(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
延伸ブロー成形によって形成された樹脂を用いて継ぎ目なく成形される消火剤貯蔵容器の曲面を有する底部の頂部を除いた領域が接着剤を介して接する曲面状の凸部を有する、前記底部を嵌入するための凹部が形成された前記消火剤貯蔵容器の支持台を備え、かつ
前記消火剤貯蔵容器と前記支持台の開口端部との間に隙間が形成される、
消火器。
延伸ブロー成形によって形成された樹脂を用いて継ぎ目なく成形される消火剤貯蔵容器の曲面を有する底部の頂部を除いた領域が接着剤を介して接する曲面状の凸部を有する、前記底部を嵌入するための凹部が形成された前記消火剤貯蔵容器の支持台を備え、かつ
前記接着剤が、接着性が発現するまでの時間が短い第1接着剤であり、
前記消火剤貯蔵容器の外周形状と前記支持台の凹部の内周形状との間であって、前記第1接着剤の位置と異なる位置に、接着性が発現するまでの時間が長い第2接着剤が介在する、
消火器。
延伸ブロー成形によって形成された樹脂を用いて継ぎ目なく成形される消火剤貯蔵容器の曲面を有する底部の頂部を除いた領域が接着剤を介して接する曲面状の凸部を有する、前記底部を嵌入するための凹部が形成された前記消火剤貯蔵容器の支持台を備え、かつ
前記接着剤が、接着性が発現するまでの時間が短い第1接着剤と接着性が発現するまでの時間が長い第2接着剤とを含み、
前記第1接着剤と前記第2接着剤とは、前記底部と前記凸部との間の互いに異なる位置に介在する、
消火器。
延伸ブロー成形によって形成された樹脂を用いて継ぎ目なく成形される消火剤貯蔵容器の曲面を有する底部を嵌入するための凹部を有する前記消火剤貯蔵容器の支持台の前記凹部上に形成され、かつ前記底部を嵌入したときに前記底部の頂部を除いた領域の位置に対応する曲面状の凸部の表面上の少なくとも一部と、前記底部を嵌入したときに前記凸部の位置に対応する前記底部の外面上の少なくとも一部とのいずれか一方又は両方に接着剤を設ける工程と、
前記底部を前記凹部内に、前記消火剤貯蔵容器と前記支持台の開口端部との間に隙間が形成されるように嵌入する嵌入工程と、を含む
消火器の製造方法。
延伸ブロー成形によって形成された樹脂を用いて継ぎ目なく成形される消火剤貯蔵容器の曲面を有する底部を嵌入するための凹部を有する前記消火剤貯蔵容器の支持台の前記凹部上に形成され、かつ前記底部を嵌入したときに前記底部の頂部を除いた領域の位置に対応する曲面状の凸部の表面上の少なくとも一部と、前記底部を嵌入したときに前記凸部の位置に対応する前記底部の外面上の少なくとも一部とのいずれか一方又は両方に接着剤を設ける工程と、
前記底部を前記凹部内に、前記消火剤貯蔵容器と前記凸部を除く領域との間に隙間が形成されるように嵌入する嵌入工程と、を含む
消火器の製造方法。
延伸ブロー成形によって形成された樹脂を用いて継ぎ目なく成形される消火剤貯蔵容器の曲面を有する底部の頂部を除いた領域が接着剤を介して接する曲面状の凸部を有する、前記底部を嵌入するための凹部が形成される支持台であって、かつ
前記消火剤貯蔵容器が嵌入されたときに前記消火剤貯蔵容器と前記支持台の開口端部との間に隙間が形成される、
消火剤貯蔵容器用支持台。
延伸ブロー成形によって形成された樹脂を用いて継ぎ目なく成形される消火剤貯蔵容器の曲面を有する底部を嵌入するための凹部を有する前記消火剤貯蔵容器の支持台の前記凹部上に形成され、かつ前記底部を嵌入したときに前記底部の頂部を除いた領域の位置に対応する曲面状の凸部の表面上の少なくとも一部と、前記底部を嵌入したときに前記凸部の位置に対応する前記底部の外面上の少なくとも一部とのいずれか一方又は両方に接着剤を設ける工程と、
前記底部を前記凹部内に嵌入する嵌入工程と、を含み、かつ
前記接着剤が、接着性が発現するまでの時間が短い第1接着剤であり、
前記嵌入工程は、前記消火剤貯蔵容器の外周形状と前記支持台の凹部の内周形状との間に僅かな隙間が少なくとも一部形成されるように行われ、
前記嵌入工程の後、前記隙間に、接着性が発現するまでの時間が長い第2接着剤を導入する第2接着剤導入工程と、
前記第2接着剤導入工程の後、前記隙間を狭める又は埋めるように前記消火剤貯蔵容器内にガスを導入するガス導入工程と、をさらに含む、
消火器の製造方法。
延伸ブロー成形によって形成された樹脂を用いて継ぎ目なく成形される消火剤貯蔵容器の曲面を有する底部を嵌入するための凹部を有する前記消火剤貯蔵容器の支持台の前記凹部上に形成され、かつ前記底部を嵌入したときに前記底部の頂部を除いた領域の位置に対応する曲面状の凸部の表面上の少なくとも一部と、前記底部を嵌入したときに前記凸部の位置に対応する前記底部の外面上の少なくとも一部とのいずれか一方又は両方に接着剤を設ける工程と、
前記底部を前記凹部内に嵌入する嵌入工程と、を含み、かつ
前記接着剤が、接着性が発現するまでの時間が短い第1接着剤と接着性が発現するまでの時間が長い第2接着剤とを含み、かつ
前記第1接着剤と前記第2接着剤とを、前記底部を嵌入したときに前記底部と前記凸部との間の互いに異なる位置に介在するように設ける工程を含む、
消火器の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のとおり、一般的に広く利用されている鉄製の消火剤貯蔵容器を備えた消火器は非常に重いため、特に女性や子供、あるいは年配者にとって、持ち運びの不便さや操作性の悪さの問題を生じさせていた。
【0006】
鉄に代表される金属であるがための上述の技術的課題は、一見すると、樹脂製の消火剤貯蔵容器を採用することによって解決されるように思える。しかしながら、現実には、一般的に採用されている金属製の消火器のように、使用期限として数年ないし10年以上が要求される消火剤貯蔵容器を、容器全体としての軽量さを維持しつつ、樹脂のみによって形成することは容易ではない。
【0007】
