特許第5698657号(P5698657)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5698657ポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール及びポリウレタン樹脂
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698657
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】ポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール及びポリウレタン樹脂
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/26 20060101AFI20150319BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   C08G65/26
   C08G18/48 F
   C08G18/48 Z
【請求項の数】10
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2011-508211(P2011-508211)
(86)(22)【出願日】2010年3月24日
(86)【国際出願番号】JP2010002065
(87)【国際公開番号】WO2010116634
(87)【国際公開日】20101014
【審査請求日】2013年1月9日
(31)【優先権主張番号】特願2009-80808(P2009-80808)
(32)【優先日】2009年3月30日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2009-294484(P2009-294484)
(32)【優先日】2009年12月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118061
【弁理士】
【氏名又は名称】林 博史
(72)【発明者】
【氏名】中南 寛道
(72)【発明者】
【氏名】菅原 将吾
(72)【発明者】
【氏名】安原 修
(72)【発明者】
【氏名】村田 晃一
【審査官】 松岡 弘子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−113219(JP,A)
【文献】 国際公開第2002/026864(WO,A1)
【文献】 特開2000−344881(JP,A)
【文献】 特開平11−060678(JP,A)
【文献】 特開平11−043529(JP,A)
【文献】 特開2003−113239(JP,A)
【文献】 特開2010−077417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 65/26
C08G 18/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性水素含有化合物(H)のアルキレンオキサイド付加物であって、末端に位置する水酸基の40%以上が下記一般式(1)で表される1級水酸基含有基であり、水酸基価xと総不飽和度yとエチレンオキサイド含有量zが数式()の関係を満たすポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール(S)。
【化1】
[一般式(1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基を表し、これらの基はハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。]
y≦18.9×x−2×(100−z)/100 (3)
[数式()中、xは単位mgKOH/gで表される水酸基価、yは単位meq/gで表される総不飽和度を表す。zは、(S)の重量を基準とするエチレンオキサイド含有量(重量%)であり、0〜50である。]
【請求項2】
下記一般式(2)で表される請求項1に記載のポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール。
【化2】
[一般式(2)中、Rは、活性水素含有化合物(H)からm個の活性水素を除いたm価の基;Zは炭素数2〜12のアルキレン基又はシクロアルキレン基であり、これらの基はハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。炭素数2〜12のアルキレン基は下記一般式(3)又は(4)で表される。Aは炭素数3〜12のアルキレン基又はシクロアルキレン基であり、これらの基はハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。炭素数〜12のアルキレン基は下記一般式(5)又は(6)で表される。複数のZ又はAがある場合、それぞれは同一でも異なっていてもよい;mは1((S)がモノオールの場合)又は2〜100の整数((S)がポリオールの場合);pは0又は1〜200の整数、qは1〜200の整数;rは0又は1〜200の整数である。]
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
[一般式(3)及び(4)中、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基であり、これらの基はハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。一般式(5)及び(6)中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基であり、これらの基はハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。]
【請求項3】
