(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記トーションバネの少なくとも一端が、前記ロックピンを前記他方の部材の係合部に向けてスライドさせる方向に押圧するように、該ロックピンに係合している請求項1又は2記載のロック装置。
前記ロックピンの取付け前において、前記トーションバネの少なくとも一端が前記回転子に保持されており、前記ロックピンを前記回転子に組付ける際、前記トーションバネの少なくとも一端が、前記ロックピンに当接し、当接し合うトーションバネ及びロックピンの一方に形成されたガイド部に沿って、該ロックピンのバネ係合部に案内されるように構成されている請求項1〜3のいずれか1つに記載のロック装置。
前記ロックピンが一対設けられ、前記トーションバネの一端が長くされて、一方のロックピンのスライド方向に沿った面に摺動可能に係合し、前記トーションバネの他端が前記一端よりも短くされて、他方のロックピンを前記他方の部材の係合部に向けてスライドさせる方向に押圧するように、該ロックピンの基端部に係合している請求項1〜4のいずれか1つに記載のロック装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、
図1〜14を参照して、本発明のロック装置の一実施形態について説明する。
【0021】
図6及び
図7に示すように、この実施形態におけるロック装置10は、車両のインストルメントパネル1に設けられた開口部1aに、開閉可能に取付けられるグローブボックス3を、移動しないように静止させ、閉じた状態にロックするために用いられる。なお、前記グローブボックス3が、本発明における「一方の部材」をなし、前記インストルメントパネル1が、本発明における「他方の部材」をなしている。
【0022】
このロック装置10は、
図1〜3に示すように、グローブボックス3に回動可能に取付けられるロータ20と、このロータ20に枢着されて、同ロータ20の回動に連動してスライド動作する一対のロックピン50,51と、前記ロータ20を回動付勢するトーションバネ40と、前記ロータを回動させるハンドル70とから構成されている。なお、前記ロータ20が、本発明における「回転子」をなしている。
【0023】
図6に示すように、グローブボックス3は、開口部1aに適合する寸法で形成された前壁3aと、この前壁3aの裏面側に連設されたボックス3bとから構成されている。前壁3aは、表側パネルと裏側パネルとからなり、その内部空間にロック装置10が配置されるようになっている。なお、
図6以外では、裏側パネルを省略して、ロック装置10が見える状態で描かれている。また、開口部1aの幅方向両側の内面には、係合孔1b,1bがそれぞれ形成されている。この係合孔1bが本発明における「係合部」をなしている。
【0024】
図6、7に示すように、前壁3aの上方の、幅方向一側部寄りの部分に操作孔4が形成され(
図6参照)、その裏側に上方及び上方両側部が開口した箱状のカバー4bが取付けられている(
図7参照)。また、前壁3aの裏側の、幅方向両側部近傍には、ロックピン支持部5,6がそれぞれ立設されている。各ロックピン支持部5,6には図示しない支持孔がそれぞれ形成され、ロックピン50,51がスライド可能に支持されるようになっている。前壁3aの裏側からは、ハンドル70を回動支持するハンドル回動軸7と、ロータ20を回動支持するロータ回動軸8とが立設されている(
図1〜3及び
図7参照)。
【0025】
次に、
図1〜4を参照して、グローブボックス3に回動可能に取付けられるロータ20について説明する。
【0026】
図4(b)に示すように、このロータ20は、中央に支持孔21aが設けられた円形板21と、該円形板21の支持孔21aの裏側から立設した内側円筒壁22と、円形板21の裏側周縁から内側円筒壁22に対して同心状に立設した外側円筒壁23とを有している。また、内側円筒壁22の内部には、ネジ係合段部22aが形成されている。
【0027】
そして、
図1〜3及び
図7に示すように、支持孔21aにロータ回動軸8を挿入し、その内周にネジ8aを螺着して、ネジ頭部をネジ係合段部22aに係合させることで、ロータ20が、ロータ回動軸8を中心として回動可能となるように、前壁3aの裏側に抜け止め状態で取付けられるようになっている。
【0028】
図4(a)に示すように、外側円筒壁23の円形板21寄りの位置には、バネ挿出溝25が周方向に沿って形成されている。また、
図4(b)に示すように、外側円筒壁23の開口部寄りの、バネ挿出溝25にほぼ対向する位置には、周方向に沿って伸びる部分と、これに直交して軸方向に伸びる部分とからなる、L字溝状のバネ係合溝27が形成されている。