ところで、これまでに本願出願人が提案してきたより高度な強度等を有する樹脂製の消火剤貯蔵容器は、代表的には、消火器に要求される非常に高い強度を実現するために、極端な応力集中が生じにくい、換言すれば、円筒状の胴部下端から深さ方向に進むにしたがって外径が小さくなる凹凸の少ない曲面(不正確ではあるが、敢えて言えば略半球状の曲面)を有している。したがって、消火剤貯蔵容器のみでは立てて配置することができないため、例えば、消火剤の導入工程や蓋体(バルブケースともいう)による消火剤貯蔵容器の閉塞工程等の消火器の各製造工程における作業性の低下の原因となる。加えて、消火剤貯蔵容器を立設させることができないと、最終的に製造された消火器の配置場所及び配置方法が著しく制限される。そこで、そのような底部を有する消火剤貯蔵
容器を立設状態のまま支持するために、本願出願人は、その底部を嵌入する凹部を備えた支持台を提案している(一例として、上記特許文献4に記載の支持台)。
【0008】
しかし、量産段階においては、曲面を備える上述の消火剤貯蔵
容器を、この支持台に垂直に、かつ再現性良く立設することが求められるが、そのような技術課題を解決する手段はこれまでに見出されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の技術課題を解決することにより、消火剤貯蔵容器を支持台に垂直に、かつ再現性良く嵌入して接着することを可能にするとともに、量産における各工程を実施する際にも無理なく適用し得る消火器の量産技術の実現に大きく貢献するものである。
【0010】
上述のとおり、現状の消火剤貯蔵容器の底部の形状は、立設するには不向きなため、支持台の凹部内に消火剤貯蔵容器の底部を嵌入して消火剤貯蔵容器と支持台とを接着することにより、消火剤貯蔵容器の立設状態を実現しているのが現状である。
【0011】
しかしながら、上述のような曲面を有する消火剤貯蔵容器の底部を支持台に嵌入して接着する際、消火剤貯蔵容器が支持台に対して垂直になるように嵌入するには、作業者による相当の熟練と時間を要することになる。加えて、量産を念頭におくと、そのような嵌入作業を要して製造される消火器を安定的かつ短時間に多数製造することは、極めて難しい課題となる。
【0012】
そこで、本願発明者らは、消火剤貯蔵容器の底部の形状のみならず、支持台に嵌入して接着する工程における消火剤貯蔵容器の底部と凹部内壁面との接着状況について入念に調査と分析を行った。その結果、消火剤貯蔵容器の底部の頂部が、
図2Cに示すような、周囲の曲面と比較して曲率半径のやや小さい凸状の曲面を有していることが分かった。さらに、延伸ブロー成形が採用される状況では、その頂部は、延伸ブロー前のプリフォームの段階から樹脂が延伸されず、実質的に変化しないため、個体間における形状の安定性が低いことが明らかとなった。本願発明者らは、その後も分析と試行錯誤を繰り返した結果、消火剤貯蔵容器の底部のうち、延伸ブロー成形に起因する形状不安定な部分を除いた領域と、特殊な形状を備えた支持台とを接着させることにより、量産においても、消火剤貯蔵容器を支持台に嵌入したときに垂直に、かつ再現性良く立設することが実現されることを見出した。本発明は、そのような視点に基づいて創出された。
【0013】
本発明の1つの消火器は、延伸ブロー成形によって形成された樹脂を用いて継ぎ目なく成形される消火剤貯蔵容器の曲面を有する底部の頂部を除いた領域が接着剤を介して接する曲面状の凸部を有する、その底部を嵌入するための凹部が形成された前述の消火剤貯蔵容器の支持台を備える。
【0014】
この消火器によれば、延伸ブロー成形において形成される形状が安定した、消火剤貯蔵容器の底部の頂部を除いた領域を利用して、支持台の凹部における曲面状の凸部と消火剤貯蔵容器の前述の領域とが接着されている。その結果、消火剤貯蔵容器を支持台の凹部内に嵌入したときに、垂直に、かつ再現性良く消火剤貯蔵容器を立設することが実現されるため、蓄圧式や加圧式によらず、樹脂製の消火剤貯蔵容器を備える消火器としての量産に対する適用性が大いに高められる。
【0015】
本発明の1つの消火器の製造方法は、延伸ブロー成形によって形成された樹脂を用いて継ぎ目なく成形される消火剤貯蔵容器の曲面を有する底部を嵌入するための凹部を有するその消火剤貯蔵容器の支持台の凹部上に形成され、かつ前述の底部を嵌入したときにその底部の頂部を除いた領域の位置に対応する曲面状の凸部の表面上の少なくとも一部と、その底部を嵌入したときに前述の凸部の位置に対応するその底部の外面上の少なくとも一部とのいずれか一方又は両方に接着剤を設ける工程と、前述の底部を前述の凹部内に嵌入する嵌入工程とを含む。
【0016】
この消火器の製造方法は、延伸ブロー成形において形成される形状が安定した、消火剤貯蔵容器の底部の頂部を除いた領域を利用して、支持台の凹部における曲面状の凸部の表面の少なくとも一部と消火剤貯蔵容器の前述の領域とを接着させるために接着剤を設ける工程を含む。その後、消火剤貯蔵容器を支持台の凹部内に嵌入する工程が行われることにより、消火剤貯蔵容器を、支持台に対して垂直に、かつ再現性良く立設することが実現されるため、蓄圧式や加圧式によらず、樹脂製の消火剤貯蔵容器を備える消火器としての量産に対する適用性が大いに高められる。
【0017】
また、本発明の1つの消火剤貯蔵容器用支持台は、延伸ブロー成形によって形成された樹脂を用いて継ぎ目なく成形される消火剤貯蔵容器の曲面を有する底部の頂部を除いた領域が接着剤を介して接する曲面状の凸部を有する、その底部を嵌入するための凹部が形成されている。
【0018】
この消火剤貯蔵容器用支持台は、延伸ブロー成形において形成される形状が安定した、消火剤貯蔵容器の底部の頂部を除いた領域を利用して消火剤貯蔵容器の前述の領域と接着される曲面状の凸部を有する凹部を備えている。その結果、消火剤貯蔵容器をこの支持台の凹部内に嵌入したときに、垂直に、かつ再現性良く消火剤貯蔵容器を立設することが実現されるため、蓄圧式や加圧式によらず、樹脂製の消火剤貯蔵容器を備える消火器の量産に対する適用性が大いに高められる。
【0019】
