(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0004】
有機材料を利用するオプトエレクトロニクス装置は、多くの理由から益々望ましいものとなりつつある。そのような装置を作製するのに使用される多くの材料が比較的安価であり、したがって有機オプトエレクトロニクス装置は無機装置に対してコスト的に有利である可能性を有する。加えて、その可とう性等有機材料に固有の性質によって、可とう性基板上での作製等、特別な用途に対してよく適するものとなる。有機オプトエレクトロニクス装置の例としては、有機発光素子(OLED)、有機光トランジスタ、有機光電池、及び有機光検知器が挙げられる。OLEDに関して、有機材料は
従来材料に対して性能上の有利な点を有し得る。
【0005】
例えば、有機発光層が光
を発する波長は一般的に適切なドーパントによって容易に調節され得る。
【0006】
OLEDは装置を横切って電圧が印加されるとき発光する有機薄膜を使用する。OLEDは、フラットパネルディスプレイ、照明、及びバックライティング等の用途における使用に関して、益々興味ある技術となっている。幾つかのOLED材料及び構成は、参照によって全体がここに組み込まれる、米国特許第5,844,363号明細書、米国特許第6,303,238号明細書、及び米国特許第5,707,745号明細書に記載される。
【0007】
燐光発光分子に関する一つの用途は、フルカラーディスプレイである。そのようなディスプレイに関する業界標準により、「飽和」色と呼ばれる、特定の色を発光するように適合したピクセルが要求される。特に、これらの標準により、飽和赤、緑、及び青ピクセルが要求される。色は、当分野において良く知られるCIE座標を用いて測定されてよい。
【0008】
緑色発光分子の一例は、Ir(ppy)3で表されるトリス(2−フェニルピリジン)イリジウムであり、化学式1の構造を有する。
【0009】
【化1】
【0010】
この図において、及びこの後の図において、窒素から金属(ここではIr)への供与結合を直線で示す。
【0011】
本明細書で使用される用語「有機」は有機オプトエレクトロニクス装置を作製するために使用され得るポリマー材料、並びに低分子有機材料を含む。「低分子」はポリマーではない任意の有機材料を示し、「低分子」は実際には非常に大きくてよい。低分子は、ある状況では繰り返し単位を含んでよい。例えば、置換基として長鎖アルキル基を用いても、その分子は「低分子」として分類される。低分子は、例えばポリマー主鎖のペンダント基として、又は主鎖の一部としてポリマー内部に組み込まれてもよい。低分子は、デンドリマーのコア部分として使われてもよく、前記デンドリマーはコア部分に接して構築された一連の化学的殻からなる。デンドリマーのコア部分は蛍光又は燐光低分子発光体であってよい。デンドリマーは「低分子」であってよく、OLEDの分野で現在使用されている全てのデンドリマーは低分子であると考えられる。
【0012】
本明細書で使用される「上部」は基板から最も離れたことを意味し、一方で「底部」は基板に最も近いことを意味する。第1の層が第2の層の「上に配置される」と記載される場合、
第1の層は基板からさらに離れて配置される。第1の層が第2の層に「接触している」と明記されない限り
、第1及び第2の層の間に他の層が存在してよい。例えば、たとえ間に様々な有機層が存在したとしても、カソードはアノードの「上に配置される」と記載されてよい。
【0013】
本明細書で使用される「溶液処理可能」とは、溶液又は懸濁液の形態のどちらかで、液体媒体内で溶解され、分散され、又は移送され、及び/又は液体媒体から沈殿されることが可能であることを意味する。
【0014】
配位子が発光材料の光活性特性に直接寄与すると考えられるとき、配位子は「光活性」であると見なされてよい。配位子が発光材料の光活性特性に寄与しないと考えられるとき、配位子は「補助的」であると見なされてよいが、補助配位子は光活性配位子の性質を変える場合がある。
【0015】
ここで、当業者には一般的に理解されるように、第1の「最高被占分子軌道」(HOMO)又は「最低空分子軌道」(LUMO)エネルギー準位は、もしも第1のエネルギー準位が真空エネルギー準位に近い場合、第2のHOMO又はLUMOエネルギー準位と比較して「大きい」か、又は「高い」。イオン化ポテンシャル(IP)は真空準位に対して負のエネルギーとして測定されるので、高いHOMOエネルギー準位は小さな絶対値を有するIPに相当する(負の、より小さなIP)。同様に、高いLUMOエネルギー準位は、小さな絶対値(負の、より小さなEA)を有する電子親和力(EA)に相当する。真空準位が上部にある従来のエネルギー準位図において、材料のLUMOエネルギー準位は同じ材料のHOMOエネルギー準位よりも高い。「高い」HOMO又はLUMOエネルギー準位は、「低い」HOMO又はLUMOエネルギー準位と比較して、そのような図の上部近くに現れる。
【0016】
ここで、当業者には一般的に理解されるように、第1の仕事関数は、もしも第1の仕事関数が大きな絶対値を有する場合、第2の仕事関数と比較して「大きい」か、又は「高い」。仕事関数は一般的に真空準位に対して負の値として測定されるので、これは「高い」仕事関数がより負であることを意味する。真空準位が上部にある従来のエネルギー準位図において、「高い」仕事関数は、真空準位から下方にさらになお離れて記述される。このように、HOMO及びLUMOエネルギー準位の定義は仕事関数とは異なる慣例に従う。
【0017】
OLED及び上述の定義に関する詳細は、その全体が参照によりここに組み込まれる米国特許第7,279,704号明細書に見られる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
一般的に、OLEDは、アノードとカソードとの間に配置された、及び、アノード及びカソードに電気的に接続された少なくとも一つの有機層を含む。電流が印加されたとき、アノードは有機層内部に正孔を注入し、カソードは電子を注入する。注入された正孔及び電子は各々反対に帯電された電極に向かって移動する。電子及び正孔が同じ分子上に局在するとき、励起されたエネルギー状態を有する局在化された電子−正孔対である「励起子」が形成される。光は励起子が光放射機構を経由して緩和するとき放射される。ある特定の場合には、励起子はエキシマー又はエキシプレックス上に局在化され得る。熱緩和等の非放射機構が起きる場合があるが、一般的には望ましくないと考えられる。