【0029】
また、外側円筒壁23の開口部外周の対向する位置からは、板状の延出片30,31がそれぞれ延出されている。各延出片30,31の裏側であって、前記支持孔21aを中心として対向する位置には、一対のロックピン50,51を枢着するための、枢着ピン30a,31aがそれぞれ突設されている。
【0030】
更に、外側円筒壁23の開口部外周であって、前記延出片30に隣接した位置からは、ハンドル70の回動時に押圧されてロータ20を回動させる、板状の突出部35が突設されている。また、前記円形板21の周縁であって、前記突出部35とほぼ整合した位置からは、略扇状のハンドル抑え片37が延設されている。
【0031】
次に、
図1〜3を参照して、上記ロータ20の外周に枢着されて、グローブボックス3の前壁3aの幅方向に沿って左右方向にスライド動作する、一対のロックピン50,51について説明する。
【0032】
この実施形態におけるロックピン50,51は、基端部53から所定長さで直線状に伸びると共に、軸方向途中で屈曲して、先端部55が基端部53に対して平行に伸びる形状をなし、一方のロックピン50の方が、他方のロックピン51よりも短く形成されている。また、ロックピン50,51の各基端部53の、ロータ20の裏面側に配置される一側面には、ロータ20の枢着ピン30a,31aが脱着可能に嵌合する、嵌合凹部53aが形成されており、ロックピン50,51の基端部53,53がロータ20の対称位置に枢着されるようになっている(
図3及び
図7参照)。
【0033】
ロックピン50,51の各先端部55は、グローブボックス3のロックピン支持部5,6の支持孔にそれぞれ挿入され、スライド動作が支持されると共に、インストルメントパネル1の係合孔1b,1bに係脱するようになっている。各先端部55の端面には、グローブボックス3を閉じるときに開口部1aの内面に押圧され、先端部55を前壁3aの内方に引き込ませるための、テーパ面55aが形成されている。
【0034】
図1、
図2及び
図8に示すように、前記ロックピン50の軸方向途中であって、ロータ20の裏側に配置されるスライド方向に沿った一側面からは、バネ係合突部57が突設されている。このバネ係合突部57の基端部53側は、ロックピン50の軸方向に直交した板状をなし、その下側角部が面取りされてテーパ状をなしたガイド部57aが形成されている。また、前記バネ係合突部57の下面が、バネ係合部57bをなしている。
【0035】
また、
図1及び
図8に示すように、ロックピン51の基端部53の基端面からは、ロータ20の裏面側に向けて、バネ係合部61が突設されている。このバネ係合部61の先端外面には、先端に向かって次第に先細となるテーパ状のガイド部61aが形成されている(
図8参照)。
【0036】
次に、一対のロックピン50,51の先端部55,55を、インストルメントパネル1の係合孔1b,1bに向けてスライドするように、上記ロータ20を回動付勢するトーションバネ40について説明する。
【0037】
図1、
図2及び
図4(b)に示すように、このトーションバネ40は、金属線材を筒状に巻回されてなるコイル部41と、このコイル部41の一端から延出されて、直線状に所定長さで伸びる一端部43と、前記コイル部41の他端から延出されて、コイル部外方に向けてL字状に屈曲すると共に、一端部43よりも短く形成された他端部45とから構成されている。
【0038】
そして、この実施形態における上記トーションバネ40は、そのコイル部41が、ロータ20の両円筒壁22,23間に挿入されて、ロータ20の回動軸回りに配置されると共に、一端部43が、ロータ20のバネ挿出溝25を通ってロータ外方に挿出され、更に、他端部45が、ロータ20のバネ係合溝27の端部27aに係合しつつロータ外方に突出した状態で、ロータ20に装着されるようになっている(
図4(b)及び
図8参照)。
【0039】
上記状態でロータ20に一方のロックピン50を枢着させると、トーションバネ40の一端部43が、ガイド部57aに案内されて、ロックピン50のスライド方向に沿った面、すなわち、バネ係合突部57の下面のバネ係合部57bに摺動可能に係合して、ロックピン50にスライド方向と交差する方向の付勢力を付与するようになっている(
図9〜11参照)。また、ロータ20に他方のロックピン51を枢着させると、ロータ20のバネ係合溝27の端部27aから挿出されたトーションバネ40の他端部45が、ロックピン51のガイド部61aに案内されて、バネ係合部61の外面、すなわちロックピン51の基端部に、ロータ20の回動と共に回動するように係合して、ロックピン51の先端部55を、係合孔1bに向けてスライドさせる方向に押圧するようになっている(
