特許第5698382号(P5698382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5698382ビデオコーダにおける参照イメージの圧縮及び伸長方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698382
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】ビデオコーダにおける参照イメージの圧縮及び伸長方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/426 20140101AFI20150319BHJP
【FI】
   H04N19/426
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-548845(P2013-548845)
(86)(22)【出願日】2012年1月12日
(65)【公表番号】特表2014-506442(P2014-506442A)
(43)【公表日】2014年3月13日
(86)【国際出願番号】EP2012050435
(87)【国際公開番号】WO2012095490
(87)【国際公開日】20120719
【審査請求日】2013年8月12日
(31)【優先権主張番号】11150714.1
(32)【優先日】2011年1月12日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ベアンハート アークテ
(72)【発明者】
【氏名】ローベアト クトカ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター アモン
(72)【発明者】
【氏名】ゲーロ ベーゼ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス フッター
(72)【発明者】
【氏名】ノアベアト エアテル
【審査官】 長谷川 素直
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−066081(JP,A)
【文献】 特開平06−311506(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/092740(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/114368(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/137322(WO,A1)
【文献】 特開2000−165875(JP,A)
【文献】 特表2012−503902(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/148619(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/034205(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/00−19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフレームデータ(RBM)がフレーム圧縮ユニット(PC)により圧縮されて参照フレームバッファ(SRB)に格納され、該第1のフレームデータ(RBM)が前記参照フレームバッファ(SRB)から呼び出されると、フレーム伸長ユニット(PD)により伸長されて第2のフレームデータ(REFT)が生成される、
第1のフレームデータ(RBM)の変換方法において、
前記第1のフレームデータ(RBM)を、前記フレーム圧縮ユニット(PC)の圧縮率を上昇させるように、圧縮前に圧縮フィルタ(CF)を使って変換する、
ただし、前記圧縮フィルタ(CF)を第1のフレームデータ(RBM)の符号化に用いられた符号化モード(P,I,B)に依存して形成する
ことを特徴とする、第1のフレームデータ(RBM)の変換方法。
【請求項2】
前記フレーム伸長ユニット(PD)による伸長実行後、復号されたフレームデータに対し伸長フィルタ(DF)による処理を行うことで、前記第2のフレームデータ(REFT)を生成し、ここで該伸長フィルタ(DF)により前記圧縮フィルタ(CF)とは逆のステップが実行される、請求項記載の方法。
【請求項3】
前記フレーム伸長ユニット(PD)による伸長実行後、復号されたフレームデータに対し伸長フィルタ(DF)により処理を行うことで、前記第2のフレームデータ(REFT)を生成し、ここで前記圧縮フィルタ(CF)と前記伸長フィルタ(DF)は少なくとも以下のオペレーションのうち少なくとも1つのオペレーションを実行し、すなわち、
