特許第5698437号(P5698437)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698437
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】機材運搬用トロ
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/00 20060101AFI20150319BHJP
   B61D 15/00 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   B62B3/00 J
   B62B3/00 A
   B61D15/00 Z
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2008-259556(P2008-259556)
(22)【出願日】2008年10月6日
(65)【公開番号】特開2010-89571(P2010-89571A)
(43)【公開日】2010年4月22日
【審査請求日】2011年9月1日
【審判番号】不服2013-24979(P2013-24979/J1)
【審判請求日】2013年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】391030125
【氏名又は名称】保線機器整備株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074192
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】細川 誠二
【合議体】
【審判長】 大熊 雄治
【審判官】 丸山 英行
【審判官】 出口 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭45−27202(JP,B1)
【文献】 実開昭60−51173(JP,U)
【文献】 実開平4−59505(JP,U)
【文献】 特開2001−71896(JP,A)
【文献】 実開平6−57765(JP,U)
【文献】 特開2007−50859(JP,A)
【文献】 特開2003−120114(JP,A)
【文献】 特開平10−155705(JP,A)
【文献】 特開平9−39507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/00- 5/06
B61D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後それぞれ一対の軌道走行用車輪で荷台を受支して成る機材運搬用トロにおいて、
前記軌道走行用車輪の車軸と平行で、かつ、荷台の両側に突出するようにブラケット取付けフレームを荷台に設けると共に、路上走行用車輪を回転可能に支持した車輪ブラケットをそれぞれ荷台の両側に突出した前記ブラケット取付けフレームの両端部に回動支軸を介し回動可能に取り付け、
前記車輪ブラケットには、さらに組付け孔を設ける一方、前記ブラケット取付けフレームの両端部には、第1支持孔と当該代1支持孔よりも高い位置に第2支持孔を設け、
前記車輪ブラケットの前記組付け孔を前記ブラケット取付けフレーム両端部の前記第1支持孔に合わせて固定ボルトを挿入しナットにより締付けることによって前記路上走行用車輪の踏面を前記軌道走行用車輪の踏面より下方に移動させて前記路上走行用車輪により走行可能な状態にする一方、
前記車輪ブラケットを前記回動支軸を介し回動して当該車輪ブラケットに回転可能に支持された前記路上走行用車輪を持ち上げ、前記車輪ブラケットの前記組付け孔を前記ブラケット取付けフレーム両端部の前記第2支持孔に合わせて固定ボルトを挿入しナットにより締付けることによって前記路上走行用車輪の踏面を前記軌道走行用車輪の踏面より上方に移動させて前記軌道走行用車輪により走行可能な状態にし、
前記路上走行用車輪の外径および幅は前記軌道走行用車輪の外径および幅よりも小さいことを特徴とする機材運搬用トロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、列車事故などに対処するために機材を事務所から現場まで搬送する際に用いる機材運搬用トロに関するものである。
【背景技術】
【0002】
機材運搬用トロは、具体例を挙げるまでもなく、前後それぞれ一対の、軌道走行用車輪で荷台を受支した構造に係り、専ら軌道(レール)に沿う走行のみに限られており、列車事故や軌道の保守点検作業のために現場まで搬送するには、事務所(倉庫)から現場付近の軌道側までに、トロと機材を車で搬送し、当該現場付近で、トロや機材を軌道内に搬入する必要があり、手間と時間がかかっている。
