(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ラミネートが、トップシート、バックシート、外側カバー、カフ、サイドパネル、耳部、ファスナー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される構成部品として、吸収性物品に組み込まれる、請求項1〜10のいずれか一項に記載のラミネート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
「吸収性物品」とは、身体滲出液を吸収及び収容するデバイスを意味し、より具体的には、着用者の身体に接触して、又は近接して配置され、身体から排泄された様々な排出物を吸収及び収容するデバイスを意味する。代表的な吸収性物品としては、おむつ、トレーニングパンツ、プルオンパンツ型おむつ(すなわち、米国特許第6,120,487号に示されているような予備形成腰部開口部及び脚部開口部を有するおむつ)、再締結可能おむつ、あるいは、パンツ型おむつ、失禁用ブリーフ及び下着、おむつホルダー及びライナー、パンティライナーなどの女性用生理衣類、吸収性挿入物などが挙げられる。
【0011】
「活性化」は、材料のX−Y平面における活性化の方向に可塑的延伸性材料が恒久的に伸長する延伸性材料の機械的な変形である。例えば、可塑化が起こるより高い歪みを材料に引き起こす応力にウェブ又はウェブの一部分がかけられたときに活性化は発生し、これは材料又は材料の一部分の完全な機械的破損を含む場合もあれば、含まない場合もある。可塑的延伸性材料に接合された弾性材料を含むラミネートの活性化によって、典型的には、可塑性材料が恒久的に変形する結果となり、その一方で弾性材料はその当初の寸法に実質的に戻る。「活性化」及びその変形は、材料を活性化プロセスに供することを意味する。
【0012】
「孔」は、フィルム作製又ラミネート作製中にフィルムに意図的に加えられる開口部を意味し、通気性などの望ましい特性を付与することを目的としている。孔の増大とは、孔に近接するフィルムの部分の機械的破損によって孔の寸法が増加するということである。
【0013】
「秤量」とは、材料のシート又はウェブの重量をその表面積で割ったものである。本明細書における秤量の単位は、グラム毎平方メートル(g/m
2)である。
【0014】
「通気性」とは、以下に記載する空気透過率試験(Air Permeability Test)において、5〜50m
3/m
2/分の空気透過率値を与えるフィルム又はラミネートを意味する。
【0015】
「コポリマー」とは、2つ以上のモノマー種から得られるポリマーを意味し、このポリマー鎖は、各々、1つを超えるモノマー種による反復単位を含む。
【0016】
「結晶融解温度」は、示差走査熱量測定によって測定され、この方法は、以下でより詳しく記載される。この融解吸熱ピーク温度は、特定の結晶集合体のT
m(ASTM D3418−08によればT
pm)と見なされる。本発明の材料は、1つ以上の融解吸熱ピークを有し得る。
【0017】
「配置される」とは、別の要素に関して、特定の場所に位置付けされることを意味する。
【0018】
「弾性」、「エラストマー性」及び「弾性的延伸性」は、所与の負荷において、破裂又は破損がない状態で少なくとも50%伸張し、負荷が取り除かれると、弾性材料又は構成部品が少なくとも80%の回復を示す(すなわち、20%未満のセットを有する)材料の性能を意味する。例えば、初期長が100mmの弾性材料は少なくとも150mm(50%伸張)まで伸張でき、力が取り除かれると長さ110mm(すなわち、10mm、つまり10%のセット)に戻ることができる。歪み、歪みパーセント、工学歪み、と称されることもある伸張、延伸比、又は伸長は、回復及びセットと同様に、以下でより詳しく記載されるヒステリシス試験により各々測定され得る。しかしながら、この弾性の定義が、ヒステリシス試験の適切な対象となるために適切な寸法(例えば、十分な幅)を有さない材料には適用されないことは理解されるべきである。代わりに、そのような材料は、付勢力の付加に際して少なくとも50%に伸張し、付勢力の解放の際にその元の長さに実質的に戻る(すなわち、20%未満のセットを呈する)ことができる場合、弾性であるとみなされる。
【0019】
「延伸性」は、破裂又は破損がない状態で、少なくとも50%伸張又は伸長する能力を意味する。
【0020】
「フィルム」とはシート状材料であって、材料の長さ及び幅が材料の厚さを超える(例えば、10倍、50倍又は更には1000倍)ものを意味する。フィルムは、典型的には液体不透過性であるが、通気性であるように設計され得る。
【0021】
「穴」とは、破壊力学の意味で「クラック」として機能する、フィルム中の望ましくない開口部を意味する。穴の増大とは、穴に近接するフィルムの部分の機械的破損によって穴の寸法が増加するということである。
【0022】
「接合された」は、要素を他の要素に直接固着することにより、要素を別の要素に直接固定する構成、及び要素を中間部材に固着し、これが次に他の要素に固着されることにより、要素が別の要素に間接的に固定される構成を意味する。
【0023】
「ラミネート」とは、当該技術分野で既知の任意の好適な方法(例えば、加熱されていない若しくは加熱された模様付きロールを用いる、接着剤結合、熱結合、超音波結合、又は高圧結合)によって、互いに結合された2つ以上の材料を意味する。
【0024】
「長手方向」は、吸収性物品が平らに延ばされた非収縮状態のときに吸収性物品の腰部端縁から対向する腰部端縁まで、又は2つ折りにされた物品において腰部端縁から股部の底まで、実質的に垂直に走る方向を意味する。長手方向の45度以内の方向は、「長手方向」と見なされる。「横方向」は、物品の側縁から対向する側縁まで走る、長手方向に対して概して垂直の方向を指す。横方向の45度以内の方向は、横方向と見なされる。
