(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明にかかるオーバーヘッド型画像読取装置、画像処理方法、および、プログラムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0018】
[オーバーヘッド型画像読取装置1の構成]
まず、本オーバーヘッド型画像読取装置1の構成について
図1乃至
図3を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るオーバーヘッド型画像読取装置1を示す図であり、回転軸Aと直交する断面図が示されている。
図2は、本実施形態に係るオーバーヘッド型画像読取装置1の斜視図である。
図3は、本実施形態における制御ユニット30の構成の一例を示すブロック図であり、該構成のうち本発明に関係する部分のみを概念的に示している。
【0019】
図1および
図2に示すオーバーヘッド型画像読取装置1は、撮像素子を並列に配置した一次元イメージセンサを備え、読取媒体Sの読取中に光源21の光軸と読取媒体Sとのなす角度が変動するように構成されたオーバーヘッド型スキャナであり、本体10と光学ユニット20と制御ユニット30とを有する。ここで、制御ユニット30は、本体10内部に備えられていてもよく、光学ユニット20内部に備えられていてもよく、オーバーヘッド型画像読取装置1の外部に備えられていてもよい。オーバーヘッド型画像読取装置1は、光学ユニット20の鉛直方向下方の載置面2に載置された読取媒体Sの画像を読み取ることができる。載置面2は、例えば、机の上面等の平面である。本実施形態では、オーバーヘッド型画像読取装置1が載置面2と同一面上に載置される場合を例に説明するが、これに限定されるものではない。オーバーヘッド型画像読取装置1が載置される箇所と、読取媒体Sが載置される載置面2とは異なっていてもよい。一例として、オーバーヘッド型画像読取装置1は、載置面2を有する載置台を備えていてもよい。
【0020】
本体10は、台座部11、支柱部12およびカバー部13を有する。台座部11は、載置面2等に載置されて本体10全体を支持するものであり、本体10の基部である。オーバーヘッド型画像読取装置1の電源スイッチや画像読取開始スイッチ等の操作部材は、例えば台座部11に配置される。台座部11は、例えば、扁平な形状とされており、その下面が載置面2と互いに対向するようにして設置される。本実施形態の台座部11は、扁平な直方体あるいはこれと同様や類似の形状を有しており、幅方向(後述する主走査方向)の長さおよび奥行方向(後述する副走査方向)の長さのいずれよりも鉛直方向の長さが小さい。また、台座部11における幅方向の長さは、奥行方向の長さよりも大きくされてもよい。
【0021】
読取媒体Sは、読取対象であって、台座部11の側方の4面の内の1つの面である前面11aに読取媒体Sの一辺を突き当てるようにして載置される。つまり、読取媒体Sは、一辺が前面11aと平行となるようにして載置面2に載置される。本実施形態においては、矩形の読取媒体Sの一辺を前面11aに突き当てるようにして載置したときの読取媒体Sにおける前面11a側の一辺と平行な方向を「幅方向」と記載する。また、読取媒体Sにおける前面11a側の一辺と直交する辺に平行な方向を「奥行方向」と記載する。つまり、奥行方向とは、ユーザが読取媒体Sを挟んでオーバーヘッド型画像読取装置1と対向しているときのユーザとオーバーヘッド型画像読取装置1とが向かい合う方向である。奥行方向においてユーザが読取媒体Sを挟んでオーバーヘッド型画像読取装置1と向かい合う状態においてユーザに近い側を「手前側」と記載し、ユーザから遠い側を「奥側」と記載する。
【0022】
支柱部12は、台座部11と接続されており、台座部11から鉛直方向上方に向けて延在している。支柱部12は、例えば、断面矩形の柱状もしくは煙突状に形成されている。支柱部12の下部は、鉛直方向下側へ向かうに従い断面積が拡大するテーパ形状に形成されている。支柱部12は、台座部11の上面における1辺側に接続されている。具体的には、支柱部12は、台座部11の上面の縁を形成する4辺のうち読取媒体Sが配置される側と反対側の1辺側に接続されている。言い換えると、支柱部12は、台座部11における読取媒体Sから遠い奥側の端部に接続されている。また、支柱部12は、台座部11における幅方向の中央部に接続されている。
【0023】
カバー部13は、光学ユニット20を回動可能に支持するものであり、光学ユニット20を内部に収納することもできる。カバー部13は、光学ユニット20を鉛直方向上方から覆っている。カバー部13は、例えば、下面に形成された凹部を有し、この凹部に光学ユニット20を収納することができる。カバー部13は、支柱部12の鉛直方向上側の端部と接続されている。カバー部13は、支柱部12から奥行方向の手前側および幅方向の両側へ突出している。すなわち、カバー部13は、支柱部12から読取媒体Sが載置される側へ向けて張り出しており、かつ支柱部12から幅方向の両側に張り出している。
