特許第5698312号(P5698312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698312
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】折畳み式ベビーカー
(51)【国際特許分類】
   B62B 7/08 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
   B62B7/08
【請求項の数】21
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-128938(P2013-128938)
(22)【出願日】2013年6月19日
(62)【分割の表示】特願2010-510820(P2010-510820)の分割
【原出願日】2008年6月6日
(65)【公開番号】特開2013-224143(P2013-224143A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2013年7月18日
(31)【優先権主張番号】60/933,704
(32)【優先日】2007年6月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508006838
【氏名又は名称】ヌーナ インターナショナル ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100130133
【弁理士】
【氏名又は名称】曽根 太樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180194
【弁理士】
【氏名又は名称】利根 勇基
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブス,イムレ ペーテル
(72)【発明者】
【氏名】ファン ヘルデレン,マルテイン ハンス
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンソン,テレーゼ
【審査官】 畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−015686(JP,A)
【文献】 実公昭47−014898(JP,Y1)
【文献】 実開昭48−110855(JP,U)
【文献】 国際公開第1995/029086(WO,A1)
【文献】 米国特許第03443823(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0033069(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0201626(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0183275(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第04229857(DE,A1)
【文献】 仏国特許出願公開第02648102(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放位置と折畳み位置との間で移動可能なベビーカーであって、前記開放位置において該ベビーカーはロック可能である、ベビーカーにおいて、
前輪及び後輪と、
前記前輪と前記後輪とのほぼ間に延びる概ね平面的な基部フレームと、
二本の押し棒であって、前記前輪にほぼ近接して配置された前ヒンジによって前記基部フレームに回動可能に接続される回動端部と、該回動端部とは反対側の接続端部とをそれぞれ具備し、前記開放位置においてほぼ上方及び後方に延びる二本の押し棒と、を具備し、
前記前ヒンジの軸線が前記基部フレームのほぼ平面内で延びると共に、前記二本の押し棒の各中心軸線にほぼ交差し、
当該ベビーカーは押し部材をさらに具備し、該押し部材は、それぞれ前記押し棒の接続端部に接続される両側の端部と、これら端部を相互接続する中央部とを有し、各端部の少なくとも一部は、当該ベビーカーが折畳み位置にあるときに前記押し部材の中央部が前記基部フレームよりも低くなるように、対応する一つの押し棒に対して所定の角度を形成し、
