(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エレベーターの出入口に複数本の検出光を配置し、検出光が遮断されている時にオン信号を、検出光が遮断されていない時にオフ信号を出力するマルチビーム型のドアセンサと、
前記ドアセンサから出力されたオン信号の継続時間を検出するセンサ検知履歴解析手段と、
前記センサ検知履歴解析手段によって検出されたオン信号の継続時間に基づいて、前記出入口に存在する紐状物体の有無を判定する紐状物体検出手段と、
を備え、
前記紐状物体検出手段は、前記センサ検知履歴解析手段によって検出されたオン信号の継続時間が、所定の第1基準値以上で、前記第1基準値よりも長い所定の第2基準値以下の場合に、前記出入口に紐状物体が存在することを検出するエレベーターの紐状物体検出装置。
エレベーターの出入口に複数本の検出光を配置し、検出光が遮断されている時にオン信号を、検出光が遮断されていない時にオフ信号を出力するマルチビーム型のドアセンサと、
前記ドアセンサから出力されたオン信号の継続時間及びオフ信号の継続時間を検出するセンサ検知履歴解析手段と、
前記センサ検知履歴解析手段によって検出されたオン信号の継続時間及びオフ信号の継続時間の双方に基づいて、前記出入口に存在する紐状物体の有無を判定する紐状物体検出手段と、
を備えたエレベーターの紐状物体検出装置。
前記紐状物体検出手段は、前記センサ検知履歴解析手段によって検出されたオン信号の継続時間が、所定の第1基準値以上で、前記第1基準値よりも長い所定の第2基準値以下であり、且つ、そのオン信号の直後のオフ信号の継続時間が、所定の第3基準値以上で、前記第3基準値よりも長い所定の第4基準値以下である場合に、前記出入口に紐状物体が存在することを検出する請求項2に記載のエレベーターの紐状物体検出装置。
前記紐状物体検出手段は、前記センサ検知履歴解析手段によって検出されたオン信号の継続時間が、所定の第1基準値以上で、前記第1基準値よりも長い所定の第2基準値以下であり、且つ、そのオン信号の直後のオフ信号の継続時間が、所定の第3基準値以上で、前記第3基準値よりも長い所定の第4基準値以下であるオンオフ状態の繰り返し回数に基づいて、前記出入口に存在する紐状物体の有無を判定する請求項2に記載のエレベーターの紐状物体検出装置。
前記紐状物体検出手段は、所定時間内に検出された前記オンオフ状態の繰り返し回数が所定の繰り返し基準値に達した場合に、前記出入口に紐状物体が存在することを検出する請求項4に記載のエレベーターの紐状物体検出装置。
前記運行制御装置は、前記紐状物体検出手段によって前記出入口に紐状物体が存在することが検出された場合に、戸閉速度を低下させる、又は、戸開状態を継続させる請求項12に記載のエレベーター装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付の図面を参照して、本発明を詳細に説明する。各図において、同一又は相当する部分には、同一の符号を付している。重複する説明については、適宜簡略化或いは省略している。
【0015】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1におけるエレベーターの紐状物体検出装置を示す構成図である。
図2及び
図3は、
図1に示す紐状物体検出装置の機能を説明するための図である。
【0016】
図1乃至
図3において、1はエレベーターに備えられたマルチビーム型のドアセンサである。ドアセンサ1は、エレベーターの出入口(かご出入口又は乗場出入口)に存在する物体を検出するためのものである。ドアセンサ1には、複数の発光部2と、各発光部2に対応する複数の受光部3と、制御部4とが備えられている。
【0017】
発光部2は、例えば、一方のエレベータードア5a(かごドア又は乗場ドア)の出入口側端部に、上下方向に等間隔に設置される。受光部3は、他方のエレベータードア5bの出入口側端部に、発光部2の配置に合わせて、上下方向に等間隔に設置される。発光部2は、物体の有無を検出するための光(検出光)を、受光部3に向けて水平方向に照射する。発光部2から発せられた検出光は、エレベーターの出入口を横切るように通過した後、対になっている受光部3に入射される。このため、エレベーターの出入口には、所定の高さ毎に検出光が配置される。ドアセンサ1により、出入口全体において(或いは、出入口の所定の高さの範囲に渡って)、物体(障害物)の検出を行うことができる
【0018】
各受光部3による検出光の受光の有無の信号は、制御部4に入力される。
