【実施例】
【0008】
<1>本発明の定規の対象。
本発明の定規を使用する対象は、一般にはコンクリート柱や梁のような独立体である。
しかし後述する水平枠が貫通できる貫通部を開口すれば、壁面においても使用することができる。
それらの対象物を補強するために、モルタルなどを吹き付けて厚さを増す場合に、増し厚を正確に規制するための定規である。
【0009】
<2>全体の構成。
本発明の定規は、対象物である例えば柱を包囲する水平枠1と、支柱兼面取板2と、面取調整ネジ3と、厚さ調整ネジ4とで構成する。
以下、対象物を柱Aとした場合の構成を個別に説明する。
【0010】
<3>水平枠。
柱Aを包囲するための水平枠1は、鋼製、鉄以外の金属製、木製、合成樹脂製の角材、各パイプ、アングル材などで構成する。
水平枠1は複数本の枠材から構成し、ボルトを介してすべての枠材を結合すると柱Aの周囲を包囲する状態を形成することができる。
このように水平枠1によって柱Aを包囲するために、複数の位置に角度を調整できる変化部11を形成する。
柱Aの断面が矩形の場合には、4か所の隅部12において水平材が90度に曲げて形成してある。
水平枠1の角度変化部11は、隅部12以外の位置で、鉛直方向のボルトで軸止してあり、その鉛直ボルトを中心に回転可能に構成する。
その結果、水平枠1は角度変化部11で鉛直ボルトを中心にその一部を折り曲げて柱Aの周囲に巻きつけることが可能となり、矩形の柱A以外の多角形の柱Aにも適用できることになる。
水平枠1は1本の長尺材で構成することもできるが、長さの調整が可能に構成すると利用範囲が広くなる。
そのために1辺の水平枠1を複数本に分け、相互にスライド可能に構成して、伸長、短縮自在構成する。
伸長、短縮した場合にはボルトなどで拘束して長さを固定する。
水平枠1の1辺は、柱Aの1辺よりも長く形成して、柱Aに巻き付けた場合に、一定の間隔をあけて柱Aの周囲に設置できるように構成する。
【0011】
<4>面取調整ネジ。
水平枠1の隅部12には面取調整ネジ3を取り付ける。
この面取調整ネジ3は、通常のボルト、ナットの組み合わせである。
面取調整ネジ3のナット側を水平枠1に固定した取付台13に溶接し、ボルトが柱Aに向けて前後進可能であるように取り付ける。
柱Aの断面が矩形の場合には、面取調整ネジ3は4か所の隅部12に、隅部12とは45度の角度で交わるように取り付けることになる。
【0012】
<5>支柱兼面取板。
面取調整ネジ3の柱A側の先端には、ネジの軸方向と直交する方向に向けて、支柱兼面取板2をナット21筒を介して取り付ける。
この支柱兼面取板2は縦長の板材であり、鋼製、鉄以外の金属製、木製、合成樹脂製の長尺板で構成することができる。
面取調整ネジ3を回転することによって、支柱兼面取板2は水平枠1の隅部12から離れて柱Aの面取部A1に接近し、あるいは面取部A1から離れて隅部12に接近する。
支柱兼面取板2の縦方向の長さが、対象とする柱の高さに等しい場合には支柱兼面取板2の設置が1回ですむが、短いものを複数回に分けて使用することもできる。
支柱兼面取板2は縦に長い板なので、それと直交する板を補強板として取り付け、平面視L字状に形成することもできる。
支柱兼面取板2は、モルタルなどを増し打ちする柱Aの面取部A1の位置にあり、支柱兼面取板2の水平方向の幅は、面取部A1の幅とほぼ同一となる。
支柱兼面取板2を平面視でL字状に形成した場合には、公知のクランプと称する把持具を利用してL字状の1辺を把持する構成を採用することもできる。
【0013】
<6>厚さ調整ネジ。
水平枠1の隅部12以外の位置に、厚さ調整ネジ4を取り付ける。
この厚さ調整ネジ4は、水平枠1と直交する方向に、すなわち柱Aに向けて前後進可能であるように取り付ける。
そのために厚さ調整ネジ4は通常のボルトを使用し、水平枠1に固定したナット41にねじ込むことによって、柱Aに向けて前進、後退が可能であるように構成する。
【0014】
<7>複数段の水平枠。
水平枠1と支柱兼面取板2は、面取調整ネジ3を介して一体として構成してあるので、1枚の支柱兼面取板2の下段、中段、上段などに、複数段に水平枠1を取り付ける。
