(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態によるTFT及びその製造方法を、添付された図面を参照して詳細に説明する。この過程で、図面に図示された層や領域の厚さは、明細書の明確性のために誇張して図示されたものである。
まず、本発明の実施形態による薄膜トランジスタ(以下、本発明のTFT)について説明する。
【0013】
図1は、本発明のTFTの平面図である。
図1で参照番号42は、基板を覆う絶縁膜を示す。絶縁膜42は、100nm厚さのシリコン酸化膜とすることができる。参照番号44、50及び52は、それぞれゲート、ソース及びドレインを表す。ソース及びドレイン50、52は互いに入れ替えることができる。ソース及びドレイン50、52それぞれの一部は、互いに対向して突出している。所定の幅Wを有するソース50の突出部50Pと同じ幅を有するドレイン52の突出部52Pとの間は、所定長さLを有するチャンネル領域に相当する。ソース及びドレイン50、52は金属層とすることができる。例えば、ソース及びドレイン50、52としては、Ti、Mo、Cr、W、Pt、Zr、Hf、Nb、Ta、Ag、Au、Al、Cu、Co、Sb、V、Ru、Pt、Pd、Zn及びMgからなる群から選択された1種以上の物質からなる金属層が挙げられる。すなわち、ソース及びドレイン50、52は金属単体層または合金層とすることができる。
【0014】
また、ソース及びドレイン50、52は、電気伝導性の金属層であれば、いずれも用いることができる。ソース及びドレイン50、52は、前記金属層からなる単層でもよく、2種以上の金属層が順次に積層されて構成された複数層の金属層でもよい。例えば、ソース及びドレイン50、52は、上述した金属層から選択された二つの金属層、例えば、チタン層と白金層とが順次に積層されて構成されたものとすることができる。
【0015】
図1を2−2’線断面を示す
図2を参照すれば、基板40上に絶縁膜42が存在する。基板40は半導体基板とすることができ、例えば、シリコン基板である。絶縁膜42の所定領域上にゲート44が存在する。ゲート44は、モリブデンで形成することができ、他の伝導性物質で形成されてもよい。絶縁膜42上にはゲート44を覆うゲート絶縁膜46が存在する。ゲート絶縁膜46はシリコン酸化膜とすることができる。ゲート絶縁膜46上にはチャンネル層48が存在する。チャンネル層48は、ゲート絶縁膜46上でゲート44を覆う形態で備えられている。チャンネル層48は、酸化物半導体層とすることができる。
【0016】
前記酸化物半導体層としては、例えば、G−I−Z−O層[a(In
2O
3)・b(Ga
2O
3)・c(ZnO)層]または[a(In
2O
3)・b(ZnO)・c(SnO)層](a、b、cは、それぞれa≧0、b≧0、c>0の条件を満たす整数)が挙げられる。チャンネル層48の表面には、離隔された第1及び第2金属酸化物層54、56が存在する。第1及び第2金属酸化物層54、56は、互いに対向する。第1金属酸化物層54は、ソース50とチャンネル層48との間でそれらと接触している。第2金属酸化物層56は、ドレイン52とチャンネル層48との間でそれらと接触している。第1金属酸化物層54は、チャンネル層48の一側面上に形成されており、チャンネル層48の上面までに拡張されている。第2金属酸化物層56は、チャンネル層48の他側面上に形成されており、チャンネル層48の上面までに拡張されている。ソース50は、第1金属酸化物層54と接触しており、ドレイン52は、第2金属酸化物層56と接触している。第1及び第2金属酸化物層54、56は、化学量論(stoichiometric)比組成を有する層または非化学量論比組成を有する層のいずれであってもよい。
【0017】
