(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で採用されるような閉鎖システムは、外部環境にさらされることなく、液体、細胞及び気体を含む物質の出入りを可能にする。
【0014】
本開示に係る閉鎖システムはそれにもかかわらず、システムに物質を導入する又はそれから抽出する場合、最終ユーザーが適当なプロトコールに従わないと決めるのであれば開放システムとして採用することができる。しかしながら、本明細書で開示されるシステムは閉鎖システムとしての使用に好適であるように配置され、適合させられる。
【0015】
本明細書で採用されるような細胞を培養することは、試験管内で細胞を増殖させる及び/又は分化させることを指すように意図される。
【0016】
本明細書で採用されるような細胞増殖は、細胞の集団において標的細胞の数を増やすことを指す。
【0017】
参照によって本明細書に組み入れられる特許文献1(WO2005/035728)は、気体透過性容器を製作する仕方を記載している。一実施形態では、シリコーンの気体透過性物質が採用される。
【0018】
一実施形態では、底部の支持体が気体透過性物質を組み入れる。
【0019】
一実施形態では、底部は実質的に気体透過性物質から成る、すなわち、気体透過性物質の層と底部は実際、同一の実体である。
【0020】
一実施形態では、気体透過性層は容器の壁又は他の構造機構に設置される。
【0021】
一実施形態では、実質的に容器のすべてが気体透過性物質から製作されて、たとえば、十分な構造的強度をもって培養中、内容物を保持する。
【0022】
一実施形態では、気体透過性の膜は、たとえば、5〜200cm
2、たとえば、5〜100cm
2、特に10、30又は50cm
2、たとえば、10cm
2の表面積を有する。
【0023】
本明細書で採用されるような底部は容器の構造要素である。
【0024】
細胞が培養される過程にある場合、一般にシステムは底部の上に配向し(又は位置し)、たとえば、底部は平坦であり、又は実質的に平坦である。空気が循環できるようにシステムが底部の上に位置していないとしても、培養中、底部はシステムの最下位部分を表し得る。
【0025】
一般に培養過程の間、細胞は、気体透過性の層の内面、たとえば、底部の平面に平行である平面に沈殿し、それによって支えられる傾向がある。
【0026】
本開示の文脈における底部は、たとえば、底部(1)を示す
図5〜8で示される装置を参照して理解することができる。明らかに、底部における気体透過性の層はシステムが機能するために環境気体へのアクセスを有さなければならない。従って、底部は、システムが位置する又は設置される面よりも上に上げられて外部気体環境へのアクセスを確保し得る。
【0027】
本明細書で採用されるようなそれに隣接させられることは1つの要素が別の要素に連結される事実を指すように意図される。
【0028】
採用される容器は一般に剛性又は実質的に剛性であり、又は弾性的に変形可能であるが、永続的には変形可能ではない。しかしながら、容器は柔軟性の又は変形可能な物質の部分を含み得る。これらの柔軟性の物質には、輸液バッグの製造で採用される種類の物質が挙げられ得る。
【0029】
一実施形態では、容器及びその実質的にすべての構成要素は剛性である。
【0030】
本発明の容器及びシステムは、たとえば、立方体、箱、円筒、錐体又はピラミッドのような全範囲の形状及び大きさで提供され得る。しかしながら、普通、形状の少なくとも1つの領域又は側面が通気孔、1つまたは複数のポート及び/又はシステムの他の要素を収容するために適合させられる。純粋な形状を使用してもよいが、形状は意図される目的のために特注の容器を提供するように適合させられるので、それは一般には採用されないであろう。たとえば、底部と湾曲した壁と上部壁又は蓋を含む錐台円錐形状を提供するために錐体形状を適合させてもよい。上部壁又は蓋はポート及び/又は通気孔を収容し得る。
【0031】
一実施形態では、容器は再封印可能な蓋に関連し、又はそれを含み、その際、容器及び蓋は一緒に閉鎖システムを形成する。再封印可能な蓋は、再封印可能な蓋の一種であるネジ蓋を含む装置を示す