【0024】
オーバーヘッド型画像読取装置1において、台座部11とカバー部13とは鉛直方向において互いに対向しており、両者における奥行方向の読取媒体S側と反対側の端部同士が支柱部12によって接続されている。また、カバー部13は、台座部11よりも奥行方向の手前側に張り出している。つまり、カバー部13の少なくとも一部は、読取媒体Sが台座部11に突き当てるようにして載置面2に載置されると、その読取媒体Sと鉛直方向において互いに対向する。
【0025】
光学ユニット20は、本体10に対して回転軸A周りに回転することができる。回転軸Aは、幅方向に延在している。つまり、回転軸Aは、前面11aと平行である。光学ユニット20は、カバー部13によって回転軸A周りに回動可能に支持されている。また、カバー部13内には、図示しない駆動部が配置されている。駆動部は、光学ユニット20を回転軸A周りに回転させるものである。駆動部は、例えば、電動式のモータと、モータの回転軸と光学ユニット20とを接続するギア部とを有する。モータは、例えば、ステッピングモータであり、光学ユニット20の回転角度を精度良く制御することができる。また、ギア部は、例えば、複数のギアの組合せからなり、モータの回転を減速して光学ユニット20に伝達する。
【0026】
光学ユニット20は、光源21および撮像部22を含み、読取媒体Sの読取中に光源21の光軸と読取媒体Sとのなす角度が変動する。光源21は、読取光源であって、LED等の発光部を有しており、鉛直方向上方から読取媒体Sに光を照射することができる。光源21は、例えば、主走査方向に沿って複数のLEDが直線上に配置されたものであってもよい。光源21は、読取媒体Sにおける読取対象ライン上の画像、すなわち読取画像に対して光を照射する。撮像部22は、撮像素子を並列に配置した一次元イメージセンサであって、例えば、CCD(Charge Coupled Device)を有するイメージセンサであり、載置面2に載置された読取媒体Sを撮像することができる。具体的には、撮像部22は、読取対象ライン上の読取画像によって反射されて撮像部22に入射された反射光を光電変換により電子データに変換して読取画像の画像データを生成する。
【0027】
回転軸Aと直交する半径方向において、光源21は、撮像部22よりも外側に配置されている。光源21の光軸は、回転軸Aと直交する方向である。また、撮像部22の光軸は、回転軸Aの軸方向視において光源21の光軸と同軸上にある。つまり、撮像部22には、回転軸Aの軸方向視において回転軸Aと直交する方向の光が入射し、この入射光がレンズを介して撮像部22の受光面に結像する。
【0028】
撮像部22は、画像を読み取る複数の画素が主走査方向に配列されたラインセンサである。撮像部22は、主走査方向が回転軸Aと平行な状態で光学ユニット20に配置されている。各画素は、レンズによって受光面に結像した読取画像の光を受光し、受光した光に対応する電気信号を出力する。撮像部22は、読取媒体Sの読取対象ライン上の画像を読み取り、主走査方向のライン画像データを生成することができる。なお、撮像部22のラインセンサのライン数は、単数であっても複数であってもよい。
【0029】
オーバーヘッド型画像読取装置1は、光学ユニット20の回転軸A周りの回転位置を調節することにより、読取媒体S上における副走査方向の任意の位置の読取対象ラインの画像を取得することができる。オーバーヘッド型画像読取装置1は、ライン画像データの取得と、光学ユニット20を回転させることによる読取対象ラインの位置調整とを繰り返すことで、読取媒体S全体の画像データを取得することができる。つまり、オーバーヘッド型画像読取装置1は、光源21の照射光が原稿面上を副走査方向に走査し、かつ光が照射されている読取対象ラインの画像を撮像部22が読み取ることによって読取媒体Sの画像を生成する。オーバーヘッド型画像読取装置1は、例えば、奥行方向の奥側から手前側へ順次読取対象ラインの位置を移動させながら各読取対象ラインのライン画像を読み取ることで、読取媒体Sの2次元画像データを生成する。
【0030】
本実施形態に係るオーバーヘッド型画像読取装置1の光学ユニット20では、回転軸Aの軸方向視において、光源21の光軸と撮像部22の光軸とが同軸上にある。光源21および撮像部22は、光学ユニット20内においてそれぞれ位置が固定されており、相互の位置関係が変化することなく、光学ユニット20の回転に伴って回転軸A周りに回転する。つまり、光源21と撮像部22とが互いに独立して駆動制御される場合や、光源21と撮像部22に光を導く反射部材とが独立して駆動制御される場合とは異なり、光源21の照射対象位置と撮像部22の撮像対象位置とのずれが生じることが抑制される。従って、光源21は、撮像部22の撮像対象である読取対象ラインに対して位置精度よく光を照射することができる。例えば、光学ユニット20の回転位置にかかわらず、副走査方向における読取対象ラインの中心と光源21から照射される光の照射幅の中心とを一致させておくことが可能である。よって、本実施形態のオーバーヘッド型画像読取装置1によれば、光量ムラの発生等が抑制され、生成される画質が向上する。