【0025】
「機械方向」すなわち「MD」は、製造プロセスにおいてウェブの移動方向に平行な方向である。「機械横断方向」すなわち「CD」は、MD方向にほぼ垂直な、ウェブによって概ね画定される平面内の方向である。
【0026】
「不織布」とは、例えば、スパンボンディング、メルトブローン、エアレイイング、共形成、カーディング、水流交絡などのプロセスによって不規則な形状で中に組み込まれる、連続的な(長い)フィラメント(繊維)及び/又は不連続な(短い)フィラメント(繊維)から作成される、多孔質な繊維状材料を意味する。不織材料の繊維は、熱点結合、超音波点結合、接着パターン結合、及び接着スプレー結合などの従来の技術を用いて、一緒に結合される。不織布は、織った又は編んだフィラメント模様を有さない。不織布は、液体透過性又は不透過性であってもよい。
【0027】
「可塑性」及び「可塑的延伸性」とは、所与の負荷において、破裂又は破損がない状態で少なくとも50%伸張し、負荷が取り除かれると、その材料又は構成部品が少なくとも20%のセットを示す(すなわち、80%未満回復する)材料の性能を意味する。例えば、以下に記載されるヒステリシス試験を行ったとき、初期長が100mmの延伸性材料は、少なくとも150mmまで伸張することができ(50%伸張)、付加された力が解放されると長さ35mm(すなわち、35mmのセット(35%セット))に戻ることができる。
【0028】
「弛緩された」とは、要素に作用する外力が重力以外に実質的にない、静止時の要素、材料又は構成部品の状態を意味する。
【0029】
「裂け目」とは、フィルムの1つ以上の縁部と交差している、フィルム中の不要な開口部を意味し、破壊力学の意味で「クラック」として機能するものである。裂け目の増大とは、裂け目に近接するフィルムの部分の機械的破損によって裂け目の寸法が増加するということである。
【0030】
「ウェブ」とは、ロールに巻くことができる材料のことを意味する。ウェブは、フィルム、不織布、ラミネート、有孔フィルム及び/又は有孔ラミネートなどであってよい。ウェブの面とは、その縁部とは対照的に、その2次元の表面の1つを指す。
【0031】
「X−Y平面」は、移動ウェブのMD及びCDによって、又は材料の片の長さ及び幅によって画定される平面を意味する。
【0032】
ポリマー
多くの弾性ポリマーを、弾性フィルムを作製するのに使用することができる。弾性ポリマーの非限定的な例としては、ホモポリマー、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、交互コポリマー、グラフトコポリマーなどが挙げられる。裂け目の広がりに対して抵抗性を示すフィルムに使用するのに特に好適なポリマーは、ブロックコポリマーであり、このブロックコポリマーは、典型的には、各々がポリマーの特性に寄与する個別の繰り返し単位のブロック(又はセグメント)から作成されている。ブロックコポリマーが有用であると認識される理由の1つは、コポリマーのブロックが、互いに共有結合し、優れた延伸性を提供するゴムドメインと、機械的な一体性(例えば、優れた機械的強度及び不必要な応力緩和又は流れの回避)を提供するガラス状末端ブロックドメインとともにミクロ相分離構造を形成するからである。本明細書に用いるのに好適なブロックコポリマーは、弾性特性及び熱可塑性特性の両方を示し得る。例えば、末端ブロックは、最終用途中に実施される温度(例えば、20℃〜40℃)で強健で剛性である機械的特性を示すドメインを形成し、ポリマー全体に剛性及び強度を加えることができる。かかる末端ブロックは、「硬ブロック」といわれることもある。中間ブロックは、エラストマーと関連する比較的大きな変性に適応し、材料が歪む(すなわち、伸張する又は延出する)際の反発力を提供し得る。かかる中間ブロックは、「軟ブロック」又は「ゴム状ブロック」といわれることもある。本明細書に用いるのに好適なブロックコポリマーは、少なくとも1つの硬ブロック(A)及び少なくとも1つの軟ブロック(B)を含む。ブロックコポリマーは、多元ブロックを有してもよい。特定の実施形態では、ブロックコポリマーは、A−B−A三元ブロックコポリマー、A−B−A−B四元ブロックコポリマー、又はA−B−A−B−A五元ブロックコポリマーであってよい。他の好適なコポリマーは、末端ブロックA及びA’を有する三元ブロックコポリマーを含み、ここで、A及びA’は、異なる化合物から得られる。特定の実施形態では、1つ以上の硬ブロック及び/又は1つ以上の軟ブロックを有して、それぞれの硬ブロックが同一又は異なるモノマーから誘導されてもよく、またそれぞれの軟ブロックが同一又は異なるモノマーから誘導されてもよい、ブロックコポリマーである。
【0033】
好適な硬ブロック構成部品は、25℃を超えるか、45℃を超えるか、又は更には65℃を超えるが、典型的には100℃未満のガラス転移温度(T
g)を有する。硬ブロック部分は、スチレン及びα−メチル−スチレン又はこれらの組み合わせなどのビニルアレーンを含む、ビニルモノマーから誘導され得る。軟ブロック部分は、共役脂肪族ジエンモノマーから誘導されたポリマーであってよい。典型的には、軟ブロックモノマーは、6個未満の炭素原子を含有する。例えば、ブタジエン及びイソプレンなどの好適なジエンモノマーは、重合化されるか、水素が添加された形態で使用され得る。好適な軟ブロックポリマーとしては、ポリ(ブタジエン)、ポリ(イソプレン)及びエチレン/プロピレン、エチレン/ブテンのコポリマーなどが挙げられる。特定の実施形態では、コポリマー又はその一部分(例えば、中間ブロック又は末端ブロック)中に含有している残留オレフィン二重結合を部分的又は完全に水素添加するのが好ましいことがある。
【0034】
