特許第5698545号(P5698545)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社桂精機製作所の特許一覧

<>
  • 特許5698545-ガスガバナ 図000002
  • 特許5698545-ガスガバナ 図000003
  • 特許5698545-ガスガバナ 図000004
  • 特許5698545-ガスガバナ 図000005
  • 特許5698545-ガスガバナ 図000006
  • 特許5698545-ガスガバナ 図000007
  • 特許5698545-ガスガバナ 図000008
  • 特許5698545-ガスガバナ 図000009
  • 特許5698545-ガスガバナ 図000010
  • 特許5698545-ガスガバナ 図000011
  • 特許5698545-ガスガバナ 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698545
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】ガスガバナ
(51)【国際特許分類】
   F23K 5/00 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
   F23K5/00 301E
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-9221(P2011-9221)
(22)【出願日】2011年1月19日
(65)【公開番号】特開2012-149833(P2012-149833A)
(43)【公開日】2012年8月9日
【審査請求日】2013年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000142698
【氏名又は名称】株式会社桂精機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087468
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 一美
(72)【発明者】
【氏名】長田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 浩志
(72)【発明者】
【氏名】加藤 俊一
(72)【発明者】
【氏名】戸木 文雄
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−285665(JP,A)
【文献】 特開2006−285660(JP,A)
【文献】 実公平06−031527(JP,Y2)
【文献】 特許第4330686(JP,B2)
【文献】 特開2007−248370(JP,A)
【文献】 特開平01−140023(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0251130(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23K 5/00
F15B 11/02
G05D 16/04
G05D 16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路の途中に設置されて上流側から一次圧力で輸送されてくるガスを二次圧力に減圧して下流側に流すガバナ本体と、前記ガバナ本体を動作制御する制御圧力を発生させるレストリクタを有し前記ガバナ本体の上流側の管路と下流側の管路との間に接続されるパイロットループと、前記パイロットループに設置されて前記ガスの二次圧力に対応してパイロットバルブを開閉させ前記パイロットループを通過する前記ガスの量を制御して前記ガバナ本体を前記二次圧力が一定となるようにフィードバック制御させるパイロットガバナとを備え、前記パイロットガバナで制御される前記制御圧力を利用して前記ガバナ本体の弁開度を変化させることにより上流側から供給される前記ガスを減圧して下流側に供給するガスガバナにおいて、
前記ガバナ本体の下流の前記管路に配置されて前記下流の管路にガスの流れが起きたときに負圧を発生させて前記下流の管路におけるガスの流量の変化を圧力変化として検出し前記負圧分だけ前記二次圧力よりも低い補助圧力を発生させる二次側オリフィス
