(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698275
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】蓋体と該蓋体を備えた包装用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 43/16 20060101AFI20150319BHJP
B65D 1/34 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
B65D43/16 101
B65D1/34
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-10017(P2013-10017)
(22)【出願日】2013年1月23日
(65)【公開番号】特開2014-141270(P2014-141270A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2013年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000239138
【氏名又は名称】株式会社エフピコ
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100099128
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(72)【発明者】
【氏名】広末 康弘
【審査官】
会田 博行
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−314982(JP,A)
【文献】
実開平02−131953(JP,U)
【文献】
実公昭45−033048(JP,Y1)
【文献】
特開2013−006601(JP,A)
【文献】
実開平06−039747(JP,U)
【文献】
特開2011−011779(JP,A)
【文献】
意匠登録第1373197(JP,S)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/00
B65D 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板部と前記天板部の外周縁から下方へ向けて連接する側壁部と前記側壁部の下端に連接するフランジ部とを備えた透明な合成樹脂シートを熱成形して得られる蓋体であって、
前記側壁部は、側壁部の下端から上端に亘って同じ深さとされた凹陥部と該凹陥部の下端面を基盤とし凹陥部の底面から外側に突出する縦方向の補強リブとからなる補強構造を適数だけ備えており、前記側壁部における前記補強構造が形成された場所以外の壁面は平坦面とされていることを特徴とする蓋体。
【請求項2】
前記天板部は前記側壁部の上端より上位に位置する天板本体部と該天板本体部の外周縁から垂下する縦壁とで構成され、該縦壁と前記側壁部の上端との間には断続して周回する下向き突起が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の蓋体。
【請求項3】
前記側壁部の下端と前記フランジ部との連接部には断続して周回する下向き突起が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の蓋体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓋体と該蓋体が嵌合する容器本体とで構成される包装用容器。
【請求項5】
請求項4に記載の包装用容器であって、前記蓋体と該蓋体が嵌合する容器本体とは折り返し可能なヒンジ部を介して連接された構成とされていることを特徴とする包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体とその蓋体を備えた包装用容器に関し、特に、透明な合成樹脂シートにより成形される蓋体とこれに嵌合する容器本体とで構成される包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、弁当や惣菜等は、これを衛生的である合成樹脂シート製の包装用容器に入れて運搬や販売等がなされており、そのための包装用容器も多くの種類のものが製造されている。この種の包装用容器は、合成樹脂シート(例えば、ポリエチレンテレフタレートやOPS(延伸ポリスチレンシート)など)を材料として、真空成形または圧空成形などの熱成形によって製造されるものであり、これらのシート厚をより薄くして樹脂の使用量を削減し、容器としてより軽量なものが求められている。
