【課題を解決するための手段】
【0003】
処理済み超硬構造体を作製するための方法であって、多結晶立方晶窒化ホウ素(PCBN)材料または多結晶ダイヤモンド(PCD)材料から選択される超硬材料を含む超硬構造体を準備するステップと、超硬材料が熱力学的に安定でない(例えば、これが準安定である)処理圧力にて、700℃超の処理温度で、少なくとも約5分の処理期間(時間)にわたって超硬構造体を熱処理にかけて、処理済み超硬構造体を生産するステップとを含む、方法が提供される。
【0004】
本方法の様々な組合せおよびバリエーションが本開示によって想定されており、これらのうち、以下のものが非限定的で非網羅的な例である。
例示的な方法では、超硬構造体を、高圧、周囲圧力、または低圧もしくは実質的に真空で熱処理にかけることができる。処理圧力は、最大で約2GPaまたは最大で約1GPaとすることができ、または処理圧力は、最大で周囲圧力(大気圧)とすることができ、または圧力は、大気圧未満(例えば、実質的に真空)であってもよい。
本方法は、超硬材料が熱力学的に安定である超高圧および高温でダイヤモンドまたはcBN材料を含む結晶粒から選択される超硬材料の複数の結晶粒を焼結して超硬構造体をもたらすステップを含むことができる。
本方法は、超硬合金材料を含む基板を準備するステップと、ダイヤモンドまたはcBNから選択される材料を含む複数の超硬結晶粒を合わせて超硬結晶粒の集合体を形成するステップと、基板の表面に隣接して超硬結晶粒の集合体を配置して焼結前成形体をもたらすステップと、超硬結晶粒の材料が熱力学的に安定である超高圧および高温に焼結前成形体を曝すステップと、基板に接合して形成された超硬構造体を含む超硬構築物を生産するステップとを含むことができる。いくつかの例では、次いで超硬構築物を、少なくとも約700℃の温度に少なくとも約5分間曝し、引き続いて切断してツール用エレメントを生産することができる。
本方法は、ある時間、例えば、少なくとも約5分にわたって温度を約700℃超に維持しながら圧力を超高圧から下げるステップを含むことができる。本方法は、少なくとも約5分の処理期間にわたって、超高圧から超硬材料が熱力学的に安定でない処理圧力に圧力を下げ、約700℃超の処理温度に温度を下げて、処理済み超硬構造体をもたらすステップを含むことができる。本方法は、温度を約700℃〜約1,100℃の範囲内に維持しながら超高圧から圧力を下げて約1GPa未満にするステップを含むことができる。本方法は、超高圧から周囲圧力に圧力を低減するステップと、約700℃未満の温度に超硬構造体を冷却するステップと、次いで処理期間にわたって少なくとも約700℃の温度で超硬構造体を処理するステップとを含むことができる。
【0005】
いくつかの例では、超硬結晶粒は、ダイヤモンドまたはcBNを含むことができ、超高圧は、少なくとも約5GPaであり得、高温は、少なくとも約1,200℃であり得、圧力は、温度を約700℃〜約1,100℃の範囲内に維持しながら約1GPa未満または実質的に周囲圧力に下げることができる。圧力は、急速に下げてもよい。例示的な方法は、1分当たり最大で約2℃または1分当たり最大で約1℃の平均冷却速度で、超硬構築物の温度を約200℃未満の温度に下げるステップを含むことができる。例示的な方法は、超高圧から周囲圧力に圧力を下げるステップと、約700℃未満の温度に超硬構造体を冷却するステップと、次いである処理期間にわたって少なくとも約700℃の温度で超硬構造体を加熱するステップとを含むことができる。
【0006】
本方法は、集合体内に結合材を導入するステップであって、結合材は、互いに直接に、または超硬結晶粒が分散されるマトリックスとして機能することによって超硬結晶粒を一緒に結合することができる、ステップを含むことができる。結合材は、超硬材料用触媒材料、および/または超硬材料と反応することができる材料を含むことができる。超高圧は、少なくとも約5GPaであり得、高温は、少なくとも約1,200℃である。
【0007】
