特許第5698299号(P5698299)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698299
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】ゲート駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/08 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
   H02M1/08 A
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-84792(P2013-84792)
(22)【出願日】2013年4月15日
(65)【公開番号】特開2013-230081(P2013-230081A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2013年4月15日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0042883
(32)【優先日】2012年4月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】チョン ジェ ソク
(72)【発明者】
【氏名】ナム ギョン フン
(72)【発明者】
【氏名】カン スン ヒー
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョン ベ
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−097994(JP,A)
【文献】 特開2010−239114(JP,A)
【文献】 特開2008−029155(JP,A)
【文献】 特開2008−066929(JP,A)
【文献】 特開2001−223571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子の電気容量を充電させる信号を出力する第2スイッチング素子と、
前記第2スイッチング素子と並列に接続され、前記第2スイッチング素子から出力される電圧の降下を防止する第3スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子の電気容量を放電させる信号を出力する第4スイッチング素子と、を含み、
前記第1スイッチング素子は絶縁ゲートバイポーラトランジスタであり、前記第2スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子はNMOSトランジスタであり、前記第3スイッチング素子はPMOSトランジスタであり、
前記第2スイッチング素子がターンオフされたとき、前記第3スイッチング素子は、前記第1スイッチング素子の電気容量を充電することを特徴とする、ゲート駆動装置。
【請求項2】
パルス幅変調信号の入力を受けて前記第1スイッチング素子に電流を供給し、前記第1スイッチング素子を駆動させるドライバを更に含むことを特徴とする、請求項1に記載のゲート駆動装置。
【請求項3】
前記ドライバは、デッドタイムを置いて前記第2スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子を駆動することを特徴とする、請求項2に記載のゲート駆動装置。
【請求項4】
前記ドライバは、前記第2スイッチング素子及び前記第3スイッチング素子をターンオンさせ、前記第4スイッチング素子をターンオフさせることを特徴とする、請求項3に記載のゲート駆動装置。
【請求項5】
前記ドライバは、前記第2スイッチング素子及び前記第3スイッチング素子をターンオフさせ、前記第4スイッチング素子をターンオンさせることを特徴とする、請求項3に記載のゲート駆動装置。
【請求項6】
記第1スイッチング素子の電気容量は前記絶縁ゲートバイポーラトランジスタのゲート電気容量であることを特徴とする、請求項1乃至5のうち、いずれか一項に記載のゲート駆動装置。
【請求項7】
前記第1スイッチング素子の電気容量は、前記第1スイッチング素子内で発生する寄生電気容量であることを特徴とする、請求項1に記載のゲート駆動装置。
【請求項8】
電源及びドライバを含むゲート駆動装置であって
1のNMOSトランジスタ、
第2のNMOSトランジスタ、
PMOSトランジスタ、及び
絶縁ゲートバイポーラトランジスタを含み、
前記第1のNMOSトランジスタのドレイン端子は前記電源の端子及び前記PMOSトランジスタに接続され、前記第1のNMOSトランジスタのゲート端子は前記ドライバに接続され、前記第1のNMOSトランジスタのソース端子は前記PMOSトランジスタのドレイン端子、前記第2のNMOSトランジスタのドレイン端子、及び前記絶縁ゲートバイポーラトランジスタのゲート端子に接続され、
前記PMOSトランジスタのゲート端子は前記ドライバに接続され、
前記第2のNMOSトランジスタのゲート端子は前記ドライバに接続され、
前記第2のNMOSトランジスタのソース端子及び前記絶縁ゲートバイポーラトランジスタのエミッタ端子は接地され
前記第1のNMOSトランジスタがターンオフされたとき、前記PMOSトランジスタは、前記絶縁ゲートバイポーラトランジスタの電気容量を充電することを特徴とする、ゲート駆動装置。
