(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698364
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】箔押により印刷するための装置
(51)【国際特許分類】
B41F 16/00 20060101AFI20150319BHJP
B41F 19/00 20060101ALI20150319BHJP
B31B 1/88 20060101ALI20150319BHJP
B65H 41/00 20060101ALI20150319BHJP
B65C 9/28 20060101ALI20150319BHJP
B44C 1/17 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
B41F16/00 Z
B41F19/00
B31B1/88
B65H41/00 C
B65C9/28
B44C1/17
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-528541(P2013-528541)
(86)(22)【出願日】2011年8月30日
(65)【公表番号】特表2013-542866(P2013-542866A)
(43)【公表日】2013年11月28日
(86)【国際出願番号】EP2011004344
(87)【国際公開番号】WO2012034645
(87)【国際公開日】20120322
【審査請求日】2013年3月15日
(31)【優先権主張番号】10009662.7
(32)【優先日】2010年9月16日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512159605
【氏名又は名称】ボブスト メックス ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ド ガイヤンド クリストフ
【審査官】
亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−314175(JP,A)
【文献】
特開平8−300604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 16/00
B31B 1/88
B41F 19/00
B44C 1/17
B65C 9/28
B65H 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート形態の要素(10、20)を印刷するための印刷装置(300)であって、少なくとも1つの押箔(410)からの着色フィルム又は金属化フィルムを、箔押によって各シート(10、20)の上に適用するためのプラテンプレス(310)と、一連の把持バー(610)を用いて、前記プラテンプレス(310)を通して各シート(10、20)を個別に移動させる搬送手段(600)と、前記プラテンプレス(310)を出る各シート(10、20)から前記押箔(410)の各々を分離させる送風部材(320)とを含み、前記送風部材(320)は、前記把持バー(610)が前記プラテンプレス(310)の出口へ進む移動領域から動作することができる動作位置と、前記移動領域から離れた後退位置との間で運動可能に設けられることを特徴とする印刷装置(300)。
【請求項2】
前記動作位置と前記後退位置との間で、前記送風部材(320)は、前記シート(10、20)が前記プラテンプレス(310)内で進む前記移動平面に対して実質的に直交する平坦な軌道において並進運動可能に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の印刷装置(300)。
【請求項3】
前記動作位置と前記後退位置との間で、前記送風部材(320)は、前記シート(10、20)が前記プラテンプレス(310)内で進む移動平面に対して、実質的に斜めの方向に並進運動可能に設けられ、前記斜めの方向は、これが前記移動平面に近づくにつれて、前記プラテンプレス(310)に向かって合流することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の印刷装置(300)。
【請求項4】
前記動作位置と前記後退位置との間の前記送風部材(320)の運動を案内することができる第1の案内手段(330)を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の印刷装置(300)。
【請求項5】
