特許第5698291号(P5698291)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5698291-車両用灯具 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698291
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/10 20060101AFI20150319BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20150319BHJP
【FI】
   F21S8/10 180
   F21S8/10 380
   F21Y101:02
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-60932(P2013-60932)
(22)【出願日】2013年3月22日
(65)【公開番号】特開2014-186863(P2014-186863A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2014年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 靖
(72)【発明者】
【氏名】則竹 裕司
【審査官】 杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−233250(JP,A)
【文献】 特開2009−152044(JP,A)
【文献】 特開2010−170891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10
F21Y 101/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1投影レンズを有する第1灯具ユニットと、
第2投影レンズを有し、前記第1灯具ユニットと略水平方向に並び、前記第1投影レンズよりも前記第2投影レンズが灯具後方側に位置するように配置された第2灯具ユニットと、
前記第1灯具ユニットの第2灯具ユニット側の側面における、前記第1投影レンズと前記第2投影レンズとの間の領域に設けられ、灯具外部から進入する光を反射するリフレックスリフレクタと、
を備えることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
第3投影レンズを有し、前記第2灯具ユニットと水平方向に並び、前記第2投影レンズよりも前記第3投影レンズが灯具後方側に位置するように配置された第3灯具ユニットと、
前記第1灯具ユニットの前記側面に設けられる前記リフレックスリフレクタを第1リフレックスリフレクタと呼ぶとき、前記第2灯具ユニットの第3灯具ユニット側の側面における、前記第2投影レンズと前記第3投影レンズとの間の領域に設けられる第2リフレックスリフレクタと、をさらに備える請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第1灯具ユニットは、前記第2灯具ユニット側の側面を構成する第1エクステンション部材を有し、
前記第2灯具ユニットは、前記第3灯具ユニット側の側面を構成する第2エクステンション部材を有し、
前記第1リフレックスリフレクタは、前記第1エクステンション部材に設けられ、
前記第2リフレックスリフレクタは、前記第2エクステンション部材に設けられる請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記第1エクステンション部材と前記第2エクステンション部材とは、一体成形されたものである請求項3に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関し、特に自動車などの車両に用いられる車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、灯具外部から進入する光を灯具外部に向けて反射するリフレックスリフレクタを、ランプボディ(ハウジング)の内面や、投光カバー(アウターレンズ)に設けた車両用灯具が開示されている。例えばリフレックスリフレクタは、自車両の側方から照射された光を当該側方に向けて反射する。これにより、自車両の存在を側方に位置する他車両等に認識させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−213710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リフレックスリフレクタを投光カバーに設けた場合、リフレックスリフレクタが車両用灯具の光照射を妨げるおそれがあった。また、リフレックスリフレクタをランプボディに設ける場合、リフレックスリフレクタの反射面を反射しようとする光の入射方向に向けるために、例えばランプボディの側壁を灯具前方に延長し、当該延長部分にリフレックスリフレクタを設ける等の工夫を施す必要があった。