特に好適な実施形態では、弾性ポリマーは、各々が約8kg/モルである2つの末端ブロック及び45kg/モルの中間ブロックを含むスチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(「SEEPS」)ブロックコポリマーであり得る。この中間ブロックは、例えば、共重合した後に、イソプレン及びブタジエンを水素添加することで形成され得る。中間ブロック中の元のC=C二重結合の95〜99%又は更には98〜99%が飽和されているが、ポリスチレン末端ブロックは芳香族がそのままであるように、コポリマーを水素添加するのが望まれ得る。水素添加の度合が低すぎると、ポリマーは、伸長結晶化する能力を失い始めることがある。理論によって制限されることなく、ポリマーにおける伸長結晶化は、かかるポリマーで作製されるフィルムに引裂抵抗特性を提供するのに重要であると考えられている。特定の実施形態では、イソプレン及びブタジエンを共重合化することでゴム状中間ブロックを作製することで、コモノマー配列とビニル含有量の両方を変化させるコモノマーが生じ得る。SEEPSコポリマーがブロックコポリマーである場合、エチレン−エチレン−プロピレン(「EEP」)中間ブロックは、ランダムコポリマーよりもブロック性又は代替性が高い。しかし、わずかにランダム性からの逸脱が生じ得る。ランダム性からの逸脱、並びにコポリマーのビニル含有量は、重合化中の条件を調整することで制御し得る。例えば、イソプレン及びブタジエンの共重合及びそれに続く水素添加によって、様々な分枝タイプが生じ得る。以下の表1に、生じ得る異なる分枝タイプを例示する。メチル分枝を例外として、分枝は、典型的には、ポリエチレン型結晶には「適合」しないため、中間ブロックの結晶化度及びT
mは減少する。例えば、SEEPSブロックコポリマーの中間ブロックは、−50℃未満の温度で約7%結晶化し、約0℃のT
mを有し得る。それに比べて、実質的に非分枝のポリエチレンは、約75%の結晶化度であり、約135℃のT
mを有する。
【表1】
【0035】
結晶性CH
2配列の長さは、ポリマー中間ブロックの融解温度に直接影響し、少なくとも部分的には、中間ブロックに組み込まれるコモノマーの配列(例えば、イソプレンは常にいくつか分枝タイプを提供する)及び、ジエンの1,4及び1,2(又は3,4)重合化の全体的なバランスによって変化する。結晶のT
mは、結晶性配列の長さ、及び材料が伸長結晶化する能力についての情報を提供し、その両方は、中間ブロック主鎖の分枝における、数、種類、及び分布に関連する。本明細書で好適なエラストマーは、十分に長い結晶性配列のCH
2基(ポリエチレン型結晶を形成する)を含み、10℃を超えるT
m(既知の材料と比較すると、−5℃)を有する。本明細書で好適なT
mは、10℃〜20℃、12℃〜18℃、13℃〜17℃、又は更には14℃〜16℃である。
【0036】
上述のEEP中間ブロックに加えて、例えば、「Anionic Polymerization:Principles and Practical Applications」(Henry Hsieh,Roderick Quirk;Chapter 9,pp.197〜229;Marcel Decker,New York(1996))に記載されるように、適切な溶媒極性(1〜4対1〜2含有を制御する)を選択することで、同様の結晶性配列を含有する「EB」型(すなわち、水素添加ポリブタジエン)の中間ブロックを提供するのが望ましい。
【0037】
フィルム
本明細書に開示される延伸性ラミネートは、弾性の引裂抵抗性フィルム層を含む。最少限の引裂抵抗性を呈するか、又は引裂抵抗性を呈さないフィルムを形成する、従来の弾性フィルム(例えば、Vector 4211(Dexco Polymers L.P.,Houston,TX)などの既知のエラストマーから形成されるフィルム)とは異なり、本明細書の弾性フィルムは、フィルムに好適な引裂抵抗性を付与する少なくとも1つの弾性ポリマーを有効量で含む。かかる抵抗性は、フィルムにおいて、裂け目に限定されるものではなく、スリット、孔、開口部、穴、及び/又は任意の他の不連続部分に対するものであると認識される。低速引裂試験は、「Tear Resistant Film」という題目で、2011年2月14日にMansfieldに出願された、同時係属中の米国特許出願第13/026,533号(更に、代理人整理番号第11993で識別される)に記載されており、裂け目、穴、孔、又は他の不連続部の増大に対するフィルムの抵抗性を定量化するのに好適な方法が提供されている。低速引裂試験により測定した際に、好適な破損時間値は、1時間超、2時間超、4時間超、6時間超、10時間超、15時間超、又は更には最大24時間以上であって、例えば、30時間、36時間、40時間、44時間、48時間、又は更には最大で60時間の値を含む。理論的に言えば、フィルムは、裂け目の増大に無制限に抵抗することができる。本発明のフィルムは、本明細書で記載されるように、裂け目の増大に好適な抵抗性を提供するのが望ましい、比較的高い量の機械的応力の急激な付加に対する抵抗性を示すのも望ましい。例えば、本発明のフィルムは、「Tear Resistant Film」という題目の上述の同時係属出願に記載されている高速引張試験により測定する際、10〜25MPa、15〜20MPa、16〜19MPa、又は更には17〜18」MPaの高速引張強度を有し得る。「Tear Resistant Film」という題目の上述の同時係属出願に記載されている切り欠き高速引張強度試験により測定する際、10〜約20MPa、14〜19MPa、又は更には15〜18MPaの切り欠き高速引張強度を呈するフィルムを提供するのが望ましい。理論によって制限されることなく、フィルム中の好適な高速引張強度及び/又は切り欠き引張強度は、比較的高率の望ましくない機械的応力に関するフィルム破損に対して少なくとも幾分かの抵抗性を提供するのに重要であり得ると考えられる。
