特許第5698252号(P5698252)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698252
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】フィルタ
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/50 20060101AFI20150319BHJP
   B01D 29/07 20060101ALI20150319BHJP
   B01D 24/48 20060101ALI20150319BHJP
   B01D 29/60 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   B01D29/26 A
   B01D29/06 510Z
   B01D29/36 B
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-538215(P2012-538215)
(86)(22)【出願日】2010年10月27日
(65)【公表番号】特表2013-509996(P2013-509996A)
(43)【公表日】2013年3月21日
(86)【国際出願番号】EP2010006572
(87)【国際公開番号】WO2011057716
(87)【国際公開日】20110519
【審査請求日】2013年5月23日
(31)【優先権主張番号】102009052613.7
(32)【優先日】2009年11月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511004689
【氏名又は名称】ハイダック フィルターテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100141081
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 庸良
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100171251
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】マルクス デベス
【審査官】 増田 健司
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭49−111080(JP,U)
【文献】 特表2001−523562(JP,A)
【文献】 特開昭52−006176(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/110049(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0191832(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0155585(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01918006(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 29/50
B01D 24/48
B01D 29/07
B01D 29/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1のフィルタ媒体(2)と少なくとも1つの第2のフィルタ媒体(3)を有し、前記第1のフィルタ媒体(2)と前記第2のフィルタ媒体(3)の間に流れ空間(4)が形成され、前記流れ空間内へ、分離し、かつ流れを案内する装置(5)が挿入されており、かつ流れ空間を、それぞれ機能室(25、26)が第1のフィルタ媒体(2)ないし第2のフィルタ媒体(3)に隣接するように分割し、第1のフィルタ媒体(2)が中空室(21)を外側へ向かって、第2のフィルタ媒体(3)が中空室(22)を内側へ向かって形成しており、かつ中空室(21、22)がそれぞれ少なくとも1つの流体ガイド(23、24)に接続可能である、フィルタにおいて、
流れ空間(4)の両方の機能室(25、26)が、少なくとも1つの他の流体ガイド(27)に接続可能であって、当該流体ガイド(27)前記流体ガイド(23、24)から分離されており、
前記分離しかつ流れを案内する装置(5)が、互いに分離された通路ガイド(9)を有しており、前記通路ガイドが、流れ空間(4)の内部でそれぞれ第1のフィルタ媒体(2)と第2のフィルタ媒体(3)から来る個々の流体流(6、7)を移送するために用いられ、