両側の前記前輪が前輪支持部材によって相互に接続されており、前記前輪支持部材が前記ヒンジの上方の部位の両側で前記二本の押し棒に接続されており、
各押し棒が、押し棒上部材と、該押し棒上部材に回動可能に接続された押し棒下部材とを備え、そのことが前記押し棒上部材の、押し棒下部材に対する回動と前記前ヒンジの方への折畳みとを可能にする、ベビーカー。
【請求項2】
前記前ヒンジの軸線と前記基部フレームの上側平面との間の距離が前記基部フレームの厚さの半分未満である、請求項1に記載のベビーカー。
【請求項3】
前記前ヒンジの軸線と前記基部フレームの中央平面との間の距離が3cm未満である、請求項1又は2に記載のベビーカー。
【請求項4】
前記押し棒は、前記折畳み位置において、前記基部フレームに並置されてほぼ同一平面内で延びる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のベビーカー。
【請求項5】
前記前ヒンジと前記二本の押し棒と押し部材とで閉じた周線を形成する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のベビーカー。
【請求項6】
前記押し部材の中央部分は、前記開放位置において、両方の押し棒を通る平面からある距離を置いて該平面の上方で延びている、請求項5に記載のベビーカー。
【請求項7】
該ベビーカーが前記折畳み位置にあるとき該ベビーカーを運搬するために、前記前ヒンジがハンドルを形成するように構成されるか、又はハンドルが前記基部フレームのほぼ平面内で前記前ヒンジの近くに配置される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のベビーカー。
【請求項8】
両方の押し棒を通る平面に垂直な方向よりも横方向において大きい寸法を有する横断面を前記押し棒が有している、請求項1〜のいずれか一項に記載のベビーカー。
【請求項9】
前記押し棒がほぼ半円形の横断面領域を具備しており、その結果前記押し棒上部材と前記押し棒下部材とが、前記折畳み位置においてほぼ円形の横断面領域を形成する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のベビーカー。
【請求項10】
前記押し棒上部材と前記押し棒下部材との間に配置されたロック機構であって、当該ベビーカーを前記開放位置でロックするように作動するロック機構と、
二つの端部を有する支持部材であって、当該支持部材の一方の端部が前記ロック機構に回動可能に接続され、当該支持部材の他方の端部が前記基部フレームに回動可能に接続された支持部材とを更に具備する請求項1〜7のいずれか1項に記載のベビーカー。
【請求項11】
当該ベビーカーが前記開放位置にあるときにほぼ上方に延びると共に二つの端部を有する支持部材であって、当該支持部材の一方の端部が前記基部フレームの中間部に回動可能に接続され、当該支持部材の他方の端部が一方の押し棒の中間部に対して接続され且つ当該ベビーカーが開放位置から折畳み位置へ移動するときに該中間部に対して回動可能である、請求項1〜1のいずれか一項に記載のベビーカー。
【請求項12】
前記支持部材は、ほぼU字形であって、基底部と、それぞれ該基底部の両端から延びる二本の脚とを含んでおり、前記U字形支持部材の前記基底部は前記支持部材の一方の端部を形成すると共に前記基部フレームに回動可能に接続されており、前記U字形のそれぞれの脚の先端が前記支持部材の他方の端部を形成すると共に前記押し棒に回動可能に接続されている、請求項1に記載のベビーカー。
【請求項13】
前記支持部材の前記U字形の前記基底部が前記基部フレームの下側で延びている、請求項1に記載のベビーカー。
【請求項14】
当該ベビーカーは前記基部フレームと前記支持部材との間に配設された制振手段を更に具備している、請求項11〜13のいずれか一項に記載のベビーカー。
【請求項15】
前記制振手段が、前記支持部材と前記基部フレームとの間に配置された少なくとも一つのゴム部材を具備している、請求項14に記載のベビーカー。
【請求項16】
前記ゴム部材が、前記支持部材と前記基部フレームの下側半分との間に配置されている、請求項15に記載のベビーカー。
【請求項17】