なお、上述の各発明において、「接着剤」の種類は、樹脂製の消火剤貯蔵容器を接着する材料であれば、特に材質は問わない。但し、量産という観点から、短時間に多数の消火器を製造することが要求されるため、その「接着剤」の接着性が発現するまでの時間が、その接着剤を設けたときから5分以内であることは好ましい一態様である。そうすれば、仮にその「接着剤」による接着性ないし接着力が、最終的な消火器としての強度要求を満足しないものであったとしても、接着剤を設けて消火剤貯蔵容器を支持台の凹部内に嵌入した後、消火器の製造プロセスを遅延させることなく、次工程(例えば、消火剤の導入工程や蓋体による消火剤貯蔵容器の閉塞工程)を実施することが可能となる。一方、最終的な強度を得るためには、たとえ時間(例えば、その接着剤を設けたときから接着性の発現までに15分以上)が掛かったとしても、より高度な強度が発揮される別の接着剤を、短時間で接着性が発現する接着剤とは異なる位置に設けることにより、上述の課題は解決しうる。
【0020】
ところで、本出願において、「底部の頂部」とは、不正確ではあるが、敢えて言えば略半球状の曲面である、消火剤貯蔵容器の底部における頂点を含む一定の領域を意味する。ここで、頂点を通る垂線が胴部と底部との境界面と交差する点を中心とする角度範囲が特に限定されるものではないが、代表的には、
図2Cに示すような、その点(
図2Cの点R)を中心として70°(換言すれば、点Rを基準として±35°,
図2Cの角度α)以内の角度範囲の領域が「底部の頂部」に該当する。なお、
図2Cは2次元的な側面図であるために平面的な角度範囲が表されているが、前述の角度範囲が意図するところは、立体的な、いわば円錐状の一部といえる領域である。また、
図2C中の一点鎖線及び破線は、説明の便宜上描かれた線である。
【0021】
また、本出願において「接着性」とは、消火剤貯蔵容器の底部が支持台の凹部内に嵌入された後、少なくとも、当該消火剤貯蔵容器の回転運動や摺動運動を阻害できる程度に接着する性能をいう。
【発明の効果】
【0022】
本発明の1つの消火器、本発明の1つの製造方法、又は本発明の1つの消火剤貯蔵容器用支持台によれば、消火剤貯蔵容器を支持台の凹部内に嵌入したときに、垂直に、かつ再現性良く消火剤貯蔵容器を立設することが実現される。したがって、蓄圧式や加圧式によらず、樹脂製の消火剤貯蔵容器を備える消火器としての量産に対する適用性が大いに高められる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態を、添付する図面に基づいて詳細に述べる。なお、この説明に際し、全図にわたり、特に言及がない限り、共通する部分には共通する参照符号が付されている。また、図中、本実施形態の要素は必ずしも互いの縮尺を保って記載されるものではない。さらに、各図面を見やすくするために、一部の符号を省略する。
【0025】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態における消火器100の斜視図であ
る。また、
図2Aは、本実施形態における消火器100の一部である消火剤貯蔵容器10の側面図であり、
図2Bは、その消火剤貯蔵容器10の断面図であり、
図2Cは、
図2Aの一部(領域P)拡大図である。また、
図3Aは、本実施形態における消火器100の製造工程の一過程を示す支持台50の斜視図
であり、
図3Bは、
図3AのX−X断面図である。また、
図3Cは、
図3Bの領域Qに示す支持台50のみの拡大図であり、図を見やすくするために後述する第1接着剤82及び第2接着剤84を省略している。加えて、
図4Aは、本実施形態における起動レバー33が係合していない蓋体31の拡大側面図であり、
図4Bは、本実施形態における起動レバー33が係合した蓋体31の拡大側面図である。
【0026】
まず、消火器100における消火剤貯蔵容器10及び支持台50の構造と機能について説明する。
【0027】
図1、
図2A、及び
図2Bに示すように、本実施形態の消火剤貯蔵容器10は、開口部13を備える一方、金属製の消火剤貯蔵容器のような継ぎ目が形成されていない。また、消火剤貯蔵容器10は、消火剤貯蔵部11と、消火剤貯蔵部11の上部に位置する開口部13に形成される雄ネジ部12とで構成される。消火剤60(例えば、粉末消火剤又は中性強化液)が消火剤貯蔵容器10内に収容された後、この雄ネジ部12と起動レバー33が係合していない蓋体31とが螺合することにより、消火剤貯蔵容器10内の空間が理想的には密閉状態となる。なお、
図2Aにおいて、便宜上、消火剤貯蔵容器の部位を説明するための破線と実線とを設けている。また、消火剤貯蔵容器10と蓋体31との固定手段は、前述の螺合に限られず、公知の接合手段が適用され得る。なお、本実施形態の消火剤貯蔵容器10は、後述するように、顔料を含有する樹脂(ポリエチレンナフタレート(PEN))製である。
【0028】
また、
図2Bにおいて、便宜上、消火剤貯蔵容器10の肉厚を示すための矢印と、口部91の肉厚を表示するために、口部91の断面形状を延長するための破線とを設けている。本実施形態の消火剤貯蔵容器10の口部91の肉厚(T
1)は、2mm以上8mm以下である。また、消火剤貯蔵容器10の深さ方向に進むにしたがって外径が大きくなる(本実施形態では曲面となる)肩部92の肉厚(T
2)は、1.2mm以上12mm以下である。また、円筒状の胴部93の肉厚(T
3)は、1.2mm以上1.9mm以下であり、曲面を有する底部94の肉厚(T
4)は、1.2mm以上12mm以下である。
【0029】
ここで、本実施形態の消火剤貯蔵容器10の底部94は、代表的には、消火器100に要求される非常に高い強度を実現するために、極端な応力集中が生じにくい、換言すれば、円筒状の胴部93の下端から深さ方向に進むにしたがって外径が小さくなる凹凸の少ない、略半球状の曲面を有している。後に消火器100の製造方法の説明において詳述するように、より細かく見れば、
図2Cに示すように、底部94は、頂点94aを含む頂部94bと肩部94cとを有している。頂部94bは、底部の肩部94cが有する略一様な曲率半径よりも小さい曲率半径を持ち、外観的には周囲から盛り上がったような形状を呈している。
【0030】