図1を参照して説明することができる。
【0032】
一実施形態では、容器への蓋の取り付けは、容器に刻んだネジ山を介して蓋をネジ止めすることにより、それによって外部環境における微生物及び粒子からの汚染からその内容物を保護する封印が創られるのを可能にする。
【0033】
一実施形態では、本開示に係るシステムは、既存のシステムを改変することによって提供することができ、たとえば、通気孔と、製造システムの他の成分を無菌的に接続することができる1又は2のポートとを組み入れることによって、G−Rexユニットを改変することができる。一実施形態では、通気孔及び1つまたは複数のポートをG−Rexシステムの蓋に組み入れる。これによって、細胞治療剤を培養するための閉鎖システムを製造する費用効果の高い方法が提供され、それは、製品が決して外部環境にさらされることはないので、EU−GMPクラスD(US Fed.Std.209eクラス100,000,ISO14644−1クラスISO8)に従って分類されたクリーンルームにおける層流キャビネットの外で操作することができる。このことは、規制上の要件に適合した細胞治療剤の無菌製造を大きく促進する。
【0034】
一実施形態では、たとえば、G−Rexシステムのような本開示に係るシステム又は容器を製造するための本発明に係る蓋、特に本明細書で記載されるような又はそれを収容するように適合する通気孔及び/又はポートを含む前記蓋が提供される。
【0035】
一実施形態では、蓋、通気孔及び/又はポートは一体であり、たとえば、成形される。
【0036】
一実施形態では、蓋、通気孔及び/又はポートは同一物質である。
【0037】
一実施形態では、蓋、通気孔及び/又はポートは別個の物質である。
【0038】
一実施形態では、蓋、通気孔及び/又はポートは1つの物質であり、その上に蓋が嵌合するように適合させられる容器は同一物質である。
【0039】
一実施形態では、蓋、通気孔及び/又はポートは1つの物質であり、その上に蓋が嵌合するように適合させられる容器は別個の物質である。
【0040】
一実施形態では、蓋、通気孔及び/又はポートは別個の物質であり、その上に蓋が嵌合するように適合させられる容器は蓋又は通気孔/ポートで採用される物質である。
【0041】
一実施形態では、蓋、通気孔及び/又はポートは別個の物質であり、その上に蓋が嵌合するように適合させられる容器はさらに別個の物質である。
【0042】
一実施形態では、たとえば、ポリカーボネートのような、本明細書で記載されるような無菌製造で使用するのに好適な硬質の合成物質を用いて上記成分の1以上を製造する。
【0043】
同一物質であることは、GLP並びに容器、蓋、通気孔及びポートについての規制の視点から有利であり得る。
【0044】
一実施形態では、容器は、蓋のような取り外し可能な又は再封印可能な要素なしで完全な単位を規定するという点で事実上一体である。一体容器は、たとえば、一片で成形されてもよいが、本明細書で採用されるような一体性は、容器がどのように作られるのかに言及するのではなく、むしろ、容器の機能の記載、特に蓋のような追加の構造要素が容器を封印するのに必要とされないという記載である。
【0045】
一実施形態では、底部に対向する構造機構が内容積にて凹面を提供する釣鐘配置(
図7及び8)が提供される。釣鐘のような形状は、内容積における内部の隅の数を最少化し、可能な細胞の回収を最大化し得るので有利である。本開示はまた、この機能を実施するのに好適である代わりの形状に拡大し、特に「丸い面」を使用することによって細胞を捕捉することが可能である位置を最少化する。
【0046】
従って、一実施形態では、システムが適当な配向で置かれる場合、容器は細胞を出口ポートに流し込むように配置される。一実施形態では、内部形状は、適当に配向される場合、出口ポートからの排出を円滑にするように適合させられる。
【0047】