前記パイロットガバナに含まれ、前記補助圧力を作用させ前記二次圧力と共に前記パイロットガバナのパイロットスプリングと対向させて前記パイロットバルブを開閉する力を補助する補助ダイヤフラム圧力室
記補助ダイヤフラム圧力室と前記二次側オリフィスとを接続する管路とを備え、前記二次圧によるフィードバック制御に、前記ガバナ本体の下流の管路における流量変化で前記二次圧力が下がるという予測を加えたフィードフォワード制御を組み合わせることを特徴とするガスガバナ。
【請求項2】
前記補助ダイヤフラム圧力室と前記二次側オリフィスとを接続する前記管路には、絞りあるいはタンクの少なくともいずれか一方を備えることを特徴とする請求項1記載のガスガバナ。
【請求項3】
前記パイロットガバナは、前記パイロットスプリングを収容し大気開放された第1のダイヤフラム圧力室と、前記パイロットループが接続されると共に該パイロットループの開閉を行う前記パイロットバルブが内蔵された第2のダイヤフラム圧力室と、前記二次側オリフィスに接続され前記補助圧力を作用させる前記補助ダイヤフラム圧力室と、前記パイロットスプリングと対向する力を付与するリターンスプリングを収容し前記パイロットループの分岐管を介して二次圧力が付与される第3のダイヤフラム圧力室と、前記補助ダイヤフラム圧力室と前記第3のダイヤフラム圧力室との間で大気開放され前記第3のダイヤフラム圧力室のダイヤフラムに大気圧をかける第4のダイヤフラム圧力室とを備えるものである請求項1または2記載のガスガバナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上流側から一次圧力で輸送されてくるガス例えば都市ガスを二次圧力に減圧して下流側に供給するガスガバナ(ガス整圧器とも呼ばれる)に関する。さらに詳述すると、本発明は管路の途中に設置されてガスを二次圧力に減圧して下流側に流すガバナ本体の弁開度を制御するパイロットガバナの作動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
都市ガスの供給管路においては、高圧・中圧の圧力(一次圧力P)で運ばれる都市ガスを予め設定されている圧力(二次圧力P)に減圧するために、ガスガバナが設置されている。例えば、現在、一般的に使用されているアキシャルフロー型ガバナ(AFV)の場合、図11に示すように、ガバナ本体101を迂回するように上流側の管路102と下流側の管路103との間を接続するパイロットループ104に、ガバナ本体101を動作制御する制御圧力Pcを発生させるレストリクタ105とパイロットループ104を通過するガス量を制御するパイロットガバナ106とを備え、二次圧力Pの変化に比例してガバナ本体101のクロージャー107を塞ぐスリーブ108の制御圧力Pcを変化させ、ガバナ本体101を二次圧力Pが一定となるように動作させるフィードバック制御機構が構成されている(特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平6−31527号公報
【特許文献2】特許第4330686号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、二次圧力Pだけで制御しているため、流量の増加に伴い二次圧力Pが設定した圧力より下がってくる(オフセットの増加)問題と、急激な流量変化に伴う追従性という問題を有している。そして、これに対応するため、パイロットガバナ106の応答性を上げると、バイブレーション・あおり(ハンチングともいう)が起こりやすいという問題点を伴う。つまり、二次圧力Pが急激に低下すると、パイロットガバナ106の制御圧力Pcが急激に低下してスリーブ108の締め付け力を弱くするので、クロージャー107を通過するガス流量が急激に増加する。すると、二次圧力Pが急激に上昇して、パイロットガバナ106の制御圧力Pcが急激に高くなりスリーブ108の締め付け力を強くするので、クロージャー107を通過するガス流量が急激に低減される。そうすると、二次圧力Pの急激な低下に繋がり、再びスリーブ108の締め付け力を弱くしてクロージャー107を通過するガス流量を急激に増加させる。これを繰り返すため、バイブレーション(ハンチング現象)を引き起こす。その反面、バイブレーションを抑制しようとすると、二次圧力Pの変化に対する応答性が悪化するという問題を伴う。このため、応答性と安定性とを両立させることは困難であり、バイブレーションを引き起こさない範囲で応答性の感度を上げる調整は難しいものとなる。