【0029】
初期のOLEDは、例えばその全体が参照によって組み込まれる米国特許第4,769,292号明細書に開示されるように、その一重項状態から発光する(「蛍光」)発光分子を使用していた。蛍光発光は、一般的に10ナノ秒未満の時間枠で起こる。
【0030】
さらに最近では、三重項状態から発光する発光材料を有するOLED(「りん光」)が実現されてきた。Baldoら、「Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices」、Nature、vol.395、151−154、1998;(「Baldo−I」)、及びBaldoら、「Very high−efficiency green organic light−emitting devices based on electrophosphorescence」、Appl.Phys.Lett.,vol.75、No.3,4−6(1999)(Baldo−II)は、その全体が参照によって組み込まれる。燐光は、参照によって組み込まれる米国特許第7,279,704号明細書カラム5−6においてより詳細に記述される。
【0031】
図1は有機発光装置100を示す。図は必然的に原寸どおりに描かれていない。装置100は、基板110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子阻止層130、発光層135、正孔阻止層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155、及びカソード160を含んでよい。カソード160は第1の導電層162及び第2の導電層164を有する複合カソードである。装置100は記載された層を順次堆積することによって作製されてよい。これらの様々な層の性質及び機能、並びに材料の例は、参照によって組み込まれる米国特許第7,279,704号明細書カラム6−10においてより詳細に記述される。
【0032】
これらの層の各々に関するさらなる例が得られる。例えば、柔軟かつ透明である基板とアノードとの組み合わせが、その全体が参照によって組み込まれる、米国特許第5,844,363号明細書に開示される。p−ドープされた正孔輸送層の例は、その全体が参照によって組み込まれる、米国特許出願公開第2003/0230980号明細書に開示される、モル比50:1でF
4−TCNQがドープされたMTDATAである。発光及びホスト材料の例は、その全体が参照によって組み込まれる、Thompsonらの米国特許第6,303,238号明細書に開示される。n−ドープされた電子輸送層の例は、その全体が参照によって組み込まれる、米国特許出願公開第2003/0230980号明細書に開示される、モル比1:1でLiがドープされたBPhenである。その全体が参照によって組み込まれる米国特許第5,703,436号明細書及び米国特許第5,707,745号明細書は、それを覆う透明な、導電性の、スパッタ蒸着されたITO層を備えるMg:Ag等の金属薄層を有する複合カソードを含むカソードの例を開示する。阻止層の理論及び使用は、その全体が参照によって組み込まれる、米国特許第6,097,147号明細書及び米国特許出願公開第2003/0230980号明細書により詳細に記述される。注入層の例は、その全体が参照によって組み込まれる、米国特許出願公開第2004/0174116号明細書に示される。保護層に関する記述は、その全体が参照によって組み込まれる、米国特許出願公開第2004/0174116号明細書に示されるだろう。
【0033】
図2はインバーテッドOLED200を示す。この装置は、基板210、カソード215、発光層220、正孔輸送層225、及びアノード230
を含む。装置200は記載された層を順次堆積することによって作製されてよい。最も一般的なOLED構成がアノード上に配置されたカソードを有し、装置200はアノード230の下方に配置されたカソード215を有するので、装置200は「インバーテッド」OLEDと呼ばれてよい。装置100に関して記載されたものと同じ材料が装置200の対応する層において使用されてよい。
図2は装置100の構造から如何に幾つかの層が省略され得るか一つの例を提供する。
【0034】
図1及び2において説明された単純な層構造は非制限的な例示によって提供され、本発明の実施形態が様々な他の構造と関連して使用されてよいことは理解される。記述される特定の材料及び構造は全くの例示であり、他の材料及び構造が使用されてよい。機能的OLEDが、設計、性能、及びコスト因子に基づき、様々な方法で記述された様々な層を組み合わせることによって実現され得る、又は層は完全に省略され得る。明確に記載されていない他の層が含まれてもよい。明確に記載されていない他の材料が使用されてよい。ここに提供される例の多くが単一の材料を含むとして様々な層を記述するが、ホストとドーパントの混合物又はより一般的には混合物等、材料の組み合わせが使用されてよいことは理解される。同様に、層は様々な副層を有してよい。ここで様々な層に与えられる名前は厳密な制限を意図していない。例えば、装置200において、正孔輸送層225は正孔を輸送し、かつ発光層220内部に正孔を注入し、正孔輸送層又は正孔注入層として記載されてよい。一つの実施形態において、OLEDはカソードとアノードとの間に配置された「有機層」を有するとして記載されてよい。この有機層は単一の層を含んでよく、又は例えば
図1及び
図2に関して記載されたような様々な有機材料の複数層をさらに含んでよい。
【0035】
その全体が参照によって組み込まれるFriendらの米国特許第5,247,190号明細書に開示されるようなポリマー材料からなるOLED(PLED)等、明確に記載されていない構造及び材料が使用されてもよい。さらなる例示の目的で、単一の有機層を有するOLEDが使用されてよい。例えばその全体が参照によって組み込まれるForrestらの米国特許第5,707,745号明細書に記載されるようにOLEDは積層されてよい。OLED構造は