本開示に係るシステムは、必要とされる配向で配置されると、重力下で液体及び細胞を取り出せるように配置される。重力下で細胞を取り出すことは、単純であり、効率的であり、費用効果が高いので有利である。それにもかかわらず、この工程は、真空を採用すること、システムの内圧を上げること(本明細書では過剰圧とも呼ぶ)、又はポンプによって(たとえば、ペリスタポンプ)増強され得る。これらの技法は周知であり、適宜、関連するポート又は通気孔に過剰圧を創るためにポンプ、真空又は気体入力の取り付けによってシステムと併用で採用され得る。
【0048】
システムが重力下での液体又は細胞の取り出しに好適に設計されているとしても、所望であれば、重力の助けを借りないでポンプ、真空又は過剰圧によって液体及び細胞を取り出し得る。
【0049】
本明細書で採用されるような構造要素は、底部、壁、蓋、又はたとえば、形状及び容積を支える、保持する、維持すること等のような機能を実施する容器の他の構造機構を指すように意図される。構造要素は、付属品、特にポート、通気孔、ガスケット等のような容器への付属物を指さない。
【0050】
文脈が特に指示しない限り、内部の及び内側の、は本明細書では相互交換可能に採用される。
【0051】
文脈が特に指示しない限り、外部の及び外側の、は本明細書では相互交換可能に採用される。
【0052】
内容積及び内部空間は本明細書では相互交換可能に採用される。
【0053】
一実施形態では、容器が含有するように適合させられる培地の必要とされる容積は、細胞を培養する間の通気並びに液体及び細胞の取り出しを阻止しない量である。一実施形態では、培地の量は、内容積の50%以下、たとえば、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%以下である。容器がこのレベルまで満たされる場合、重力下で内容物を取り出すことが適当であり得る。
【0054】
一実施形態では、培地の最大必要量は、たとえば、約20、21、22、23、24、25又は26mlのような15〜30mlである。
【0055】
本明細書で採用されるような「培地及び細胞により遮断されない」は、要素が細胞及び/又は培地の機構へのアクセスをできるだけ減らす配置であるので、機能を実施できないように閉塞する傾向が減るという事実を指すことが意図される。
【0056】
一実施形態では、培地の容積は、内容積の50%以上、たとえば、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%である。この実施形態では、G−Rex10のようなシステムにおける培地の最大必要量は、30〜40ml、たとえば、約31、32、33、34、35、36、37、38又は39mlである。容器をこのレベルまで満たす場合、「ポンプ」又は内容物を取り出すのに役立つ上述の他のシステムを採用することが適当であり得る。「ポンプの使用」/強制的な抽出工程によって通気孔からその中に位置する培地又は細胞が取り出されるので、このシステムが重力のみのもとで空にされるのであれば、通気孔は「遮断され」得る。
【0057】
一実施形態では、気体透過性領域の数値とこのシステムで採用される培地の容積の比はそれぞれ1:1〜1:5の範囲であり、たとえば、1:2、1:3、又は1:4であり、たとえば、10cm
2の気体透過性領域と20mlの容積で1:2の比となる。
【0058】
内部開口部と外部開口部を規定する導管を含む通気孔は本質的に、システムの内部を外部に接続するパイプである。この通気孔は気体を出すのを可能にすることによって容器を満たす間、圧力の均衡を可能にする。細胞を空にする工程の間、通気孔は内容積に気体を入れて液体と細胞の取り出しによって創られた空隙を満たし、それによって重力又は加圧システムを用いて液体及び細胞の外側ポートへの自由な流体連通を可能にする。
【0059】
通気孔が内容積で終了する、は、培地と細胞が容器の容積の50%未満である場合、通気孔が内容積と流体連通し、一般に細胞の回収の間に遮断されないように通気孔が配置されるという条件で、通気孔が内容積へのアクセスを有し、内部開口部が壁のような容器の構造機構に設置され得るという事実を指すことが意図される。
【0060】
内容積に伸びる、は、内容積に突出する通気孔の導管の一部を指すように意図される。
【0061】
好ましい実施形態では、通気孔の少なくとも一部は、構造機構に係留される付属物のように内容積に物理的に伸び、突出する。
【0062】