【0031】
また、光源21の照射光と撮像部22の撮像対象位置とのずれの発生が抑制されていることから、光源21の副走査方向の照射幅を狭くし、読取対象ラインに対して光量を集中させることができる。よって、本実施形態のオーバーヘッド型画像読取装置1は、高解像度で読取媒体Sを読み取ることや高速で読取媒体Sを読み取ることが可能である。
【0032】
制御ユニット30は、概略的に、制御部302と記憶部306とを備える。ここで、制御部302は、オーバーヘッド型画像読取装置1の全体を統括的に制御するCPU等である。また、記憶部306は、各種のデータベースやテーブルなどを格納する装置である。これらオーバーヘッド型画像読取装置1の各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。また、光学ユニット20は、入出力制御インターフェース部を介して制御部302等に接続されていてもよい。また、オーバーヘッド型画像読取装置1は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、ネットワークに通信可能に接続されていてもよい。
【0033】
記憶部306は、HDD(Hard Disk Drive)等の固定ディスク装置またはSSD(Solid State Drive)等のストレージ手段であり、各種のデータベースおよびテーブル(補正テーブル306a)を格納する。例えば、記憶部306は、各種処理に用いる各種のプログラム、および、ファイル等を格納してもよい。また、記憶部306は、生成した画像データを格納してもよい。また、記憶部306は、回転軸Aと撮像部22の像面(例えば、センサ面等)との間の距離b、および、撮像部22と光源21との間の距離等のオーバーヘッド型画像読取装置1の仕様情報を記憶していてもよい。
【0034】
これら記憶部306の各構成要素のうち、補正テーブル306aは、読取媒体Sの副走査位置yと補正値とを対応付けて記憶する補正値記憶手段である。ここで、補正値は、読取媒体Sの主走査倍率補正値mであってもよい。また、補正テーブル306aは、制御部302により作成されたものであってもよい。
【0035】
制御部302は、OS(Operating System)等の制御プログラムや、各種の処理手順等を規定したプログラム、および、所要データを格納するための内部メモリを有する。そして、制御部302は、これらのプログラム等により、種々の処理を実行するための情報処理を行う。制御部302は、機能概念的に、変動値取得部302a、補正テーブル作成部302b、および、補正部302cを備える。
【0036】
このうち、変動値取得部302aは、距離または角度の変動値を含む値を取得する変動値取得手段である。ここで、変動値取得部302aは、回転軸Aと載置面2または読取媒体Sとの間の距離である、回転支点の高さhを算出してもよい。また、変動値取得部302aは、読取媒体Sの主走査方向の読取範囲X、主走査方向の読取位置である主走査位置x、副走査方向の読取範囲Y、および、副走査方向の読取位置である副走査位置yを取得してもよい。また、変動値取得部302aは、撮像部22における読取解像度Rr[dpi]を取得してもよい。また、変動値取得部302aは、算出した副走査方向の読取範囲Yに基づき、読取対象ライン数Nrを算出してもよい。
【0037】
また、補正テーブル作成部302bは、読取媒体Sの副走査位置yと補正値とを対応付けて記憶した補正テーブル306aを作成する補正テーブル作成手段である。ここで、補正値は、読取媒体Sの主走査倍率補正値mであってもよい。また、補正テーブル作成部302bは、副走査方向の読取位置である副走査位置y、回転支点の高さh、および、回転軸Aと撮像部22の像面との間の距離bに基づき、1ラインごとの光路長である、撮像部22と読取媒体Sとの距離である物像間距離Lを算出してもよい。また、補正テーブル作成部302bは、基準光路長L
0を算出してもよい。ここで、基準光路長L
0は、L
0=h+bであってもよい。また、補正テーブル作成部302bは、物像間距離Lおよび基準光路長L
0に基づき、読取媒体Sの主走査倍率補正値mを算出してもよい。
【0038】