互いに分離された通路ガイド(9)が、波形の個別通路(10)から形成されており、前記個別通路が2つの形成壁(11)の間に延びており、前記形成壁がそれぞれフィルタ媒体(2、3)の内壁と外壁に隣接していることを特徴とするフィルタ。
【請求項2】
第1のフィルタ媒体(2)と第2のフィルタ媒体(3)及び流れ空間(4)が、フィルタ(1)の長手軸(8)に対して同心に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
一番外側でフィルタ(1)に配置されている第1のフィルタ媒体(2)のための流れ方向が、外側から内側へ向かって、隣接する第2のフィルタ媒体(3)のための流れ方向が内側から外側へ向かって、共通の流れ空間(4)内で行なわれることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルタ。
【請求項4】
形成壁(11)が、多孔であることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項5】
第1のフィルタ媒体(2)と第2のフィルタ媒体(3)が、異なるフィルタ細度を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルタ。
【請求項6】
第1のフィルタ媒体(2)と第2のフィルタ媒体(3)が、繊維形状の不織のフリースから形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルタ。
【請求項7】
第1のフィルタ媒体(2)と第2のフィルタ媒体(3)が、プリーツをよせたフィルタ材料から形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルタ。
【請求項8】
第1のフィルタ媒体(2)が、未濾流体(6)へ向いた側(12)に、その濾液側(13)におけるよりも大きい穴大きさ又はメッシュ幅を有していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のフィルタ。
【請求項9】
フィルタ(1)が、円筒形状を有していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のフィルタ。
【請求項10】
第1のフィルタ媒体(2)と第2のフィルタ媒体(3)が、フィルタ(1)の底部分(14)とカバー(15)の間に配置されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のフィルタ。
【請求項11】
第1のフィルタ媒体(2)に、第2のフィルタ媒体(3)とは異なる未濾液が供給されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のフィルタ。
【請求項12】
第1のフィルタ媒体(2)が、未濾液のための第1のフィルタ段を形成し、第2のフィルタ媒体(3)が第2のフィルタ段を形成することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のフィルタ。
【請求項13】
分離し、かつ流れを案内する装置(5)が、濾液と未濾液の逆の流れ方向を可能にすることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの第1のフィルタ媒体と第2のフィルタ媒体を有し、それらの間に流れ空間が形成され、その流れ空間内に、分離して流れを案内するための装置が挿入されており、かつその流れ空間を、それぞれ第1のフィルタ媒体ないし第2のフィルタ媒体に機能室が隣接するように、分割し、第1のフィルタ媒体が中空室を外側へ向かって、第2のフィルタ媒体が中空室を内側へ向かって形成し、かつ中空室がそれぞれ少なくとも1つの流体ガイドに接続可能である、フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のフィルタは、特許文献1から知られている。この既知の、液体用のフィルタは、互いに対して同心に位置する2つのデプスフィルタパイプを有しており、それらはその前側を第1のカバーと第2のカバーの間に次のように、すなわちそれらが供給部と排出部の間に互いに平行に接続されるように、配置されており、かつ2つのデプスフィルタパイプの間に環状空間が形成されている。環状空間内にスペースホルダが配置されており、そのスペースホルダは、実質的に、波形の壁を有する円筒状のパイプ部分からなり、かつ2つのデプスフィルタパイプの互いに対する位置を固定する。パイプ部分の波形の壁によって、環状室がほぼ等しい大きさの排出通路と供給通路に分割される。供給通路は、内側のデプスフィルタパイプへ面しており、下方へ向かって開放し、それに伴って供給部とも接続される。排出通路は、外側のデプスフィルタへ面しており、カバーへ向かって上方へ開放している。環状室の厚みは、スペースホルダのこの構造において、比較的小さく抑えることができ、圧縮空気抵抗は、比較的低いままである。
