と、区画壁3により汚泥貯留槽9と区画されて配置されるとともに原水W1を担体流動槽12側に移送させる定量移送装置25と、が、左右で並設されている(
図1〜3参照)。
【0023】
汚泥分離手段19は、タンク1の流入管1aと連通されて、流入管1aから流入する排水W0中に含まれる固形物等の汚泥Hを分離して、汚泥貯留槽9内の下部側の領域から構成される汚泥貯留部10に落下させるとともに、汚泥Hを分離させた原水W1を、担体流動槽12側に案内するように、構成されている。具体的には、汚泥分離手段19は、
図7,8に示すように、流入管1aと連通されるとともに上下を開口される略四角筒形状の流入部20と、流入部20の下部側に配置される汚泥案内部22と、を、備えている。
【0024】
流入部20は、実施形態の場合、タンク1の長手方向(排水W0の流入方向)に沿って幅広の略四角筒状とされるもので、左側壁20a、右側壁20b、前側壁20c、及び、後側壁20dを備えて、左側壁20aにおける上端側には、流入管1aを貫通させるための貫通孔(図符号省略)を有している。実施形態の場合、流入部20は、
図2に示すように、左側壁20aを、タンク1における左側の壁部に近接させ、右側壁20bを、定量移送装置25の周囲を囲む区画壁3に近接させるように、構成されている。また、実施形態の場合、流入部20の内部は、左右方向に沿って2つ並設される2枚の区画板21,21によって、区画されている。各区画板21は、流入部20の領域内を左右で略三等分するような位置に配置され、それぞれ、上端を貫通孔(流入管1a)の上下の中央と略一致した位置に配置させ(
図2参照)、かつ、下端を前側壁20c,後側壁20dの下端より下方であって、汚泥案内部22の領域まで延ばすように配置させて(
図8参照)、前側壁20cと後側壁20dとに連結されるように、前後方向に略沿って配置されている。
【0025】
汚泥案内部22は、
図8に示すように、前側壁20cの下端から後下方に向かって延びる前傾斜壁22aと、後側壁20dの下端から前下方に向かって延びる後傾斜壁22bと、を備えて構成されている。前傾斜壁22aと後傾斜壁22bとは、傾斜量を略同一とされるとともに、後傾斜壁22bの下端を前傾斜壁22aの下端の略直下に位置させるように、前傾斜壁22aの長さ寸法を小さくして、後傾斜壁22bの長さ寸法を前傾斜壁22aの長さ寸法より大きく設定している。なお、汚泥案内部22における左右両側の部位は、流入部20の左側壁20a及び右側壁20bを下方に延設させて、後傾斜壁22bと前傾斜壁22aとの左右両側を覆うように、構成されている。また、実施形態では、汚泥分離手段19は、汚泥貯留槽9の水位が
図2,4に示すように低水位(L.W.L.)である場合にも、汚泥案内部22を水面下に位置させるように、流入部20の高さ(上下方向の幅寸法)を設定されている。
【0026】
そして、流入管1aから流入される排水W0は、流入部20における前側壁20c,後側壁20d,右側壁20bや、区画板21と当たって下方に向かって流れることとなり、排水W0中に含まれる汚泥Hは、汚泥案内部22の後傾斜壁22bや前傾斜壁22aによって案内されつつ、前傾斜壁22aの下端と後傾斜壁22bの下端との間の隙間から構成される上下方向側(鉛直方向側)で開口した落下用開口23から、下方に落下して、原水W1と分離されることとなる(
図9,10参照)。排水W0中の水分(原水W1)は、汚泥分離手段19内の水面に落下して、下方に向かわず、流入部20における前側壁20c及び後側壁20dによって案内されるようにして、担体流動槽12側(下流側)に向かって流れ、右側壁20bに設けられる開口を経て、汚泥分離手段19の下流側に配置される定量移送装置25側に、案内されることとなる。なお、この汚泥分離手段19から原水W1を定量移送装置25側に移送させる開口は、図符号を省略するが、
図2に示すように、大きく開口して形成されている。
【0027】
定量移送装置25としては、実施形態の場合、公知の圧力式ポンプが用いられている。この定量移送装置25の配置される領域は、