そのため、車両用灯具の大型化を招くおそれがあった。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、リフレックスリフレクタを設けることによる車両用灯具の光照射機能の低下と大型化とを抑制するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は車両用灯具である。当該車両用灯具は、第1投影レンズを有する第1灯具ユニットと、第2投影レンズを有し、前記第1灯具ユニットと略水平方向に並び、前記第1投影レンズよりも前記第2投影レンズが灯具後方側に位置するように配置された第2灯具ユニットと、前記第1灯具ユニットの第2灯具ユニット側の側面における、前記第1投影レンズと前記第2投影レンズとの間の領域に設けられ、灯具外部から進入する光を反射するリフレックスリフレクタと、を備えることを特徴とする。
【0007】
この態様によれば、リフレックスリフレクタを設けることによる車両用灯具の光照射機能の低下と大型化とを抑制することができる。
【0008】
上記態様において、第3投影レンズを有し、前記第2灯具ユニットと水平方向に並び、前記第2投影レンズよりも前記第3投影レンズが灯具後方側に位置するように配置された第3灯具ユニットと、前記第1灯具ユニットの前記側面に設けられる前記リフレックスリフレクタを第1リフレックスリフレクタと呼ぶとき、前記第2灯具ユニットの第3灯具ユニット側の側面における、前記第2投影レンズと前記第3投影レンズとの間の領域に設けられる第2リフレックスリフレクタと、をさらに備えてもよい。これによれば、他車両等に対して自車両の存在をより認識させやすくすることができる。また、前記第1灯具ユニットは、前記第2灯具ユニット側の側面を構成する第1エクステンション部材を有し、前記第2灯具ユニットは、前記第3灯具ユニット側の側面を構成する第2エクステンション部材を有し、前記第1リフレックスリフレクタは、前記第1エクステンション部材に設けられ、前記第2リフレックスリフレクタは、前記第2エクステンション部材に設けられてもよい。これによれば、簡単にリフレックスリフレクタを固定することができる。また、前記第1エクステンション部材と前記第2エクステンション部材とは、一体成形されたものであってもよい。これによれば、車両用灯具の部品点数を減らして、車両用灯具の組み立て工程の簡略化を図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、リフレックスリフレクタを設けることによる車両用灯具の光照射機能の低下と大型化とを抑制するための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係る車両用灯具の概略構造を示す水平断面図である。
図2】変形例に係る車両用灯具の概略構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0012】
図1は、実施の形態に係る車両用灯具の概略構造を示す水平断面図である。本実施の形態に係る車両用灯具1は、車両前方の左右に配置される一対の前照灯ユニットを有する車両用前照灯装置である。一対の前照灯ユニットは左右対称の構造を有する点以外は実質的に同一の構成であるため、図1には車両用灯具1として一方の前照灯ユニットの構造を示す。
【0013】
車両用灯具1は、車両前方側に開口部を有するランプボディ2と、ランプボディ2の開口部を覆うように取り付けられた透光カバー4とを備える。透光カバー4は、透光性を有する樹脂やガラス等で形成されている。ランプボディ2と透光カバー4とにより形成される灯室3内には、第1灯具ユニット20、第2灯具ユニット40、第3灯具ユニット60、第1リフレックスリフレクタ80(第1灯具ユニット20の側面に設けられるリフレックスリフレクタ)、第2リフレックスリフレクタ82及び第3リフレックスリフレクタ84が収容されている。
【0014】
灯室3内において、第1灯具ユニット20、第2灯具ユニット40及び第3灯具ユニット60はそれぞれ、ブラケット6により支持されている。本実施の形態では、第1灯具ユニット20〜第3灯具ユニット60は、共通のブラケット6により支持されている。ブラケット6は、階段状に折り曲げられた板部材である。ブラケット6は、一端(図1の左側)よりも他端(図1の右側)が灯具後方に位置している。ブラケット6は、その主表面が灯具前後方向を向くように配置されている。ブラケット6の周縁部には螺孔が設けられており、ランプボディ2の壁面から灯具前方側に突出するエイミングスクリュー8がこの螺孔に螺合している。車両用灯具1は、エイミングスクリュー8により、第1灯具ユニット20〜第3灯具ユニット60の光軸を上下左右に調整可能である。なお、第1灯具ユニット20〜第3灯具ユニット60の支持構造は特にこれに限定されない。