【請求項9】
前記ドライバは、前記第1のNMOSトランジスタ及び前記PMOSトランジスタをターンオンさせ、前記第2のNMOSトランジスタをターンオフさせて、前記絶縁ゲートバイポーラトランジスタのゲート電気容量を充電することを特徴とする、請求項に記載のゲート駆動装置。
【請求項10】
前記ドライバは、前記第1のNMOSトランジスタ及び前記PMOSトランジスタをターンオフさせ、前記第2のNMOSトランジスタをターンオンさせて、前記絶縁ゲートバイポーラトランジスタのゲート電気容量を放電させることを特徴とする、請求項に記載のゲート駆動装置。
【請求項11】
前記ドライバは、デッドタイムを置くことによって、前記第1のNMOSトランジスタと、前記PMOSトランジスタと前記第2のNMOSトランジスタとの間のアーム短絡を防止することを特徴とする、請求項に記載のゲート駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力用半導体システムにおける絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を駆動するためのゲート駆動装置に関し、より詳しくは、電力用半導体システムにおける絶縁ゲートバイポーラトランジスタを駆動するための出力端構造を改善させたゲート駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータは、モータ及び各種電子機器分野を始めとして、産業全般に亘って広く使われている。インバータは、直流電圧を交流電圧に変換する装置であって、直流電圧を交流電圧に変換するためにスイッチング素子及びスイッチング素子を駆動するためのゲート駆動装置を含む。
【0003】
ゲート駆動装置を駆動するためのスイッチング素子には絶縁ゲートバイポーラトランジスタが多く使われている。絶縁ゲートバイポーラトランジスタは、エミッタ、コレクタ、及びゲート端子を含み、ゲート端子が絶縁されたトランジスタとして入力インピーダンスが高く、駆動が容易、簡単であり、かつ少数キャリア蓄積がないため、高速で動作可能な金属酸化膜電界効果トランジスタ(MOSFET)の長所と、高圧、大電流も容易で、かつ低廉に製造できるバイポーラトランジスタ(BJT)の長所とを結合したスイッチング素子である。絶縁ゲートバイポーラトランジスタは、入力電気容量が大きいため、インバータは入力パルス幅変調(PWM)信号の電流量を増幅して、ゲートを駆動させるためのゲート駆動装置を必要とする。
【0004】
しかし、既存のゲート駆動装置は構造的な特性上、出力電圧が降下し、チップサイズが大きく、チップの値段が高いという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ゲート駆動装置の出力端の上方にNMOSとPMOSとを並列に接続し、下方にNMOSを接続することによって、出力電圧の降下を防止し、チップサイズを減少させるゲート駆動装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に従うゲート駆動装置は、第1スイッチング素子と、第1スイッチング素子の電気容量を充電する信号を出力する第2スイッチング素子と、第2スイッチング素子と並列に接続され、第2スイッチング素子から出力される電圧の降下を防止する第3スイッチング素子、及び第1スイッチング素子の電気容量を放電させる信号を出力する第4スイッチング素子を含む。
【0007】
第1スイッチング素子は絶縁ゲートバイポーラトランジスタであり、第2スイッチング素子及び第4スイッチング素子はNMOSトランジスタであり、第3スイッチング素子はPMOSトランジスタであってよい。
【0008】
ゲート駆動装置は、パルス幅変調信号の入力を受けて第1スイッチング素子に電流を供給し、第1スイッチング素子を駆動するドライバを更に含むことができる。
【0009】
ドライバは、デッドタイムを置いて第2スイッチング素子及び第4スイッチング素子を駆動することができる。
【0010】
ドライバは第2スイッチング素子及び第3スイッチング素子をターンオンさせ、第4スイッチング素子をターンオフさせることができる。
【0011】
ドライバは第2スイッチング素子及び第3スイッチング素子をターンオフさせ、第4スイッチング素子をターンオンさせることができる。
【0012】
第1スイッチング素子は絶縁ゲートバイポーラトランジスタであり、第1スイッチング素子の電気容量は絶縁ゲートバイポーラトランジスタのゲート電気容量であってよい。
【0013】
第1スイッチング素子の電気容量は、第1スイッチング素子の内で発生する寄生電気容量であってよい。
【0014】
本発明の更に他の実施形態に従うゲート駆動装置は、第1のNMOSトランジスタ、第2のNMOSトランジスタ、PMOSトランジスタ、及び絶縁ゲートバイポーラトランジスタを含み、第1のNMOSトランジスタのドレイン端子は電源の端子及びPMOSトランジスタに接続され、第1のNMOSトランジスタのゲート端子はドライバに接続され、第1のNMOSトランジスタのソース端子はPMOSトランジスタのドレイン端子、第2のNMOSトランジスタのドレイン端子及び絶縁ゲートバイポーラトランジスタのゲート端子に接続され、PMOSトランジスタのゲート端子はドライバに接続され、第2のNMOSトランジスタのゲート端子はドライバに接続され、第2のNMOSトランジスタのソース端子及び絶縁ゲートバイポーラトランジスタのエミッタ端子は接地される。
