特許第5698204号(P5698204)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698204
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】ドーム状構造物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/32 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
   E04B1/32 102B
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-234335(P2012-234335)
(22)【出願日】2012年10月24日
(65)【公開番号】特開2014-84640(P2014-84640A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2013年9月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】592190969
【氏名又は名称】株式会社アールシーコア
(74)【代理人】
【識別番号】100118315
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 博道
(74)【代理人】
【識別番号】100120488
【弁理士】
【氏名又は名称】北口 智英
(72)【発明者】
【氏名】原田 喜秀
(72)【発明者】
【氏名】河野 光邦
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04187613(US,A)
【文献】 特開2007−291731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/32
E04B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三角形の各辺に相当する位置にそれぞれ設けられている3本のフレーム部材と、これらのフレーム部材の端部同士を連結するためのものであって各三角形構造体の各頂点に相当する位置にそれぞれ設けられているコネクタとから構成される三角形構造体が、複数個、立体的に連設されることによりドーム状に形成されたドーム状構造物であって、
前記三角形構造体を連設することにより環状に形成された層構造部を複数、積み重ねた階層構造により形成され、
前記階層構造は、前記層構造部として、前記三角形の頂点のみで上層と接する前記三角形構造体(以下、「順三角形構造体」とする。)と前記三角形の辺をもって前記上層と接する前記三角形構造体(以下、「逆三角形構造体」とする。)とが円周上に交互に並んで形成され、
前記階層構造の最下層に位置する最下層構造部には、少なくとも1つの順三角形構造体及びそれに隣接する少なくとも1つの逆三角形構造体を設けない欠損部が設けられ、
前記欠損部の前記順三角形構造体の頂上位置のコネクタのうち少なくとも1つから鉛直下方に支柱部材が設けられていることを特徴とするドーム状構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドーム状に形成されるドーム状構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、略半球形状の外観を有するドーム状構造物として、ジオデシックドーム(あるいはフラードーム)と呼ばれるようなドームがある。具体的にはたとえば3本のフレーム部材からなる三角形構造体が、複数個、隙間なく立体的に連設されることで、略半球状(ドーム状)に形成されたものが利用されている。このように形成されることにより、フレーム部材が木質であっても充分な強度を発揮するうえ著しく軽量にできる。これにより、ドーム状構造物は、地震や台風等の災害でも容易に倒壊することがない優れた耐震性、耐風性を確保することができる。
【0003】
従来、ドーム状構造物は、展示場等の使用目的で比較的、大型の建築物に使用されてきたが、近年、コンパクトな構造で小型の一般住宅としての需要が増加している(たとえば、特許文献1)。
ところで、ドーム状構造物の下部には、三角形構造体を設けない箇所が形成される場合がある。たとえば、ドーム状構造物の出入り口となるような箇所や、ドーム状構造物の下部の複数の三角形構造体から外方に向かって延設される拡張構造部との間で出入りする箇所等である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−18744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ドーム状構造物の下部において、上述したような三角形構造体を設けない箇所があると、当該箇所の強度や剛性が不足する可能性があるという問題点がある。