【0038】
本発明の引裂抵抗性フィルムは、任意の特定の寸法に限定されることはなく、比較的薄い材料シートとして構成され得る。特定の実施形態では、フィルムは、1μm〜1mm、3μm〜1500μm、又は5μm〜100μm、又はこれらの範囲内の任意の値の有効平均厚さを有し得る。本明細書で開示されるフィルムにおける好適な秤量範囲は、以下の秤量試験による20〜140g/m
2であって、例えば25〜100g/m
2、30〜70g/m
2、又は更には35〜45g/m
2である。引裂抵抗性フィルムは、例えば、溶融熱可塑性及び/又は弾性ポリマーをスリットダイに押出成形し、続けて押出されたシートを冷却するなどの当該技術分野における任意の好適な方法によって形成され得る。フィルムを作製する非限定的な他の例は、キャスティング、ブローイング、溶液キャスティング、カレンダリング、及び、水性又はキャスト、非水性分散液からの形成を含む。ポリマー材料からフィルムを作製するのに好適な方法は、Plastics Engineering Handbook of the Society of the Plastics Industry,Inc.,Fourth Edition(1976)、156、174、180及び183ページに記載されている。特定の実施形態では、弾性フィルムは、以下でより詳しく記載されるヒステリシス試験による200%歪み(L200)での負荷工学応力は、約0.8〜2MPa、1.0〜1.5MPa、又は更には1.0〜1.2MPaであり、50%歪み(UL50)での非負荷工学応力は、0.3〜0.8、0.4〜0.6、又は更には0.5〜0.6MPaであり得る。上述のL200値及びUL50値は、ラミネート及び/又は使い捨て吸収性物品に使用するのに好適であるフィルムを提供する(例えば、伸張を回復する力を低くする、心地良く満足のいく適合にする、不要なたるみを減少させる、所望の場所への身体滲出物の収容する、穴又は裂け目の初期形成に抵抗する力を提供する)のに重要であり得る。
【0039】
本発明の引裂抵抗性ラミネートは、「Tear Resistant Film」という題目の上述同時係属出願に開示されている。
【0040】
ラミネート
本発明の引裂抵抗性ラミネートは特に特定の構成に限定されず、好適な引裂抵抗性を呈する限り、所望であれば、1つ以上の不織布及び/又はフィルム層と接合される弾性フィルムを含み得る。例えば、引裂抵抗性ラミネートは、本明細書中、以下に記載されるラミネート一体化試験により試験される際、2時間を超える、5時間を超える、10時間を超える、20時間を超える、30時間を超える又は50時間を超えるが典型的には、100時間未満の最小ラミネート一体化時間を有するべきである。理論的に言えば、本明細書に記載される引裂抵抗性ラミネートは、穴、裂け目、又は孔の増大に無制限に抵抗することができる。特定の実施形態では、ラミネートは、各々が8〜10グラム毎平方メートル(「gsm」)の秤量を有する2つの不織布層に挟まれる、50〜100gsmの秤量を有する、引裂抵抗性を有する弾性フィルム層を含み得る。延伸性ラミネートのフィルム及び不織布層は、当該技術分野において既知の任意の好適な手段(例えば、接着、粘着、熱接着、これらの組み合わせなど)によって一緒に接合され得る。特定の実施形態では、不織布層は、例えば、周知のスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)構成で、2層以上のラミネートとして各々形成され得る。代表的なSMS構成における各不織布層は、1〜25gsm、2〜20gsm、又は更には3〜10gsmの秤量を有し得る。SMS不織布における特に好適な例としては、5〜25gsmの秤量を有するスパンボンド層及び1〜5gsmの秤量を有するメルトブローン層が挙げられる。
【0041】
繊維は、不織布の作製に関して当該技術分野において周知である、任意の好適な可塑性材料、弾性材料、又はその組み合わせから形成され、1成分繊維、2成分繊維、多成分繊維、又はこれらの組み合わせとして形成され得る。弾性材料の好適な例としては、合成ブロックコポリマー、弾性ポリオレフィン、及びポリウレタンが挙げられる。繊維を作製するための弾性材料の好適な例には、ExxonMobil(Houston,TX)から入手可能なポリプロピレン樹脂を含む。可塑的延伸性繊維を形成するのに好適なポリマーは、塑性変形特性を有するものであれば、特に限定されない。好適な可塑性ポリマーの非限定例としては、ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート、エチレンエチルアクリレート、エチレンアクリル酸、エチレンメチルアクリレート、エチレンブチルアクリレート、ポリウレタン、ポリ(エーテル−エステル)ブロックコポリマー、ポリ(アミド−エーテル)ブロックコポリマー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。繊維は、1成分繊維、2成分繊維、又は多成分繊維として構成され得る。例えば、繊維は、ポリプロピレンコア及びポリエチレンシースを有するように構成された、コア−シース型2成分繊維であり得る。
【0042】