【0005】
本発明は、バイブレーション・あおりを惹起し難く応答性をよくすることができるパイロットガバナを有するガスガバナを提供することを目的とする。換言すれば、本発明は、オフセットの発生を抑制し、かつバイブレーションを引き起こさない範囲で応答性の感度を上げる調整が容易なパイロットガバナを有するガスガバナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するため、本発明は、管路の途中に設置されて上流側から一次圧力で輸送されてくるガスを二次圧力に減圧して下流側に流すガバナ本体と、ガバナ本体を動作制御する制御圧力を発生させるレストリクタを有しガバナ本体の上流側の管路と下流側の管路との間に接続されるパイロットループと、パイロットループに設置されてガスの二次圧力に対応してパイロットバルブを開閉させパイロットループを通過するガスの量を制御してガバナ本体を二次圧力が一定となるようにフィードバック制御させるパイロットガバナとを備え、パイロットガバナで制御される制御圧力を利用してガバナ本体の弁開度を変化させることにより上流側から供給されるガスを減圧して下流側に供給するガスガバナにおいて、ガバナ本体の下流の管路に配置されて下流の管路にガスの流れが起きたときに負圧を発生させて下流の管路におけるガスの流量の変化を圧力変化として検出し負圧分だけ二次圧力よりも低い補助圧力を発生させる二次側オリフィス、パイロットガバナに含まれ、補助圧力を作用させ二次圧力と共にパイロットガバナのパイロットスプリングと対向させてパイロットバルブを開閉する力を補助する補助ダイヤフラム圧力室、補助ダイヤフラム圧力室と二次側オリフィスとを接続する管路とを備え、二次圧によるフィードバック制御に、ガバナ本体の下流の管路における流量変化で二次圧力が下がるという予測を加えたフィードフォワード制御を組み合わせるようにしている。
ここで、補助ダイヤフラム圧力室と二次側オリフィスとを接続する管路には、絞りあるいはタンクの少なくともいずれか一方を備えることが好ましい。
また、パイロットガバナは、パイロットスプリングを収容し大気開放された第1のダイヤフラム圧力室と、パイロットループが接続されると共に該パイロットループの開閉を行うパイロットバルブが内蔵された第2のダイヤフラム圧力室と、二次側オリフィスに接続され補助圧力を作用させる補助ダイヤフラム圧力室と、パイロットスプリングと対向する力を付与するリターンスプリングを収容しパイロットループの分岐管を介して二次圧力が付与される第3のダイヤフラム圧力室と、補助ダイヤフラム圧力室と第3のダイヤフラム圧力室との間で大気開放され第3のダイヤフラム圧力室のダイヤフラムに大気圧をかける第4のダイヤフラム圧力室とを備えるものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によると、ガバナ本体の下流の管路に配置されて下流の管路にガスの流れが起きたときに負圧を発生させて下流の管路におけるガスの流量の変化を圧力変化として検出し負圧分だけ二次圧力よりも低い補助圧力を発生させる二次側オリフィス、パイロットガバナに含まれ、補助圧力を作用させ二次圧力と共にパイロットガバナのパイロットスプリングと対向させてパイロットバルブを開閉する力を補助する補助ダイヤフラム圧力室、補助ダイヤフラム圧力室と二次側オリフィスとを接続する管路とを備え、二次圧によるフィードバック制御に、ガバナ本体の下流の管路における流量変化で二次圧力が下がるという予測を加えたフィードフォワード制御を組み合わせるようにしているので、二次圧力Pの変化に加えて二次圧力に減圧して下流側に流すガスの流量の増加を感知し、制御圧力Pcを制御することができる。このため、流量の増加に対して制御圧力Pcの即応性を上げることができると共にオフセットの減少効果が得られ、制御圧力Pcを安定的に制御することができるため、バイブレーション・あおりの抑制効果が得られる。
