(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
負極材料が、X線回折における格子面(002面)のd値が0.335〜0.34nmの炭素質材料および/または、Sn、Si及びAlからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物および/またはリチウム合金からなる、請求項2に記載の非水系電解液二次電池。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明は、これらの内容に特定はされない。
<非水系電解液>
本発明の非水系電解液は、常用の非水系電解液と同じく、電解質及びこれを溶解する非水溶媒を含有するものであり、通常、これらを主成分とするものである。 また、本発明の非水系電解液は、上記の特定カーボネートと特定エーテルをそれぞれ特定量含有するものである。
【0015】
(特定カーボネート)
本発明で規定する特定カーボネートの特徴は、その原料中に塩素を含有していることであり、結果、不純物として本発明中の特定エーテルが含まれてくることである。その具他的な化合物はビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、ジエチルビニレンカーボネート等のビニレンカーボネート誘導体が挙げられ、なかでもビニレンカーボネートが好ましい。
本発明で使用されるビニレンカーボネートは、その製造方法が限定されるものではないが、非特許文献1非特許文献2に記載のエチレンカーボネートの塩素化で得られるクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素による合成方法などが挙げられる。本発明におけるビニレンカーボネートは次いで精製工程に供される。その精製方法は、特定エーテルを非水系溶媒に溶解し非水系電解液としたときに、10ppm以下となるように精製できれば特に限定されないが、例えば、吸着、精密蒸留、晶析等の単位操作を組み合わせ精製されたものを用いる。
【0016】
また、精製操作は同じ操作を2回以上行うか、あるいは、異なる精製操作を2種類以上行うのが好ましい。例えば、精密蒸留後に晶析、晶析後に精密蒸留、精密蒸留を2回、晶析を2回等が挙げられる。
本発明の精製ビニレンカーボネートは、下式(1)で示される化合物を100ppm以下含有する。
【0018】
(式(1)において、R
1〜R
8は、塩素原子、又は水素原子を示す。R
1〜R
8のうち少なくともひとつは塩素原子である。)
【0019】
精製ビニレンカーボネート中の式(1)で表される化合物の含有量は、より好ましくは50ppm以下であり、更に好ましくは10ppm以下である。
式(1)で表される化合物の含有量が多すぎる場合は、電池特性が悪化する虞がある。
精製ビニレンカーボネート中の不純物としては、水分100ppm以下、有機塩素不純物が1000ppm以下、更に好ましくは500ppm以下であることが好ましい。
本発明の非水系電解液は特定カーボネートを0.1〜10重量%含有し、好ましくは0.5〜6重量%、より好ましくは0.5〜4重量%含有する。
特定カーボネートの含有量が多すぎると、電池特性を悪化させる虞があり、少なすぎると特性向上効果が発現できない虞がある。
【0020】
(特定エーテル)
本発明で規定される特定エーテルは下式(1)であらわされる。
【0022】
(式(1)において、R
1〜R
8は、塩素原子、又は水素原子を示す。R
1〜R
8のうち少なくともひとつは塩素原子である。)
【0023】
本発明で規定する特定エーテルの特徴はその構造中に二重結合と塩素元素を併せ持つ所にある。
上記特定エーテルの具体例としては;
【0027】
が挙げられる。
上記特定エーテルは、その保存特性への効果から、電解液中に、10ppm以下、より好ましくは、7ppm以下、より好ましくは5ppm以下含有されていることが好ましい。この範囲より多いと、保存特性をはじめとした種々特性の低下を招いてしまう。
特定エーテルを実質的に含有しない高純度特定カーボネートを用いても良いが、精製コスト等の観点から、通常1ppb以上で含有するものを用いるのが好ましい。
【0028】
特定エーテルの中でも特に下記で示されるエーテルは、非水電解液中に特定量含有された場合、二次電池の保存特性が良いので特に好ましい。
【0030】
(電解質)
電解質としては、通常、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、この用途に用いることが知られているものであれば特に制限がなく、任意のものを用いることができ、具体的には以下のものが挙げられる。
例えば、LiPF
6及びLiBF
4等の無機リチウム塩;LiCF
3SO
3、LiN(CF
3SO
2)
2 、LiN(C
2F
5SO
2)
2、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiN(CF
3SO
2)(C
4F
9SO
2)、LiC(CF
3SO
2)
3、LiPF
4(CF
3)
2、LiPF
4(C
2F
5)
2、LiPF
4(CF
3SO
2)
2、LiPF
4(C
2F
5SO
2)
2、LiBF
2(CF
3)
2、LiBF
2(C
2F
5)
2、LiBF
2(CF
3SO
2)
2、LiBF
2(C
2F
5SO
2)
2、リチウムジフルオロオキサラトボレート及びリチウムビス(オキサラト)ボレート等の有機リチウム塩が挙げられる。
【0031】
これらのうち、LiPF
6、LiBF
4、LiCF
3SO
3、LiN(CF
3SO
2)
2又はLiN(C
2F
5SO
2)