【0003】
このため、所謂軌陸両用の作業車を利用することも考えられるが、該作業車(例えば、特許文献1)は、車体に設けた作業装置を利用してこそその価値があるもので、機材運搬のためにのみ待機させておくわけにはいかない。
【0004】
【特許文献1】特開2007−38777号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記軌陸両用の作業車は、機材搬送用としての専用の荷台を備えたものでないため、搬送用に適用するに問題があるばかりでなく、軌道走行用車輪(鉄輪)と路上走行用車輪は、車体(荷台)を前後に移動させるように車軸で受支させてあるため、概し、路上(一般道路)から軌道内に進入するために利用する踏切が相応に十分な面積を備えている必要があり、踏切の広さによっては現場から離れた位置の踏切を利用しなければならないときがある。従って、従来の所謂軌陸両用の作業車を利用するにしても機材運搬用として、必ずしも、適さない。
【0006】
本発明は、斯様な現状に鑑み、機材運搬、殊に緊急機材運搬用として好適なトロを提供することを目的として創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前後それぞれ一対の軌道走行用車輪で荷台を受支して成る機材運搬用トロにおいて、前記軌道走行用車輪の車軸と平行で、かつ、荷台の両側に突出するようにブラケット取付けフレームを荷台に設けると共に、路上走行用車輪を回転可能に支持した車輪ブラケットをそれぞれ荷台の両側に突出した前記ブラケット取付けフレームの両端部に回動支軸を介し回動可能に取り付け、前記車輪ブラケットには、さらに組付け孔を設ける一方、前記ブラケット取付けフレームの両端部には、第1支持孔と当該代1支持孔よりも高い位置に第2支持孔を設け、前記車輪ブラケットの前記組付け孔を前記ブラケット取付けフレーム両端部の前記第1支持孔に合わせて固定ボルトを挿入しナットにより締付けることによって前記路上走行用車輪の踏面を前記軌道走行用車輪の踏面より下方に移動させて前記路上走行用車輪により走行可能な状態にする一方、前記車輪ブラケットを前記回動支軸を介し回動して当該車輪ブラケットに回転可能に支持された前記路上走行用車輪を持ち上げ、前記車輪ブラケットの前記組付け孔を前記ブラケット取付けフレーム両端部の前記第2支持孔に合わせて固定ボルトを挿入しナットにより締付けることによって前記路上走行用車輪の踏面を前記軌道走行用車輪の踏面より上方に移動させて前記軌道走行用車輪により走行可能な状態にし、前記路上走行用車輪の外径および幅は前記軌道走行用車輪の外径および幅よりも小さい構成としたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、軌道走行用車輪と路上走行用車輪は、互いに直交方向に転動して移動するものであるから、路上走行から軌道走行或いは軌道走行から路上走行へと切替えは踏切上への移動のみで簡単に行うことができ、しかも、踏切上で特別な方向転換作業を行う必要がないから、踏切の広狭を選ばず、機材運搬用トロとして好適である。
また本発明によれば、軌道走行用車輪の外径および幅よりも小さい外径および幅を有する路上走行用車輪を取付けた回動支軸を中心に車輪ブラケットを回動させて上げ下げすることにより、軌道走行用車輪により走行可能な状態にしたり、路上走行用車輪により走行可能な状態に切替えるように構成したため、シリンダやピストン等の油圧装置を使用することなく、路上走行用車輪を少ない労力でかつ簡便に上げ下げすることができる。
【実施例】
【0009】
図面は本発明に係る機材運搬用トロの一実施例を示し、図1は路上走行時の背面図、図2図1の一部欠截拡大図、図3図1のa−a線断面図、図4図3の一部拡大図、図5図1の底面図、図6図5の一部拡大図、図7は軌道走行時の正面図、図8図7の一部拡大図、図9図7のb−b線断面図、図10図9の一部拡大図、図11図7の底面図、図12図11の一部拡大図である。
【0010】
図中、1は方形枠体状の荷台で、荷台1は方形筒状の棒杆を互いに熔接した平面視格子状の枠体で成り(平面視格子状の枠体で構成することにより荷台上に載置した機材を格子桟に縛りつけ固定することができる)、この荷台1の左右の側杆1a,1aには、それぞれ前後一対の軌道走行用車輪2,2´を車軸4において軸受3で受支させて、転動自在に前後対称的に組付け、荷台1は前後それぞれ一対の該軌道走行用車輪2,2´で受支され軌道(レール)上を走行する。
【0011】