前記送風部材(320)を前記動作位置と前記後退位置との間で動かすことができる第1の駆動手段(340)を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の印刷装置(300)。
【請求項6】
前記送風部材(320)は、前記プラテンプレス(310)の出口から距離をおいた逃げ位置へ動くこともできることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の印刷装置(300)。
【請求項7】
前記逃げ位置への前記送風部材(320)の運動を案内することができる第2の案内手段(350)を含むことを特徴とする、請求項6に記載の印刷装置(300)。
【請求項8】
前記送風部材(320)を前記逃げ位置へ動かすことができる第2の駆動手段(360)を含むことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の印刷装置(300)。
【請求項9】
前記押箔(410)の各々を、これが前記プラテンプレス(310)を出ていくときに案内することができる分流部材(370)をさらに含み、前記分流部材(370)は、前記把持バー(610)が前記プラテンプレス(310)の前記出口で進む前記移動領域において少なくとも部分的に動作することができる近接位置と、前記移動領域から離れた遠隔位置との間で運動可能に設けられることを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の印刷装置(300)。
【請求項10】
前記近接位置と前記遠隔位置との間で、前記分流部材(370)は、前記シート(10、20)が前記プラテンプレス内で進む前記移動平面に対して実質的に直交する平坦な軌道において並進運動可能に設けられることを特徴とする、請求項9に記載の印刷装置(300)。
【請求項11】
前記近接位置と前記遠隔位置との間で、前記分流部材(370)は、前記シート(10、20)が前記プラテンプレス内で進む前記移動平面に対して、実質的に斜めの方向に並進運動可能に設けられ、前記斜めの方向は、これが前記移動平面に近づくにつれて、前記プラテンプレス(310)に向かって合流することを特徴とする、請求項9または請求項10に記載の印刷装置(300)。
【請求項12】
前記近接位置と前記遠隔位置との間の前記分流部材(370)の運動を案内することができる第3の案内手段(380)を含むことを特徴とする、請求項9〜請求項11のいずれかに記載の印刷装置(300)。
【請求項13】
前記分流部材(370)を前記近接位置と前記遠隔位置との間で動かすことができる第3の駆動内手段(390)を含むことを特徴とする、請求項9〜請求項12のいずれかに記載の印刷装置(300)。
【請求項14】
シート形態の要素(10、20)を処理するための機械(1)であって、請求項1〜請求項13のいずれかに記載の少なくとも1つの印刷装置(300)を含むことを特徴とする、機械(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箔押を用いて、シート形態の要素の印刷を可能にする装置に関する。
本発明は、非排他的であるが、高級品産業を対象とした包装材料製造の分野において特に有用である。
【背景技術】
【0002】
箔押により、すなわち、一般的に金属化箔として知られる1つ又はそれ以上の押箔から取られた着色又は金属化フィルムであるシート形態の媒体に圧力をかけることにより、テキスト及び/又はパターンを印刷することは、既知の慣行である。業界において、そのような転写操作は、通常、押箔が連続的に供給される間、プレス支持体が一枚ずつ導入される垂直プラテンプレスを用いて行われる。
【0003】
標準的なプラテンプレスにおいて、箔押は、従来より、水平方向に延びる固定プラテンと、往復垂直運動可能に取り付けられたプラテンとの間で行われる。このタイプのプレスは一般に自動化されているため、各シートをプラテン間で一枚ずつ送るために、搬送手段が設けられる。実際には、この搬送手段は、通常、2つのプラテンが十分に離れたとき、シートを2つのプラテン間に引き込む前にシートの前縁を順番に把持する一連の把持バーである。
【0004】
押箔自体は、概略的には、ポリエステル型の裏当てストリップで作製され、これに着色層がワックス層によって固定される。着色層の外面はそれ自体、熱溶融接着剤の膜で被覆される。シートの場合におけるように、プレスへの押箔の供給は、各押箔を巻き戻し、押箔を、特にプラテンプレスを通過する明確に定められた供給経路内に供給することができる駆動システムによって、従来より自動化されている。一般に、かかる箔供給システムは、箔の進行を案内するために供給経路全体に沿って設置された一連の分流バーを、供給経路の下流に配置された、それぞれ各箔の運動を駆動する多数の推進軸と組み合わせる。