【0015】
第1灯具ユニット20は、反射型の灯具ユニットであり、第1光源搭載部22と、第1光源24と、第1リフレクタ26と、第1シェード部材28と、第1投影レンズ30と、第1エクステンション部材32とを有する。第1光源搭載部22は、階段状のブラケット6の任意の一段(本実施の形態では最前段)の灯具前方側面から灯具前方に突出しており、その上面に第1光源24が搭載されている。本実施の形態では、第1光源搭載部22とブラケット6とは一体成形されている。ブラケット6における第1光源搭載部22の背面側には放熱フィン92が設けられている。第1光源24は、例えば白色発光ダイオード(白色LED)であり、発光素子と、これを支持する基板とを有する。基板は、セラミックなどで形成された熱伝導性絶縁基板である。基板には、発光素子に電力を伝達する電極(図示せず)が形成されている。
【0016】
第1リフレクタ26は、略ドーム状であり、第1光源24を覆うようにして第1光源搭載部22に固定されている。第1リフレクタ26は、反射面が内側に形成されている。反射面は、回転楕円面の一部で構成された反射面であり、焦点F1aと、焦点F1aよりも灯具前方側に位置する焦点F1bとを有する。第1シェード部材28は、略水平に配置された平面部28aと、平面部28aよりも灯具前方で下方に凹状に湾曲した湾曲部28bとを有する。第1リフレクタ26は、反射面の焦点F1aが第1光源24の近傍に位置し、焦点F1bが第1シェード部材28の平面部28aと湾曲部28bとが為す稜線28cの近傍に位置するように配置されている。
【0017】
第1投影レンズ30は、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸レンズで構成されている。第1投影レンズ30は、その後方焦点を含む後方焦点面上に形成される光源像を、反転像として灯具前方の仮想鉛直スクリーン上に投影する。第1投影レンズ30は、後方焦点が焦点F1bと重なるように配置され、第1シェード部材28の先端に固定されている。第1灯具ユニット20は、ロービーム用配光パターンを形成するための灯具ユニットである。第1シェード部材28の稜線28cは、第1灯具ユニット20により形成される配光パターンが有するカットオフラインに対応した形状を有する。第1光源24から照射された光は、反射面により焦点F1bに向けて反射され、その一部が第1シェード部材28により選択的にカットされて、残りが第1投影レンズ30に入射する。第1投影レンズ30に入射した光は、第1投影レンズ30から灯具前方に照射される。
【0018】
第2灯具ユニット40は、反射型の灯具ユニットであり、第2光源搭載部42と、第2光源44と、第2リフレクタ46と、第2シェード部材48と、第2投影レンズ50と、第2エクステンション部材52とを有する。第2光源搭載部42は、ブラケット6の第1光源搭載部22が設けられた段の隣であって灯具後方側に位置する段(本実施の形態では中央段)の灯具前方側面から灯具前方に突出しており、その上面に第2光源44が搭載されている。ブラケット6における第2光源搭載部42の背面側には放熱フィン92が設けられている。本実施の形態では、第2光源搭載部42とブラケット6とは一体成形されている。第2光源44は、第1光源24と同様の構成を備える。
【0019】
第2リフレクタ46、第2シェード部材48及び第2投影レンズ50は、第1リフレクタ26、第1シェード部材28及び第1投影レンズ30と同様の構造を有し、同様の位置関係で配置されている。第2灯具ユニット40は、ロービーム用配光パターンを形成するための灯具ユニットである。第2光源44から照射された光は、第2リフレクタ46の反射面により反射され、その一部が第2シェード部材48により選択的にカットされて、残りが第2投影レンズ50に入射する。第2投影レンズ50に入射した光は、第2投影レンズ50から灯具前方に照射される。
【0020】
第3灯具ユニット60は、反射型の灯具ユニットであり、第3光源搭載部62と、第3光源64と、第3リフレクタ66と、第3シェード部材68と、第3投影レンズ70と、第3エクステンション部材72とを有する。第3光源搭載部62は、ブラケット6の第2光源搭載部42が設けられた段の隣であって灯具後方側に位置する段(本実施の形態では最後段)の灯具前方側面から灯具前方に突出しており、その上面に第3光源64が搭載されている。ブラケット6における第3光源搭載部62の背面側には放熱フィン92が設けられている。本実施の形態では、第3光源搭載部62とブラケット6とは一体成形されている。第3光源64は、第1光源24と同様の構成を備える。
【0021】