前記圧縮フィルタ(CF)により、第1のフレームデータ(RBM)の第1の画素数を低減し、前記伸長フィルタ(DF)により、該第1の画素数と、前記第2のフレームデータ(REFT)の第2の画素数とが同じ値をとるよう、該第2の画素数を増加するオペレーション、
前記圧縮フィルタ(CF)により、第1のフレームデータ(RBM)の画素の第3のビットプレーン数を低減し、前記伸長フィルタ(DF)により、前記第1の画素数と前記第2の画素数とが同じ値をとるよう、第2のフレームデータ(REFT)の画素の第4のビットプレーン数を増加するオペレーション
のうち少なくとも1つのオペレーションを実行する、
請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
第1のフレームデータ(RBM)は、フレーム圧縮ユニット(PC)によって圧縮されて参照フレームバッファ(SRB)に格納されており、前記第1のフレームデータ(RBM)が該参照フレームバッファ(SRB)から呼び出されると、フレーム伸長ユニット(PD)により伸長されて第2のフレームデータ(REFT)が形成される、
第1のフレームデータ(RBM)を変換するための装置(DEV)において、
前記フレーム圧縮ユニット(PC)の圧縮率が高められるように、圧縮前に前記第1のフレームデータ(RBM)を変換する圧縮フィルタ(CF)を有している、
ただし、前記圧縮フィルタ(CF)は、第1のフレームデータ(RBM)の符号化に用いられた符号化モード(P,I,B)に依存して形成される
ことを特徴とする、第1のフレームデータ(RBM)を変換するための装置。
【請求項5】
前記第2のフレームデータ(REFT)を生成するための伸長フィルタ(DF)が設けられており、前記フレーム伸長ユニット(PD)による伸長実行後、復号されたフレームデータに対し該伸長フィルタ(DF)による処理が行われる、ただしこの処理の際に該伸長フィルタ(DF)は前記圧縮フィルタ(CF)とは逆に動作する、請求項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1のフレームデータを変換するための方法及び装置に関する。
【0002】
符号化すべきフレームフォーマットはこの数年間で、例えば新たな形式の記録システムの導入などにより、絶えず大きくなってきた。殊に目下のところ、過去50年にわたりヨーロッパで用いられてきたフレームサイズ625x576画素のテレビジョン伝送システムPAL(Phase Alternation Line方式)から、1920x1080画素もしくは1280x720画素のHDTV(High Definition Television 高品位テレビジョン)への置き換えが行われている。将来、新規のテレビジョンシステムにおいてさらに大きいフレームフォーマットの導入が予期される。
【0003】
高品位テレビジョンならびに将来のシステムは、例えばインターネットまたは移動無線チャネルなどを介してできるようフレームシーケンスを圧縮するために、ディジタル圧縮方式を用いる。ただしフレームフォーマットサイズの拡大によって、ビデオデータシーケンスの圧縮に必要とされる計算パワーならびにその際に必要とされる所要メモリが著しく増大する。その結果として、メモリと圧縮方式を実行する計算ユニットとの間のデータ伝送も著しく増えることになる。
【0004】
そこで、ワーキングループ例えばJoint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC)、ITUとISO/IEC (ITU - International Telecommunication Union, ISO - International Standardization Organisation, IEC - International Electrotechnical Commission) の共同によるワーキンググループなどが、圧縮率の改善についてだけでなく、個々のコーデックの参照フレームバッファにビデオフレームを効率的に格納し、リソースを節約するかたちでアクセスできるようにするための標準化方式についても取り組んでいる。
【0005】
図1には、参照フレームバッファSRBを備えた公知のフレームシーケンス圧縮装置が示されている。この場合、例えばインターフレームコーディングとしても知られている予測符号化によって、フレームが符号化される。複数のフレームのうちの1つが例えば16x16画素のフレームブロックBBに分解され、ついでそれらがブロックごとに符号化される。ついでフレームブロックのうちの1つについて、フレームブロックのフレーム内容推定の良好な基礎を成す参照フレームブロックRBBが、参照フレームREF内でサーチされる。この目的で、フレームブロックが動き推定ユニットMEに供給され、このユニットは、フレーム伸長ユニットPDによるフレーム伸長後に参照フレームREFの一部分を含む参照サブフレームREFTに基づき、参照フレームブロックを参照サブフレームから選択し、選択された参照フレームブロックが動きベクトルMVによって動き補償ユニットMCへ通知される。動き補償ユニットは、参照フレームと動きベクトルとに基づき、参照フレームブロックを供給する。