2、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムビス(オキサレート)ボレートが電池性能向上の点から好ましく、特にLiPF
6又はLiBF
4が好ましい。
これらのリチウム塩は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
2種以上を併用する場合の好ましい一例は、LiPF
6とLiBF
4との併用であり、サイクル特性を向上させる効果がある。この場合には、両者の合計に占めるLiBF
4の割合は、好ましくは0.01重量%以上、特に好ましくは0.1重量%以上、好ましくは20重量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。この下限を下回る場合には所望する効果が得づらい場合があり、上限を上回る場合は高温保存後の電池特性が低下する場合がある。
【0032】
また、他の一例は、無機リチウム塩と有機リチウム塩との併用であり、この場合には、両者の合計に占める無機リチウム塩の割合は、70重量%以上、99重量%以下であることが望ましい。有機リチウム塩としては、LiN(CF
3SO
2)
2 、LiN(C
2F
5SO
2)
2、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、リチウムジフルオロオキサラトボレート、及びリチウムビス(オキサラト)ボレートのいずれかであるのが好ましい。この両者の併用は、高温保存による劣化を抑制する効果がある。
【0033】
また、非水溶媒がγ−ブチロラクトンを55容量%以上含むものである場合には、リチウム塩としては、LiBF
4又はLiBF
4と他のものとの併用が好ましい。この場合LiBF
4は、リチウム塩の40モル%以上を占めるのが好ましい。特に好ましくは、リチウム塩に占めるLiBF
4の割合が40モル%以上、95モル%以下であり、残りがLiPF
6、LiCF
3SO
3、LiN(CF
3SO
2)
2、LiN(C
2F
5SO
2)
2、リチウムジフルオロオキサラトボレート、及びリチウムビス(オキサラト)ボレートよりなる群から選ばれるものからなる組合せである。
【0034】
非水系電解液中のこれらの電解質の濃度は、本願発明の効果を発現するためには、特に制限はないが、通常0.5モル/リットル以上、好ましくは0.6モル/リットル以上、より好ましくは0.7モル/リットル以上である。また、その上限は、通常3モル/リットル以下、好ましくは2モル/リットル以下、より好ましくは1.8モル/リットル以下、更に好ましくは1.5モル/リットル以下である。濃度が低すぎると、電解液の電気伝導度が不十分の場合があり、一方、濃度が高すぎると、粘度上昇のため電気伝導度が低下する場合があり、電池性能が低下する場合がある。
【0035】
(非水溶媒)
非水溶媒も、従来から非水系電解液の溶媒として公知のものの中から適宜選択して用いることができる。例えば、不飽和結合をもたない環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、環状エーテル類、鎖状エーテル類、環状カルボン酸エステル類、鎖状カルボン酸エステル類、含燐有機溶媒等が挙げられる。
炭素−炭素不飽和結合をもたない環状カーボネート類としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の炭素数2〜4のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート類が挙げられ、これらの中では、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートが電池特性向上の点から好ましく、特に、エチレンカーボネートが好ましい。
【0036】
鎖状カーボネート類としては、ジアルキルカーボネートが好ましく、構成するアルキル基の炭素数は、それぞれ、1〜5が好ましく、特に好ましくは1〜4である。具体的には例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート等の対称鎖状アルキルカーボネート類;エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート等の非対称鎖状アルキルカーボネート類等のジアルキルカーボネートが挙げられる。中でも、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが電池特性向上(特に、高負荷放電特性)の点から好ましい。
【0037】
環状エーテル類としては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等が挙げられる。
鎖状エーテル類としては、ジメトキシエタン、ジメトキシメタン等が挙げられる。
環状カルボン酸エステル類としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等が挙げられる。
鎖状カルボン酸エステル類としては、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル等が挙げられる。
【0038】
含燐有機溶媒としては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸ジメチルエチル、リン酸メチルジエチル、リン酸エチレンメチル、リン酸エチレンエチル等が挙げられる。
これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよいが、2種以上の化合物を併用するのが好ましい。例えば、アルキレンカーボネート類や環状カルボン酸エステル類等の高誘電率溶媒と、ジアルキルカーボネート類や鎖状カルボン酸エステル類等の低粘度溶媒とを併用するのが好ましい。