図1に示すように、区画壁3により汚泥貯留槽9と区画されており、排水W0中の原水W1のみが、内部に流入することとなる。そして、原水W1は、定量移送装置25により汲み上げられて、担体流動槽12側に移送されることとなる。
【0028】
担体流動槽12は、区画壁2によって、汚泥貯留槽9と区画されるもので、実施形態の場合、この担体流動槽12が、原水W1の二次処理(好気処理)を行う二次処理槽S2を構成している。担体流動槽12は、内部に、好気性の微生物を付着させるための合成樹脂製の図示しない担体を、充填させており、実施形態の場合、
図5,6に示すように、内部を区画壁4により区画されて、メイン流動室13と緩流動室14とから構成されている。メイン流動室13は、散気管27Aを内部に配置させて常時ばっ気されることにより、内部の担体を流動させている。緩流動室14は、上端側に形成される移送口(図符号省略)を経てメイン流動室13から被処理水W2を内部に流入させる構成とされるもので、散気管27Bを内部に配置させて常時ばっ気されることにより、内部の担体を緩やかに流動させている。なお、緩流動室14は、散気管27Bによるエアの流出量(送風量)を、メイン流動室13内への散気管27Aによるエアの流出量(送風量)より減らすことにより、メイン流動室13よりも、内部の担体の流動速度を低速として、メイン流動室13内での二次処理による有機物の分解処理によって発生した微細物を固液分離しやすい状態とする。メイン流動室13及び緩流動室14内に設置される散気管27A,27Bは、
図2,5に示すように、メイン流動室13,緩流動室14の底壁近傍まで延びるように、配設されるもので、エア供給管Pを介して図示しないブロワに連結されている。また、返送管30に送られる被処理水W2を汲み上げるためのポンプ28は、汚泥貯留槽9内に設置され、先端を緩流動室14の底部付近と連通されて、緩流動室14の底部付近から被処理水W2を汲み上げる構成とされている(
図3,5参照)。ポンプ28としては、実施形態の場合、エアリフトポンプが使用されており、このポンプ28も、エア供給管Pを介して図示しないブロワに連結されている。
【0029】
沈殿槽16は、
図3,6に示すように、担体流動槽12の下流側(後側)となる位置に配置されている。実施形態の場合、沈殿槽16は、区画壁5により緩流動室14と区画されて、緩流動室14と隣接して配置され、下端近傍に設けられる移送口(
図5参照)を経て、緩流動室14からの被処理水W2を内部に流入させ、被処理水W2中に含まれる懸濁物質を沈降させて、上澄み液W3を形成するものである。消毒槽17は、区画壁4,5,6により、担体流動槽12及び沈殿槽16と区画されるとともに、沈殿槽16に隣接して配置され、沈殿槽16から流入する上澄み液W3を消毒して、放流管1bから外部に放出させるものである。
【0030】
二次処理後の被処理水W2を内部に流通させて、汚泥貯留槽9内に返送させるための返送管30は、
図3,4に示すように、ポンプ28に連通されて汚泥貯留槽9における上流側の領域(左端側の領域)まで延びる導管31と、導管31の先端から下方に延びる縦管部32と、縦管部32の先端から延びる横管部34と、を備えている。
【0031】
導管31は、ポンプ28から延びるとともに、汚泥貯留槽9の上端近傍であって、かつ、汚泥分離手段19における流入部20の領域内に、左右方向に略沿って配置されている(
図1参照)。具体的には、導管31は、汚泥分離手段19における流入部20の後側壁20dの前側に隣接して、配置されている。縦管部32は、導管31と連通されるように、導管31の先端(左端)から下方に延びるように配置されるもので、汚泥貯留槽9における上流側(左端近傍)であって、実施形態の場合、汚泥分離手段19の後側に隣接して配置されている。縦管部32は、略上下方向に沿って配置されるとともに、先端となる下端を、汚泥貯留槽9の底壁9aに接触させるように、構成されている(
図3,4参照)。この縦管部32は、
図4に示すように、内部に、被処理水W2中の溶存酸素を微生物によって低減させるための接触材33を、略全域にわたって充填させている。接触材33としては、具体的には、被処理水W2を内部に流通可能な接触材や担体(実施形態の場合、ヘチマ様の円筒状の接触材)が用いられている。横管部34は、