また、第1及び第2金属酸化物層54、56は、金属含有量の勾配が現れる金属酸化物層とすることができる。例えば、第1及び第2金属酸化物層54、56は、チタン(Ti)の含有量がソース及びドレイン50、52からチャンネル層48へ行くほど減少または増加するチタン酸化物層とすることができる。また、第1及び第2金属酸化物層54、56は、ZnOより酸化性の高い遷移金属を含むことができる。この時、前記遷移金属は、例えば、Al、Ti、Mo、CrまたはWとすることができる。第1及び第2金属酸化物層50、52は、ソース及びドレイン50、52とオーミックコンタクトすることができ、チャンネル層48とヘテロ接合を形成することができる。第1及び第2金属酸化物層50、52の厚さは3〜300Å程度が挙げられる。
【0018】
図3ないし
図8は、前述した本発明のTFTの電気的特性を示す。
図3及び
図4に示した電気的特性は、ソース及びドレイン50、52が順次に積層されたチタン層/白金層(Ti/Pt)であり、第1及び第2金属酸化物層54、56がチタン酸化物層であり、チャンネル層48がG−I−Z−O層、例えば、GIZO221層であり、ソース及びドレイン50、52の突出部50P、52Pの幅Wとチャンネル層48の長さLとの比(W/L)が50/20である。形成後、350℃で所定時間、例えば、1時間熱処理された本発明の第1のTFTについてのものである。
図3は、このような第1のTFTの電流−電圧特性を示し、
図4は、第1のTFTでゲート44に電圧を印加していない状態で、ドレイン52に印加される電圧によるソース及びドレイン50、52間の電流変化を示す。
図3で第1ないし第3グラフG1−G3は、それぞれドレイン52に0.1V、5V及び10Vの電圧が印加された時のゲート電圧とソース−ドレインとの間の電流特性を示す。
【0019】
図3を参照すれば、本発明のTFTは、ドレイン52に印加される電圧に関係なくゲート電圧Vgが0Vである時、ソース−ドレイン電流Idsは実質的に0であり、ゲート電圧が0Vより大きくなりつつ、所定のしきい電圧以上で顕著なソース−ドレイン電流Idsが測定されることが分かる。
また、
図4を参照すれば、ゲート44に電圧が印加されていない状態で、ドレイン52に+4Vまたは−4Vの電圧が印加されるまでソース50とドレイン52との間に電流が流れないことが分かる。このような結果は、本発明の第1のTFTが増加モードで動作することを意味する。
【0020】
図5及び
図6は、本発明の第2のTFTに対する電気的特性を示す。前記第2のTFTは、ソース及びドレイン50、52が順次に積層されたクロム層/白金層で構成され、第1及び第2金属酸化物層54、56がクロム酸化物層であることを除いては、
図3及び
図4の結果を得るのに使用した本発明の第1のTFTと同一である。
図5で第1ないし第3グラフG1−G3は、それぞれドレイン52に0.1V、5V及び10Vの電圧が印加された時のゲート電圧とソース−ドレインとの間の電流特性を示す。
【0021】
図5を参照すれば、前記第2TFTは、
図3に示したような前記第1のTFTの電流−電圧特性と類似した電気的特性を示すことが分かる。また、
図6を参照すれば、ゲート44に電圧が印加されていない状態で前記第2TFTのソース50とドレイン52との間に流れる電流は、ドレイン52に印加される電圧が+2Vまたは−2Vになるまで流れないということが分かる。
図5及び
図6の結果から、本発明の前記第2のTFTも、前記第1のTFTと同じく増加モードで動作するということが分かる。
【0022】
図7及び
図8は、本発明の第3TFTについての電気的特性を示す。前記第3TFTは、ソース及びドレイン50、52と第1及び第2金属酸化物層54、56との構成を除いては、前記第1のTFTと同一である。前記第3TFTの場合、ソース及びドレイン50、52は、タングステン層/白金層が順次に積層されて構成されたものである。そして、第1及び第2金属酸化物層54、56は、タングステン酸化物層である。
【0023】
図7で第1ないし第3グラフG1−G3は、それぞれドレイン52に0.1V、5V及び10Vの電圧が印加された時のゲート電圧とソース−ドレインとの間の電流特性を示す。
図7を参照すれば、前記第3TFTの電流−電圧特性は、前記第1及び第2のTFTと類似した電気的特性を示すことが分かる。そして