【0006】
次のステップにおいて、フレームブロックBBから参照フレームブロックRBBを減算することにより、差分フレームブロックBDが生成される。次にこの差分フレームブロックに対し変換ユニットTにおいて、例えば離散コサイン変換などによって変換が行われる。 変換ユニットTの出力側には変換係数TKが発生し、ついでこの変換係数TKは量子化のため量子化ユニットQへ供給される。量子化ユニットQの出力側には量子化された変換係数TQが発生し、この変換係数TQは、エントロピー符号化ユニットECによりエントロピー符号化され、出力信号に変換される。
【0007】
フィードバックループにおいて、量子化された変換係数TQは逆量子化ユニットIQによる逆量子化によって、復元された変換係数TKRに変換される。復元されたこれらの変換係数TKRは、逆変換ユニットITによる逆変換によって、復元された差分フレームブロックBDRに変換される。次のステップにおいて、復元された差分フレームBDRと参照フレームブロックRBBの加算により、復元されたフレームブロックRBMが生成される。
【0008】
比較的以前の符号化方式の場合、復元されたフレームブロックが参照フレームバッファにダイレクトに書き込まれる。目下標準化作業が行われている方式によれば、復元されたフレームブロックのデータ容量を低減するため、フレーム圧縮ユニットPCにより最初にフレーム圧縮が行われ、これによって復元されたフレームブロックのデータ容量が著しく低減される。次に、フレーム圧縮ユニットPCにより発生した圧縮され復元されたフレームブロックRBMが参照フレームバッファに格納される。動き推定ユニット及び動き補償ユニットが必要とするフレームデータへアクセスできるようにする目的で、参照フレームREFもしくは参照フレームの特定のフレーム部分が要求されると、まずは圧縮された個々の復元フレームブロックが参照フレームバッファSRBから読み出され、フレーム伸長ユニットPDによるフレーム伸長によって、参照サブフレームREFTに変換される。
【0009】
図2には、図1に示したエンコーダに対応するデコーダが示されている。この場合、出力信号ASはエントロピー復号ユニットEDによって、量子化された変換係数TQに復号される。さらに量子化された変換係数は逆変換ユニットIQにより、復元された変換係数TKRに逆量子化される。ついで復元された変換係数TKRが逆情報ユニットITによって、復元された差分フレームブロックBDRに逆変換される。
【0010】
出力信号のほか、とりわけ個々の動きベクトルMVもデコーダへ伝達される。デコーダは、動きベクトルMVから参照サブフレームREFTを用いて、動き補償ユニットMCにより参照フレームブロックRBBを求め、これが復元された差分フレームブロックと加算されて、復元されたフレームブロックRBMに変換される。
【0011】
復元されたフレームブロックRBMは、例えばディスプレイで再生可能である。次に、復元されたフレームブロックRBMはフレーム圧縮ユニットPCによる圧縮によって、圧縮された復元フレームブロックRBCに変換され、ついでこれは参照フレームバッファSRBに格納される。参照フレームバッファに格納された圧縮された復元フレームブロックは、フレーム伸長ユニットPDにより伸長されて参照サブフレームが形成される。
【0012】
文献[1]には、損失のないフレーム圧縮方式/フレーム伸長方式について記述されている。これによれば浮動小数点DCT変換(DCT - Discrete Cosiunus Transformation)し、変換後に2次元で配置される係数を1次元表現でスキャンした後、ビットプレーン符号化が実行される。
【0013】
文献[2]による方式では、メモリアクセス帯域幅低減技術が提案されている。この文献によれば、変換と量子化のほか、フレーム圧縮ユニットPCのためのDC予測とエントロピー符号化もしくはフレーム伸長ユニットPDのためのこれとは逆のステップが提案されている。
【0014】
さらに文献[3]には、デブロッキングフレームメモリ(deblocking frame memory)の前後におけるフレームデータの圧縮もしくは伸長におけるテスト結果が呈示されている。
【0015】
さらに文献[4]には、1次元のDPCMベースのフレームメモリ圧縮方式(DPCM - discrete pulse code modulation)について述べられている。
【0016】
少なくとも文献[1]と[4]において提案されている圧縮方式は、損失がない。
【0017】