いくつかの例では、超硬構造体は、Tiを含む材料およびAlを含む材料を含むマトリックス中に分散したcBN結晶粒を含み、またはこれから本質的になるPCBN材料を含むことができ、cBN結晶粒の含量は、PCBN構造体の少なくとも約35体積%または少なくとも約50体積%および最大で約75または最大で約90体積%である。この例の一変形では、マトリックスは、不可避な軽微な量の他の材料および不純物は別として、Tiを含む材料およびAlを含む材料からなり得る(すなわち、Tiを含む材料およびAlを含む材料から本質的になる)。この特定の変形では、マトリックスは、炭化チタンおよび/または炭窒化チタン、ならびにアルミニウムのホウ化物および/または窒化物から本質的になり得る。
いくつかの例では、本方法は、超硬合金基板上に焼結されたPCBN構造体を含む構築物を準備するステップと、実質的に非酸化雰囲気下で約800℃〜900℃の範囲内の処理温度に少なくとも約30分間、構築物を加熱するステップとを含むことができる。
いくつかの例では、超硬構造体は、熱的に安定な多結晶ダイヤモンド(PCD)構造体を含み、またはこれから本質的になり得る。PCD構造体の少なくともある量は、約400℃超の温度に曝露された後、硬度の実質的な悪化を呈さない場合がある。PCD構造体は、約2重量%未満の触媒的活性化状態のダイヤモンド用触媒金属を含有してもよい。PCD材料中に含まれるダイヤモンド結晶粒同士間の間隙は、実質的に空の空隙であり得る。PCD材料の間隙は、SiCなどのセラミック材料または炭酸塩化合物で少なくとも部分的に満たされていてもよい。PCD構造体は、ダイヤモンド用触媒材料が枯渇している領域を含むことができる。
【0008】
例示的な方法のいくつかの変形では、処理期間を分割してより短い期間にすることができ、すなわち、処理期間は、超硬構造体の冷却によって互いに切り離れたサブ期間を含むことができ、累積処理期間は、少なくとも約5分、少なくとも約15分、または少なくとも約30分とすることができる。
超硬構造体が超硬合金材料を含む基板に接合された、上記請求項のいずれかに記載の方法。例えば、超硬構造体は、基板中に含まれる超硬合金材料からのバインダー材によって基板に結合することができる。本方法は、超硬構築物中に含まれる超硬構造体を準備するステップであって、超硬構造体は、超硬合金材料を含む基板に接合して形成することができるステップと、超硬構築物を処理して処理済み超硬構築物をもたらすステップとを含むことができる。
いくつかの例では、処理期間は、少なくとも約15分、少なくとも約30分、または60分超とすることができる。処理温度は、少なくとも約750℃または少なくとも約800℃とすることができる。
【0009】
本方法は、1分当たり最大で約100℃の平均急冷速度で処理温度から超硬構造体を冷却(急冷)するステップを含み得る。
本方法は、少なくとも約700℃の温度に少なくとも約1分の期間にわたって、処理済み超硬構造体または超硬構築物を加熱することを含むさらなる処理を含むことができる。
超硬構築物を作製するための方法の特定の例では、超硬合金基板上に焼結されたPCBN構造体を含むPCBN構築物は、真空などの実質的に非酸化雰囲気下で、約800℃〜900℃の範囲内の温度に少なくとも約30分間これを加熱することによってもたらされ、処理される。温度は、約1,250℃未満であってもよい。
いくつかの例示的な方法では、処理済み超硬構造体を、1秒当たり最大で約50℃、1秒当たり20℃、または1秒当たり最大で約10℃の平均急冷速度で、最大で約200℃、最大で約100℃の温度、または周囲温度に冷却することができる。本方法の一変形では、超硬構造体を、1分当たり最大で約10℃または最大で約5℃の速度で、処理温度から約500℃未満の温度に冷却することができ、一変形では、超硬構造体を、1分当たり約2℃で、最大で約600℃から最大で約400℃に冷却することができる。本方法の一変形では、超硬構造体を、最大で約450℃から周囲温度により急速に冷却させることができる。特定の例では、処理済み超硬構造体を空気中または窒素中で冷却させることができる。冷却速度は、超硬構造体の温度に応じて変更することができ、温度が下がるにつれて上昇させることができる。
【0010】