【0005】
各々の機械サイクルにおいて、シートが2つのプラテンの間に送られ、その間、押箔が動かされて同じ地点で同様に固定される。次いでプラテンプレスが閉じられる。プラテンプレスを閉じることにより、シートと箔は、それぞれ、プラテンの各々の上で互いに面するように配置された複数の型と鋳型との間で加圧される。型又は鋳型は加熱されるため、従ってワックスが溶融し、熱溶融接着剤が接触領域においてのみ固まり、それによって所定のパターンで色素が箔からシートに転写される。
【0006】
しかし実際には、残念なことに、箔押後プラテンプレスが再度開けられると、種々のポリエステルの裏当てストリップが、必然的にシートにくっついたままになる傾向があることが分かった。
【0007】
この困難を克服するために、押箔とシートがくっついている部分に圧縮空気の噴射を向けることにより、押箔とシートとの間の分離を強制的に行うことは既知の慣行である。これを行うために、一般に、プラテンプレスの出口に直接固定され、かつ、シートが移動する平面のできるだけ近くに、すなわち把持バーの移動領域内に直接配置された噴射ノズルを用いる送風機が用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような配置は、上部に把持器が取り付けられた把持バー、すなわち把持バーの実質的に上面で各シートを把持するように構成された把持器が取り付けられた把持バーの使用を必要とするという欠点を有する。今では、このタイプの把持器は、プラテンプレスを通したシートの最適な搬送を保証できないことが知られている。実際には、特別な形態の上部把持器により、各シートは、可動の下方プラテンから少し距離をおいて、すなわち支持されずに移動するので、各シートは実質的に水平方向のままである。従って、減速すると、シートは必然的に変形する傾向があり、これにより皺が生じ、そのことは印刷品質にとって特に好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明の主題が解決しようとする技術的課題は、少なくとも1つの押箔からの着色フィルム又は金属化フィルムを、箔押によって各シートの上に
適用するためのプラテンプレスと、一連の把持バーを用いて、プラテンプレスに通して各シートを個別に移動させる搬送手段と、プラテンプレスを出る各シートから各押箔を分離させる送風部材とを含む、シート形態の要素を印刷するための印刷装置を提案することであり、この印刷装置は、プラテンプレスを通るシートの最適な搬送と、箔押後の箔の完全な剥離の両方を与えることにより、従来技術の問題を回避することを可能にする。
【0010】
前述の技術的課題に対する解決法は、本発明によれば、把持バーがプラテンプレスの出口へ進む移動領域から動作できる動作位置と、移動領域から離れた後退位置との間で、送風部材が移動可能に取り付けられることからなる。
【0011】
動作位置は、最適な動作位置を構成するが、これは、必ずしも送風部材が動作できる唯一の位置ではないことに留意すべきである。換言すれば、これは、本発明の範囲内で、送風部材が、他の位置、特に当該動作位置と後退位置との間に含まれる位置において動作することは、十分に考えられることを意味する。
【0012】
一方、前述の後退位置とは、把持バーがプラテンプレスの出口において自由に移動することを可能にする送風部材の任意の配置を示すことも理解すべきである。理論上、かかる基準に対応する位置は非常に多いが、実際には、後退位置は、箔押機械内で利用可能な空間と、送風手段を移動させるために選択される動力学とに基づいて有利に確立される。
【0013】
いずれにしても、このように定義される本発明は、底部に把持器が設けられた把持バーの使用、すなわち各シートを把持バーの実質的に下面で把持するように構成された把持器が設けられた把持バーの使用と両立し得るという利点を有する。しかしながら、このタイプの把持器は、シートを、プラテンプレスを通して搬送するのに極めてよく適していることが知られている。特別な形状の底部把持器は、実際には、各シートを、可動の下方プラテンのできるだけ近くで並進運動させることを可能にする。下方プラテンは次いで、シートの移動全体にわたって、有利に、シートを実質的に水平に支持する支持体として働くことができる。従って、この底部把持器は、皺ができるどのようなリスクも回避することができ、シートがプレスのプラテン間で停止状態になる直前に著しく減速するにも関わらず、シートの正確な位置決めを行うことができる。最終的に、このことは、印刷品質の著しい改善を可能にし、さらに印刷装置の処理量の増大も可能にする。