【0003】
一方、蓋体が嵌合された包装用容器は、運搬箱中に収納したり、陳列棚に陳列したりするときに、複数段に積み重ねて使用されることも多く、このような積み重ねられた包装用容器を手に取ろうとした際などに、その一部に応力が集中することから、薄肉なシートを成形した蓋体では、変形が生じやすくなっている。
【0004】
変形が生じるのを回避できるようにした蓋体として、特許文献1には、天面部の周縁全周に上向きに突出するように折り返して形成した突起部を形成するとともに、側壁部の四隅には支持リブを設け、該支持リブの表面と前記突起部の外周面とが略同一面となるようにした蓋体が開示されている。また、前記特許文献1の実施例にかかる蓋体では、前記支持リブを上方から下方に向かい漸次深くなるように凹ませて形成し、該支持リブの底面に縦方向の補強リブを形成すると共に、側壁部の前記支持リブ以外の領域にも多数の縦方向の補強リブを形成するようにしている。このような構成とすることで、肉厚の薄い合成樹脂シートで成形した蓋体であっても、高い強度を確保できると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−73499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、合成樹脂シートを熱成形して得られる蓋体および包装用容器の強度、特に圧縮強度の向上について、多くの実験と研究を継続して行ってきているが、その過程で、特許文献1に記載されるような、上方から下方に向かい漸次深くなるように凹ませて形成した支持リブを側壁部に形成した蓋体、さらに、該支持リブの底面に縦方向の補強リブを形成した蓋体においては、圧縮強度の向上になお改善すべき点があることを知った。さらに、天面部の周縁全周に上向きに突出するように折り返して形成した突起部を形成する構成は、成形が容易でなく、しかも、蓋体天板部が狭くなるとともに、収容した食材などの視認性が低下するという課題を解決できていない。
【0007】
また、側壁部のほとんどに縦方向の補強リブを形成する機能が他の形態として例示されるが、所望の圧縮強度を得ることは可能であっても、この種の包装用容器では蓋体を通して内部に収容した食品等を良好に視認できることが商品価値を高めるのに求められており、側壁部に形成した多くの縦方向の補強リブは視認性を一層低下させる要因となることから、有効な解決策とはならないことも知った。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、きわめて肉薄の合成樹脂シートを熱成形して得られる蓋体であっても、所要の圧縮強度を確保することができ、かつ視認性が阻害されることのない、より改良された蓋体を提供することを課題とする。また、その蓋体を備えることによって、手で持ち上げたときなどに不用意に蓋体に変形が生じるのを効果的に回避できるようにした包装用容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による蓋体は、天板部と前記天板部の外周縁から下方へ向けて連接する側壁部と前記側壁部の下端に連接するフランジ部とを備えた透明な合成樹脂シートを熱成形して得られる蓋体であって、前記側壁部は、側壁部の下端から上端に亘って同じ深さとされた凹陥部と該凹陥部の下端面を基盤とし凹陥部の底面から外側に膨出する縦方向の補強リブとからなる補強構造を適数だけ備えており、前記側壁部における前記補強構造が形成された場所以外の壁面は平坦面とされていることを特徴とする。
【0010】