エレベーターの出入口に障害物(人や物等)が存在しない場合、各発光部2からの検出光は、障害物によって遮断されることなく、対応の受光部3に入射される。全ての受光部3において検出光が受光されている場合、制御部4は、出入口に障害物は存在しないとして、その旨のオフ信号を出力する。エレベーターの出入口に障害物が存在する場合、検出光(の一部)は障害物によって遮られ、少なくとも何れかの受光部3において検出光が受光できなくなる。制御部4は、何れかの受光部3において検出光が受光されていない場合、出入口に障害物が存在するとして、その旨のオン信号を出力する。
【0019】
図2は、1人の乗客がエレベーターのかご6(
図1乃至
図3においては図示せず)に乗降する時の状態を示している。乗客がエレベーターの出入口に進入する前は、全ての検出光が遮断されることなく受光部3に入射される。このため、制御部4は、オフ信号を出力する。乗客が出入口に達すると、検出光の一部が、乗客によって遮断される。このため、制御部4は、オン信号を出力する。乗客の身体(や乗客が持つ通常の荷物)は、出入口に配置された検出光の間隔と比較して十分に大きい。このため、乗客が出入口を通過している間は、少なくとも何れかの検出光が遮られ、制御部4は、継続してオン信号を出力する。乗客が出入口を完全に通過すると、全ての検出光が再び受光部3に入射される。このため、制御部4は、何れかの検出光が再び遮られるまで、オフ信号を継続して出力する。
【0020】
図3は、飼い犬に繋がれたリード等、紐状物体がエレベーターの出入口を通過するように配置されている状態を示している。例えば、
図3は、犬の飼い主がエレベーターのかご6に乗る際に、リードに繋がれた飼い犬がかご6に先に乗り込み、リードを持った飼い主がまだエレベーターの乗場にいる状態を示している。
【0021】
リード等の紐状物体は、その径が、出入口に配置された検出光の間隔と比較して小さい。このため、紐状物体が上下の検出光の間に配置されると、紐状物体がエレベーターの出入口を通過するように配置されている場合であっても、全ての検出光が遮断されることなく受光部3に入射される。また、紐状物体は、その紐状物体を持っている人の動き等に合わせて、ある一定の範囲内を不規則に動くことが多い。このため、エレベーターの出入口に紐状物体のみが存在する場合は、一本の検出光が遮られる状態と何れの検出光も遮られていない状態とが繰り返されることが多い。かかる場合、制御部4は、短い間隔でオン信号とオフ信号とを繰り返し出力する。
【0022】
なお、ドアセンサ1の構成は、上記に限られるものではない。上記構成は、マルチビーム型のドアセンサの一例を示している。
マルチビーム型のドアセンサとしては、エレベーターの出入口に複数本の検出光を配置することができ、且つ、何れかの検出光が遮断されている時にオン信号を、全ての検出光が遮断されていない時にオフ信号を出力できれば良い。このような機能を備えていれば、他の構成のドアセンサが採用されていても構わない。例えば、エレベーターの出入口を縦断するように検出光を配置しても良い。出入口を縦断及び横断するように検出光を配置しても良い。反射板等を使用することにより、発光部からの検出光を、所定の方向に反射させた後に受光部に入射させても良い。
【0023】
ドアセンサ1の配置も、上記に限られるものではない。上記配置は、かご6に両開き方式のドア5a及び5bが備えられている場合の一例を示している。
マルチビーム型のドアセンサとして上記機能を実現することができれば、発光部や受光部は、どのように配置されていても構わない。例えば、かご6に両開き方式のドア5a及び5bが備えられている場合に、エレベーターの出入口を形成する縦柱等に発光部及び受光部を設置しても良い。かご6に片開き方式のドアが備えられている場合は、発光部及び受光部の一方をドアの出入口側端部に設置し、戸当り側の縦柱に、発光部及び受光部の他方を設置しても良い。
【0024】
ドアセンサ1(の制御部4)から出力されたオン信号及びオフ信号は、データ蓄積手段7に記録される。下記表1及び2は、データ蓄積手段7に蓄積される信号履歴(ドアセンサ1の検知履歴)の例を示している。
【0027】
表1は、ドアセンサ1から出力される信号の状態が変化した時に、データ蓄積手段7に、ドアセンサ1から出力された信号の状態情報を記録する場合を示している。即ち、ドアセンサ1からの出力がオン信号からオフ信号に切り替わった場合、及び、オフ信号からオン信号に切り替わった場合に、その切り替わった後の信号の状態情報(ON・OFF)が、その時の時刻情報に関連付けてデータ蓄積手段7に記録される。
【0028】
表2は、一定時間が経過する毎に、データ蓄積手段7に、ドアセンサ1から出力された信号の状態情報を記録する場合を示している。表2に示す例では、0.05秒毎に、ドアセンサ1から出力された信号の状態情報(ON・OFF)が、その時の時刻情報に関連付けてデータ蓄積手段7に記録される。
【0029】
8はエレベーターの出入口に紐状物体が存在するか否かの解析を行うための紐状物体解析手段である。以下に、
図4も参照して、紐状物体解析手段8の機能について説明する。
図4は
