(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インクジェット記録装置は、配列された複数のノズルからインクを前記印刷媒体に吐出して画像を形成するものであり、前記ドロップ量増減部は、一つのノズルを挟んでその両側にそれぞれ隣接する二つのノズルを一組とし、該一組のノズルがそれぞれ吐出するインクのドロップ量のうち、一方のノズルが吐出するインクのドロップ量が増加し、他方のノズルが吐出するインクのドロップ量が減少するように、前記一組のノズルにそれぞれ対応する画素におけるインクのドロップ量の増減処理を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
前記ドロップ量増減部は、前記注目画素と、当該注目画素に隣接する周辺画素の全てが前記描画対象領域に含まれる場合にのみ、当該注目画素についてインクのドロップ量の増減処理を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
前記ドロップ量増減部は、前記注目画素の濃度に応じて前記注目画素の属性を決定し、決定された属性に応じて、前記ドロップ量の増減処理におけるインクのドロップ量の増減量を通常よりも増加又は低減するか、あるいは、インクのドロップ量の増減処理を行わないことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
前記ドロップ量増減部は、前記注目画素のドロップ量が所定の上限側閾値以上である場合、当該注目画素のドロップ量を一律に増大させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
前記ドロップ量増減部は、インクのドロップ量の増減量の総和が0となる内容で、インクのドロップ量の増減処理を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置の一つとして、ノズルから吐出されるインク滴によって画像を描画するインクジェット記録装置がある。このインクジェット記録装置では、インク滴の吐出方向が逸れて印刷媒体上における着弾位置がズレてしまう所謂「飛行曲がり」が生じたり、インク滴の吐出そのものができなくなる場合がある。このような現象は、インク滴を吐出するノズルの製造精度が低かったり、ノズルの吐出口に紙粉等が付着するなどの原因によって発生する。そして、このような現象が発生すると、印刷媒体上の印字範囲に白いスジが生じ、画質劣化が発生することがある。
【0003】
特に、高度な印字精度が要求されるバーコード印刷においては、上述した白スジが発生すると、黒バーの幅が変化したり、黒バーが分割されることとなり、スキャナーなどの読み取り機器が、バーコードを正しく読み取れないという問題がある。
【0004】
このような問題に対し、従来では、不吐出ノズルを検出し、その不吐出ノズルにより欠落した画像の印刷を行う技術がある(例えば、特許文献1〜5)。具体的に、特許文献1及び2に開示された技術では、不吐出ノズルを検出し、その他のインクヘッドのノズルによって不吐出ノズルに位置する部分を補完する。また、特許文献3及び4に開示された技術では、不吐出ノズルを検出した際、同一インクヘッド内の別のノズルを使って不吐出ノズル部分を補完する。さらに、特許文献5に開示された技術では、インクヘッドを印刷媒体の搬送方向と垂直に移動させながらインクを吐出し、そのスキャン幅に応じた複数のパスを繰り返す、いわゆる、マルチパス方式において、不吐出ノズルを検出し、別のパスにおいて、吐出ノズル部分を補完する。
【0005】
しかしながら、特許文献1〜5に開示された技術では、インク吐出に問題のあるノズルの検出を行う必要があるため、光学センサなどの検出素子を追加しなければならず、機器装置のコスト増加の問題がある。特に、印刷範囲の幅以上の長さにわたる所謂ラインヘッドを用いるシングルパス方式では、印字幅に相当する光学センサが必要となるため、製造コストが大幅に増加してしまうという問題があった。特に、特許文献2に示すような、欠落ドット用のインクヘッドを設ける構成や、特許文献4に示すような、複数のノズルを用紙搬送方向に並列させる構成では、ヘッドの追加によるコスト増加や、ヘッド自体の製造コストが増加するという問題がある。
【0006】
また、マルチパス方式やシングルパス方式といった印字方式特有の構成を前提にして、吐出可能なノズルにより不吐出ノズル部分を補完する方法については、印字方式が異なる場合に適用できない。
【0007】
詳述すると、インクジェット記録装置には、上述したようにマルチパス方式やシングルパス方式がある。このシングルパス方式では、印刷範囲の幅以上の長さのラインヘッドを用いて、ラインヘッドの下を印刷媒体が一度通過する際に、全ての印刷領域を形成して印刷する。このシングルパス方式を用いたインクジェット記録装置では、印字媒体がラインヘッドの下を一度しか通過しないため、例えば、上記特許文献5に開示されたような、印刷領域を複数回パス印刷を行うことを前提とし、別のパス印刷時に不吐出部分を補完する方式は、採用することができない。
【0008】
同様に、カラー印刷特有の構成を前提にして、吐出可能なノズルにより不吐出ノズル部分を補完する方法については、モノクロ印刷専用の機器には適用できない。即ち、黒色のインクヘッドのみを備えるモノクロプリンタでは、例えば、特許文献1に開示されたような、別色のヘッドを用いて補完する方式は採用することができない。
【0009】
なお、不吐出ノズルの検出を前提としない技術として、例えば、特許文献6に開示されたものがある。この特許文献6に開示された技術では、1つの画素に対して、n行×n列(nは、2以上の自然数)のノズルによってインクを吐出させることで、吐出可能なノズルにより不吐出ノズル部分を補完する。
【0010】
しかしながら、特許文献6に開示された技術では、1つの画素を複数のノズルからの吐出インクで形成しなければならず、要求される分解能に対してオーバースペックとなる構成を持たせなければならないケースが想定される点で、汎用的な解決策とは言い難い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は前記事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、インク吐出に問題のあるノズルの検出を必要とせず、且つ、マルチパス方式・シングルパス方式などの印字方式やカラー・モノクロといった仕様によらず、吐出不良による白スジの発生を低減し、画質劣化を低減させることのできるインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、
画素(例えば、