【0039】
非水溶媒の好ましい組合せの一つは、アルキレンカーボネート類とジアルキルカーボネート類を主体とする組合せである。なかでも、非水溶媒に占めるアルキレンカーボネート類とジアルキルカーボネート類との合計が、70容量%以上、好ましくは80容量%以上、より好ましくは90容量%以上であり、かつアルキレンカーボネート類とジアルキルカーボネート類との合計に対するアルキレンカーボネートの割合が5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上であり、通常50%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは25%以下のものである。これらの非水溶媒の組み合わせを用いると、これを用いて作製された電池のサイクル特性と高温保存特性(特に、高温保存後の残存容量及び高負荷放電容量)のバランスが良くなるので好ましい。
【0040】
アルキレンカーボネート類とジアルキルカーボネート類の好ましい組み合わせの具体例としては、エチレンカーボネートとジメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート等が挙げられる。
【0041】
これらのエチレンカーボネートとジアルキルカーボネート類との組み合わせに、更にプロピレンカーボネートを加えた組み合わせも、好ましい組み合わせとして挙げられる。
プロピレンカーボネートを含有する場合には、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの容量比は、99:1〜40:60が好ましく、特に好ましくは95:5〜50:50である。更に、非水溶媒全体に占めるプロピレンカーボネートの割合は、通常0.1容量%以上、好ましくは1容量%以上、より好ましくは2容量%以上、また上限は、通常20容量%以下、好ましくは8容量%以下、より好ましくは5容量%以下である。この濃度範囲でプロピレンカーボネートを含有すると、エチレンカーボネートとジアルキルカーボネート類との組み合わせの特性を維持したまま、更に低温特性が優れるので好ましい。
エチレンカーボネートとジアルキルカーボネート類との組み合わせの中で、ジアルキルカーボネート類として非対称鎖状アルキルカーボネート類を含有するものが更に好ましく、特に、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネートといったエチレンカーボネートと対称鎖状アルキルカーボネート類と非対称鎖状アルキルカーボネート類を含有するものが、サイクル特性と大電流放電特性のバランスが良いので好ましい。中でも、非対称鎖状アルキルカーボネート類がエチルメチルカーボネートであるのが好ましく、又、アルキルカーボネートのアルキル基は炭素数1〜2が好ましい。
また、全非水溶媒中に占めるジメチルカーボネートの割合が、通常10容量%以上、好ましくは20容量%以上、より好ましくは25容量%以上、更に好ましくは30容量%以上であり、また上限は、通常90容量%以下、好ましくは80容量%以下、より好ましくは75容量%以下、更に好ましくは、70容量%以下となる範囲で含有させると、電池の負荷特性が向上するので好ましい。
【0042】
また、全非水溶媒中に占めるエチルメチルカーボネートの割合が、通常10容量%以上、好ましくは20容量%以上、より好ましくは25容量%以上、更に好ましくは30容量%以上であり、また上限は、通常90容量%以下、好ましくは80容量%以下、より好ましくは75容量%以下、更に好ましくは、70容量%以下となる範囲で含有させると、電池のサイクル特性と保存特性とのバランスが良好となるので好ましい。
また、上記アルキレンカーボネート類とジアルキルカーボネート類を主体とする組合せにおいては、他の溶媒を混合してもよく、本願発明の効果を発現するためには、特に制限はないが、負荷特性を重視する場合には、環状カルボン酸エステル類を含有させない方が好ましい。
【0043】
好ましい非水溶媒の他の例は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン及びγ−バレロラクトンよりなる群から選ばれた1種の有機溶媒、又は該群から選ばれた2以上の有機溶媒からなる混合溶媒を全体の60容量%以上を占めるものである。この混合溶媒を用いた非水系電解液は、高温で使用しても溶媒の蒸発や液漏れが少なくなる。
なかでも、非水溶媒に占めるエチレンカーボネートとγ−ブチロラクトンとの合計が、好ましくは80容量%以上、より好ましくは90容量%以上であり、かつエチレンカーボネートとγ−ブチロラクトンとの容量比が5:95〜45:55であるもの、又は非水溶媒に占めるエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとの合計が、好ましくは80容量%以上、より好ましくは90容量%以上であり、かつエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの容量比が30:70〜60:40であるものを用いると、一般にサイクル特性と高温保存特性等のバランスがよくなる。
【0044】
(添加剤)
本発明の非水系電解液は、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、各種の添加剤を含有していることが好ましい。この添加剤としては、従来公知のものを任意に用いることができ、また、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。添加剤の例としては、過充電防止剤や、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を改善するための助剤などが挙げられる。