【0003】
この既知のフィルタは、デプスフィルタとして作用し、それにおいて2つのデプスフィルタパイプが互いに対して平行に配置されており、それによって比較的高い寿命が達成される。供給部を通してハウジング内部へ流入する圧力手段は、第1のカバーの外側端縁を通過して、ハウジングと外側のフィルタパイプとの間の環状空間内へ流入する。この圧力手段の一部が、外側のデプスフィルタパイプを径方向に貫流して、浄化されて排出通路内へ達し、そこで上へ向かい、第1のカバーと上方の端部との間を通って排出部へ流れる。浄化されない圧力手段の他の部分は、下からスペースホルダの供給通路内へ流入する。そこから圧力手段は、内側のフィルタパイプを通って径方向に流れ、穴板円筒を介して同様に排出部へ流れる。
【0004】
フィルタは、液状又はガス状の流体を濾過及び浄化するための種々の使用領域のために、多数の実施形態と大きさで知られている。従来技術において、それぞれフィルタハウジングの内部に、個別の中空円筒状のフィルタ部材が配置されている、フィルタ装置が知られている。フィルタハウジングの入口を介して、汚れた液が供給され、それがフィルタ媒体を外側から内側へ貫流する。濾過された液体は、その後、フィルタハウジングの流体出口を介してさらに使用するために運び出される。この種のフィルタは、特に汚れによってフィルタ媒体が詰まった場合に、流体入口と流体出口の間の圧力差の上昇が生じた際に、駆動における障害を回避するために、可能な回避装置としてバイパス弁を有している。このような場合に、浄化されない流体が直接流体出口へ案内されることがある。
【0005】
さらに、特許文献2からフィルタが知られており、それにおいてノーマル駆動の場合、従ってバイパス弁が閉鎖されている場合に、浄化すべき流体がまず第1のフィルタ媒体を外側から内側へ貫流し、第1のフィルタ媒体に対して同軸に第2のフィルタ媒体が配置されており、それがまた内側に位置する第2の中空室を抱囲しており、そこから流体がフィルタハウジングの流体出口を介して流出することができる。第1のフィルタ媒体の詰まりによってバイパス弁が開放した場合に、浄化されない流体がバイパス弁を介して第1のフィルタ中空室内へ流入し、第2のフィルタ媒体を外側から内側へ貫流して、その後そのようにして浄化されて、フィルタハウジングの流体出口から流出する。ノーマルなフィルタ駆動においては、第1のフィルタ媒体による大まかな濾過の他に、後段の第2のフィルタ媒体による細かい濾過が達成される。
【0006】
さらに、フィルタハウジング内へ流入する流体のために、それぞれフィルタ媒体に対して平行に2つの流れルートを定める、フィルタが知られている。第1のフィルタ媒体と第2のフィルタ媒体は、好ましくは互いに対して同軸に共通のフィルタハウジング内に配置される。フィルタ媒体には、それぞれ同時にその外側から浄化されない流体が流れつくので、駆動中に同時に貫流されるフィルタ媒体のために、既知のシングル部材解決に比較して50%以上のフィルタ面積増大が生じる。しかし、フィルタのより長い寿命を達成し、あるいは種々の流体を1つの同一のフィルタで浄化するためには、既知の技術構造的措置は、無制限に適してはいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国公開公報第3103723号
【特許文献2】国際公開公報第02/062447号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この問題性に関して、本発明の課題は、その構造空間が効率的に使用され、かつ濾過駆動の間に異なる流体の同時濾過を可能にするフィルタを提供することであって、フィルタの改良された流体通過を達成し、かつ駆動挙動を改良しようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、この課題は、全体として特許請求項1の特徴を有するフィルタによって解決される。特許請求項1の特徴部分によれば、流れ空間の2つの機能室が、少なくとも1つの他の流体ガイドに接続可能であって、その流体ガイドが他の流体ガイドから流体密に分離されている。そこから、第1のフィルタ媒体と第2のフィルタ媒体が選択的に直列又は並列に接続可能であり、かつ/又は唯一の流体流を供給可能、あるいは第1の流体流と、第1の流体流から分離された、少なくとも1つの第2の流体流とを供給可能であり、かつ/又は同一方向又は逆方向に貫流可能である、という利点が生じる。それによって本発明に係るフィルタは、選択的に異なる未濾液を別々に濾過し、あるいは未濾液を段階的に濾過するために使用することができる。異なる流れ方向ないし未濾液の供給可能性とフィルタからの濾液の排出によって、本発明に係るフィルタのための様々な使用可能性が生じる。