図1に示す紐状物体解析手段の機能を説明するための図である。
【0030】
紐状物体解析手段8は、ドアセンサ1(の制御部4)から出力されたオン信号及びオフ信号の時系列パターンに基づいて、紐状物体がエレベーターの出入口に存在するか否かを解析する。紐状物体解析手段8には、例えば、センサ検知履歴解析手段9と、紐状物体検出手段10とが備えられている。
【0031】
センサ検知履歴解析手段9は、ドアセンサ1から出力されたオン信号の継続時間(
図4に示すT1)とオフ信号の継続時間(
図4に示すT2)とを検出する機能を有している。例えば、センサ検知履歴解析手段9は、データ蓄積手段7に蓄積されている信号履歴に基づいて、各オン信号の継続時間T1と各オフ信号の継続時間T2とを算出する。
【0032】
図1に示す構成では、ドアセンサ1の検知履歴がデータ蓄積手段7に保存されているため、センサ検知履歴解析手段9は、過去にドアセンサ1から出力された信号についても、その継続時間T1及びT2を検出することができる。
【0033】
これに対し、センサ検知履歴解析手段9が継続時間T1及びT2の検出をリアルタイムで行う場合は、紐状物体検出装置にデータ蓄積手段7が備えられていなくても良い。かかる場合、ドアセンサ1からの出力信号(オン信号及びオフ信号)は、紐状物体解析手段8に直接入力され、必要な僅かな時間だけメモリ上に記憶される。センサ検知履歴解析手段9は、ドアセンサ1からの出力信号と時計手段(図示せず)からの時刻情報とに基づいて、各オン信号の継続時間T1と各オフ信号の継続時間T2とを算出する。
【0034】
紐状物体検出手段10は、エレベーターの出入口に存在する紐状物体の有無を判定する機能を有している。紐状物体検出手段10は、センサ検知履歴解析手段9の検出結果に基づいて、エレベーターの出入口に紐状物体が存在するか否かを特定する。
【0035】
上述したように、エレベーターの出入口に紐状物体が存在する場合は、ドアセンサ1(の制御部4)から、短い間隔でオン信号とオフ信号とが繰り返し出力されることが多い。このため、例えば、紐状物体検出手段10は、オン信号の継続時間T1に基づいて、エレベーターの出入口に存在する紐状物体の有無を判定する。かかる場合、紐状物体検出手段10は、オン信号の継続時間T1が、下記条件(式1)を満たす場合に、エレベーターの出入口に紐状物体が存在することを検出する。
【0036】
TH_T1D≦T1≦TH_T1U …(1)
ここで、TH_T1Dは所定の値(第1基準値)、TH_T1Uは、TH_T1Dよりも長い時間である所定の値(第2基準値)である。TH_T1DやTH_T1Uは、紐状物体解析手段8の記憶手段(図示せず)に予め記憶されている。
【0037】
上記式1が成立しない場合、紐状物体検出手段10は、エレベーターの出入口に紐状物体が存在しないことを検出する。紐状物体検出手段10によって紐状物体が検出されない場合であっても、何れかの検出光が遮断されれば、エレベーターの出入口に存在する障害物(人や物等)の検出は行われる。
【0038】
紐状物体検出手段10は、オン信号の継続時間T1とオフ信号の継続時間T2との双方に基づいて、エレベーターの出入口に存在する紐状物体の有無を判定しても良い。かかる場合、例えば、紐状物体検出手段10は、オン信号の継続時間T1が上記式1を満たし、且つ、そのオン信号の直後のオフ信号の継続時間T2が、下記条件(式2)を満たす場合に、エレベーターの出入口に紐状物体が存在することを検出する。
【0039】
TH_T2D≦T2≦TH_T2U …(2)
ここで、TH_T2Dは所定の値(第3基準値)、TH_T2Uは、TH_T2Dよりも長い時間である所定の値(第4基準値)である。TH_T2DやTH_T2Uは、紐状物体解析手段8の記憶手段に予め記憶されている。
【0040】
以下においては、オン信号の継続時間T1について上記式1が成立し、且つ、その直後のオフ信号の継続時間T2について上記式2が成立する状態のことをオンオフ状態ともいう。
【0041】
オンオフ状態が検出されない場合、紐状物体検出手段10は、エレベーターの出入口に紐状物体が存在しないことを検出する。紐状物体検出手段10によって紐状物体が検出されない場合であっても、何れかの検出光が遮断されれば、エレベーターの出入口に存在する障害物(人や物等)の検出は行われる。
【0042】
紐状物体検出手段10は、オンオフ状態の繰り返し回数NCに基づいて、エレベーターの出入口に存在する紐状物体の有無を判定しても良い。かかる場合、紐状物体検出手段10は、オンオフ状態の繰り返し回数NCが、下記条件(式3)を満たす場合に、エレベーターの出入口に紐状物体が存在することを検出する。
【0043】
NC≧TH_NC …(3)
ここで、TH_NCは所定の値(繰り返し基準値)である。TH_NC=1の場合は、式1及び式2の双方が満足する上記の場合に相当する。
【0044】