一実施形態では、内部開口部で終了する通気孔の一部は、それが支えられる構造要素の面と同じ面で終了せず、言い換えれば、導管は一般にそれが支えられる構造要素を通過し、内容積によって定義される空間に伸び、たとえば、
図2、3、5、6、7及び10〜12のいずれか1つで示される容積にて中央で終了する。
【0063】
本明細書で採用されるような、中央に設置される、は通気孔の一部が収容される容器の構造機構から内容積の空間に伸びるという事実を指すように意図され、空間自体の中央への絶対的な言及であるようには意図されない。この機構は、培地で容器を満たす間又は細胞の回収の間(特に通気孔が出入りのためのポートと同一場所にあれば)、内部開口部の液体への暴露がそれによって
最小化されるという恩恵を有する。
【0064】
一実施形態では、通気孔は容器の内容積の容積測定中央で終了するように配置される。
【0065】
本明細書で採用されるような容積測定中央は内容積によって規定される三次元空間のほぼ中央を指すように意図される。
【0066】
一実施形態では、通気孔の導管は、容器の蓋若しくは他の構造機構の下面から、又は代わりに底部から上に5〜35mmの間、たとえば、約30mm伸びる。
【0067】
一実施形態では、通気孔の内部開口部は、特に培地と細胞が容器の容積の50%未満である場合、使用中、容器に含有される培地に接触しないように配置されるので、開口部及び通気孔は液体又は細胞によって遮断されない。
【0068】
しかしながら、通気孔は使用中、容器に含有される培地の中に伸びるように配置され得る。通気孔の機能は、内部開口部上の気体透過性膜のような液体非透過性膜を採用することによって及び/又は通気孔にて液体逆止め弁を採用することによって促進され得る。
【0069】
一実施形態では、通気孔は液体逆止め弁を含み得る。
【0070】
一実施形態では、内部開口部は気体透過性膜のような液体非透過性膜によって保護され得る。
【0071】
任意で、通気孔は所望であれば、気体の流れを制御する弁を含み得る。
【0072】
通気孔は、空中に浮遊する微生物及び粒子が容器の内容積に入り、システムを汚染するのを防ぐ0.2ミクロンのフィルターのような無菌フィルターを取り付けることが可能であるように配置される。一般に、濾過する装置又は要素は、
図2〜6及び9に示すように通気孔を形成する導管の外側開口部に取り付けられるであろう。
【0073】
取り付けは直接的であってもよいし、又は配管のような結合手段を介してもよい。
【0074】
一実施形態では、無菌フィルターはルアーロックのような固定手段によって通気孔に固定される。
【0075】
通気孔は好適な物質から製作され、それを支える、すなわち、それに一体化する構造機構に成形され得る。
【0076】
一実施形態では、通気孔はそれを支える構造機構を介して伸びる柔軟性の配管を単純に含み得る。
【0077】
一実施形態では、通気孔は、柔軟性の配管への接続に好適である閉鎖システムの外側に伸びる外部部分を含む。
好適な柔軟性の配管は、多数の様々な形態、たとえば、
・可塑剤、ラテックス及び酢酸ビニルを含有せず、且つ動物製品も含まない半透明の配管、又は
・輸液配管、たとえば、外径4mmのPVC輸液等級の配管のようなPVC輸液等級の配管にて利用可能である。
一実施形態では、配管は珪素である。
【0078】
採用される配管は、それが、たとえば、Terumo Medical Corporationから入手可能な、無菌の管接合具を用いた管も含有する成分に無菌的に接続することができるようなものである。
【0079】
通気孔は、たとえば、壁、底部、蓋のような構造機構を含む容器の任意の好適な位置に設置することができ、たとえば、一実施形態では、通気孔は気体透過性層を介して伸び、それは上記で詳細に記載されたように、容器の底部に設置されてもよい。
【0080】
一実施形態では、通気孔は容器の構造機構にて中央に設置され、言い換えれば、壁、底部、又は蓋に近接しない。
【0081】
一実施形態では、通気孔は、たとえば蓋又は壁の中心を通って容器の中心軸にほぼ沿って設置され、内容積の中央に伸び得る。本明細書で採用されるような中心は、空間又は機構のほぼ真ん中を指すように意図される。