また、補助ダイヤフラム圧力室と二次側オリフィスとを接続する管路に絞りあるいはタンクの少なくともいずれか一方を備える場合には、二次側オリフィス部分で生ずる二次圧力の変動の影響が補助ダイヤフラム圧力室に急激に作用しないように緩和させて機能させることができるので、二次圧力Pの変化に加えて二次圧力に減圧して下流側に流すガスの流量の増加を感知し、制御圧力Pcを安定的に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明をアキシャルフロー型ガバナに適用した一実施形態を示す原理図である。
図2】FF機能を有さないパイロットガバナの入出力特性を示すグラフである。
図3】FF機能を有するパイロットガバナの入出力特性を試験するための試験回路図である。
図4図3の試験回路で得たFF機能を有するパイロットガバナの入出力特性を示すグラフである。
図5】FF機能を有さないパイロットガバナの入出力特性(破線)とFF機能を有するパイロットガバナの入出力特性(実線)とを比較するグラフである。
図6】積分機能が働かない状態でステップ状に二次圧力Pを下げ、制御圧力Pcと二次側オリフィスでの差圧力Pの圧力変化を示すグラフである。
図7】パイロットガバナの積分機能を試験するための試験回路図である。
図8】積分機能が働く状態でステップ状に二次圧力Pを下げ、制御圧力Pcと二次側オリフィスでの差圧力Pの圧力変化を示すグラフである。
図9】(A)は図6の、(B)は図8の二次圧力Pと二次側オリフィスでの差圧力Pの圧力変化とを拡大してそれぞれ示すものである。
図10】(A)は図6の、(B)は図8の制御圧力Pcの圧力変化を拡大して示すものである。
図11】アキシャルフロー型ガバナを利用した従来のガスガバナの原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1に本発明の実施形態の一例をアキシャルフロー型ガバナ(AFV)に適用した場合を例に挙げて示す。このガスガバナは、管路の途中に設置されて上流側から一次圧力Pで輸送されてくるガスを二次圧力Pに減圧して下流側に流すガバナ本体1と、このガバナ本体1を動作制御する制御圧力Pcを発生させるレストリクタ6を有しガバナ本体1の上流側の管路2と下流側の管路3との間に接続されるパイロットループ4と、パイロットループ4に設置されてガスGの二次圧力Pに対応してパイロットバルブ28を開閉させパイロットループ4を通過するガスの量を制御してガバナ本体1を二次圧力Pが一定となるように動作させるパイロットガバナ5とを備え、パイロットガバナ5で制御される制御圧力Pcを利用してガバナ本体1の弁開度を変化させることにより上流側から供給されるガスGを減圧して下流側に供給するようにしている。
【0011】
本実施形態においてガバナ本体1として採用しているアキシャルフロー型ガバナ(AFV)は、現在広く普及したものであり周知技術であることからその詳細な構造の説明を省くが、概略構造としては図1に示すように、周面に多数のスリットを有する截頭円錐形の一対のクロージャー25と、該クロージャーのスリットを塞ぐゴム製のスリーブ24と、これらを収納する円筒状のバルブボディ26と含み、バルブボディ26とスリーブ24との間の空間に制御圧力Pcをかけることにより、互いに向かい合わせて連結することにより鼓形を成す一対のクロージャー25のスリットをスリーブ24で開閉させるようにしたものである。AFVは、ガバナ本体1を迂回するように上流側の管路2と下流側の管路3との間を接続するパイロットループ4に、ガバナ本体1を動作制御する制御圧力Pcを発生させるレストリクタ6とパイロットループ4を通過するガス量を制御するパイロットガバナ5とを備え、二次圧力Pの変化に比例してガバナ本体1のクロージャー25を塞ぐスリーブ24の制御圧力Pcを変化させ、ガバナ本体1を二次圧力Pが一定となるように動作させるフィードバック制御機構を構成するものである。
【0012】
さらに、本実施形態のパイロットガバナ5では、パイロットガバナ5のハウジング内を複数のダイヤフラムと隔壁とによって区画し、パイロットスプリング13を収容し大気開放された第1のダイヤフラム圧力室22と、パイロットループ4が接続されると共に該パイロットループ4の開閉を行うパイロットバルブ28が内蔵された第2のダイヤフラム圧力室14と、二次側オリフィス8部分で減圧されたガス圧力Pを作用させる補助ダイヤフラム圧力室10と、パイロットスプリング13と対向する力を付与するリターンスプリング17を収容しパイロットループ4の分岐管4’を介して二次圧力Pが付与される第3のダイヤフラム圧力室16と、補助ダイヤフラム圧力室10と第3のダイヤフラム圧力室16との間で大気開放され第3のダイヤフラム圧力室16のダイヤフラム21に大気圧をかける第4のダイヤフラム圧力室15とを備える。