図1及び2に説明される単純な層構造から逸脱してよい。例えば、その全体が参照によって組み込まれるForrestらの米国特許第6,091,195号明細書に記載されるようなメサ構造
、及び/又はBulovicらの米国特許第5,834,893号明細書に記載されるようなピット構造等、基板はアウトカップリングを改良するため角度を有する反射性表面を含んでよい。
【0036】
特に記載されない限り、様々な実施形態の任意の層は任意の適切な方法によって堆積されてよい。有機層に関して、好ましい方法はその全体が参照によって組み込まれる米国特許第6,013,982号明細書及び米国特許第6,087,196号明細書に記載されるような熱蒸発、インクジェット、その全体が参照によって組み込まれるForrestらの米国特許第6,337,102号明細書に記載されるような有機気相蒸着(OVPD)、及びその全体が参照によって組み込まれる米国特許出願第10/233,470号明細書に記載されるような有機気相ジェットプリンティング(OVJP)による堆積を含む。他の適切な堆積法はスピンコーティング及び他の溶液ベース工程を含む。溶液ベース工程は、好ましくは窒素又は不活性雰囲気で実行される。他の層に関して、好ましい方法は熱蒸発を含む。好ましいパターニング法はマスクを通した堆積、その全体が参照によって組み込まれる米国特許第6,294,398号明細書及び米国特許第6,468,819号明細書に記載されるような冷溶接、及びインクジェット及びOVJP等の堆積法の幾つかと関連するパターニングを含む。他の方法が使用されてもよい。堆積される材料はそれが特定の堆積方法に影響を及ぼさないようにするために修飾されてよい。例えば、分岐又は非分岐の、及び好ましくは少なくとも三つの炭素を含む、アルキル基及びアリール基等の置換基が溶液処理され易くするために低分子内で使用されてよい。20又はそれ以上の炭素を有する置換基が使用されてよく、3〜20炭素が好ましい範囲である。非対称材料は再結晶の傾向が低いため、非対称構造を有する材料は対称な構造を有するものより良好な溶液処理性を有し得る。デンドリマー置換基は低分子が溶液処理を受け易くするために使用されてよい。
【0037】
本発明の実施形態により作製された装置は、フラットパネルディスプレイ、コンピュータモニター、テレビ、看板、内部又は外部照明及び/又は信号のライト、ヘッドアップディスプレイ、完全に透明なディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザプリンター、電話、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダ、ビューファインダ、マイクロディスプレイ、車両、大面積壁、劇場又はスタジアムスクリーン、又は標識を含む幅広い消費者製品に組み込まれてよい。パッシブマトリックス及びアクティブマトリックスを含む様々な制御機構が本発明により作製された装置を制御するのに使用されてよい。多くの装置が人間に快適である温度範囲、18℃から30℃等、及びより好ましくは室温(20〜25℃)、における使用を意図される。
【0038】
ここに記載される材料及び構造は、OLED
以外の装置における用途を有してよい。例えば、有機太陽電池及び有機光検知器等他のオプトエレクトロニクス装置が材料及び構造を使用してよい。より一般的には、有機トランジスタ等の有機装置が材料及び構造を使用してよい。
【0039】
用語ハロ、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールキル、ヘテロ環基、アリール、芳香族基、及びヘテロアリールは当分野で知られており、参照によってここに組み込まれる米国特許第7,279,704号明細書カラム31−32において定義される。
【0040】
白色有機発光装置(WOLED)技術がぶつかる一つの課題は、低い電圧での操作を確立すると共に、同時にほぼ100%の内部量子効率を得ることである。装置の設計概念は、改善された三つのWOLED性能特性(低電圧での高出力効率及び高外部効率、色の安定性、及び装置操作安定性)を実現するため、高濃度の燐光材料を用いることを提示する。発光分子は電荷を運ぶと考えられ、したがって装置作動電圧は、黄色及び青色発光物質の濃度の増加によって低下される。予期しないことに、発光物質の濃度が高いにもかかわらず高い外部量子効率が可能である。典型的には装置の効率は発光物質の濃度が高いと減少するが、これは濃度消光効果のためである。しかしながら、ここで開示されるWOLEDは、低い電圧と高い外部量子効率を同時に有し、したがってアウトカップリング強化器具がWOLED基板に取り付けられ、かつインジウム亜鉛酸化物がアノードとして使用されるとき、装置出力の効率は100lm/Wを超え得る。初期の装置と古い装置との間の色の相違は消費者にとって重要であり、エネルギースター固体状態製品においては小さな変化が要求される。これらのWOLEDは、それらの初期輝度の50%に劣化されるとき<0.02のu’v’シフトを示し、小さなCIEシフトは発光物質濃度に応じて増加する発光物質捕獲効率に帰される。最終的に、初期輝度1,000cd/m
2からのLT50>8,000時間が高効率の同じ装置に関して得られ、安定な装置は典型的には最も効率的な装置ではないので、これは飛躍的進歩である。
【0041】
装置の構造は、白色光装置において出力効率と寿命との所定の組み合わせを実現する条件で与えられる。そのような装置は、一般的な照明用途に適するだろう。例えば、表1の装置1は、アウトカップリング器具がOLED基板に取り付けられている時、1,000nitsの有効ランバート輝度において装置効率の測定値が>100lm/Wである。さらに、1,000nitsからのLT50/8,000時間が、アウトカップリング器具無しで測定された。これらの特徴の組み合わせが、照明装置において非常に好ましく、従来報告されたどのような性能と比較しても予想に反して大きい。
【0042】