本発明による蓋体は、側壁部に、側壁部の下端から上端に亘って同じ深さとされた凹陥部と該凹陥部の下端面を基盤とし凹陥部の底面から外側に突出する縦方向の補強リブとからなる補強構造を適数だけ備えている。この補強構造は、凹陥部の下端面を基盤として立ち上がる凹陥部の底面から外側に突出する縦方向の補強リブが、同じ深さとされた凹陥部内に柱構造として存在することとなり、例えば特許文献1に記載されるような形状の補強構造、すなわち、上方から下方に向かい漸次深くなるように凹ませて形成した支持リブを側壁部に形成した補強構造、さらには、その支持リブの底面に縦方向の補強リブを形成した補強構造と比較して、より高い圧縮耐性を持つ。そのために、蓋体をより薄い肉厚の合成樹脂シートを用いて成形しても、蓋体に所要の強度(圧縮強度)を持たせることが可能となり、蓋体の軽量化が可能となり、製造コストも低く抑えることができる。結果として、本発明による蓋体を備えた包装用容器では、摘んで持ち上げようにして蓋体の一部に指先からの集中応力が作用するような場合でも、蓋体が不用意に変形するのを確実に回避できるようになり、省資源化され、かつ商品価値の高い包装用容器が得られる。
【0011】
さらに、本発明による蓋体では、前記側壁部における前記補強構造が形成された場所以外の壁面は平坦面とされているので、蓋体を通しての内部の視認性は極めて良好なものとなり、その点からも、包装用容器としての高い商品価値を維持することができる。
【0012】
本発明による蓋体の一態様では、前記天板部は前記側壁部の上端より上位に位置する天板本体部と該天板本体部の外周縁から垂下する縦壁とで構成され、該縦壁と前記側壁部の上端との間には断続して周回する下向き突起が形成されていることを特徴とする。
【0013】
この態様では、前記縦壁および下向き突起を有することで、より高い圧縮強度が得られると共に、天板部と側壁部の連接部近傍での周方向および水平方向の変形をより確実に抑制できるようになる。また、前記縦壁によって側壁部上端と天板本体部との間に段差が形成されるので、この段差を利用して包装用容器を段積みしたときの安定性を確保できるようになる。
【0014】
本発明による蓋体の他の態様では、前記側壁部の下端と前記フランジ部との連接部には断続して周回する下向き突起が形成されていることを特徴とする。この態様では、より高い圧縮強度が得られると共に、蓋体のフランジ部が荷重により容器外側方向へ広がって変形するのを抑制できるようになる。
【0015】
本発明は、さらに、上記したいずれかの形態の蓋体と該蓋体が嵌合する容器本体とで構成される包装用容器をも開示する。この包装用容器では、蓋体が容易に変形しない圧縮強度を備えるとともに、蓋体を通しての内容物の視認性も十分に確保されているので、商品価値の高い包装用容器となる。
【0016】
本発明による包装用容器において、蓋体と容器本体は別体になっていてもよく、折り返し可能なヒンジ部を介して連接された構成、いわゆるフードパックと呼ばれる構成であってもよい。いずれの場合も、蓋体はその側壁部下端の周縁部に容器本体に対する嵌合部を持つことは好ましく、それにより、蓋をしたときの密封性をより確実に確保することができる。さらに、容器本体の底面に前記した蓋体の段差部が入り込むことのできる凹部が形成されていることは好ましく、これにより、包装用容器を段積みしたときの高い安定性を確保できるようになる。
【0017】
本発明による蓋体および容器本体は、合成樹脂シート(例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂やポリスチレンなどのスチレン系樹脂、さらにはポリプロピレンなどのオレフィン樹脂など)や、これらの1軸もしくは2軸に延伸した延伸シートを材料として、真空成形、圧空成形、両面真空成形、熱板成形などの熱成形によって製造される。その際に、蓋体には、これらのシートのなかでも透明なシートが使用される。それにより、容器本体内に収容した食材のおいしさや新鮮さなどを明確に視認できるようになる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、きわめて肉薄の合成樹脂シートを熱成形した得られる蓋体であっても、高い圧縮強度を確保しながら、内容物の視認性が阻害されることのない蓋体とすることができる。また、その蓋体を備えることにより、手で持ち上げたときなどに不用意に蓋体に変形が生じることのない、省資源化ができるとともに、高い商品価値を備えた包装用容器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明による蓋体を備えた包装用容器の全体を示す斜視図。
【
図2】
図2(a)は
図1に示す包装用容器の1つの角部を拡大して示す斜視図、
図2(b)は側壁部に形成した補強構造を詳細に示す斜視図。
【
図3】
図3(a)は
図1に示す包装用容器の長手方向の側面から見た側面図、