【0013】
具体的には、第1のダイヤフラム圧力室22と第2のダイヤフラム圧力室14との間、第2のダイヤフラム圧力室14と補助ダイヤフラム圧力室10との間及び第4のダイヤフラム圧力室15と第3のダイヤフラム圧力室16との間にはそれぞれダイヤフラム19,20及び21が配置されており、それぞれの圧力室22,14,10,15にかかる圧力の差圧が各ダイヤフラム19,20及び21に作用するように、各室が区画されている。また、補助ダイヤフラム圧力室10と第4のダイヤフラム圧力室15との間はパイロットガバナ5のハウジングの一部である隔壁によって区画され、補助ダイヤフラム圧力室10と第4のダイヤフラム圧力室15との間の差圧はパイロットバルブ28の開閉には関与しないように設けられている。そして、ダイヤフラム19と20及びダイヤフラム20と21とは、各々連結桿18,23によって連結され、全てのダイヤフラム19,20及び21が連動し、各々のダイヤフラム19,20及び21に作用する差圧が相互に影響し合うように設けられている。また、パイロットループ4に接続されている第2のダイヤフラム圧力室14には、パイロットループ4の開閉を行うパイロットバルブ28が内蔵されている。このパイロットバルブ28は、連結桿18に取り付けられている弁子28bとパイロットガバナ5のハウジング側に成形されている弁座28aとの間で構成されている。したがって、二次圧力Pが設定圧よりも下がったときに、全てのダイヤフラム19,20及び21が変形するのに連動して連結桿18,23が移動するときに、連結桿18に取り付けられている弁子28bがハウジング側の弁座28aから離れてバルブ28が開かれるため、ガバナ本体1の上流側のガスの一部がパイロットループ4に流入し、パイロットガバナ5の第2のダイヤフラム圧力室14を通過してガバナ本体1の下流側配管3に排出される。このとき、レストリクタ6ではガスの流れによって圧力変化(減圧)が生ずるので、その圧力変化がガバナ本体1を開閉動作させる制御圧力Pcとなって分岐管7を介してガバナ本体1に作用する。尚、パイロットガバナ5の設定圧はパイロットスプリング13によって定められている。具体的には、パイロットスプリング13のばね力と、リターンスプリング17のばね力との差分が設定圧を定める。つまり、パイロットスプリング13を調整ねじ27によって締め付けたり、緩めたりすることによって設定圧を調整可能としている。
【0014】
ここで、ガバナ本体1の下流の管路3には二次側オリフィス8が配置されている。この二次側オリフィス8は、下流管路3におけるガスGの流量の変化を圧力変化として検出するものであり、例えば本実施形態の場合、ガバナ本体1の出口配管3にベンチュリーを接続することにより構成されている。この二次側オリフィス8はそして、ガバナ本体1の下流の管路3にガスGの流れが起きたときに発生するベンチュリーの最小径部でのガス圧力Pをガス流量の変化を表すものとして検出する。即ち、下流管路3に設けたオリフィスの下流の圧力Pをガス流量の変化を表すものとして検出する。そして、パイロットガバナ5は、上述したように、基本構造として、二次圧力Pの変化に比例してガバナ本体1のクロージャー25を塞ぐスリーブ24の制御圧力Pcを変化させ、ガバナ本体1を二次圧力Pが一定となるように動作させるフィードバック制御機構を構成するものであるが、二次圧力Pと共にパイロットガバナ5のパイロットスプリング13と対向させてパイロットガバナ5のパイロットバルブ28を開閉する力を補助する補助ダイヤフラム圧力室10を設置し、パイロットガバナ5に二次側オリフィス8部分で減圧されたガス圧力Pを作用させるようにしている。補助ダイヤフラム圧力室10と二次側オリフィス8とは管路9を介して接続されており、ガスGの流れが起きたときに発生する圧力P=(P−ΔPv)が補助ダイヤフラム圧力室10に与えられるように設けられている。即ち、ガバナ本体1の出口配管3に配置された二次側オリフィス8より取り出された圧力(以下、圧力Pと呼ぶ)は、パイロットガバナ5に入力するようにしてFF(フィードフォワード制御)機能を与えるように設けられている。