図8を参照すれば、前記第3TFTの場合も、ゲート44に電圧が印加されていない状態で、ソース50とドレイン52との間の電流は、ドレイン52に印加される電圧が+4Vまたは−2Vになるまで流れないということが分かる。
図7及び
図8の結果から、本発明の前記第3TFTも増加モードで動作するということが分かる。
【0024】
このような本発明のTFTは増加モードで動作するので、減少モードで動作する従来のTFTとは異なって漏れ電流が発生しない。
【0025】
図9は、本発明の前記第1のTFTについてのドレイン電流Id−ドレイン電圧Vd特性を示す。
図9で第1及び第2グラフG11、G22は、ゲート44に印加される電圧が10Vより低い電圧(例、0.1Vまたは5V未満)である時に測定されたId−Vd特性を示す。そして、第3ないし第5グラフG33−G55は、それぞれゲート44に印加される電圧が10V、15V及び20Vである時に測定されたId−Vd特性を示す。第1ないし第5グラフG11−G55を参照すれば、ゲート44に印加される電圧が10V以上である時、ドレイン電圧Vdの増加によってドレイン電流Idが増加することが分かる。そして、ゲート44に印加された電圧が大きいほどドレイン電流Idが大きくなることが分かる。
【0026】
ゲートに印加される電圧が0Vより大きいならば、ゲートに印加される電圧の大きさに関係なく、ドレイン電流Idが観測される従来のTFTのドレイン電流−ドレイン電圧特性を考慮すると、
図9の結果から、本発明のTFTは漏れ電流特性面で従来のTFTより優れていることが分かる。
一方、本発明者は、本発明のTFTで第1及び第2金属酸化物層54、56のない場合に、TFTの特性がどのように変わるかについての実験を実施した。
この実験のために、前述した本発明のTFTから第1及び第2金属酸化物層54、56を除去し、ソース及びドレイン50、52は白金層で形成した。その他の条件は本発明の前記第1のTFTと同一にした。
【0027】
図10は、前記実験に使用したTFTのゲート電圧−ソース/ドレイン電流特性を示す。
図11は、前記実験に使用したTFTのドレイン電流−ドレイン電圧特性を示す。
図10を参照すれば、ゲート電圧Vgが10V以上になるまでソースとドレインとの間に電流が測定されないことが分かる。そして、ゲート電圧が10V以上になってから電流が測定されるが、測定された電流は10
−11(A)程度と非常に少なく、電流が流れないと見なしてもよい。
図11でも測定された電流は10
−11(A)程度と非常に低くて、ドレイン電流が流れると見なすことができない。
【0028】
図10及び
図11の結果から、ソース及びドレイン50、52とチャンネル層48との間に第1及び第2金属酸化物層54、56が存在しない時、ソース及びドレイン50、52とチャンネル層48との間にキャリア輸送を塞いだ高い障壁が形成されることが分かる。そして、第1及び第2金属酸化物層54、56は、このような障壁を低める手段になることが分かる。
次いで、本発明の実施例によるTFT製造方法を説明する。
【0029】
製造例1
図12を参照すれば、基板40上に絶縁層42を形成する。基板40はシリコン基板とすることができる。絶縁層42はシリコン酸化膜で形成できる。この時、絶縁層42は、100nm程度の厚さとすることができる。絶縁層42の所定領域上にゲート44を形成する。ゲート44は、伝導性物質、例えば、モリブデン(Mo)で形成することができる。
図13を参照すれば、絶縁層42上に、ゲート44を覆うゲート絶縁層46を形成する。ゲート絶縁層46は、シリコン酸化物層で形成することができる。ゲート絶縁層46の所定領域上に、チャンネル層48を形成する。チャンネル層48は、ゲート44を横切る形態に形成することができる。チャンネル層48は酸化物半導体層で形成でき、例えば、前記G−I−Z−O層が挙げられる。
【0030】
