【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の目的は、本発明によれば、請求項1の特徴を備える掘削ホイール及び請求項14の特徴を備える方法によって達成される。本発明の好ましい実施形態は、各従属請求項に示される。
【0011】
本発明によれば、掘削ホイールにおいて、少なくとも一つの外周列に、略尖頭の除去チップを有するチゼルと、略直線状の刃先を有する切歯の両方が掘削工具として配置されることが提供される。
【0012】
本発明に係る方法によれば、前述の方式で形成された少なくとも一つの掘削ホイールを備えるトレンチカッタが、土壌内に挿入され、掘削工具によって土壌が除去されることが提供される。
【0013】
本発明の第1の基本概念は、軟弱土壌を対象として除去を行う掘削工具、及び硬質土壌を対象として除去を行う掘削工具の両方を掘削ホイールに設けることであると考えられる。したがって、本発明に係る掘削ホイールは、土壌層の遷移部において掘削工具を変更することを必要とせずに、異なる土壌層を貫通して掘削することに適する。チゼル及び切歯は、個別の収納領域又はホルダ内に装着される。
【0014】
チゼルを利用することで、点ベースの荷重が、除去すべき物質、特に、岩等の硬い物質上に生成され、これにより、その物質が削り取られるか、又は分割される。したがって、土壌の除去は、破断プロセスによって行われる。一方、切歯又はフライス歯は、軟弱土壌内に貫入することに適しているため、土壌の除去は、実質的に掘削プロセスによって行われる。
【0015】
チゼルの場合、特に、断面が円形の軸部を有する円軸チゼルかどうかという問題があり得る。丸軸チゼルは、中空の円筒穴として設計されると好ましいチゼル収容部品内に回転可能に装着することができる。これに代わり、チゼルの軸部は、例えば、角ばった断面形状のような異なる断面形状であってもよい。
【0016】
本発明の第2の基本概念は、それぞれが特定の土壌成分に合うように構成された複数の掘削工具が、ドラム状のベースボディを取り巻く共通の外周列、又は共通の外周ラインに並べられることであると考えられる。ここで、外周列のチゼル用ホルダ及び切歯用ホルダは、掘削ホイールの回転軸に対して垂直な面に位置することが好ましい。これは、チゼル及び切歯の特定の設計により、チゼル及び切歯が、掘削ホイールの回転方向において一列に並び、ひいては、基本的に同一の円形ライン上を移動する場合に、掘削工具が過度に摩耗することを防止できるという認識に基づいている。掘削ホイールが適切に作業回転している場合、チゼルは、硬い石の層に対して、切歯よりも強力な除去作業を自動的に提供する。逆に、軟弱土壌、特に、粘性土壌の場合は、切歯が、土壌除去の大部分を担う。したがって、本発明に係る掘削ホイールを用いることで、掘削工具を交換せずに硬質土壌と軟弱土壌の両方の層を通って粉砕作業を行うことができる。
【0017】
硬質土壌層を掘削しているときの切歯の摩耗を抑制するためには、少なくとも一つのチゼルが、掘削ホイールの除去回転の方向における切歯の上流に取り付けられると好ましく、この方式において切歯は、少なくとも一つのチゼルの「除去方向の影」の中に配置される。
【0018】
「除去方向の影」は、具体的には、掘削ホイールの周方向においてチゼルの背後になる領域であると理解されたい。したがって、切歯は、掘削ホイールの軸方向の高さが同一で、周方向においてチゼルの背後に位置するように好ましく配置されるため、切歯は、チゼルによって既に処理された環状の面に沿って移動する。硬い石物質の場合、石の切断は、チゼルを利用して、その物質を破断する又は削り取ることによって行われる。これにより、大領域に亘る物質の除去は、ほとんどの場合、物質を破断することによって、尖頭の除去チップの後ろで生じる。したがって、チゼルの尖頭除去チップにより、掘削ホイールの回転時に十分な物質が全般的に除去されるため、切歯は、前方の土壌と全く接触しないか、又は僅かに接触するだけである。
【0019】