【0045】
過充電防止剤としては、例えば、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2−フルオロビフェニル、2,4−ジフルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分フッ素化物;2−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、2,6−ジフルオロアニオール等の含フッ素アニソール化合物;メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、ジフェニルカーボネート等のフェニル基を有するカーボネート;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル等のフェニル基を有するカルボン酸エステル;リン酸トリフェニル等のフェニル基を有するリン酸エステルなどが挙げられる。
【0046】
なお、過充電防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、非水系電解液が過充電防止剤を含有する場合、その濃度は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、非水系電解液全体に対して通常0.1重量%〜5重量%である。非水系電解液に過充電防止剤を含有させることは、過充電による非水系電解液二次電池の破裂・発火を抑制することができ、非水系電解液二次電池の安全性が向上するので好ましい。
【0047】
一方、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を改善するための助剤としては、例えば、エリスリタンカーボネート、スピロービスージメチレンカーボネート等の特定カーボネートに該当するもの以外のカーボネート化合物;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、フェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物;エチレンサルファイト、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、スルホラン、スルホレン、ジメチルスルホン、ジフェニルスルホン、メチルフェニルスルホン、ジブチルジスルフィド、ジシクロヘキシルジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフイド、N,N−ジメチルメタンスルホンアミド及びN,N−ジエチルメタンスルホンアミド等の含硫黄化合物;1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルスクシイミド等の含窒素化合物;ヘプタン、オクタン、シクロヘプタン等の炭化水素化合物、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ベンゾトリフルオライド等の含フッ素芳香族化合物などが挙げられる。
【0048】
なお、助剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
非水系電解液中におけるこれらの助剤の割合は、本願発明の効果を発現するためには、特に制限はないが、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、特に好ましくは0.2重量%以上であり、上限は、通常5重量%以下、好ましくは3重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。これらの助剤を添加することにより、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させることができる。この下限より低濃度では助剤の効果がほとんど発現しない場合がある。また、逆に濃度が高すぎると高負荷放電特性などの電池の特性が低下する場合がある。
【0049】
(電解液の調製)
本発明に係る非水系電解液は、非水溶媒に、電解質、及び必要に応じて他の化合物を溶解することにより調製することができる。非水系電解液の調製に際しては、各原料は、電解液とした場合の水分を低減させるため予め脱水しておくのが好ましい。通常50ppm以下、好ましくは30ppm以下、特に好ましくは10ppm以下まで脱水するのがよい。また、電解液調製後に、脱水、脱酸処理等を実施してもよい。
本発明の非水系電解液は、非水電解液電池の中でも二次電池用、即ち非水系電解液二次電池、例えばリチウム二次電池用の電解液として用いるのに好適である。以下、本発明の電解液を用いた非水系電解液二次電池について説明する。
【0050】
<非水系電解液二次電池>
本発明の非水系電解液二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、該非水系電解液が上記した電解液であることを特徴とするものである。
(電池構成)
本発明に係る非水系電解液二次電池は、上記本発明の電解液を用いて作製される以外は従来公知の非水系電解液二次電池と同様、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であり、通常、正極と負極とを本発明に係る非水系電解液が含浸されている多孔膜を介してケースに収納することで得られる。従って、本発明に係る二次電池の形状は特に制限されるものではなく、円筒型、角型、ラミネート型、コイン型、大型等のいずれであってもよい。
【0051】
(負極)