一般式(2)中、rが0である請求項2に記載のポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール。
【請求項4】
一般式(2)中の(AO)qの部分のうち、末端に位置するAの構造の40%以上が、一般式(6)で表される構造である請求項2又は3に記載のポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール。
【請求項5】
亜鉛、鉄、コバルト、クロム及びマンガンの合計含有量が2ppm以下である請求項1〜4のいずれかに記載のポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール。
【請求項6】
一般式(2)中、−(AO)q−の部分が、下記一般式(7−1)で表される化合物、(7−2)で表される化合物及び(7−3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の触媒(C)の存在下で、炭素数3〜12のアルキレンオキサイドを開環付加重合させることで得られる請求項2〜5のいずれかに記載のポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール。
【化7】
【化8】
【化9】
[一般式(7−1)、(7−2)又は(7−3)中、それぞれ、Xはホウ素原子又はアルミニウム原子を表す。Fはフッ素原子である。Rは下記一般式(8)で表される(置換)フェニル基又は下記一般式(9)で表される3級アルキル基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【化10】
[一般式(8)中、Yは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を表す。;kは0〜5の数を表し、kが2以上のとき、複数のYはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【化11】
[一般式(9)中、R、R又はRはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
【請求項7】
水酸基価xが10〜115mgKOH/gである請求項1〜6のいずれかに記載のポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール。
【請求項8】
末端に位置する水酸基含有基の60%以上が一般式(1)で表される1級水酸基含有基である請求項1〜7のいずれかに記載のポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール。
【請求項9】
反応槽(1)中で、下記一般式(7−1)で表される化合物、(7−2)で表される化合物及び(7−3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の触媒(C)の存在下、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(t)を連続的又は断続的に系外除去しながら、活性水素化合物(H)にアルキレンオキサイドを付加重合させる工程を含むポリオキシアルキレンポリオール又はモノオールの製造方法。
【化12】
【化13】
【化14】
[一般式(7−1)、(7−2)又は(7−3)中、それぞれ、Xはホウ素原子又はアルミニウム原子を表す。Fはフッ素原子である。Rは下記一般式(8)で表される(置換)フェニル基又は下記一般式(9)で表される3級アルキル基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【化15】
[一般式(8)中、Yは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を表す。;kは0〜5の数を表し、kが2以上のとき、複数のYはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【化16】
[一般式(9)中、R、R又はRはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
【請求項10】
ポリオール成分と有機ポリイソシアネート成分(V)とを反応させて得られる発泡又は非発泡ポリウレタン樹脂であって、ポリオール成分の少なくとも一部として、請求項1〜8のいずれかに記載のポリオキシアルキレンポリオール又はモノオールを用いるポリウレタン樹脂。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール、及びこれを用いたポリウレタン樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ポリオキシアルキレンポリオール又はモノオールは、水酸化カリウム等のアルカリ金属を触媒として用い、活性水素含有化合物にプロピレンオキサイドやエチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加重合させて得られる。アルカリ金属触媒を用いたPOの付加重合においては、POのアリルアルコールへの転位による副生低分子量モノオールが生成する。この副生低分子量モノオールは、ポリオキシアルキレンポリオールの官能基数の低下を引き起してしまい、このようなポリオールを使用したウレタン樹脂は機械物性が低下するという問題点がある。したがって、このような副生低分子量モノオールの生成量を低減すべく、水酸化セシウムや二重金属シアン化物を触媒として使用する方法が知られている。(例えば、特許文献1、2参照。)
【0003】
一方、上記触媒の存在下に、炭素数3以上のAOを付加重合させて得られるポリオキシアルキレンポリオールは、末端水酸基の1級化率が極めて低く(例えば、水酸化カリウムを用いた場合は通常2%以下)、ほとんどの末端水酸基が2級水酸基である。このため、このポリオールは熱硬化性樹脂のポリオール成分としての反応性が不十分である。例えば、イソシアネート基含有化合物(トリレンジイソシアネート等)のイソシアネート基との反応性が低く、ウレタン樹脂のポリオール成分としては反応性が不十分である。