【0010】
第1のフィルタ媒体のための第1の流体流を第2のフィルタ媒体を通る第2の流体流から分離して流れを案内する装置によって、同時に第1の流体流を第1のフィルタ媒体へ案内することができ、第2の同じ、あるいは第1の流体流とは異なる、流体流が第2のフィルタ媒体へ達することができる。なお、第1のフィルタ媒体を流体流の前濾過又は大まかな濾過のために使用し、通過後に濾液を第2のフィルタ媒体を用いてさらに濾過し、特に細かい濾過を行なうことが可能である。このようにして場合によっては、フィルタの寿命が延長される。
【0011】
このような本発明に係るフィルタによって、流れ案内装置が第1の流体流を第2の流体流から分離して、それぞれ対応づけ可能な、別々の濾過プロセス用のフィルタ媒体へ案内することによって、2つの異なる流体又は媒体を同時に濾過することもできる。この構造的措置によって、フィルタにより2つ以上の異なる流体流を同時に濾過することができることにより、フィルタの使用目的を拡大する可能性が生じる。
【0012】
フィルタ媒体は、2つの流体流を分離して流れを案内する装置を間に介在させた平坦な層のような、面として形成することができる。しかし、たとえば円筒状のフィルタ容器の形式で、少なくとも第1のフィルタ媒体と第2のフィルタ媒体を互いに対して同心に配置すると、好ましい場合もある。分離して流れを案内する装置によって形成される流れ空間は、フィルタ部材の間に円筒状に設けられる。
【0013】
流れを案内して分離する装置は、たとえば、フィルタの径方向に見て、第1のフィルタの貫流方向が外側から内側へ向かう場合に、フィルタを貫流する未濾液が、その限りにおいてフィルタから運び出されることを、可能にする。同時に、第2のフィルタ媒体を内側から外側へ向かって流れる際に形成される第2の濾液は、流体流を分離して流れを案内する装置によって第1の濾液から分離されて、フィルタから運び出すことができる。フィルタ媒体の間に形成される流れ空間は、2つ以上の、機能的に互いに分離された領域に分割することができる。機能的に分離された領域は、たとえば、並べて配置された通路によって形成され、その通路は選択的に第1のフィルタ媒体と第2のフィルタ媒体へ向かって開放している。通路は、濾液を運び去るためにも、第1のフィルタ媒体と第2のフィルタ媒体に未濾液を供給するためにも、用いることができる。
【0014】
互いに分離された通路ガイドは、たとえば、2つの形成壁の間に延びる、波形の個別通路から形成することができる。形成壁は、ここでもフィルタ媒体のそれぞれの内壁と外壁に隣接し、多孔の、あるいは穴あきの構造を有することができる。通路は、流体が形成壁を通過した後に、その限りにおいて流体を別々にさらに案内する。該当する流体は、すべて未濾液として、あるいは混合して濾液と未濾液として存在することができる。流体流は、通路内で互いに対して異なる流れ方向、あるいは同一の流れ方向を有することができる。それが、たとえば異なる温度を有する流体流である場合に、第1の流体流と第2の流体流を分離して流れを案内するための、本発明に係る装置は、それぞれ冷たい方の媒体へ熱を伝達する目的のために、これらの流れを向流原理で案内することを許す。
【0015】
2つ以上のフィルタ段で実施すべき濾過を可能にするために、好ましくは第1のフィルタ媒体は、第2のフィルタ媒体とは異なるフィルタ細度で形成される。すなわち、分離して流れを案内する装置によって、未濾液として存在する第1の流体流を、たとえば第1のフィルタ媒体へ案内し、第1のフィルタ媒体によって部分的に濾過された流体を第1のフィルタ媒体から第2の、そして場合によってはさらに他のフィルタ媒体へ案内することができる。流れ案内装置は、このようにして、単独のフィルタハウジング内で少なくとも2つのフィルタ媒体の直列接続を可能にする。
【0016】
濾過すべき流体の材料特性に従って、フィルタ媒体を多様に形成することができる。すなわち挿入されるフリースは、ポリマー繊維又はフィラメントからなることができる。使用される材料は、好ましくはポリオレフィン、特にポリエチレン及び/又はポリプロピレン、及びポリエステル、特にPBT及び/又はPETである。
【0017】
フィルタ媒体は、既知のように、たとえばウエットレイイング方法又はドライレイイング方法でスパンボンドフリースあるいはスタックファイバーフリースとして、形成することができる。
【0018】