オンオフ状態の繰り返し回数NCに基づいて紐状物体の有無を判定する場合は、繰り返し回数NCをカウントする時間的制限を設けても良い。かかる場合、紐状物体検出手段10は、所定の一定時間(
図4に示すT3)内に検出されたオンオフ状態の繰り返し回数NC_T3に基づいて、エレベーターの出入口に存在する紐状物体の有無を判定する。例えば、紐状物体検出手段10は、所定時間T3の間に検出された繰り返し回数NC_T3が、所定の繰り返し基準値TH_NC_T3以上になった場合(式3が成立した場合)に、エレベーターの出入口に紐状物体が存在することを検出する。T3やTH_NC(TH_NC_T3)は、紐状物体解析手段8の記憶手段に予め記憶されている。
【0045】
上記式3が成立しない場合、紐状物体検出手段10は、エレベーターの出入口に紐状物体が存在しないことを検出する。紐状物体検出手段10によって紐状物体が検出されない場合であっても、何れかの検出光が遮断されれば、エレベーターの出入口に存在する障害物(人や物等)の検出は行われる。
【0046】
上記構成を有する紐状物体検出装置であれば、エレベーターの出入口に紐状物体が存在する場合に、その紐状物体の存在を確実に特定することができる。このため、上記構成の紐状物体検出装置を利用すれば、例えば、エレベーターの出入口に存在する障害物が、紐状物体以外の物や人である場合と、紐状物体である場合とにおいて、異なる制御等を実施することが可能となる。また、上記構成の紐状物体検出装置であれば、多くの場合において、エレベーター装置に新たなハード機器を設置することなく、紐状物体の検出を行うことが可能となる。
【0047】
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2におけるエレベーターの紐状物体検出装置を示す構成図である。
図6は
図5に示す紐状物体検出装置の機能を説明するための図である。
【0048】
本実施の形態における紐状物体検出装置には、
図5に示すように、実施の形態1に示す構成に加えて、秤装置11が備えられている。
秤装置11は、エレベーターのかご6の積載荷重を検出する機能を有している。秤装置11による積載荷重の検出値は、データ蓄積手段7に出力される。データ蓄積手段7は、秤装置11による積載荷重の検出値を、ドアセンサ1から出力された信号の状態情報とその時の時刻情報とに関連付けて記録する。
【0049】
紐状物体検出装置が
図5に示す構成を有する場合、紐状物体検出手段10は、上記オンオフ状態の繰り返し回数と秤装置11によって検出されたかご6の積載荷重とに基づいて、エレベーターの出入口に存在する紐状物体の有無を判定する。
【0050】
例えば、紐状物体検出手段10は、オンオフ状態の繰り返し回数NCについて上記式3が成立する場合に、エレベーターの出入口に紐状物体が存在することを検出する。なお、複数の乗客がかご6に飛び乗った時等には、ドアセンサ1から短時間の間にオン信号とオフ信号とが繰り返し出力されてしまうことがある。このような場合に、繰り返し回数NCがカウントされてしまうのでは、紐状物体の検出精度が低下してしまう。そこで、紐状物体検出手段10は、秤装置11によって所定の荷重変動が検出されると、オンオフ状態の繰り返し回数NCをリセットして0に戻す処理を行う。
【0051】
本実施の形態における紐状物体検出手段10の処理内容を、
図6を参照して説明する。
紐状物体検出手段10は、ドアセンサ1からオン信号とオフ信号とが繰り返し出力されることにより、時刻taにおいて繰り返し回数NCを1、時刻tbにおいて繰り返し回数NCを2とカウントする。なお、
図6に示すオン信号とオン信号に挟まれたオフ信号とは、継続時間T1及びT2が上記式1及び式2を満たすものとする。
【0052】
時刻tbの直後の時刻tcにおいて、所定の変動基準値TH_M以上の荷重変動Mが秤装置11によって検出されると、紐状物体検出手段10は、乗客等がかご6に乗った(或いは、かご6から降りた)とみなして、繰り返し回数NCを0にする。
【0053】
かかる構成であれば、乗客等がかご6に乗降する時のドアセンサ1からの出力信号に基づいて繰り返し回数NCがカウントされることを確実に防止することができる。このため、紐状物体の検出精度を向上させることが可能となる。
【0054】
本構成においても、実施の形態1の場合と同様に、繰り返し回数NCをカウントする時間的制限を設けても良い。但し、本構成であれば、繰り返し回数NCをカウントする時間的制限を設けなくても、精度の高い紐状物体の検出が可能である。
また、本紐状物体検出装置にデータ蓄積手段7が備えられていない場合は、秤装置11による積載荷重の検出値を、ドアセンサ1からの出力信号(オン信号及びオフ信号)と同様に、紐状物体解析手段8に直接入力すれば良い。
その他は、実施の形態1と同様の構成を有している。
【0055】
実施の形態3.