図3(b)は
図3(a)のa−a線に沿う断面図。
【
図4】
図4(a)は
図1および
図3(a)のb−b線に沿う断面図、
図4(b)は
図4(a)に示す包装用容器を蓋体が開いた状態で示す側面図。
【
図5】
図1に示す包装用容器を蓋体を開いた状態で示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施の形態に基づき説明する。本発明による包装用容器Aは蓋体Bと該蓋体Bが嵌合する容器本体Cとで構成される。なお、図示の実施の形態では、蓋体Bと容器本体Cとは、後に説明するように、折り返し可能なヒンジ部Dを介して連接された構成とされているが、蓋体Bと容器本体Cとは別体として構成されていても差し支えない。
【0021】
また、以下の説明において、「上」および「下」の語は、
図3(a)に示すように容器本体Cに蓋体Bを嵌合した状態で包装用容器Aを水平面上に置いたときの姿勢を基準として用いており、「内」および「外」の語は、包装用容器Aで囲まれる空間側を「内」、包装用容器Aの外側空間を「外」として用いている。
【0022】
[蓋体B]
最初に蓋体Bを説明する。蓋体Bは、合成樹脂シートを熱成形して作られる。図示のものでは、蓋体Bは、全体として平面視で長方形をなしており、平面視で長方形である天板部10と、前記天板部10の外周縁から下方へ向けて連接する側壁部20と、前記側壁部20の下端に連接するフランジ部30とを備えている。なお、蓋体Bの平面視での形状は任意であってよく、正方形、長円形、円形などであってもよい。
【0023】
この例において、天板部10は、天板本体部11と該天板本体部11の外周縁から垂下する縦壁12とで構成されており、該縦壁12の下端と側壁部20の上端とは、断続して周回する下向き突起13(
図4等参照)を介して繋がっている。縦壁12の上端は側壁部20の上端よりも上方に延出していて、前記天板本体部11を側壁部20の上端よりも上位に位置させている。それにより、側壁部20の上端と天板本体部11との間には縦壁12による段差部が形成される。なお、前記縦壁12は必須の構成ではなく、省略してもよい。その場合には、天板部10の外周縁と側壁部20の上端とが直接に連接する構成となる。
【0024】
図示のものにおいて、天板本体部11は透明かつ平坦面であり、そこを通して内部が視認しやすくなっている。縦壁12も全体としては透明かつ平坦面であるが、一部に、内側に凹となる縦リブ14が形成されている。
【0025】
前記側壁部20は、前記天板部10の外周縁、図示のものでは前記下向き突起13の外側壁の上端縁から下方へ向けて延設しており、側壁部20の下端に前記フランジ部30が連接している。側壁部20は垂直な壁部であってもよく、図示のもののように、一定の傾斜角度で下方に向けて次第に拡開するとともに、上方領域では傾斜角度が次第に水平に近くなるような形状の側壁部であってもよい。全体が単に一定の傾斜角度で下方に向けて拡開する形状であってもよい。そして、側壁部20には、以下に説明する補強構造21が適数だけ形成されている。
【0026】
前記補強構造21は、
図2(b)の斜視図および
図3(b)の断面図に詳細に示すように、側壁部20の下端から上端に亘って内側に向けて同じ深さsとされた断面が平坦な形状である凹陥部22と、該凹陥部22の下端面25を基盤とし凹陥部22の底面23に沿いかつ凹陥部22の両側面と平行に縦方向に立ち上がる、該底面23から外側に向けて突出する縦方向の適数本の補強リブ24とで構成される。好ましくは、補強リブ24の前記凹陥部22の底面23からの高さは、その頂部と側壁部20とが面一となるように設定される。なお、補強構造21を形成する場所や個数、さらには、凹陥部22の深さs(すなわち下端面25の奥行き)や、凹陥部22の底面23に形成する縦方向の補強リブ24の高さや本数などは、製作する蓋体の大きさに応じて適宜設定することができる。
【0027】
本発明による蓋体Bでは、上記のように、深さがsである凹陥部22内に凹陥部22の下端面25を基盤として立ち上がる補強リブ24を備えた補強構造を側壁部20に適数だけ備えており、そこにおいて、前記補強リブ24は凹陥部22内において縦方向の柱状の構造物として機能することから、蓋体Bの上下方向の力(圧縮)に対して高い強度を備えることができる。
【0028】