ここに記載される装置構造の効率の高さに寄与する因子は、青色発光物質、及びより高波長発光物質のための別個の発光層を有する、二重発光層の使用、特定の燐光物質に関する高い濃度(>15%)、正孔輸送層及び正孔阻止層の使用、及び光学的キャビティ効果の考慮を含む。
【0043】
ホスト材料の厚みが同じとき、表1の化合物F等の青色ホストを横切る電圧降下は、表1の化合物K等の高波長発光物質に関するホストを横切る電圧降下よりも大きいため、二重発光層は好ましい。これは、高いエネルギーの青色発光が、エネルギーが低い(高波長)発光に関して存在しないホスト材料の選択を妨げるためである。これは、例えば、表1及び2の装置1と装置6との間の作動電圧差によって示される。したがって、5nmの薄い青色EML及び10nmの厚い黄色+赤色EMLは、全体として発光層を横切る全電圧が出来る限り低く維持されることを確実にし、その一方で高CRI及び白色CIE座標に適する発光スペクトルの組み合わせを達成するための有効な方法である。
【0044】
一般的に、本明細書において、「青色」、「黄色」、及び「赤色」発光は、たとえ特定の色がこれらの特定の色の中間、すなわち緑色、オレンジ等、であり得るとしても、各々「高い」、「中程度」、及び「低い」エネルギー放出の代わりに使用される。本明細書において、「青色」は400nm−500nmの可視スペクトル内にピーク波長を有する発光を示し、「黄色」は500nm−600nmの可視スペクトル内にピーク波長を有する発光を示し、「赤色」は600nm−700nmの可視スペクトル内にピーク波長を有する発光を示す。
【0045】
さらに、青色発光物質から黄色及び赤色発光物質へのエネルギー移動が、二重発光層構造内で起こってよい。この移動は、ドーパント濃度に依存し、ドーパント濃度を調整することによって制御され得る。一般的に、3wt%以下等の低い濃度と比較して、15wt%以上等の比較的高い濃度においては、ドーパント濃度を制御するのは容易である。例えば、表1において、装置1〜5について、ただ一つの発光物質が≦1.0%でドープされ「白色」発光を得るために使用される様々な発光スペクトルを提供する。これは、二つの発光物質が<1.0%でドープされる装置6とは対照的である。
【0046】
二重発光層は、発光層の界面において強制的に発光させるためにも使用されてよく、輝度と同時にカラーシフトを及び劣化を低減し得る。再結合は、エネルギーレベル、層の導電性、及びモルフォロジー差の相違に起因して、界面において起こる傾向がある。
【0047】
上述された構造において、装置作動電圧は、青色及び黄色発光物質濃度に逆相関する
。濃度が高いと、低い作動電圧
が可能になり、及び
発光物質の濃度が低いと作動電圧が高くなる。
この装置構造においては、青及び黄色の発光物質が電荷を輸送する。一般的に、燐光発光物質は正孔を輸送するために使用される。
【0048】
赤色発光物質の濃度は、そのフォトルミネッセンス量子収量(PLQY)が100%に近いことを確実にするために、低い。ホスト中の発光物質が高濃度であると、発光物質のPLQYは減少する場合がある。暖かい白色に対する高いEQEは、かなりの(>60%発光、550nm超)赤色発光を含み、したがって赤色発光物質が最も高いPLQYを有するとき、さらに容易に得られる。
【0049】
正孔輸送層(表1におけるNPD)及び阻止層(表1の化合物A)の厚みは、発光層からの電荷及びエキシトンの漏れを低減し、一方で装置の作動電圧を最小に保つよう選択される。例えば、化合物AはNPDと比較して有効な阻止材料である。NPDが−2.8Vであるのとは対照的に、化合物Aは−2.89Vの還元エネルギーを有し、化合物AがNPDと類似するLUMOエネルギーを有するであろうことを示す。化合物Aの0.43Vに対して、NPDは0.38Vの酸化エネルギーを有し、NPDが化合物Aと比較して高いHOMOエネルギーを有することを示す。これらの材料に関する還元及び酸化ポテンシャル間の相違は、化合物AがNPDと比較して大きなバンドギャップを有することを示す。その結果、表1に示されるNPDと化合物Aとの組み合わせは、NPD単独と比較して、より良好な電子阻止材として働き、NPD/化合物A界面においてHOMOレベル差に起因して正孔を少し遅くする場合もあり、装置内の電荷バランスを調整する能力を提供する。
【0050】
白色装置光学キャビティは全フォトンの出力を増大又は最大化するよう選択されてよい。光学キャビティは特定の層厚み、発光物質濃度、電荷バランス、及び再結合位置を有する。一つの反射電極を有する比較的薄い装置は、波長あたりただ一つのアンチノードを有してよく、アンチノードは低波長において反射電極により近い。この状況において、発光物質が発光する波長が増えると共に、発光物質と反射電極との間の距離が増える時、最も高いアウトカップリング効率が得られる。その結果、反射電極と透過電極とを有する装置において、及び青色発光物質が最も低い波長の発光物質であるとき、反射電極の最も近傍に青色発光物質を配置することが有利である。しかしながら、厚い装置において、波長あたり複数のアンチノードがあってよく、発光される光の波長に関するアンチノードに発光物質を配置することによって良好なアウトカップリング効率が得られ得るように様々な位置における様々な波長に関するアンチノードがあってよく、及び様々な発光物質が任意の順序であってよい。
【0051】
図3は、有機発光装置300を示す。装置300は基板310
上に配置され、及び透過性アノード320及びカソード390を含む。二重有機発光層360がアノード320及びカソード390の間に配置される。二重有機発光層360は、第1有機発光層362、及び第2有機発光層361をさらに含む。第2有機発光層361は、第1有機発光層362に隣接して、及び第1有機発光層362よりもアノード320の近くに配置される。装置300は、アノード320及び二重有機発光層360の間に、この順で配置される、正孔注入層330、正孔輸送層340、及び阻止層350も含む。装置300は、二重有機発光層360及びカソード390の間に、この順で配置される、電子輸送層370及び電子注入層380も含む。
【0052】
一つの実施形態において、白色光を発する有機発光装置は、
図3に示されるように、少なくとも透過性アノード、カソード、二重有機発光層、阻止層、及び正孔注入層を含む。他の層を含むことが好ましいが、任意である。
