(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5698336
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】抗菌性部材
(51)【国際特許分類】
A01N 59/16 20060101AFI20150319BHJP
A01N 59/06 20060101ALI20150319BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20150319BHJP
A01N 25/34 20060101ALI20150319BHJP
A23L 3/358 20060101ALN20150319BHJP
【FI】
A01N59/16 Z
A01N59/06 Z
A01P3/00
A01N25/34 A
!A23L3/358
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-273793(P2013-273793)
(22)【出願日】2013年12月13日
【審査請求日】2014年8月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501011875
【氏名又は名称】井上 直史
(72)【発明者】
【氏名】井上 直史
【審査官】
太田 千香子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−075942(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/132919(WO,A1)
【文献】
特開2013−236808(JP,A)
【文献】
特開平10−305532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 59/06
A01N 59/16
A01N 25/34
B32B 15/08
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの基材、および前記基材に固着された少なくとも一つのプラスチックフイルムからなる部材において、前記基材あるいは/および前記基材と前記プラスチックフイルムの間に存在するいずれかの組成物の少なくとも一つに無機系抗菌剤が含有されており、かつ前記プラスチックフイルムには無機系抗菌剤が含有されてなく、無機系抗菌剤を含有する前記基材および前記組成物は直接内容物に接触することが無く、前記プラスチックフイルムの膜厚が4〜10μmであることを特徴とする抗菌性部材。
【請求項2】
前記無機系抗菌剤がZnイオン(成分1)、およびアルカリ土類金属、アルミニウム、ケイ素のイオンの内少なくとも1種(成分2)を含有した酸化物あるいは水酸化物であることを特徴とする請求項1記載の抗菌性部材。
【請求項3】
前記基材が紙あるいはプラスチックからなることを特徴とする請求項1記載の抗菌性部材。
【請求項4】
前記プラスチックフイルムがポリエチレンあるいはポリプロピレンであることを特徴とする請求項1記載の抗菌性部材。
【請求項5】
前記無機系抗菌剤が下記式(1)で表される固溶体であることを特徴とする請求項1記載の抗菌性部材。
(ZnO)x(Al2O3)1-x (1)
(式中、xは0.5<x<0.98である)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器等に用いる抗菌性部材に関する。
【背景技術】
【0002】
牛乳、調味料、弁当、その他多くの食品、医薬品を保護する容器等の部材の抗菌手段は種々提案され実行されてきた。特に有機系の抗菌剤が主として用いられてきた。しかし、抗菌剤の特性が適切でないこと、および抗菌剤の使用法が適切でないため、従来の抗菌性部材は抗菌効果を十分発揮できない、あるいは内容物に悪影響があり、さらには人体に害があると言った欠点を有している。例えば、有機系抗菌剤は揮発性があり使用中に散逸し抗菌効果を失う欠点があるばかりでなく、人体に有害でシックハウス、アレルギー、その他健康を害することがあり好ましくない。一方、無機系抗菌剤としては銀系抗菌剤が主として用いられてきたが、塩素を含有する水道水、硫黄化合物を含有する酸性雨、尿等によりにより抗菌効果を失う、あるいは変色する、また太陽光等の光により、あるいは熱により変色すると言った商品価値を失う欠点があった。
【0003】