なお、図示の例においては、2種類の補強構造21a,21bが示される。1つは、4つの側壁部20の両端部に近い位置に形成されたものであり、奥行き(深さ)sであり横幅の広い凹陥部22aと、該凹陥部22aの深さsである両側壁と平行に形成された縦方向の2本の補強リブ24とで構成される第1形態の補強構造21aであり、もう一つは、前記2つの第1形態の補強構造21aの間に形成されており、同様に奥行き(深さ)sであり、比較してより幅の狭い凹陥部22bと、凹陥部22bの深さsである両側壁に平行に形成された縦方向の1本の補強リブ24とで構成される第2形態の補強構造21bである。
【0029】
図示の例では、長手方向の側壁部20には2個の第2形態の補強構造21bが形成されており、短手方向の側壁部20には1個の第2形態の補強構造21bが形成されている。また、図示のものでは、側壁部20の4つの角部にも、前記した第1形態の補強構造21aがそれぞれ形成されている。
【0030】
なお、補強リブ24の断面は、半円形であることが強度的な観点から好ましいが、長円形、矩形、三角形などであってもよい。また、図示のものでは、補強リブ24はすべて凹陥部22の下端面25から上端部に亘るようにして形成されているが、所要の強度が確保されることを条件に、上端には達しないような長さの補強リブ24としてもよい。なお、各凹陥部22の奥行き(深さ)sはすべて同じであってもよく、異なった奥行き(深さ)sの凹陥部が含まれていてもよい。
【0031】
次に、前記側壁部20の全周に亘ってその下端に連接するフランジ部30について説明する。フランジ部30は、
図3(a)および
図4(a)に示すように、後に説明する容器本体Cの開口との間に嵌合構造が確立するための、上(すなわち天板部10側)に凸となった嵌合溝31と、嵌合溝31の外側を構成する外側壁33と、外側壁33の下端から水平方向に広がる水平フランジ34を備えており、前記外側壁33は側壁部20の下端よりもさらに下方にまで延出している。前記側壁部20の下端と前記嵌合溝31との連接部には断続して周回する下向き突起32が形成されており、さらに、前記外側壁33の下端近傍には、水平方向内向きに突出する嵌合用突起35(
図4参照)が形成されている。
【0032】
必須ではないが、前記水平フランジ34には、そのほぼ全域にわたって、熱成形による細かな凹凸加工やエンボス加工36が施されており、エンボス加工36を施すことによって、水平フランジ34は、側面視にて波形(正弦波、三角波、台形波等)の外縁線、すなわち、直線ではない外縁線を備えるようになる。それにより、水平フランジ34の外周縁のエッジの鋭利さが解消されるため、蓋体Bを取り扱うときに、指先を保護することができる。また、補強効果ももたらされる。さらに、図示のものでは、外側壁33の角部近傍には、縦方向の補強リブ37が適数形成されている。
【0033】
[容器本体C]
次に、容器本体Cを説明する。容器本体Cは、好ましくは、蓋体Bと同種の透明な合成樹脂シートで熱成形されてもよく、その他の合成樹脂シートやその発泡したシートを用いてもよい。容器本体Cは、底板41とその周囲から立ち上がる4周の周側壁42を有しており、底板41と周側壁42には、適宜の補強リブ43が形成されている。周側壁42の上縁には、上記した蓋体Bに形成した嵌合溝31内に嵌入することのできる突状部44が全周に形成されており、
図4(b)に示すように、該突状部44の外側壁45の下端には水平フランジ46が形成されている。
【0034】
また、前記外側壁45の上端近傍には、水平方向外向きに突出する嵌合用突起47(
図4(b)参照)が形成されており、蓋を閉めるときに、蓋体Bに形成した前記嵌合用突起35が容器本体Cに形成した前記嵌合用突起47を乗り越えて互いに係合することで、蓋体Bは容器本体Cに対して外嵌合した状態となる。
【0035】
また、
図2、
図3(a)に示すように、容器本体Cの水平フランジ46の角部48は下方に向けてわずかに傾斜しており、それにより、蓋をしたときに、蓋体Bに形成した水平フランジ34との間に隙間が形成される。その隙間を利用することで、蓋体Bと容器本体Cとの開閉を容易に行うことができる。さらに容器本体Cの水平フランジ46にも、そのほぼ全域にわたって、蓋体Bの水平フランジ34に形成したと同様の細かな凹凸加工やエンボス加工49が施されている。それにより、容器本体Cを取り扱うときに、指先が保護されると同時に、水平フランジ34に補強効果を与えている。