いくつかの例では、超硬構造体は、一般にディスク形状とすることができ、少なくとも約20mm、少なくとも約40mm、または少なくとも約60mmの直径または辺長などの寸法を有することができる。超硬構造体と基板を合わせた厚さは、少なくとも約1.5mm、少なくとも約2mm、および最大で約10mm、または最大で約7mmであり得る。超硬構造体の厚さは、少なくとも約0.5mmとすることができ、基板の厚さは、少なくとも約2mmとすることができる。基板の厚さは、最大で約10mmであり得る。他の例では、処理済み超硬構造体は、ディスク形状以外の形状を有することでき、一般に、例えば、円筒形または多角形であってもよい。
一例では、本方法は、処理済み超硬構造体を加工してツール用エレメントを形成するステップを含み、このエレメントは、さらに加工されて工作機械または他の切削工具もしくは穴あけ工具のためのインサートを形成することができる。例えば、処理済み超硬構造体は、レーザー、放電加工(EDM)、または他の手段によって切断されてツール用エレメントを形成することができ、このエレメントは、例えば研削によってさらに加工され得る。熱処理後の処理済み超硬構造体を切断すると、熱処理前の超硬構造体の切断と比較して、寸法公差が改善されたツール用エレメントがもたらされる可能性が高い。
【0011】
本方法は、処理済み超硬構造体を加工(切断など)してツール用超硬エレメント、例えば、工作機械または他の切削工具もしくは穴あけ工具などを形成するステップを含むことができる。
本方法は、超硬構造体を含むツール用超硬エレメントを準備するステップと、700℃超の処理温度で少なくとも約1分の処理期間(時間)にわたって超硬エレメントを加熱して処理済み超硬エレメントを生産するステップとを含むことができる。
いくつかの例では、超硬構造体は、炭化タングステン(WC)粒子、およびコバルト(Co)を含むバインダー材を含む超硬合金基板に接合することができ、WC粒子は、少なくとも約0.5μmの平均サイズDを有し、基板中のWC粒子の含量は、少なくとも約75重量%または少なくとも約85重量%、および最大で約95重量%であり、基板中のバインダー材の含量は、少なくとも約5重量%および最大で約25重量%である。一特定変形では、WC粒子は、最大で約10μmの平均サイズDを有する場合がある。超硬合金材料の熱膨張係数は、少なくとも約5.2×10
-6/Kであり得る。超硬合金材料の熱膨張係数は、最大で約7×10
-6/Kである場合がある。
【0012】
処理温度は、ある期間にわたって約700℃〜約900℃の範囲内とすることができる。時間での処理期間は、少なくとも約(0.8×D)−0.1、最大で約(4.3×D)−1.7とすることができる。超硬合金のバインダー材は、式Co
xW
yC
zによる化合物を含む固溶体または分散粒子の形態で、少なくとも約10重量%のタングステン(W)を含有することができ、式中、Xは1〜7の範囲内の値である。一特定変形では、基板は、場合によって、名目上純粋なCoまたはCoとNiとの合金を含むバインダー材の理論値の少なくとも約70%および/または最大で約85%の磁気モーメント(または磁気飽和)を有する場合がある。したがって例えば、バインダーがCoから実質的になる場合、基板は、少なくとも約0.7×201.9μT.m
3/kg×[Co]=[Co]×141μT.m
3/kg、最大で約0.85×201.9μT.m
3/kg×[Co]=[Co]×172μT.m
3/kgの磁気飽和を有する場合があり、式中、[Co]は、超硬合金材料中のCoの重量分率である。
【0013】
例示的な超硬合金材料は、約4μm〜約20μmまたは約10μmの範囲内の平均サイズDを有するWC粒子を含むことができ、少なくとも約1.1×(100×[Co])
-1.2/D+3.3)の保磁力Hc(kA/mで)を有することができ、式中、Dは、μmでのものであり、[Co]は、超硬合金材料中のCoの重量%である。他の例示的な超硬合金材料は、約0.2μm〜約4μmの範囲内の平均サイズD、および少なくとも約1.1×(200×[Co])
-1.2/D+3.3)の保磁力Hc(kA/mで)を有するWC粒子を含むことができ、式中、Dは、μmでのものであり、[Co]は、超硬合金材料中のCoの重量%である。
例示的な処理は、超硬構造体、超硬構築物、および/またはこれらから得られるツール用のツールエレメントの寸法制御が改善される側面を有する可能性が高い。
非限定例を、添付の図面を参照して以下に説明する。