【0006】
請求項1記載の発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ドーム状構造物の下部における三角形構造体を設けない箇所を補強して、当該箇所の強度や剛性を増すことができるドーム状構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(請求項1)
請求項1記載の発明は、三角形の各辺に相当する位置にそれぞれ設けられている3本のフレーム部材50と、これらのフレーム部材50の端部同士を連結するためのものであって各三角形構造体40の各頂点に相当する位置にそれぞれ設けられているコネクタ71とから構成される三角形構造体40が、複数個、立体的に連設されることによりドーム状に形成されたドーム状構造物4であって、前記三角形構造体40を連設することにより環状に形成された層構造部Sを複数、積み重ねた階層構造により形成され、前記階層構造は、前記層構造部Sとして、前記三角形の頂点のみで上層と接する前記三角形構造体40(以下、「順三角形構造体42」とする。)と前記三角形の辺をもって前記上層と接する前記三角形構造体40(以下、「逆三角形構造体41」とする。)とが円周上に交互に並んで形成され、前記階層構造の最下層に位置する最下層構造部Sには、少なくとも1つの順三角形構造体42及びそれに隣接する少なくとも1つの逆三角形構造体41を設けない欠損部120が設けられ、前記欠損部120の前記順三角形構造体42の頂上位置のコネクタ71のうち少なくとも1つから鉛直下方に支柱部材160が設けられていることを特徴とする。
【0008】
ここで、「ドーム状構造物4」とは、いわゆるジオデシックドーム、あるいはフラードーム等と呼ばれるドーム状の構造物を意味する。
また、「フレーム部材50」は、ドーム状構造物4の骨格となるものであって、ドーム状構造物4を構成する各三角形構造体40の各辺に相当する位置にそれぞれ設けられているものである。
【0009】
また、「コネクタ71」は、前記フレーム部材50の端部同士を連結するものであって、ドーム状構造物4を構成する各三角形構造体40の頂点が集まる位置にそれぞれ設けられているものである。
【0010】
本発明は、ドーム状構造物4の最下層の欠損部120の順三角形構造体42の頂上位置のコネクタ71のうち少なくとも1つからは、鉛直下方に支柱部材160が設けられている。このため、欠損部120の上側にあるコネクタ71に欠損部120の上方から加わる荷重を、支柱部材160を介して支持することができる。これにより、順三角形構造体42及び逆三角形構造体41が設けられていない欠損部120の強度を増加させ、その剛性も増加させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
請求項1記載の発明によれば、ドーム状構造物の下部における三角形構造体を設けない箇所を補強して、当該箇所の強度や剛性を増すことができるドーム状構造物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態であって、ドーム状構造物の三角形構造体を示す外観斜視図である。
図2】本発明の実施の形態であって、ドーム状構造物の三角形構造体を示す外観側面図である。
図3】本発明の実施の形態であって、ドーム状構造物の三角形構造体を示す外観平面図である。
図4】本発明の実施の形態であって、室内側から見た三角構造体のフレーム部材及びコネクタを示す外観図である。
図5】本発明の実施の形態であって、(A)は拡張構造部をドーム状構造部に設ける前の欠損部の状態の外観斜視図、(B)は拡張構造部をドーム状構造部に設ける前の欠損部の状態の他の変形例の外観斜視図、(C)は拡張構造部を設けたドーム状構造物の外観斜視図である。
図6】本発明の実施の形態であって、欠損部の支柱部材を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施の形態に係るドーム状構造物4は、ドーム状のドーム状構造部6と、このドーム状構造部6から外方に向かって延設される拡張構造部8とを有している。
図1図2及び図3に示すように、実施の形態に係るドーム状構造部6には、周囲をドーム状(半球状)に覆うドーム壁100が設けられている。
【0014】
前記ドーム壁100は、三角形の各辺に相当する位置にそれぞれ設けられている3本のフレーム部材50の端部同士を連結することにより構成される三角形構造体40が複数個、隙間なく立体的に連設されることによりドーム状に形成されている。
【0015】