前記基部フレームが、前記後輪を該基部フレームに接続するために横に延びる後輪支持部材を備えており、前記折畳み位置において前記押し棒を前記基部フレームに並置して収容するために、前記基部フレームに近接する前記後輪支持部材の表側が前記基部フレームの表側より低い、請求項1〜16のいずれか一項に記載のベビーカー。
【請求項18】
前記後輪支持部材は、翼形状を有していて、前記基部フレームの後部と共に湾曲板を形成している、請求項17に記載のベビーカー。
【請求項19】
子供を支えるための取外し式回転延長板を更に具備し、
前記基部フレームの後部及び/又は前記延長板の前部が、子供を支えるための回転延長板を取り付けるための手段を具備している、請求項1〜18のいずれか一項に記載のベビーカー。
【請求項20】
子供を支えるための前記取外し式回転延長板の前端縁が前記基部フレームの後端縁に一致する、請求項19に記載のベビーカー。
【請求項21】
前記折畳み位置において前記基部フレームを前記二本の押し棒の間に収容するために、前記前輪支持部材の中央部分が、前記押し棒の平面のほぼ上方で延びている、請求項1〜20のいずれか1項に記載のベビーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は折畳み式ベビーカーに関するものである。本発明はさらにベビーカー用のシート組立体に関係する。
【背景技術】
【0002】
折畳み式乳母車は、前輪及び後輪を備える基部フレームとシート組立体とを具備している。その製品は、他の人が乳母車を押す又は引く間に子供を運ぶように構成されている。製品の全体の構造形が変更可能であり、折畳み状態と展開状態との間で転換することを可能にする。製品の折畳み状態は、パッケージのコンパクトさに起因して製品の容易な運搬と保管とを可能にする。シート組立体は、容易に取り外し可能、及び従って交換可能であり、シート組立体の種々の構造形を可能にする。
【0003】
ベビーカー、小型ベビーカー、又は他の乳母車は、子供を支える及び/又は運ぶために使用される。しばしば、赤んぼが小型ベビーカーから取り出された後に、その製品は折畳まれるか又は構造形が変更されて積み重ねられるか又は運び去られる。
【0004】
現在市場にある製品は、運ばれる子供の年齢、体重、及び大きさに応じて多くの構造形で入手可能である。親は、正しい大きさだけではなく彼らの予算、好み、及びスタイルにも適した製品を選択できる。
【0005】
特に、旅行又は散歩のときに子供が取り出される状況で、子供が製品から取り出された後に小型ベビーカーの折畳み及び運搬又は保管が容易であることが重要である。この点で、折畳まれた製品の軽い重量及びコンパクトなパッケージが重要である。
【0006】
現在のデザインに固有の問題は、製品の折畳みが多くの及び時には困難なステップを必要とすることである。
【0007】
他の問題は、折畳み状態にある製品がコンパクトではなく及び従って保管又は運搬が容易ではないことである。
【0008】
さらに、折畳み状態にある製品は、特に製品を長時間持って行かなければならない場合に、運搬が容易ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
製品の使用が容易であるように、及び様々な用途及び好みに合わせるための調節が容易であるように、及び子供と親にとって安全であるように小型ベビーカーを作ることが本発明の目的である。
【0010】
他の目的は、製品の形状、使用方法、及びスタイルを単純にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、ベビーカーのロックが可能な開放位置と折畳み位置との間で移動可能なベビーカーであって、前輪及び後輪と、前輪と後輪とのほぼ間に延びる概ね平面的な基部フレームと、前輪にほぼ近接して配置された前ヒンジによって基部フレームに回動可能に接続された二本の押し棒にして、開放位置においてほぼ上方及び後方に延びる二本の押し棒とを具備し、前ヒンジの軸線が基部フレームのほぼ平面内で延びると共に二本の押し棒の各中心軸線にほぼ交差するベビーカーが提供される。
【0012】
折畳み位置において、押し棒及びヒンジの交差している軸線が基部フレームのほぼ平面内で延びることにより、コンパクトな構造形が可能にされ、その場合前記構成要素は前記同一平面内で延びる。棒の「中心軸線」が、棒と平行に走り且つ棒の中心を通る(仮想の)線として定義されることが銘記されるべきである。
【0013】