【0053】
透過型アノードなど透過型電極の好ましい材料は、透明導電性酸化物を含む。インジウムスズ酸化物は好ましく、かつ通常使用される材料である。インジウム亜鉛酸化物は特に好ましい材料である。
【0054】
好ましくは、第1有機発光層362は、400nm−500nmの間の波長で可視スペクトル内にピーク発光波長を有し、かつ第1有機発光層内で15−35wt%の濃度を有する第1燐光材料、及び第1燐光材料の三重項エネルギーと比較して少なくとも0.2eV、かつ1.0eVを超えない程度に大きい三重項エネルギーを有する第1ホスト材料を含む。第1ホストの三重項エネルギーが低いことによって、第1燐光材料から第1ホスト材料への望ましくない三重項の移動が起こり得る。ホストの三重項エネルギーが高いと、望ましくない低い導電性を有する層をもたらし得る。第1燐光発光材料の濃度は、多くの装置と比較して比較的高い。しかしながら、この特別な装置の構造において、第1燐光発光材料の濃度が高ければ、装置内での電荷移動機構に影響することによって、装置の性能に好ましく寄与する。ドーパント濃度が高いことによって、層内の正孔輸送が可能になり、再結合領域を広げ得る。燐光ドーパント濃度が高いことによって、ドーパント分子の性能が発光効率の障害にならないことをも確実にする。35%を超える濃度において、濃度消光が問題になり得る。15%未満の濃度において、この特別の構造では、望ましくないことに層362において正孔輸送が抑制され得る。
【0055】
特に、この装置の青色発光(400から500nmの間のピーク波長)燐光材料はそれ自身の層
内に存在し、装置内の他の燐光材料から分離される。青色発光物質の低いピーク波長は高い三重項エネルギーに相当する。高い三重項エネルギー発光材料が用いられるとき、低い三重項エネルギー材料と同程度には起こらない、様々な議論がある。例えば、上述のように、ホストの選択は、発光材料よりも高い三重項エネルギーを有する材料に制限される。そのような材料は、装置を横切る電圧降下に寄与する。さらに、青色発光燐光材料及び適切なホストの組み合わせは、材料の選択に制限が少ないとき実行され得るものに対して高い抵抗を有する。例えば、赤色及び緑色の発光材料のみを含む層は、低い抵抗を容易に得ることができるように、低い三重項エネルギーを有するホスト材料を用いてよい。抵抗の問題に起因して、4nm−6nmと厚みが少ない第1有機発光層を使用することが好ましい。同じ理由から、4nm−10nmの厚みも好ましい。厚みが薄い場合、所定の青色光を発光するのに十分な程厚くはない場合がある。厚みが大きいことは、装置の全電気抵抗に不必要に寄与する場合がある。
【0056】
好ましくは、第2有機発光層361は、500nmから600nmの間の波長で可視スペクトル内にピーク発光波長を有する、第2有機発光層中で15−35wt%の濃度を有する第2燐光材料、及び600nmから700nmの間の波長で可視スペクトル内にピーク発光波長を有する、第2有機発光層内で0.1−3wt%の濃度を有する第3燐光材料を含む。第2有機発光層は、第3燐光発光材料と比較して高い三重項エネルギーを有する第2ホスト材料も含む。
【0057】
第2ホスト材料が第3燐光材料と比較して高い三重項エネルギーを有するのに対して、第2ホスト材料が第2燐光材料と比較して高い三重項エネルギーを有するかどうかは任意である。燐光材料が装置の発光スペクトルに有意に寄与するためには、それが存在する層のホスト材料と比較して低い三重項エネルギーを有するべきである。その結果、上述のj構造において、第3燐光材料は発光すべきであるが、第2燐光材料が発光することは必須ではない。第2燐光材料は他の方法で装置の性能に寄与する。上述の濃度において、第2燐光材料は第2有機発光層内で優れた正孔輸送材料として働いてよく、第3燐光材料の発光の感度も高め得る。もしも第2燐光材料からの有意の発光が望まれる場合には、第2ホスト材料は第2燐光材料と比較して高い三重項エネルギーを有するべきである。
【0058】
第2燐光材料は、第2有機発光層
内で好ましくは15−35wt%の濃度を有する。この濃度は、第2燐光材料が高い正孔伝導率で第2有機発光層を横切って第1有機発光層に正孔を輸送することを可能にする。低い濃度では、そのような輸送は起こらない場合があり、又は起こる場合があるが、正孔伝導率は低い。高い濃度において、電荷バランスが影響を受ける場合があり、また装置効率が低減される。すなわち、濃度が高いことによって、層の正孔輸送能が、正孔が発光層を漏れ出る点まで増加させ得る。化合物Bが、第2燐光材料として用いられて良い材料の好ましい例である。他に使用されてよい材料として、下記表3に列記される、必要とされるピーク発光波長を有する材料が挙げられる
本発明が作用するかについては、どのような理論にも拘束されることなく、100lm/wattを超える装置を含む、非常に優れた出力効率の理由の一つが、双方の層が高い正孔伝導性を有する、二重有機発光層360の使用にあると考えられる。第1有機発光層362内の高い正孔伝導性は、第1燐光材料に対して濃度15−35wt%を用いることによって実行される。正孔伝導性が高いことによって、第1有機発光層362と第2有機発光層361との間の界面から正孔が容易に移動され、再結合領域を拡大し、特に界面近傍での、高濃度の再結合領域に関する問題を低減する。第2有機発光層361内の高い正孔伝導率は、第2燐光材料に対して15−35wt%の濃度を用いることによって実現される。二重発光層360のアノード側にある第2有機発光層361内の正孔伝導は、正孔がアノードから第1有機発光層362と第2有機発光層361との間の界面近傍の再結合領域に達することを可能にする。燐光有機発光装置の発光層内で使用されるホスト・ドーパント結合における正孔輸送は、一般的にドーパント分子上で起こる。上述の濃度において、優れた正孔伝導性が幅広い燐光ドーパント及びそのようなドーパントに対するホストに関する結果であることが期待される。以下の表3は、そのようなホスト及びドーパントの多くの例を提供する。また、そのような高濃度のドーパントを使用することなく、15wt%未満のドーパント濃度において高い正孔伝導率を有するホストとドーパントとの特別な組み合わせを選択することによって、高い正孔伝導性、及びそれに対応する優れた結果を実現することも可能だろう。