また、本実施形態の消火剤貯蔵容器10の胴部93の肉厚は、0.9mm以上5mm以下であることが好ましい。これは、樹脂の厚さが0.9mmよりも薄いと、消火剤の貯蔵容器として求められる強度(例えば、2.4MPaの耐圧)を達成できなくなるおそれが高まる一方、5mmよりも厚ければ、経済的に好ましくないとともに内容物たる消火剤を視認し得る樹脂性消火剤貯蔵容器の利点の達成が困難になるおそれが高まるためである。上述の観点によれば、胴部93の肉厚は、0.9mm以上3mmであることがより好ましく、1mm以上3mm以下であることが更に好ましい。
【0031】
次に、
図3A乃至
図3Cに示すように、本実施形態の支持台50は、凹部54が形成された受け部51と、受け部51を支持する台部53とを備える。より具体的には、支持台50における凹部54が、凸部56を除いて一様な曲率半径を有する領域52aと、略円筒状の領域52bとを備えるとともに、消火剤貯蔵容器10の底部の頂点94a及び頂部94bが内壁面52に接しないようにするための頂部用ポケット52cを備えている。また、その内壁面52は、周状に形成された曲面55を有する凸部56を備えている。なお、支持台50についても、後に消火器100の製造方法の説明において詳述する。
【0032】
ところで、本実施形態の消火器100の軽量化の達成度について確認すると、従来の鉄製の消火剤貯蔵容器を備える消火器と比べて、全体として重量を約70%に減少させることができた。消火器としての軽量化を実現することで、火災時において老若男女を問わず誰もが最も使い易い消火器となり、消火活動がし易い状況を提供することができる。
【0033】
なお、本実施形態の消火剤貯蔵容器10の全光線透過率は、5%以上75%以下であることが好ましい。本実施形態の消火剤貯蔵容器10の全光線透過率が75%を越えると、収められている消火剤の壁面への付着が消火器の汚れに見えてしまうことにより、消火器100が設置される場所の周囲の美観を損なうことになる。他方、全光線透過率が5%未満になると、緊急時に消火剤の残量が確認しづらくなるため実用性が劣ることになる。従って、前述の範囲の適度な透明性を維持することが、実用性と外観上の美観とを調和することになる。加えて、さらに好ましい消火剤貯蔵容器の全光線透過率は、20%以上70%以下である。この範囲であれば、さらに、周囲の美観との調和が取れる。
【0034】
次に、蓋体31及びホース20の構造と機能について説明する。
図1、
図4A、及び
図4Bに示すように、本実施形態の蓋体31は、樹脂(具体的には、6−ナイロン)を用いて公知の手法により一体成型されている。また、蓋体31の内側には雌ネジ部(図示しない)が形成されている。上述のとおり、この雌ネジ部が消火剤貯蔵容器10に形成される雄ネジ部12と螺合することにより、蓋体31が消火剤貯蔵容器10に取り付けられる。また、蓋体31と固定レバー31fとは、一体化されて形成されている。また、蓋体31は、起動レバー33と係合させるための起動レバー係合部31aと、起倒杆34と係合させるための起倒杆係合部31bとを備えている。加えて、蓋体31は、サイホン管70の先端を固定するためのサイホン管固定部31dと、人間が持ちやすいように外径の大きいスポンジ状の把持部22を備えた、架橋ポリエチレン樹脂製の可とう性のホース20の先端を固定するためのホース固定部31cとを備えている。なお、サイホン管固定部31dからホース固定部31cに至る流路31e内の一部には、消火剤貯蔵容器10に貯蔵される予定の消火剤60をホース20へ流通可能にするための金属(具体的には、SUS304)製の弁棒(バルブ)32がバネを用いて開閉自在に配置されている。また、ホース20の先端を固定するための公知の面ファスナー24が、ホース20の先端部と消火剤貯蔵容器10の胴部93の一部とに設けられている。
【0035】
図5は、本実施形態の起動レバー33を示す斜視図である。また、
図6は、安全栓35の一例を示す斜視図である。本実施形態の起動レバー33は、樹脂(具体的には、6−ナイロン)を用いて公知の手法により一体成型されている。起動レバー33は、レバー部33aと、薄肉部33bと、蓋体係合部33cとから構成されている。この起動レバー33は、蓋体係合部33cと蓋体31の起動レバー係合部31aとが係合することにより、蓋体31と接続している。また、レバー部33aは、将来的に後述する安全栓35の嵌入棒35cが嵌入する第1開口部33dと、安全栓35の係合突起35a及び突起35bが貫通する第2開口部33eを備えている。薄肉部33bは、押圧力の付与により屈曲可能な程度に薄肉に形成されている。起動レバー33のレバー部33aに押圧力が加えられると、この押圧力に耐えきれずに薄肉部33bが屈曲する。このように薄肉部33bが屈曲すると、起動レバー33は薄肉部33bを中心として蓋体31に対して回動する。
【0036】
また、
図6に示すように、安全栓35の嵌入棒35cは、起動レバー33が備える第1開口部33d及び起倒杆34が備える開口部に嵌入され得る長さを有している。また、係合突起35aは、起動レバー33が備える第2開口部33eを貫通し、起倒杆34に係合され得る形状を有している。この安全栓35の嵌入棒35cが、起動レバー33及び起倒杆34に嵌入するとともに、係合突起35aが起倒杆34に係合すると、起倒杆34及び起動レバー33が回動不可能な状態となる。一方、安全栓35が、起動レバー33及び起倒杆34から取り外されると、起倒杆34及び起動レバー33が回動可能な状態となる。
【0037】
また、本実施形態では、起倒杆34も、起動レバー33と同様に、樹脂(具体的には、6−ナイロン)を用いて公知の手法により一体成型されている。また、起倒杆34は、薄肉部34aと安全栓係合部34bとを備えるとともに、安全栓35の嵌入棒35cが嵌入される開口部(図示しない)を備えている。この起倒杆34は、その下端部が蓋体31の起倒杆係合部31bと係合することにより、蓋体31と接続している。薄肉部34aは、押圧力の付与により屈曲可能な程度に薄肉に形成されている。起動レバー33のレバー部33aに押圧力が加えられると起動レバー33が回動し、起倒杆34にその押圧力が伝えられる。起倒杆34に押圧力が加えられると、この押圧力に耐えきれずに薄肉部34aが屈曲する。このように薄肉部34aが屈曲すると、起倒杆34は、薄肉部34aを中心として蓋体31に対して回動する。
【0038】