二次側オリフィス8の圧力Pは流量が無い場合はPと同じであるが、流量が発生するとΔPvの差圧が生じ、二次側オリフィス8の圧力Pは(P−ΔPv)となる。これにより、流量が発生した場合、二次圧力Pの低下による制御圧力Pcの低下に加えて差分圧力Pの低下による制御圧力Pcの低下が起こる。この二次側オリフィス8での差圧ΔPvにより、ガスの流量の急激な増加に対して制御圧力Pcの即応性を上げることができる。尚、二次側オリフィス8での差圧ΔPvは、流量が増加するほど値が大きくなるため、流量の増加に伴うオフセットの増加を二次側オリフィス8の仕様を適宜設計することでΔPv量を調整することにより、オフセットを抑えることができる。
【0015】
また、補助ダイヤフラム圧力室10と二次側オリフィス8とを接続する管路9には、可変絞り11とタンク12とが備えられ、積分機能を得て上述のFF機能の効果を徐々に作用させるように設けられている。この可変絞り11とタンク12とは、二次圧力Pの変化に対して二次側オリフィス8の圧力Pの変化が遅れて緩やかに変化するよう積分時間を設定可能とする。ここで、積分時間の調整は、可変絞り11だけでは調整幅が狭く、調整しずらい。そこで、タンク12を接続して補助ダイヤフラム圧力室10の容積を実質的に拡張して調整しやすくするようにしている。即ち、タンク12は、タンク12の圧力がP=(P−ΔPv)の低下時に、この低下が急激に生じないように緩和させる機能を与えている。補助ダイヤフラム圧力室10の空間とタンク12の内部空間とは同じ圧力に変動するものである。タンク12の圧力は、最終的には二次側オリフィス8の圧力P=(P−ΔPv)、即ち補助ダイヤフラム圧力室10にかかる圧力と同じになるが、その最終圧力に到達されるまでの時間を取るためのものであり、その時間が積分機能に該当する。
【0016】
以上のように構成されたガスガバナによれば、ガスGの二次圧力Pが設定圧よりも下がったときに、ダイヤフラム圧力室14,16に作用する二次圧力Pの低下により相対的にパイロットスプリング13の力が増してダイヤフラム19並びに連結ロッド18,23により一体化されたダイヤフラム20,21が押し下げられるため、パイロットガバナ5のバルブ28が開いてガバナ本体1の上流側の管路2からパイロットループ4に一次圧力Pのガスが導入される。このとき、ガスの一次圧力Pはレストリクタ6で減圧され、制御圧力Pcを発生させる。したがって、ガバナ本体1のスリーブ24の外側に管路7を介して負荷される制御圧力Pcとクロージャー25の内側に作用するガスの一次圧力Pとのバランスが崩れるため、クロージャー25を塞いでいたスリーブ24を外側に膨らませてガスがクロージャー25を通過して下流の管路3に二次圧力Pに減圧されて供給される。尚、パイロットガバナ5は、二次圧力Pに対応してパイロットバルブ28を開閉させてパイロットループ4を通過するガスの量を変化させることにより、レストリクタ6で発生する制御圧力Pcを制御し、ガバナ本体1を二次圧力が一定となるように動作させる。
【0017】
そして、二次側オリフィス8における圧力Pは流量が無い場合は二次圧力Pと同じであるが、流量が発生すると差圧ΔPvが生じ、P=(P−ΔPv)となる。これにより、ガバナ本体1が開いて下流側の管路3にガスの流れが発生すると、二次側オリフィス8にΔPvの差圧が生じ、パイロットガバナ5の補助ダイヤフラム圧力室10に(P−ΔPv)の補助圧力Pが作用する。これにより、二次圧力Pの低下による制御圧力Pcの低下に加えて補助圧力Pの低下による制御圧力Pcの低下が起こり、ガス流量の増加に対して制御圧力Pcの即応性を上げることができる。また二次側オリフィス8での差圧ΔPvは、ガス流量が増加するほど値が大きくなる。このため、流量の増加に伴うオフセットの増加を二次側オリフィス8を構成するベンチュリー部の設計でΔPv量を調整することにより、オフセットを抑えることができる。しかも、補助圧力Pの補助ダイヤフラム圧力室10への作用は、補助ダイヤフラム圧力室10と二次側オリフィス8とを接続する管路9に配置された可変絞り11とタンク12とによって、二次圧力Pの圧力変化より遅れて緩やかに変化する積分機能が得られる。したがって、このタンク12と可変絞り11を調節することにより、バイブレーションの抑制とオフセットの発生を抑制する効果が得られる。ここで、積分機能はオフセット抑制とバイブレーション抑制の双方の効果を有する。比例制御機能の調整幅を広くして、その結果でオフセットが発生した場合には、積分機能でオフセットを修正することができる。逆に比例制御機能の調整幅を狭くして、その結果でバイブレーションが誘引された場合も、積分機能でバイブレーションを修正することができる。
