特許第5698315号(P5698315)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698315
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】トレンチカッタ用掘削ホイール
(51)【国際特許分類】
   E02F 5/08 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
   E02F5/08 A
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-138637(P2013-138637)
(22)【出願日】2013年7月2日
(65)【公開番号】特開2014-15830(P2014-15830A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2013年7月2日
(31)【優先権主張番号】12005091.9
(32)【優先日】2012年7月10日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】502407107
【氏名又は名称】バウアー マシーネン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルートビッヒ アンドレアス フーバー
【審査官】 ▲高▼橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−021945(JP,A)
【文献】 実開平06−004113(JP,U)
【文献】 実開平02−058083(JP,U)
【文献】 特開昭61−277724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 5/00 − 5/32
E01C 21/00 − 23/12
E21D 9/08
E21C 25/06 − 25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラム状のベースボディを有し、前記ベースボディの外周において、固定ホルダが少なくとも一つの外周列に配置され、前記固定ホルダ内に、土壌を除去する掘削工具が収容される掘削ホイールであって、
前記少なくとも一つの外周列に、略尖頭の除去チップを有するチゼルと、略直線状の刃先を有する切歯の両方が掘削工具として配置され、
3つより多くのチゼルからなるチゼル群が、前記少なくとも一つの外周列に形成されて前記掘削ホイールの除去回転の方向における一の切歯の上流に配置され、
一つの前記チゼル群をなすチゼルの各々は、当該掘削ホイールの軸方向において異なる傾きを有するように径方向に対して異なる方向に向けられており、
当該掘削ホイールが回転されたとき、前記切歯は、当該切歯に対応する前記チゼル群が形成する除去方向の影の中に位置する、
掘削ホイール。
【請求項2】
前記チゼル群に属する第1のチゼルは、径方向に沿った向きで配置され、第2のチゼルは、前記掘削ホイールの軸方向に横に傾けられ、第3のチゼルは、軸方向の逆側に横に傾けられる、請求項1に記載の掘削ホイール。
【請求項3】
記チゼルの除去チップは、所定の方式で、前記切歯の刃先よりも径方向に突出する、請求項1に記載の掘削ホイール。
【請求項4】
前記ドラム状のベースボディの外周面に金属薄板リングが溶接され、前記金属薄板リングに、前記チゼル及び前記切歯を有する一つの外周列が配置される、請求項1に記載の掘削ホイール。
【請求項5】
前記金属薄板リングは、前記チゼルを収容するように構成された、径方向に開口する第1窪みと、前記切歯を収容するように構成された、径方向に開口する第2窪みと、を含む、請求項に記載の掘削ホイール。
【請求項6】
前記金属薄板リング内に、前記チゼル及び前記切歯の少なくともいずれかを着脱可能に保持する複数の受けソケットが挿入される、請求項に記載の掘削ホイール。
【請求項7】
個々の前記受けソケットは、前記金属薄板リングにおいて、それぞれ異なる向きで配置される、請求項に記載の掘削ホイール。
【請求項8】
前記少なくとも一つの外周列に、異なるタイプの複数の切歯が配置される、請求項1に記載の掘削ホイール。
【請求項9】
複数の外周列が、前記ドラム状のベースボディの前記外周面上に形成され、
軸方向の外側に位置する少なくとも一つの外周列には、チゼルのみが配置される、請求項1に記載の掘削ホイール。