本発明の課題は、フレーム圧縮ユニットによる圧縮もしくはフレーム伸長ユニットによる伸長を、従来技術よりも向上させることのできる方法及び装置を提供することにある。
【0018】
この課題は独立請求項に記載された発明により解決される。本発明の発展形態は従属請求項に記載されている。
【0019】
本発明は、第1のフレームデータを変換するための方法に関する。この場合、第1のフレームデータは、フレーム圧縮ユニットにより圧縮されて参照フレームバッファに格納され、参照フレームバッファから呼び出されると、フレーム伸長ユニットにより伸長されて第2のフレームデータが生成される。この場合、フレームデータは、フレーム圧縮ユニットの圧縮率の上昇が生じるよう、圧縮前に圧縮フィルタを使って変換される。
【0020】
既存の符号化方法の場合、フレーム圧縮ユニットは損失なく動作することが多い。圧縮フィルタの適用により、イメージディテールの損失を圧縮フィルタのフィルタパラメータによって、フレーム圧縮ユニットを介在させることなく制御することができる。その際にやはり有利であるのは、圧縮フィルタの構成をフレーム圧縮ユニットの特性に合わせて個別に整合可能なことである。
【0021】
圧縮フィルタは、少なくとも以下のパラメータのうち1つのパラメータに依存して形成されると有利である。
−第1のフレームデータの符号化に用いられた符号化モード
−第1のフレームデータの符号化に用いられた量子化パラメータ
−第1のフレームデータの予測符号化に用いられた動きベクトル
これらのパラメータのうち少なくとも1つのパラメータに依存して圧縮フィルタを制御することによって、圧縮の向上を実現することができる。なぜならば、固有の符号化モード、適用された量子化パラメータ、使用された動きベクトルなど、第1のフレームデータ固有の特性によって圧縮フィルタを制御できるからである。
【0022】
本発明の1つの有利な実施形態によれば圧縮フィルタは、例えば量子化に起因して第1のフレームに含まれる量子化ノイズの抑圧を伴うサブバンドフィルタとして形成される。このようにしてフレーム圧縮ユニットにおける圧縮を改善することができ、これによれば著しく煩雑なやり方でしか符号化できないイメージ内容例えばシャープなエッジのライン、量子化ノイズのような「無駄な」イメージ内容がフィルタリングされ、これによりそのようなイメージ内容をいっそう効率的に圧縮することができる。
【0023】
有利には、圧縮フィルタは一連の複数のオプションの中から決定される。すなわち、まえもって定められた第1のフレームデータのデータレートにおいて誤差関数を最適化するフィルタが選択され、つまり決められたデータレートにおいて圧縮フィルタを用いた圧縮により誤差が最小化されるように選択される。したがって、所定のデータレートにおいて著しく良好なイメージ品質を実現する圧縮フィルタだけが採用される。これと同様に、品質を維持したまま最も低いデータレートを生じさせるフィルタが選択されるように、この実施形態を実現することもできる。
【0024】
有利には、第2のフレームデータは、伸長ユニットによる伸長実行後、復号されたフレームデータに対し伸長フィルタ処理を行うことによって生成される。この場合、伸長フィルタによって圧縮フィルタとは逆のステップが実行される。
【0025】
本発明によるこの実施形態によって、第1のフレームデータの鮮明度だけを低減する圧縮フィルタを用いることもできる。この目的で、フレーム伸長ユニットによる伸長実行後、復号されたフレームに対し伸長フィルタ処理を行うようにして、第2のフレームデータを生成することができ、その際に圧縮フィルタと伸長フィルタは以下のオペレーションのうち少なくとも1つのオペレーションを実行する。すなわち、
−圧縮フィルタにより、第1のフレームデータの第1の画素数を低減し、伸長フィルタにより、第1の画素数と、第2のフレームデータの第2の画素数が同じ値をとるよう、第2の画素数を増加するオペレーション。
−圧縮フィルタにより、第1のフレームデータの画素の第3のビットプレーン数を低減し、伸長フィルタにより、第1の画素数と第2の画素数とが同じ値をとるよう、第2のフレームデータの画素の第4のビットプレーン数を増加するオペレーション。
【0026】
この拡張によって、第1のフレームデータを殊に効率的に変換することができ、その結果、フレーム圧縮ユニットによる圧縮を著しく効率的に実行することができる。
【0027】
本発明は、第1のフレームデータを変換する装置にも関する。この場合、第1のフレームデータは、フレーム圧縮ユニットにより圧縮されて参照フレームバッファに格納され、このバッファから呼び出されると、フレーム伸長ユニットにより伸長されて第2のフレームデータが生成される。この装置はフレームデータを変換するための圧縮フィルタを有しており、このフィルタは、フレーム圧縮ユニットにおいて圧縮率が高められるよう、第1のフレームデータを圧縮前に変換する。この装置の利点は、対応する方法の請求項から読み取ることができる。