【0018】
つまり、二次圧力Pに対応して制御圧力Pcを制御するパイロットガバナ5の作動機構に、さらに補助ダイヤフラム圧力室10と二次側オリフィス8を設けてガスの流量が変化したときに制御圧力Pcを制御するFF機能が作用するように構成すると共に、そのFF機能の効果を徐々に機能させる積分機能を補助ダイヤフラム圧力室10と二次側オリフィス8との間を接続する管路9に絞り11と積分タンク12とを設置することにより与えることにより、バイブレーションを引き起こさない範囲で応答性の感度を上げる調整を容易に実現可能としている。
【実施例1】
【0019】
1.FF(フィードフォアード)機能の効果の実証(図1参照)
a.FF機能無しのパイロットガバナの特性
FF機能の効果を実証するため、FF機能が働かない状態で二次圧力Pの変化による制御圧力Pcの変化を記録し、FF機能を付加した時の二次圧力Pの変化による制御圧力Pcの変化と比較した。
試験方法としては、パイロットガバナのP部をP部と直結し、P=Pとした。その状態で1次圧力Pを0.3MPa、流量が無い時(閉塞状態)の二次圧力Pを0.15MPaになるようパイロットガバナの圧力を調整し、二次圧力Pは外部より別のレギュレータにより圧力を供給し、二次圧力Pのみを変化させた。その時のPc−P線図を図2に示す。
【0020】
b.FF機能付きのパイロットガバナの特性(図1及び図3参照)
試験方法としては、FF機能を付加するため補助ダイヤフラム圧力室10と二次側オリフィス8との間を接続する管路9に絞り31とブローバルブ30を設け、二次圧力Pの放出量を一定とした時、二次圧力PとPに差圧10kPaとなるように絞り31を調節した。この差圧10kPaをΔPvとしガスガバナ本体の下流の供給配管の二次側オリフィス8で得られる差圧と仮定する。実際の二次側オリフィス8の差圧はもっと少ないと考えられるが、パイロットガバナ5のP入力部の設計しだいで少ない差圧を大きな入力に変換することができることから、上述の差圧10kPaを実験の便宜上採用した。また、実際にはΔPvは流量が増加するほど、つまり二次圧力Pが低下するほど値が大きくなるが、二次側オリフィス8の効果の有無を実証するため、この試験では一定とした。
この状態で先ほどと同じく、二次圧力Pのみを変化させて制御圧力Pcの変化を記録した。その時のPc−P線図を図4に示す。
【0021】
c.FF機能の効果の実証(図5参照)
図2図4を比較した線図を図5に示す。二次圧力Pの値を同値とすると、二次側オリフィス8を有する線図(図4)は、制御圧力Pcの値が減少している。これはすなわちガバナ本体を通過するガス流量(メイン流量)が増加しΔPvが増加すると、二次圧力Pによる制御圧力Pcの制御量に加えて、ΔPvによる制御量が加わり、AFVの流量を増やす方向に作用することを意味する。つまり流量の増加を感知して制御圧力を先回りして制御することにより、安定した二次圧力Pを得るために寄与する。また、実際は流量が増加するとΔPvの値は増加するため、Pcの減少量も増加し流量増加時のオフセットを減少することができる。ゆえにFF機能は効果があることが実証された。
【0022】
2.PI(比例積分)機能の効果の実証(図1参照)
a.積分(I)機能無しのパイロットガバナの特性
積分機能の効果を実証するため、積分機能が働かない状態で二次圧力Pをステップ状に下げ、Pc及びPの圧力変化を記録した。そして、積分機能を付加して同じ試験をした時のPc及びPの圧力変化と比較した。
試験方法としては、パイロットガバナ5の二次側オリフィス8での圧力を取り込むP部をP部と直結し、P=Pとした。P部に圧力を供給しているレギュレータを手動でステップ状に圧力を落とし、Pc及びPの変化量を記録した。その時の各圧力線図を図6に示す。
【0023】
b.積分(I)機能付きのパイロットガバナの特性(図1及び図7参照)