次に、消火器100の製造方法について説明する。まず、本実施形態の消火剤貯蔵容器10は、開口部13を除いて、継ぎ目がなく、成形状態が良好で、かつ適度な肉厚の容器が得られる延伸ブロー成形が採用される。
【0039】
なお、本実施形態の消火剤貯蔵容器10は、顔料としてぺリノン系レッドを含有するポリエチレンナフタレート(PEN)によって形成されている。具体的には、本実施形態の消火剤貯蔵容器10は、マスターバッチ(顔料とPENとを混合したもの)が混合されたポリエチレンナフタレート(PEN)で形成された。なお、本実施形態では、マスターバッチは、ポリエチレンナフタレート(PEN)100部に対してぺリノン系レッド1.3部の割合で混合することにより形成された。また、ポリエチレンナフタレート(PEN)に対し、前述のマスターバッチが10%の割合で混合された。
【0040】
また、本実施形態の変形例として、消火剤貯蔵容器10に含まれる顔料が、ペリノン系レッドの代わりにシアニン系ブルーである点を除いて同じ構成を備えた消火剤貯蔵容器も成形された。なお、この変形例の消火剤貯蔵容器は、顔料としてシアニン系ブルーを含有するポリエチレンナフタレート(PEN)によって形成されている。具体的には、この変形例の消火剤貯蔵容器は、マスターバッチ(顔料とPENとを混合したもの)が混合されたポリエチレンナフタレート(PEN)で形成されている。また、本実施形態では、マスターバッチは、ポリエチレンナフタレート(PEN)100部に対してシアニン系ブルー0.1部の割合で混合することにより形成される。また、ポリエチレンナフタレート(PEN)に対し、前述のマスターバッチが20%の割合で混合される。
【0041】
本実施形態では、消火剤貯蔵容器10が形成された後、その底部94が、接着剤が設けられた支持台50の凹部54内に嵌入される嵌入工程が行われることにより、消火剤貯蔵容器10と支持台50とが接着する。より具体的には、
図3A及び
図3Bに示すように、支持台50の凹部54が備える凸部56の曲面55上に、周状に、第1接着剤82である市販のホットメルト接着剤と第2接着剤84である湿気硬化型接着剤とが互いに異なる位置となるように設けられている。
【0042】
ところで、本願出願人による綿密な調査によれば、消火剤貯蔵容器10の底部の頂点94aを中心とするある一定領域を占める頂部94bは、延伸ブロー成形によっても形状の変化が非常に小さい、換言すれば、延伸ブロー成形によって樹脂が殆ど延伸しないため、消火剤貯蔵容器10の個体間における形状のバラつきが大きいことが明らかとなった。一方、底部の肩部94c(頂部94b以外の底部)は、延伸ブロー成形によって十分に延伸される領域であるため、その形状は非常に再現性が高いことも明らかとなり、本願出願人はこの点に着目した。
【0043】
図2Cに示すように、底部94は、成形されたときの形状の再現性が低い頂部94bと、その再現性が高い底部の肩部94cとを有している。したがって、支持台50の凹部54の内壁面52が、仮に消火剤貯蔵容器10における底部の肩部94cに合わせるような一様な曲率半径のみを有している場合、嵌入工程の際、底部の頂部94bの形状が支配的に消火剤貯蔵容器10の立設状態を決めることになる。すなわち、この頂部94を支持台50における凹部54の一様な曲率半径のみを有する内壁面に当接させて消火剤貯蔵容器10を立設させることは、消火剤貯蔵容器10の設置の際の垂直性に関して再現性の低下を引き起こす原因となる。
【0044】
そこで、本願出願人は、
図3B及び
図3Cに示すように、消火剤貯蔵容器10の底部94の肩部94cが支持台50における凹部54の内壁面52に、底部の頂部94bよりも優先的に接するように凸部56を設けた。その結果、延伸ブロー成形によって再現性良く一定の形状が形成される底部の肩部94cが支配的に消火剤貯蔵容器10の立設状態を決めることになるため、再現性良く消火剤貯蔵容器10の垂直性を実現できることが確認された。
【0045】
具体的には、本実施形態における凸部56の曲面55の曲率半径(L
1)は、それ以外の
凹部54(頂部用ポケット52cを除く)の曲率半径(L
2,本実施形態では60mm)よりも約0.5mm短い。さらに、既に述べたとおり、底部の頂点94a及び頂部94bが凹部54の内壁面52に接しないように、頂部用ポケット52cが形成されている。本実施形態におけるL
3の長さは62.5mmである。なお、本実施形態では、頂部用ポケット52cが形成されているが、この頂部用ポケット52cは必ずしも要しない。すなわち、仮に頂部用ポケット52cが無く、消火剤貯蔵容器10の底部の頂部94bの一部が支持台の内壁面52に接したとしても、それが支配的に消火剤貯蔵容器10の立設状態を決めなければよい。ただし、本実施形態のように、より確度高く消火剤貯蔵容器10の底部の頂部94bが内壁面52に接しないように配慮することにより、内壁面と優先的に接する底部の肩部94cの安定した形状によって消火剤貯蔵容器10の立設状態が支配されることになる。したがって、特に消火器100を量産する際に、消火剤貯蔵
容器10を支持台50に垂直に、かつ再現性良く立設する観点から、頂部用ポケット52cを形成することは好ましい一態様である。
【0046】
また、本実施形態では、凸部56の曲面55上には、接着剤を設けたときから接着性が発現するまでの時間が短い(例えば、その発現時間が30秒以下)の第1接着剤82と、第1接着剤82よりも強固に接着するが、接着剤を設けたときからその接着性が発現するまでの時間が長い(例えば、その発現時間が60分以上)第2接着剤84とが互いに異なる位置に設けられている。したがって、この凸部56は、消火剤貯蔵容器10が支持台50の凹部54内に嵌入されたときに、第1接着剤82及び第2接着剤84を介して消火剤貯蔵容器10の底部94と接することになる。
【0047】
ここで、第1接着剤82の存在により、消火器100の製造過程に要求される当初の接着強度が短時間に確保される。その結果、製造過程においては、主として第1接着剤82の存在により、消火剤貯蔵容器10は支持台50によって垂直に支持されることになる。その後、第2接着剤84の存在により、時間を掛けて、消火剤貯蔵容器10の垂直性を保ったまま、消火剤貯蔵容器10と支持台50との強固な接着が実現される。