前記ドーム状構造部6は、三角形構造体40を隙間なく連設することにより環状に形成された層構造部Sを5層、積み重ねた階層構造により形成されている。
前記層構造部Sは、最上部に位置する構造部であって同一の球に内接する5個の三角形構造体40を隙間なく五角錐状に組み合わせた形状の頂上部分としての第1構造部11を有している。
【0016】
層構造部Sは第1構造部11の下側に第1構造部11とは隙間なく連設されるものであって同一の球に内接する複数個の三角形構造体40を隙間なく環状に組み合わせた形状の第2構造部12を有している。層構造部Sは第2構造部12の下側に第2構造部12とは隙間なく連設されるものであって同一の球に内接する複数個の三角形構造体40を隙間なく環状に組み合わせた形状の第3構造部13を有している。層構造部Sは第3構造部13の下側に第3構造部13とは隙間なく連設されるものであって同一の球に内接する複数個の三角形構造体40を隙間なく環状に組み合わせた形状の第4構造部14を有している。そして、層構造部Sは第4構造部14の下側に第4構造部14とは隙間なく連設されるものであって複数個の三角形構造体40を略環状に組み合わせた形状の第5構造部15を有している。この第5構造部15はコンクリートからなる基礎30(図2参照)の上に固定されている。なお、三角形構造体40の個数は、限定されるものではない。
第5構造部15には、三角形構造体40の室内を拡張するための拡張構造部8を設ける際、隣接する複数の三角形構造体40を設けない欠損部120を形成している。この欠損部120の上縁のコネクタ71から鉛直下方に支柱部材160が形成されている。なお欠損部120及び支柱部材160の詳細は後述する。
【0017】
本実施の形態では、第2構造部12から第5構造部15までにおいて、同一階層の三角形構造体40は、下側に2つの頂点を有するとともに上側に1つの頂点が配置される順三角形構造体42と、下側に1つの頂点を有するとともに上側に2つの頂点が配置される逆三角形構造体41との2種類の三角形構造体40を有する。順三角形構造体42は、三角形の頂点のみで上層と接するものであり、逆三角形構造体41は、三角形の辺をもって上層と接するものである。すなわち、逆三角形構造体41は、いわゆる「逆三角形」となっている。そして、第2構造部12から第5構造部15までの同一階層の層構造部Sとして、順三角形構造体42と逆三角形構造体41とが円周上に交互に配置された交互層構造部20が形成されている(図2参照)。そして、第1構造部11では、5個の順三角形構造体42によって形成されている。
【0018】
本実施の形態では、第1構造部11から第4構造部14までは半径Rの同一の球に内接する多数の三角形構造体40から構成されている。また、第5構造部15は同一の円柱に内接する多数の三角形構造体40から構成されている。なお、第5構造部15の順三角形構造体42は、図1及び図2に示すように、底辺の位置に相当するフレーム部材50は設けられてない。そこには、図1及び図2の一点鎖線で示される基礎30の上面が配置されている。
前記ドーム状構造部6は、フレーム部材50の端部同士を連結するとともに三角形構造体40の三角形の頂点が集まる位置にそれぞれ設けられている固定手段70としてのコネクタ71を備えている。このコネクタ71には、フレーム部材50の端部が接合される板状の接合片77が複数枚、放射状に設けられている。
【0019】
そして、各三角形構造体40の各辺に相当する位置にそれぞれ設けたフレーム部材50と各三角形構造体40の各頂点に相当する位置にそれぞれ設けた固定手段70としてのコネクタ71とから、図1に示すドーム状のトラス構造の骨格が構築されている。そして、このドーム状のトラス骨格がドーム状構造部6の構造躯体となる。
前記コネクタ71の材質は金属であり、フレーム部材50の材質は木質である。もちろん、コネクタ71及びフレーム部材50の材質はこれに限定されるものではなく、木質、金属、合成樹脂等の他の材質や、それらの組合せたものを採用することもできる。
【0020】
前記第5構造部15の下端に設けられるコネクタ71をベースコネクタ72とする。このベースコネクタ72は、第5構造部15の下端の頂点に集まるフレーム部材50の端部同士を連結するためのものである。また、ベースコネクタ72は、2つの接合片77を有し、2本のフレーム部材50の端部同士を連結するための部材として機能するとともに、トラス骨格を基礎30に接合するための部材としても機能する。
【0021】
前記第4構造部14と第5構造部15との境界線上に設けられるコネクタ71をビームコネクタ73とする。前記ビームコネクタ73は、6つの接合片77を有して第4構造部14と第5構造部15との境界線上の頂点に集まる6本のフレーム部材50の端部同士を連結するためのものである。