【請求項10】
少なくとも一つのチゼル、若しくは切歯、又はその両方は、軸方向外側の外周列において、回動可能に装着されたホルダに取り付けられる、請求項1に記載の掘削ホイール。
【請求項11】
複数の掘削ホイールが2つ一組で装着されたフレームを備える、土壌内にトレンチを作製するトレンチカッタであって、
少なくとも一つの掘削ホイールが、請求項1に従って形成される、トレンチカッタ。
【請求項12】
請求項11に記載のトレンチカッタであって、
前記チゼル群と少なくとも1つの前記切歯とをそれぞれ備えた少なくとも2つの外周列が、前記掘削ホイールのドラム状のベースボディに配置され、
前記フレームに少なくとも1つのスペーサ板が固定され、前記スペーサ板は、2つの外周列の間に位置するアンダーカット領域から土壌物質を除去すべく、前記フレームから前記2つの外周列の間へと突出し、前記スペーサ板の自由端の幅が、前記掘削ホイールの径方向において前記自由端より外側の領域の幅より大きい、トレンチカッタ。
【請求項13】
請求項11または12に係るトレンチカッタが土壌内に挿入され、土壌が掘削工具によって除去される、土壌内にトレンチを作製する方法。
【請求項14】
一つの掘削ステージにおいて、硬質土壌物質を有する少なくとも一つの土壌層は、少なくともその大部分が前記チゼルによって除去され、軟弱土壌物質を有する少なくとも一つの土壌層は、粉砕されて、少なくともその大部分が前記切歯を利用して除去される、請求項13に記載の方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に係るトレンチカッタ用掘削ホイール、及び請求項14に係る、地中に溝(トレンチ:trench)を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
掘削ホイールは、ドラム状のベースボディを含み、そのベースボディの外表面において、少なくとも一つの外周列に定置ホルダが並べられ、定置ホルダ内に、土壌要素を除去する掘削工具が収容される。
【0003】
土壌要素を除去するための異なる掘削工具が知られている。柔らかい土と石の層、例えば、砂礫等の、砂を含んだ粘性物質の除去では、ほとんどの状況において、一つ以上の直線形の刃先を持つ切歯が使用される。土は、刃先の掘削作用によって実質的にほぐされて運び出される。これに対して、硬質土壌物質の場合、略尖頭の除去チップを備えるチゼルが利用される。尖頭チップは、硬い物質が割れて剥がれ落ちるように、硬い物質を砕くことができる。従来の技術によれば、種々の付属品を有する掘削ホイールを土壌の組成に応じて利用している。
【0004】
しかしながら、地中で掘削しているときには、硬さが異なる土と石の層が交互に現れることが多い。この場合、硬質土壌層と軟弱土壌層の間の各遷移部において、掘削ホイールが交換されるか、又は掘削ホイールに新しい掘削工具セットが取り付けられる。このため、層が遷移する場合には、作製されたトレンチからトレンチカッタを引き上げ、掘削ホイール又は掘削工具を適切に交換した後で、再びトレンチカッタをトレンチ内に降下させる必要がある。掘削ホイール又は掘削工具の交換には、多大な時間と人員が必要である。
【0005】
特許文献1に、切歯が装着された複数の掘削ホイールを備えるトレンチカッタが示されている。したがって、このトレンチカッタは、軟弱土壌タイプの除去に特に適する。
【0006】
特許文献2には、チゼルが設けられた掘削ホイールが記載されている。
【0007】
特許文献3は、土壌物質と懸濁液を混合する混合羽根が設けられた掘削ホイールを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2020462号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2060375号明細書
【特許文献3】欧州特許第1632610号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、極めて経済的かつ迅速なトレンチの作製が容易に行える掘削ホイール、及び土壌内にトレンチを作製する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の目的は、本発明によれば、請求項1の特徴を備える掘削ホイール及び請求項14の特徴を備える方法によって達成される。本発明の好ましい実施形態は、各従属請求項に示される。