図3(b)の画素20)毎にドロップ量(例えば、
図3(a)のドロップ21)を可変としてインクをそれぞれ吐出することで、階調処理された画像を印刷媒体(例えば、
図3(a)の印刷媒体10)上に形成するインクジェット記録装置であって、
画像中において、画素のドロップ量が0でない領域を描画対象領域(例えば、
図6(a)の描画対象領域A1)とし、処理の対象となる注目画素(例えば、
図6(b)の注目画素410a,410b)が前記描画対象領域に含まれる場合に、当該注目画素の属性に応じて、当該注目画素に吐出するインクのドロップ量を増加又は減少させるドロップ量の増減処理を行うドロップ量増減部(例えば、
図4のドロップ量増減部342)を備
え、
前記ドロップ量増減部は、前記注目画素のドロップ量から該注目画素の存在する領域が高濃度領域か中間濃度領域か、又は低濃度領域かを判断し、判断した濃度領域に応じて、前記注目画素に吐出するインクのドロップ量の増減幅を変える、
ことを特徴とする。
【0014】
上記発明では、画像中の各画素を順次注目画素とし、処理の対象となる注目画素が、画素のドロップ量が0でない描画対象領域に含まれる場合に、インクのドロップ量の増減処理を行うと、描画対象領域内の各画素のインクのドロップ量が増加又は減少される。したがって、あるノズルに吐出不良が発生して対応する画素にドットが印刷されない場合、隣接する画素に対応するノズルからドロップ量が増加されたインク滴が吐出されると、そのインク滴のドットゲイン(例えば、
図9の画素20のドットゲイン)により、インクの不吐出によりドットが印刷されなかった画素の隙間が埋められる。このため、吐出不良のノズル(例えば、
図9の不吐出ノズル111b)から吐出されるはずのインクが印刷されなかった画素が連続して、画像上に白スジが目立つのを低減することができる。
【0015】
特に、印刷内容がバーコードや二次元バーコードのように、光学的な読み取り対象となるものである場合に、バーコードの黒ベタで印刷されるナローバーやワイドバー中の画素に対応するノズルに吐出不良が発生しても、それによりナローバーやワイドバー上に発生するドット印刷抜けの隙間が埋められることから、バーコードの読み取り精度が低下するのを防止できる。
【0016】
また、バーコードや文字などのように、隣接する両画素にそれぞれ1ドロップ以上のインクが吐出される描画対象領域は、印字品質が重要視される画像の描画領域であると考えることができる。そしてこの描画対象領域にのみ、隣接する両画素間でインクのドロップ量の増減処理を施すため、不吐出ノズルが発生しても画像全体の印刷品質を必要な品質に維持しつつ、ドロップ量の増減処理にかかる処理時間を必要最低限に抑えることができる。
【0017】
また、上記発明において、インクジェット記録装置は、配列された複数のノズル(例えば、
図3(a)のノズル111a)からインクを印刷媒体に吐出して画像を形成するものであり、ドロップ量増減部は、一つのノズルを挟んでその両側にそれぞれ隣接する二つのノズルを一組(例えば、
図10の不吐出ノズル111bの左隣のノズル111aと右隣のノズル111aの2つを一組)とし、該一組のノズルがそれぞれ吐出するインクのドロップ量のうち、一方のノズルが吐出するインクのドロップ量が増加し、他方のノズルが吐出するインクのドロップ量が減少するように、前記一組のノズルにそれぞれ対応する画素におけるインクのドロップ量の増減処理を行うことを特徴とする。
【0018】
上記発明では、ドロップ量の増減処理が、一つのノズルの両側にそれぞれ隣接する二つのノズルを一組とする組単位で行われる。そして、一組を構成する二つのノズルの間に位置するノズルが不吐出ノズルとなると、その不吐出ノズルの両隣に位置する一組のノズルのうちどちらかが、必ずドロップ量が増加されたインク滴を吐出することになる。このため、不吐出ノズルが発生した場合に、その不吐出ノズルの両隣に位置する一組のノズルのどちらかから吐出されるドロップ量の多いインク滴によって、不吐出ノズルに対応する画素の隙間が埋められる度合いをさらに高め、より白スジが目立ち難くなるようにすることができる。
【0019】
また、上記発明において、ドロップ量増減部は、注目画素と、当該注目画素に隣接する周辺画素(例えば、
図6(b)の周辺画素411a,411b)の全てが描画対象領域に含まれる場合にのみ、当該隣接する画素間でインクのドロップ量の増減処理を行うことを特徴とする。
【0020】
上記発明では、注目画素に隣接する周辺画素の全てが描画対象領域に含まれる箇所では、注目画素の属性がいわゆる非エッジ領域に属するものとして、当該注目画素について増減処理を行う。言い換えると、注目画素に隣接する周辺画素のうち1画素でも描画対象領域に含まれない箇所では、注目画素の属性が、いわゆるエッジ領域に属するものであるとして、画素のドロップ量が変わらないようにし、バーコードや文字などのエッジ領域(例えば、
図7のエッジ領域A4)にがたつきや太り細りを生じさせず、バーコードの読み取り精度等が低下するのを回避できる。
【0021】
また、バーコードや文字などのエッジ部分のように、隣接する画素の少なくとも一方が描画対象領域に含まれない箇所(例えば、
図7のエッジ領域A4)では、画素のドロップ量が変わらないようにして、エッジ部分にがたつきや太り細りを生じさせず、バーコードの読み取り精度等が低下するのを回避できる。
【0022】
また、上記発明において、ドロップ量増減部は、注目画素の濃度に応じて前記注目画素の属性を決定し、決定された属性に応じて、ドロップ量の増減処理におけるインクのドロップ量の増減量を通常よりも増加又は低減するか、あるいは、インクのドロップ量の増減処理を行わないことを特徴とする。
【0023】
上記発明では、注目画素の濃度に応じたドロップ量の増減処理を行うことで、ドロップ量が増加されてドットゲインが大きくなった画素が他の画素よりも目立ち、画像に粒状感が生じることを防止することができる。
【0024】
また、上記発明において、ドロップ量増減部は、注目画素のドロップ量が所定の上限側閾値以上である場合、当該注目画素のドロップ量を一律に増大させることを特徴とする。
【0025】
上記発明では、隣接する画素のドロップ量が両方とも所定の上限側閾値以上である画像部分は、バーコードや文字などの印字品質が重要視される画像部分であると考えることができる。そしてこの隣接する画素のインクのドロップ量を両方とも一律に増大させることで、バーコードのナローバー又はワイドバー中や文字中の画素に対応するノズルが吐出不良を起こしても、不吐出ノズルに対応する画素の隙間が埋められる度合いが高まる。よって、より白スジが目立ち難くなるようにし、バーコードや文字としての印刷品質を高く維持することができる。
【0026】