【0028】
有利であるのはこの装置に、第2のフレームデータを生成するための伸長フィルタを加えることである。これによればフレーム伸長ユニットによる伸長実行後、復号されたフレームデータに対し伸長フィルタによる処理が行われ、その際、この伸長フィルタは圧縮フィルタとは逆に動作する。この拡張の利点は、対応する方法の請求項から読み取ることができる。
【0029】
次に、図面を参照しながら本発明及び本発明の有利な実施形態について詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】フレームデータを圧縮するための従来技術から公知のエンコーダを示す図
図2】圧縮されたフレームデータを伸長するための従来技術から公知のデコーダを示す図
図3】本発明の第1の実施形態を成す変形された第1のエンコーダを示す図
図4】本発明の第1の実施形態を成す変形された第1のデコーダを示す図
図5】本発明の第2の実施形態を成す変形された第2のエンコーダを示す図
図6】本発明の第2の実施形態を成す変形された第2のデコーダを示す図
【0031】
図中、同じ機能と働きを有する素子には同じ参照符号が付されている。
【0032】
図1及び図2には、従来技術によるフレーム圧縮ユニットPCとフレーム伸長ユニットPDを利用したやり方が示されている。図1及び図2については冒頭で詳しく説明したので、冒頭の説明を参照されたい。
【0033】
図3には変換方法に関する第1の実施例が示されており、図3にはこの方法を実施するための装置DEVも示されている。図3図1と異なる点は、フレーム圧縮ユニットPCの直前に圧縮フィルタCFが信号処理ラインに組み込まれていることである。第1のフレームデータとも称する復元されたフレームブロックRBMは、変換ないしはフィルタリングのために圧縮フィルタCFへ供給される。変換実施後、圧縮フィルタCFの出力側には、第1のフレームデータRBMが変更された第1のフレームデータRBMXとして送出される。次に、変更された第1のフレームデータはフレーム圧縮ユニットPCへ供給され、変更された第1のフレームデータが圧縮されて、圧縮された復元フレームブロックRBCが形成される。その後、圧縮された復元フレームブロックRBCは、参照フレームバッファSRBに格納される。参照フレームバッファのデータを読み出して処理するために、圧縮された個々の復元フレームブロックRBCがフレーム伸長ユニットPDへ供給され、フレーム伸長ユニットPDはそれらのブロックから、参照サブフレームREFTの伸長により参照サブフレームREFT(以下では第2のフレームデータとも称する)を生成する。図3のその他のステップは、図1のステップと同様であるので、それらのステップについてはここではこれ以上言及しない。
【0034】
図4には、例えばデコーダもしくはデコーディング方法に本発明を適用した実施例が示されている。この場合、図4による構造は、1つの変更点を除き図2による構造と同じである。図2とは異なり図4の場合、フィードバックループにおいてフレーム圧縮ユニットPCの直前に圧縮フィルタCFが接続されて信号処理に加えられている。第1のフレームデータRBMから、変更された第1のフレームデータRBMXが圧縮フィルタCFを使用することで生成される。その他のステップは図2及び図3と同様である。
【0035】
図3のエンコーダ及び図4のデコーダがドリフトなく動作するよう、それぞれ図示された圧縮フィルタCFは双方の実施例において同じである。
【0036】
圧縮フィルタCFは以下のように構成されている。すなわち圧縮フィルタCFは、フレーム圧縮ユニットの後続のステップで圧縮率の増大が得られるように、第1のフレームデータを圧縮前にフレーム圧縮ユニットにより変換する。圧縮フィルタCFの1つの実施例によれば圧縮フィルタCFは、イメージディテールを圧縮フィルタのフィルタパラメータにより制御して低減できるように構成されている。この場合、圧縮フィルタをローパスフィルタとして構成することができ、その際、限界周波数をフィルタパラメータによって設定可能であり、フィルタ特性により第1のフレームデータ中の高周波成分をフィルタリングして取り除く。高周波フレーム成分をフィルタリングによって除去することによりフレーム圧縮ユニットは、変更された第1のフレームデータを従来技術よりも高い圧縮率で圧縮することができる。1つの択一的な実施形態によれば、圧縮フィルタCFはサブバンドフィルタとして設計されており、このフィルタは、殊に量子化に起因して第1のフレームデータ中に含まれている量子化ノイズを抑圧しながら、第1のフレームデータの変換を実行する。
【0037】
第1のフレームデータの画素数と変更された第1のフレームデータの画素数とが同一である場合、第1のフレームデータにおけるイメージ鮮明度もしくはイメージディテールの変更のほか、図5及び図6に示されているように、フォーマット低減すなわち画素数の低減も、圧縮フィルタによって実行させることができる。