抗菌性部材による抗菌効果が不十分であると、内容物の食品が腐敗し商品価値を失うだけでなく健康問題を生じる恐れがある。また、かび、細菌の発生により腐敗のみならず、異臭の発生、変色等の好ましくない変化を生じることもある。そのため、食品に悪影響がなく、十分な抗菌効果を発揮する抗菌性部材が求められていた。特に牛乳は抵抗力の小さい幼児が飲むことが多いことと、栄養素の破壊を防ぐため低温で殺菌することが好まれているため、牛乳の容器に適した抗菌性部材が求められている。また弁当は高温で保管され菌が繁殖し易いため、カット野菜は鮮度を保つことが重要なため、いずれもそれらに適した良好な抗菌性部材が求められている。また、簡便で、取扱い容易で、種々な方法で食品等に接触させることで抗菌性を発揮できる抗菌性部材が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内容物である食品、医薬品等に悪影響がなく、十分な抗菌性能を持ち、その抗菌性能が長期間持続し、簡便で安価に製造可能な抗菌性部材を提供することである。特に牛乳、弁当に適した容器あるいは添加物の形で抗菌性を付与できる抗菌性部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)少なくとも一つの基材、および前記基材に固着された少なくとも一つのプラスチックフイルムからなる部材において、前記基材あるいは/および前記基材と前記プラスチックフイルムの間に存在するいずれかの組成物の少なくとも一つに無機系抗菌剤が含有されており、かつ前記プラスチックフイルムには無機系抗菌剤が含有されてなく、無機系抗菌剤を含有する前記基材および前記組成物は直接内容物に接触することが無く、前記プラスチックフイルムの膜厚が4〜10μmであることを特徴とする抗菌性部材。
(2)前記無機系抗菌剤がZnイオン(成分1)、およびアルカリ土類金属、アルミニウム、ケイ素のイオンの内少なくとも1種(成分2)を含有した酸化物あるいは水酸化物であることを特徴とする請求項1記載の抗菌性部材。
(3)前記基材が紙あるいはプラスチックからなることを特徴とする請求項1記載の抗菌性部材。
(4)前記プラスチックフイルムがポリエチレンあるいはポリプロピレンであることを特徴とする請求項1記載の抗菌性部材。
(5)前記無機系抗菌剤が下記式(1)で表される固溶体であることを特徴とする請求項1記載の抗菌性部材。
(ZnO)
x(Al
2O
3)
1-x (1)
(式中、xは0.5<x<0.98である)
【0006】
(4)前記基材が紙あるいはプラスチックからなる第1項に記載の抗菌性部材。
(5)前記プラスチックフイルムの膜厚が0.2〜10μmである第1項に記載の抗菌性部材。
(6)前記プラスチックフイルムがポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂である第1項に記載の抗菌性部材。
(7)前記無機系抗菌剤が下記式(1)で表される固溶体である第1項に記載の抗菌性部材。
(ZnO)
x(Al
2O
3)
1−x (1)
(式中、xは0.5<x<0.98である)
【発明の効果】
【0007】
内容物である食品、医薬品に悪影響がなく、十分な抗菌性能を持ち、その抗菌性能が長期間持続し、簡便で安価に製造可能な抗菌性部材を提供することができた。特に牛乳、弁当の保存に適した抗菌性部材を提供することができた。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の無機系抗菌剤はZnイオン(成分1)、およびアルカリ土類金属、アルミニウム、ケイ素イオンの内少なくとも1種(成分2)を含有した酸化物あるいは水酸化物であることが好ましい。アルカリ土類金属イオンとしてはMgイオン、Caイオンがより好ましく、Mgイオンが最も好ましい。また水酸化物より酸化物がより好ましい。最も好ましい無機系抗菌剤は下記式(1)で表されものある。さらに固溶体であることがより好ましい。
(ZnO)
x(Al
2O
3)
1-x (1)
(式中、xは0.5<x<0.98である)
【0009】
本発明の無機系抗菌剤は表面処理されることが好ましい。表面処理剤として好ましく用いられるものは、高級脂肪酸、アニオン系界面活性剤、リン酸エステル、カップリング剤(シラン系、チタネート系、アルミニウム系)および多価アルコールと脂肪酸のエステル類であり、さらにステアリン酸、エルカ酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ベヘニン酸等の炭素数10以上の高級脂肪酸類および前記高級脂肪酸のアルカリ金属塩が特に好ましい。
【0010】
本発明の無機系抗菌剤の粒度D50%が0.05〜20μmが好ましく、0.05〜10μmがより好ましく、0.05〜5μmがさらに好ましい。粒子サイズは、5分間以上超音波で分散させられた後に、レーザー散乱法で測定した値である。
抗菌剤のBET表面積は重要な指標である。一般に抗菌効果を迅速に働かすためには、極めて大きいBET表面積が好ましい。しかし、一方では抗菌効果を持続させるためにはある程度以下の値にする必要がある。そのため、BET表面積は1〜300m
2/gが好ましく、5〜150m
2/gがより好ましく、10〜100m
2/gがさらに好ましい。
【0011】
本発明に用いられる無機系抗菌剤の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。( )内の数字は順に、BET表面積(m
2/g)、粒度D50%(μm)を表す)
(A−1)(ZnO)
0.96(Al
2O
3)
0.04 (30、0.5)
(A−2)A−1の表面をラウリン酸ナトリウムで修飾した無機系抗菌剤粒子
(A−3)Zn
0.14Mg
0.86O(28、0.6)
(A−4)Zn
0.05Ca
0.95O(30、0.5)