【0059】
第3燐光材料は、第2有機発光層内で0.1−3wt%の濃度を有する。第3燐光材料は、そもそも赤色光を発光するために存在し、装置の所定のCIE及びCRIに寄与する。低濃度においては、赤色光を十分に放出しない場合がある。第3燐光材料の発光が
第2燐光材料の存在によって増感されるので、赤色光の発光
が非常に多く、及び/又は3wt%を超える濃度にお
いて濃度消光
する場合がある。化合物Cは、第3燐光材料として使用され得る材料の好ましい例である。使用され得る他の材料として、必要とされるピーク発光波長を有する、以下の表3に列記される材料が挙げられる。
【0060】
カソードは好ましくは反射性であり、第2発光層は好ましくはカソードと比較して透過性アノードの近くに配置される。この配置は、幾つかの好ましい効果を可能にする。まず第1に、材料に関する所定の発光波長に対応する、光学的「ノード」に発光材料を位置させることが好ましい。一次近似として、一つの反射層が存在するとき、反射層から発光波長の1/4の光学経路距離にノードが存在する。したがって、青色発光材料を、より高波長の発光材料と比較して反射層の近くに配置することが好ましい。透過性アノードは、同じ反射性を有してよく、これは波長に応じて変わり得る。結果的に、青色発光層を、より高波長の発光層と比較してカソードの近くに配置するのが一般的に好ましいことには変わりはないが、一次近似は層をどこに配置するかを正確に決定する上で完全に正確なものではないだろう。光学キャビティの最適化を達成するために、装置内のどこに層を配置するかを正確に決定するために使用され得るモデリングが知られている。そのようなモデリングは、DodabalapurらのPhysics and applications of organic microcavity light emitting diodes、J.Appl.Phys.80(12)、15 December 1996に記載される。そのようなモデリングに使用され得るプログラムは、Flumim AG.Dorfstrasse 7、8835 Fueseberg、スイスから入手される。IZOは、一つには通常透過性電極材料として使用されるITOと比較して高い屈折率を有するという理由で、透過性アノードとしての使用に好ましい。発光材料の位置の調節は、装置を横切る電圧降下における任意の増加を最小化するために、かつ、再結合が起こる位置に影響し得る電荷バランス検討における厚み追加の影響を最小化するために、正孔輸送及び電子輸送層等、伝導率が高い層の厚みを調節することによって実行されるべきである。
【0061】
阻止層は第2有機発光層の近傍に、及び第2有機発光層とアノードとの間に配置される。阻止層は、第2ホスト材料の最低空分子軌道と比較して少なくとも0.1eV高い最低空分子軌道を有する。この差の結果として、電子が第2有機発光層から阻止層へと通過する可能性は高くない。
【0062】
正孔輸送層は阻止層とアノードとの間に配置される。好ましくは、高い正孔伝導性を有する材料が正孔輸送層として使用される。NPDは
好ましい材料であるが、他の材料が使用されてよい。
NPDは、5×10−4cm2V−1s−1の正孔移動度を有する(Soらの「Bioplar Carrier Transport in Organic Small Molecules for OLED」、Proceedings of the Society for Information Display.38,1497(2007)を参照されたい
)。NPDに匹敵する、又はNPDよりも高い正孔移動度を有する材料が使用されてよい。適切な材料が、下記表3に列記される。
【0063】
図3に記載される構造において、阻止層350が12−18nmの厚みを持ち、正孔輸送層340が12−18nmの厚みを持つことが好ましい。他の好ましい厚みは、阻止層350が12−37nmの厚みを持ち、正孔輸送層340が12−37nmの厚みを持つことである。これらの厚みは、各層が意図される機能を果たすことを可能にする程度に十分大きいが、装置を横切る電圧降下に不必要に影響する程には厚くない。さらに、
図3に説明される層のみを含む構造に関して、注入層が一般的に非常に薄いので、正孔輸送層340と阻止層350との全厚みは、アノード320と二重発光層360との間の距離の殆どに関与する。記載された厚みの範囲は光学キャビティ効果を上手く利用するのに有効である。
【0064】
層が「透過性」と記載される場合、これは、装置が使用されているとき、光が観察者に向かって層を通過することを意味する。この機能を果たすのに十分であれば、どのような透過率でも十分である。層の透過率は一般的に波長に依存し、可視光スペクトルの全域での50%平均透過率は、透過型電極に関する使用可能な透過率の下限にある。一般的に、より高い透過率の層が使用でき、本発明に記載される「透過型」層に好ましいであろう。
【0065】
上述の構造を用い、かつ材料を選択することによって、装置を横切る、並外れて低い電圧降下を有する白色発光装置が実現され得る。装置を横切る電圧降下は、好ましくは3.1eV−4.1eVである。より好ましくは、装置を横切る電圧降下は3.7eV未満である。これらの電圧降下は、1000cd/m
2の輝度におけるものであってよい。装置を横切る電圧降下を最小化することが好ましい。電圧降下は、幾つかの因子に起因する。第1に、装置の青色発光材料は約2.7eVの三重項エネルギーを持ち、これは、装置内の最も高い三重項エネルギー発光材料として、装置を横切る電圧降下に関する最小値を設定する。その後、装置内の各層及び各界面は、層の抵抗に起因して、又は界面におけるHOMO/LUMO差に起因して、さらなる電圧降下の一因となる可能性がある。上述のような構造を使用することによって、及び材料を選択することによって、電圧降下は最小化され得る。
【0066】
図3の構造において、再結合は好ましくは二重有機発光層360