好適には、前ヒンジの軸線と基部フレームの上側平面との間の距離は基部フレームの厚さの半分未満であり、より好適には、前ヒンジの軸線と基部フレームの中央平面との間の距離は3cm未満である。このような構造形は、折畳み位置におけるコンパクトなベビーカーを可能にし、押し棒は折畳み位置において基部フレームと好適に並置されてほぼ同一平面内で延びる。「中央平面」が、概ね平面的な基部フレームの中央を通って延びる(仮想の)平面であることが銘記されるべきである。
【0014】
好適には、前ヒンジと二本の押し棒と押し部材とで閉じた周線を形成するように、二本の押し棒の各外端が押し部材に接続される。好適には、押し部材はほぼ水平に延びる。これは、ベビーカーの剛性を高めるだろう。
【0015】
ベビーカーを折畳み位置へ折畳むことができるように、押し棒は、押し棒上部材と、前記押し棒上部材に回動可能に接続された押し棒下部材とを具備し、そのことが押し棒上部材の押し棒下部材に対する回動及び前ヒンジの方への折畳みを可能にする。押し棒の折畳みにより、折畳み位置におけるなお更にコンパクトな構造形が可能にされる。
【0016】
ベビーカーが折畳み位置にあるときベビーカーを運搬するために、前ヒンジがハンドルを形成するように好適に構成されるか、又は代わりにハンドルが基部フレームのほぼ平面内で前ヒンジの近くに配置される。本発明によりヒンジをハンドルとして配置することは、ベビーカーを製造するための部品数を減らし、結果として安価な及び/又は信頼度の高いベビーカーになる。
【0017】
好適には、押し部材の中央部分は、開放位置において、両方の押し棒を通る平面からある距離を置いて該平面の上方で延びる。また好適には、ベビーカーが折畳み位置にあるとき、押し部材の中央部分はハンドル及び基部フレームの下側平面の下に延びる。好適には、ヒンジは押し部材のU字形中央部分の二本の脚の間に延びていて、ベビーカーを運ぶ人の腕によってベビーカーの非意図的な展開が防止される。
【0018】
好適には、押し棒は、両方の押し棒を通る平面に垂直な方向よりも横方向において大きい寸法を有する横断面を有し、より好適には、押し棒は、ほぼ半円形の横断面領域を具備し、その結果押し棒上部材と押し棒下部材とが、折畳み位置においてほぼ円形の横断面領域を形成し、これにより折畳み位置におけるコンパクトな構造形を可能にする。
【0019】
好適には、ベビーカーを開放位置でロックするロック機構にして、押し棒上部材と押し棒下部材との間に配置されたロック機構と、ロック機構及び基部フレームにそれぞれ回動可能に接続された二つの端部を有する支持部材とをベビーカーは具備する。
【0020】
ベビーカーは、開放位置において、基部フレームの中間部位と押し棒の中間部位との間でほぼ上方に延びる支持部材にして、基部フレームと押し棒とに両端部で例えばヒンジ手段によって接続されている支持部材を更に好適に具備する。支持部材は、開放位置において、ベビーカーに対して剛性及び安定性を提供する。好適には、支持部材は、ほぼU字形であって、基底部と、前記基底部の二端に接続された二本の脚とを含んでおり、前記U字形の基底部は基部フレームに回動可能に接続されており、前記U字形のそれぞれの脚の先端が押し棒に回動可能に接続されており、より好適には、支持部材のU字形の基底部が基部フレームの下側で延びている。なお更好適には、U字形支持部材の脚の先端は、ヒンジ接続された押し棒の上部材の延長部に回動可能に接続されており、前記延長部は押し棒のヒンジを越えて延びるものである。支持部材をU字形部材として構成して、U字形部材を基部フレームの下に配置することにより、ベビーカーのための簡単で信頼度の高い支持手段が提供される。
【0021】
快適にするために、基部フレームと支持部材との間の接続部は制振手段を具備し、より好適には、制振手段は支持部材と基部フレームとの間に配置された少なくとも一つのゴム部材を具備する。なお更好適には、ゴム部材は、例えば支持部材の下側部分即ちU字形支持部材の基底部に同軸のゴムチューブを設けることにより、支持部材と基部フレームの下側半分との間に配置される。そうすると支持部材上に設けられた弾力性ゴムチューブは押し棒部材に対して制振作用を提供する。
【0022】
他の実施形態では、制振手段はバネ部材を具備しており、バネ部材は、該バネ部材の作動距離を増すために支持部材と基部フレームの上側半分との間に好適に配置される。