【0038】
この目的で図5のフィードバックループ中には、図3ですでに詳しく説明したように、圧縮フィルタCF、フレーム圧縮ユニットPCを用いた第1のフレームデータRBMの信号処理、ならびに参照フレームバッファSRBにおける記憶について示されている。ここでは図3とは異なり第2のフレームデータの問い合わせ時にまずはじめに、圧縮され復元された個々のフレームブロックRBCが参照フレームバッファから読み出され、修正された第2のフレームデータRBCYがフレーム伸長ユニットPDにより形成され、この修正された第2のフレームデータが伸長フィルタDFにより逆変換されて参照サブフレームREFTが形成される。例えば圧縮フィルタCFは、100x100画素である第1のフレームデータの画素サイズを、50x50画素である修正された第1のフレームデータの画素サイズに低減する。このような画素低減は例えば2x2フィルタによって実行され、このフィルタは、考察対象とする4つの画素各々の振幅値を0.25の重み付けで乗算し、その結果として得られた重み付けられた振幅値を加算する。これにより2x2の画素から、修正された第1のフレームデータの新たな画素が生成される。伸長フィルタは50x50の画素から100x100の画素を生成し、例えばこれは復元された画素の2x2の画素の各々のポジションに1つの画素をコピーすることによって行われる。フォーマット縮小及びフォーマット拡大のためのその他の方法は、画像処理分野の当業者に知られており、ここではそれらについてはこれ以上言及しない。
【0039】
図6には、図5に示した本発明によるデコーダの変形実施形態が示されている。この変形実施形態の機能は、図5による実施形態と同様である。
【0040】
圧縮フィルタ及び伸長フィルタの別の実施形態において、例えば量子化により画素の振幅値が低減され、もしくは例えば逆量子化により画素の振幅値が増大される。
【0041】
1つの特別な実施形態によれば、圧縮フィルタと伸長フィルタのペアは損失なく動作し、すなわち
であり、ないしはこの結合によって単位行列が生成され、ここでシンボル
は畳み込みまたは積に相応する。
【0042】
これまでに挙げた実施例に加え、圧縮フィルタ及び場合によっては伸長フィルタについて、多数の実施形態が考えられる。例えば、限界周波数がそれぞれ異なる5つのローパスフィルタを選択のために設けることができる。圧縮フィルタの実施形態のうちの1つを適用する前に、個々の圧縮フィルタとフレーム圧縮ユニットにより、画像品質損失に対する圧縮率がどの程度生じるのかが、最初に求められる。この目的で、バリエーションごとにそれらに属するコスト値がコスト関数によって求められる。圧縮フィルタのすべての実施形態についてコスト値が得られた後、最も低いコスト値を達成するバリエーションが選択される。
【0043】
図1図6に示されておりそれぞれブロックで表現されているステップもしくは手段あるいはユニットを、ソフトウェアまたはハードウェアあるいはそれらの組み合わせによって実現することができる。したがってそれらを、プログラムコードとしてプログラムメモリに格納しておくことができ、プログラムメモリと、フレームブロックまたは出力信号のようなデータの送受信のためのインタフェースとに接続されたプロセッサにより、格納されたプログラムコードを読み出して処理させることができる。
【0044】
参考文献一覧
[1] JCTVC-B103: "Reference frame compression using image coder", ISO/IEC Document: JCTVC-Bl 03 , 2nd Meeting: Geneva, CH, 21-27 July, 2010 Chong Soon Lim著
[2] JCTVC-B089: "Compressed Reference Frame Buffers (CRFB) ", ISO/IEC Document: JCTVC-B089 , 2nd Meeting: Geneva, CH, 21-28 July, 2010 Mehmet Umut Demircin 等著
[3] JCTVC-B090: "ALF memory compression and IBDI/ALF coding efficiency test results in TMuC-0.1", JSO/IEC, Document: JCTVC-B090 Madhukar Budagavi著
[4] JCTVC-B057: "DPCM-based memory compression", ISO/IEC Document JCTVC-B057, 2nd Meeting: Geneva, CH, 21-28 July 2010 Hirofumi Aoki著
図1
図2
図3
図4
図5
図6