また、第4構造部14と第5構造部15との間には、1階の天井及び2階の床を設けるための梁(図示せず)が設けられている。すなわち、本実施の形態に係るドーム状構造部6では、第5構造部15により階層構造の1階の階層が設けられ、第4構造部14から第1構造部11により階層構造の2階の階層が設けられている。
【0022】
なお、2階の床は全面に設けずに、一部にのみ設けて他は床を設けない吹抜としてもよい。また、階層構造も1階と2階とに限定されるものではなく、1階だけでもよい。
前記ベースコネクタ72及びビームコネクタ73以外のコネクタ71であって、5つの接合片77を有して5本のフレーム部材50の端部が集まる位置(5個の三角形構造体40の頂点が集まる位置)に設けられるコネクタ71を5コネクタ74とする。この5コネクタ74は、その位置に集まる5本のフレーム部材50の端部同士を連結するためのものである。
【0023】
前記ベースコネクタ72及びビームコネクタ73以外のコネクタ71であって、6つの接合片77を有して6本のフレーム部材50の端部が集まる位置(6個の三角形構造体40の頂点が集まる位置)に設けられるコネクタ71を6コネクタ75とする。この6コネクタ75は、その位置に集まる6本のフレーム部材50の端部同士を連結するためのものである。また、頂上部の五角形の中心部分には、前記5コネクタ74が配置され、5個の三角形構造体40を形成する5本のフレーム部材50の端部が集まっている。
【0024】
図4に示すように、1つの三角形構造体40においては三角形の各辺に相当する位置にそれぞれフレーム部材50が配置されている。そして、そのフレーム部材50の端部同士がコネクタ71で固定されている(なお、図4では、中央の三角形構造体40の上部のコネクタ71のみ記載し、他のコネクタ71の詳細図は省略している)。この図4に示す三角形構造体40は、第3構造部13の三角形構造体40のうちの1つを示すものであって、三角形の頂点に相当する位置に配置されたコネクタ71には、6コネクタ75が形成されている。
前記6コネクタ75は、ハブ76と、補強平板部78と、6つの接合片77とを有している。
前記ハブ76は、円筒状のものである。前記補強平板部78は、ハブ76の一方の開口を塞ぐように設けられた円板状のものである。前記接合片77は、フレーム部材50を接合するためのものであってハブ76の外周面から外方へ向けて突出する6枚の平板状のものからなる。
【0025】
前記接合片77は、6コネクタ75が配置される三角形の頂点に集まるフレーム部材50と同じ数(6)だけ設けられている。6コネクタ75が配置される三角形の頂点には、6本のフレーム部材50が集まる。
また、各接合片77は、その端部がハブ76の外周面と補強平板部78との双方に接合されている。これにより、フレーム部材50を接合片77で支持するのに十分な強度を発揮する。
【0026】
前記フレーム部材50は、三角形構造体40の各辺に相当する位置に配置されている。そして、このフレーム部材50は長尺方向に直角の断面形状が長方形状であって全体形状が直方体状の木質から形成されている。このフレーム部材50の端部は、前記コネクタ71の接合片77にボルト及びナット(図示せず)で固定されている。そして、三角形の各辺に相当する位置に設けられた3本のフレーム部材50が、コネクタ71により連結されることにより、三角形のトラス骨格となる三角形構造体40が形成されている。
【0027】
前記フレーム部材50は、本実施の形態では、1枚の長尺状のものをコネクタ71の1枚の接合片77に固定しているが、特に1枚のフレーム部材50に限定されるものではない。たとえば2枚の長尺状のフレーム部材50を1枚の接合片77に固定してもよい。かかる場合には、2枚の長尺状のフレーム部材50の端部で1枚の接合片77を挟み込むようにして、2枚のフレーム部材50の端部を1枚の接合片77の両面側に固定する。なお、固定方法はこれに限定されるものではない。
【0028】
図5(A)に示すように、拡張構造部8を設ける前には、ドーム状構造部6の最下層の第5構造部15には、2個の順三角形構造体42と、この2個の順三角形構造体42の間の1個の逆三角形構造体41との合計3個の三角形構造体40を設けていない欠損部120(図5(A)、図6参照)が形成されている。前記欠損部120の上縁の2つのコネクタ71から鉛直下方に支柱部材160が設けられている。この支柱部材160の上端が固定されているコネクタ71は、欠損部120の前記順三角形構造体42の頂上位置にある。