負極活物質としては、リチウムを吸蔵・放出可能な炭素質材料や金属化合物、リチウム金属及びリチウム合金などを用いることができる。これらの負極活物質は、単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。なかでも好ましいものは炭素質材料、リチウムを吸蔵および放出可能な金属化合物である。
炭素質材料のなかでは、特に、黒鉛や黒鉛の表面を黒鉛に比べて非晶質の炭素で被覆したものが好ましい。
黒鉛は、学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が0.335〜0.338nm、特に0.335〜0.337nmであるものが好ましい。また、学振法によるX線回折で求めた結晶子サイズ(Lc)は、通常30nm以上、好ましくは50nm以上、特に好ましくは100nm以上である。灰分は、通常1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以下である。
【0052】
黒鉛の表面を非晶質の炭素で被覆したものとして好ましいのは、X線回折における格子面(002面)のd値が0.335〜0.338nmである黒鉛を核材とし、その表面に該核材よりもX線回折における格子面(002面)のd値が大きい炭素質材料が付着しており、かつ核材と核材よりもX線回折における格子面(002面)のd値が大きい炭素質材料との割合が重量比で99/1〜80/20であるものである。これを用いると、高い容量で、かつ電解液と反応しにくい負極を製造することができる。
【0053】
炭素質材料の粒径は、レーザー回折・散乱法によるメジアン径で、通常1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、最も好ましくは7μm以上であり、通常100μm以下、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、最も好ましくは30μm以下である。
炭素質材料のBET法による比表面積は、通常0.3m
2/g以上、好ましくは0.5m
2/g以上、より好ましくは0.7m
2/g以上、最も好ましくは0.8m
2/g以上であり、通常25.0m
2/g以下、好ましくは20.0m
2/g以下、より好ましくは15.0m
2/g以下、最も好ましくは10.0m
2/g以下である。
【0054】
また、炭素質材料は、アルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトルで分析し、1570〜1620cm
-1の範囲にあるピークPAのピーク強度をIA、1300〜1400cm
-1の範囲にあるピークPBのピーク強度をIBとした場合、IBとIAの比で表されるR値(=IB/IA)が、0.01〜0.7の範囲であるものが好ましい。また、1570〜1620cm
-1の範囲にあるピークの半値幅が、通常26cm
-1以下、特に25cm
-1以下であるものが好ましい。
【0055】
リチウムを吸蔵及び放出可能な金属化合物としては、Ag、Zn、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、Cu、Ni、Sr、Ba等の金属を含有する化合物が挙げられ、これらの金属は単体、酸化物、リチウムとの合金などとして用いられる。本発明においては、Si、Sn、Ge及びAlから選ばれる元素を含有するものが好ましく、Si、Sn及びAlから選ばれる金属の酸化物又はリチウム合金がより好ましい。 また、これらは粉末のものでも薄膜状のものでもよく、結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
【0056】
リチウムを吸蔵・放出可能な金属化合物あるいはこの酸化物やリチウムとの合金は、一般に黒鉛に代表される炭素質材料に比較し、単位重量あたりの容量が大きいので、より高エネルギー密度が求められるリチウム二次電池には好適である。
リチウムを吸蔵・放出可能な金属化合物あるいはこの酸化物やリチウムとの合金の平均粒径は、本願発明の効果を発現するためには、特に制限はないが、通常50μm以下、好ましくは20μm以下、特に好ましくは10μm以下、通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上、特に好ましくは2μm以上である。この上限を上回る場合、電極の膨張が大きくなり、サイクル特性が低下してしまう可能性がある。また、この下限を下回る場合、集電が取りにくくなり、容量が十分に発現しない可能性がある。
【0057】
(正極)
正極活物質としては、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物材料などのリチウムを吸蔵・放出可能な材料が挙げられる。これらの化合物は、Li
XCoO
2、Li
XNiO
2、Li
XMnO
2、Li
XCo
1-yM
yO
2、Li
XNi
1-yM
yO
2、Li
XMn
1-yM
yO
2等であり、ここでMは通常、Fe、Co、Ni、Mn、Mg、Cu、Zn、Al、Sn、B、Ga、Cr、V、Sr、Tiから選ばれる少なくとも1種であり、0.4≦x≦1.2、0≦y≦0.6であるものや、Li
XMn
aNi
bCo
cO
2(但し、0.4≦x≦1.2、a+b+c=1)が挙げられる。
特にLi
XCo
1-yM
yO
2、Li
XNi
1-yM
yO
2、Li
XMn
1-yM
yO
2等で表される、コバルト、ニッケル、マンガンの一部を他の金属で置き換えたものや、Li
XMn
aNi
bCocO
2(但し、0.4≦x≦1.2、a+b+c=1、|a-b|<0.1)で表されるものは、その構造を安定化させることができるので好ましい。
【0058】
正極活物質は、単独で用いても、複数を併用しても良い。