図1,4に示すように、縦管部32の下端(先端)側から、前方に延びるように、底壁9aに略沿って配置されている。具体的には、横管部34は、底壁9aとの間に隙間を有するようにして、配置されている。そして、横管部34は、先端(前端)側を閉塞されるとともに、底壁9aと対向する下面側に、長手方向(前後方向)に沿って、複数(実施形態の場合、6個)の略円形に開口した流出孔35を、配設させている。そして、返送管30を経て返送される被処理水W2は、これらの流出孔35から、下方(底壁9a側)に向かうようにして、汚泥貯留部10に堆積している汚泥H中に、流出されることとなる。
【0032】
実施形態の浄化槽Cでは、汚泥貯留槽9の水位は、流入する排水W0の時間変動に伴って変動するが、設計上、
図2〜4に示すように、高水位(H.W.L.)から低水位(L.W.L.)の範囲内で変動するものとされている。この範囲は、所定の基準に従って定められるものであり、通常運転時においては、汚泥貯留槽9の水位は、この範囲内で変動する。なお、通常運転時とは、通常の使用状態で通常の運転がなされている時をいい、故障等の異常時や、予定人数を超えて使用する等の異常な使われ方をした場合は除くものである。そして、実施形態の浄化槽Cでは、汚泥貯留槽9から担体流動槽12には、定量移送装置25によって原水W1を移送させることから、担体流動槽12の水位は、略一定に保たれることとなる。沈殿槽16の水位も、担体流動槽12の水位と略同一であり、消毒槽17の水位は、放流管1bの開口の下縁位置と略一致するもので、沈殿槽16の水位よりも僅かに低く設定されることとなる。
【0033】
そして、実施形態の浄化槽Cでは、
図9〜11に示すようにして、排水W0を処理することとなる。なお、
図9〜11は、浄化槽C内における排水W0の流れを示す概略図である。まず、排水W0は、流入管1aから汚泥貯留槽9内における汚泥分離手段19の流入部20内に流入することとなる。そして、汚泥分離手段19により、排水W0が、汚泥Hと原水W1とに分離され、汚泥Hは、汚泥分離手段19の落下用開口23から下方に落下して、汚泥貯留槽9の底壁9a側(汚泥貯留部10)に堆積することとなり、原水W1は、定量移送装置25側に流れることとなる。そして、原水W1は、定量移送装置25によって、担体流動槽12内に移送されることとなる。原水W1は、担体流動槽12のメイン流動室13内でばっ気処理(好気処理)されることとなり、含有される有機物を分解処理されると同時に、含有されるアンモニア性の窒素を亜硝酸性若しくは硝酸性の窒素に酸化されることとなる(二次処理)。さらに、被処理水W2は、緩流動室14内において低速で流動することにより、有機物の分解処理において発生した微細物を固液分離しやすい状態とする。そして、二次処理された被処理水W2は、沈殿槽16側に流出されるとともに、一部を、ポンプ28から、返送管30を経て、汚泥貯留槽9内に返送されることとなる。このとき、返送される被処理水W2(硝化液)は、返送管30の縦管部32内に充填される接触材33に付着した微生物によって、溶存酸素を除去された状態で、横管部34に設けられる流出孔35から、汚泥貯留部10に堆積している汚泥H中に流出されることとなる。そして、汚泥貯留部10(汚泥貯留槽9)内に流出した被処理水W2(硝化液)は、汚泥H内に生息している嫌気性の脱窒細菌と接触することにより、含有される亜硝酸性若しくは硝酸性の窒素を、気体の窒素G1に還元されて、被処理水W2(消化液)から窒素G1が除去(脱窒)されることとなる(
図9,10参照)。
【0034】
沈殿槽16に流入した被処理水W2は、沈殿槽16内において、含有される懸濁物質を沈降させた上澄み液W3とされて、消毒槽17を経て、放流管1bから外部に放流されることとなる。
【0035】