【0011】
本発明によれば、掘削ホイールにおいて、少なくとも一つの外周列に、略尖頭の除去チップを有するチゼルと、略直線状の刃先を有する切歯の両方が掘削工具として配置されることが提供される。
【0012】
本発明に係る方法によれば、前述の方式で形成された少なくとも一つの掘削ホイールを備えるトレンチカッタが、土壌内に挿入され、掘削工具によって土壌が除去されることが提供される。
【0013】
本発明の第1の基本概念は、軟弱土壌を対象として除去を行う掘削工具、及び硬質土壌を対象として除去を行う掘削工具の両方を掘削ホイールに設けることであると考えられる。したがって、本発明に係る掘削ホイールは、土壌層の遷移部において掘削工具を変更することを必要とせずに、異なる土壌層を貫通して掘削することに適する。チゼル及び切歯は、個別の収納領域又はホルダ内に装着される。
【0014】
チゼルを利用することで、点ベースの荷重が、除去すべき物質、特に、岩等の硬い物質上に生成され、これにより、その物質が削り取られるか、又は分割される。したがって、土壌の除去は、破断プロセスによって行われる。一方、切歯又はフライス歯は、軟弱土壌内に貫入することに適しているため、土壌の除去は、実質的に掘削プロセスによって行われる。
【0015】
チゼルの場合、特に、断面が円形の軸部を有する円軸チゼルかどうかという問題があり得る。丸軸チゼルは、中空の円筒穴として設計されると好ましいチゼル収容部品内に回転可能に装着することができる。これに代わり、チゼルの軸部は、例えば、角ばった断面形状のような異なる断面形状であってもよい。
【0016】
本発明の第2の基本概念は、それぞれが特定の土壌成分に合うように構成された複数の掘削工具が、ドラム状のベースボディを取り巻く共通の外周列、又は共通の外周ラインに並べられることであると考えられる。ここで、外周列のチゼル用ホルダ及び切歯用ホルダは、掘削ホイールの回転軸に対して垂直な面に位置することが好ましい。これは、チゼル及び切歯の特定の設計により、チゼル及び切歯が、掘削ホイールの回転方向において一列に並び、ひいては、基本的に同一の円形ライン上を移動する場合に、掘削工具が過度に摩耗することを防止できるという認識に基づいている。掘削ホイールが適切に作業回転している場合、チゼルは、硬い石の層に対して、切歯よりも強力な除去作業を自動的に提供する。逆に、軟弱土壌、特に、粘性土壌の場合は、切歯が、土壌除去の大部分を担う。したがって、本発明に係る掘削ホイールを用いることで、掘削工具を交換せずに硬質土壌と軟弱土壌の両方の層を通って粉砕作業を行うことができる。
【0017】
硬質土壌層を掘削しているときの切歯の摩耗を抑制するためには、少なくとも一つのチゼルが、掘削ホイールの除去回転の方向における切歯の上流に取り付けられると好ましく、この方式において切歯は、少なくとも一つのチゼルの「除去方向の影」の中に配置される。
【0018】
「除去方向の影」は、具体的には、掘削ホイールの周方向においてチゼルの背後になる領域であると理解されたい。したがって、切歯は、掘削ホイールの軸方向の高さが同一で、周方向においてチゼルの背後に位置するように好ましく配置されるため、切歯は、チゼルによって既に処理された環状の面に沿って移動する。硬い石物質の場合、石の切断は、チゼルを利用して、その物質を破断する又は削り取ることによって行われる。これにより、大領域に亘る物質の除去は、ほとんどの場合、物質を破断することによって、尖頭の除去チップの後ろで生じる。したがって、チゼルの尖頭除去チップにより、掘削ホイールの回転時に十分な物質が全般的に除去されるため、切歯は、前方の土壌と全く接触しないか、又は僅かに接触するだけである。
【0019】
軟弱土壌物質の掘削動作の場合、物質の破断又は切り崩しを行えないため、チゼルの尖頭除去チップは、限定的な除去作用しかもたらさない。したがって、土壌の除去は、実質的に、土の中に貫入する直線状の刃先を持つ切歯によって行われる。
【0020】
硬い土壌物質を除去するときの切歯の摩耗を更に低減するためには、複数のチゼルが、掘削ホイールの除去回転の方向における切歯の上流に配置され、そのチゼルが異なる取り付け角度で並べられると有利である。切歯の刃先が掘削ホイールの軸方向に広がって、ショベルのように軟弱土壌物質を運び出せると好ましい。これに対し、チゼルの尖頭除去チップは、それぞれ比較的狭いラインしか踏破しない。硬質土壌物質の場合に、切歯によって処理される領域に可能な限り効果的な間隙を確実に保証するためには、各切歯の上流に配置された個々のチゼルを、傾けて配置、又は軸方向の傾きが各種異なるように配置して、互いに軸方向にオフセットした土壌除去ラインを各チゼルが踏破できるようにする。