以下の実施の形態(実施の形態3乃至6)においては、上記紐状物体検出装置を利用したエレベーター装置について説明する。実施の形態3乃至6では、紐状物体検出装置は、実施の形態1及び2で説明した何れの構成が採用されていても構わない。
【0056】
図7はこの発明の実施の形態3におけるエレベーター装置を示す構成図である。
以下の実施の形態では、一例として、両開き方式のドア5a及び5b(かごドア)を備えたエレベーターのかご6に、マルチビーム型のドアセンサ1を設置した場合について説明する。
【0057】
かご6には、ドアセンサ1の他、秤装置11、かご操作盤12、映像モニタ13、監視カメラ14が備えられている。
ドアセンサ1の制御部4は、発光部2からの発光状態と受光部3による受光状態とに基づいて、オン信号及びオフ信号を運行制御装置15に出力する。秤装置11は、かご6の積載荷重の検出値を運行制御装置15に出力する。
【0058】
運行制御装置15は、エレベーターの運行を制御する機能を有している。かご6の昇降動作やドア5a及び5bの開閉動作は、運行制御装置15によって制御される。例えば、運行制御装置15は、戸閉動作中にドアセンサ1からオン信号が入力されると、ドア5a及び5bを反転させて戸開動作を実施する。また、運行制御装置15は、かご6が乗場に停止している時に秤装置11によって定格荷重以上のかご内負荷が検出されると、降車を促すための所定の動作を実施する。
【0059】
かご操作盤12は、エレベーターの乗客や保守員等が操作するためのものである。かご操作盤12には、表示器や停止階毎の行先ボタン、戸開ボタン、戸閉ボタンが備えられている。行先ボタンや戸開ボタン、戸閉ボタンが押されると、かご操作盤12は、対応する信号を運行制御装置15に出力する。
【0060】
映像モニタ13は、映像を表示してかご6内に情報を提供するためのものである。映像モニタ13は、例えば、後述の映像記録装置16によって表示内容が制御される。
監視カメラ14は、かご6内を撮影するためのものである。監視カメラ14によって撮影された映像のデータは、映像記録装置16に出力される。
【0061】
運行制御装置15、映像モニタ13、監視カメラ14は、映像記録装置16に接続されている。映像記録装置16には、運行データ蓄積手段17、検索指令検知手段18、上述の紐状物体解析手段8、映像データ蓄積手段19、映像データ検索手段20、映像データ出力手段21が備えられている。
【0062】
運行制御装置15は、エレベーターに関する各種運行データを取得すると、それらの運行データを映像記録装置16に出力する。映像記録装置16では、運行制御装置15から入力された運行データを、運行データ蓄積手段17に蓄積する。例えば、ドアセンサ1からの出力信号(オン信号及びオフ信号)や、秤装置11による荷重検出値は、時刻情報に関連付けて運行データ蓄積手段17に蓄積(記憶)される。即ち、実施の形態1及び2におけるデータ蓄積手段7の機能は、運行データ蓄積手段17の一機能によって実現される。
【0063】
検索指令検知手段18は、所定の検索指令を検知する機能を有している。上記検索指令は、エレベーターの保守員やビルの管理者等が、エレベーターの出入口に紐状物体が存在する時のかご内映像を見たい時に入力する指令である。例えば、エレベーターの保守員は、かご操作盤12のボタン(行先ボタン、戸開ボタン、戸閉ボタン)を所定の順番・操作方法で操作することにより、上記検索指令を入力する。即ち、かご操作盤12に対して所定の操作が行われると、その操作情報が運行制御装置15を介して映像記録装置16に入力され、検索指令検知手段18によって検索指令が検知される。また、パソコン等の外部機器を映像記録装置16に接続可能に構成し、この外部機器から検索指令を入力しても良い。更に、検索指令を入力する際に、かご操作盤12や外部機器から検索対象期間を入力できるように構成しても良い。
【0064】
紐状物体解析手段8は、常時は紐状物体の検出を行わず、検索指令検知手段18によって検索指令が検知されると、エレベーターの出入口に存在する紐状物体の有無の判定を行う。具体的に、紐状物体解析手段8は、検索指令検知手段18によって検索指令が検知されると、運行データ蓄積手段17に蓄積されているデータに基づいて、