これらはいずれも固溶体であることが、X線回折スペクトルにより確認された。
【0012】
本発明に用いられるプラスチックフィルムの膜厚は0.3〜50μmが好ましく、0.5〜25μmがより好ましく、4.0〜10μmが最も好ましい。
【0013】
本発明のプラスチックフィルムの材質としては、天然高分子材料、再生高分子材料、合成高分子材料いずれでも好ましいが、合成高分子が好ましく、いわゆる汎用樹脂でも、エラストマーでも、エンジニアリングプラスチックでもいずれも好ましく用いられる。
本発明のプラスチックフィルムに用いられる合成高分子材料はいわゆる樹脂類が好ましい。樹脂類の例としては、熱可塑性合成樹脂と熱硬化性合成樹脂があり、熱可塑性合成樹脂がより好ましい。
本発明のプラスチックフイルムの材質としては特に限定されるものでは無いが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン、アイオノマー、ポリビニルアルコール、塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリイミドが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートがさらに好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂が最も好ましい。
【0014】
本発明の基材に、本発明のプラスチックフイルムを固着する方法としては、特に限定されないが、押し出しラミネート法(ドライラミネート法、ウェットラミネート法)、ヒートシール法、接着剤(でホットメルト接着剤も含む)で接着させる方法を用いることができる。
【0015】
本発明の基材は紙、プラスチックを用いることができる。基材に用いるプラスチックとしては天然高分子材料、再生高分子材料、合成高分子材料いずれでも好ましいが、合成高分子が好ましく、いわゆる汎用樹脂でも、エラストマーでも、エンジニアリングプラスチックでもいずれも好ましく用いられる。この中では熱可塑性樹脂が好ましい。また、その中ではポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン、塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリイミドが好ましく、さらにポポリエチレン、リプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンが最も好ましい。これらは発泡体であっても良い。
【0016】
基材に無機系抗菌剤を付与する方法は様々な方法が用いられる。たとえば、基材を無機系抗菌剤の分散物に浸漬する、基材表面に無機系抗菌剤を塗布する、無機系抗菌剤を担持したプラスチックフイルムを基材にラミネートする等の方法がある。用いる基材の全面でなく、その一部に無機系抗菌剤を付与することでも本発明の効果が得られる。
【0017】
本発明の抗菌性部材の製造方法は通常の公知の方法を用いることができる。たとえば、ポリプロピレン樹脂、あるいはポリスチレン樹脂からなる弁当箱の場合は、通常のポリプロピレン樹脂、あるいはポリスチレン樹脂から、公知の射出成形法、あるいは押出成形により厚さ0.2〜1mm程度のシートを作成し、引き続き圧空成形、真空成形等の熱成形を施す方法により製造することができる。真空成型法の方がより好ましい。
【0018】
また牛乳パックの場合は紙(基材)にポリエチレン等のオレフィン系樹脂を高温での溶融押し出し法でラミネートすることが好ましい。この樹脂フイルムがラミネートされた紙を用いて通常の方法で牛乳パックを製造することができる。
その他の部材も公知の方法で製造することができる。すなわち板状の素材を折り畳み、貼り付け、成型し作成することもでき、また型を押して成型することでも作成できる。
【0019】
本発明の抗菌性部材は牛乳パック、弁当箱、その他食品、医薬品の容器、園芸植物等の植物の保存袋あるいは容器等の様々な形態の容器にもちいることができる。また、本発明の抗菌性部材を食品等の内容物中に含有させることにより抗菌性を付与することもできる。この場合は食品等の内容物に触れる面はすべて抗菌剤を含有しないプラスチックフイルムで覆われていることが好ましい。
【実施例1】
【0020】
<無機系抗菌剤A−1の水分散物の調製:分散物Y−1>
容器(500ml)に300mlの精製水を入れ、それにカルボン酸型アニオン界面活性剤であるラウリン酸ナトリウムを2.5gを添加し、さらに無機系抗菌剤A−1を90g、1mm径のアルミナ製のボール200gを投入し、この容器を回転ローラーに載せ、ボールミル機の常法に従い48時間回転分散処理をし、無機系抗菌剤A−1の水分散物(水分散物Y−1)を調製した。
【実施例2】
【0021】
<抗菌性部材−1の作成−基材が紙>
坪量300g/m
2の板紙に無機系抗菌剤A−1を含有する水分散物Y−1を含浸させ、A−1を0.2g/m
2含有する板紙を作製した。本板紙にTダイを用いた押出ラミネート法で4μm厚のポリエチレンフイルムをラミネートした。このポリエチレンフイルムをラミネートされた板紙を折り畳み、直方体で内容量が300mlの容量の抗菌性部材−1を製造した。内容物に接触する側がポリエチレンフイルムになるように配置し、内容物が直接基材に触れないように作成した。