【0021】
また、切歯を軸方向に設定することもできる。この場合、上流のチゼルは、傾斜した切歯の対応する姿勢に適合されると好ましい。
【0022】
硬い石の場合に、切歯の摩耗を特に高い信頼性で抑制し、かつ、土壌を効果的に除去することは、少なくとも一つの外周列に、少なくとも3つのチゼルから成るチゼル群を形成し、そのうちの第1のチゼルが可能な限り径方向外側に配置され、第2のチゼルが掘削ホイールの軸方向に横に傾けられ、第3のチゼルが逆向きの軸方向に横に傾けられることで実現する。このチゼル群は、回転方向において切歯の手前で互いに直接前後して並べられると好ましい。チゼルの傾斜角度が異なることで、掘削ホイールの軸方向の除去領域が拡大し、特に、実質的に掘削ホイールの軸方向延長部全体に沿って土壌を除去できる、いわゆる「フルカット(full cut)」を実現できる。
【0023】
切歯の摩耗の更に確実な抑制は、除去回転方向における切歯の上流に少なくとも一つのチゼルを配置し、そのチゼルの除去チップを、所定の方式で切歯の刃先よりも径方向に突出させることによって実現できる。したがって、チゼルの除去チップの、掘削ホイールの回転軸からの距離は、切歯の刃先の回転軸までの最大距離よりも大きい。このため、硬質土壌の場合は、チゼルだけが単独で前方の土壌と接触する一方で、切歯は、チゼルよりも後退して位置する。逆に、軟弱土壌の場合、チゼルは、土壌の幅の狭いラインを鋤(す)くだけであり、主な除去作業は、土壌内に突き刺さる切歯の直線状の刃先によって担われる。
【0024】
切歯は、数ミリメートルから数センチメートルの範囲の大きさだけ、チゼルよりも径方向に後退していると好ましい、5ミリメートルから3センチメートルの間、特に、1センチメートルから2.5センチメートルまでの大きさが極めて有利であることが判明している。
【0025】
本発明の好ましい実施形態において、ドラム状のベースボディの外周面に金属薄板リングが溶接され、この金属薄板リングに、外周列のチゼル及び切歯が配置されることが提供される。したがって、金属薄板リングは、チゼル及び切歯という形式の異なる掘削工具を保持すると共に、掘削ホイールのベースボディを取り巻くライン上又は外周列上の切歯とチゼルの配置を確実に維持する。金属薄板リングは、掘削ホイールの回転軸に垂直な平面に延びる。このリングは、一体の部品として形成されても、又は、複数の金属薄板リング断片から形成されてもよく、後者の場合、各金属薄板リング断片の間に空間又は間隙を設けることができる。
【0026】
本発明によれば、金属薄板リングは、チゼルを収容するように構成された、径方向に開口する第1窪み、及び切歯を収容するように構成された、径方向に開口する第2窪みを含むと好ましい。第1窪み及び第2窪みは、それぞれ異なる設計であり、切歯又はチゼルに合わせて方向決めされることが好ましい。例えば、切歯用の窪みは、U字形の取り付け領域を有する切歯を収容するためにU字形であってよい。チゼルを収容するため、又はいわゆる平歯用として、周方向に傾斜した窪みを設けることができる。ここで、平歯用の窪みは、チゼル用の窪みよりも大きく周方向に傾斜していることが好ましい。切歯又はチゼルは、金属薄板リングの窪みに直接取り付けられても、又は追加のホルダ、アダプタ、又はソケットを用いて窪みに取り付けられてもよい。
【0027】
チゼル及び切歯の両方又はそのいずれかを着脱可能に支持する複数の受けソケットが、金属薄板リングに組み込まれると好ましい。受けソケットは、好ましくは、切削工具の軸部を収容する挿入穴を含む。受けソケットは、特に、円形の固定軸を有する円軸チゼル又は円軸歯を収容するための円形の収容穴を含むことができる。特に、受けソケットは、チゼルに滑り軸受を提供でき、チゼルのベアリング軸は、除去チップを通って延びる長手方向軸線を中心に回転できるように装着される。
【0028】
複数の受けソケットは、好ましくは、金属薄板リングに任意の種々の姿勢で固定するためのドーム状のベース面を含む。受けソケット内に収容された掘削工具を取り出すために、収容穴と連通する取り出し開口が、受けソケットに形成されてよい。取り出し器具を利用して、受けソケットから掘削工具を引き抜くことができる。
【0029】