軟弱土壌物質の掘削動作の場合、物質の破断又は切り崩しを行えないため、チゼルの尖頭除去チップは、限定的な除去作用しかもたらさない。したがって、土壌の除去は、実質的に、土の中に貫入する直線状の刃先を持つ切歯によって行われる。
【0020】
硬い土壌物質を除去するときの切歯の摩耗を更に低減するためには、複数のチゼルが、掘削ホイールの除去回転の方向における切歯の上流に配置され、そのチゼルが異なる取り付け角度で並べられると有利である。切歯の刃先が掘削ホイールの軸方向に広がって、ショベルのように軟弱土壌物質を運び出せると好ましい。これに対し、チゼルの尖頭除去チップは、それぞれ比較的狭いラインしか踏破しない。硬質土壌物質の場合に、切歯によって処理される領域に可能な限り効果的な間隙を確実に保証するためには、各切歯の上流に配置された個々のチゼルを、傾けて配置、又は軸方向の傾きが各種異なるように配置して、互いに軸方向にオフセットした土壌除去ラインを各チゼルが踏破できるようにする。
【0021】
また、切歯を軸方向に設定することもできる。この場合、上流のチゼルは、傾斜した切歯の対応する姿勢に適合されると好ましい。
【0022】
硬い石の場合に、切歯の摩耗を特に高い信頼性で抑制し、かつ、土壌を効果的に除去することは、少なくとも一つの外周列に、少なくとも3つのチゼルから成るチゼル群を形成し、そのうちの第1のチゼルが可能な限り径方向外側に配置され、第2のチゼルが掘削ホイールの軸方向に横に傾けられ、第3のチゼルが逆向きの軸方向に横に傾けられることで実現する。このチゼル群は、回転方向において切歯の手前で互いに直接前後して並べられると好ましい。チゼルの傾斜角度が異なることで、掘削ホイールの軸方向の除去領域が拡大し、特に、実質的に掘削ホイールの軸方向延長部全体に沿って土壌を除去できる、いわゆる「フルカット(full cut)」を実現できる。
【0023】
切歯の摩耗の更に確実な抑制は、除去回転方向における切歯の上流に少なくとも一つのチゼルを配置し、そのチゼルの除去チップを、所定の方式で切歯の刃先よりも径方向に突出させることによって実現できる。したがって、チゼルの除去チップの、掘削ホイールの回転軸からの距離は、切歯の刃先の回転軸までの最大距離よりも大きい。このため、硬質土壌の場合は、チゼルだけが単独で前方の土壌と接触する一方で、切歯は、チゼルよりも後退して位置する。逆に、軟弱土壌の場合、チゼルは、土壌の幅の狭いラインを鋤(す)くだけであり、主な除去作業は、土壌内に突き刺さる切歯の直線状の刃先によって担われる。
【0024】
切歯は、数ミリメートルから数センチメートルの範囲の大きさだけ、チゼルよりも径方向に後退していると好ましい、5ミリメートルから3センチメートルの間、特に、1センチメートルから2.5センチメートルまでの大きさが極めて有利であることが判明している。
【0025】
本発明の好ましい実施形態において、ドラム状のベースボディの外周面に金属薄板リングが溶接され、この金属薄板リングに、外周列のチゼル及び切歯が配置されることが提供される。したがって、金属薄板リングは、チゼル及び切歯という形式の異なる掘削工具を保持すると共に、掘削ホイールのベースボディを取り巻くライン上又は外周列上の切歯とチゼルの配置を確実に維持する。金属薄板リングは、掘削ホイールの回転軸に垂直な平面に延びる。このリングは、一体の部品として形成されても、又は、複数の金属薄板リング断片から形成されてもよく、後者の場合、各金属薄板リング断片の間に空間又は間隙を設けることができる。
【0026】
本発明によれば、金属薄板リングは、チゼルを収容するように構成された、径方向に開口する第1窪み、及び切歯を収容するように構成された、径方向に開口する第2窪みを含むと好ましい。第1窪み及び第2窪みは、それぞれ異なる設計であり、切歯又はチゼルに合わせて方向決めされることが好ましい。例えば、切歯用の窪みは、U字形の取り付け領域を有する切歯を収容するためにU字形であってよい。チゼルを収容するため、又はいわゆる平歯用として、周方向に傾斜した窪みを設けることができる。ここで、平歯用の窪みは、チゼル用の窪みよりも大きく周方向に傾斜していることが好ましい。切歯又はチゼルは、金属薄板リングの窪みに直接取り付けられても、又は追加のホルダ、アダプタ、又はソケットを用いて窪みに取り付けられてもよい。