図9〜11参照)。
【0040】
また、トーションバネ40の両端部43,45がロックピン50,51に支持されることで、ロータ20が所定方向に回動付勢されて(
図7、
図10及び
図11参照)、ロックピン50,51の各先端部55が、インストルメントパネル1の係合孔1b,1bに向けて付勢されるようになっている。
【0041】
更に本実施形態では、ハンドル70を回動操作して、ロータ20をトーションバネ40の付勢力に抗して回動させると、
図12に示すように、トーションバネ40の他端部45が、ロックピン51のバネ係合部61から外れて、ロータ20のバネ係合溝27の端部27aに当接して係合するように構成されている。
【0042】
次に、
図1〜3及び
図5を参照して、上記ロータ20を回動させるハンドル70について説明する。
【0043】
この実施形態におけるハンドル70は、前記ロータ20とは別体とされ、所定長さで伸びるレバー状の本体71を有している。この本体71は、長板状の底壁72と、この底壁72の一方の長辺周縁から垂設した正面壁73とからなり、略L字状をなしている。
【0044】
前記本体71の長手方向一端から板体74が延設され、この板体74の下面に斜め外方に向けて延出した基端部75が設けられており、この基端部75の先端に前記ハンドル回動軸7が挿入される支持孔76が形成されている。この支持孔76の内周には、ネジ係合段部76aが形成されている(
図5(b)参照)。
【0045】
そして、
図1〜3及び
図7に示すように、支持孔76にハンドル回動軸7を挿入し、その内周にネジ7aを螺着して、ネジ頭部をネジ係合段部76aに係合させることにより、ハンドル70が、ハンドル回動軸7を中心として下から上に引き上げる方向に回動するように、前壁3aの裏側に抜け止め状態で取付けられるようになっている。
【0046】
また、本体71の長手方向他端側には、正面壁73に直交して裏側に延出された側壁80が設けられている。この側壁80の先端から正面壁73と平行に先端部82が突設され、この先端部82の先端上方に板状のストッパ部84が突設されている。
【0047】
更に、側壁80と先端部82との間には、スリット状のバネ通過孔85が形成されている。このバネ通過孔85は、ロータ20のバネ挿出溝25から挿出されたトーションバネ40の一端部43を通過させて、ハンドル70の背面側に配置されるロックピン50のバネ係合部57bに係合させるようになっている。
【0048】
また、先端部82の裏側下縁部には、段状の押圧部86が設けられている。この押圧部86上にロータ20の突出部35が当接配置されるようになっており(
図11参照)、この状態でハンドル70を回動させると、押圧部86が突出部35を押圧して、ロータ20を回動させるようになっている(
図14参照)。
【0049】
次に、上記構成部材からなるロック装置10の作用効果について説明する。始めにロック装置10の組立工程について、
図8及び
図9を併せて参照して説明する。なお、
図8及び
図9においては、便宜上、ハンドル70を省略するものとする。
【0050】
まず、トーションバネ40の一端部43を、ロータ20のバネ挿出溝25から挿出させると共に、他端部45をロータ20のバネ係合溝27の端部27aに係止させ、更に、コイル部41をロータ20の両円筒壁22,23間に挿入配置することで、ロータ20にトーションバネ40を装着させる。また、ロータ20の表側にハンドル70を配置し、トーションバネ40の一端部43を、バネ通過孔85を通してハンドル70の背面側に配置させる(
図3、5参照)。
【0051】
上記状態で、ハンドル70の支持孔76にハンドル回動軸7を挿入して、ネジ7aでネジ留め固定すると共に、ロータ20の支持孔21aにロータ回動軸8を挿入して、ネジ8aでネジ留め固定して、ロータ20及びハンドル70を、ロータ回動軸8及びハンドル回動軸7を中心として回動可能に取付ける。
【0052】
上記取付状態では、ハンドル70のストッパ部84が、ロータ20の突出部35とハンドル抑え片37との間に入り込んで、外側円筒壁23の外周に当接すると共に(
図10参照)、ハンドル70の押圧部86の上面にロータ20の突出部35が当接して配置されるようになっている(
図11参照)。
【0053】
更に上記状態では、トーションバネ40の一端部43がハンドル70のバネ通過孔85(
図5(a)参照)の端部周縁に係合すると共に、他端部45がロータ20のバネ係合溝27の端部27aに係合するので、トーションバネ40の両端部43,45が動かないように固定されるようになっている。
【0054】