第3リフレクタ66、第3シェード部材68及び第3投影レンズ70は、第1リフレクタ26、第1シェード部材28及び第1投影レンズ30と同様の構造を有し、同様の位置関係で配置されている。第3灯具ユニット60は、ロービーム用配光パターンを形成するための灯具ユニットである。第3光源64から照射された光は、第3リフレクタ66の反射面により反射され、その一部が第3シェード部材68により選択的にカットされて、残りが第3投影レンズ70に入射する。第3投影レンズ70に入射した光は、第3投影レンズ70から灯具前方に照射される。
【0022】
第2灯具ユニット40は、第1灯具ユニット20と略水平方向に並び、灯具上方から見て第1投影レンズ30よりも第2投影レンズ50が灯具後方側に位置するように配置されている。また、第3灯具ユニット60は、第2灯具ユニット40と水平方向に並び、灯具上方から見て第2投影レンズ50よりも第3投影レンズ70が灯具後方側に位置するように配置されている。
【0023】
第1灯具ユニット20の第1エクステンション部材32は、ブラケット6に固定されて、第1灯具ユニット20における第2灯具ユニット40側の側方であって、灯具前後方向における第1投影レンズ30と第2投影レンズ50との間の領域を覆っている。したがって、第1エクステンション部材32は、第2灯具ユニット40側の第1灯具ユニット20の側面を構成する。なお、第1エクステンション部材32は、第1灯具ユニット20の上面や、第2灯具ユニット40とは反対側の側方等の他の領域をも覆っていてもよい。
【0024】
第2灯具ユニット40の第2エクステンション部材52は、ブラケット6に固定されて、第2灯具ユニット40における第3灯具ユニット60側の側方であって、灯具前後方向における第2投影レンズ50と第3投影レンズ70との間の領域を覆っている。したがって、第2エクステンション部材52は、第3灯具ユニット60側の第2灯具ユニット40の側面を構成する。なお、第2エクステンション部材52は、第2灯具ユニット40の上面等の他の領域をも覆っていてもよい。
【0025】
第3灯具ユニット60の第3エクステンション部材72は、ブラケット6に固定されて、第3灯具ユニット60における第2灯具ユニット40とは反対側の側方であって、第3投影レンズ70よりも灯具後方の領域を覆っている。したがって、第3エクステンション部材72は、第3灯具ユニット60の側面を構成する。なお、第3エクステンション部材72は、第3灯具ユニット60の上面等の他の領域をも覆っていてもよい。
【0026】
第1リフレックスリフレクタ80、第2リフレックスリフレクタ82及び第3リフレックスリフレクタ84は、透光カバー4を介して灯具外部から進入する光を入射方向に向けて反射する再帰反射面で構成されている。本実施の形態では、各リフレックスリフレクタは車体側方から入射する光を反射する。第1リフレックスリフレクタ80は、第1灯具ユニット20の第2灯具ユニット40側の側面における、第1投影レンズ30と第2投影レンズ50との間の領域に設けられている。第1リフレックスリフレクタ80が設けられる領域は、灯具前後方向における第1投影レンズ30と第2投影レンズ50との間の領域である。本実施の形態では、第1リフレックスリフレクタ80は、第1エクステンション部材32に設けられている。
【0027】
第2リフレックスリフレクタ82は、第2灯具ユニット40の第3灯具ユニット60側の側面における、第2投影レンズ50と第3投影レンズ70との間の領域に設けられている。第2リフレックスリフレクタ82が設けられる領域は、灯具前後方向における第2投影レンズ50と第3投影レンズ70との間の領域である。本実施の形態では、第2リフレックスリフレクタ82は、第2エクステンション部材52に設けられている。第3エクステンション部材72は、第3灯具ユニット60の第2灯具ユニット40とは反対側の側面における、第3投影レンズ70よりも灯具後方側の領域に設けられている。本実施の形態では、第3エクステンション部材72は、第3リフレックスリフレクタ84に設けられている。
【0028】
このように、本実施の形態では、複数の灯具ユニットを灯具前後方向に段差をもたせて配置し、この段差により生み出される灯具側方側を向く面にリフレックスリフレクタを配置している。これにより、各投影レンズから照射される光の灯具前方への進行がリフレックスリフレクタにより妨げられることを回避することができる。また、リフレックスリフレクタを設けるための領域をランプボディ2に設ける必要がないため、車両用灯具の大型化を回避することができる。また、複数箇所にリフレックスリフレクタを配置しているため、リフレックスリフレクタの総面積を増大させることができ、他車両等に対して自車両の存在をより認識させやすくすることができる。また、車両用灯具1の意匠を斬新なものとすることができる。また、エクステンション部材にリフレックスリフレクタを設けているため、簡単にリフレックスリフレクタを固定することができる。
【0029】