図8に示す手順で紐状物体の解析を開始する。
【0065】
図8はこの発明の実施の形態3における紐状物体解析手段の動作を示すフローチャートである。
紐状物体解析手段8は、検索指令検知手段18によって検索指令が検知されると、運行データ蓄積手段17に蓄積されている各種運行データの中から、ドアセンサ1から出力された信号の状態情報と、その状態情報に関連付けて記憶されている時刻情報(及び、必要であれば、秤装置11による積載荷重の検出値)とを取り込む(S101)。検索指令とともに検索対象期間が入力された場合、紐状物体解析手段8は、指定(入力)された期間のデータを、運行データ蓄積手段17から取り込む。検索対象期間が入力されていない場合、紐状物体解析手段8は、例えば、運行データ蓄積手段17に記憶されている全期間のデータを取り込む。
【0066】
運行データ蓄積手段17から必要なデータを取り込むと、紐状物体解析手段8は、センサ検知履歴解析手段9によって、センサ検知履歴の解析を開始する(S102)。センサ検知履歴解析手段9は、運行データ蓄積手段17から取り込んだデータに基づいて、上記継続時間T1やT2、時間T3を検出するための経過時間CN_T3、繰り返し回数NCを算出する。
【0067】
紐状物体検出手段10は、センサ検知履歴解析手段9によるセンサ検知履歴の解析が終了すると、その解析結果に基づいて、エレベーターの出入口に存在する紐状物体の有無を判定する(S103)。紐状物体検出手段10は、例えば、上記式1乃至式3の何れかの条件に基づいて紐状物体の存在を検出すると、その時刻(エレベーターの出入口に紐状物体が存在していた時の時刻)の情報を、映像データ検索手段20に出力する(S104)。
【0068】
紐状物体解析手段8は、S101で取り込んだ全てのデータについて上記S102乃至S104の処理を行うと、紐状物体の解析を終了する。
【0069】
映像データ蓄積手段19は、監視カメラ14によって撮影された映像のデータを、その時刻(撮影時刻)の情報に関連付けて蓄積する機能を有している。
【0070】
映像データ検索手段20は、紐状物体検出手段10の検出結果に基づいて、映像データ蓄積手段19に蓄積されている(映像)データの中から、所定の条件に該当するデータを検索する機能を有している。具体的に、映像データ検索手段20は、エレベーターの出入口に紐状物体が存在していた時に監視カメラ14によって撮影された映像のデータを、映像データ蓄積手段19に蓄積されているデータの中から抽出する。例えば、映像データ検索手段20は、紐状物体検出手段10によって紐状物体の存在が検出されて紐状物体解析手段8から時刻情報が入力されると、その時刻に関連付けて記憶されている映像のデータを、映像データ蓄積手段19から取り込む。映像データ検索手段20は、映像データ蓄積手段19に蓄積されているデータの中から該当する映像のデータを抽出すると、抽出した映像データを映像データ出力手段21に出力する。
【0071】
映像データ出力手段21は、映像モニタ13に映像を表示させる機能を有している。映像データ出力手段21は、映像データ検索手段20によって映像データが抽出されると、その抽出された映像データを出力し、映像モニタ13にその映像を表示させる。
【0072】
映像データ出力手段21の映像データの出力先は、映像モニタ13に限られるものではない。例えば、ビルの管理人室にモニタが設置されている場合、映像データ出力手段21は、映像データ検索手段20によって抽出された映像データを、管理人室のモニタに出力しても良い。また、映像データ出力手段21は、管理人室のモニタとかご6内の映像モニタ13との双方に、映像データを出力しても良い。
【0073】
上記構成を有するエレベーター装置であれば、エレベーターの出入口に紐状物体が存在していた時のかご内映像を抽出して、任意のモニタに表示させることができる。例えば、エレベーターの出入口に紐状物体が存在していた時のかご内映像を管理人室のモニタに表示することができれば、その映像を、エレベーターを安全に使用するための注意喚起等に利用することもできる。
【0074】
実施の形態4.