【0015】
PMOSトランジスタは、第1のNMOSトランジスタの出力電圧を降下させることができる。
【0016】
ドライバは、第1のNMOSトランジスタ及びPMOSトランジスタをターンオンさせ、第2のNMOSトランジスタをターンオフさせ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタのゲート電気容量を充電することができる。
【0017】
ドライバは、第1のNMOSトランジスタ及びPMOSトランジスタをターンオフさせ、第2のNMOSトランジスタをターンオンさせ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタのゲート電気容量を放電させることができる。
【0018】
ドライバは、デッドタイムを置いて第1のNMOSトランジスタ及びPMOSトランジスタと第2のNMOSトランジスタとの間のアーム短絡を防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の実施形態によれば、NMOSトランジスタをメインスイッチング素子に、NMOSトランジスタと並列接続されたPMOSトランジスタを補助スイッチング素子に活用して、ゲート駆動装置の出力電圧を降下させずに、チップサイズを減少させることができる。
【0020】
また、本発明の実施形態によれば、ゲート駆動装置の出力電圧が降下することを防止してスイッチング素子の損失を防ぐことができる。
【0021】
一方、その他の多様な効果は、後述する本発明の実施形態に従う詳細な説明で直接的又は暗示的に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態に従うゲート駆動装置の回路図を説明するための図である。
図2】本発明の第1実施形態に従うゲート駆動装置の第1のNMOSトランジスタの出力波形を説明するための図である。
図3】本発明の第2実施形態に従うゲート駆動装置の回路図を説明するための図である。
図4】本発明の第2実施形態に従うゲート駆動装置のPMOSトランジスタの出力波形を説明するための図である。
図5】本発明の第3実施形態に従うゲート駆動装置の回路図を説明するための図である。
図6】本発明の第3実施形態に従うゲート駆動装置の出力波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付した図面を参照して本発明の好ましい実施形態について、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。
【0024】
電力用半導体システムにおけるゲート駆動装置の出力端構造は、プッシュプル構造で構成され、2つのNMOS素子を使用してもよいし、PMOS素子及びNMOS素子を使用してもよい。
【0025】
図1ではゲート駆動装置の出力端構造を2つのNMOS素子を使用する実施形態を説明し、図3ではPMOS素子及びNMOS素子を使用する実施形態を説明する。
【0026】
図1は、本発明の第1実施形態に従うゲート駆動装置の回路図を説明するための図である。
【0027】
図1を参考すると、ゲート駆動装置10は、第1のNMOSトランジスタ11、第2のNMOSトランジスタ12、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ13、及びドライバ14を含む。
【0028】
第1のNMOSトランジスタ11は、第2のNMOSトランジスタ12より上方に位置する。第1のNMOSトランジスタ11のドレイン端子は電源(VCC)端子に接続され、第1のNMOSトランジスタ11のソース端子は第2のNMOSトランジスタ12のドレイン端子及び絶縁ゲートバイポーラトランジスタ13のゲート端子に接続される。第1のNMOSトランジスタ11のゲート端子はドライバ14に接続される。
【0029】
第2のNMOSトランジスタ12は、第1のNMOSトランジスタ11より下方に位置する。第2のNMOSトランジスタ12のドレイン端子は、第1のNMOSトランジスタ11のソース端子及び絶縁ゲートバイポーラトランジスタ13のゲート端子に接続される。第2のNMOSトランジスタ12のソース端子は接地され、第2のNMOSトランジスタ12のゲート端子はドライバ14に接続される。
【0030】
絶縁ゲートバイポーラトランジスタ13のエミッタ端子は接地され、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ13のゲート端子は、第1のNMOSトランジスタ11のソース端子及び第2のNMOSトランジスタ12のドレイン端子に接続される。
【0031】
ゲート駆動装置10は、ドライバ14が発生するスイッチング信号を増幅する役割を遂行する。
【0032】
第1のNMOSトランジスタ11のゲート端子には、ドライバ14に出力された信号と大きさが同一であり、位相が反対である信号が入力される。
【0033】
第2のNMOSトランジスタ12のゲート端子にはドライバ14から出力された信号が入力され、第2のNMOSトランジスタ12は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ13のゲートを駆動するために増幅されたゲートスイッチング信号を出力する。