【0048】
なお、上述の嵌入工程が行われてから48時間経過後に、本願出願人が消火剤貯蔵容器10と支持台50との接着強度を調べるために1.5mの高さから3回落下させる試験を行ったところ、その消火剤貯蔵容器10と支持台50との接着状態が維持されていたことが確認された。また、本実施形態では、第1接着剤82を設けたときから接着性が発現するまでの時間が30秒以下であったが、その時間が、5分以下であれば、第1接着剤82としての機能を果たし得る。また、第2接着剤84については、その接着性の発現が15分程度のものであって、第1接着剤82よりも高度な接着強度を有する接着剤が存在する(例えば、エポキシ系2液接着剤)。したがって、そのような第2接着剤84を採用することも好ましい一態様である。
【0049】
ところで、本実施形態では、第1接着剤82と第2接着剤84という2種類の異なる性質の接着剤が採用されているが、第1接着剤82のみの接着性によって、消火器100に要求される強度等が満たされる場合は、第2接着剤84を設けなくてもよい。消火器に要求される強度の基準は、国によって異なるため、どのような第1接着剤82のみで足りるか、あるいは第1接着剤82と第2接着剤84の両方を要するかは当業者によって適宜選定されうる。また、この接着剤の選定については、他の実施形態にも当てはまる。
【0050】
加えて、本実施形態では、第1接着剤82よりも、第2接着剤84の方が上方に位置している。その結果、最終的な接合強度を発揮させるための第2接着剤84が、例えば、嵌入工程の際、又はその前後において、粘度によっては重力によって垂れてくる第1接着剤82によって覆われてしまう可能性は皆無となる。
【0051】
なお、本実施形態では、第1接着剤82と第2接着剤84とが間隔を空けて設けられているが、例えば、作業上の不具合等の何らかの理由によって、それぞれの一部のみが重なるように、又はそれぞれの一部のみが混在するように設けられた場合であっても、本実施形態の効果が完全に無くなることはない。換言すれば、第1接着剤82と第2接着剤84とが完全に重ならないように設けられるかぎり、本実施形態の効果の少なくとも一部が奏され得る。
【0052】
嵌入工程の後、上述のとおり、蓋体31及びホース20が、消火剤60を収めた消火剤貯蔵容器10と直接的又は間接的に接続する工程が行われる。
【0053】
ところで、本実施形態の消火器100は、加圧式か蓄圧式かを問わない。例えば、消火器100が加圧式消火器であれば、蓋体31が消火剤貯蔵容器10に取り付けられる際に、図示しない加圧用ボンベが消火剤60とともに消火剤貯蔵容器10内に収められる。一方、消火器100が蓄圧式消火器であれば、上述の嵌入工程の後、蓋体31が消火剤60を収めた消火剤貯蔵容器10に取り付けられてから、ガス(例えば、0.9MPa)が蓋体31を介して消火剤貯蔵容器10内に導入されることにより封入される。
【0054】
なお、特に蓄圧式の消火器を製造する場合、支持台50の凹部54内に消火剤貯蔵容器10を嵌入するのに先立って、消火剤貯蔵容器10内にガスを封入することは作業効率が悪いため好ましくない。したがって、上述のとおり、嵌入工程の後に、換言すれば、消火剤貯蔵容器10を立設させた状態でガスを封入する工程が行われることが好ましい。
【0055】
また、本実施形態の支持台50の材質は、支持台50は、高い耐衝撃性及び強度を得るため、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂、ポリオレフィン、及びポリフェニレンスルファイド、ポリスチレン、及びポリカーボネートの群から選ばれる少なくとも1種類の樹脂により形成されている。しかしながら、本実施形態の支持台50の材質は、樹脂製に限定されない。支持台50が金属(例えば、アルミニウムやSUS304)製であっても、樹脂製の消火剤貯蔵容器10との接着を実現することは可能である。したがって、本実施形態のように、接着性が発現するまでの時間が短い第1接着剤82の良さと、接着性が発現するまでの時間が長いが第1接着剤よりも強固に接着する第2接着剤84の良さとの両方を発揮させるような態様は、支持台50が金属であっても適用し得る。つまり、支持台50の材質によらず、消火剤貯蔵容器10の胴部93の下方及び/又は底部94の外面上の少なくとも一部と、支持台50の凹部54の内壁面52上の少なくとも一部とのいずれか一方又は両方に、第1接着剤82と第2接着剤84とが互いに異なる位置となるように設けられることが好ましい。
【0056】
<第1の実施形態の変形例(1)>
本実施形態の消火器200及びその製造方法は、消火剤貯蔵容器10の底部94の支持台50の凹部54内への嵌入工程及び嵌合状態の一部が異なる点を除き、第1の実施形態のそれらと同様である。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略され得る。
【0057】
図7A及び
図7Bは、本実施形態における消火器200の製造工程の一過程を示す支持台50の一部断面図
である。
図7A及び
図7Bに示すように、まず、第1接着剤82を支持台50の凹部54の内壁面52が備える凸部56上に設けた後、消火剤貯蔵容器10を凹部54内に嵌入する(
図7A)。このとき、消火剤貯蔵容器10の底部の肩部94cと前述の凸部56とが第1接着剤82を介して接する。その結果、消火剤貯蔵容器10の底部94が支持台50の凹部54内に嵌入される嵌入工程によって、延伸ブロー成形によって再現性良く一定の形状が形成される底部の肩部94cが、支配的に消火剤貯蔵容器10の立設状態を決めることになる。したがって、本実施形態においても、再現性良く消火剤貯蔵容器10の垂直性を実現できる。
【0058】
一方、本実施形態では、消火剤貯蔵容器10の外周形状と、支持台50の凹部54の内壁面52のうち凸部56を除く領域との間に僅かな隙間が少なくとも一部形成されるように、消火剤貯蔵容器10の外径と支持台50の凹部54の内径が設定される。
【0059】
その後、仮に第1接着剤82のみの接着強度では、消火器としての要求される強度を満たさない場合は、消火剤60の導入工程や蓋体31による消火剤貯蔵容器10の閉塞工程を含む各工程が行われた後、公知の注入器等を用いて第2接着剤84が前述の隙間に導入される(