内部で起こる。再結合は界面において、又は界面近くで起こることが多いので、再結合が第1有機発光層362と第2有機発光層361との界面で、又は界面近くで起こることが好ましい。この場合、電子は主に、カソードと、第1有機発光層362と第2有機発光層361との界面と、の間の伝導に影響し、正孔は主にアノードと前記界面との間の伝導に影響する。これは、第2有機発光層362が第2燐光材料(装置内で発光すらしない)で著しくドープされることの一つの理由であり、燐光材料は一般的に良好な正孔輸送材料であり、第2燐光材料は第2有機発光層361が良好な正孔伝導性を有する要因であり得る。
【0067】
様々な材料選択をして、
図3の構造の背景にある原則は透過型カソードを有する装置に適用されてよい。
図4はそのような装置を示す。
【0068】
図3の装置300と同様に、
図4の装置400は基板410の上に配置され、アノード420及びカソード490を含む。装置300と400との間の一つの相違は、装置400が透過型カソード490を備えることを要求される点である。二重有機発光層460は、アノード420とカソード490との間に配置される。二重有機発光層460は第1有機発光層461、及び第2有機発光層462をさらに含む。第1有機発光層461は、第2有機発光層462の近傍に配置される。装置300と装置400との間の相違の一つは、装置400において、第1有機発光層461が第2有機発光層462と比較してアノード420の近くに配置されることである。装置400は、アノード420と二重有機発光層460との間にこの順に配置される、正孔注入層430、正孔輸送層440、及び阻止層450も含む。装置400は、二重有機発光層460とカソード490との間にこの順に配置される、電子輸送層470、及び電子注入層480も含む。
【0069】
装置300の第1及び第2有機発光層362及び361と、装置400の第1及び第2発光層461及び462と、の間の相違は、単なる語義にあるのではなく、これらの層の材料の性質及び特性が定義される方法による。簡単に言えば、装置300は、他の発光層と比較してカソードの近くに配置される青色発光層(第1有機発光層362)を有し、それに対して装置400はアノードの近くに配置される青色発光層(第1有機発光層461)を有する。
【0070】
好ましくは、第1有機発光層461は、第1有機発光層中において15−35wt%の濃度を有し、かつ400nmから500nmの間の波長において可視スペクトル中にピーク発光波長を有する第1燐光材料
、及び少なくとも0.2eV、かつ第1燐光材料の三重項エネルギーと比較して1.0eVを超えずに高い三重項エネルギーを有する第1ホスト材料を含む
。第1ホストに関する低い三重項エネルギーは、第1燐光材料から第1ホスト材料への望ましくない三重項の移動をもたらし得る。ホストに関する高い三重項エネルギーは、望ましくない程度に低い伝導性を有する層をもたらし得る。第1燐光発光材料の濃度は、多くの装置と比較して相対的に高い。層361に関して議論されたものと同様の電荷移動機構が層461にも適用可能である。
【0071】
特に、装置400の青色発光(400から500nmの間のピーク波長)燐光材料はその独自の層、第1有機発光層461内にあり、装置内の他の燐光材料から分離される。考察は装置300に関して記載されたものと同様である(青色発光層における材料選択の制限に起因して、トレードオフがなされる必要があり、4nm−6nmと薄い厚みを有する第1有機発光層361又は461を使用することが好ましい)。同様の理由から、厚みとして4nm−10nmも好ましい。
【0072】
好ましくは、第2有機発光層462は、第2有機発光層中において15−35wt%の濃度を有し、かつ500nmから600nmの間の波長において可視スペクトル中にピーク発光波長を有する第2燐光材料と、第2有機発光層中において0.1−3wt%の濃度を有し、かつ600nmから700nmの間の波長において可視スペクトル中にピーク発光波長を有する第3燐光材料と、を含む。第2有機発光層462は、第3燐光発光材料と比較して高い三重項エネルギーを有する第2ホスト材料も含む。
【0073】
第2有機発光層361における材料が放出する相対的な三重項エネルギー、及び材料の高感度の発光に関する議論は、第2有機発光層462にも適用する。
【0074】
第2燐光材料は、第2有機発光層内で好ましくは15−35wt%の濃度を有する。発光物質の電子に対する潜在的な不安定性に起因して、ホストが電子を輸送することが好ましい。その結果、ホストの電子伝導性は再結合が起こる場所を決定する因子であり得る。良好な電子伝導性を有するホストがカソードの近くに配置されることが好ましい。そのような装置の例は、化合物H等の青色発光材料がmCBP内にドープされ、化合物C等の赤色発光材料がBAlq内にドープされたものである。BAlqはmCBPと比較して良好な電子輸送物質であり、装置9に示されるように、赤色発光層をカソードの近くに配置することが好ましい。
【0075】
第3燐光材料は第2有機発光層462
内で0.1−3wt%の濃度を有する。第3燐光材料は、主に赤色光を発光するために存在し、装置に関して望ましいCIE及びCRIに寄与する。低い濃度においては、赤色光は十分に放出されないだろう。第3燐光材料の発光が第2燐光材料の存在によって高感度になるので、赤色光の十分な放出及び/又は3wt%を超える濃度における濃度消光があるだろう。化合物Cは、第3燐光材料として使用され得る材料の好ましい例である。使用されてよい他の材料は、要求されるピーク発光波長を有する、下記表3に列記される材料を含む。
【0076】
好ましくは、アノード420は反射性である。低波長発光物質を反射性電極の近くに配置することが好ましいこと、材料から要求される発光波長に関するノードに発光材料を配置することなど、光学キャビティに関する同様の考察が装置300及び400に適用される。
【0077】
装置300及び400の双方において、装置は基板上にまずアノードを成長させるとして説明されるが、基板上にまずカソードを成長させてもよい。
【0078】
化合物は本発明において使用するために以下のように名前が付けられる。
【0089】
化合物Mは、TCTA(4,4’,4”−トリス−(N−カルバゾリル)−トリフェニルアミン)である。TPBIは、1,3,5−トリス−(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)−ベンゼンである。