さらに、フィルタ層は、メルトブロー方法によって形成することができ、あるいはナノファイバーとして形成することができる。いわゆるフィルタペーパーの他に、ミネラルファイバーフリース又はグラスファイバーフリースが使用可能である。ミネラルファイバーの場合には、たとえばアルミノケイ酸塩ファイバー、セラミックファイバー、ドロマイトファイバー又は玄武岩などの繊維ベースのフリースを使用することができる。グラスファーバーフリースの場合には、E−グラス、S−グラス、M−グラス又はC−グラスのようなすべてのグラスタイプを使用することができる。フィルタ媒体は、プリーツをよせることもでき、あるいは他の表面形状を有することができる。
【0019】
さらに、フィルタ媒体の穴の大きさ又はフィルタ細度をその奥行きにわたって変化させることが、好ましい場合がある。すなわち未濾液用の供給側のフィルタ細度を、それぞれのフィルタ媒体の濾液の流出側におけるよりも小さくすることができる。
【0020】
フィルタの特に好ましい実施形態において、2つのフィルタ媒体又は他のフィルタ媒体は、軸方向においてフィルタの底部分とカバー部分との間に配置されており、そのようにしてフィルタは、モジュール状に構築することができる。第1のフィルタ媒体と第2のフィルタ媒体からなるフィルタは、流れを案内する装置と共にフィルタハウジングから一緒に取り出し、かつそこにまた挿入することができる。
【0021】
以下、本発明に係るフィルタを、図面を用いて詳細に説明する。
【0022】
表示は、原理的であって、縮尺通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係るフィルタの構造を縦断面で示している。
図2図1に示す、フィルタ媒体間に形成される流れ空間内に使用可能な、流れ案内装置の一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1には、異なる未濾液を別々に濾過するため、あるいは未濾液を段階的に濾過するためのフィルタ1の一部が、斜視的、原理的に、縮尺通りでなく示されている。フィルタ1は、第1のフィルタ媒体2と第2のフィルタ媒体3を有している。フィルタ媒体2、3は、好ましくは、2つの異なるフィルタ細度を有するポリマー繊維からなるフリースであって、第2のフィルタ媒体3は、好ましくは第1のフィルタ媒体2よりも大きいフィルタ細度を有するものとする。
【0025】
図1に示す実施例において、フィルタ媒体2、3は、パイプ形状の、特に円筒状の構成部品として形成されている。第1のフィルタ媒体2、第2のフィルタ媒体3は、同一の軸方向長さLを有しており、互いに対して変化しない径方向の距離でフィルタ1内に配置されている。ディスク形状の平坦な底部分14は、周端縁16と、フィルタ1の長手軸8に対して径方向内側へ変位した他の端縁17とを有している。周端縁16と端縁17は、同一の高さを有しており、図示されない接着結合によって、外側の第1のフィルタ媒体の終端部分と密閉して結合されている。第2のフィルタ媒体3は、同様に、底部分14から張り出す端縁18、19の間にその終端部分を固定されている。
【0026】
フィルタ1の他方の軸方向端部に設けられた底部分14に対向するカバー部分15は、比較可能にリング状に形成されている。カバー15は、フィルタ媒体2、3の径方向の間隔を加えた2つのフィルタ媒体の厚みに相当する幅を有している。底部分におけるのと同様に、カバー部分15に端縁17、18、19と外側の周端縁16が配置されており、2つのフィルタ媒体2、3を形状結合及び材料結合で固定し、かつ離隔させるために用いられる。底部分14は、2つのフィルタ部材2、3の間に開口部20を有しており、その開口部を通して底部分の全周の回りで流体流6、7をフィルタ媒体2、3の間に導入し、あるいは排出することができる。
【0027】
第1のフィルタ部材2は外側へ向かってリング形状の第1の中空室21を形成し、第2のフィルタ部材3は内側へ向かって同様にリング形状の第2の中空室22を形成する。2つの中空室21、22は、それぞれ流体ガイド23、24に、もっと正確には、第1の中空室21が第1の流体ガイド23に、そして第2の中空室22が第2の流体ガイド24に、接続可能である。しかし、2つの中空室21、22を共通の流体ガイド23又は24に接続することも考えられる。
【0028】
図1には、種々の流れ方向ないし未濾液を装填しフィルタ1から濾液を排出する可能性が示されている。第1の流体流6は、たとえばフィルタ1の径方向外側に位置する周面又は側面12から第1のフィルタ媒体2へ供給することができ、第1のフィルタ媒体2を通過した後にそのクリーン側13において、流れを案内して分離する装置5内で底部分14へ、そしてそこから開口部20を通して運び出すことができる。同時に第2の流体流7が、フィルタ1の内側12’から径方向外側へ向かって第2のフィルタ媒体3へ案内され、第2のフィルタ媒体3を通過した後に、流れを案内して分離する装置5内で底部分14を通る開口部20を通して運び去られ、その限りにおいて他の接続へ供給される。第2の流体流7は、第1のフィルタ媒体2の濾液によって形成することもできるので、フィルタ1のこの駆動方法においては、第1のフィルタ媒体2との第2のフィルタ媒体3は、直列に接続される。