特定の実施形態では、不織布材料は、2層以上、任意で3層以上の繊維を含むように構成され得る。かかる実施例では、第1繊維層は、10μm〜30μm、例えば、15μm〜25μmの第1数平均繊維直径を有するスパンボンドであり得る。第2繊維層は、第1数平均繊維直径よりも小さい第2数平均繊維直径(例えば、1μm〜10μm(1μm〜5μmなど))を有するメルトブローンであり得る。第3繊維層があるのであれば、第2数平均繊維直径よりも小さい第3数平均繊維直径(例えば、0.1μm〜1μm(0.5μmなど))を有するナノ繊維であり得る。第1直径対第2直径の比率は、2〜50、3〜10、例えば5であり得る。第2直径対第3直径の比率は、2〜10、例えば5であり得る。特定の実施形態では、第2繊維層は第1不織布層上に載置され、第3繊維層(含まれる場合)は、第2繊維層上に載置され得る。この配列は、第1及び第2(並びに任意で第3)繊維層は、層の一部分が重なり合って、その境界面で相互貫入する繊維の網状組織を形成する(例えば、第1層の繊維と第2層の繊維が重なり合う、及び/又は第2層の繊維と第3層の繊維が重なりあう)ように、実質的に近接する層を形成する実施形態を含み得る。この配列は、第1及び第2繊維層が実質的に完全に混ざり合い、相互貫入する繊維によって単一の不均質な層を形成している実施形態も含む。特定の実施形態では、ラミネートは、スパンボンド繊維の第1層が、メルトブローミクロ繊維及び/又はナノ繊維の第2層に接合している2層ラミネートとして構成され得る。これはラミネート中でスパンボンド繊維層と引裂抵抗性フィルム層との間を好適に結合する(例えば、接着剤結合)ように選択される、特定の実施形態では、不織布は、繊維層において、少なくとも4種、及び任意で5種の異なる積み重ね配列を含み得る。例えば、不織布は、SMNS、SMNM又はSMNMS構成(すなわち、スパンボンド、メルトブローン、ナノ繊維、メルトブローン、及びスパンボンド)で配列され得る。
【0043】
メルトブローン層の微細な繊維は、ラミネートの不透明度を向上し、これは、これは典型的には望ましい特性である。メルトブローン繊維は、メルトブローン繊維が重なり合って、不織布材料の他の不織布繊維中に分散する場合(例えば、メルトブローン層が2つのスパンボンド層の間に載置され、接合されているSMS不織布ラミネートにおいて)不織材料の構造的な一体性を向上させる有益な効果も有する。実質的に長さ寸法が異なる繊維の組み込みによって生じる自己絡み合いによって、不織布材料の内部接着一体性が向上し、それによって、不織布材料の結合の必要性が減少する(及び、恐らくはなくす)ことが可能となる。メルトブローン繊維は、「繋ぎ層」を形成し、特にメルトブローン繊維が接着剤から形成される場合、他の不織繊維と近接するポリマー層と間の接着性を向上させることができる。
【0044】
第1(上部)層はスパンボンド繊維を含み得る。第2層は第1層上に載置されてもよく、メルトブローン繊維を含むことができる。第3層は第2層上に載置されてもよく、ナノ繊維を含むことができる。第4層は第3層上に載置されてもよく、メルトブローン繊維を含むことができる。任意の第5(底部)層は、第4層と接合されもよく、一般的には可塑性繊維(例えば、高延伸性不織布繊維又は高延伸性カードウェブ材料など)若しくは弾塑性混合繊維のいずれかであるスパンボンド(又あるいは、カード)繊維を含み得る。第5層が可塑性繊維を含む場合には、機械的な活性化プロセスに耐えるのに十分な延伸性がある可塑性繊維を提供するのに有利である。このような十分に変形可能なスパンボンド繊維の好適な例が、国際公開第2005/073308号及び第2005/073309号に開示されている。第5層において好適な市販の可塑性繊維は、深活性化ポリプロピレン、高延伸性ポリエチレン、及びポリエチレン/ポリ−プロピレン2成分繊維(全てBBA Fiberweb Inc.(Simpsonville,SC)から入手可能)を含む。第5層は、最初の4層と同時に不織布に加えることも可能であり、又は、第5層は、吸収性物品の作製プロセスの後で加えることも可能である。製造プロセス後に第5層を加えることで、SOCの柔軟性が優れたものとなり、例えば、吸収性物品要素(例えば、高性能弾性バンド)をSOCに挿入するのが可能となり、吸収性物品中の不必要な領域(例えば、SOCは、吸収性コア上に載置される)における第5層を省くことが可能となる。
【0045】
本明細書で使用するのに好適な、他の代表的な伸張性ラミネート構成及び伸張性ラミネートの作製方法は、「Stretch Laminate,Method of Making and Absorbent Article」という題目で、2006年4月24日にMansfieldに出願された米国特許出願第2007/0249254号で開示されている。
【0046】
物品
特定の実施形態では、本発明の引裂抵抗性ラミネートは、物品(例えば、おむつ又はトレーニングパンツ)に組み込まれてよく、物品が目的とする特定の時間機能するのが特に重要である。したがって、好適なラミネート一体化時間及び破損時間は、ラミネート又はフィルムを含む物品又は物品要素が使用中に壊滅的に破損する可能性が低いことを示す上で重要である。
【0047】
図1は、平らに広げられた、非収縮状態(すなわち、弾性誘導収縮のない状態)のおむつ200の代表的な実施形態を示している。
図1の一部は、おむつ200の構造をより分かりやすく示すために切り取られている。おむつ200の外側の衣類に面する表面は見る人の方向に向いており、内側の対向する着用者に面する表面は見る人から遠ざかる方向を向いている。おむつ200は、
図1に示されるように、長手方向に延出する長手方向中心線211及びそれに直交する横方向中心線212を有する。おむつ200は、第1腰部領域256と、第2腰部領域258と、それらの間に配置された股部領域257と、を含み得る。