【0014】
本発明は、以下の説明の過程において明らかになり、分離して又は任意の技術的に実行可能な組み合わせで考慮されるべき特徴にも関する。
【0015】
本説明は、限定されない例として説明され、本発明の本質及び具体化できる方法について、より良好な理解を与えることを意図する。また、本説明は、以下の添付図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明による印刷装置が組み込まれた金箔装置を示す。
【
図2】送風部材がどのように印刷装置に組み込まれるかを詳細に示す。
【
図3】
図2と同様であるが、送風部材が、逃げ位置として知られる位置に配置された図である。
【
図4】印刷装置も設けられた分流部材の組み込みを詳細に示す。
【
図5】プラテンプレスからの出口における、本発明の主題を形成する印刷装置の動作力学における主要な段階である、箔押が行われる第1の段階の動作を示す。
【
図6】プラテンプレスからの出口における、本発明の主題を形成する印刷装置の動作力学における主要な段階である、プラテンプレスの開放に対応する第2の動作段階を示す。
【
図7】プラテンプレスからの出口における、本発明の主題を形成する印刷装置の動作力学における主要な段階である、その特定の特徴が、プラテンプレスが広く開いていることである第3の動作段階を示す。
【
図8】プラテンプレスからの出口における、本発明の主題を形成する印刷装置の動作力学における主要な段階である、把持バーが離れることにより特に特徴付けられる第4の動作段階を示す。
【
図9】プラテンプレスからの出口における、本発明の主題を形成する印刷装置の動作力学における主要な段階である、新しい把持バーがプラテンプレス内に到着することに対応する第5の動作段階を示す。
【
図10】プラテンプレスからの出口における、本発明の主題を形成する印刷装置の動作力学における主要な段階である、次いで新しい把持バーが、プラテンプレスから離れるときの第6の動作段階を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
明確にするために、同じ要素は、同一の参照符号で示される。同様に、本発明の理解のために不可欠な要素だけが示されるが、これらは概略的なものにすぎず、縮尺通りではない。
【0018】
図1は、高級品産業のためのボール紙の包装をカスタマイズすることを意図した箔押機械1を示す。一般的に金箔装置として知られるこの箔押機械1は、通常、一連のシート形態の支持体10、20を処理することができるユニット組立体を形成するために、互いに並列して、しかし独立して配置される多数のワークステーション100、200、300、400、500で構成される。従って、フィーダ100、供給テーブル200、印刷装置300、箔供給及び回収ステーション400、及び送出ステーション500がある。各シート10、20を供給テーブル200の出口から、印刷装置300などを通って、送出ステーション500に個別に移動させるための搬送手段600も設けられる。
【0019】
印刷機械1の種々の部品100、200、300、400、500、600は、従来技術から完全に知られており、従って、ここでは、その構造についても又は動作についても、詳細には説明しない。
【0020】
単なる例証として選択される特定の実施形態において、フィーダ100は、各々の上に複数のボール紙のシート10、20が積み重ねられた一連のパレットを介して供給されると単純に指定される。このシートは、すぐ隣接する供給テーブル200までシートを移送する吸引型把持部材によって、スタックの上から連続的に取り出される。
【0021】
供給テーブル200において、シート10、20は、吸引型把持部材によって層状にレイアウトされ、これは、シートが次々に部分的に重なるように置かれることを意味する。次いで、層全体は、ベルト型搬送機構により、プラットフォーム210に沿って、印刷装置300に向かって駆動される。層の端部では、前部レイ及び側部レイを用いて、先頭シート10、20が系統的に正確に位置決めされる。
【0022】
従って、供給テーブル200のすぐ後に配置されたワークステーションは、印刷装置300である。この実施形態において、印刷装置300は、単一の押箔410から来る幾つかの金属化フィルムを、押箔により、各シート10、20に適用する機能を有する。これを行うため、印刷装置300は、箔押作業が固定された加熱された上方プラテン311と反復垂直運動で動作可能に取り付けられた下方プラテン312との間で従来の方法で行われる、プラテンプレス310を用いる。