また、補正部302cは、読取媒体Sの読取後のイメージデータ(入力画像)に存在する主走査方向の歪みを補正する補正手段である。ここで、補正部302cは、出力画像幅w、出力画像長l、出力画像の画像中心(中心画素)c、および、出力画像の解像度Ri[dpi]を取得してもよい。ここで、出力画像幅wは、画素数Npであってもよい。また、出力画像長lは、ライン数Niであってもよい。また、補正部302cは、生成画像の画素座標である生成画素座標aを取得してもよい。また、補正部302cは、生成画素座標aおよび主走査倍率補正値mに基づき、参照画素座標fを算出してもよい。また、補正部302cは、バイリニア補完により生成画素を作成してもよい。ここで、補正部302cは、参照画素座標fをもとに参照画素の2点の比率により階調を算出することで、バイリニア補完により生成画素を作成してもよい。
【0039】
以上で、本オーバーヘッド型画像読取装置1の構成の説明を終える。
【0040】
[オーバーヘッド型画像読取装置1の処理]
次に、このように構成された本実施形態におけるオーバーヘッド型画像読取装置1の処理の一例について、以下に
図4乃至
図15を参照して詳細に説明する。
【0041】
[本発明の実施形態の概要]
まず、
図4乃至
図6を参照して、本発明の実施形態の概要について説明する。
図4は、本実施形態におけるオーバーヘッド型画像読取装置1の処理の一例を示すフローチャートである。
図5および
図6は、本実施形態におけるイメージデータの一例を示す図である。
【0042】
本実施形態は、概略的に、以下の基本的特徴を有する。すなわち、補正テーブル作成部302bは、
図4に示すように、原稿等の読取媒体Sの副走査位置yと、補正値(例えば、主走査倍率補正値m等)と、を対応付けて記憶した補正テーブル306aを作成する(ステップSA−1)。
【0043】
そして、補正部302cは、ステップSA−1にて補正テーブル作成部302bにより作成された補正テーブル306aを用いて、読取媒体Sの読取後のイメージデータに存在する主走査方向の歪み(例えば、樽型歪み等)を補正し(ステップSA−2)、処理を終了する。
【0044】
ここで、
図5および
図6を参照して、本実施形態におけるイメージデータに存在する樽型歪みに対する補正の一例について説明する。
【0045】
補正部302cは、補正テーブル306aを用いて、撮像部22により読み取られた、
図5に示す樽型のイメージデータ(入力イメージデータ)に存在する樽型歪みを補正し、
図6に示す矩形のイメージデータ(期待イメージデータ)を取得している。
【0046】
以上で、本発明の実施形態の概要の説明を終える。
【0047】
[補正テーブル作成処理]
次に、
図7乃至
図9を参照して、本実施形態における主走査倍率補正テーブル作成処理の一例について説明する。
図7は、本実施形態におけるオーバーヘッド型画像読取装置1の処理の一例を示すフローチャートである。
【0048】
図7に示すように、変動値取得部302aは、回転軸Aと読取媒体Sとの間の距離である、回転支点の高さhを取得する(ステップSB−1)。
【0049】
そして、変動値取得部302aは、読取媒体Sの副走査方向の読取範囲Yを取得する(ステップSB−2)。
【0050】
そして、変動値取得部302aは、撮像部22における読取解像度Rr[dpi]を取得する(ステップSB−3)。
【0051】
そして、変動値取得部302aは、ステップSB−2にて取得した読取範囲Y、および、ステップSB−3にて取得した読取解像度Rr[dpi]に基づき、読取対象ライン数Nrを算出する(ステップSB−4)。
【0052】
そして、補正テーブル作成部302bは、読取範囲Yに基づく読取媒体Sの副走査方向の読取位置である副走査位置y、回転支点の高さh、および、回転軸Aと撮像部22の像面との間の距離bに基づき、1ラインごとの光路長である、撮像部22と読取媒体Sとの距離である物像間距離Lを算出する(ステップSB−5)。
【0053】
ここで、
図8を参照して、本実施形態における光路長Lの一例について説明する。
図8は、本実施形態における光路長Lの一例を示す図である。
【0054】
図8に示すように、光路長Lは、読取範囲Yに基づく副走査方向の読取位置である副走査位置y、回転支点の高さh、および、回転軸Aと撮像部(CCD)22の像面との間の距離bを用いて、L=(h
2+y
2)
1/2+bにより求めることができる。
【0055】
図7に戻り、補正テーブル作成部302bは、回転支点の高さh、および、回転軸Aと撮像部22の像面との間の距離bに基づき、基準光路長L
0(=h+b)を算出し、基準光路長L
0に基づき、読取媒体Sの主走査倍率補正値m(=L
0/L)を算出する(ステップSB−6)。そして、補正テーブル作成部302bは、全ての、すなわち、変動値取得部302aにより算出された異なるNr本の読取対象ラインに対して主走査倍率補正値mが算出されていない場合、処理をステップSB−5に移行させる。一方、補正テーブル作成部302bは、変動値取得部302aにより算出された異なるNr本の読取対象ラインに対して主走査倍率補正値mが算出された場合、読取範囲Yに基づく読取媒体Sの副走査方向の読取位置である副走査位置yと当該主走査倍率補正値mとを対応付けて記憶した補正テーブル306a、すなわち、ライン毎の主走査倍率補正テーブルを作成し、処理を終了する。ここで、補正テーブル作成部302bは、基準光路長L