また、上記発明において、ドロップ量増減部は、インクのドロップ量の増減量の総和が0となる内容で、隣接する画素間におけるインクのドロップ量の増減処理を行うことを特徴とする。
【0027】
上記発明では、隣接する画素間でインクのドロップ量の増減を行っても、画像の単位面積当たりのインクのドロップ量は変わらない。このため、インクのドロップ量の増減処理によって画像の濃度が変化するのを抑制することができる。また、インクのドロップ量の増減範囲が、隣接する画素におけるインクのドロップ量の増減範囲と同じ範囲に制限される。このため、無制限にインクのドロップ量が増加されるのを防ぎ、インクのドロップ量の過剰が原因となる所謂「裏抜け」状態が発生するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上述べたように、この発明によれば、インクを印刷媒体に吐出して画像を形成するインクジェット記録装置において、インク吐出に問題のあるノズルの検出を必要とせず、且つ、マルチパス方式・シングルパス方式・カラー・モノクロなどの印字方式によらず、吐出不良による白スジの発生を低減し、画質劣化を低減させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(インクジェット記録装置の全体構成)
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るインクジェット記録装置において、画像形成が行われる画像形成経路CR1を側方から示す説明図であり、
図2(a)は、搬送経路CR1の上方に配置されるヘッドホルダー500を下方から示す説明図であり、
図2(b)は、ヘッドホルダー500の側断面を拡大して示す説明図である。なお、本実施形態では、画像形成部であるヘッドユニット110に備えられたインクヘッド110aのノズルから、黒又はカラーインクをドロップ量(ドロップ数)可変で吐出してライン単位で印刷を行うインクジェット方式のラインカラープリンタを例に説明する。
【0031】
本実施形態に係るインクジェット記録装置は、
図1に示すように、印刷媒体の搬送経路として画像形成経路CR1を含んでおり、この画像形成経路CR1では、プラテンベルト160によって、印刷条件により定められる速度で印刷媒体10が搬送される。この画像形成経路CR1の上方には、ヘッドユニット110が、プラテンベルト160に対向配置され、ヘッドユニット110に備えられた各インクヘッド110aのノズルから、プラテンベルト160上の印刷媒体10上に対し、ライン単位で各色のインクを吐出し、複数の画像を互いに重なり合うように形成する。
【0032】
詳述すると、画像形成経路CR1は、無端状の搬送ベルトであるプラテンベルト160、プラテンベルトの駆動機構である駆動ローラ161及び従動ローラ162等から構成され、この画像形成経路CR1の上方には、ヘッドホルダー500が設けられ、複数列のインクヘッド110aが保持されている。
【0033】
プラテンベルト160は、駆動ローラ161により周回移動され、インクヘッド110aと対向する範囲において摺動し、印刷媒体10を搬送する。具体的に、このプラテンベルト160は、搬送方向に直交させて配置された一対の駆動ローラ161及び従動ローラ162間に掛け回されて、駆動ローラ161の駆動力により、搬送方向に周回される。
【0034】
ヘッドホルダー500は、ヘッドホルダー面500aを底面に有する函体であり、インクヘッド110aを保持して固定するとともに、インクヘッド110aからインクを吐出させるための他の機能部分をユニット化して収納する。また、このヘッドホルダー500の底面であるヘッドホルダー面500aは、搬送経路に対して平行となるように対向配置されており、このヘッドホルダー面500aには、ヘッドユニット110を構成する複数のインクヘッド110aそれぞれの水平断面と同形状の取付開口部500bが複数配列され、複数のインクヘッド110aは、取付開口部500bにそれぞれ挿通されて、その吐出口をヘッドホルダー面500aから突出させている。
【0035】
インクヘッド110aは、
図2(a)及び(b)に示すように、搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に、複数列にわたって配置され、ライン状のインクヘッドが形成されている。本実施形態において、各列のインクヘッドは、K(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の4色のインクをそれぞれ吐出するように構成されており、また、これら複数列内において、各列に含まれるインクヘッド110aは、隣接する他の列に含まれるインクヘッドと搬送方向に重ならない部分が生じるように千鳥状に配置されている。
【0036】
また、インクヘッド110aは、
図3(a)に示すように、その下面において、インク吐出面111を有しており、複数のノズル111aが、印刷媒体10の搬送方向と直交する主走査方向に配列されている。そして、配列された複数のノズル111aから、画素毎に所定のドロップ量のインクを吐出することで、階調処理された画像が形成される。詳しくは、インクヘッド110aからのインクは、各画素に対し、ドロップ21単位で吐出されるようになっており、
図3(b)に示すように、この吐出するドロップ21の量(液滴数)により、各画素20のドットゲインを調整し、各色の濃度を変化させている。そして、インクジェット記録装置は、隣接する画素間で吐出するドロップ量を増減させて画質劣化を低減させる機能を備えている。
【0037】
(画質劣化低減機能の構成)
そして、本実施形態における画質劣化低減機能は、印刷装置に備えられた演算処理部330によって、ヘッドユニット110及び各駆動手段の動作を制御することにより実現される。
図4は、本実施形態に係る演算処理部330の画質劣化低減機能に関するモジュールを示すブロック図である。
【0038】
図4に示すように、演算処理部330は、画質劣化低減に関するモジュールとして、ジョブデータ受信部331と、画像形成制御部340と、記憶部350とを備えている。
【0039】
ジョブデータ受信部331は、一連の印刷処理単位であるジョブデータを受信する通信インターフェースであり、受信したジョブデータに含まれる印刷データを画像出力部343及び増減領域検出部341に受け渡すモジュールである。ここでの通信としては、例えば、10BASE−Tや100BASE−TX等によるイントラネット(企業内ネットワーク)や家庭内ネットワークなどのLANの他、赤外線通信等の近距離通信も含まれる。また、このジョブデータに含まれる印刷データには、画像データとして、RGB/CMYK/グレースケール画像を構成する各画素の濃度値を表すドロップ量や、ドロップ位置を表す座標データ等に関する情報が含まれる。