【0027】
チゼル及び切歯の両方又はそのいずれかを着脱可能に支持する複数の受けソケットが、金属薄板リングに組み込まれると好ましい。受けソケットは、好ましくは、切削工具の軸部を収容する挿入穴を含む。受けソケットは、特に、円形の固定軸を有する円軸チゼル又は円軸歯を収容するための円形の収容穴を含むことができる。特に、受けソケットは、チゼルに滑り軸受を提供でき、チゼルのベアリング軸は、除去チップを通って延びる長手方向軸線を中心に回転できるように装着される。
【0028】
複数の受けソケットは、好ましくは、金属薄板リングに任意の種々の姿勢で固定するためのドーム状のベース面を含む。受けソケット内に収容された掘削工具を取り出すために、収容穴と連通する取り出し開口が、受けソケットに形成されてよい。取り出し器具を利用して、受けソケットから掘削工具を引き抜くことができる。
【0029】
特に、フルカット掘削ホイールを提供するためには、個別の受けソケット、特に、チゼル用の受けソケットが、異なる向きで金属薄板リングに配置されると好ましい。異なる向きは、軸方向及び径方向の少なくともいずれかの角度に関して異なるものであってよい。受けソケットは、金属薄板リングに着脱可能に固定されることが好ましい。例えば、受けソケットは、金属薄板リングに溶接されても、又は嵌入されてもよく、嵌入される場合は、交換時に受けソケットを叩き出さなければならない。
【0030】
掘削ホイールの汎用性は、少なくとも一つの外周列に異なるタイプの切歯を配置することによって更に向上し得る。例えば、一部に、砂を含んだ土壌用の切歯、他の部分に粘性の土壌用の切歯を利用することができる。また、砂礫状の土壌又は軟らかい石の層のための切歯を設けることも考えられる。
【0031】
複数の外周列は、ドラム状のベースボディの外側面に形成されると好ましい。したがって、硬い石の層を貫通して効果的に掘削するためには、チゼルのみが、軸方向の少なくとも一方の外側の外周列、好ましくは、軸方向の両方の外側の外周列に配置されると有利である。ここで、チゼルは、少なくとも大部分が軸方向外側を向くように配置されると好ましい。
【0032】
掘削ホイールは、通常、掘削プレート上でトレンチカッタに装着される。トレンチカッタを降下させたときに、掘削プレートの下方の領域も切り出せるように、少なくとも一つのチゼル、若しくは切歯、又はその両方が、軸方向外側の外周列において回動可能に装着されたホルダ内に配置されると好ましい。この場合、ホルダは、チゼル及び切歯の少なくともいずれかが、掘削プレートの下方において外側に回動し、かつ、掘削プレートを通過するときに内側に回動できるように装着される。
【0033】
本発明は、土壌内にトレンチを作製するトレンチカッタにも関し、本トレンチカッタは、複数の掘削ホイールが2つ一組となって回転可能であるように取り付けられたフレームを有する。掘削ホイールは、掘削ホイール駆動部によって回転駆動することができる。それぞれ同軸に配置された少なくとも2組の掘削ホイールが、トレンチカッタの下部端に設けられると好ましい。本発明によれば、少なくとも一つの掘削ホイールが、前述したようにトレンチカッタに形成される。
【0034】
土壌内にトレンチを作製する本発明の方法によれば、掘削ステージにおいて、少なくとも大部分がチゼルによって除去される硬質土壌物質を含む少なくとも一つの土壌層と、少なくとも大部分が切歯を利用して除去される軟弱土壌物質を含む少なくとも一つの土壌層とを貫通して掘削することが好ましい。
【0035】
掘削ホイールのドラム状のベースボディは、特に、掘削ホイールのハブを構成する。このハブは、スリーブ形に形成されると好ましく、駆動部を収容するように設計することができる。
【0036】
トレンチカッタ又は掘削ホイールの動作中、掘削工具は摩耗していく。したがって、切歯及びチゼルは、掘削ホイールのホルダ内に着脱可能に固定されることが好ましい。