【0004】
イソシアネート基との十分な反応性を確保するためには末端水酸基を1級水酸基とする必要があり、この目的のため炭素数3以上のAOを付加重合させて得られたポリオキシアルキレンポリオールに、さらにEOを付加重合させて末端水酸基を1級水酸基とする方法が知られている。しかしながら、ポリエチレンオキサイド部分が親水性のため、この方法ではポリオキシアルキレンポリオールの疎水性を低下させてしまい、このようなポリオールを使用するとウレタン樹脂の樹脂物性等が湿度により大きく変化してしまうという問題点がある。そこで、特定の触媒を用いることで、末端水酸基中の1級水酸基量を増加させる方法が知られている。(例えば、特許文献3参照。)
【0005】
さらに、まず水酸化セシウムや二重金属シアン化物触媒でAOを付加重合させ、その後、特定の触媒を用いたAOの付加重合を実施することで、副生低分子量モノオールの生成量を低減しつつ、イソシアネート基との反応性を高めたポリオキシアルキレンポリオールを得られることが知られている。(例えば、特許文献4参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−131845号公報
【特許文献2】特開2007−131845号公報
【特許文献3】特許3076032号公報
【特許文献4】特許3688667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記ポリオキシアルキレンポリオールを用いたウレタンエラストマーやウレタンフォームの機械物性と耐湿性は充分であるとは言い難い。
本発明の解決しようとする課題は、機械物性と耐湿性に充分優れたウレタンエラストマー及びウレタンフォームを製造可能なポリオキシアルキレンポリオール及びモノオールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、以上の問題点を解決するために鋭意検討した結果、以下(I)及び(II)に示される発明に到達した。
すなわち本発明は、以下の(I)及び(II)の発明である。
(I)本発明のポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール(S)は、活性水素含有化合物(H)のアルキレンオキサイド付加物であって、末端に位置する水酸基の40%以上が下記一般式(1)で表される1級水酸基含有基であり、水酸基価xと総不飽和度yとエチレンオキサイド含有量zが数式()の関係を満たすことを要旨とする。
【化1】
[一般式(1)中、Rは、水素原子、又はハロゲン原子若しくはアリール基で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を表す。]
y≦18.9×x−2×(100−z)/100 (3)
[数式()中、xは単位mgKOH/gで表される水酸基価、yは単位meq/gで表される総不飽和度を表す。zは、(S)の重量を基準とするエチレンオキサイド含有量(重量%)であり、0〜50である。]
(II)本発明の発泡又は非発泡ポリウレタン樹脂は、ポリオール成分と有機ポリイソシアネート成分(V)とを反応させて得られる発泡又は非発泡ポリウレタン樹脂であって、ポリオール成分の少なくとも一部として、上記(I)のポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール(S)を用いることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール(S)は、副生する低分子量モノオール量が低減され、かつ、ポリウレタン樹脂の製造原料として十分な反応性を持っており、機械物性と耐湿性が良好なウレタン樹脂を得ることができる。
また、本発明の発泡又は非発泡ポリウレタン樹脂は、機械物性と耐湿性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール(S)の水酸基価xと総不飽和度yの関係を示すグラフである。
図2】実施例1の反応装置を示す図である。
図3】実施例2及び6の反応装置を示す図である。
図4】実施例3の反応装置を示す図である。
図5】実施例4の反応装置を示す図である。
図6】比較例1、3、4及び6の反応装置を示す図である。
図7】実施例37のハンドルを示す図である。
図8】実施例37のハンドルの断面を示す図である。
図9】実施例39のインスツルメントパネルを示す図である。
図10】実施例39のインスツルメントパネルの断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、活性水素含有化合物(H)のアルキレンオキサイド付加物であって、末端に位置する水酸基の40%以上が下記一般式(1)で表される1級水酸含有基であり、水酸基価xと総不飽和度yとエチレンオキサイド含有量zが下記数式(1)の関係を満たすポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール(S)である。
【0012】
【化2】
【0013】
y≦28.3×x−2×(100−z)/100 (1)
【0014】
上記数式(1)において、xの範囲は、5〜280mgKOH/gが好ましく、さらに好ましくは10〜115mgKOH/g、特に好ましくは25〜75mgKOH/gである。xが5mgKOH/g以上であれば、ポリオキシアルキレンポリオール又はモノオールの粘度が低いため取り扱いが容易であり、280mgKOH/g以下であれば、合成したウレタン樹脂の伸び物性が良い。なお、xはJISK−1557により求められる。
【0015】
yは、ポリオキシアルキレンポリオール又はモノオールの総不飽和度(meq/g)であり、JISK−1557により求められる。yは、ウレタン樹脂の物性の観点から、0〜0.04以下が好ましく、さらに好ましくは0〜0.03以下、特に好ましくは0〜0.02以下である。