【0040】
記憶部350は、画像処理に関する各種データやプログラムを記憶保持するメモリ装置等であり、本実施形態においては、画素位置に応じたドロップ量の増減量を定義するドロップ量増減情報D1を有している。
【0041】
ドロップ量増減情報D1は、ディザマトリクスに増減のルールを、ドロップ量の増減パターンとして定義したデータであり、注目画素の座標に応じて読み出される。本実施形態において、ドロップ量増減情報D1は、
図5(a),(b)に示すパターンの繰り返しによって定義されるものである。
図5(a),(b)の両パターンとも、増量/減量(+/−)だけの符号を定義している。
【0042】
図5(a)のパターンは、主走査方向(X方向)及び副走査方向(Y方向)のどちらにも増量(+)と減量(−)とが1つずつ交互に配置されたパターンである。
図5(b)のパターンは、主走査方向(X方向)には増量(+)と減量(−)とが2つずつ交互に配置され、副走査方向(Y方向)には増量(+)と減量(−)とが1つずつ交互に配置されたパターンである。つまり、主走査方向(X方向)に関する
図5(b)のパターンは、2つの隣接するノズルを一組とし、隣接する組単位でドロップ量の増減処理における増減パターンを定義したものである。
【0043】
また、ドロップ量増減情報D1のデータ内容としては、注目画素の濃度、即ち、印刷媒体10によるドットゲインの違いに応じて増減量の大きさを変更するようになっている。なお、ドロップ量増減情報が規則的な増減パターンであれば、座標から計算により求めてもよい。さらに、ドロップ量増減情報における増減量は、液滴数で定義してもよく、各画素の全ドロップ量に対する割合(%)で定義することもできる。
【0044】
また、このドロップ量増減情報D1は、
図5(c),(d)に示すように、画像全体にわたって
図5(a),(b)のパターンを繰り返して形成された定義パターンD11、D12として蓄積されている。
【0045】
なお、これら定義パターンD11及びD12は、機種の特性に応じて工場出荷時に選択したり、記録媒体の紙質やインクの特性などに応じて自動で選択するようにしてもよく、また、ユーザー操作によって、ユーザーが任意に選択できるようにしてもよい。
【0046】
前記画像形成制御部340は、画像処理に特化したデジタル信号処理を行う演算処理装置であり、印刷に必要な画像データの変換等を行い、印刷を実行するモジュールである。特に、本実施形態において、画像形成制御部340は、各色のインクヘッドの駆動を制御し、ドロップ量を増減させる機構として、増減領域検出部341と、ドロップ量増減部342と、画像出力部343とを備えている。
【0047】
増減領域検出部341は、
図6(a)に示すように、入力画像中において、各画素の濃度に関する情報を有する画像データ400を解析し、増減処理の対象となっている画素のドロップ量が0でない領域を描画対象領域A1(
図6におけるドロップ数が5の領域)として検出するモジュールである。具体的には、入力された画像データ400を各画素単位で解析し、その画素に対するドロップ量を算出する。そして、各画素におけるドロップ量が0でない領域を描画対象領域A1として検出する。
【0048】
また、増減領域検出部341は、エッジ検出部344を備えている。このエッジ検出部344は、選択された注目画素を含む周辺画素が全て描画対象領域A1内にある場合に、注目画素の属性が「非エッジ領域」であるとし、その領域を増減領域A2(
図6(b)における斜線部分)として検出するモジュールである。言い換えると、注目画素に隣接する周辺画素のうち1画素でも描画対象領域に含まれない箇所では、注目画素の属性が、いわゆる「エッジ領域」であるとし、増減領域から除外して、画素のドロップ量が変わらないようにし、バーコードや文字などのエッジ領域にがたつきや太り細りが生じるのを回避できる。
【0049】
詳述すると、例えば、
図6(b)に示すように、注目画素410aが選択された場合、その注目画素410aに隣接する8方向の周辺画素411aに、ドロップ量が0である画素が含まれているので、エッジ検出部344は、注目画素410aの属性が「エッジ領域」であるものとして、注目画素410aがドロップ量を増減させる対象でないと判断する。一方、例えば、注目画素410bが選択された場合には、その注目画素410bに隣接する8方向の周辺画素411bに、ドロップ量が0である画素が含まれていないので、エッジ検出部344は、注目画素410bの属性が「非エッジ領域」であるものとして、注目画素410bがドロップ量を増減させる対象であると判断する。
【0050】
そして、順次注目画素を選択し、全ての画素に同様な処理を行って、ドロップ量を増減させる対象である領域を増減領域A2として決定する。その後、増減領域検出部341は、検出された描画対象領域A1及び増減領域A2を、例えば座標データとしてドロップ量増減部342に送信する。なお、本実施形態では、増減領域A2の決定は、注目画素410a,410bの上下左右4方向に左上、左下、右上、右下の4方向を加えた8方向の周辺画素411bが描画対象領域A1であるか否かによって決定したが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、注目画素410a,410bの上下左右4方向の周辺画素411bが描画対象領域A1であるか否かのみによって決定してもよい。
【0051】
ドロップ量増減部342は、増減領域検出部341から受信した描画対象領域A1及び増減領域A2の各データに基づき、入力された画像データ400中の各画素について、ドロップ量を増減させるか否かを決定するとともに、ドロップ量の増減処理を行う場合には、ドロップ量増減情報D1に基づいて、ドロップ量の増減量を算出し、ドロップ量の増減処理を実行するモジュールである。具体的に、ドロップ量増減部342は、入力された画像データ400の各画素を注目画素として順次選択し、選択された注目画素が、例えば、
図7に示す描画対象領域A1でない領域A3に属する場合は、ドロップ量の増減処理を行わないと判断する。また、注目画素が
図7に示す描画対象領域A1中の増減領域A2に属する場合は、ドロップ量の増減処理を行うと判断する。さらに、注目画素が
図7に示す描画対象領域A1中の増減領域A2外であるエッジ領域A4に属する場合は、ドロップ量の増減処理を行わないと判断する。
【0052】
また、ドロップ量増減部342は、注目画素の濃度に応じて、その属性を決定し、決定された属性に応じて、増減処理におけるインクの増減量を通常よりも増加又は低減するか、或いは、インクのドロップ量の増減処理を行わない機能を備えている。なお、本実施形態における画像データ400中の各領域の定義(条件)は、