第1灯具ユニット20〜第3灯具ユニット60が形成するロービーム用配光パターンの形状は公知であるため、その詳細な説明は省略する。なお、第1灯具ユニット20〜第3灯具ユニット60のそれぞれが、互いに異なる配光パターンであって、ロービーム用配光パターンの一部を構成する部分配光パターンを形成し、これらの部分配光パターンが合成されてロービーム用配光パターンが形成されてもよい。各灯具ユニットが形成する部分配光パターンの形状の違いは、各灯具ユニットのリフレクタの反射面や、シェード部材の稜線、投影レンズ等の形状を調整することで実現することができ、その方法は公知であるため詳細な説明は省略する。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態に係る車両用灯具1では、第2灯具ユニット40が第1灯具ユニット20と略水平方向に並び、第1投影レンズ30よりも第2投影レンズ50が灯具後方側に位置するように配置されている。そして、第1リフレックスリフレクタ80が、第1灯具ユニット20の第2灯具ユニット40側の側面における、第1投影レンズ30と第2投影レンズ50との間の領域に設けられている。これにより、各灯具ユニットから照射される光の進行をリフレックスリフレクタが妨げることを回避できる。また、リフレックスリフレクタが車両用灯具の小型化の妨げとなることを回避できる。よって、リフレックスリフレクタを設けたことによる車両用灯具の光照射機能の低下と大型化とを抑制することができる。また、車両用灯具の見栄えを斬新なものとすることができ、車両用灯具の意匠性を高めることができる。
【0031】
第1灯具ユニット20〜第3灯具ユニット60は、いわゆるプロジェクタ光学系である。そのため、いわゆるパラボラ光学系に比べて光利用率を高めることができる。これにより、第1灯具ユニット20〜第3灯具ユニット60を、灯具正面から見て細長い形状にし易くすることができる。
【0032】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることが可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれる。上述した実施の形態に変形が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態及び変形それぞれの効果をあわせもつ。
【0033】
(変形例)
変形例に係る車両用灯具1は、各灯具ユニットの形状が異なる点と第1エクステンション部材32〜第3エクステンション部材72が一体成形されている点を除き、実施の形態に係る車両用灯具1と同様の構成を備える。以下、実施の形態と異なる点を中心に、本変形例に係る車両用灯具について説明する。なお、実施の形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明及び図示は省略する。
【0034】
図2は、変形例に係る車両用灯具の概略構造を示す斜視図である。なお図2では、ランプボディ2及び透光カバー4の図示を省略している。変形例に係る車両用灯具1において、第1灯具ユニット20〜第3灯具ユニット60はそれぞれ、第1灯具サブユニット20a,40a,60a、第2灯具サブユニット20b,40b,60b及び第3灯具サブユニット20c,40c,60cを有する。第1灯具サブユニット20a,40a,60a、第2灯具サブユニット20b,40b,60bはそれぞれ反射型の灯具ユニットであり、上述した実施の形態の第1灯具ユニット20と同様の構成を有する。第3灯具サブユニット20cは、例えば直射型の灯具ユニットであり、光源搭載部、光源、レンズホルダ部、投影レンズを有する。直射型の灯具ユニットの構造は公知であるため、その詳細な説明は省略する。
【0035】
第1エクステンション部材32は、第1灯具サブユニット20a、第2灯具サブユニット20b及び第3灯具サブユニット20cの各投影レンズの存在領域に開口部を有し、第1灯具ユニット20の周囲を覆っている。第2エクステンション部材52は、第1灯具サブユニット40a、第2灯具サブユニット40b及び第3灯具サブユニット40cの各投影レンズの存在領域に開口部を有し、第2灯具ユニット40の周囲を覆っている。第3エクステンション部材72は、第1灯具サブユニット60a、第2灯具サブユニット60b及び第3灯具サブユニット60cの各投影レンズの存在領域に開口部を有し、第3灯具ユニット60の周囲を覆っている。本変形例では、第1エクステンション部材32と第2エクステンション部材52と第3エクステンション部材72とは、一体成形されている。これにより、車両用灯具1の部品点数を減らして、車両用灯具1の組み立て工程の簡略化を図ることができる。
【0036】