【0029】
第1の流体流6と第2の流体流7の流れを案内し、かつ分離する装置5が、図2に部分的に示されている。装置5は、好ましくは、互いに隣接し、かつフィルタ1の長手軸8に対して平行に延びる個別通路10を有する、波形プレート又はウェブプレートの形式で形成された、プレート形状の肉薄の通路ガイド9からなる。個別通路10は、図示の実施例において、それぞれ実質的に三角形の横断面を有している。個別通路10は、それぞれ形成壁11によって形成されており、その形成壁は個別通路10に対して対向して配置されている。形成壁11は、それが流体流6と7の粒子と担体液を通すことができる意味で、流体透過性である。
【0030】
流れを案内する装置5は、濾過すべき流体流に対して不活性に作用するプラスチック材料又は金属材料から形成することができる。同装置は、フィルタ媒体2、3に関して流体流6、7を別々に収容して運び出すことを可能にする。形成壁11は、平坦な多孔のプレートから形成することができ、個別通路10は、金属薄板又はサーモプラストからなる、波形プロフィール11’に変形されたプレートからなる。表示を簡単にするために、図2においてはこのような穴又はパーフォレーションは省かれている。プレートと成形された波形プロフィールは、材料結合で、あるいは接着によって互いに結合することができる。形成壁11と通路ガイド9又は個別通路10は、図2が明らかにするように、熱可塑性プラスチックから射出成形構成部品として一体的に形成することもできる。フィルタ媒体2、3は、材料結合で、あるいは接着により、あるいは流れを案内し、かつ分離する装置5との狭い許容誤差を有する適切な形状付与によって形状結合と力結合で、同装置と結合される。すなわち、2つのフィルタ媒体2、3と流れを案内し、かつ流体を分離する装置5とからなる取扱い可能なユニットを形成することができる。個別通路10は、波形プロフィール11’による三角形状の横断面付与の代りに、矩形又は方形に形成することもできる。
【0031】
装置5によって、もっと正確にはその波形プロフィール11’によって、第1の機能室25と第2の機能室26が定められ、それらはそれぞれ通路ガイド9ないし個別通路10からなる。分離し、かつ流れを案内する装置5が使用された状態において、形成壁11の間に配置された機能室25、26によって、流れ室4が然るべく分割され、第1の機能室25が第1の中空室21に隣接し、第2の機能室26が第2の中空室22に隣接する。フィルタ1の底側の端部に設けられた開口部20を介して、2つの機能室25、26が他の流体ガイド27に接続可能であって、第1の機能室25と第2の機能室26のために2つの他の流体ガイドを設けることができる。他の流体ガイド27は、ここでは供給部として形成されている流体ガイド23、24から流体密に分離されており、かつ排出部として形成されている。
【0032】
図1に示す実施例における流体流れ方向は、個別通路10内で等しく方向付けされており、それは、第1のフィルタ媒体1と第2のフィルタ媒体2を通過した後に形成された、濾液である。装置5は、図2によれば、それぞれフィルタ媒体2の内側とフィルタ媒体3の外側が隣接する多孔の形成壁11に圧力的に安定したやり方で支持できるようにして、円筒状の流れ空間4内に同心に挿入され、個別通路10を補強する中間壁材料が、その限りにおいて外側から作用する圧力と内側から作用する圧力に全周面で拮抗作用する。このようにして、商取引可能な構成部品としての、特に補強されたフィルタユニットが得られる。
【0033】
図1に示す同心の配置の代わりに、スタックフィルタの主旨で、フィルタ媒体2とフィルタ媒体3をプレート材料として形成する可能性もあって、平坦に形成された流れ空間4がここでも対応づけられた装置5によって充填される。2つだけのフィルタ媒体2、3を有する図示の配置の他に、もちろんさらに、詳しく図示されない他のフィルタ媒体を同心の配置又はスタック形状の配置で同様にフィルタ1にまとめる可能性も存在する。
【0034】
さらに、底部分14内の開口部20を通して2つのフィルタ媒体2、3に同様に未濾液を供給することが、可能である。図示の矢印方向とは逆に、流れ空間4を介してここでも装置5によって互いに分離されて、未濾液流が内側から外側へ向かってフィルタ媒体2へ供給され、あるいはそのようにしてフィルタ媒体3の長手軸8の方向に対して横方向に通過する。同様に、一方のフィルタ媒体2又は3のみへ開口部20を介して未濾液を供給し、それぞれ他方のフィルタ媒体3ないし2へは、説明したように、相変わらず、その後他の関連する開口部20を介して濾液を運び去るために、供給する可能性が存在する。
図1
図2