図1に示されるように、おむつ200は、液体透過性トップシート230と、トップシート230と少なくとも部分的に接合される液体不透過性外部カバー220(例えば、おむつ200の外周に沿うように)と、トップシート230と外側カバー220との間に配置される吸収性コアアセンブリ240と、を含み得る。おむつ200の内側の着用者に面する表面は、トップシート30の少なくとも一部、及びトップシート30と接合され得る他の構成部品を含み得る。外側の衣類に面する表面は、外側カバー220の少なくとも一部、及び外側カバー220と接合され得る他の構成部品を含み得る。おむつ200は、弾性的腰部構造部260及び締着装置を含み得る。締着装置は、前側腰部領域256と後側腰部領域258のうちの少なくとも一方と接合され、そこから横方向に延出する耳部265を含み得る。特定の実施形態では、耳部265、及び腰部領域256及び/又は258の一方又は両方は、例えば、同じ基材から2つの要素を形成することなどによって、一体型として形成され得る。耳部265は、耳部265から横方向外側に延出する締着タブ270を含み得る。締着タブ270は、おむつ200の他の部分と係合可能な締着要素を含み得る。「係合可能」とは、例えば、エンタングルメント型の機械的結合を生じさせるなどによって、他の要素と接合するように構成されるものを意味する。本明細書で開示される引裂抵抗性フィルムとともに用いるのに好適な吸収性物品の非限定的な例は、米国特許第3,860,003号、同第4,808,178号、同第4,909,803号、同第5,151,092号、同第5,221,274号、同第5,554,145号、同第5,569,234号、同第5,580,411号、同第6,004,306号、同第7,626,073号、米国特許出願公開第2007/0249254号、及び、「Absorbent Article With Tear Resistant Components」という題目で、Mansfieldによって2011年2月14日に出願された同時係属出願13/026,563号(更にP&G代理人整理番号第11995で識別される)で見出すことができる。
【0048】
試験方法
本明細書の試験方法における周囲条件は、他に指定がなければ、23℃±2℃の温度を含む。場合によっては、試験されるフィルム試料は、フィルム材料と接合される1つ以上他の材料の層を含んでいてもよい(例えば、市販の物品から採った試料など)。このような場合、フィルムが損傷するのを避けるために、他の材料の層からフィルムを注意深く分離する。他の材料からフィルムを分離した結果、フィルムが損傷を受けた場合(すなわち、破断、切断、穿孔など)、試料を破棄し、損傷を受けていない他のものを使用する。
【0049】
ヒステリシス
以下の条件ASTM D882−02により、線接触グリップ及び、負荷−保持−非負荷の順序で、例外及び/又は以下の条件に沿って、ヒステリシス試験を実行する。
図2は、ヒステリシス試験中によって生じるL200値(すなわち、負荷中の200%歪みにおける工学歪み)とUL50値(すなわち、非負荷中の50%歪みにおける工学歪み)を含む、応力−歪み曲線の一部分を示したものである。負荷−非負荷のサイクルを1回実行する。
・試料幅:25.4mm
・標点距離:25.4mm
・試験速度:4.233mm/秒
・温度:22〜24℃
・付加変位:50.8mm(200%工学歪み)
・付加変位における保持時間:30秒
・グリップの設計が、ASTM D882−02の6.1項で指定される50mmを超える長さの試料に適合しない場合、グリップの他の部分に影響させずに適度な標点距離を保持できる長さに試料を調製する。このような場合、試料が適切な整列、保持、標点定義をして実装されているかに注意を払うべきである。
以下を記録する:
・負荷セグメント中(L200)の200%工学歪みにおける工学応力
・非負荷セグメント中(UL50)の50%工学歪みにおける工学応力
・非負荷中に、試料が弛緩した(Ls)際の工学応力
【0050】
次に、セットを、付加変位における工学歪みの割合として表すLsとして定義する。例えば、試料に200%工学歪みが付加され、非負荷中に20%の工学歪みで弛緩した場合、このセットは、20%/200%=0.10=10%として算出する。
【0051】
定義において記載されるように、材料が「弾性」又は「プラスチック」の定義に合うかどうかを判定するために、ヒステリシス試験を用いる際、12.7mm(すなわち、50%の工学歪み)の付加変位が用いられる。
【0052】
坪量(単位面積当たりの質量)
INDA標準試験WSP 130.1(09)により、フィルム試料の秤量を測定する。全ての条件及び試験を23±2℃及び50±5%の相対湿度の雰囲気において行う。
【0053】
5つの試料の平均を、グラム毎平方メートルで平均秤量として有効数字3桁で記録する。
【0054】
有効厚み平均
フィルムの有効厚み平均を、以下の平均秤量から算出する。
有効厚み平均=平均秤量/密度
単位:
厚み:マイクロメートル(μm)
秤量:gsm
密度=0.92グラム毎cm
3(g/cc)
有効数字3桁で、マイクロメートル(μm)で結果を記録する。
【0055】
空気透過性試験
規定の圧力低下を受ける試料を通る通常の調整空気の流速を測定することで、基材(例えば、フィルム、ラミネート、又は物品の構成部品)の空気透過性を測定する。この試験は、不織布、有孔フィルム等、比較的高い空気透過性を有する材料に特に適している。以下のような変更を除き、ASTM D737を用いた。
【0056】
TexTest FX3300器具又は同等物が使用され、これは、スイス国のTextest AG、又は米国サウスカロライナ州のスパーンターグ(Spartanburg)のAdvanced Testing Instruments ATIから入手可能である。TEXTEST FX3300空気透過性テスターマニュアルの操作説明にある、気密性試験及び機能及び較正チェックにおいて記載されている手順を行う。異なる器具を使用する場合、製造業者の説明書により、気密性及び較正に関する同様の規定に従う。
【0057】
試験圧力低下は、125パスカルに設定され、5cm
2面積試験ヘッド(FX3300−5モデル)が使用される。TEXTEST FX3300空気透過性テスターマニュアルの操作説明にある手順により、試料の測定を行った後、結果を有効数字3桁で記録する。この試料の5つの試料の空気透過性データ(m