【0036】
また、図には示されないが、容器本体Cの底板41には、蓋体Bの天板本体部11から垂下する縦壁12によって形成される段差部が入り込むことのできる凹部が形成されている。
【0037】
[包装用容器A−全体形状]
基本的に、包装用容器Aは、上記した形状の蓋体Bと容器本体Cとで構成され、容器本体C内に食品等を収容した後に、蓋体Bを容器本体Cと嵌合した状態とすることで、内容物はほぼ密封された状態で、包装用容器A内に収容される。本発明による包装用容器Aでは、特に、蓋体Bの側壁部20に前記した適数個の補強構造21、すなわち、側壁部20の下端から上端に亘って同じ深さsとされた凹陥部22と、該凹陥部22の下端面25を基盤とし凹陥部22の底面23から外側に突出するようにして形成された縦方向の補強リブ24、とからなる補強構造21を適数だけ形成したことで、蓋体Bの上下方向の圧縮に対する強度を向上することができ、多段に積み重ねた包装用容器Aから一つの包装用容器Aを指で掴んで取り出そうとするときに、蓋体Bに不用意な変形が生じるのを回避することができる。それにより、包装用容器Aは商品価値の高いものとなる。
【0038】
また、蓋体Bの天板部10および側壁部20は、上記した補強構造21が形成されている箇所を除いて、すべて透明な平坦面とされており、高い透過性が確保される。そのために、収容した食品等を外から十分に視認することが可能となり、この点からも、包装用容器Aは商品価値の高いものとなる。
【0039】
さらに、容器本体Cの底板41に形成された凹部内に、蓋体Bの前記した段差部が入り込むことで、多段に包装用容器Aを段積みしたときの姿勢を安定なものとすることができる。
【0040】
[包装用容器A−ヒンジ部Dを備える形態]
図4に示すように、図示した形態の包装用容器Aでは、蓋体Bと容器本体Cとは、折り返し可能なヒンジ部Dを介して連接されている。すなわち、蓋体Bの水平フランジ34における長辺側の一方の外側縁34aと容器本体Cの水平フランジ46における長辺側の一方の外側縁46aとが、折り返し可能なヒンジ部Dを介して連接されており、いわゆるフードパックと呼ばれる構成とされている。
【0041】
また、
図4および
図5に蓋体Bを開いた姿勢で示すように、図示の包装用容器Aでは、容器本体Cの前記突状部44のうち、ヒンジ部D側の長辺部とその両角部近傍において、突状部44は他の領域よりも高さが高くされた領域44aとされており、蓋体Bの嵌合溝31における前記高さが高くされた領域44aが嵌入する部分は、深さがより深くされた領域31aとされている。そして、該高さが高くされた領域44aのうち、角部を除いた領域では、その横幅が他の領域よりも少し狭くされている。この形態とすることで、ヒンジ部D近傍での容器本体Cと蓋体Bとの嵌合操作を容易かつ確実に行えるようにすると共に、ヒンジ部D近傍での高い強度も確保している。
【0042】
[他の構成]
図において、50は蓋体Bの側壁部20の下端近傍に形成された突起物である。このような突起物50は側壁部20の下端近傍に位置をずらして適数だけ形成される。このような突起物50を形成しておくことにより、
図4(b)に示すように開いた状態で、包装用容器Aを多段に積み上げるときに、包装用容器A同士が密着してしまうのを阻止することができる。それにより、積層物から1枚の包装用容器Aを取り出す作業が容易かつ確実となる。
【符号の説明】
【0043】
A…包装用容器、
B…蓋体、
C…容器本体、
D…折り返し可能なヒンジ部、
10…天板部、
11…天板本体部、
12…縦壁、
13…縦壁の下端と側壁部の上端との連接部に形成した下向き突起、
20…側壁部、
21(21a,22b)…補強構造、
22…側壁部の下端から上端に亘って形成された凹陥部、
23…凹陥部の底面、
24…縦方向の補強リブ、
25…凹陥部の下端面、
30…フランジ部、
31…天板部側に凸となった嵌合溝、
32…側壁部の下端と嵌合溝との連接部に形成した下向き突起、
33…嵌合溝の外側壁、
34…水平フランジ、
35…蓋体に形成した嵌合用突起、
36…細かな凹凸加工やエンボス加工、
41…容器本体の底板、
42…周側壁、
44…蓋体に形成された嵌合溝内に嵌入する突状部、
45…突状部の外側壁、
46…水平フランジ、
47…容器本体に形成した嵌合用突起、
48…水平フランジの角部、
49…細かな凹凸加工やエンボス加工。