そして、実施形態の浄化槽Cでは、二次処理後の被処理水W2を、返送管30を経て、一次処理槽S1としての汚泥貯留槽9内における底壁9a付近に流出させることから、二次処理された被処理水W2が、窒素G1を除去されない状態で、二次処理槽S2としての担体流動槽12側に流出することを抑制できる。また、実施形態の浄化槽Cでは、返送管30は、被処理水W2を、汚泥貯留槽9内(汚泥貯留部10)に堆積している汚泥H中に流出させる構成であることから、被処理水W2と汚泥Hとを攪拌するポンプを設けなくとも、被処理水W2と汚泥Hとを充分に接触させることができる。また、実施形態の浄化槽Cでは、従来技術のごとく、嫌気ろ床を設けなくとも、被処理水W2と汚泥Hとを接触させることにより、被処理水W2中の窒素G1を効果的に除去できる。その結果、実施形態の浄化槽Cでは、嫌気ろ床や、被処理水と汚泥とを攪拌させるためのポンプが、不要となって、製造コストの増大を招かず、また、定期的な清掃作業や、メンテナンスも容易である。
【0036】
したがって、実施形態の浄化槽Cでは、メンテナンスが容易で製造コストの増大を招かず、かつ、高い窒素除去率を得ることができる。
【0037】
また、実施形態の浄化槽Cでは、返送管30内に、被処理水W2中の溶存酸素を低減させるための接触材33を、配置させていることから、この接触材33に付着している微生物によって、溶存酸素を除去した状態で、被処理水W2を、汚泥貯留槽9内に流入させることができる。そのため、被処理水W2の流入によって、嫌気性の脱窒細菌の働きを妨げず、脱窒細菌によって、被処理水W2中の窒素G1を高い除去率で除去させることが可能となることから、被処理水W2の窒素除去率を一層高めることができる。勿論、このような点を考慮しなければ、返送管内に溶存酸素低減用の接触材を配置させなくともよく、また、接触材を配置させない場合であっても、返送管30により汚泥H中に被処理水W2を流出させるだけで、消毒後の上澄み液W3を外部へ放流可能な程度まで、窒素G1を除去することができる。
【0038】
さらに、実施形態の浄化槽Cでは、返送管30が、汚泥貯留槽9の底壁9a近傍において底壁9aに略沿うように配置される横管部34を有し、この横管部34の長手方向に沿って、複数の流出孔35を、底壁9aと対向して開口するように配置させている。そのため、実施形態の浄化槽Cでは、底壁9aと対向するように開口されている流出孔35から流出される被処理水W2は、底壁9aに向かって流れた後、底壁9aにぶつかって底壁9aに沿って放射状に広がるように、流れることとなる(
図10,11参照)。そして、流出孔35は、横管部34の長手方向に沿って、複数配置されていることから、各流出孔35から流出される被処理水W2を、底壁9aに沿って広い範囲に流すことができる。その結果、実施形態の浄化槽Cでは、汚泥貯留槽9内に堆積している汚泥Hが少量の場合にも、被処理水W2を汚泥Hと確実に接触させることができる。
【0039】
特に、実施形態の浄化槽Cでは、汚泥貯留部10に汚泥を落下させる汚泥分離手段19の汚泥案内部22が、前下方に向かって延びる後傾斜壁22bの長さを長くしており、汚泥Hは、主に、この後傾斜壁22bに案内されて、底壁9aにおける前側の領域に厚く堆積するように前下方に向かって落下することとなる(
図10参照)。そして、実施形態の浄化槽Cでは、縦管部32の先端(下端)側から、横管部34を、前方に向かって延ばすように配置させている。すなわち、実施形態の浄化槽Cでは、横管部34を、汚泥Hの厚く堆積する領域に、配置させていることから、横管部34に形成される流出孔35から流出される被処理水W2を、効率よく、汚泥Hと接触させることができる。
【0040】
勿論、このような点を考慮しなければ、返送管30として、横管部34を備えず、ポンプに連結される導管31と、先端側に流出孔を配置させた縦管部32と、のみからなるものを使用してもよい。返送管30として、導管31と縦管部32とのみからなる構成のものを使用する場合、縦管部32の数は、実施形態のごとく1つでもよいが、
図12,13に示すように、返送管30Aとして、導管31Aを複数に分岐させて、この分岐している導管31Aに、それぞれ、先端側に流出孔35Aを有した複数(図例では9個)の縦管部32Aを、連結させた構成のものを使用すれば、汚泥Hが局所的に堆積している場合にも、いずれかの縦管部32Aの先端側に形成される流出孔35Aから流出される被処理水W2を、汚泥Hと確実に接触させることができる。