図14を参照すれば、チャンネル層48が形成された結果物上に、チャンネル層48の一部及びゲート絶縁層46の一部が露出されるように感光膜パターンP1を形成する。感光膜パターンP1は、チャンネル層48の上部面の一部を覆う。そして、感光膜パターンP1の一部は、チャンネル層48と離隔された状態で、チャンネル層48周囲のゲート絶縁層46を覆う。したがって、感光膜パターンP1が形成された後、チャンネル層48は、ゲート44に対応する上部面の一部を除外した残りが露出される。そして、チャンネル層48と感光膜パターンP1との間のゲート絶縁層46が露出される。感光膜パターンP1が形成された後に露出される領域上に、ソース及びドレインが形成されるため、感光膜パターンP1が形成された後に露出された領域の平面形態は、
図1に示したソース及びドレイン50、52の形態と同一である。
【0031】
図15を参照すれば、感光膜パターンP1が形成された後に露出されたチャンネル層48及びゲート絶縁層46上に、金属酸化物層70及び金属層72を順次に積層する。この時、金属酸化物層70及び金属層72は、感光膜パターンP1上にも積層される。金属酸化物層70は、前述した本発明のTFTの第1及び第2金属酸化物層54、56と同じ物質を使用して形成してもよい。また、金属層72は、前記本発明のTFTのソース及びドレイン50、52と同じ物質を使用してもよい。この時、金属酸化物層70は、3〜300Å程度の厚さに形成することができる。金属層72は、500〜1500Åの厚さに形成することができる。金属層72がチタン層または白金層である時、金属層72は500Å程度の厚さに形成することができる。金属層72は、単層あるいは複数層で形成することができる。金属層72が複数層で形成される時、上部層は白金層とすることが好ましい。このような金属酸化物層70及び金属層72は、スパッタリング方式、電子ビームを利用した蒸着方式、原子層蒸着方式または化学気相蒸着方式で形成することができる。
【0032】
金属酸化物層70がスパッタリング方式で形成される時、反応チャンバに所定量のスパッタリングガスと酸素が供給される。前記スパッタリングガスは、例えば、アルゴンガス(Ar)が挙げられる。金属酸化物層70がチタン酸化物(TiO
2)層である時、金属酸化物層70は、前記反応チャンバ内の前記アルゴンガスの含有量が35%、酸素含有量が15%程度になるように、前記反応チャンバにアルゴンガス及び酸素をそれぞれ供給しつつ、ターゲットに1KWのパワーを印加する。この時、前記反応チャンバの圧力は3mtorr程度に保持することが好ましい。
【0033】
チャンネル層48及びゲート絶縁層46の前記露出された領域上に積層された金属酸化物層70のうち、ゲート44の左側にある部分は
図2の第1金属酸化物層54に対応し、ゲート44の右側にある部分は
図2の第2金属酸化物層56に対応する。前記露出された領域上に積層された金属酸化物層70上に形成された金属層72のうち、ゲート44の左側に形成された部分は、
図2のソース50に対応し、ゲートの右側に形成された部分は
図2のドレイン52に対応する。
【0034】
次いで、
図15に示した結果物から感光膜パターンP1を除去するが、この過程で感光膜パターンP1上に積層された金属酸化物層70と金属層72も共に除去される。感光膜パターンP1を除去することによって、
図2に示したようなTFTが形成される。
一方、金属酸化物層70のうち、
図2の第1及び第2金属酸化物層54、56に対応する部分(以下、第1部分)と、金属層72のうち、
図2のソース及びドレイン50、52に対応する部分(以下、第2部分)とは、それぞれ金属酸化物層70と金属層72とが形成される前に、感光膜パターンP1で形成領域があらかじめ決定されるリフトオフ方式で形成されることが望ましい。しかし、前記第1及び第2部分は通常の写真エッチング工程で形成してもよい。例えば、前記第1及び第2部分は、金属酸化物層70と金属層72とを順次に積層した後、金属層72上に前記第1及び第2部分になる領域を限定するマスクを形成し、金属層72と金属酸化物層70とを順次にエッチングして形成することができる。
【0035】