また、これら正極活物質の表面に、主体となる正極活物質を構成する物質とは異なる組成の物質が付着したものを用いることもできる。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩等が挙げられる。
【0059】
表面付着物質の量としては、本願発明の効果を発現するためには、特に制限はないが、正極活物質に対して質量で、下限として好ましくは0.1ppm以上、より好ましくは1ppm以上、更に好ましくは10ppm以上、上限として好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下で用いられる。表面付着物質により、正極活物質表面での非水系電解液の酸化反応を抑制することができ、電池寿命を向上させることができるが、その付着量が少なすぎる場合その効果は十分に発現せず、多すぎる場合には、リチウムイオンの出入りを阻害するため抵抗が増加する場合がある。
【0060】
(電極)
活物質を結着する結着剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液に対して安定な材料であれば、任意のものを使用することができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム等の不飽和結合を有するポリマー及びその共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体等のアクリル酸系ポリマー及びその共重合体などが挙げられる。
【0061】
電極中には、機械的強度や電気伝導度を高めるために増粘剤、導電材、充填剤などを含有させてもよい。
増粘剤としては、カルボキシルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、ガゼイン等が挙げられる。
導電材としては、銅又はニッケル等の金属材料、グラファイト又はカーボンブラック等の炭素材料などが挙げられる。
【0062】
電極の製造は、常法によればよい。例えば、負極又は正極活物質に、結着剤、増粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー化し、これを集電体に塗布、乾燥した後に、プレスすることによって形成することができる。
また、活物質に結着剤や導電材などを加えたものをそのままロール成形してシート電極としたり、圧縮成型によりペレット電極としたり、蒸着・スパッタ・メッキ等の手法で集電体上に電極材料の薄膜を形成することもできる。
負極活物質に黒鉛を用いた場合、負極活物質層の乾燥、プレス後の密度は、通常1.45g/cm
3以上であり、好ましくは1.55g/cm
3以上、より好ましくは1.60g/cm
3以上、特に好ましくは1.65g/cm
3以上、である。
【0063】
また、正極活物質層の乾燥、プレス後の密度は、通常2.0g/cm
3以上であり、好ましくは2.5g/cm3以上、より好ましくは3.0g/cm
3以上である。
集電体としては各種のものを用いることができるが、通常は金属や合金が用いられる。負極の集電体としては、銅、ニッケル、ステンレス等が挙げられ、好ましいのは銅である。また、正極の集電体としては、アルミニウム、チタン、タンタル等の金属又はその合金が挙げられ、好ましいのはアルミニウム又はその合金である。
【0064】
(セパレータ、外装体)
正極と負極の間には、短絡を防止するために多孔膜(セパレータ)を介在させる。この場合、電解液は多孔膜に含浸させて用いる。多孔膜の材質や形状は、電解液に安定であり、かつ保液性に優れていれば、特に制限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シート又は不織布等が好ましい。
本発明に係る電池に使用する電池の外装体の材質も任意であり、ニッケルメッキを施した鉄、ステンレス、アルミニウム又はその合金、ニッケル、チタン、ラミネートフィルム等が用いられる。
上記した本発明の非水系電解液二次電池の作動電圧は通常2V〜6Vの範囲である。
【実施例】
【0065】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明の具体的態様につき更に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
[特定エーテルの検出]
式(1)で表される特定エーテルの合計(以後、特定エーテル群と略記)の分析はガスクロマトグラフィー(GC2014、島津製作所製;カラムTC5HT;GLサイエンス製;50℃から10℃/分で250℃まで昇温し3分保持;インジェクション、ディテクター(FID)ともに250℃)で実施した。特定エーテル群の検出限界は0.5GC面積ppmである。
【0066】
[ビニレンカーボネートの合成]
非特許文献1および非特許文献2に記載の方法に従い、下記式(2)で表されるビニレンカーボネートを製造した(粗ビニレンカーボネート10.0kg)。
粗ビニレンカーボネート1kgを精密蒸留(理論段数3段、還流比10)を2回実施し精製ビニレンカーボネートを850g(VC−1)得た。得られた精製ビニレンカーボネートの純度は98.88面積%、全塩素は2916重量ppm、特定エーテル群は597GC面積ppmであった。
【0067】
【化11】
【0068】
粗ビニレンカーボネート1kgを、MTBE/へキサン=1/1wt比(2kg)を仕込み攪拌しながら冷却し晶析を行い、析出した固体をろ別し、精密蒸留(理論段数3段、還流比10)を実施し晶析溶媒を留去とビニレンカーボネートの蒸留を行い、精製ビニレンカーボネート905g(VC−2)得た。得られた精製ビニレンカーボネートの純度は99.97面積%、全塩素は29重量ppm、特定エーテル群は6GC面積ppmであった。