【0034】
ドライバ14はゲート駆動装置10を駆動し、第1のNMOSトランジスタ11及び第2のNMOSトランジスタ12の動作時に、デッドタイムを置いてアーム短絡(Arm short)を防止することができる。デッドタイムは1つのスイッチング素子のターンオン/オフ時に、1つのスイッチング素子が完全にターンオフされるまで他の1つのスイッチング素子をターンオンさせない時間を意味する。スイッチング素子にデッドタイムを与えなければ、2つスイッチング素子が同時にターンオンされる場合が発生するため、極めて短い瞬間であるが、過度な電流が流れ、効率が落ち、スイッチング素子に損傷をもたらすことがある。
【0035】
ゲート駆動装置10は、電源(VCC)端子に動作電源が印加された状態で制御部(図示せず)から入力される制御信号によってスイッチング信号を出力する。ここで、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ13をターンオンさせる場合、第1のNMOSトランジスタ11がターンオンされ、第2のNMOSトランジスタ12がターンオフされる。その後、第1のNMOSトランジスタ11によって絶縁ゲートバイポーラトランジスタ13のゲート電気容量が充電されてゲート電圧が上昇する。絶縁ゲートバイポーラトランジスタ13をターンオフさせる場合、第1のNMOSトランジスタ11がターンオフされ、第2のNMOSトランジスタ12がターンオンされて、第1のNMOSトランジスタ11により絶縁ゲートバイポーラトランジスタ13のゲート電気容量が放電されて、ゲート電圧が降下する。
【0036】
図2は、本発明の第1実施形態に従うゲート駆動装置の第1のNMOSトランジスタの出力波形を説明するための図である。
【0037】
第1のNMOSトランジスタ11はオン抵抗値が小さく、大きい電流を駆動できる点で長所を有しているが、図2に示すように、出力電圧が電源電圧(VCC)からしきい電圧(Vth)を引いた値(VCC−Vth)以上に上昇すると、第1のNMOSトランジスタ11のゲート端子とソース端子との間の電圧がしきい電圧を確保できなくなる。そのようになれば、ゲート駆動装置10の出力電圧は第1のNMOSトランジスタ11がターンオフされる場合、電源電圧(VCC)を基準にしきい電圧だけの電圧降下が発生する。絶縁ゲートバイポーラトランジスタのようなスイッチング素子の場合、一定電圧以上のゲート駆動電圧を確保しなければならない。そうでなければ、スイッチング素子のターンオン損失が大きくなって効率が落ちるだけでなく、スイッチング素子の寿命が短くなることがある。電圧降下を防止するために降下した電圧だけ電源電圧を高めて使うが、これによってゲート駆動装置自体の消費電力が大きくなることがある。
【0038】
図3は、本発明の第2実施形態に従うゲート駆動装置の回路図を説明するための図である。
【0039】
図3を参考すると、ゲート駆動装置20は、PMOSトランジスタ21、NMOSトランジスタ22、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ23、及びドライバ24を含む。
【0040】
PMOSトランジスタ21は、NMOSトランジスタ22より上方に位置する。PMOSトランジスタ21のソース端子は電源(VCC)端子に接続され、PMOSトランジスタ21のドレイン端子はNMOSトランジスタ22のドレイン端子及び絶縁ゲートバイポーラトランジスタ23のゲート端子に接続される。PMOSトランジスタ21のゲート端子はドライバ24に接続される。
【0041】
NMOSトランジスタ22は、PMOSトランジスタ21より下方に位置する。NMOSトランジスタ22のドレイン端子は、PMOSトランジスタ21のドレイン端子及び絶縁ゲートバイポーラトランジスタ23のゲート端子に接続される。NMOSトランジスタ22のソース端子は接地され、NMOSトランジスタ22のゲート端子はドライバ24に接続される。
【0042】
絶縁ゲートバイポーラトランジスタ23のエミッタ端子は接地され、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ23のゲート端子は、PMOSトランジスタ21のドレイン端子及びNMOSトランジスタ22のドレイン端子に接続される。
【0043】
ゲート駆動装置20は、ドライバ24が発生するスイッチング信号を増幅する役割を遂行する。
【0044】
PMOSトランジスタ21のゲート端子にはドライバ24から出力された信号が入力される。
【0045】
NMOSトランジスタ22のゲート端子にはドライバ24から出力された信号が入力され、NMOSトランジスタ22は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ23のゲートを駆動するために増幅されたゲートスイッチング信号を出力する。
【0046】
ドライバ24はゲート駆動装置20を駆動し、PMOSトランジスタ11及びNMOSトランジスタ22の動作時に、デッドタイムを置いてアーム短絡を防止することができる。
【0047】