第1エクステンション部材32〜第3エクステンション部材72における、第1灯具サブユニット20a,40a,60a及び第2灯具サブユニット20b,40b,60bの各投影レンズの存在領域に位置する開口部には、レンズ間領域発光用レンズ90が設けられている。レンズ間領域発光用レンズ90は、灯具正面から見て第1灯具サブユニット20a,40a,60aの投影レンズと、第2灯具サブユニット20b,40b,60bの投影レンズとを覆うように配置されている。レンズ間領域発光用レンズ90は、第1灯具サブユニット20a,40a,60a及び第2灯具サブユニット20b,40b,60bの少なくとも一方から出射された光の一部を、第1灯具サブユニット20a,40a,60aの投影レンズと第2灯具サブユニット20b,40b,60bの投影レンズとの間の領域から灯具前方に出射する光学部材として機能する。
【0037】
すなわち、車両用灯具1は、2つの灯具ユニットの少なくとも一方から出射された光の一部を、レンズ間領域発光用レンズ90内で内面反射させる等して、レンズ間領域発光用レンズ90における2つの灯具ユニットの間を覆う領域に導き、当該領域から灯具前方に出射する。これにより、車両用灯具1は、灯具外部から見て第1灯具サブユニット20a,40a,60aと第2灯具サブユニット20b,40b,60bとの間の領域を発光させることができる。そのため、第1灯具サブユニット20a,40a,60a及び第2灯具サブユニット20b,40b,60bを連続する1つの発光部として視認させやすくすることができる。また、レンズ間領域発光用レンズ90は、灯具正面から見て2つの灯具ユニットの投影レンズの全体を覆っている。これにより、2つの灯具ユニットの一体感をより高めることができる。
【0038】
レンズ間領域発光用レンズ90と第1エクステンション部材32、第2エクステンション部材52及び第3エクステンション部材72とは、例えば以下のようにして形成することができる。すなわち、透光性の樹脂材料等を用いて、レンズ間領域発光用レンズ90の形状を有する部分と各エクステンション部材の形状を有する部分とを含む一体成形品を作成する。そして、この一体成形品における各エクステンション部材となるべき部分の表面に金属の蒸着や塗料の塗装等の表面処理を施すことで、レンズ間領域発光用レンズ90と各エクステンション部材とを形成することができる。
【0039】
第1灯具サブユニット20a,40a,60aの投影レンズは縦長の形状を有し、第2灯具サブユニット20b,40b,60bの投影レンズは横長の形状を有する。そして、各投影レンズは、各投影レンズの一端同士が隣り合うように配置されている。本変形例では、2つの投影レンズで略L字形状が形成されている。これにより、灯具正面から見て略真円形状の投影レンズを有する車両用灯具に比べて、灯室内のデッドスペースを小さくする設計が可能となる。また、灯具ユニットの配置自由度を高めることができる。また、車両用灯具1の見栄えを斬新なものとすることができ、車両用灯具1の意匠性を高めることができる。
【0040】
(他の変形例)
第1光源24、第2光源44及び第3光源64は、白熱灯や放電灯等のLED以外の光源であってもよい。また、車両用灯具1は、3つの灯具ユニットを有するが、その数は特に限定されず、2つ以上の灯具ユニットを有していればよい。第1灯具ユニット20〜第1投影レンズ30は直射型の灯具ユニットであってもよく、各灯具ユニットが形成する配光パターンもロービーム用配光パターンに限定されない。
【0041】
なお、上述した実施の形態に係る発明は、以下に記載する項目によって特定されてもよい。
(項目1)
第1投影レンズを有する第1灯具ユニットと、
第2投影レンズを有し、前記第1灯具ユニットと略水平方向に並び、前記第1投影レンズよりも前記第2投影レンズが灯具後方側に位置するように配置された第2灯具ユニットと、
前記第1灯具ユニットの第2灯具ユニット側の側面における、前記第1投影レンズと前記第2投影レンズとの間の領域に設けられ、灯具外部から進入する光を反射するリフレックスリフレクタと、
を備えることを特徴とする車両用灯具。
(項目2)
第i投影レンズを有し、第(i−1)灯具ユニットと水平方向に並び、前記第(i−1)灯具ユニットの第(i−1)投影レンズよりも前記第i投影レンズが灯具後方側に位置するように配置された第i灯具ユニット(iは3以上の整数)と、
前記第(i−1)灯具ユニットの第i灯具ユニット側の側面における、前記第(i−1)投影レンズと前記第i投影レンズとの間の領域に設けられる第(i−1)のリフレックスリフレクタと、をさらに備える項目1に記載の車両用灯具。
(項目3)
第1〜第(i−1)の各灯具ユニットは、前記側面を構成するエクステンション部材を有し、
各リフレックスリフレクタは、各エクステンション部材に設けられる項目2に記載の車両用灯具。
(項目4)
前記各エクステンション部材は、一体成形されたものである項目3に記載の車両用灯具。
【符号の説明】
【0042】
1 車両用灯具、 20 第1灯具ユニット、 30 第1投影レンズ、 32 第1エクステンション部材、 40 第2灯具ユニット、 50 第2投影レンズ、 52 第2エクステンション部材、 60 第3灯具ユニット、 70 第3投影レンズ、 80 第1リフレックスリフレクタ、 82 第2リフレックスリフレクタ。
図1
図2