図8の説明図に示す通りである。
【0053】
詳述すると、ドロップ量増減部342は、入力された画像データ400の各画素を注目画素として順次選択し、その画素に対するドロップ量を算出して、その注目画素が高濃度領域か中間濃度領域か、低濃度領域かを判断する。そして、注目画素が高濃度領域であった場合には、バーコードや文字等のベタ部分であるとして、ドロップ量を増加させる処理を行う。一方、注目画素が中間濃度領域や低濃度領域である場合には、ベタ部分ではないが非ハイライト部分やハイライト部分であるとして、ドロップ量の増減処理を行う対象とする。
【0054】
ここで、ドロップ量増減部342は、低濃度領域における増減幅の低減に際し、上記画素濃度比較部344bは、既定のドロップ量が低減可能な範囲であるかを判断する。具体的に、画素濃度比較部344bは、例えば、印刷時のドロップ量と、増減ドロップ量とを対比し、増減ドロップ量の絶対値が、印刷時における既定のドロップ量よりも大きい場合に、増減後のドロップ量が、最小値(例えば、ドロップ量1)よりも小さくならないように、増減ドロップ量の増減幅を調整する。また、印刷時のドロップ量が最小値(ドロップ量=1)以下である場合、画素濃度比較部344bは、増減処理を行わないように制御する。これらの制御により、ハイライト部分などの低濃度領域など、画素のドロップ量が少ない領域において、ドロップ量の増減幅を軽減し、画像に粒状感が生じるのを防止できる。
【0055】
また、本実施形態では、増減領域検出部341が描画対象領域A1を検出する機能を備える構成としたが、本発明は、これに限定されるものでなく、例えば、増減領域検出部341をドロップ量増減部342と一体化したユニットとし、ドロップ量増減部342において、描画対象領域A1及び増減領域A2を検出する構成としてもよい。
【0056】
また、ドロップ量増減部342は、増減領域A2に対して、所定のドロップ量の増減処理を行う。この増減処理の方法としては、記憶部350に記録保持されたドロップ量増減情報D1に基づき、画像全体にわたってドロップ量増減情報D1のドロップ量増減パターンを繰り返し適用して、ドロップ量の増減処理を実行する。このとき、ドロップ量増減情報D1として、定義パターンD11又は定義パターンD12を適宜選択して適用する。
【0057】
具体的には、ドロップ量増減部342は、
図9に示すように、ドロップ量増減情報D1として定義パターンD11を用い、画像全体にわたって
図5(a)のパターンを繰り返して形成された
図5(c)の定義パターンD11を画像データ400に当てはめ、増減領域A2の位置に応じた増減量(増減幅±2)に基づいて、ドロップ量の増減処理を行う。あるいは、ドロップ量増減部342は、
図10に示すように、ドロップ量増減情報として定義パターンD12を用い、画像全体にわたって
図5(b)のパターンを繰り返して形成された
図5(d)の定義パターンD12を画像データ400に当てはめ、増減領域A2の位置に応じたドロップ量(増減幅±2)に基づいて、ドロップ量の増減処理を行う。
【0058】
このように、
図5(c)の定義パターンD11や
図5(d)の定義パターンD12を用いてドロップ量の増減処理を行うことで、増減処理の対象となる画素におけるドロップ量の増減量の総和が0となり、画像の単位面積当たりのインクのドロップ量が変化しないように、各画素のドロップ量を決定することができる。また、ドロップ量の増減によってドロップ量が最小、最大ドロップ量の範囲を超える場合はドロップ量を制限してもよいし、隣接する領域の増減処理も制限してもよい。
【0059】
画像出力部343は、各色のインクヘッド110aの駆動を制御し、画像形成処理全体を制御するモジュールである。本実施形態においては、画像出力部343は、ドロップ量増減部342によって、ドロップ量増減処理された画像データ400に対応して、インクヘッド110aを駆動させ、各ノズル111aからドロップ量を吐出させる。
【0060】
(画質劣化低減方法)
以上の構成を有する画質劣化低減機能を動作させることによって、本発明の画質劣化低減方法を実施することができる。
図11は、本実施形態に係る画質劣化低減方法の概要を示すフローチャート図である。ここでは、画像データ400に対して、増減処理を実行する際、ドロップ量増減情報D1に基づいて、隣接する画素同士における増減量の総和を0となるように増量・減量処理する場合を例に説明する。なお、本実施形態においては、ドロップ量が0である背景に対して文字等が印字される場合について説明する。
【0061】
先ず、印刷が開始されると、ジョブデータ受信部331が、ジョブデータに含まれた画像データ400を受信する(ステップS101)と、その画像データ400を画像形成制御部340に送信する。これを受けて、画像形成制御部340の増減領域検出部341は、印刷データを解析し、描画対象領域A1を検出する(ステップS102)。具体的には、
図6(a)に示すように、画像データ400を各画素単位で解析し、画像中で、各画素のドロップ量が0でない領域を描画対象領域A1として検出する。そして、増減領域検出部341は、検出した描画対象領域データをエッジ検出部344へと送信する。
【0062】
エッジ検出部344は、選択された注目画素を含む周辺画素が全て描画対象領域A1である領域を増減領域A2として検出する。具体的に、ドロップ量増減部342は、入力された画像データ400の各画素を注目画素として順次選択し、選択された注目画素と、その周辺画素の全てが描画対象領域A1に含まれるか否かを判断して、増減領域A2を検出し、増減領域A2のデータをドロップ量増減部342へ送信する。
【0063】
ドロップ量増減部342は、画像データ400を解析し、画像データ400の各画素についてドロップ量の増減処理を実行するか否かを判断する(ステップS103)。具体的に、ステップS103では、
図7に示すように、選択された注目画素が描画対象領域A1に含まれない領域A3、及びエッジ領域A4である場合には、ドロップ量の増減処理を行わないと判断して(ステップS103でNO)、増減処理をスキップし、全画素に対してスキャンが終了したか否かを判断する(ステップS106)。
【0064】
一方、ステップS103において、選択された注目画素が増減領域A2内である場合には、ドロップ量の増減処理を行う対象と判断し(ステップS103でYES)、記憶部350からドロップ量増減情報D1を読出し(ステップS104)、増減領域A2のドロップ量を増減させる(ステップS105)。この際、例えば、ドロップ量増減情報D1として、定義パターンD11が選択されている場合は、
図9に示すように、定義パターンD11中の注目画素に対応する位置に定義された増減パターンで、注目画素のドロップ量の増減処理を行う。また、例えば、ドロップ量増減情報D1として定義パターンD12が選択されている場合は、