試験方法としては、上述のa.の装置(図3の装置)に加えて、積分機能を付加するため補助ダイヤフラム圧力室10と二次側オリフィス8との間を接続する管路9に可変絞り11とタンク12を設け、二次圧力Pの変化に対してPの変化が遅れて緩やかに変化するよう積分時間を定めた。遅れ時間は二次圧力Pの変化より5〜10秒後にPが安定するように絞り11とタンク12を調整した。この積分時間はガスガバナを設置する状況によって調節可能である。この状態で、a.の装置と同じくP部に圧力を供給しているレギュレータを手動でステップ状に圧力を下げ、Pc及びPの変化量を記録した。その時の各圧力線図を図8に示す。
【0024】
c.比例積分(PI)機能の効果の実証(図9及び図10参照)
図6図8を比較すると、積分機能を付加することにより制御圧力Pcと差圧Pの変化が二次圧力Pの変化に遅れて緩やかに変化していることが判る。よって二次圧力Pの変化に対して積分機能が働き、制御圧力Pcを安定的に制御することが明らかとなった。
ゆえに積分機能は効果があることが実証された。
【0025】
以上の試験結果により、従来のパイロット式のアキシャルフロー型ガバナより二次圧力Pの変化に対する即応性の向上、オフセットの減少効果とバイブレーション・あおりの抑制効果が期待できることが明らかとなった。
【0026】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本実施形態では、アキシャルフロー型ガバナ(AFV)に適用した例を挙げて主に説明したが、本発明はパイロットガバナ5の作動機構に関するものであることから、アキシャルフロー型ガバナに特に限られるものではなく、パイロット式整圧器全般に適用可能なものである。つまり、弁座とそれを開閉する摺動式弁体とから成る一般的なバルブ構造から成るガバナの弁体を制御圧力で駆動するものでも適用可能である。
【0027】
また、本実施形態においては、補助ダイヤフラム圧力室10と二次側オリフィス8とを接続する管路9に配置された絞り11としては、絞り量を可変とするニードルを採用し、このニードルの開閉量を調整することにより制御圧力PcとPの変化が二次圧力Pの変化に遅れて緩やかに変化する状況を調整することができるようにしているが、これに特に限られず、可変絞りではノズルフラッパ(パイロットバルブ28と同様の構造であり、弁座と弁子の距離を調整することで絞りと同じ機能をもたせたもの、即ち固定オリフィスに対して距離を調整する機構)などの使用や、予め絞り量が固定されたオリフィスを採用することも可能である。また、タンク12は場合によっては交換可能とし、必要に応じて異なる容積のタンクを選択して接続するようにしても良い。これにより、応答速度を容易に調整することが可能となる。さらには、調整が容易ではないが、場合によってはタンク12を備えずに、可変絞り11だけで積分時間を調整するようにしても良い。
【0028】
さらに、上述の実施形態では、パイロットループ4において一次圧力Pでのガスを減圧して制御圧力Pcを生成する手段としてレストリクタ6を用いた例を挙げて主に説明したが、場合によってはベンチュリーを用いても同様の機能を発揮しうるものであり、本発明においてレストリクタの用語はベンチュリーを含むものとして用いている。
【0029】
また、上述の実施形態では、ガバナ本体1の下流の供給配管(本線とも呼ぶ)3においてガスの流量が発生したときに差圧ΔPvを生じさせる手段として二次側オリフィス8を用いた例を挙げて主に説明したが、場合によってはベンチュリーを用いても同様の機能を発揮しうるものであり、本発明において二次側オリフィスの用語はベンチュリーを含むものとして用いている。尚、オリフィスの下流側の圧力P=(P−ΔPv)を補助ダイヤフラム圧力室10にかけるため、ダイヤフラム20には差圧ΔPvが作用することとなり、差圧ΔPvに対応した変位を起こすこととなる。
【符号の説明】
【0030】
1 ガバナ本体
2 ガバナ本体の上流側の管路
3 ガバナ本体の下流側の管路
4 パイロットループ
5 パイロットガバナ
6 レストリクタ
8 二次側オリフィス(本線ベンチュリー)
9 二次側オリフィスとパイロットガバナの補助ダイヤフラム圧力室とを接続する管路
10 補助ダイヤフラム圧力室
11 絞り(可変絞り)
12 タンク
13 パイロットスプリング
一次圧力
二次圧力
二次側オリフィスの圧力
Pc 制御圧力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11