図7B)。
【0060】
本実施形態では、第1接着剤82の存在によって、消火剤貯蔵容器10に対するその後の速やかな前述の各工程を実施するに際して要求される当初の接着強度が短時間に確保される。また、第2接着剤84を設けることにより、時間を掛けて、消火剤貯蔵容器10と支持台50との強固な接着が実現されるため、消火器200としてのより高度な耐衝撃性ないし強度が得られる。
【0061】
消火器200が蓄圧式消火器の場合は、嵌入工程の後、又は第2接着剤84が設けられた後に、ガス(例えば、約0.9MPa)が消火剤貯蔵容器10内に導入される工程が行われる。
【0062】
なお、消火剤貯蔵容器10の嵌入工程において、僅かな隙間を少なくとも一部形成する工程を有する消火器の製造方法は、特に、樹脂製の消火剤貯蔵容器を備える蓄圧式の消火器を製造する場合に適している。これは、蓄圧式消火器の場合、嵌入工程の後にガス(例えば、約0.9MPa)が導入される工程が行われるため、消火剤貯蔵容器10が膨張するためである。したがって、ガスの導入及び封入工程の前の段階で、消火剤貯蔵容器10の外周形状と支持台50の凹部54の内壁面52との間に僅かな隙間が少なくとも一部形成されるように予め設計することにより、その隙間を狭める又は埋めるように消火剤貯蔵容器10が膨張するため、支持台50に過度な負荷を掛けなくて済む。また、
図7Bのように、消火剤貯蔵容器10の嵌入工程の後に第2接着剤84が導入されて設けられることにより、消火剤貯蔵容器10の膨張が、第2接着剤84を介した消火剤貯蔵容器10と支持台50との接着性をさらに高めることになる。
【0063】
<第1の実施形態の変形例(2)>
本実施形態の消火器300及びその製造方法は、消火剤貯蔵容器10の底部94の支持台50の凹部54内への嵌入工程及び嵌合状態の一部が異なる点を除き、第1の実施形態のそれらと同様である。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略され得る。
【0064】
図8は、本実施形態における消火器300の製造工程の一過程を示す消火剤貯蔵容器10の側面図である。
【0065】
図8に示すように、本実施形態では、第1接着剤82及び第2接着剤84が、消火剤貯蔵容器10の底部の肩部94cの外面上に設けられている。換言すれば、消火剤貯蔵容器10の底部94が支持台50の凹部54内に嵌入される嵌入工程の際、凸部56の位置に対応する消火剤貯蔵容器10の底部94の外面上に、第1接着剤82及び第2接着剤84が設けられている。したがって、嵌入工程によって、延伸ブロー成形によって再現性良く一定の形状が形成される底部の肩部94cが、支配的に消火剤貯蔵容器10の立設状態を決めることになる。その結果、再現性良く消火剤貯蔵容器10の垂直性を実現できる。
【0066】
なお、本実施形態においても、第1接着剤82の存在により、消火剤貯蔵容器10に対するその後の速やかな消火剤60の導入工程や蓋体31による消火剤貯蔵容器10の閉塞工程を含む各工程を実施するに際して要求される当初の接着強度が短時間に確保される。加えて、第2接着剤84の存在により、時間を掛けて、消火剤貯蔵容器10と支持台50との強固な接着が実現されるため、最終的な消火器300としてのより高度な耐衝撃性ないし強度が得られる。
【0067】
<第2の実施形態>
本実施形態の消火器400及びその製造方法は、支持台50が支持台250に変更された点、及び消火剤貯蔵容器10の底部94の支持台250の凹部54内への嵌入工程及び嵌合状態の一部が異なる点を除き、第1の実施形態のそれらと同様である。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略され得る。
【0068】
図9Aは、本実施形態における消火器400の製造工程の一過程を示す支持台250の斜視図
であり、
図9Bは、
図9AのY−Y断面図である。
【0069】
図9A及び
図9Bに示すように、支持台250の受け部251における内壁面252は、凸部56,・・・56を、同じ高さで周方向に間隔を空けて有している。加えて、それぞれの凸部56,・・・56上には、交互に、第1接着剤82と第2接着剤84とが同じ高さに設けられている。嵌入工程が行われると、凸部56,・・・56の存在によって、消火剤貯蔵容器10の底部94の肩部94cが、支持台250における凹部54の内壁面252に、底部の頂部94bよりも優先的に接することになる。その結果、延伸ブロー成形によって再現性良く一定の形状が形成される底部の肩部94cが支配的に消火剤貯蔵容器10の立設状態を決めることになるため、再現性良く消火剤貯蔵容器10の垂直性を実現できる。なお、本実施形態の支持台250も、第1の実施形態の支持台50と同様に、凸部56,・・・56を有する一様な曲率半径を有する領域252aと円筒状の領域252bのみならず、頂部用ポケット252cを備えているため、より確度高く、底部94の肩部94cが、底部の頂部94bよりも優先的に内壁面252に接することが可能となる。
【0070】
また、第1接着剤82の存在により、消火剤貯蔵容器10に対するその後の速やかな消火剤60の導入工程や蓋体31による消火剤貯蔵容器10の閉塞工程を含む各工程を実施するに際して要求される当初の接着強度が短時間に確保される。加えて、第2接着剤84の存在により、時間を掛けて、消火剤貯蔵容器10と支持台50との強固な接着が実現されるため、最終的な消火器400としてのより高度な耐衝撃性ないし強度が得られる。
【0071】
本実施形態のように、第1接着剤82と第2接着剤84とが同じ高さに設けられた場合であっても、互いに異なる位置となるように設けられることにより、上述の効果が奏され得る。
【0072】
<第2実施形態の変形例(1)>
本実施形態の消火器500及びその製造方法は、支持台250が支持台350に変更された点、並びに第1接着剤82及
び第2接着部84の位置が異なる点を除き、第2の実施形態のそれらと同様である。従って、第1及び第2の実施形態と重複する説明は省略され得る。
【0073】