図10に示すように、定義パターンD12中の注目画素に対応する位置に定義された増減パターンで、注目画素のドロップ量の増減処理を行う。
【0065】
そして、演算処理部330は、画像データ400全体をスキャンしたか否かを判断し(ステップS106)、画像データ400全体をスキャンしていない場合には(ステップS106でNO)、ステップ102からステップ105までの処理を繰り返し実行する。一方、画像データ400全体をスキャンした場合には(ステップS106でYES)、処理を終了し、インクヘッド110aを制御し、印刷媒体10に画像を形成させる。
【0066】
(増減処理の判断方法)
次いで、
図11に示したフローチャート図のステップS103における判断について詳述する。ステップS103では、注目画素が増減領域A2に含まれるか否を判断するとともに、注目画素の濃度に応じて注目画素の属性を決定し、決定された属性に応じて、ドロップ量の増減処理を変更させる。
図12は、ステップS103における増減処理の判断方法を示すフローチャート図である。
【0067】
先ず、判断の対象となっている注目画素の情報(画素の座標情報、ドロップ量、カラー情報など)と、ステップS102で検出された描画対象領域A1に関する情報がエッジ検出部344に受け渡される(ステップ201)。
【0068】
次いで、ドロップ量増減部342は、先ず、選択された注目画素がエッジ領域A4であるか否かを判断する(ステップ202)。具体的には、エッジ検出部344において、描画対象領域A1のデータに基づいて、その注目画素、及び隣接する周辺画素の全てが描画対象領域A1内に含まれているか否かを検出し、注目画素の属性がエッジ領域であるか否かを判断する。
【0069】
そして、対象となっている注目画素の属性がエッジ領域であると判断した場合は(ステップS202でYES)、増減処理対象外と判断し(ステップS203)、次の処理へ移行する。一方、ステップS202において、注目画素が増減領域A2内(描画対象領域且つ非エッジ領域)であると判断した場合には、ドロップ量増減部342において、その画素に対するドロップ量を算出することにより、注目画素の濃度に応じた属性を決定し、決定された属性に応じて、その注目画素が高濃度領域か中間濃度領域か、又は低濃度領域かが判断される。
【0070】
具体的に、ドロップ量増減部342は、先ず、選択された注目画素のドロップ量が所定の下限値以下のドロップ量であるか否かを判断する(ステップS204)。ステップS204において、注目画素が、所定の下限側閾値以下のドロップ量である場合には(ステップS204でYES)、注目画素が低濃度領域と判断し(ステップS206)、その画素のドロップ量に応じて、増減処理におけるドロップ量の増減幅を低減すると判断する(ステップS207)。
【0071】
この低減方法としては、ドロップ量増減部342は、例えば、印刷時のドロップ量と、増減ドロップ量とを対比し、増減ドロップ量の絶対値が、印刷時における既定のドロップ量よりも大きい場合に、増減後のドロップ量が、最小値(例えば、ドロップ量1)よりも小さくならないように、増減ドロップ量の増減幅を、例えば、通常の増減幅±2を、±1に低減するように調整する。また、印刷時のドロップ量が最小値(ドロップ量=1)以下である場合、ドロップ量増減部342は、増減処理を行わないように制御する。
【0072】
一方、ステップS204において、注目画素が、所定の下限側閾値以下のドロップ量でない場合には(ステップS204でNO)、ドロップ量増減部342は、注目画素が所定の上限側閾値以上のドロップ量であるか否かを判断する(ステップS205)。
【0073】
このステップS205において、注目画素が所定の上限側閾値以上のドロップ量である場合には(ステップS205でYES)、注目画素が高濃度領域と判断し(ステップS208、
図7の増減領域A2)、注目画素のドロップ量を一律に増大させる(ステップS209)。
【0074】
また、ステップS205において、注目画素が所定の上限側閾値以下のドロップ量である場合には(ステップS205でNO)、注目画素が中間濃度領域であると判断し(ステップS210)、増減ドロップ量の増減幅を通常の増減幅に決定する(ステップS212)。
【0075】
そして、ドロップ量増減部342は、増減処理の判断結果を、次の処理(
図11のステップS104)へ受け渡す。
図11のステップS104とこれに続くステップS105では、
図12に示した処理で行った増減処理の判断結果に応じて、注目画素のドロップ量を増減させる。画像出力部343は、この増減処理が施された画像データ400に対応して、インクヘッド110aを駆動させ、各ノズル111aからドロップ量を吐出させる。
【0076】
(作用・効果)
このような本実施形態によれば、あるノズル111aに吐出不良が発生しても、主走査方向(X方向)において隣接するドロップ量が増加されたノズルから吐出されたドロップ(インク滴)21のドットゲインにより隙間が埋められるので、白スジが目立つのを低減することができる。すなわち、従来では、不吐出ノズル111bが発生した場合、
図13(a)に示すように、受信した画像データ400のドロップ量(5ドロップ)を増減させることなく、印刷処理を行うと、
図13(b)に示すように、白スジが発生していた。特に、印刷内容がバーコードや二次元バーコードのように、光学的な読み取り対象となるものである場合には、隙間によって、バーコードの読み取り精度が低下するという問題があった。
【0077】
本実施形態では、バーコードの黒ベタで印刷されるナローバーやワイドバー上に吐出不良が発生しても、
図9及び
図10に示すように、隣の画素にドロップ量を増やして吐出されたインクのドットゲインによって隙間が埋められることから、バーコードの読み取り精度が低下しない。
【0078】
特に、本実施形態では、画素位置に応じたドロップ量の増減量を定義するドロップ量増減情報D1の定義パターンD11及びD12を用いて、注目画素及び当該注目画素に隣接する周辺の画素におけるドロップ量の増減量の総和が0となる内容でドロップ量の増減処理を行うようにした。このため、対象となる画素についてインクのドロップ量の増減を行っても、画像の単位面積当たりのインクのドロップ量は変わらないようにして、インクのドロップ量の増減処理によって画像の濃度が変化するのを抑制することができる。また、インクのドロップ量の増減範囲が、隣接する画素におけるインクのドロップ量の増減範囲と同じ範囲に制限される。このため、無制限にインクのドロップ量が増加されるのを防ぎ、インクのドロップ量の過剰が原因となる所謂「裏抜け」状態が発生するのを防止することができる。
