【実施例】
【0038】
以下、実施例により本発明を詳述する。無論、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、実施例における評価は以下の方法により測定した。
(1)着用試験
染色加工された布帛の裏側が肌面になるように作成されたシャツを着用し、28℃、65%RH環境の人口気候室にて10分間安静にした後に、大武・ルート工業社製トレッドミルORK−3000にて時速8kmで30分の走行運動を行い、再び10分間安静にした。走行運動後のベタツキ感、冷え感、貼りつき感(以下、まとめて「ベタツキ感」ともいう。)を官能評価した:
○:ベタツキ感、冷え感、貼りつき感を感じない;
×:ベタツキ感、冷え感、貼りつき感を感じる。
表1中、「ベタツキ感」を上記格付けで示す。
【0039】
[実施例1]
ダイアル側が18GG、シリンダ側が24GGであるダブル異ゲージ丸編機を使用し、シリンダ側に単糸繊度1.9dtex、扁平度3.0、比表面積3140cm
2/gのポリエステルW型断面加工糸56dtex/30fを2本引きそろえ、単糸繊度2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2320cm
2/gのポリエステル丸型断面原糸84dtex/36fを5:1の割合で給糸し、ダイアル側には単糸繊度2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2320cm
2/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/36fと単糸繊度2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2341cm
2/gのポリエステル丸型断面加工糸110dtex/48fを交互に給糸して
図1の組織で構成されたタックメッシュ組織の生機を得た。この時の表側にあるポリエステルW型断面加工糸及び丸型断面加工糸と、裏側にあるポリエステル丸型断面加工糸の比表面積の比は1.29であった。この生機を液流染色機にて80℃×20分で精練、水洗した後に、ピンテンターにて幅出し率20%で180℃×90秒のプレセットを行った。その後、液流染色機にて130℃でのポリエステル染色、アニオン性親水性ポリエステル樹脂“SR−1800”(高松油脂(株)製)3重量%を用いて吸水加工を行い、水洗を行った後に、ピンテンターにてしわが取れる程度に伸長し、150℃×90秒のファイナルセットを行い、目付153g/m
2、厚み0.82mmの2層編地を得た。この編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.32mmであった。さらに編地の吸水時間は1秒以下、水分200g/m
2付与時の接触冷感値は194W/m
2・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感、貼りつき感のないものであった。
【0040】
[実施例2]
実施例1と同じ丸編み機を使用し、シリンダ側に単糸繊度1.4dtex、扁平度3.0、比表面積3643cm
2/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/60fを、ダイアル側には単糸繊度2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2320cm
2/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/36fをそれぞれ給糸して
図2の組織で構成されたタックメッシュ組織の生機を得た。この時の表側にあるポリエステルW型断面加工糸と、裏側にあるポリエステル丸型断面加工糸の比表面積の比は1.57であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付118g/m
2、厚み0.82mmの2層編地を得た。この編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.30mmであった。さらに編地の吸水時間は1秒以下、水分200g/m
2付与時の接触冷感値は195W/m
2・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感、貼りつき感のないものであった。
【0041】
[実施例3]
実施例1と同じ丸編機を使用し、シリンダ側に単糸繊度2.8dtex、扁平度3.0、比表面積2464cm
2/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/30fを、ダイアル側に単糸繊度が2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2320cm
2/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/36fをそれぞれ給糸して
図3の組織で構成されたタックメッシュ組織の生機を得た。この時の表側にあるポリエステルW型断面加工糸と、裏側にあるポリエステル丸型断面加工糸の比表面積の比は1.06であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付115g/m
2、厚み0.82mmの2層編地を得た。この編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.37mmであった。さらに編地の吸水時間は1秒以下、水分200g/m
2付与時の接触冷感値は168W/m
2・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感、貼りつき感のないものであった。
【0042】
[実施例4]
ダイアル側、シリンダ側とも28GGであるダブル丸編機を使用し、シリンダ側に単糸繊度1.4dtex、扁平度3.0、比表面積3643cm
2/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/60fを、ダイアル側には単糸繊度3.5dtex、扁平度1.0、比表面積1894cm
2/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/24fをそれぞれ給糸して
図4の組織で構成されたタックメッシュ組織の生機を得た。この時の表側にあるポリエステルW型断面加工糸と、裏側にあるポリエステル丸型断面加工糸の比表面積の比は1.92であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付147g/m
2、厚み0.97mmの2層編地を得た。この編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.30mmであった。さらに編地の吸水時間は1秒以下、水分200g/m
2付与時の接触冷感値は174W/m
2・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感、貼りつき感のないものであった。
【0043】
[実施例5]
吸水加工剤を2重量%にした以外は実施例1と同様にして、目付153g/m
2、厚み0.82mmの2層編地を得た。この編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.32mmであった。さらに編地の吸水時間は4秒、水分200g/m
2付与時の接触冷感値は210W/m
2・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感、貼りつき感のないものであった。
【0044】
[実施例6]
28GGのシングル丸編み機を使用し、主に表側に単糸繊度1.4dtex、扁平度3.0、比表面積3643cm
2/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/60f、主に裏側に単糸繊度2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2320cm
2/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/36fになるように
図5の組織で構成されたタック組織の生機を得た。この時の表側にあるポリエステルW型断面加工糸と、裏側にあるポリエステル丸型断面加工糸の比表面積の比は1.57であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付118g/m
2、厚み0.81mmのシングル編地を得た。この編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.22mmであった。さらに編地の吸水時間は1秒以下、水分200g/m
2付与時の接触冷感値は229W/m