3/m
2/分)の平均を算出し、空気透過性値として記録する。
【0058】
示差走査熱量計(DSC)
ポリマーのT
mを測定するためにDSC試験を用いる。
図3に示される時間−温度プロファイルを測定に使用することを除いては、T
mは、ASTM D3418−08により、DSC測定によって測定される(T
mは、ASTM法ではT
pmとされることに注意)。20℃/分の加熱速度で較正を実行する。
図3に示されるように、温度プロファイルは、30〜42分の時間でのプロファイルにおいて非直線部分301を含み得る。非直線部分301は、装置の冷却能力に限界があることを示すものである。公称の冷却速度からのこの偏位は、観測された融解曲線にあまり影響を与えないかもしれないが、本明細書の全てのDSCデータにおいて同様のプロファイルが生じている。
【0059】
ラミネート一体化試験
この試験は、伸張方向に沿って100%の工学歪みを伸張性ラミネートにかけ、37.8℃の温度で保持しながら、そのラミネートにおける穴又は裂け目の開始及び増大を観察することによる、伸張性ラミネートの機械的な一体性の評価を提供するものである。
図4A及び4Bは、ラミネート一体化試験の特定の態様が示されている。
図4Aは、試料400の平面図を示し、
図4Bは、試料400の側面図を示す。
【0060】
以下の寸法を有するラミネートの矩形片405を切断して試料400を調製する。
・長さ420:100mm(ラミネートの伸張方向に沿う)
・幅430:50.8mm(ラミネートの伸張方向と垂直)
・標点距離440:80mm(ラミネートの伸張方向に沿う)
【0061】
ASTM D882−02に記載されるように、試料400の端部に傷をつけたり、あるいは損傷したりしないように気をつける。マスキングテープ410の層間に、テープ410の内端部が試料400上に80mmの標点距離440を画定するように、試料400の端部を挟む。試料400の1つの端部を、試験時間中、伸張形状にある試料400を保持するのに十分な大きさを有する厚紙450の硬質片に固定する。図で示されるように、ステープル445で試料400を厚紙450に固定し、実質的に試料の全幅に沿って好適な間隔を空けて配置する。ステープル445は、試料の標点距離440を画定する縁部のミリメートルの範囲内に、マスキングテープ410中に設置する。試料400の他の端部(すなわち、ステープルで固定していない端部)は、試料が100%の工学歪みによって変形するように、80ミリメートル偏位させる。次に、図に示されるように、ステープル445で試料400の他の端部を厚紙450に固定する。次に、試料が固定されている厚紙450をチャンバ又は室内に載置し、37.8℃で保持する。目視又はビデオカメラの使用のどちらかで、穴又は裂け目の開始及び増大に関して試料を監視する。穴/クラック/裂け目の寸法(試料の全幅の分数として表す)を機能時間として記録する。裂け目が試料幅の50%まで広がる際の時間において適正な評価が得られるように、適切な数のデータ点を得る。この時間がラミネート一体化時間である。
【0062】
入手可能な材料が、これらの寸法を有する試料を調製するのに十分でない場合には、100%の工学歪みを得るために試料にかける変異を比例的に削減してより小さな試料を使用することができる。
【実施例】
【0063】
表2は、様々なフィルム試料を作製するための処方を示している。表2に示されるS4033、JL−007、及びJL−014は、Kuraray America,Inc.(Pasadena,TX)から入手可能な水素添加SEEPSブロックコポリマーである。S4033は既知のSEEPSブロックコポリマーであり、JLシリーズ(例えば、JL−007及びJL−014)は、加工性を向上するために改変されたS4033型のブロックコポリマーであると考えられる。SEEPSブロックコポリマーであるJLシリーズは、イソプレンと1,3ブタジエンの質量比が、46/54〜44/56(例えば、45/55)である。表2において、油は、Drakeo l600、Hydrobrite 550、又はKrystol 550などの鉱油である。REGALREZ 1126及びREGALITE 1125は、Eastman Chemical Company(Kingsport,TN)から入手可能な粘着付与剤である。PS3190は、NOVA Chemical Company(Canada)から入手可能なポリスチレンホモポリマーである。AOは、Ciba Specialty Chemicals(Switzerland)から入手可能なIrganox 100などの好適な酸化防止剤である。
【0064】
試料1〜11は、100mm幅及び100μm厚のフィルムを形成するために、スロットダイに熱可塑性樹脂を通して押し出して作製した。熱可塑性組成物は、拡張した混合区画を備えるLeistritz(27mm)2軸押出機で材料を押し出すことで形成される。まず、油とSeptonポリマーを一緒に混合し、次にポリスチレン及び粘着付与剤をこの混合物に混和した後、押出成形機に投入する。押出成形機内の温度は、典型的には170〜230℃の範囲に及ぶ。続けて、ThermoFisher(20mm)短軸押出成形機を使用して、組成物をフィルムに成形した。ThermoFisher押出成形機内の温度は、典型的には170〜230℃の範囲に及ぶ。
【表2】
【0065】
表3は、様々な弾性フィルム材料の破損時間及び融解温度を表している。試料1〜6及び9〜10は、本発明のフィルムの好適な実施例を示すものである。試料7〜11は、SEEPSブロックコポリマーが必ずしも好適な引裂抵抗性及び/又は加工性を提供するわけではないことを示すための比較例として提供される。破損時間の測定方法は、低速引裂試験により得たものであり、T