ゲート駆動装置20は、電源(VCC)端子に動作電源が印加された状態で制御部(図示せず)から入力される制御信号によってスイッチング信号を出力する。ここで、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ23をターンオンさせる場合、PMOSトランジスタ21がターンオンされ、NMOSトランジスタ22がターンオフされる。そのようになれば、PMOSトランジスタ21によって絶縁ゲートバイポーラトランジスタ23のゲート電気容量が充電されてゲート電圧が上昇する。絶縁ゲートバイポーラトランジスタ23をターンオフさせる場合、PMOSトランジスタ21がターンオフされ、NMOSトランジスタ22がターンオンされ、NMOSトランジスタ22により絶縁ゲートバイポーラトランジスタ23のゲート電気容量が放電されて、ゲート電圧が降下する。
【0048】
図4は、本発明の第2実施形態に従うゲート駆動装置のPMOSトランジスタの出力波形を説明するための図である。
【0049】
図4を参考すると、PMOSトランジスタ21の出力波形は図1のゲート駆動装置10の出力端で発生する電圧降下がない。したがって、PMOSトランジスタ21の出力電圧は電源電圧(Vcc)まで上昇する。
【0050】
しかしながら、PMOSトランジスタ21がターンオンされた時の抵抗値はNMOSトランジスタの場合より大きいため、同一な電流容量を駆動するためにはチップサイズが大きくなり、これによってチップ製作費用が増加する。
【0051】
図5は、本発明の第3実施形態に従うゲート駆動装置の回路図を説明するための図である。
【0052】
図5を参考すると、ゲート駆動装置30は、第1のNMOSトランジスタ31、第2のNMOSトランジスタ32、PMOSトランジスタ33、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ34、及びドライバ35を含む。
【0053】
第1のNMOSトランジスタ31は、第2のNMOSトランジスタ32より上方に位置する。
【0054】
第1のNMOSトランジスタ31のドレイン端子は電源(VCC)端子及びPMOSトランジスタ33のゲート端子に接続され、第1のNMOSトランジスタ31のソース端子は、第2のNMOSトランジスタ32のドレイン端子、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ34のゲート端子、及びPMOSトランジスタ33のドレイン端子に接続される。第1のNMOSトランジスタ31のゲート端子はドライバ35に接続される。
【0055】
第2のNMOSトランジスタ32は、第1のNMOSトランジスタ31より下方に位置する。第2のNMOSトランジスタ32のドレイン端子は、第1のNMOSトランジスタ31のソース端子、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ34のゲート端子、及びPMOSトランジスタ33のドレイン端子に接続される。第2のNMOSトランジスタ32のソース端子は接地され、第2のNMOSトランジスタ32のゲート端子はドライバ35に接続される。
【0056】
PMOSトランジスタ33は、第1のNMOSトランジスタ31と並列に接続できる。具体的には、PMOSトランジスタ33のソース端子は電源(Vcc)端子に接続され、PMOSトランジスタ33のドレイン端子は、第1のNMOSトランジスタ31のソース端子、第2のNMOSトランジスタ32のドレイン端子、及び絶縁ゲートバイポーラトランジスタ34のゲート端子に接続される。PMOSトランジスタ33のゲート端子はドライバ35に接続される。
【0057】
絶縁ゲートバイポーラトランジスタ34のエミッタ端子は接地され、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ34のゲート端子は、第1のNMOSトランジスタ31のソース端子、第2のNMOSトランジスタ32のドレイン端子、及びPMOSトランジスタ33のドレイン端子に接続される。
【0058】
ドライバ35は、外部からパルス幅変調信号の入力を受けて絶縁ゲートバイポーラトランジスタ34のゲートに電流を供給し、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ34を駆動することができる。
【0059】
第1のNMOSトランジスタ31は、ゲート端子を通じてドライバ35から出力された信号と大きさが同一であり、位相が反対である信号の入力を受けて、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ34のゲート端子に伝達する。
【0060】
第1のNMOSトランジスタ31は、ドライバ35から出力された信号の電流量を増幅することができる。
【0061】
PMOSトランジスタ33は、ゲート端子を通じてドライバ35から出力された信号の入力を受けて絶縁ゲートバイポーラトランジスタ34のゲート端子に伝達する。
【0062】
第1のNMOSトランジスタ31及びPMOSトランジスタ33は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ34のゲート電気容量を充電することができる。ゲート電気容量は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ34自体で発生する寄生電気容量を意味する。
【0063】
第2のNMOSトランジスタ32は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ34のゲート電気容量を放電させることができる。