0を100%として主走査倍率補正値mを算出してもよい。また、補正テーブル作成部302bは、物像間距離Lに替えて、前側光路長、すなわち、レンズから原稿までの距離に基づき、主走査倍率補正値mを算出してもよい。
【0056】
ここで、
図9を参照して、本実施形態における補正テーブル306aの一例について説明する。
図9は、本実施形態における補正テーブル306aの一例を示す図である。
【0057】
図9に示すように、補正テーブル306aには、読取媒体Sの副走査方向の読取位置である副走査位置yと当該主走査倍率補正値mとが対応付けて格納されている。
【0058】
以上で、本実施形態における主走査倍率補正テーブル作成処理の一例の説明を終える。
【0059】
[歪み補正処理]
次に、
図10乃至
図15を参照して、本実施形態における歪み補正処理の一例について説明する。
【0060】
[歪み補正処理(その1)]
まず、
図10乃至
図14を参照して、本実施形態における歪み補正処理の一例について説明する。
図10は、本実施形態におけるオーバーヘッド型画像読取装置1の処理の一例を示すフローチャートである。
【0061】
図10に示すように、補正部302cは、歪み補正後の出力画像幅wである画素数Npを取得する(ステップSC−1)。
【0062】
そして、補正部302cは、歪み補正後の出力画像長lであるライン数Niを取得する(ステップSC−2)。
【0063】
そして、補正部302cは、歪み補正後の出力画像の解像度Ri[dpi]を取得する(ステップSC−3)。
【0064】
そして、補正部302cは、取得した出力画像幅wに基づき、出力画像の画像中心cを算出する(ステップSC−4)。
【0065】
ここで、
図11および
図12を参照して、本実施形態における出力画像の画像中心算出処理の一例について説明する。
図11および
図12は、本実施形態における出力画像の画像中心cの期待値の一例を示す図である。
【0066】
図11に示すように、補正部302cは、取得した出力画像幅w=8である場合、画像中心cの期待値をc=w/2+0.5を用いて、c=4.5と算出している。また、
図12に示すように、補正部302cは、取得した出力画像幅w=7である場合、画像中心cの期待値をc=w/2+0.5を用いて、c=4と算出している。ここで、単純に出力画像幅wを2で割った値を画像中心cとした場合、w=8におけるc=8/2=4、および、w=7におけるc=7/2=3.5となり、実際の中心画素とずれてしまうため、出力画像幅wを2で割った値に0.5を足した値を画像中心cとして算出している。
【0067】
図10に戻り、補正部302cは、ライン数Niのラインに対して1ラインごと(例えば、nライン等)の主走査倍率補正値mを補正テーブル306aから取得する(ステップSC−5)。
【0068】
そして、補正部302cは、生成画像の画素座標である生成画素座標aを取得し、生成画素座標aおよび主走査倍率補正値mに基づき、撮像部22により生成された画像データに基づく読取画像の参照画素座標f(=m(a−c)+c)を算出する(ステップSC−6)。すなわち、補正部302cは、副走査位置yに合致した主走査変倍処理をイメージ中心基準にて実施している。
【0069】
ここで、
図13および
図14を参照して、本実施形態における参照画素座標算出処理の一例について説明する。
図13および
図14は、本実施形態における参照画素座標fの一例を示す図である。
【0070】
図13および
図14において、補正部302cは、生成画像の主走査倍率=0.5であり、出力画像(画素)幅w=8である場合、生成画素座標a(1、2、3、4、5、6、7、および、8)、および、画像中心(中心画素)c=4.5に基づき、参照画素座標f(2.75、3.25、3.75、4.25、4.75、5.25、5.75、および、6.25)を算出している。
【0071】
図10に戻り、補正部302cは、参照画素座標fをもとに参照画素の2点の比率により階調を算出することで、バイリニア補完、すなわち、双一次法により生成画素を作成する(ステップSC−7)。そして、補正部302cは、nラインにおいて画素数Np全ての生成画素が作成されていない場合、処理をステップSC−6に移行させ、nラインにおいて画素数Np全ての生成画素が作成された場合、且つ、ステップSC−5にてライン数Niの全てのラインに対して主走査倍率補正値mが補正テーブル306aから取得されていない場合、処理をステップSC−5に移行させる。一方、補正部302cは、nラインにおいて画素数Np全ての生成画素が作成された場合、且つ、ステップSC−5にてライン数Niの全てのラインに対して主走査倍率補正値mが補正テーブル306aから取得された場合、当該生成画素に基づき生成画像を生成し、処理を終了する。