特に、フルカット掘削ホイールを提供するためには、個別の受けソケット、特に、チゼル用の受けソケットが、異なる向きで金属薄板リングに配置されると好ましい。異なる向きは、軸方向及び径方向の少なくともいずれかの角度に関して異なるものであってよい。受けソケットは、金属薄板リングに着脱可能に固定されることが好ましい。例えば、受けソケットは、金属薄板リングに溶接されても、又は嵌入されてもよく、嵌入される場合は、交換時に受けソケットを叩き出さなければならない。
【0030】
掘削ホイールの汎用性は、少なくとも一つの外周列に異なるタイプの切歯を配置することによって更に向上し得る。例えば、一部に、砂を含んだ土壌用の切歯、他の部分に粘性の土壌用の切歯を利用することができる。また、砂礫状の土壌又は軟らかい石の層のための切歯を設けることも考えられる。
【0031】
複数の外周列は、ドラム状のベースボディの外側面に形成されると好ましい。したがって、硬い石の層を貫通して効果的に掘削するためには、チゼルのみが、軸方向の少なくとも一方の外側の外周列、好ましくは、軸方向の両方の外側の外周列に配置されると有利である。ここで、チゼルは、少なくとも大部分が軸方向外側を向くように配置されると好ましい。
【0032】
掘削ホイールは、通常、掘削プレート上でトレンチカッタに装着される。トレンチカッタを降下させたときに、掘削プレートの下方の領域も切り出せるように、少なくとも一つのチゼル、若しくは切歯、又はその両方が、軸方向外側の外周列において回動可能に装着されたホルダ内に配置されると好ましい。この場合、ホルダは、チゼル及び切歯の少なくともいずれかが、掘削プレートの下方において外側に回動し、かつ、掘削プレートを通過するときに内側に回動できるように装着される。
【0033】
本発明は、土壌内にトレンチを作製するトレンチカッタにも関し、本トレンチカッタは、複数の掘削ホイールが2つ一組となって回転可能であるように取り付けられたフレームを有する。掘削ホイールは、掘削ホイール駆動部によって回転駆動することができる。それぞれ同軸に配置された少なくとも2組の掘削ホイールが、トレンチカッタの下部端に設けられると好ましい。本発明によれば、少なくとも一つの掘削ホイールが、前述したようにトレンチカッタに形成される。
【0034】
土壌内にトレンチを作製する本発明の方法によれば、掘削ステージにおいて、少なくとも大部分がチゼルによって除去される硬質土壌物質を含む少なくとも一つの土壌層と、少なくとも大部分が切歯を利用して除去される軟弱土壌物質を含む少なくとも一つの土壌層とを貫通して掘削することが好ましい。
【0035】
掘削ホイールのドラム状のベースボディは、特に、掘削ホイールのハブを構成する。このハブは、スリーブ形に形成されると好ましく、駆動部を収容するように設計することができる。
【0036】
トレンチカッタ又は掘削ホイールの動作中、掘削工具は摩耗していく。したがって、切歯及びチゼルは、掘削ホイールのホルダ内に着脱可能に固定されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明に係る掘削ホイールを示す斜視図である。
図2】掘削ホイールの側面図である。
図3】本発明の複数の掘削ホイールが配置されたトレンチカッタを示す図である。
図4】スペーサ板の領域における、本発明に係る掘削ホイールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
次に、本発明について、付属の模式図を参照しながら更に説明する。
同様の構成要素又は同様の効果を奏する構成要素には、全ての図において同じ参照記号が付されている。
【0039】
図面に示した掘削ホイール10は、掘削ホイールのハブを形成するドラム状のベースボディ12を含む。チゼル40及び切歯50の形式での複数の掘削工具が、掘削ホイール10の外側の円筒シェル面16上で、複数の外周列14に配置される。一つの外周列14に、チゼル40と切歯50が交互に並べられる。
【0040】
掘削ホイール10は、掘削工具を収容して保持する複数の定置すなわち不動のホルダ30を含む。ホルダ30は、金属薄板リング20から形成され、その金属薄板リング20に、受けソケット32又はチゼルホルダを挿入して、掘削工具を収容することができる。チゼル40及び切歯50は、互いに間隔を空けて位置する独立した収容領域に配置される。
【0041】