【0023】
印刷装置300の下流には、箔供給及び回収ステーション400がある。その名前が示すように、このステーションは、機械に押箔410を供給すること、及び、ひとたび使用されると押箔を除去することの両方の役割を有するため、二重の役割を果たす。
【0024】
この特定の実施形態において、箔410は、回転可能に取り付けられた供給リール430に巻き取られた形で従来の方法で貯蔵される。同様に、プラテンプレス310を通過すると、箔410は、回転可能に取り付けられた巻き取りリール430に巻き取られる。
【0025】
貯蔵点と巻き取り点との間で、箔410は、所定の距離にわたって、特にプラテンプレス310を通過する定められた供給経路に沿って箔を進行させることができる駆動システム440によって駆動される。箔駆動システム440は、主として、一方では、箔410の運動を案内するように、供給経路に沿って取り付けられた一連の分流バー441と、他方では、箔410を駆動させるために供給経路の下流に配置された推進軸442と加圧ローラ443の組み合わせで構成される。
【0026】
印刷機械1においてシートを処理する工程は、既に処理されたシート10、20を再びスタックの状態に戻すように形成することが主要な機能である送出ステーション500で終了する。これを行うために、搬送手段600は、シートが再びこの新しいスタックと一列に並ぶときに、各シート10、20を自動的に解放するように構成される。シート10、20は次いで、スタックの上部に正確に降下する。
【0027】
高度に従来的な方法において、搬送手段600は、箔押機械1の両側に沿って側方に配置された2つのチェーンの組620を介して横断方向に並進運動可能に取り付けられた一連の把持バー610を用いる。各々のチェーンの組620はループ内を移動し、これにより把持バー610が、印刷装置300、供給及び排出ステーション400、及び送出ステーション500を連続して通過する軌道を辿ることが可能になる。
【0028】
図1はまた、印刷装置300が、押箔410と各シート10、20がくっついている部分に圧縮空気の流れを発生させることにより、箔押を受けたばかりの各シート10、20から押箔410を分離することができる送風部材320を有することも示す。本発明の主題によれば、この送風部材320は、動作位置と後退位置との間で運動可能に取り付けられる。この組立体は、動作位置においては、送風部材320が、把持バー610がプラテンプレス310の出口へ直接進む移動領域から動作することができ、後退位置においては、送風部材320が移動領域から離れて配置されるように構成される。説明のこの段階においては、送風部材の可動性は、理論上、いずれの運動形態であってよいことに留意することが重要である。
【0029】
本実施形態において、送風部材320は、概略的には、これに沿って横断方向に取り付けられた多数の送風ノズル322が分散される、中空の横材321の形態である。この横材321は、送風ノズル322がプラテンプレス310からの出口の方向に配向されるように、プラテンプレス310の出口縁に対して平行に配置される。
【0030】
本発明の1つの現在好ましい実施形態によれば、動作位置と後退位置との間において、送風部材320は、シート10、20がプラテンプレス310の内部で進む移動平面に対して実質的に直交する平坦な軌道で並進運動可能に取り付けられる。この場合、当該平坦な軌道は、理論上、いずれの軌道であってもよく、すなわち、純粋に直線又は円形の軌道、又はより一般には、曲線の軌道、又は何であれこれらの運動のいずれかの組み合わせの結果であってもよいことを理解すべきである。
【0031】
しかしながら、好ましくは、ここでの送風部材320の並進可動性は、一般にシート10、20がプラテンプレス310内部で進む移動平面に対して実質的に斜めの方向である。また、組立体は、当該斜めの方向が、シート10、20の移動平面に近づくにつれて、プラテンプレス310に向かって合流するように配向されるようにも構成される。この特徴は、送風部材320の並進運動に利用可能な時間がより多く、従って、プラテンプレス310の出口領域内に存在する種々の可動部品の運動のタイミングを最良に最適化する選択肢を与えることを意味する。
【0032】
特に有利な方法において、印刷装置300には、送風部材320の動作位置と後退位置との間の運動を案内することができる第1の案内手段330が設けられる。
【0033】