また、前記前後の軌道走行用車輪2,2´の間には、一対のブラケット取付けフレーム5,5を配して前記荷台1の底(裏)面に前後対称位置に取付けてある。
【0012】
ブラケット取付けフレーム5,5は、一対の仲介材を介して一対の、方形筒状のフレーム棒5a,5aを互いに熔接して構成したもので、該ブラケット取付けフレーム5,5の、荷台1の前記側杆1aより荷台1の外側方向に突出する両端部5´,5´には、それぞれ車輪ブラケット6を着脱自在に設けてある。
【0013】
車輪ブラケット6は、中央部片6aに、隅部を丸くした直角三角形状の側部片6b,6bを相対して連設した枠体で成り、側部片6b,6bの三角形状の直角部には軸孔8を設け、該軸孔8を介する一隅部に車軸7を架設し、他の一隅部に組付け孔9を設け、軸孔8と組付け孔9を側部片6b,6b間に介在させたパイプ材8a,9aで構成させ、該パイプ材8a,9a間には操作ハンドル11の脚杆11bの支持孔10を構成するパイプ材10aをパイプ材8a,9aと直交する方向に固定し、前記車軸7に路上走行用車輪18を転動自在に支持させたもので、前記軸孔8を貫通させて前記フレーム棒5aの端部5a´,5a´間にわたした回動支軸12によってブラケット取付けフレーム端部5´に回動自在に組付け、この組付け状態で前記車軸7は、軌道走行用車輪2,2´の車軸4と直交する方向に配される。そして、前記フレーム棒端部5a´の先端には互いに一致する支持孔13,13を設け、該支持孔13と前記回動支軸12との離開距離を、回動支軸12を貫通させた車輪ブラケット6側の軸孔8と組付け孔9との離開距離と等距離にしてあり、また、前記端部5a´の上面にはそれぞれ支承片14,14を立設し、該支承片14,14には前記回動支軸12と直上に位置させた前記支持孔13より高所に配して互いに一致する第二支持孔15,15を設け、該第二支持孔15と前記回動支軸12との離開距離が、回動支軸12を貫通させた車輪ブラケット6側の軸孔8と組付け孔9との離開距離と等距離にしてある。すなわち、回動支軸12を中心として回動可能にブラケット取付けフレーム端部5´に配した車輪ブラケット6を、該ブラケット6に枢支した路上走行用車輪18の踏面が接地する状態位置に回動させてブラケット6側の組付け孔9とフレーム端部5´側の支持孔13に固定ボルト16を挿通させ、一方の支持孔13にナット17を螺合、締付けることにより路上走行用車輪18の踏面が路面に設置する状態を保ち、そのとき、路上走行用車輪18はその踏面が軌道走行用車輪2,2´より下方に突出して該車輪2,2´を浮上させ(図1乃至図6)、機材運搬用トロの路上(通路上)での移動が行われる。また、車輪ブラケット6を回動させて組付け孔9とフレーム端部5´側の第二支持孔15を一致させ、これらに固定ボルト16を貫通させ、前記と同様に一方の第二支持孔15より突出する固定ボルト16の先端にナット17を螺合、締付けることにより路上用走行車輪18の浮上状態が保たれ(図7乃至図12)、軌道走行用車輪2,2´によって軌道レールR上での運搬用トロの移動が行うことができるのである。
【0014】
なお、路上走行(移動)に際しては、車輪ブラケット6に設けた支持孔10に操作ハンドル11の脚杆11bを挿入して操作ハンドル11をトロの一側側に着脱自在に組付け、この操作ハンドル11のハンドル部11aを把手と利用することによりトロの路上での移動を円滑に、簡便に行うことができる。
【0015】
そして、必要な機材を前記縛り付け手段等を用いる等して荷台1上に載積した状態のまま車に載せておき、列車事故などの機材を要する事態が生じたとき、そのまま現場に直行して近辺の踏切部で運搬用トロを路上におろし、路上走行車輪18を利用して軌道レール位置まで移動させ、該位置に到達後は、路上用走行車輪18を浮上させ、軌道用走行車輪2,2´を軌道レール上を転動させることにより目的個所へと機材の搬送を円滑に行うことができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】路上走行時の背面図。
図2図1の一部欠截拡大図。
図3図1のa−a線断面図。
図4図3の一部拡大図。
図5図1の底面図。
図6図5の一部拡大図。
図7】軌道走行時の正面図。
図8図7の一部拡大図。
図9図7のb−b線断面図。
図10図9の一部拡大図。
図11図7の底面図。
図12図11の一部拡大図。
【符号の説明】
【0017】
1 荷台
2,2´ 軌道走行用車輪
4 軌道走行用車輪の車軸
7 路上走行用車輪の車軸
18 路上走行用車輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12