【0015】
<8>使用方法。
次に、上記のような構成の定規の使用方法を、断面矩形の柱Aの周囲にモルタルを吹き付ける場合を例として説明する。
【0016】
<9>水平枠の設置。
水平枠1はすべてを結合すると柱Aの周囲を包囲する状態を形成することができる。
水平枠1を柱Aに取り付けるに際しては、角度変化部11のボルトを取り外すことによって一部を開放し、その状態で柱Aの周囲に巻きつけて、再度ボルトで拘束して、柱Aの周囲に配置する。
複数段の水平枠1はすでにその隅部12において、鉛直方向の支柱兼面取板2に取り付けた状態で一体化しているから、複数人で支柱兼面取板2を床面に立てて柱Aの周囲に巻きつければ、水平枠1がずり下がることがなく、その位置は維持できる。
水平枠1の1辺の長さは、柱Aの1辺の長さよりも長いから、一定の間隔を介して、水平枠1を柱Aの周囲に配置することができる。
【0017】
<10>支柱兼面取板の位置調整。
面取調整ネジ3を回転することによって支柱兼面取板2を柱Aから離したり、接近させたりして支柱兼面取板2が、柱Aの面取部A1とほぼ平行に向き合うように設定する。
【0018】
<11>水平枠の平行移動。
水平枠1から柱Aに向けて突出させた厚さ調整ネジ4を回転して、水平枠1を平面的に見てX方向に平行移動させ、次にY方向に平行移動させて微調整を行い、支柱兼面取板2を正確な位置、すなわち柱Aの外形と相似形の位置に設置する。
正確な位置に決まったら、厚さ調整ネジ4を周囲から強く柱Aに押し付けて、それ以降の移動を拘束する。
【0019】
<12>モルタルの吹き付けと仕上げ。
定規を以上の状態に固定したら、
図4に示すようにモルタル5を多少厚めに吹き付ける。
隅部12にも支柱兼面取板2と柱Aとの間には十分な空間があるから、モルタル5を吹き付けることができる。
そしてモルタル5が硬化する前に、
図5に示すように、長い板体を仕上げ板6として使用し、その仕上げ板6の両端を支柱兼面取板2に当てた状態で上下動させる。
すると、余分のモルタル5は仕上げ板6で削り取られて排除され、その後には
図5、6に示すように、支柱兼面取板2と支柱兼面取板2とを結んだ、正確な仕上げ面51を形成することができる。
【0020】
<13>解体。
モルタル5が硬化したら、厚さ調整ネジ4を回転してモルタル5内から引き出す。さらに支柱兼面取板2をモルタル5から引き剥がして取り外すことによって、水平枠1と柱Aとは縁が切れる。
その状態で
図7に示すように水平枠1のボルトを解体して分解する。
このように本発明の定規を構成する部材はすべて柱Aから除去することができ、次の工事に転用することができる。
【0021】
<14>他の実施例。(
図8、9)
上記の実施例では支柱兼面取板2は柱の面取部A1に向けて前進、後退が自在であった。
図8の実施例ではさらに支柱兼面取板2を、柱Aの面取部A1に対して平行方向に位置調整が可能である構成を説明する。
そのために、水平枠1の隅部12に取付台13を設置する。
この取付台13は例えば断面矩形の角パイプを使用するが、その角パイプの中心軸の方向は柱の面取部A1と平行方向である。
一方、面取調整ネジ3のナット側の下面には把持ボルト7を取り付け、把持ボルト7のナット側に固定板71を、ボルト側に移動板72を取り付ける。
すると把持ボルト7の回転によって移動板72が前後にスライドする。
この固定板71と移動板72の間で取付台13を挟む位置を決めれば、面取調整ネジ3の中心軸の位置を決めることができる。
面取調整ネジ3の先端には先端クランプ31を取り付けて、この先端クランプ31で平面視L字形の支柱兼面取板2の一片を把持させる。
先端クランプ31の構造も、
図9に示すようにボルトの回転によって移動板をスライドして固定板との間で支柱兼面取板2の一片を挟むような公知の構造である。
以上のように構成することによって、まず面取調整ネジ3を取付台13に設置する段階で支柱兼面取板2の位置を決めることができ、次に面取調整ネジ3の回転で支柱兼面取板2を前後移動して最適な位置で面取部A1と対向させて設置することができる。