本実施形態において、送風部材320は、印刷装置300の両側上に対称的に配置され、かつ、中空の横材321の端部の各々にそれぞれ接続された、2つの構造的に同一の側方機構331を用いて、第1の案内手段330により直接支持される。
【0034】
図2から見られるように、各々の機構331は、その下端部が送風部材320に固定された制御バー332を含む。この制御バー332は、2つのピボット・レバー333、334を介して、プレス310の固定された上方プラテン311に固定され、かつ、固定片336及びヨーク337で構成される支持体335に接続される。この組立体は、制御バー332、2つのピボット・レバー333、334、及び支持体335が変形可能な四辺形を定めるように構成される。
図2は、上方レバー333が下方レバー334より短いことを明らかに示し、これは、変形可能な四辺形がここでは、より台形に近く、その変形が有利に掃引効果を生じさせること、すなわち送風部材320を実質的に斜めの曲線の並進運動をさせることを意味する。
【0035】
本発明の別の有利な特徴によれば、印刷装置300には、送風部材320を動作位置と後退位置との間で動かすことができる第1の駆動手段340も設けられる。
【0036】
本実施形態において、第1の駆動手段340は、第1の案内手段330を直接作動させることによって、送風部材320を動かす。従って、第1の駆動手段340は、案内が送風部材320の各端部で行われることに適しており、
図2によれば、これが、側方駆動機構341が各々の側方案内機構331と関連付けられる理由である。
【0037】
従って、各々の側方駆動機構341において、第1の駆動手段340は、電気モータ(図示せず)により回転駆動することができる伝達軸343に固定され、その動作は、プラテンプレス310の動作サイクルと同期されるカム342を含む。カム342は、短いレバー333上で回転するように取り付けられたローラ又はフォロワ344と協働して駆動する。弾性戻り手段345が設けられて、フォロワ344とカム342との間の接触を保証する。この特定の例において、これは、制御バー332上に位置する上方固定点とヨーク337上に配置された下方固定点との間に配置される引張ばねである。
【0038】
組立体は、弾性戻り手段345が制御バー332を常に下向きに引っ張り、これにより、フォロワ344がカム342を押し付けるように構成される。従って、次いで伝達軸343が回転すると、カム342の回転により短いレバー333が一方向又は他方向にピボット回転し、これにより制御バー332が上下に動き、その結果送風部材320が上下する。
【0039】
図3に見ることができる本発明の1つの具体的特徴によれば、送風部材320は、プラテンプレス310の出口から少し距離をおいた逃げ位置に動かすこともできる。理論上、逃げ位置は、暗黙的にどちらが好ましいというわけではないが、動作位置及び/又は後退位置のいずれからもアクセスできることを強調することが重要である。
【0040】
特に有利な方法において、印刷装置300には、逃げ位置への送風部材320の移動、すなわち、一方では動作位置及び/又は後退位置と、他方では逃げ位置との間の移動を案内することができる第2の案内手段350が設けられる。
【0041】
図3から明らかに見ることができるように、各々の支持体335において、ヨーク337の上端は、ピボット接続部によって固定片336に接続され、一方、ヨーク333の下端はプレス310の上方プラテン311に剛に固定されていない。換言すれば、それは、支持体335が関節接合されている、すなわちヨーク337が固定片336に対してピボット回転することができ、ヨーク337の下端は、この場合は、偏心器338を介して上方プラテン311を押し付けることができることを意味する。偏心器338の存在により、ヨーク337の角位置を固定片336に対して調整することが可能になり、従って、送風部材320の位置をプラテンプレス310の出口に対して調整することが可能になることに留意すべきである。
【0042】
いずれにしても、前述のように、各々の制御バー332はまた、短いレバー333の端部においてピボット回転するように取り付けられ、さらに、どちらもピボット接続を用いる長いレバー334及び弾性戻り手段345により支持体345にも接続される。このことは、ヨーク337が固定片336に対してピボット回転させられるとすぐに、制御バー332が短いレバー333の端部に対してピボット回転可能になることを意味する(
図2及び
図3)。この論理の流れを辿ると、各々の制御バー332、各々の短いレバー333、各々の長いレバー334、関節接合された支持体335の各々、及び各々の弾性戻り手段345は、本発明の意味においては、第2の案内手段350の構成部品であると考えなければならない。