【0069】
粗ビニレンカーボネート1kgを、MTBE/へキサン=1/1wt比(2kg)を仕込み攪拌しながら冷却し晶析を行い、析出した固体をろ別し、晶析操作を2回繰り返した後、精密蒸留(理論段数3段、還流比10)を実施し晶析溶媒を留去とビニレンカーボネートの蒸留を行い、ビニレンカーボネート810g(VC−3)得た。得られた精製ビニレンカーボネートの純度は99.99面積%以上、全塩素は1重量ppm以下、特定エーテル群は0.5GC面積ppm以下であった。
上記で得られた精製ビニレンカーボネート(VC−1〜VC−3)を混合し、特定エーテルの含有量が異なるビニレンカーボネート(VC−4〜VC−7)を調製した。
VC−1〜VC−7の分析結果を表−1に示した。
【0070】
【表1】
【0071】
[容量評価]
リチウム二次電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において、0.2Cに相当する定電流で4.2Vまで充電した後、0.2Cの定電流で3Vまで放電した。これを3サイクル行って電池を安定させ、4サイクル目は、0.5Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電を実施し、0.2Cの定電流で3Vまで放電して、初期放電容量を求めた。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
【0072】
[高温保存特性の評価]
容量評価試験の終了した電池を、25℃において0.5Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電し、その後、85℃で1日間保存した。次に、電池の開回路電圧(OCV)を測定後、25℃において0.2Cの定電流で3Vまで放電させて保存試験後の放電容量を測定し、初期放電容量に対する保存後の放電容量の割合を求め、これを高温保存後の残存容量(%)とした。
【0073】
(実施例1)
[負極の製造]
X線回折における格子面(002面)のd値が0.336nm、結晶子サイズ(Lc)が652nm、灰分が0.07重量%、レーザー回折・散乱法によるメジアン径が12μm、BET法による比表面積が7.5m
2/g、アルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析から求めたR値(=I
B/I
A)が0.12、1570〜1620cm
-1の範囲にあるピークの半値幅が19.9cm
-1である天然黒鉛粉末94重量部とポリフッ化ビニリデン6重量部とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンを加えスラリー状にした。このスラリーを厚さ12μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、負極活物質層の密度が1.65g/cm
3になるようにプレスして負極とした。
【0074】
[正極の製造]
LiCoO
290重量部、カーボンブラック4重量部及びポリフッ化ビニリデン(呉羽化学社製、商品名「KF−1000」)6重量部を混合し、N−メチル−2−ピロリドンを加えスラリー化し、これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、正極活物質層の密度が3.0g/cm
3になるようにプレスして正極とした。
【0075】
[電解液の製造]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートの混合物(容量比2:3:5)に、上記[ビニレンカーボネートの合成]で得られたビニレンカーボネート(VC−2)を非水系電解液中の含有量として2重量%混合し、次いで十分に乾燥したLiPF
6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して電解液とした。
【0076】
[リチウム二次電池の製造]
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレーターを、負極、セパレーター、正極、セパレーター、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正極負極の端子を突設させながら挿入した後、上記電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、シート状電池を作製し、高温保存特性の評価を行った。
評価結果を表−2に示す。
【0077】
(実施例2〜6)
実施例1の電解液において、精製ビニレンカーボネート(VC-2)に代えて、それぞれ精製ビニレンカーボネート(VC−3〜VC−7)を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、高温保存特性の評価を行った。評価結果を表−2に示す。
【0078】
(比較例1)
実施例1の電解液において、精製ビニレンカーボネート(VC-2)に代えて、精製ビニレンカーボネート(VC-1)を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、高温保存特性の評価を行った。評価結果を表−2に示す。
(比較例2)
電解液にビニレンカーボネートを使用しなかった以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、高温保存特性の評価を行った。評価結果を表−2に示す。
【0079】
【表2】
【0080】
表−2から明らかなように、本発明に係る電池は、高温保存後のOCVおよび残存容量が高く、保存特性に優れていることがわかる。