前述したように、TFTを形成した後、形成された結果物をアニーリングする。前記アニーリングは、窒素雰囲気のファーネスで実施する。この時、前記アニーリングは、200〜450℃で1時間程度実施する。アニーリング時間は1時間以内であってもよいし、1時間以上であってもよい。また、前記アニーリングはファーネスを利用する方式以外の他の方式、例えば、急速熱アニーリング(RTA)方式、レーザーを利用する方式で実施してもよい。
【0036】
図16は、前述した本発明のTFT製造方法で金属酸化物層70の厚さによるソース−ドレイン電流Idsを示す。
図16の結果は、金属層72が白金層またはチタン層であり、金属酸化物層70がチタン酸化物(TiO
2)層であるTFTを対象として得た結果である。前記結果を得る間、前記TFTのドレインに印加される電圧Vdは10Vに維持した。
図16で第1ポイントA1は、金属層72が白金層、すなわち、前記TFTのソース及びドレインが白金であり、金属酸化物層70が100Åのチタン酸化物層である時のソース−ドレイン電流を示す。また、連続した曲線をなす第2ないし第4ポイントA2−A4は、金属層72がチタン層である時のソース−ドレイン電流を示す。
【0037】
図16の第1ポイントA1を参照すれば、金属層72が白金層であってチタン酸化物からなる金属酸化物層70の厚さが100Åである時、ソース−ドレイン電流は0であることが分かる。しかし、第2ないし第4ポイントA2−A4を参照すれば、金属層72がチタン層であり、金属酸化物層70がチタン酸化物層である時、十分な強度のソース−ドレイン電流が測定されることが分かる。この時、金属酸化物層70の厚さが薄いほどソース−ドレイン電流は大きく、厚さが厚いほど小さいことが分かる。
【0038】
実施例2
この実施例では、金属酸化物層70を積層して形成するものではなく、チャンネル層48を形成した後、チャンネル層48と接触するように金属層72を形成し、その結果物を熱処理して金属層72とチャンネル層48との間に金属酸化物層70を形成する。
下記の説明で第1実施例と同じ参照番号は、第1実施例で説明した部材と同じ部材を意味できる。
【0039】
具体的に説明すれば、チャンネル層48を形成し、リフトオフ工程のための感光膜パターンP1を形成する工程(
図14参照)までは、第1実施例による製造方法と同様である。
感光膜パターンP1を形成した後には、
図17に示したように、チャンネル層48とゲート絶縁層46との露出された領域上に、所定厚さの金属層72を形成する。この時、金属層72は感光膜パターンP1上にも形成される。以後、感光膜パターンP1を除去するが、感光膜パターンP1上に形成された金属層72も共に除去される(リフトオフ)。
【0040】
感光膜パターンP1を除去した後には、
図18に示したように、
図2のソース及びドレイン50、52に対応する位置のみに金属層72が残る。
次いで、
図18に示した結果物を所定条件でアニーリングする。この結果、
図19に示したように、金属層72とチャンネル層48との間に金属酸化物層80が形成される。金属酸化物層80は、
図2の第1及び第2金属酸化物層54、56に対応する。金属酸化物層80に含まれた金属は、金属層72由来のものである。また、、金属酸化物層80の酸素は、チャンネル層48から供給されたもの及び/または前記アニーリング中に雰囲気ガスに含まれた酸素から供給されたものである。チャンネル層48が金属酸化物層80の形成に供給するほど十分な酸素を含有しているならば、例えば、チャンネル層48が酸素リッチなGIZO層である時、前記アニーリングの雰囲気ガスは酸素を含めなくてもよい。前記アニーリングは200℃〜450℃で実施することができる。前記アニーリングは、ファーネスだけでなくRTAまたはレーザーを利用して実施してもよい。前記アニーリングは所定時間、例えば、1時間実施する。前記アニーリングの雰囲気ガスは、アニーリング方式によって、窒素(N
2)及び酸素(O
2)を含むことができ、酸素だけ含んでもよい。前記アニーリング条件を調節することによって、金属酸化物層80は、前記第1実施例の金属酸化物層70と同じ物質特性を有するように形成できる。
【0041】
前記アニーリングを完了することによって、本発明の第2実施例によるTFTの製造工程は完了する。