m値は、DSC法により得たものである。2段階圧縮成形手順によって表3中の試料12〜15を形成し、そこで、エラストマーは、加熱プラテン(215℃)間で圧縮され、薄いエラストマーシート(約2.5mm厚)を提供するシムを使用して3分間の滞留時間保持され、続けて、その薄いフィルムを折り畳み、積み重ねて、シムを用いずに加圧し、約30秒間の滞留時間保持し、80〜200μmのフィルムを提供する。様々な成分の割合は、全て、フィルムの重量に基づいた重量パーセントである。試料12は比較例として提供され、56%のS4033、13%のPS3160、及び31%の白色鉱油から形成される。試料13〜15は、試料12と同じ相対量のSEEPSブロックコポリマー、ポリスチレンホモポリマー、及び鉱油を含むが、それらの形成において使用されるSEEPSコポリマーの種類(ポリマーのT
mなど)が異なっている。試料13は56%のJL−007を使用して形成する。試料14はJL−014を使用して形成する。試料15はJL−013を使用して形成する。これらの成分を小さなバッチミキサー(Haake)中に加え、210℃で3分間、50RPMで混合する。続けて、210℃で加熱プラテンの間で押圧することで、シートを作製する。
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【0066】
表3で分かるように、S4033 SEEPSブロックコポリマーを含む試料は、約1時間を超える破損時間及び/又は10〜20℃のT
mを提供することができず、JLシリーズのSEEPSブロックコポリマーから形成される試料は、所望の特性を提供する。
【0067】
表4で指定されるSEEPSブロックコポリマーから形成されるフィルムを使用して、ラミネートを作製した。個々のフィルム要素の重量パーセントは、フィルムの総重量を元にしており、表4にも示される。180℃の第1バレル段階と215℃の押出ダイ温度との間のプロファイルを備える実験室規模の押出装置による押出成形によって、フィルムを成形した。フィルムは、130〜140gsmの範囲内の秤量を有する。不織布を覆い、以下できに記載するラミネート試料を形成するのに十分な寸法を有する剥離紙シートの螺旋模様に、ホットメルト接着剤(例えば、Bostikから入手可能な製品コード2031)を塗布した。この接着剤は、スプレーメルトプロセスによって、6.2gsmの秤量で塗布した。剥離紙上に不織布を載置し、不織布の上から軽く手で適度に押して、接着剤を剥離紙から第1不織布材料(Fibertexから製品番号ESM0337で入手可能な16.5gsmのSMS不織布)に移し、不織布と接着剤間の接触を良好なものとした。次に、不織布を剥離紙から注意深く剥がし、剥離紙からの接着剤を不織布へ移した。接着剤が不織布と同じ側に塗布されるように、このプロセスを2回繰り返した。剥離紙から不織布を2回にわたって除いた後、次に、不織布をフィルムに貼り付けるために不織布の接着剤を含有する側を、フィルム上に載置した。次に、接着剤を不織布に塗布するプロセスを、同じ不織布材料で2回繰り返した。次に、第2不織布材料をフィルムの反対側に貼り付けた(すなわち、フィルム反対面の各々に1つの不織布層がある)。不織布とフィルムの機械方向が一致するのを確認した。ラミネートを、長さ100mm及び幅50.8mmに整えた。次に、全試料を同じスタックに積み重ねて、3秒間20kPaの圧力をかけた。次に、各ラミネートを、200ピッチのリングロールプレート上で8mm係合深さ(歯は、120μmのチップ直径を有する)で活性化した。このようにして、ラミネートの機械方向に沿って、各々対になっている歯の間に配置される材料の各長さに、0.2秒間250%工学歪みをかけた。これによって、永続的な不織布の変形が引き起こされる。したがって、弾性フィルムは、不織布による機械的な干渉を(非活性化ラミネートと比較して)実質的に削減して伸張することができる。
【表10】
【0068】
表5は、ラミネート一体化試験により試験した際の、表4のラミネートのラミネート一体化時間及び破損時間を示している。
【表11】
【0069】
表5からも分かるように、試料2は、2時間を超える好適なラミネート一体化時間を示している。それとは対照的に、比較例として提供された試料1は、2時間を超える好適なラミネート一体化時間を示さない。同様に、試料1は、1時間を超える好適な破損時間を提供しない。
【0070】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図している。例えば、「40mm」と開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図している。加えて、本明細書で記載される特性は、1つ以上の値域を含み得る。当然のことながら、これらの値は、範囲内の個々の値が特に開示されていない場合でも範囲内の全ての値を包含するということが理解されるべきである。
【0071】
本発明の「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に援用するが、いずれの文献の引用もそうした文献が本発明に対する先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。本書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における同一の用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいては、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0072】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。