【0079】
なお、上記定義パターンD12を用いてドロップ量の増減処理を行う場合には、不吐出ノズル111bの主走査方向(X方向)における両隣に位置する2つのノズル111a,111aを一組とし、この組単位でドロップ量の増減処理を行うことになる。具体的には、一方のノズル111a(例えば、
図10の不吐出ノズル111bの左隣のノズル111a)が吐出するインクのドロップ量が増加し、他方のノズル111a(例えば、
図10の不吐出ノズル111bの右隣のノズル111a)が吐出するインクのドロップ量が減少するように、一組のノズル111a,111a単位でドロップ量の増減処理を行うことになる。この組単位でのドロップ量の増減処理により、組を構成する2つのノズル111a,111aのうちどちらかが、必ずドロップ量が増加されたインク滴を吐出することになる。このため、ドロップ量の多いインク滴によって、不吐出ノズル111bに対応する画素の隙間が埋められる度合いをさらに高め、より白スジが目立ち難くなるようにすることができる。
【0080】
また、本実施形態では、画像を解析し、画素のドロップ量が0でない描画対象領域A1に注目画素が属する場合にのみ、注目画素のドロップ量の増減処理を行うようにした。これにより、不吐出ノズル111bが発生しても画像全体の印刷品質を必要な品質に維持しつつ、ドロップ量の増減処理にかかる処理時間を必要最低限に抑えることができる。
【0081】
さらに、本実施形態では、描画対象領域A1のうち、描画対象領域A1でない画素と隣接する画素を、エッジ領域A4とし、描画対象領域A1からエッジ領域A4を除いた増減領域A2を検出して、この増減領域A2にのみ、ドロップ量の増減処理を行うようにした。このため、エッジ領域A4の画素のドロップ量が変わらないようにすることにより、エッジ部分にがたつきや、太り細りが生じない。よって、例えば、黒ベタで印刷されるバーコードのナローバーやワイドバーのエッジ(スペースバーとの境界部分等)に凸凹が生じて、バーコードの読み取り精度が低下するのを回避できる。
【0082】
また、本実施形態によれば、隣接する画素の両方が描画対象領域A1に含まれ、且つ、当該隣接する画素の両方が所定の下限値以下のドロップ量である場合、増減処理におけるドロップ量の増減幅を低減するか、或いは増減処理を行わないので、ハイライト領域など、画素のドロップ量が少ない低濃度領域において、ドロップ量の増減により粒状感が目立つことを防止することができる。
【0083】
さらに、本実施形態によれば、注目画素の周辺画素が増減領域A2に含まれ、且つ、注目画素が所定の上限側閾値以上のドロップ量である場合、注目画素について、ドロップ量を一律に増大させるので、バーコードや、文字などのように印字品質が重要視される描画対象領域A1において、バーコードのナローバーやワイドバー上に吐出不良が発生しても、増減領域A2内の隣の画素に増大したドロップ量で吐出されたインクのドットゲインにより、注目画素のインク不吐出により生じた空白の隙間が埋められるためバーコードの読み取り精度が低下しない。
【0084】
(変更例)
上述した実施形態では、ドロップ量が0である非描画対象領域を背景として、文字やバーコード等が印字される場合のドロップ量の増減処理について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ドロップ量が1以上である低濃度、又は中間濃度の背景部分に文字等が印字される場合や、アンチエイリアスなどによりエッジ部分が階調的に変化する場合などにおいてもドロップ量の増減処理を行うことができる。以下に低濃度、又は中間濃度の背景部分に文字等が印字される場合の変更例について説明する。
【0085】
図14は、本変更例にかかるエッジ検出部344の内部モジュールを示すブロック図である。なお、本変更例において、上述した実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その機能等は特に言及しない限り同一であり、その説明は省略する。
【0086】
本変更例において、エッジ検出部344は、
図14に示すように、注目画素周辺の画素のドロップ量や濃度の差分に応じて、ドロップ量の増減処理を変更させる機能として、ドロップ量比較部344aと、画素濃度比較部344bとを備えている。
【0087】
ドロップ量比較部344aは、増減処理の対象となっている隣接する画素間のドロップ量の差を算出し、そのドロップ量の差を所定値と比較して、文字やバーコードのエッジ部を検出し、増減処理の有無を判断するモジュールである。
図15(a)及び(b)は、低濃度・中間濃度が背景となっているエッジ領域A4を検出するための、注目画素の前後で隣接し合う画素との組み合わせパターンを示す説明図である。
図16は、本変形例に係る画像データ400の領域毎における増減処理の有無を示す説明図である。詳述すると、画像データ400には、
図16(a)、及び(b)に示すように、バーコードや文字などの印字部分があるとともに、この印字部分以外の部分のドロップ量が0でない領域(低濃度領域及び中間濃度領域)が含まれている。このため、ドロップ量増減部342は、ドロップ量比較部344aによる検出結果に基づき、それらの領域内やエッジ部分など、領域の種別や箇所に応じて、ドロップ量の増減処理の有無や方式を変更する。
【0088】
即ち、本変形例では、エッジ検出部344において、ドロップ量比較部344aによる検出結果に基づき、注目画素とその前後に隣接する画素との間のドロップ量の変化量を算出し、その変化量の差分に応じて増減処理の方式を決定する。本変更例では、
図15(a)及び(b)に示すように、高濃度画素である注目画素の前後の画素のいずれかに、低濃度又は中間濃度の画素が含まれている場合には、その変化量の差分が所定値以上となり、注目画素はエッジ領域A4であると判断するようになっている。
【0089】
例えば、
図16(a)のパターン1、パターン3、及び
図16(b)のパターン5、パターン7に示すように、注目画素とその隣接画素とが、バーコードや文字のエッジ領域に跨って位置しているなど、注目画素の前後いずれかに、注目画素を含めて高濃度画素が連続し、他方に低濃度又は中間濃度の画素が隣接する場合には、低濃度又は中間濃度の画素と注目画素との間のドロップ量の変化量が、高濃度画素が連続している画素間の変化量よりも大きくなり、その差分が所定値以上となる。この場合、その箇所は印字部分のエッジ部であるとして、エッジ検出部344は増減処理を行わないと判断し、その画素の画像データ400を画像出力部343へ送出する。一方、
図16(a)のパターン2、パターン4、及び