【0023】
好適には、基部フレームは、後輪を該基部フレームに接続するために横に延びている後輪支持部材を具備しており、折畳み位置において押し棒を基部フレームに並置させて収容し、結果として折畳み位置においてコンパクトな構造形とするために、基部フレームに近接する後輪支持部材の表側が基部フレームの表側より低い。より好適には、後輪支持部材は、翼形状を有していて、前記基部フレームの後部と共に湾曲板を形成する。この湾曲板は、例えば物品を置くことに使用できる。
【0024】
本発明によるベビーカーは、子供を支えるための取外し式回転延長板を好適に更に具備し、基部フレームの後部及び/又は延長板の前部が、子供を支えるための回転延長板を取り付けるための手段を具備する。より好適には、子供を支えるための取外し式回転延長板の前端縁は基部フレームの後端縁に一致する。
【0025】
好適には、両側の前輪は前輪支持部材によって相互に接続され、前輪支持部材がヒンジの上方の部位の両側で二本の押し棒に接続される。これは、押し棒が開放位置から折畳み位置へ折畳まれたとき、前輪が折畳み位置へ折畳まれることを可能にする。より好適には、折畳み位置において基部フレームを二本の押し棒の間に収容するために、前輪支持部材の中央部分が、押し棒の平面のほぼ上方で延びている。従って、中央部分は、運ばれている人の足置きとして使用できる。
【0026】
本発明の別の態様によると、ほぼ上方及び後方に延びる二本の押し棒にして、それに取り付けられたシートを有する二本の押し棒を有するフレームを具備するベビーカーが提供され、前記シートは、背もたれを有するバケット状に形作られた柔軟な薄板材料から実質的に構成されており、薄板の背もたれは、少なくとも一つのV字形延長部を備えていて、V字形の開放側が背もたれの頂部側で延びていること、及び背もたれは、該背もたれの傾きを減ずるために前記V字形部の脚を接合するための接続手段を備えていることを特徴としている。好適には、二つのV字形延長部が設けられ、背もたれの各々の側に一つ設けられる。接続手段を使って背もたれの傾きを変更することによって、シートは、機械的にシートを回動させる必要なしに、例えば睡眠位置から目覚め位置へ変えることができ、部品数を減らしてベビーカーの信頼性を高める。好適には、接続手段は、背もたれの簡単な調節を可能にするジッパーを具備する。またより好適には、シートは取外し可能にフレームに取り付けられる。
【0027】
本発明によるベビーカーは、少数のフレーム部品、少数の接続部品、及びすっきりした形状を用いることができる。主形状はフレーム部品とシート組立体とによって決定される。
【0028】
本発明は、添付図面に描かれたベビーカーの好適な実施形態を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】好適な実施形態のベビーカーを様々なアングルで概略的に示す図である。
図2】好適な実施形態のベビーカーを様々なアングルで概略的に示す図である。
図3】好適な実施形態のベビーカーを様々なアングルで概略的に示す図である。
図4】本発明による他の実施形態のベビーカーを折畳むステップを概略的に示す図である。
図5】本発明による他の実施形態のベビーカーを折畳むステップを概略的に示す図である。
図6】本発明による他の実施形態のベビーカーを折畳むステップを概略的に示す図である。
図7】本発明による他の実施形態のベビーカーを折畳むステップを概略的に示す図である。
図8A】調節可能シートを概略的に示す図である。
図8B】調節可能シートを概略的に示す図である。
図8C】調節可能シートを概略的に示す図である。
図9】本発明によるフレームの概略的横断面図である。
図10】本発明によるフレームの概略的横断面図である。
図11A】人によって運ばれている本発明によるベビーカーを概略的に示す図である。
図11B】人によって運ばれている本発明によるベビーカーを概略的に示す図である。
図12】本発明による制振機構を概略的に示す図である。
図13】本発明による制振機構を概略的に示す図である。
図14A】本発明によるヒンジ手段を開放位置で概略的に示す図である。
図14B】本発明によるヒンジ手段を開放位置で概略的に示す図である。
図14C】本発明によるヒンジ手段を開放位置で概略的に示す図である。
図15】本発明によるベビーカーを折畳む後続するステップでヒンジ手段を概略的に示す図である。