図20及び
図21は、前記アニーリングの温度による本発明のTFTの電気的特性を示す。
図20及び
図21に示した結果を得るために使用したTFTは、金属層72を、チタン層と白金層とを順次に積層して形成した。この時、金属層72は、
図2のソース及びドレイン50、52の幾何学的条件を満たすように形成した。
【0042】
また、前記アニーリングは、ファーネスを利用して実施した。前記アニーリングは、窒素と酸素を含む雰囲気で実施した。
図20及び
図21で第1ないし第3グラフG1−G3は、それぞれドレイン52に0.1V、5V及び10Vの電圧が印加された時のゲート電圧とソース−ドレインとの間の電流特性を示す。
【0043】
図20は、前記アニーリングを実施していない時の結果を示し、
図21は、前記アニーリングを350℃で実施した結果を示す。
図20を参照すれば、ゲート電圧Vgが10Vより大きくなりつつソース−ドレイン電流が測定されるが、測定された電流が小さ過ぎるため、実質的にはソース−ドレイン電流が測定されていないと見なすことができる。
一方、
図21を参照すれば、ゲート電圧が0より大きくなりつつ意味のあるソース−ドレイン電流が測定されることが分かる。
【0044】
図20及び
図21の結果から、前述した第2実施例によるTFT製造工程で、前記アニーリングを実施していない場合、金属層72とチャンネル層48との間には、
図19に示したような金属酸化物層80が形成されない一方、前記アニーリングを前記の温度範囲で実施する場合、金属層72とチャンネル層48との間に金属酸化物層80が形成されるということが分かる。
【0045】
図22及び
図23は、シリコン酸化物層90、チャンネル層94及び金属層96を順次に積層した後、その結果物をアニーリングしていない時と、350℃でアニーリングした時の前記結果物の写真を示す。シリコン酸化物層90はSiO
2層であり、本発明のTFTのゲート絶縁層46に対応し、チャンネル層94はGIZO層であり、チャンネル層48に対応し、金属層96はTi/Pt層であり、金属層72に対応する。
図24及び
図25は、それぞれ
図22及び
図23の1−1’方向への物質成分分布を示す。
【0046】
図24を参照すれば、シリコン酸化物層90、チャンネル層94及び金属層96を順次に積層した後、その結果物をアニーリングしていない時、チャンネル層94と金属層96との界面に対応する位置で、チタンは100counts程度が測定され(▲)、酸素は60counts程度が測定された(□)。
図25を参照すれば、シリコン酸化物層90、チャンネル層94及び金属層96を順次に積層した後、その結果物を350℃でアニーリングした時、チャンネル層94と金属層96との界面に対応する位置で、チタンは150counts以上、酸素は100counts以上が測定された。
【0047】
図24及び
図25の結果から、前記第2実施例によるTFTの製造方法で
図18の結果物を200℃〜450℃間でアニーリングした時、ソース及びドレインとして使われる金属層72とチャンネル層48との間に金属酸化物層80に対応する物質層99が形成されることが分かる。
一方、前述したものは、ゲートがチャンネル層下に位置するボトムゲート型TFTについてのものであるが、
図26に示したように、ゲート44がチャンネル層48上に位置するトップゲート型TFTにもそのまま適用できる。また、ゲートはチャンネル層に埋め込まれた形態としてもよい。
【0048】
前記の説明で多くの事項が具体的に記載されているが、それらは発明の範囲を限定するものというようは、望ましい実施例の例示として解釈されねばならない。例えば、当業者ならば、前記アニーリングを、感光膜パターンP1を除去する前に実施することもできる。また、TFTの各構成要素を多様な形態に変形するか、各構成要素間に単純に新たな部材を挿入することもある。よって、本発明の範囲は説明された実施例によって定められるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想により定められねばならない。