図9はこの発明の実施の形態4におけるエレベーター装置を示す構成図である。
本実施の形態では、映像記録装置16に、運行データ蓄積手段17と映像データ蓄積手段19とを備え、映像確認装置22に、他の主要な機能を備えた場合について説明する。
【0075】
映像記録装置16は、エレベーター装置を構成する一機器である。映像記録装置16は、エレベーターが備えられたビル内に常設されている。
【0076】
映像確認装置22は、常時はビル内に備えられておらず、必要な時にビル内に持ち込まれて、映像記録装置16に接続される。映像確認装置22は、映像記録装置16から必要なデータを取得して、紐状物体の解析や、映像データの抽出(検索)及び出力(表示)を行う機能を有している。映像確認装置22には、紐状物体解析手段8、検索指令検知手段18、映像データ検索手段20、映像データ出力手段21が備えられている。
【0077】
映像確認装置22は、映像記録装置16から運行データや映像データを取得することができ、取得したデータに基づいて紐状物体の解析や映像データの抽出等を行うことができれば、如何なる構成を有していても構わない。映像確認装置22は、専用の端末であっても良いし、所定のソフトウェアが予めインストールされたパーソナルコンピュータであっても良い。映像確認装置22は、サーバーと端末との双方によって構成されていても良い。また、映像確認装置22は、ネットワークやシリアル伝送によって映像確認装置22に接続されても良いし、USBメモリ等の所定の媒体を介してデータを移動できる仕組みが備えられていても良い。
【0078】
検索指令検知手段18は、例えば、映像確認装置22に備えられているキーボードから所定の情報が入力されることにより、検索指令を検知する。紐状物体解析手段8は、検索指令検知手段18によって検索指令が検知されると、映像記録装置16の運行データ蓄積手段17から必要な運行データ(ドアセンサ1からの信号の状態情報や秤装置11による荷重検出値等)を取得して、エレベーターの出入口に存在する紐状物体の有無の判定を行う。
【0079】
映像データ検索手段20は、紐状物体検出手段10の検出結果に基づいて、エレベーターの出入口に紐状物体が存在していた時に監視カメラ14によって撮影された映像のデータを、映像記録装置16の映像データ蓄積手段19から抽出する。映像データ出力手段21は、映像データ検索手段20によって抽出された映像データを、映像確認装置22に備えられているモニタ等に表示させる。
【0080】
上記構成のエレベーター装置であれば、映像記録装置16に接続可能な映像確認装置22によって、紐状物体の解析や、紐状物体に関連する映像の検索を行うことができる。このため、紐状物体解析手段8等の各機能を、エレベーター側に常に備え付けておく必要がない。
その他は、例えば、実施の形態3と同様の構成を有している。
【0081】
実施の形態5.
図10はこの発明の実施の形態5におけるエレベーター装置を示す構成図である。
実施の形態3及び4では、ドアセンサ1による検知履歴や監視カメラ14による映像履歴を映像記録装置16に蓄積しておき、蓄積しておいたデータに基づいて、紐状物体の解析等を行う場合について説明した。本実施の形態では、紐状物体の解析等をリアルタイム処理で行う場合について説明する。
【0082】
運行制御装置15、映像モニタ13、監視カメラ14は、映像制御装置23に接続されている。映像モニタ13は、映像制御装置23によって表示内容が制御される。監視カメラ14によって撮影された映像のデータは、映像制御装置23に出力される。運行制御装置15は、エレベーター装置に関する各種運行データを取得すると、それらの運行データを映像制御装置23に出力する。
【0083】
映像制御装置23には、紐状物体解析手段8と映像データ出力手段21とが備えられている。
紐状物体解析手段8は、エレベーターの出入口に存在する紐状物体の有無の判定を、リアルタイム処理で行う。例えば、紐状物体解析手段8は、運行制御装置15から入力される運行データに基づいて、
図11に示す手順で紐状物体の解析を行う。
【0084】
図11はこの発明の実施の形態5における紐状物体解析手段の動作を示すフローチャートである。
紐状物体解析手段8はドアセンサ1から出力されたオン信号及びオフ信号(及び、必要であれば、秤装置11による積載荷重の検出値)を運行制御装置15から取り込み、現在時刻と一緒にメモリに一時的に保存する(S201)。次に、紐状物体解析手段8は、センサ検知履歴解析手段9によって、センサ検知履歴の解析を行う(S202)。例えば、センサ検知履歴解析手段9は、S201でメモリ上に保存したデータに基づいて、上記継続時間T1やT2、経過時間CN_T3、繰り返し回数NCを算出する。