掘削ホイール10の環状外装面は、掘削ホイール10の回転軸に垂直な平面に延びる複数の金属薄板リング20を、軸方向に所定の間隔を空けて保持する。この金属薄板リング20は、径方向及び掘削ホイール10の周方向に延びており、個別の金属薄板リング断片22から作製できる。個々の金属薄板リング断片22は、チゼル40及び切歯50の両方をそれぞれ保持できる。
【0042】
金属薄板リング20には、径方向外側に開いた、それぞれ異なる窪み24,25,26が形成され、その中に、チゼル40又は切歯50を固定式に保持することができる。
【0043】
図示した実施形態のチゼル40は、円筒の固定軸を有する、いわゆる丸軸チゼルである。チゼル40は、チゼル40の中心軸に配置された略尖頭の除去チップ42を有する。チゼル40は、ドーム状に形成された受けソケット32に挿入される。受けソケット32は、固定軸を収容する収容穴を有する。チゼル40は、受けソケット32内に回転可能に取り付けられてよい。
【0044】
切歯50又はフライス歯として、掘削ホイール10は、大面積に亘る土壌の除去用に、直線状のブレード又は刃先52を有する複数の平歯54を含む。切歯50又は平歯54は、受けソケット32内に同様に収容される。刃先52は、切歯50の軸方向端部に配置されて、掘削ホイール50の回転軸を中心とした、切歯50の円運動経路を横断する方向に延びる。この刃先52は、軟弱土壌物質内に貫入して、刃先52の長さ全体でこの軟弱土壌物質を除去するように設計される。平歯54は、受けソケット32内に挿入されて固定される軸部を含む。また、直線状の刃先を持つ更なる切歯又はフライス歯のための略馬蹄形の受け要素26が、金属薄板リング20上に設けられる。
【0045】
複数のチゼル40が、掘削ホイール10の回転方向における各切歯の上流に配置される。切歯50の上流に配置されたチゼル40は、それぞれ異なる角度で金属薄板リング20に固定される。ここで、対応する受けソケット32は、チゼル40の交換が容易になるように、異なる向きで金属薄板リング20に固定方式で取り付けられ、チゼル40は、受けソケット32内に、交換可能な方式で収容される。
【0046】
掘削ホイール10によるフルカットを生成するために、少なくとも数個のチゼル40は、外周列14に、軸方向に向いた第1方向で配置され、他のチゼル40は、軸方向に向いた逆向きに配置される。切歯50の上流に配置されたチゼル40は、切歯50の向きに合わせて配置される。例えば、切歯50が軸方向に向いた姿勢であると、その上流のチゼル40も一致した軸方向に向いた姿勢になる。
【0047】
硬い石、例えば、岩を掘削しているときの切歯50の摩耗を最小限に抑えるため、チゼル40は、径方向において、特定の大きさだけ切歯50から突き出てよい。
【0048】
複数のチゼル40は、掘削プレートに面した掘削ホイール10の軸方向内側において、回動可能に装着されたホルダ36に収容される。回動可能なホルダ36により、土壌は、掘削プレート4の下方において外側に回動することによって除去されるが、チゼル40は、上方領域において、掘削プレートを避けるために内側に回動することができる。外側の外周列14aには、チゼル40のみが配置されるのに対し、内側の各外周列には、チゼル40と切歯50の両方が本発明に従って配設される。
【0049】
図3に、それぞれ水平方向に回転軸を有する複数の掘削ホイール10を備えた、本発明に係るトレンチカッタ1の側面図を示す。本実施形態において、定置式切歯50及び回動可能に装着されたチゼル40が、外側の外周列に配置される。トレンチカッタ1は、複数の掘削ホイール10が2つ一組で回転可能に装着されるフレーム2を含む。フレーム2は、一組の掘削ホイールを取り付けるための個別の掘削プレート4を含み、各掘削プレート4は、2つの掘削ホイール10の間に設けられて、掘削ホイール10を保持する。図3から推察できるように、金属薄板リング20は、図示した実施形態において、個別の独立した金属薄板リング断片22から構成される。トレンチ内に支持媒体若しくは硬化性懸濁液を供給するため、又は除去した土壌を運び出すために、下端に開口部が形成された輸送ライン6が設けられる。
【0050】