【0082】
成形される際、1つまたは複数のポートに好適な材料には、たとえば、容器と同じ材料(たとえば、熱可塑性プラスチック、特にポリカーボネート)が挙げられる。一実施形態では、成形される1つまたは複数のポートは、たとえば、成形される通気孔又はポート部分に配管が滑り込む
図6で示すように、1つまたは複数のポートが配管への接続に好適であるように設計される。
【0083】
一実施形態では、1つまたは複数のポートは、容器及び/又はシステムの構造機構を介して伸びる柔軟性のある配管のような配管として提供される。この実施形態では、柔軟性の配管はガスケットによって構造機構に封印される必要があり得る。
【0084】
ポートと共に又はポートとして使用するための配管には、たとえば、無菌の輸液バッグのような外側成分の無菌接続用の無菌接続装置で使用することができる上述の配管が挙げられる。
【0085】
1つまたは複数のポートは、たとえば、壁、底部、蓋のような構造機構を含む容器における任意の好適な位置に設置することができる。
【0086】
一実施形態では、離れた入口ポート及び離れた出口ポートが提供される。
【0087】
一実施形態では、出入り口ポートとして機能するポート1つが提供される。
【0088】
一実施形態では、通気孔は1つまたは複数のポートと共に、たとえば、壁又は蓋にて同一場所に設置される。
【0089】
底部に対向する構造要素、たとえば、蓋又は壁にて通気孔と1つまたは複数のポートが同一場所に設置される恩恵は、容器の側壁に対して改変が求められないことである。このことは、側壁に機構のない容器が互いに占有する最小空間に近接して置かれ得るので有利である。これはまた、容器の単一成分の範囲内で通気孔と1つまたは複数のポートの効率的な製造を可能にする。
【0090】
蓋において通気孔と1つまたは複数のポートが同一場所に設置される恩恵は、開放システムから閉鎖システムにそれを変換するのに市販の容器のさらなる改変を必要としないことを意味する。
【0091】
一実施形態では、細胞が出ていくのに採用されるポートは、たとえば、壁、蓋の縁等のような構造要素に近接して設置される。本発明者らは、容器の壁又は構造要素の縁のそばに出口ポートを設置することによって、細胞のさらに効率的な回収が得られることを見出した。構造機構の近傍に設置されたポートの例を
図2〜12にて示す。
【0092】
蓋又は他の構造機構の側面に1つまたは複数のポートを有することは、確実に液体及び細胞の最大の回収が達成されるようにする。初期の試作品は蓋の中央にポートを有したが、液体の表面張力のために、0.5ml〜0.8mlの溶液が容器に保持されることが測定された。ポートを側面に移動させ、ガスケットと同一平面にした場合、保持は0.1mlに減った。
【0093】
加えて、中心を外れて1つまたは複数のポートを設置することによって、通気孔を中央に設置することが可能になり、それは、少なくとも一部の実施形態では、液体による遮断への通気孔の暴露をできるだけ抑え得る。
【0094】
従って、一実施形態では、1つまたは複数のポート、特に出口ポートは容器の内容積の中心軸と非同軸である。
【0095】
本明細書で示される断面図では、二重線は閉鎖されている壁又はバリア又は類似のものを表す。しかしながら、単線は閉鎖ではなく、機構の形状を示すために存在する。従って、単線が通気孔又はポートの末端にて示される場合、それらは開放している。
図2は、容器(4)の底部(1)を形成する気体透過性層(2)を示し、容器は、通気孔(6)及びポート(5)と同一場所に設置される蓋(8)を含み、その際、前記通気孔は、無菌のフィルターを支えることが可能である外部開口部を規定する導管を含み、前記導管は蓋を通って伸び、容器によって規定される内容積中へ中央に伸び、内部開口部で終了する。使用中、容器は培地及び気体透過性層の内部表面に沈殿する細胞を含有する。
図3は、
図2と類似の配置を示すが、再封印可能な蓋のない単一ユニットである容器を特徴とする。ポート(5)及び通気孔(6)は容器の壁(構造要素)で同一場所に設置される。通気孔の導管は容器の内容積への突出として伸びる。
図4は、