【0085】
紐状物体検出手段10は、センサ検知履歴解析手段9によるセンサ検知履歴の解析が終了すると、その解析結果に基づいて、エレベーターの出入口に存在する紐状物体の有無を判定する(S203)。また、紐状物体解析手段8は、S202におけるセンサ検知履歴の解析結果(例えば、ドアセンサ1のオン時刻・オフ時刻、継続時間T1及びT2、経過時間CN_T3、繰り返し回数NC_T3等)を、メモリ上に保存する(S204)。
【0086】
S204でメモリ上に保存したデータについては、例えば、経過時間CN_T3が所定値TH_T3を越えた時点で、不要になったものを消去する。例えば、経過時間CN_T3が所定値TH_T3を越えると、直前のドアセンサ1のオフ時間を残し、過去のドアセンサ1のオン時間及びオフ時間や、継続時間T1及びT2、経過時間CN_T3、繰り返し回数NC_T3をメモリ上から削除する。
【0087】
紐状物体検出手段10は、例えば、上記式1乃至式3の何れかの条件に基づいて紐状物体の存在を検出すると、その旨の紐状物体検出信号を、映像データ出力手段21に出力する(S205)。
【0088】
映像データ出力手段21は、例えば、監視カメラ14によって撮影されている現在の映像を、常時映像モニタ13に表示させる。また、映像データ出力手段21は、紐状物体検出手段10から紐状物体検出信号を受信すると、紐状物体の存在を検出した旨の情報を、映像モニタ13に表示させる。紐状物体の存在を検出した旨の情報は、監視カメラ14によって撮影されている映像に重ねて表示しても良いし、上記映像に替えて表示しても良い。
【0089】
上記構成のエレベーター装置であれば、紐状物体の解析をリアルタイムで行うことができ、紐状物体の存在が検出された場合に、乗客に対して注意喚起等を行うことができる。
【0090】
なお、映像データ出力手段21は、紐状物体検出手段10から紐状物体検出信号を受信した場合に、紐状物体の存在を検出した旨の情報を、管理人室のモニタや遠隔の監視センター内のモニタ等に表示させても良い。
その他は、例えば、実施の形態3と同様の構成を有している。
【0091】
実施の形態6.
図12はこの発明の実施の形態6におけるエレベーター装置を示す構成図である。
本実施の形態では、紐状物体の解析等をリアルタイム処理で行い、その解析結果に応じて、エレベーターを適切に制御する場合について説明する。
【0092】
運行制御装置15及び紐状物体解析手段8は、相互に信号の送受信を行うことができるように接続されている。
紐状物体解析手段8は、エレベーターの出入口に存在する紐状物体の有無の判定を、リアルタイム処理で行う。前述したように、紐状物体解析手段8は、運行制御装置15から入力される運行データに基づいて、
図11に示す手順で紐状物体の解析を行う。紐状物体解析手段8は、紐状物体の解析結果(例えば、紐状物体の存在が検出された場合は、紐状物体検出信号)を運行制御装置15に出力する。
【0093】
運行制御装置15は、紐状物体解析手段8の解析結果に基づいて、エレベーターの各種動作を制御する。具体的に、運行制御装置15は、紐状物体検出手段10によってエレベーターの出入口に紐状物体が存在することが検出されると、紐状物体をエレベーターの出入口から移動させる(どかす)ための所定の動作を、各種機器に行わせる。
【0094】
例えば、運行制御装置15は、紐状物体検出手段10によってエレベーターの出入口に紐状物体が存在することが検出されると、ドア5a及び5bが戸閉動作中であれば、戸閉速度を低下させたり、その後にドア5a及び5bを反転させて戸開動作を行わせたりする。また、運行制御装置15は、戸開状態の時に紐状物体の存在が検出されると、戸閉動作を阻止して、戸開状態を継続させる。
【0095】
運行制御装置15は、上記ドア制御とともに(或いは、ドア制御に替えて)、アナウンス制御を行っても良い。24はかご6のかご操作盤12に設けられたアナウンス装置(スピーカ、ブザー等)、25はアナウンス装置24を制御するアナウンス制御部である。運行制御装置15は、紐状物体検出手段10によってエレベーターの出入口に紐状物体が存在することが検出されると、アナウンス制御部25に対して所定の指令を出力し、アナウンス装置24から注意喚起のための報知(アナウンス、ブザーの鳴動等)を行わせる。
【0096】
上記構成のエレベーター装置であれば、紐状物体の存在が検出された際に適切な動作を実施して、紐状物体をエレベーターの出入口から移動させることができる。
その他は、例えば、実施の形態5と同様の構成を有している。