掘削ホール10の各外周列14の間に、スペーサ板60を嵌めることができ、これらのスペーサ板60は、フレーム2に固定されて、外周列14の間の中間領域15から土壌を運び出す。図3には、掘削工具の互いに隣接した2つの外周列14の間の領域からの掃き出しを行う2つのスペーサ板60が模式的に図示されている。これらのスペーサ板60は、特に、保持プレートの間の領域に詰まり得る軟らかい土又は粘性物質を除去する役割を担う。土壌物質を運び去ることに加え、スペーサ板60は、掘削工具によって上方に搬送される硬質の物質、例えば石等を細かくするように形成されて配置されてもよい。スペーサ板60は、土壌物質を案内するガイド板又はガイド面68を含む。また、石を細かくするために、破砕又は細分化エッジ70が設けられる。
【0051】
図4に、掘削ホイール10の回転軸11に平行な平面に沿って切断した、掘削ホイール10の部分断面図を示す。チゼル40の形式の掘削工具は、他の部材と共に、板状のホルダ30の径方向外側に位置する領域に配置される。図4に示すように、チゼル40の幅は、板状のホルダ30の幅よりも大きくてよい。したがって、チゼル40は、板状のホルダ30よりも掘削ホイール10の軸方向において突出している。したがって、アンダーカット領域18が、チゼル40と、掘削ホイールドラムとも呼ばれるドラム状のベースボディ12との間に形成される。アンダーカット領域18は、その径方向外側がチゼル40によって画定される。
【0052】
少なくとも一つのスペーサ板60が、トレンチカッタ1のフレーム2に固定された状態で、外周列14の間の中間スペース15に嵌り込む。スペーサ板60は、フレーム2に固定される固定区画61を含む。また、スペーサ板60は、掘削工具の間の径方向外側領域62と、2つのホルダ30の間で径方向内側に位置する自由端64とを含む。
【0053】
突出部66が、スペーサ板の自由端64又は径方向内側の領域に形成される。この突出部66は、掘削工具内で径方向内側に形成されたアンダーカット領域18に突出する。突出部66は、スペーサ板60の幅広領域となる。スペーサ板60は、その自由端64において、径方向外側領域62よりも幅広である。より詳細には、スペーサ板60は、その自由端64の幅が、2つの掘削工具の間に延びる領域の幅よりも広い。
【0054】
スペーサ板60は、2つの外周列14の間で、2つの隣接したアンダーカット領域18内に突出する略三角形の断面領域を有する。この三角形の断面領域は、自由端64から掘削工具の間の領域まで径方向外側に延びる。スペーサ板60の自由端64の幅は、基本的に、2つの隣接した板状ホルダ30の間の距離に相当し、径方向外側領域62の幅は、隣接する外周列14の2つの掘削工具の間の距離にほぼ匹敵する。
【0055】
次に、好ましいチゼル状の掘削工具40の設計について、図4を参照しながら説明する。チゼル40、例えば、丸軸チゼルの形式の掘削工具は、複数の尖頭除去チップ42を含み、除去チップ42は、チゼル頭部に環状に配置される。図4は、掘削ホイール10の回転方向の側面図において、チゼル40を示している。軸方向外側の除去チップ42aは、径方向の姿勢が、軸方向内側の除去チップ42bよりも大きく傾斜している。また、軸方向外側の除去チップ42a間の軸方向の距離は、軸方向内側の除去チップ42b間の距離よりも小さい。掘削工具のこのような設計により、掘削ホイール10による極めて効果的なフルカットを実現できる。より傾斜した外側の除去チップ42aにより、土壌100の効果的な削り落しが確実に行われるため、スペーサ板60が突出する場所である2つの外周列14の間の領域においても、土壌100を効果的に除去することができる。
【0056】
図示した掘削工具を用いた土壌100の除去の様子が、図4の上部の図に模式的に示されている。本発明に従って配置された除去チップ42により、掘削ホイール10が規定通りに回転した時に、断面がトラフ状の除去面が得られる。
【0057】
本発明に係るスペーサ板60は、2つの外周列14の間のアンダーカット領域18から土壌物質を確実に除去するため、外周列14の間の中間スペース15の詰まりが防止されて、掘削プロセスの効率が向上する。特に、スペーサ板の突出部66は、掘削ホイールがチゼル40を備える場合に、保持プレート30の間の中間スペース15から、硬質土壌物質、特に岩や石の層を確実に除去する能力を提供する。スペーサ板60は、特に、異なる掘削工具、例えば、直線状の刃先を持つ歯と、尖頭の除去チップを備えるチゼルの両方を備える掘削ホイールに用いることにも適する。
【0058】
本発明に係るトレンチカッタ及び本発明に係る掘削ホイールにより、特に、硬さが異なる複数の土壌層を掘削する場合に、掘削溝が、極めて効率的かつ経済的に容易に作製される。本発明に係る掘削ホイールは、多機能ホイールを構成する。
図1
図2
図3
図4