そして、ロータ20の一方の枢着ピン30aを、一方のロックピン50の嵌合凹部53aに押し込んで、ロックピン50をロータ20に枢着すると(
図1参照)、トーションバネ40の一端部43が、ロックピン50のバネ係合突部57のガイド部57aに押圧されて内方にやや曲げられて、ハンドル70のバネ通過孔85の端部周縁から離れて、バネ係合突部57のバネ係合部57bに係合する(
図9参照)。また、ロータ20の他方の枢着ピン31aを、他方のロックピン51の嵌合凹部53aに押し込んで、ロックピン51をロータ20に枢着すると(
図1参照)、ロータ20の延出片31とトーションバネ40の他端部45との間にロックピン51のバネ係合部61が入り込み、同他端部45が、そのガイド部61aに押圧されて、バネ係合溝27の端部27aから離れ、バネ係合部61の外面に係合する(
図9参照)。
【0055】
このように本実施形態では、ロックピン50,51のロータ20への取付け前に、トーションバネ40の両端部43,45がロータ20の所定箇所に保持され、ロックピン50,51の取付け時に、両端部43,45がロックピン50,51のガイド部57a、61aに当接してガイドされ、ロックピン50,51のバネ係合部57b,61にそれぞれ係合するように構成されている。
【0056】
したがって、トーションバネ40を予めロータ20に装着した状態で、ロックピン50,51をロータ20に取付けるときに、トーションバネ40の両端部43,45を、ロックピン50,51に同時に係合させることができるので、ロックピン50,51のロータ20への取付けと、トーションバネ40の両端部43,45のロックピン50,51への係合とをワンタッチで簡単に行うことができ、取付作業性を向上させることができる。
【0057】
なお、本実施形態では、トーションバネ40の両端部43,45がロックピン50,51に係合するようになっているが、トーションバネ40の一方の端部がいずれかのロックピンに係合するように構成してもよい。また、ガイド部は、トーションバネ40側に設けることもできる。
【0058】
上記のようにして、ロックピン50,51の基端部53,53をロータ20にそれぞれ枢着することにより、一対のロックピン50,51を、ロータ20のロータ回動軸8を中心として点対称となる位置で、グローブボックス3の前壁3aの水平方向に対して、スライド可能となるように配設することができる。この状態で、前壁3aの図示しない裏側パネルを被せて、ロック装置10を前壁3aの内部空間に収容する。
【0059】
また、トーションバネ40の両脚部43,45が、ロックピン50,51にそれぞれ係合して支持されているので、ロータ20が所定方向に回動付勢され、ロックピン50,51の各先端部55がインストルメントパネル1の係合孔1b,1bに向けて付勢される。
【0060】
更に、トーションバネ40の一端部43が、バネ係合突部57の下面のバネ係合部57bに摺動可能に係合して、ロックピン50にスライド方向と交差する方向の付勢力を付与すると共に、他端部45が、ロックピン51のバネ係合部61の外面、すなわちロックピン51の基端部に係合して、ロックピン51の先端部55を、係合孔1bに向けてスライドさせる方向に押圧することとなる(
図9〜11参照)。
【0061】
そして、インストルメントパネル1の開口部1aを閉じるべく、グローブボックス3を押し込むと、ロックピン50,51の各先端部55のテーパ面55aが、開口部1aの内面に押圧されて、トーションバネ40の付勢力に抗して各ロックピン50,51が前壁3a内方に向けて引き込まれ、各先端部55が開口部1aの内面の係合孔1b,1bに至ると、再度トーションバネ40によってロータ20が回動付勢されて、ロックピン50,51が押し出されて、各先端部55,55が係合孔1b,1bにそれぞれ係合して、開口部1aをグローブボックス3によって閉じた状態にロックすることができる(
図10及び
図11参照)。
【0062】
このとき、このロック装置10においては、前述したように、トーションバネ40の一端部43がロックピン50に係合すると共に、他端部45がロックピン51に係合して、両ロックピン50,51にトーションバネ40の付勢力が付与されるようになっているので、ロックピン50,51のガタ付きを防止することでき、ガタ付きによる異音の発生を効果的に防止することができる。
【0063】
また、この実施形態では、トーションバネ40の一端部43が、ロックピン50のスライド方向に沿った面である、バネ係合突部57の下面のバネ係合部57bに摺動可能に係合しているので、ロックピン50にスライド方向と交差する方向の付勢力が付与され、ロックピン50のガタ付きを効果的に防止することができる。
【0064】