【0041】
また、返送管30Bとして、1つの導管31Bと1つの縦管部32Bとのみからなる構成のものを使用する場合、
図14,15に示すごとく、縦管部32Bの周縁において、下端側の流出孔35Bの上側の領域に、底壁9aを略全面にわたって覆い、かつ、略全域にわたって多数の貫通孔38aを配置させた仕切り板38を配置させる構成とすれば、汚泥Hは、この仕切り板38上に堆積することとなり、流出孔35Bから流出する被処理水W2は、貫通孔38aを経て汚泥H側に流れることから、汚泥Hが局所的に堆積している場合にも、被処理水W2を、汚泥Hと確実に接触させることができる。
【0042】
さらにまた、実施形態の浄化槽Cでは、汚泥貯留槽9の上部側に、排水W0中の汚泥Hを分離して、汚泥貯留槽9内の下部(汚泥貯留部10)に落下させるとともに、原水W1を担体流動槽12側に案内する汚泥分離手段19を配置させ、この汚泥分離手段19により、排水W0を汚泥Hと原水W1とに分離させている。そのため、一旦汚泥貯留槽9内の下部(汚泥貯留部10)に堆積した汚泥Hと原水W1とが混合され難く、汚泥Hには、底壁9a近傍に位置する返送管30の先端側に形成される流出孔35から流出される被処理水W2が、主に接触することとなる。そのため、汚泥Hと原水W1が混濁することを極力抑制できて、汚泥Hと被処理水W2とを安定して接触させることができ、被処理水W2中からの窒素除去を円滑に進行させることができる。
【0043】
特に、実施形態の浄化槽Cでは、汚泥分離手段19の汚泥案内部22が、上下方向に対して傾斜している前傾斜壁22aと後傾斜壁22bとに沿わせるようにして、汚泥Hを案内しつつ、上下方向側で開口している落下用開口23から、汚泥Hを落下させる構成である。そのため、実施形態の浄化槽Cでは、汚泥Hは、排水W0流入時の流速を弱められた状態で、落下用開口23から静かに、水中を落下することとなる。そのため、汚泥貯留部10内で、堆積している汚泥Hが、巻き上げられることを抑制できて、汚泥Hと、底壁9a近傍において流出孔35から流出される被処理水W2と、を、安定して接触させることができる。
【0044】
そして、実施形態の浄化槽Cを用いた排水処理方法では、二次処理後の被処理水W2を、汚泥貯留槽9内の底部(底壁9a)付近である汚泥貯留部10内に流出させて、汚泥貯留部10に堆積している汚泥Hと接触させることから、被処理水W2と汚泥Hとを充分に接触させることができて、被処理水W2から、窒素G1を効果的に除去することができる。
【0045】
なお、実施形態では、被処理水W2を、担体流動槽12(二次処理槽S2)から返送させているが、返送管30により返送する被処理水W2を汲み上げる槽は、担体流動槽12(二次処理槽S2)に限られるものではなく、二次処理後であればよく、例えば、沈殿槽16の上澄み液W3を、一次処理槽S1に返送させる構成としてもよい。また、実施形態の浄化槽Cでは、担体流動槽12の下流側に沈殿槽16を配置させているが、沈殿槽16を設けず、生物ろ過槽を設ける構成としてもよい。
【0046】
また、実施形態では、被処理水W2を返送管30に流す手段として、被処理水W2を汲み上げるポンプ28(エアリフトポンプ)を使用しているが、被処理水W2を返送管30に流す手段は、エアリフトポンプに限られるものではなく、例えば、圧力ポンプを使用してもよい。また、被処理水W2を返送管30に流す手段としては、返送管30に被処理水W2を返送する槽、例えば、担体流動槽12の水位を、定量移送装置25により、常時、汚泥貯留槽9(一次処理槽S1)の水位より高く設定しておき、両者の水位差を利用して、ポンプ等を用いずに、被処理水W2を、担体流動槽12から返送管30に流すように構成してもよい。
【0047】
なお、実施形態では、排水処理装置として、浄化槽Cを例に採り説明しているが、本発明を適用可能な排水処理装置は、浄化槽に限られるものではなく、例えば、下水処理施設や、工業用排水の処理施設等に適用可能である。