図16(b)のパターン6に示すように、注目画素とその隣接画素との間のドロップ量の変化量の差分差が所定値以下である場合には、その箇所が非エッジ部であるとして、エッジ検出部344はその画素の画像データ400を画素濃度比較部344bに送出する。
【0090】
画素濃度比較部344bは、隣接する画素についての判定を行い、その判定結果に応じて、増減処理の有無や処理の種別を決定するモジュールである。具体的には、画素濃度比較部344bは、注目画素と、注目画素の前後に配置された画素との間の、それぞれのドロップ量の変化量を比較することで、その画素が低濃度領域中の画素であるか、中間濃度領域中の画素であるかを判定する。具体的には、画素濃度比較部344bは、先ず、その注目画素と、注目画素の前後に配置された画素との間のドロップ量の差を比較する。そして、その差が所定値以下である場合は、
図17(a)〜(c)に示すように、注目画素を含む前後の画素が全て同等の濃度によって形成された領域であると判断し、このような領域については、注目画素のドロップ量を検出し、低濃度領域、中間濃度領域、又は高濃度領域中のいずれかの画素であるかを決定し、その濃度に応じて、増減処理の有無や処理の種別を決定する。
【0091】
例えば、注目画素が所定の下限側閾値以下のドロップ量である場合(
図16(a)中のパターン2)、画素濃度比較部344bは、注目画素及び前後の画素が低濃度領域に属するとして、増減処理におけるドロップ量の増減幅を低減するか、或いは増減処理を行わないと判断する。なお、本変形例においては、通常時の増減処理における増減幅が±2ドロップであることから、その絶対値であるドロップ量=2を上記の下限側閾値としている。
【0092】
この低濃度領域における増減幅の低減に際し、上記画素濃度比較部344bは、既定のドロップ量が低減可能な範囲であるかも判断する。具体的に、画素濃度比較部344bは、例えば、印刷時のドロップ量と、増減ドロップ量とを対比し、増減ドロップ量の絶対値が、印刷時における既定のドロップ量よりも大きい場合に、増減後のドロップ量が、最小値(例えば、ドロップ量1)よりも小さくならないように、増減ドロップ量の増減幅を調整する。また、印刷時のドロップ量が最小値(ドロップ量=1)以下である場合、画素濃度比較部344bは、増減処理を行わないように制御する。これらの制御により、ハイライト領域など、画素のドロップ量が少ない低濃度領域において、ドロップ量の増減幅を軽減し、画像に粒状感が生じるのを防止できる。
【0093】
また、注目画素のドロップ量が、所定の下限側閾値以上で、且つ、所定の上限側閾値以下である場合(
図16(b)中のパターン6)、画素濃度比較部344bは、注目画素及び前後の画素が中間濃度領域に属するとして、隣接した画素間において増減量を相殺するように処理する。すなわち、ある画素のドロップ量を+2としたときに、それに隣接する他の画素のドロップ量を−2にするなど、隣接する画素同士における増減量の総和を0とし、単位面積あたりのドロップ量が変化しないように、注目画素及び前後の画素のドロップの増減量を決定する。
【0094】
さらに、注目画素が所定の上限側閾値以上のドロップ量である場合(
図16(a)中のパターン4)、画素濃度比較部344bは、注目画素及び前後の画素が高濃度領域に属するとして、注目画素及び前後の画素について、ドロップ量を一律に増大させる。これにより、バーコードや、文字などのように印字品質が重要視される描画対象領域において、高濃度領域上に吐出不良が発生しても、隙間を埋め尽くすことにより、白スジが生じるのを低減することができる。なお、この上限側閾値としては、画素のドロップが飽和に到達し、それ以上ドロップ数を増加してもドットゲインが増大しなくなるドロップ数とする。
【0095】
以上に説明した、本変形例における、隣接する画素間におけるドロップ量の増減処理の有無、及び処理の種別は、
図18の説明図に示す通りである。画素濃度比較部344bは、ドロップ量の増減処理の種別を決定した後、これらのデータを画像出力部343に送信する。
【0096】
ここで、ドロップ量の増減処理の種別について説明する。
図18に示すように、注目画素が描画対象領域外であるときは、増減の対象となる画素(ドロップ数>0)が存在しないことから増減処理は行われない。
【0097】
また、高濃度である注目画素に対し、前後の画素のいずれか一方に、描画対象領域であって低濃度領域及び中間濃度領域が位置するとき(
図16(a)のパターン1、パターン3、
図16(b)のパターン5、パターン7)は、注目画素がエッジ領域に位置しているとして、増減処理は行わない。
【0098】
なお、本変形例では、描画対象領域と描画対象領域外とのエッジ部では、一律に増減処理を行わないようにしたが、隣接する画素間のドロップ量の差分量に応じて、増減処理を行うか否かを判断するようにしてもよい。例えば、高濃度領域でない領域が描画対象領域外と隣接しているようなときに、高濃度領域でない領域側が、低濃度領域であるか、中間濃度領域であるかに従って、増減処理の有無や方式を変化させてもよい。
【0099】
さらに、注目画素とその前後の画素が、いずれも高濃度領域に位置するとき(
図16(a)のパターン4)は、注目画素のドロップ量を一律に増大させる。
【0100】
また、注目画素とその前後の画素が、いずれも低濃度領域に位置するとき(
図16(a)のパターン2)は、画素の濃度が一定値以下なら増減処理を行わず、一定値を超えるようであれば増減幅を低減して増減処理を行う。また、注目画素とその前後の画素が、いずれも中間濃度領域に位置するとき(
図16(b)のパターン6)は、当該注目画素とその前後の画素間で増減の総和が0となるように、増減量を相殺させて増減処理を行う。
【0101】
なお、本変形例では、高濃度領域と非高濃度領域(中間濃度領域及び低濃度領域)とのエッジ部では、一律に増減処理を行わないようにしたが、隣接する画素間のドロップ量の差分量に応じて、増減処理を行うか否かを判断するようにしてもよい。例えば、高濃度領域に非高濃度領域が隣接しているようなときに、非高濃度領域側が、低濃度領域であるか、中間濃度領域であるかに従って、増減処理の有無や方式を変化させるようにすることができる。
【0102】
(作用・効果)
本変更例では、背景部分が低濃度又は中間濃度によって形成された画像データであっても、増減処理の対象となっている注目画素と、注目画素の前後の画素とのドロップ量の差が所定値以上となっている場合には、増減処理を行わないので、例えば、バーコードや文字などに背景などがあり、バーコードや文字以外の部分のドロップ量が0でないときであっても、バーコードや文字などのエッジ領域を検出し、このエッジ領域のドロップ量が変わらないようにすることできる。これにより、エッジ領域にがたつきや、太り細りが生じないため、バーコードの読み取り精度が低下するのを回避できる。