図16】本発明によるベビーカーを折畳む後続するステップでヒンジ手段を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明によるベビーカー1が図1〜3に示されている。ベビーカー1は、ベビーカーがロックされ得る開放位置と、折畳み位置との間を移動可能であって、前輪6及び後輪5と、前輪6と後輪5とのほぼ間に延在する概ね平面的な基部フレーム2と、前輪6にほぼ近接して配置された前ヒンジ4によって基部フレーム2に回動可能に接続された二本の押し棒3とを具備しており、前記押し棒3は、開放位置においてほぼ上方及び後方に延びている。前ヒンジ4の軸線は、基部フレーム2のほぼ平面内で延びていて、二本の押し棒3の各中心軸線にほぼ交差している。
【0031】
好適には、前ヒンジ4の軸線と基部フレーム2の上側平面との間の距離は基部フレーム2の厚さの半分未満であり、より好適には、前ヒンジ4の軸線と基部フレーム2の中央平面との間の距離は3cm未満である。そのような構造形は、折畳み位置におけるコンパクトなベビーカー1を可能にし、押し棒3は、折畳み位置において、基部フレーム2に好適に並置されてほぼ同一平面に延びる。
【0032】
好適には、二本の押し棒3の各外端がほぼ水平な押し部材7に接続されて、前ヒンジ4と二本の押し棒3と押し部材7とが閉じた周線を形成するようになっている。
【0033】
ベビーカー1を折畳み位置に折畳むことを可能にするために、押し棒は、押し棒上部材3aと、前記押し棒上部材3aに回動可能に接続された押し棒下部材3bとを具備しており、このことは、押し棒上部材3aが押し棒下部材3bに対して回動されること、及び前ヒンジ4の方に折畳まれることを可能にする。
【0034】
折畳み位置にあるベビーカー1を運ぶために、前ヒンジ4がハンドルを形成するように好適に構成されているか、又は代わりにハンドルが基部フレーム2のほぼ平面内で前ヒンジ4の近くに配置されている。好適には、押し部材7の中央部分は、開放位置において、両方の押し棒3を通る平面から又は前記平面の上で所定の距離をおいて延びる。また好適には、押し部材の中央部分は、折畳み位置において、ハンドル及び基部フレームの下側平面の下に延びる。図11にも示されるように、押し部材7を上述した様式で配置することは、ベビーカー1の運搬中における展開を防ぐ、というのも展開が人の手及び/又は腕によって妨げられるからである。
【0035】
好適には、押し棒3は、両方の押し棒を通る平面に垂直な方向よりも横方向で大きな寸法を有する横断面を有しており、より好適には、押し棒3は、ほぼ半円形状の横断面領域を具備していて、このことにより押し棒上部材3aと押し棒下部材3bとが折畳み位置においてほぼ円形の横断面領域を形作り、この結果図9、10、及び7に示されるように折畳み位置におけるコンパクトな構造形が可能にされる。
【0036】
好適には、押し棒3部材部品の平坦な部分、より詳しくは図9に示されるように折畳み位置において互いに当接する押し棒部材部品の部分は、展開位置において上方を向いて、ほぼ平面的な上側表面を作り出す。押し棒3部材部品の横断面のより大きな直径が折畳み位置においてベビーカーの平面にほぼ平行な平面内に延び、展開位置においてほぼ水平に配向された押し部材という結果になることがさらに注目されるべきである。
【0037】
ベビーカー1は、開放位置において基部フレーム2の中間部位と押し棒3の中間部位との間でほぼ上方に延びる支持部材9を好適にさらに具備しており、前記支持部材9は、その両端部において例えばヒンジ手段12によって押し棒3及び基部フレーム2に回動可能に接続されている。好適には、支持部材9は、ほぼU字形であって、U字形の基底部において基部フレーム2の中間部位に回動可能に接続されており、U字形の脚の先端は、押し棒3の各々の中間部位12に回動可能に接続され、より好適にはヒンジ12を越える延長部を形成するロック機構125に回動可能に接続される。なお更好適には、支持部材9のU字形の基底部は、基部フレーム2の下で延びる。
【0038】
快適さのために、基部フレーム2と支持部材9との間の接続部は、制振手段10を好適に具備しており、またより好適には図12及び13に詳細に示されるように、制振手段10は、支持部材9と基部フレーム2との間に配置された少なくとも一つのゴム部材13を具備している。なお更好適には、ゴム部材13は、例えば支持部材9の下側部分即ちU字形支持部材の基底部に同軸のゴムチューブを備えることによって、支持部材9と基部フレーム2の下半分との間に配置される。