【0043】
本発明の別の有利な特徴によれば、印刷装置300には、送風部材320を逃げ位置に動かすことができる第2の駆動手段360も設けられる。
【0044】
第1の駆動手段340の場合と同じように、第2の駆動手段360は、第2の案内手段350を直接作動させることによって、送風部材320を動かすように構成される。
【0045】
この例示的な実施形態において、第2の駆動手段360は、ピボット接続を介して、端部が、一方ではプレス310の上方プラテン311に、他方では2つのヨーク337を剛に接続する横材362に、それぞれ接続された空気式アクチュエータ361からなる。当然、いずれかの他の周知の駆動手段も同等の方法で用いることができる。ここでは、例えば、多数の空気作動式アクチュエータの組み合わせ、1つ又はそれ以上の油圧アクチュエータ、又はリニア電気モータを検討する。
【0046】
本発明の別の特徴によれば、印刷装置300は、押箔410がプラテンプレス310を出るときにこれを案内することができ、かつ、近接位置と遠隔位置との間で移動可能に取り付けられた分流部材370をさらに含む。この組立体は、近接位置においては、把持バー610がプラテンプレス310の出口において進む移動領域において、分流部材370が少なくとも部分的に動作可能に構成される。ここでの目的は、押箔410を、プレス310のプラテン311、312の間で自由に進むことを可能にする平面内に保持することである。しかしながら、組立体は、遠隔位置においては、分流部材370が依然としてその役割を果たすことができるが、把持バー610の移動領域から離れるようにも設計される。ここでの目的は、一方では、各押箔410を、プレス310のプラテン311、312の一方、この例では、固定された上方プラテン311と実質的に接触したままにすることである。
【0047】
本発明の文脈において、押箔が実質的にプラテンと接触しているとき、それは、暗黙的にどれが好ましいというわけではないが、押箔がプラテンに近接している、又は実際に接触している、又はプラテンを押し付けていることを意味することを強調することが重要である。いずれにしても、これらの条件の下では、損傷が大きくなりすぎるリスクがあるため、押箔を前進させることが賢明であるとは思われない。
【0048】
本発明の現在好ましい実施形態によれば、近接位置と遠隔位置との間で、分流部材370は、シート10、20がプラテンプレスの内部で進む移動平面に対して実質的に直交する平坦な軌道において並進運動可能に取り付けられる。ここでも、平坦な軌道は、理論上、いずれの軌道であってもよいことを理解すべきである。
【0049】
分流部材370の並進運動性は、シート10、20がプラテンプレス310の内部で進む移動平面に対して概ね実質的に斜めの方向であることが好ましい。また、組立体は、当該斜めの方向が、シート10、20の移動平面に近づくにつれて、プラテンプレス310に向かって合流するように配向されるように構成される。
【0050】
特に有利な方法において、印刷装置300には、分流部材370の近接位置と遠隔位置との間の運動を案内することができる第3の案内手段380が設けられる。
【0051】
本実施形態において、分流部材370は、プラテンプレス310からの出口縁に対して平行に配置された横材371の形態である。この分流部材370は、この例では、第3の案内手段380により、印刷装置300の両側上に対称的に取り付けられ、かつ、横材371の端部の各々にそれぞれ接続された2つの構造的に同一の側方機構381により、直接支持される。
【0052】
図4から明確に分かるように、各々の側方案内機構381は、下端部に分流部材370が固定された制御バー382を含む。この制御バー382は、2つのピボット・レバー383、384により、プレス310の固定された上部プレート311に固定された支持体385に接続される。ここでも、組立体は、制御バー382、2つのピボット・レバー383、384、及び支持体385が、変形可能な四辺形を形成するように構成される。さらに、ここでも上方レバー383は下方レバー384より短いため、当該変形可能な四辺形はより台形に近く、その変形が、必然的に掃引効果を生じさせる、すなわち分流部材370を実質的に斜め及び曲線の並進運動で動かす。
【0053】
本発明の別の有利な特徴によれば、印刷装置300には、分流部材370を近接位置と遠隔位置との間で動かすことができる第3の駆動手段390もさらに設けられる。
【0054】
本実施形態において、第3の駆動手段390は、第3の案内手段380を直接作動させることによって、分流部材370を動かす。従って、これらは、案内が分流部材370の各端部において対称的に行われるということによく適しており、これが、