更に、この実施形態では、トーションバネ40の他端部45が、ロックピン51の先端部55を、係合孔1bに向けてスライドさせる方向に押圧するように、ロックピン51のバネ係合部61の外面、すなわちロックピン51の基端部に係合しているので、トーションバネ40の他端部45が比較的短くても、ロックピン51を確実に押圧して、そのガタ付きを防止することができる。
【0065】
特に本実施形態では、トーションバネ40の一端部43が長くされて、ロックピン50のスライド方向に沿った面(バネ係合突部57の下面のバネ係合部57b)に摺動可能に係合しているので、ロックピン50にスライド方向と交差する方向に押圧力を与えてガタ付きを防止できると共に、トーションバネ40の他端部45が一端部43よりも短くされて、ロックピン51の先端部55を、係合孔1bに向けてスライドさせる方向に押圧するように、ロックピン51のバネ係合部61の外面、すなわちロックピン51の基端部に係合しているので、このロックピン51にスライド方向の押圧力を付与してガタ付きを防止でき、両ロックピン50,51のガタ付きを効果的に防止することができる。
【0066】
そして、上記のようにインストルメントパネル1の開口部1aがグローブボックス3により閉じた状態で、ハンドル70をハンドル回動軸7を中心にして、下から上に引き上げるように回動させることで、ハンドル70の押圧部86がロータ20の突出部35を押圧し、トーションバネ40の回動付勢力に抗してロータ20が回動し、これに同期して一対のロックピン50,51がスライドして、各先端部55,55がインストルメントパネル1の係合孔1bから引き込まれて係合解除され、開口部1aからグローブボックス3を開くことができる(
図13及び
図14参照)。
【0067】
また、上記のようにロータ20が回動すると、ロックピン51のバネ係合部61に係合した状態のトーションバネ40の他端部45が、バネ係合部61から離れて、ロータ20のバネ係合溝27の端部27aに当接して係合するようになっているので(
図12参照)、トーションバネ40の、短く形成された他端部45による比較的大きな付勢力が、ロックピン51のバネ係合部61に付与され続けることが防止され、バネ係合部61の破損等を抑制することができる。
【0068】
更に本実施形態においては、グローブボックス3が閉じた状態で、ハンドル70を操作して、一対のロックピン50,51を係合孔1b,1bから離れるようにスライド動作させて、ロックを解除させるとき、トーションバネ40の一端部43は、ロックピン50のスライド方向に沿った面に当接した状態で摺動するので回動しないが、トーションバネ40の短く形成された他端部45は、ロックピン51に係合して該ロックピン51のスライドと共に移動するので、結果的にロータ20と連動して回動することになり、トーションバネ40に復帰のためのねじり応力を付与することができる。
【0069】
図15及び
図16には、本発明に係るロック装置の、他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0070】
図15及び
図16にはその要部説明図が示されているが、同図に示すように、この実施形態のロック装置10aにおいては、トーションバネ40の他端部45が、ロックピン51の基端部53の基端面に係合していない点で、前記実施形態と異なっている。
【0071】
すなわち、ロックピン51の基端部53であって、基端面よりもやや先端部55寄りの一側面から、バネ係合部62が突設されており、このバネ係合部62に、トーションバネ40の他端部45が係合して、その先端部55を、インストルメントパネル1の係合孔1bに向けてスライドさせる方向に押圧するようになっている(
図15参照)。本発明においては、上記のように、ロックピン51の基端面に限らず基端面の近傍に設けたバネ係合部62等にトーションバネ40の端部を係合してもよく、この場合も本発明におけるロックピンの基端部に含まれるものとする。
【0072】
また、インストルメントパネル1の開口部1aがグローブボックス3により閉じた状態で、ハンドル70を回動させて、トーションバネ40の回動付勢力に抗してロータ20を回動させて、一対のロックピン50,51の先端部55,55を、インストルメントパネル1の係合孔1bから引き込む方向にスライドさせるときには、トーションバネ40の他端部45は、バネ係合部62から外れることなく、係合した状態で回動するようになっている(
図16参照)。
【0073】
図17〜19には、本発明に係るロック装置の、更に他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0074】