2・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感、貼りつき感のないものであった。
【0045】
[実施例7]
WJL織機を使用し、主に表側に単糸繊度1.4dtex、扁平度3.0、比表面積3643cm
2/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/60f、主に裏側に単糸繊度2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2320cm
2/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/36fになるように
図6の織組織で構成された2重織物の生機を得た。この時の表側にあるポリエステルW型断面加工糸と、裏側にあるポリエステル丸型断面加工糸の比表面積の比は1.57であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付140g/m
2、厚み0.72mmの織物を得た。この織物の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.16mmであった。さらに織物の吸水時間は1秒以下、水分200g/m
2付与時の接触冷感値は230W/m
2・℃であり、この織物から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感、貼りつき感のないものであった。
【0046】
[実施例8]
シリンダ側に単糸繊度1.2dtex、扁平度1.0、比表面積3281cm
2/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/72fを、ダイアル側に単糸繊度2.8dtex、扁平度3.0、比表面積2464cm
2/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/30fをそれぞれ給糸した以外は実施例1と同じ編み機、編み組織にてタックメッシュ組織の生機を得た。この時の表側にあるポリエステル丸型断面加工糸と、裏側にあるポリエステルW型断面加工糸の比表面積の比は1.33であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付122g/m
2、厚み0.80mmの編地を得た。この編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.31mmであった。さらに編地の吸水時間は1秒以下、水分200g/m
2付与時の接触冷感値は218W/m
2・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感、貼りつき感のないものであった。
【0047】
[実施例9]
シリンダ側に単糸繊度0.6dtex、扁平度1.0、比表面積4640cm
2/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/144fを、ダイアル側に単糸繊度2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2320cm
2/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/36fをそれぞれ給糸した以外は実施例1と同じ編み機、編み組織にてタックメッシュ組織の生機を得た。この時の表側にあるポリエステル丸型断面加工糸と、裏側にあるポリエステル丸型断面加工糸の比表面積の比は2.00であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付137g/m
2、厚み0.82mmの編地を得た。この編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.32mmであった。さらに編地の吸水時間は1秒以下、水分200g/m
2付与時の接触冷感値は223W/m
2・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感、貼りつき感のないものであった。
【0048】
[比較例1]
ダイアル側、シリンダ側とも28GGであるダブル丸編機を使用し、シリンダ側に単糸繊度2.8dtex、扁平度3.0、比表面積2464cm
2/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/30fを、ダイアル側には単糸繊度1.3dtex、扁平度1.0、比表面積3118cm
2/gのポリエステル丸型断面加工糸93dtex/72fをそれぞれ給糸して
図4の組織で構成されたタックメッシュ組織の生機を得た。この時の表側にあるポリエステルW型断面加工糸と、裏側にあるポリエステル丸型断面加工糸の比表面積の比は0.79であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付143g/m
2、厚み0.82mmの2層編地を得た。この編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.29mmであった。さらに編地の吸水時間は1秒以下、水分200g/m
2付与時の接触冷感値は320W/m
2・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感、貼りつき感の大きいものであった。
【0049】
[比較例2]
シリンダ側に単糸繊度2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2320cm
2/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/36f、ダイアル側に単糸繊度2.8dtex、扁平度3.0、比表面積2464cm
2/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/30fをそれぞれ給糸した以外は実施例1と同じ編み機、編み組織にてタックメッシュ組織の生機を得た。この時の表側にあるポリエステル丸型断面加工糸と、裏側にあるポリエステルW型断面加工糸の比表面積に比は0.94であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付125g/m
2、厚み0.83mmの編地を得た。この編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.36mmであった。さらに編地の吸水時間は1秒以下、水分200g/m
2付与時の接触冷感値は263W/m
2・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感、貼りつき感の大きいものであった。
【0050】
[比較例3]
シリンダ側に単糸繊度2.8dtex、扁平度3.0、比表面積2464cm
2/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/30f、ダイアル側に単糸繊度1.4dtex、扁平度3.0、比表面積3643cm
2/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/60fをそれぞれ給糸した以外は実施例1と同じ編み機、編み組織にてタックメッシュ組織の生機を得た。この時の表側にあるポリエステルW型断面加工糸と、裏側にあるポリエステルW型断面加工糸の比表面積の比は0.68であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付140g/m
2、厚み0.79mmの編地を得た。この編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.31mmであった。さらに水分200g/m
2付与時の接触冷感値は356W/m
2・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感、貼りつき感の大きいものであった。
【0051】
[比較例4]
ベタツキ感が少なく、肌離れが良いと謳われている市販のスポーツシャツAを入手した。このスポーツシャツAに使用された編物は、表側及び裏側に単糸繊度1.2dtex、扁平度1.0、比表面積3281cm
2/gのポリエステル加工糸84dtex/72fを使用したシングル丸編地で、主に表側にあるポリエステル加工糸と、主に裏側にあるポリエステル加工糸の比表面積の比は1.00であり、目付115g/m
2、厚み0.48mmであった。この編地裏側の凸部と凹部の高さの差は0.12mmであり、凹凸とは言えないレベルであった。さらに編地の吸水時間は1秒以下、水分200g/m
2付与時の接触冷感値は359W/m
2・℃であり、着用試験ではベタツキ感や冷え感、貼りつき感の大きいものであった。
【0052】
【表1】