【0072】
以上で、本実施形態における歪み補正処理(その1)の説明を終える。
【0073】
[歪み補正処理(その2)]
更に、
図15を参照して、本実施形態における歪み補正処理の一例について説明する。
図15は、本実施形態におけるオーバーヘッド型画像読取装置1の処理の一例を示すフローチャートである。
【0074】
図15に示すように、補正部302cは、複数のオーバーヘッド型画像読取装置1の光学ユニット20から、各光学ユニット20にて副走査オフセットが調整され、主走査倍率が固定され、副走査倍率が固定され、紙面等速制御が実施されて読み取られた画像の画像データを取得する(ステップSD−1)。このような画像データを光学ユニット20から取得することにより、ソフトウェアによる補正処理の負荷を軽減することができ、複数のオーバーヘッド型画像読取装置1間で補正テーブル306aを共有することができる。
【0075】
ここで、
図15に示す歪み補正処理(その2)におけるステップSD−2乃至ステップSD−8の処理は、
図10に示す歪み補正処理(その1)におけるステップSC−1乃至ステップSC−7の処理と同様であるため説明を省略する。
【0076】
以上で、本実施形態におけるオーバーヘッド型画像読取装置1の処理の説明を終える。
【0077】
[他の実施形態]
さて、これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0078】
例えば、オーバーヘッド型画像読取装置1がスタンドアローンの形態で処理を行う場合を一例に説明したが、オーバーヘッド型画像読取装置1は、PC等の外部機器とネットワークを介して接続可能であり、本発明の方法を実現させるソフトウェア(プログラム、データ等を含む)が実装された当該外部機器からの要求に応じて制御され動作してもよい。また、オーバーヘッド型画像読取装置は、生成した画像データを含む処理結果を外部機器に出力する機能を有していてもよい。
【0079】
また、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0080】
このほか、上記文献中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0081】
また、オーバーヘッド型画像読取装置1に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0082】
例えば、オーバーヘッド型画像読取装置1の各装置が備える処理機能、特に制御部302にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、後述する記録媒体に記録されており、必要に応じてオーバーヘッド型画像読取装置1に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部306などには、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0083】
また、このコンピュータプログラムは、オーバーヘッド型画像読取装置1に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0084】
また、本発明に係るプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USBメモリ、SDカード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM、EEPROM、CD−ROM、MO、DVD、および、Blu−ray Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0085】
また、「プログラム」とは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OS(Operating System)に代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成、読み取り手順、あるいは、読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0086】
記憶部306に格納される各種のデータベース等(補正テーブル306a)は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0087】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じて、または、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。