図3と類似の配置を示すが、ポート(5)及び通気孔(6)が互いに対向して配置される。
図5は、
図3、4と類似の配置を示すが、ポート(5)及び通気孔(6)が互いに垂直に配置される。
図6は、容器(4)の底部(1)を形成する気体透過性層(2)を示し、容器は、通気孔(6)及びポート(5)と同一場所に設置される蓋(8)を含み、その際、前記通気孔は、無菌のフィルターを支えることが可能である外部開口部を規定する導管を含み、前記導管は蓋を通って伸び、容器によって規定される内容積中へ、底部に向かって培地(3)の中へ中央に伸びる。内部開口部は液体による通気孔の遮断を防ぐ気体透過性膜(9)によって保護される。
図7は、気体透過性層を含む底部に対向する容器の構造機構にて同一場所に設置されるポート(5)(出入口ポートの二重機能を有する)と通気孔(6)と共に配置される一体化した釣鐘形状の容器(4)を示す。この図では、通気孔(6)とポート(5)は柔軟性のある配管に接続された外部部分とともに示される。
図8は、液体培地及び細胞を出口ポート(5)と連通させるように配向させた
図7のシステムを示し、細胞は重力下でポートから出てもよい。
本明細書の図の寸法は例としてのみのものであり、限定することを意図するものではない。
【0096】
培地及び/又は細胞のような物質を含有する輸液バッグのような無菌の容器は、既知の技術を用いて入口ポート又はそれに接続される配管に接合されて無菌的に培地をシステムに導入することができる。これを図式的に
図9にて示す。無菌接合の技法及び技術は当該産業で周知であり、ここではさらに議論しない。
【0097】
同様に、無菌の輸液バッグのような空の容器を出口ポート又はそれに接続される配管に接合して
図9にも説明するように、容器から細胞を無菌的に取り出すことができる。
【0098】
システムに無菌的に物質を導入する及びそれから取り出すこれらの方法は双方とも非常に好都合であり、堅牢であり、実践的である。
【0099】
10〜350度、たとえば、45度以上、たとえば、90又は180度、容器の配向を変えることによって重力下で細胞が取り出される(回収される)のを可能にすることは、特殊化された設備を必要とせず、最低限の空間及び専門知識を必要とするので非常に容易で効率的である。
【0100】
一実施形態では、出口ポートは、それが内容積に置かれる構造機構の0.15mmを超えて上に伸びない。後者は最大限の細胞回収を保証する。
【0101】
1つまたは複数のポートは弁及び/又は膜等に取り付けられてそれを介した物質の流量を制御し得る。
【0102】
システムの正確な構造に応じて好適なガスケット及び封印が必要とされ得る。
【0103】
1以上の基準:EU食品認可:EU指令2002/72/EC;USP<88>、生体内での生物反応性試験、クラスVI;USP<87>、試験管内での生物反応性試験;USP<661>、物理化学的試験−プラスチック;EPモノグラフ3.2.2、医薬用途のためのプラスチック容器及び閉包;ISO10993に従った生物試験−外側連通装置;長期の血液の間接接触について;に準拠するために容器及びその構造要素を製造するのに好適な物質が一般に必要とされるであろう。
【0104】
一実施形態では、システムの容器及び/又は構造要素はポリカーボネートのような好適な熱可塑性プラスチックから製造される。
【0105】
特にG−Rexのような市販の製品から閉鎖システムを創る場合、ポート及び通気孔は熱はんだ付けによってシステムに組み込まれ得る。
【0106】
一実施形態では、改変された蓋は、その後取り付けられる管及び/又はフィルターとの適当な接続を伴う一片にて成形されるであろう。
【0107】
一実施形態では、ポート及び通気孔のような機構及び構造的機能性が容器を成形する際、創られるであろう。
【0108】
本明細書で採用されるような構造的機能性は、たとえば、通気孔又はポート及び/又は配管等のような付属品を取り付けるのに好適であるものとして機能を実施する機構を指すように意図される。
【0109】
本開示に係るシステムは無菌化のためにガンマ照射され得る。
【0110】
一般に、システムは、無菌性の証明書と共に無菌形態での封印バッグにて最終ユーザーに送達されるであろう。この形態のシステムは一般に約1年以上の有効期限を有するであろう。