【0090】
化合物Kは、Nippon Steel Company(NSCC),東京,日本からNS60として入手可能な化合物である。化合物Lは、韓国のLG化学からLG201として入手可能である。
実験
装置は標準的な作製技術を用いて作製された。装置は表1に示す構造を有する。パーセンテージは、wt%を示す。装置の性能が測定され、測定された性能が表2に示される。表2における装置特性は、電流及び電圧(V)及び基板に対して直角な輝度を同時に測定することによって決定され、したがって外部量子効率(EQE)及び出力効率(PE)はこれらの測定値及びランバートエミッションの仮定から計算された。装置の全出力効率は、WOLED基板に、屈折率整合流体を用いて、アウトカップリング強化具が取り付けられるとき、装置を20”積分球内に配置することによって決定された。有効なランバート輝度は、20”積分球内で測定された全光学フラックスを3.14で割り、かつ活性な装置領域で割ることによって決定された。CIEは1931年に国際照明委員会(CIE)によって開発された標準色空間の座標を示す。CRIは、標準演色評価数(CRI)Raを示す。LT50は寿命の測定値であり、装置が一定の電流で作動されるとき、光の出力が50%減少する時間である。
【0093】
装置1は、アウトカップリング器具がOLED基板に取り付けられたとき、測定された装置効率、有効ランバート輝度1,000nitにおいて>100lm/W、を有する。さらに、1,000nitsからLT50>8,000時間である。これら二つの特徴の組み合わせは、照明製品に関して大変望ましく、しかも以前に報告されていたどのような性能と比較しても予測できない程に大きい。
【0094】
装置1及び装置2は、アノード材料を除いて同じである。装置1は可視範囲にわたって屈折率が>1.9であるIZOを使用する。それに対して、装置2は480nmよりも短い波長において1.9よりも大きく、可視光範囲の他の波長において低い屈折率を有するITOを用いる。IZOの高い屈折率は、装置1が装置2と比較して高い出力効率を有する一つの理由であり得る。装置1の効率は、阻止層として化合物Aを用いることによって、及び青色及び黄色の発光物質B及びEを高い濃度(>15%)で用いることによって、同様に強化される。装置1の出力効率は、さらに効率よく明所視応答曲線と重なる発光スペクトルを有する、黄色発光物質(化合物B)を用いることによっても最適化された。装置1及び2の電圧の低さは、対応する低い電圧降下を有する薄い(5nm)青色発光層を用いることによって強まった。装置1は、20”積分球においてアウトカップリング強化器具を用いて測定するとき、有効輝度1,000nitにおいて102lm/Wに達する。
【0095】
装置3は装置2と非常に類似している。装置3は、装置2における赤色発光物質(化合物C)と比較して赤い発光物質(化合物D)を用いる。化合物Dは、装置2に対して装置のCRIを増加させるために装置3内に組み込まれた。
【0096】
装置4は装置3と比較して化合物Dの濃度が高く、化合物Dの濃度が高いことによってCRIが66から88へと大きく引き上げることを可能にする。
【0097】
装置5は、Energy Star定格固体状態エネルギー光源として規定されるCIEにおける高いCRI
を得るために、装置4と比較して化合物D及びEの濃度が高い。
【0098】
装置6は、全三つの発光物質が、同じ全EML厚みを有する装置2を超える単一のEMLを横切る電圧降下を示す。装置6は装置2と比較して0.5V高い電圧で作動し、表1及び2の全ての他の例と比較して少なくとも0.4V上で作動する。
【0099】
装置7は、特に高い効果を有する低電圧の装置を得るのに使用される装置構造を示す。
【0100】
装置8及び9は本明細書に記載される好ましい装置構造を持たず、結果として電圧が高く、出力効率が低い。装置8及び9は、各々別個の層に同じ発光物質を有するが、層の順が入れ替わった二重発光層を有する。装置8において、mCBPにドープされた青色発光材料(化合物H)は、赤色発光材料と比較して反射性カソードの近くに配置される。装置9において、BAlqにドープされた赤色発光材料(化合物C)は、青色発光材料と比較して反射性カソードの近くに配置される。装置8及び9は、BAlqがmCBPと比較して良好な電子輸送物質であるため、赤色発光材料が青色発光材料と比較して良好な電子伝導性を有する材料の例を提供し、
図4の装置で、赤色発光材料がカソードの近くに配置されることが好ましい。
他の材料との組み合わせ
有機発光装置における特定の層に関して有効であると本明細書に記載される材料は、特別の定めのない限り、装置内に存在する他の材料と様々に組み合わせて使用されてよい。例えば、本明細書に記載される発光ドーパントは様々なホスト、輸送層、阻止層、注入層、電極、及び存在し得る他の層と組み合わせて使用されてよい。以下に記載される、又は示される材料は、本明細書に記載される化合物と組み合わせて有効であり得る材料の非制限的な例であり、当業者であれば、組み合わせて有効であり得る他の材料を特定するため容易に文献を閲覧できる。
【0101】
本明細書に記載される材料に加えて、及び/又は組み合わせて、多くの正孔注入層、正孔輸送材料、ホスト材料、ドーパント材料、エキシトン/正孔阻止層材料、電子輸送及び電子注入材料が、OLEDに使用されてよい。本明細書に開示される材料と組み合わせてOLED内で使用されてよい材料の非制限的な例は、下記表3に列記される。表3は材料の非制限的分類
、各々の分類に関する化合物の非制限的な例、及び材料を開示する参考文献を記述する。
【0115】
本明細書に記載される様々な実施形態が例示のみを目的としており、本発明の範囲を制限することを意図しないことは理解されるだろう。例えば、本明細書に記載される材料及び構造の多くが、本発明の精神から逸脱することなく他の材料及び構造で置換されてよい。したがって、請求項に記載される本願発明は、当業者には明白であるように、本明細書に記載される特定の例及び好ましい実施形態からの変動を含んでよい。本発明が如何に働くかを説明する様々な理論は制限を意図しないことは理解される。