【0039】
好適には、基部フレーム2は、後輪5を基部フレーム2に接続するために側方に延びる後輪支持部材14を具備しており、基部フレーム2に隣接する後輪支持部材14の表側は、折畳み位置において押し棒3を基部フレーム2に並置して収容するために基部フレーム2の表側より低い。より好適には、後輪支持部材14は、翼形状を有していて、基部フレーム2の後部と共に湾曲板を形成する。
【0040】
本発明によるベビーカー1は、子供を支えるための取外し式の回転延長ボードを更に好適に具備しており、図2において参照符号201で示される基部フレーム2の後部及び/又は延長ボードの前部は、子供を支えるための回転延長ボードを取り付ける手段を具備する。より好適には、子供を支えるための取外し式回転延長ボードの前端縁は基部フレーム2の後端縁201と一致する。
【0041】
好適には、両側の前輪6は前輪支持部材11によって相互に接続されており、前記前輪支持部材11はヒンジ4の上方の部位の両側で二本の押し棒3に接続されており、より好適には、前輪支持部材11の中央部分は、折畳み位置において二本の押し棒3の間に基部フレーム2を収容するために二本の押し棒3の平面より実質的に上方で延びている。
【0042】
本発明の目的は、親と子供にとって安全で使用が容易な製品を作ることである。前述したように、製品の構造形を変えることは製品の使用の一部である。製品の構造形のこの変更は、運搬又は保管にとってより小さくコンパクトなパッケージを作る折畳まれた製品という結果を招くことができる。
【0043】
デザインが一以上のフレーム部分からなること、及びフレームの異なる部分が構造形及び互いの関係において変えられ得ることから、製品の構造形は変えられ得る。
【0044】
本発明によるベビーカー1の構造形のこの変化又は折畳みは、図4〜7で示されるように数ステップで行われる。図4ではベビーカー1は展開段階にある。図5は、よりコンパクトな組立体を折畳み位置で形成するために、ハンドル31を用いて摩擦利用ロック機構30を解放した後に、押し部材7がどのように下方に移動されるかを示している。ヒンジ手段12のロックを解除するために、(図14及び15で示される)ハンドル120が操作されて、以下により詳細に説明されるように部材3aの部材3bに対する回動を可能にする。図6は、フレームの上部材3aがヒンジ4及び12の周りで回転して下部材3bの方へ移動させられることを明瞭にしている。図7はコンパクトな折畳みパッケージを示している。図4〜7に示されるベビーカー1は、図1〜3に描かれたベビーカーとは別の本発明によるベビーカーの実施形態であることが銘記されるべきである。
【0045】
図14Aでは本発明によるヒンジ手段12が示されている。ヒンジ手段12は、部材3a及び3bの軸線I周りの回動を可能にするように構成されている。開放位置において部材3a及び3bの配向をロックするように構成されたロック機構125の作動のために、ヒンジ手段12にハンドル120が備えられている。
【0046】
図14Bでは、図14Aのヒンジ手段12が断面で概略的に示されている。押し棒3の部材3bにはフック121が備えられており、前記フック121は、押し棒3の部材3aに設けられたロック機構125のグリップ部材122に係合するように構成されている。フック121及びグリップ部材122は、図14Bに示されるように、ロック機構125のロック位置において部材3a及び3bの相対運動を制限するように構成されている。グリップ部材122及びハンドル120をロック位置に導くために、スプリング123が設けられている。従って、ハンドル120の非意図的な操作はスプリング123によって訂正されて、信頼できるロック機構が提供される。
【0047】
ロック機構125のロックを解除するために、ハンドル120は方向IIで移動させられる。ハンドル120を移動させることによって、グリップ部材122も方向IIで移動させられ、図14Cに示されるように、グリップ部材122がフック121の突出部を通過するとき、上部材3aは方向IIIで回動可能にされ、そのことによってロック機構125は、図15に示されるように、フック121を方向IIIaで外す。ロック機構125がフック121から十分遠く離れたとき、ハンドル120が解放されることが可能であり、そのことによってハンドル120及びグリップ部材122は、スプリング123の作用を受けて方向IVに押しやられる。