図4によれば、側方駆動機構391が各々の側方案内機構381と関連付けられる理由である。
【0055】
従って、各々の側方案内機構391において、第1の駆動手段390は、電気モータ(図示せず)により回転駆動することができる伝達軸393に固定され、その動作がプラテンプレス310の動作サイクルと同期されるカム392を含む。カム392は、制御バー382の上端部で回転するように取り付けられたローラ又はフォロワ394と協働して駆動される。弾性戻り手段395も設けられて、フォロワ394とカム392との間の接触を保証する。この例において、これは、支持体385上に位置する上方固定点と制御バー382の底部に配置された下方固定点との間に配置された圧縮ばねである。
【0056】
組立体は、弾性戻り手段385が制御バー382を常に下向きに押し、フォロワ394がカム392を押し付けるように構成される。従って、伝達軸393が回転すると、カム392の回転により制御バー383が上下に動き、それによって、最終的に駆動部材370が上昇又は下降する。
【0057】
特に印刷装置300を用いてホログラムをシート10、20に適用するとき、分流部材370の往復運動を一時的に停止させることが有利であり得ることが分かる。この場合、分流部材370を、これが把持バーの移動領域上に侵入しないようにする位置、すなわち遠隔位置に比較的近い位置に固定することが明らかに極めて重要である。いずれにしても、本発明の文脈において、かかる一時的固定は、単に、第3の駆動手段390を作動しないようにすることにより、又は、第3の駆動手段390から第3の案内手段380を外すことにより、有利に実現することができる。
【0058】
図5乃至
図10は、プラテンプレス310からの出口領域における、本発明の主題を形成する印刷装置300の動作力学の主要な段階を示す。
【0059】
図5は、箔押作業中、可動の下方プラテン312が、完全に論理的にその上死点(tdc)に位置する、プラテンプレス310が閉じられた状態を示す。一方、把持バー610は、そのtdcで固定されており、送風部材320は、作動しないようにされ、そのtdcにある。一方、分流部材370は、単にそのtdcにある。
【0060】
図6によれば、プラテンプレス310の開放は、可動プラテン312の下降、続いて把持バー610の下降により行われる。次いで、送風部材320が作動され、把持バー610と同期されるように降下し始める。分流部材370も同様にその下降運動を開始するが、それは、送風部材320の動作を妨げないように、送風部材320とはずらして行われる。
【0061】
図7に見ることができるように、プラテンプレス310が広く開くと、可動下方プラテン312は、下死点(bdc)にある。同じことが分流部材370においても当てはまり、これは、押箔410がこの時固定された上方プラテン311から完全に外れ、従って、前進し始めることができることを意味する。送風部材320も同様にそのbdcに達し、これは、ノズル322がこの時点で、把持バー610の本体とシート10との間に位置することを意味する。次いで、送風部材320が作動しないようにされ、把持バー610はその下降運動を続けることができる。
【0062】
図8によれば、把持バー610が最終的にそのbdcに達すると、プラテンプレス310からシート10を取り出すように、把持バー610を水平方向の並進運動で駆動することができる。分流部材370は依然としてそのbdcにあるため、押箔410は前進し続ける。一方、送風部材320は、そのbdcで作動しないままである。
【0063】
図9は、依然として広く開いているプラテンプレス310内への新しい把持バー610の到着、及び送風部材320及び分流部材370が依然としてそれぞれのbdc位置にあることを示す。
【0064】
図10に見ることができるように、新しい把持バー610がプラテンプレス310から離れるとすぐに、新しい把持バー610は、可動下方プラテン312のものと同時に、その上向きの戻り運動を始める。これが行われるのと同時に、送風部材320及び分流部材370も、それぞれの上向き運動を開始し、一方押箔410は前進するのをやめる。これらの種々の運動は、
図5に示されるように、プラテンプレス310が完全に閉じるまで継続する。
【0065】
当然、本発明は、前述のように、より一般に少なくとも1つの印刷装置300を含むシート形態の要素10、20を処理するための任意の機械1にも関する。ここでは特に、本発明を示すのに用いられたもののような金箔装置についても考える。