【0064】
絶縁ゲートバイポーラトランジスタ34のゲート電気容量は、第1のNMOSトランジスタ31及びPMOSトランジスタ33のターンオン及び第2のNMOSトランジスタ32のターンオフによって充電することができ、第1のNMOSトランジスタ31及びPMOSトランジスタ33のターンオフ及び第2のNMOSトランジスタ32のターンオンによって放電させることができる。すなわち、3個のスイッチング素子の動作によって絶縁ゲートバイポーラトランジスタ34のゲート電気容量が充電又は放電され、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ34を駆動できる。
【0065】
絶縁ゲートバイポーラトランジスタ34は、モータ装置及び負荷と接続されてスイッチング素子としての機能を遂行することができる。
【0066】
ゲート駆動装置30は、第1のNMOSトランジスタ31、第2のNMOSトランジスタ32、及び絶縁ゲートバイポーラトランジスタ34の駆動信号を出力する制御部(図示せず)を更に含むことができる。ここで、駆動信号はターンオン又はターンオフ信号であってよい。
【0067】
ドライバ35はゲート駆動装置30を駆動し、第1のNMOSトランジスタ31及び第2のNMOSトランジスタ32のスイッチング動作時に、デッドタイムを置いてアーム短絡を防止することができる。デッドタイムは、スイッチング素子のターンオン/オフ時に、1つのスイッチング素子が完全にターンオフされるまで他のスイッチング素子をターンオンさせない時間を意味する。スイッチング素子にデッドタイムを与えなければ、2つスイッチング素子が同時にターンオンされる場合、極めて短い瞬間であるが、過度な電流が流れ、効率が落ち、スイッチング素子に損傷をもたらすことがある。
【0068】
一実施形態において、デッドタイムの時間値はゲート駆動回路30の設計時に定めることができる値であるが、これに限定する必要はなく、ユーザの設定に従って変更できる。
【0069】
図6は、本発明の第3実施形態に従うゲート駆動装置の出力波形を示す図である。
【0070】
図6を参考すると、出力波形のA区間の前に、第1のNMOSトランジスタ31のゲート端子及びPMOSトランジスタ33のゲート端子にターンオフ信号が入力され、第2のNMOSトランジスタ32のゲート端子にターンオン信号が入力されて、ゲート駆動装置30の出力電圧は0Vを維持する。
【0071】
A区間では、第1のNMOSトランジスタ31のゲート端子及びPMOSトランジスタ33のゲート端子にターンオン信号が入力され、第2のNMOSトランジスタ32のゲート端子にターンオフ信号が入力されて、ゲート駆動装置30の出力電圧は速く上昇し始める。
【0072】
B区間は、第1のNMOSトランジスタ31のゲート端子及びPMOSトランジスタ33のゲート端子にターンオフ信号が入力されている状態のゲート駆動装置30の出力波形である。この際、第1のNMOSトランジスタ31の出力電圧が増加するにつれて、第1のNMOSトランジスタ31のゲート端子とソース端子との間の電圧は、しきい電圧(Vth)より小さくなり、第1のNMOSトランジスタ31はターンオフされる。しかしながら、PMOSトランジスタ33は相変らずターンオン状態を維持して、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ34のゲート電気容量を充電し、ゲート駆動装置30の出力電圧は電源電圧(VCC)まで到達する。
【0073】
上記のように、本発明の第3実施形態によれば、ゲート駆動装置30の出力電圧を電源電圧(VCC)まで到達させ、出力電圧の降下によって発生するスイッチング素子の損失を防ぐことができる。
【0074】
また、以上、本発明の好ましい実施形態に対して図示及び説明したが、本発明は前述した特定の実施形態に限定されるものではなく、請求範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって、多様な変形実施が可能であることは勿論であり、このような変形実施は本発明の技術的思想又は展望とは別であると理解してはならない。
【0075】
したがって、本明細書に記載された実施形態と図面に図示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎないものであり、本実施形態の技術的思想をすべて代弁するものではないため、本出願時点でこれらを代えることができる多様な均等物及び変形例がありえることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0076】
10 ゲート駆動装置
11 第1のNMOSトランジスタ
12 第2のNMOSトランジスタ
13 絶縁ゲートバイポーラトランジスタ
14 ドライバ
20 ゲート駆動装置
21 PMOSトランジスタ
22 NMOSトランジスタ
23 絶縁ゲートバイポーラトランジスタ
24 ドライバ
30 ゲート駆動装置
31 第1のNMOSトランジスタ
32 第2のNMOSトランジスタ
33 PMOSトランジスタ
34 絶縁ゲートバイポーラトランジスタ
35 ドライバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6