【0111】
容器を成形する工程と任意でポート及び通気孔をそれに取り付ける工程とを含む、本開示に従ってシステムを製造する方法も提供される。
【0112】
一実施形態では、ドリルではなく熱プローブによって通気孔及び/又はポートを収容する穴が創られ、それによって生成される汚染の量をできるだけ減らし、最終製品が治療用製品を調製するために使用するのに好適であることを保証する。
【0113】
一実施形態では、たとえば、ガスケット及び/又は弁及び/又はフィルターのようなさらなる成分が製造方法にて取り付けられる。
【0114】
一実施形態では、製造方法は、たとえば、ガンマ照射を用いてシステムを無菌化し、1又は複数のバッグ又は容器にてユニットを無菌的に封印するさらなる工程を含む。
【0115】
一実施形態では、製造方法の1以上の工程が、EU−GMPクラスD(US Fed.Std.209eクラス100,000,ISO14644−1クラスISO8)に対する基準に従うクリーンルームで実施される。一実施形態では、フィルター、ガスケット、管及び接続を伴う、組み立てたシステムの無菌化の前の各システムは、当業者に既知の方法に従った圧縮空気による圧力保持試験、たとえば、2分間を超える0.5バール±0.05バールの圧力試験に供されるであろう。この時間の間、圧力は0.05バール未満、記録された出発値から低下しないであろう。
【0116】
一実施形態では、既存の細胞培養システムを改変して本発明に係る閉鎖システムを提供する方法が提供される。改変は1以上の上記で定義された製造工程を採用し得る。
【0117】
一実施形態では、改変されたG−Rexのような本開示に係る容器及び/又は約10cm
2の気体透過性膜を伴う容器は通常、細胞及び培養培地によって10〜25mlの最終容積まで満たされ、細胞が回収できるまで37℃でインキュベートされるであろう。これを有して、容器は上記で議論したように40mlまで満たされ得る。
【0118】
従って、本開示に従って閉鎖システムに細胞を無菌的に導入し、その後適当な温度にて適当な時間細胞をインキュベートする方法が提供される。
【0119】
さらなる態様では、無菌的に容器をシステムの出口ポートに接合し、重力下で細胞を容器に回収することによって本開示に係る閉鎖システムから治療用細胞を無菌的に回収する方法が提供される。
【0120】
さらなる態様では、無菌的に容器をシステムの出口ポートに接合し、ポンプを用いて細胞を容器に回収することによって本開示に係る閉鎖システムから治療用細胞を無菌的に回収する方法が提供される。
【0121】
一実施形態では、回収した細胞が移される容器は、当該分野では「移送バッグ」と呼ばれることもある600mlのバッグである。
【0122】
一実施形態では、回収した後、たとえば、ヒト血清アルブミン、生理食塩水等を含む溶液で細胞を洗浄する。
【0123】
一実施形態では、細胞を手動で洗浄する。
【0124】
一実施形態では、自動システム、たとえば、Biosafeから入手可能なSepax(登録商標)システムを用いて細胞を洗浄する。
【0125】
一実施形態では、たとえば、洗浄後、細胞を数える。
【0126】
一実施形態では、たとえば、数えた後、治療用の量の細胞(すなわち、細胞の1以上の用量)を選択する。
【0127】
態様の1つでは、任意で1以上の薬学上許容可能な保存剤又は保存のための賦形剤と共に、好適な容器、たとえば、輸液バッグに回収された細胞を封入する。
【0128】
好適な賦形剤にはDMSO、たとえば、10%DMSOが挙げられる。
【0129】
一実施形態では、容器は患者の場所に輸送される。
【0130】
実施形態では、容器の内容物が患者に非経口で、特に静脈内に投与される。
【0131】
態様の1つでは、本発明は、本明細書で定義されるようなウマの訓練機器に実質的に関する。
【0132】
本明細書の文脈では、「comprising(含む)」は「including(含む)」として解釈されるべきである。
【0133】
特定の要素を含む本発明の態様はまた、本発明の要素「から成る」又は「から本質的に成る」代わりの実施形態に拡大するようにも意図される。