【0048】
U字形支持部材9をロック機構125に接続する接続手段91も図14〜16に示されている。接続手段91は、ヒンジ12の軸線Iを越えた位置においてロック機構125によって形成された、押し棒部材3aの延長に延びている。
【0049】
使用が簡単で安全な製品を作り出すという目的の次の別の目的は、より長い寿命で及び異なる状況の範囲で使用可能な製品をデザインすることである。フレームとシート組立体8とからなるデザインは、前記目的を変更が容易なシート組立体で達成する。シート組立体は、取り外されて、異なる色、断熱性、背もたれ、及び/又はスタイルの新しいシート組立体と交換されることが可能である。
【0050】
シート組立体は、取外しが簡単且つ迅速な様式でフレームに取り付けられる。人は、ここで使用されるべき迅速取外しシステムを考えつくことができ、そこではシート組立体の布地が異なる部分の間で又は取外し容易なボタンの間で、フレーム又はシート組立体にクランプされる。これは、シート組立体がフレームに固定的に取り付けられていて、シート組立体を変更することがほとんど不可能な今日のベビーカーにおけるものとして新規である。
【0051】
シート組立体は、フレームに吊り下げられていて、フレームの異なる点に取り付けられている。シート組立体は、必要に応じて補強材(例えば強い材料の細片)を備える布地又は他の柔軟な材料から構成されている。
【0052】
フレームから取り外されたなら、シート組立体は、折り畳みが簡単であり、その結果として、例えば小さな引き出し又はキャビネットに保管することができる。したがって、それはシート組立体を変更することを簡単にするだけではなく、シート組立体を同様に簡単に保管する。
【0053】
変更の容易なシート組立体を導入することによって、リクライニング機能を有するシート組立体を製品において同様に使用することが可能である。シート組立体の構造形の異なる変更方法を使用することにより、例えばジッパー又はストラップを使用することにより、リクライニングは容易に実施される。結果として、図8a〜8cに示されるように、シート組立体は異なる使用状況に応じて変更され得る。
【0054】
ほぼ上方及び後方に延びる二本の押し棒3を有するフレームを具備する本発明によるベビーカー1は、前記二本の押し棒3に取り付けられたシート8を好適に具備しており、前記シート8は、バケットの形にされた柔軟な薄板材料から実質的に構成されており、前記薄板の背もたれ17に少なくとも一つのV字形延長部分15が設けられていて、前記V字形の開放側が背もたれ17の頂部側で延びている。またシート8は、背もたれ17の傾きを減ずるために、V字形部分15の脚を接合するための接続手段16を好適に具備している。より好適には、接続手段16はジッパーを具備している。なお更好適には、二つのV字形延長部分15が設けられて、背もたれ17の各々の側に一つ設けられる。
【0055】
通常のベビーカー及び小型ベビーカーのように後ろ側で支持されることのないフレームから製品が構成される一方で、リクライニング機能のための空間がある。支持フレームの無いことが乳児の怪我を防止する。
【0056】
本発明の一つの目的は、運搬と保管が簡単なパッケージを生み出すことである。市場における昨今の製品はコンパクトなパッケージを約束するが、多くのパッケージはそれを手に持つための良好な解決法に欠けている。
【0057】
説明された本発明は、書類かばんに類似の小さくて平たいパッケージを生み出すことによってこの問題を解決する。図11に示されるように、パッケージは、組み込まれたグリップを有しており、かばん又は書類かばんに類似する折畳まれた製品を運ぶことを可能にする。パッケージが薄いことにより、重量は必然的にグリップと一線に分布される。重力が製品の中心線から遠く離れないので、運搬中の製品の回転が防止される。
【0058】
パッケージの小さな体積と均一な形状が、製品の簡単な保管を可能にする。折畳まれた製品の高さは制限され、従って平らなパッケージを生み出す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15
図16