この実施形態のロック装置10bは、トーションバネ40の一端部43及び他端部45によって、ロックピン50,51の先端部55,55を、共にインストルメントパネル1の係合孔1b,1bに向けてスライドさせる方向に押圧する点で、前記実施形態と異なっている。
【0075】
すなわち、
図17及び
図18に示すように、この実施形態におけるロックピン50には、その軸方向途中から、略L字状に屈曲すると共に基端部53側に向けて延出したバネ係合アーム58が設けられている。このバネ係合アーム58の先端角部には、テーパ状のガイド部58aが形成されており、同バネ係合アーム58の先端面が、トーションバネ40の一端部43が係合するバネ係合部58bをなしている。
【0076】
また、
図17に示すように、ロックピン51の基端部53に凹み部59が設けられていると共に、同ロックピン51の基端面よりもやや先端部55寄りの一側面から、バネ係合部62が突設されている。このバネ係合部62の先端内側には、テーパ状のガイド部62aが設けられている。更に、トーションバネ40の一端部43及び他端部45は、コイル部41の両端から同程度の長さで延設されている。
【0077】
そして、トーションバネ40の一端部43が、ロックピン50のバネ係合アーム58のバネ係合部58bに係合して、ロックピン50の先端部55を、係合孔1bに向けてスライドさせる方向に押圧すると共に、他端部45が、ロックピン51のバネ係合部62の内側面に係合して、ロックピン51の先端部55を、係合孔1bに向けてスライドさせる方向に押圧するように構成されている(
図18参照)。
【0078】
また、インストルメントパネル1の開口部1aがグローブボックス3により閉じた状態で、ハンドル70を回動させて、トーションバネ40の回動付勢力に抗してロータ20を回動させて、一対のロックピン50,51の先端部55,55を、インストルメントパネル1の係合孔1bから引き込む方向にスライドさせると、
図19に示すように、トーションバネ40の両端部43,45が互いに近づいて交差するように回動する。
【0079】
なお、以上の実施形態では、車両のインストルメントパネルを他方の部材とし、これに開閉可能に取付けられるグローブボックスを一方の部材として、このような開閉構造に、本発明のロック装置を適用したが、これに限定されるものではなく、他方の部材に対する一方の部材の移動を静止させるためのものとして、広く用いることができる。また、本実施形態のロック装置は、インストルメントパネルの開口部にグローブボックスが取付けられた構造に適用したが、例えば、インストルメントパネルの開口部にリッドが開閉可能に取付けられた構造等に適用してもよい。更に本実施形態では、グローブボックスにロック装置が取付けられているが、インストルメントパネル側にロック装置を取付けてもよい(この場合、インストルメントパネルが一方の部材で、グローブボックスが他方の部材となる)。また、本実施形態では、2つのロックピンが、インストルメントパネル1の開口部1a内面の係合孔1b,1bにそれぞれ係合するようにしたが、例えば、ロックピンを1つにして、開口部の上側内面等に形成された係合孔に係合するようにしてもよい。
【0080】
更に上記実施形態では、開閉体に回動可能に取付けられたハンドルにより、回転子であるロータを直接的に回動させる構造となっているが、この構造に限定されるものではなく、ハンドルが回転子を間接的に回動させる構造としてもよい。例えば、回転子をピニオンギヤとすると共に、一対のロックピンの他端部にラック溝をそれぞれ形成して、前記ピニオンギヤに歯合させておき、ハンドルを回動させて、一方のロックピンをスライドさせることで、ピニオンギヤを連動させて回動させ、他方のロックピンをスライドさせるようにしてもよい。また、回転子を上記実施形態と同様にロータとし、その外周の一部所定範囲にギヤ溝を形成する一方、ハンドルの先端に、ロータのギヤ溝に歯合するギヤ溝を形成しておき、ハンドルを回動させることで、両ギヤ溝を介してロータを回動させるようにしてもよい。その他、公知の回動構造を採用することができる。また、ハンドルも回動させる構造のみならず、グローブボックスの前壁やリッドに対して押し引き操作する構造のものも採用することができ、特に限定されない。
【0081】
更に、
図1〜14に示す実施形態、
図15及び
図16に示す実施形態、
図17〜19に示す実施形態の他にも、トーションバネ40の端部とロックピンとの係合態様としては、様々なものが挙げられる。例えば、トーションバネ40の一方の端部を、一対のロックピン50の一方に係合させ、トーションバネ40の他方の端部を、グローブボックス3の前壁3aに立設したピンに係合させてもよい。