【実施例3】
【0022】
<抗菌性部材−2の作成−基材が発砲ポリスチレン>
無機系抗菌剤A−1を含有したウレタン接着剤を用いて、0.4mm厚のポリプロピレンの板に4μm厚ポリエチレンフイルムを接着した。接着する際ポリプロピレンの板、およびポリエチレンフイルムの各々の表面をコロナ放電処理で活性化し接着剤の接着を容易にした。このポリエチレンフイルムを接着したポリプロピレンの板を通常の成型方法で弁当の形に成型した。弁当の内容物に触れる側(内側)がポリエチレンフイルムに覆われ、内容物が直接無機系抗菌剤に触れないように作成した。なお、無機系抗菌剤の含有量は弁当箱の内側の表面積に対し0.4g/m
2であった。
【実施例4】
【0023】
<抗菌性部材−3の作製>
坪量200g/m
2の板紙に無機系抗菌剤A−1を含有する水分散物Y−1を含浸させ、A−1を0.2g/m2含有する板紙を作製した。本板紙(3cm角の正方形)の両面に4μm厚のポリエチレンフイルムを、Tダイを用いた押出ラミネート法でラミネートした。板紙の周囲を全てポリエチレンフイルムでラミネートされるように作製した。
【実施例5】
【0024】
<抗菌加工製品−抗菌性試験方法>
JISZ2801に準じた試験方法で評価した。JISZ2801(抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果)の試験細菌を大腸菌に置き換えて評価し、その試験結果を下表に示した。
【0025】
なお、JISZ2801(:2006)の抗菌性試験方法は、試験菌の前培養、試験片の調製、試験片の清浄化、試験菌液の調製、試験菌液の接種、試験菌液を接種した試験片の培養、接種した試験菌の洗い出し、寒天平板培養法による生菌数の測定という試験操作をこの順で行い、その後、測定した集落数から、式:N=C×D×V(式中、Nは生菌数(試験片1個当たり)を、Cは集落数(採用した2枚のシャーレの集落数平均値)を、Dは希釈倍数(採用したシャーレに分注した希釈液の希釈倍数)を、Vは洗い出しに用いたSCDLP培地の液量(ml)を示す)によって、生菌数を求めた。各試験片は3cm角の正方形を切り取ったものである。
【実施例6】
【0026】
(抗菌性の試験)
実施例2に記載の抗菌性部材−1のラミネートされた板紙(サンプルH1−1)、および無機系抗菌剤を用いない以外はサンプルH1−1と同様に作成したラミネートされた板紙(サンプルC1−1)を各々3cm角の正方形に切り取り、内容物が接触する側(ポリエチレンフイルムがラミネートされた側、容器の内側)に大腸菌液を接種したのちラップして27℃の水の入ったデシケータ中で24時間保存後の生菌数を測定した。
実施例3に記載の抗菌性部材−2(サンプルH2−1)、および無機系抗菌剤を用いない以外は抗サンプルH2−1と同様に作成したポリエチレンフイルムがラミネートされた発砲ポリスチレン板(サンプルC2−1)を各々3cm角の正方形に切り取り、内容物が接触する側(ポリエチレンフイルムがラミネートされた側、容器の内側)に大腸菌液を接種したのちラップして27℃の水の入ったデシケータ中で24時間保存後の生菌数を測定した。
実施例4に記載の抗菌性部材−3(サンプルH3−1)、および無機系抗菌剤を用いない以外はサンプルH3−1と同様に作製したポリエチレンフイルムがすべての面にラミネートされた板紙(サンプルC3−1)の片面に、大腸菌液を接種したのちラップして27℃の水の入ったデシケータ中で24時間保存後の生菌数を測定した。
【0027】
試験結果
サンプル名 初発菌数 対照菌数 24時間後の菌数
H1−1 5.2×10
−4 2.7×10
−4 10以下 本発明
C1−1 5.1×10
−4 2.8×10
−4 3.0×10
−4 比較例
H2−1 5.3×10
−4 3.0×10
−4 10以下 本発明
C2−1 4.9×10
−4 2.7×10
−4 2.9×10
−4 比較例
H3−1 5.1×10
−4 3.0×10
−4 10以下 本発明
C3−1 4.8×10
−4 2.7×10
−4 2.8×10
−4 比較例
本発明の抗菌性部材であるH1−1、H2−1、H3−1は、比較例C1−1、C2−1、C3−1に比べ24時間後の菌数が少なく抗菌性がより良好であり好ましかった。
【要約】
【課題】内容物である食品、医薬品等に悪影響がなく、十分な抗菌性能を持ち、その抗菌性能が長期間持続し、簡便で安価に製造可能な抗菌性部材を提供することである。特に牛乳、弁当の容器に適した抗菌性部材を提供することである。
【解決手段】
少なくとも一つの基材、および前記基材に固着された少なくとも一つのプラスチックフイルムからなる部材において、前記基材あるいは/および前記基材と前記プラスチックフイルムの間に存在するいずれかの組成物の少なくとも一つに無機系抗菌剤が含有されており、かつ前記プラスチックフイルムには無機系抗菌剤が含有されてなく、前記基材および前記組成物は直接食品等の内容物に接触することが無く、かつ前記プラスチックフイルムが直接食品等の内容物に接触する抗菌性部材による。