前記欠損部120の大きさ、すなわち三角形構造体40を設けない領域は、上述したものに限定されるものではない。たとえば、1個の順三角形構造体42と、この順三角形構造体42の左右のいずれか一方に隣接する逆三角形構造体41との合計2個の三角形構造体40を設けない領域を欠損部120としてもよい。また、本実施の形態の3個の三角形構造体40を設けていない領域の左右のいずれか一方に隣接する逆三角形構造体41も設けずに合計4個の三角形構造体40を設けていない領域を欠損部120としてもよい。さらに、この領域に加えて同一階層において当該領域に隣接する1個又は連続して隣接する複数個の三角形構造体40を設けていない領域も併せて欠損部120とすることもできる。
【0029】
前記支柱部材160の下端は、特に図示していないが、基礎30の上面にアンカーボルトで固定されたコネクタにより支持されている。
前記支柱部材160は、欠損部120の上縁の2つのコネクタ71から1本ずつ合計2本設けられている。なお、支柱部材160の本数は、上述したものに限定されるものではない。具体的にはたとえば図5(B)に示すように支柱部材160は、欠損部120の上縁の2つのコネクタ71のうち左側のコネクタ71のみから鉛直下方に1本だけ設けられてもよい。また、特に図示していないが、支柱部材160は図5(A)の欠損部120の上縁の2つのコネクタ71のうち右側のコネクタ71のみから鉛直下方に1本だけ設けられてもよい。
【0030】
欠損部120の領域がさらに広い場合であっても、欠損部120内に設けない順三角形構造体42の頂上位置のコネクタ71のうち少なくとも1つから鉛直下方に支柱部材160が設けられてあればよい。もちろん、2つ以上でもよく、全ての欠損部120の上縁のコネクタ71に支柱部材160を設けてもよい。
図5(C)に示すように、前記欠損部120の縁から外方に向かって延設される拡張構造部8が設けられている。前記欠損部120を介して、ドーム状構造部6の室内から拡張構造部8の室内に出入りすることができるように形成されているものである。
【0031】
図6に示すように、欠損部120の上縁の2つのコネクタ71から鉛直下方に支柱部材160が設けられている。支柱部材160は、三角形構造体40のフレーム部材50と同様の材質の木質から形成されている。また、当該木質部分の上端と、コネクタ71との接合態様は、図4で説明した三角形構造体40におけるフレーム部材50と接合片77との接合態様と同様のボルト及びナットによるものである。また、支柱部材160の下端は、特に図示していないが、基礎30上にアンカーボルトで固定されたコネクタにより、上端と同様の接合態様で固定されている。なお、支柱部材160の接合態様は、上述したものに限定されるものではなく、コネクタ71に固定されるものであれば他の接合態様であってもよい。また、支柱部材160の材質は、上述した木質に限定されるものではなく、荷重を支持することができるものであれば、金属等の他の材質のものでもよい。
【0032】
拡張構造部8には、コンクリートの基礎30から立設する壁の内部にドーム状構造部6の三角形構造体40と略同様の構成を有する三角形構造体40が設けられている。なお、その壁内の三角形構造体40の個数は特に限定されるものではない。また、特に図示していないが、拡張構造部8の屋根(天井)部分にはドーム状構造部6の三角形構造体40から連設されている構造用面材が設けられている。
【0033】
本実施の形態は、ドーム状構造部6の第5構造部15の欠損部120の上縁の2つのコネクタ71から鉛直下方に支柱部材160が設けられている。このため、欠損部120の上縁にある2つのコネクタ71にドーム状構造部6の上方から加わる荷重を当該支柱部材160を介して支持することができる。これにより、順三角形構造体42及び逆三角形構造体41が設けられていない欠損部120の強度を増加させ、その剛性も増加させることができる。
上述した実施の形態では、欠損部120は拡張構造部8を設けるためのものであったが、欠損部120は特にこれに限定されるものではない。具体的にはたとえば欠損部120は、三角形構造体40を設けない第5構造部15における出入り口や窓等の開口する箇所であってもよいものである。そして、その欠損部120に上述したような支柱部材160を設けてもよいものである。
【符号の説明】
【0034】
4 ドーム状構造物 6 ドーム状構造部
8 拡張構造部 S 層構造部
11 第1構造部 12 第2構造部
13 第3構造部 14 第4構造部
15 第5構造部 20 交互層構造部
30 基礎 40 三角形構造体
41 逆三角形構造体 42 順三角形構造体
50 フレーム部材 70 固定手段
71 コネクタ 72 ベースコネクタ
73 ビームコネクタ 74 5コネクタ
75 6コネクタ 76 ハブ
77 接合片 78 補強平板部
100 ドーム壁 120 欠損部
160 支柱部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6