図10Aは、本実施形態における消火器500の製造工程の一過程を示す支持台350の斜視図
であり、
図10Bは、
図10AのZ−Z断面図である。
【0074】
図10A及び
図10Bに示すように、支持台350の受け部351における内壁面352は、一様な曲率半径を有する領域352a内に、第1接着剤82が設けられた凸部56,・・・56が、第2接着剤84が設けられた凸部56,・・・56よりも高い位置に、周方向に間隔を空けて交互に形成されている。また、本実施形態の支持台350は、円筒状の領域352bを有しているが、頂部用ポケットを備えていない。しかしながら、凸部56の突出高さを調整することにより、頂部用ポケットがなくても、消火剤貯蔵容器10の底部94の肩部94cが、底部の頂部94bよりも優先的に内壁面352に接することが可能となる。その結果、延伸ブロー成形によって再現性良く一定の形状が形成される底部の肩部94cが支配的に消火剤貯蔵容器10の立設状態を決めることになるため、再現性良く消火剤貯蔵容器10の垂直性を実現できる。なお、本実施形態、及び上述の各実施形態においては、消火剤貯蔵容器10の大きさ等を適切に調整すれば、円筒状の領域352bも必ずしも要しない。
【0075】
また、本実施形態のように、第1接着剤82が第2接着剤84よりも高い位置に設けられた場合であっても、互いに異なる位置となるように設けられることにより、上述の効果が奏され得る。特に、本実施形態では、第1接着剤82と第2接着剤84とが周方向に間隔を空けて交互に設けられることにより、たとえ重力によって第1接着剤82が下方に垂れることがあっても、第2接着剤84を覆う又は第2接着剤84と混在ないし混合することが生じにくい点は特筆に値する。
【0076】
<その他の実施形態>
ところで、上述の各実施形態では、第1接着剤82が、ホットメルト接着剤であったが、これに限定されない。例えば、ゴム系粘着剤、紫外線硬化接着剤、電子線硬化接着剤、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、α―オレフィン系接着剤及びエポキシ系接着剤の群から選ばれる少なくとも1種の接着剤、又はアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ブロックコポリマー系粘着剤、ポリイソブチレン系粘着剤、及びシリコーン系粘着剤の群から選ばれる少なくとも1種の粘着剤を備える両面テープであれば、上述の各実施形態の効果の少なくとも一部が奏され得る。
【0077】
なお、第1接着剤82が、紫外線硬化型接着剤又は電子線硬化型接着剤である場合、本出願において「接着剤を設けたとき」とは、紫外線又は電子線の照射を開始したときを意味する。また、第1接着剤82が、両面テープである場合は、その両面テープを保護する保護シートのうち、剥がされるのが遅い側の保護シートが剥がされたときを意味する。
【0078】
同様に、上述の各実施形態では、第2接着剤84が、湿気硬化型接着剤であったが、これに限定されない。例えば、エポキシ系2液接着剤又はウレタン系接着剤であれば、上述の各実施形態の効果の少なくとも一部が奏され得る。
【0079】
また、上述の各実施形態では、消火剤貯蔵容器を形成する樹脂中に含有する顔料が、ペリノン系レッド又はシアニン系ブルーであったが、採用される顔料はそれらに限定されない。例えば、アンスラキノン系レッドや酸化チタン(TiO
2)が前述の顔料に代えて採用されても、上述の各実施形態の効果と同様の効果が奏され得る。
【0080】
また、上述の各実施形態では、消火剤貯蔵容器を構成する樹脂としてポリエチレンナフタレート(PEN)が採用されているが、採用される樹脂はこれに限定されない。例えば、ジカルボン酸成分として主にナフタレンジカルボン酸またはテレフタル酸、ジオール成分として主にエチレングリコール又はブタンジオールを用いて重縮合させて得られたポリエステル樹脂又はこれらのポリエステル樹脂を主とする材料が消火剤貯蔵容器の材料として採用されても、本発明の少なくとも一部の効果が奏されると考えられる。換言すれば共重合ポリエステル樹脂であれば、本発明の少なくとも一部の効果が奏されると考えられる。
【0081】
また、他の採用し得る材料の一例として、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリフェニレンスルファイド、ポリスチレン、又はポリカーボネートが挙げられる。但し、上述の全ての材料の中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)を採用することが、強度の観点から好ましい。また、ガスバリアー性の観点から、ポリエチレンナフタレート(PEN)が単独で採用されることが最も好ましい。すなわち、ポリエチレンナフタレート(PEN)を採用することにより、高強度でかつガスバリアー性に優れた消火剤貯蔵容器がより確度高く得られる。
【0082】
加えて、上述の各実施形態の消火器の消火剤貯蔵容器の外周表面上に公知の被膜フィルムや公知の顔料を含むフィルムが配置されていてもよい。例えば、消火器の製造メーカー名や消火器の性能を示すための記述や装飾が施されたフィルムは広く一般的に利用されているが、それらの使用は上述の各実施形態の効果を妨げない。したがって、本出願において「底部の外面上」には、当該底部の外面上のみならず、その外面上に配置された前述のフィルムの外面上が含まれ得る。また、上記趣旨に基づき、本出願において「接着剤を介して」とは、接着剤のみを介してという意味ではなく、接着剤及び前述のフィルムを介してという意味も含まれる。
【0083】
さらに、上述の各実施形態の効果が損なわれない添加剤であれば、消火剤貯蔵容器を構成する樹脂は、変色の防止や耐候性の向上のために、光安定剤、紫外線吸収剤、又は老化防止剤などの公知の添加剤が適宜配合され得る。
【0084】
なお、上述の各実施形態の開示は、それらの実施形態の説明のために記載したものであって、本発明を限定するために記載したものではない。加えて、各実施形態の他の組合せを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。