【0016】
またzは、ポリオキシアルキレンポリオール又はモノオールの重量を基準とするエチレンオキサイド含有量(重量%)である。zの範囲は、0〜50であり、好ましくは0〜25、特に好ましくは0〜20である。zが50を超えると得られるポリウレタン樹脂の耐湿性が悪くなる。zは通常の条件でのH−NMR測定により求められる。
【0017】
なお、数式(1)は、水酸基価xの代わりに水酸基当量wを用いて表すことができ、その場合、水酸基当量wと総不飽和度yとエチレンオキサイド含有量zとは数式(2)の関係を満たす。なお水酸基当量wは、w=56100÷xの計算式から求められる。
y≦(9.0×10−9)w×(100−z)/100 (2)
【0018】
前述したように、本発明のポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール(S)の水酸基価xと総不飽和度yとエチレンオキサイド含有量zとの関係は、数式(1)の関係を満たす。
y≦28.3×x−2×(100−z)/100 (1)
本発明のポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール(S)は、イソシアネートとの十分な反応性及び疎水性を持つという特徴がある。この(S)を用いて得られるウレタン樹脂は、製造時の反応性が高く、樹脂の機械物性(硬さ、破断伸び、引張り強度、引裂強度)と耐湿性が良好となる。
【0019】
本発明の(S)は、更に好ましくは、数式(3)の関係を満たす。
y≦18.9×x−2×(100−z)/100 (3)
数式(3)を満たすポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール(S)は、数式(1)を満たすときに比べて不飽和モノオール量が低減されており、このようなポリオキシアルキレンポリオールを用いて製造したポリウレタン樹脂又はウレタンフォームの機械物性は更に向上する。
【0020】
右辺は水酸基価xとエチレンオキサイド含有量zから計算される値である。右辺は、水酸基価xが大きい程小さくなる、すなわち(S)の水酸基当たりの分子量が小さい程小さくなる。また右辺はエチレンオキサイド含有量zが大きい程小さくなる。
上記式(1)及び(3)の左辺は、総不飽和度yである。
ところで、従来のポリオキシアルキレンポリオール又はモノオールの不飽和基は、この製造過程でエチレンオキサイド以外のアルキレンオキサイド(特にプロピレンオキサイド)が転移反応して生成するので、ポリオキシアルキレンポリオール中のエチレンオキサイド含有量が小さいほど不飽和度yが大きくなる傾向があり、分子量が大きい程不飽和度yが大きくなる傾向があることが知られている。したがって、エチレンオキサイド含有量が小さい、又は分子量が大きいポリオキシアルキレンポリオール又はモノオールは、式(1)及び(3)を満たすことが困難な傾向にある。
すなわち、式(1)又は(3)は、水酸基価x及びエチレンオキサイド含有量zに比べて、総不飽和度yが小さい領域を示すものである。なお、上記式(1)及び(3)は、実験的に見出した本発明の効果が得られる範囲を表したものである。
総不飽和度yはOH基当たりの分子鎖長が長くなるほど、すなわち水酸基価xが小さくなるほど指数関数的に高くなる。これはAOの付加反応時に、AOが不飽和化合物に転位する反応速度は一定であるが、系中のOH基濃度が低くなるほど付加反応速度が遅くなるためである。この理論的解析および実験データとのカーブフィッティングから数式(1)及び(3)のx−2に係る係数(28.3及び18.9)を決定した。また図1はEO含有量z=0の場合であるが、EOは転位反応しないため、水酸基からEOを除く部分の分子鎖長に補正する項として(100−z)/100 を追加し、数式(1)とした。
【0021】
本発明のポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール(S)は、活性水素含有化合物(H)のアルキレンオキサイド付加物である。
活性水素化合物(H)としては、水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、チオール基含有化合物、リン酸化合物;分子内に2種以上の活性水素含有官能基を有する化合物;及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0022】
水酸基含有化合物としては、水、1価のアルコール、2〜8価の多価アルコール、フェノール、多価フェノール等が挙げられる。具体的にはメタノール、エタノール、ブタノール及びオクタノール等の1価のアルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン及び1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等の2価アルコール;グリセリン及びトリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリト―ル、ソルビト―ル及びショ糖等の4〜8価のアルコ―ル;フェノール及びクレゾール等のフェノール;ピロガロ―ル、カテコール及びヒドロキノン等の多価フェノ―ル;ビスフェノ―ルA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等のビスフェノ―ル;ポリブタジエンポリオール;ひまし油系ポリオール;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体及びポリビニルアルコール等の多官能(例えば官能基数2〜100)ポリオール等が挙げられる。
なお、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート及び/又はアクリレートを意味し、以下において同様である。
【0023】
アミノ基含有化合物としては、アミン、ポリアミン、アミノアルコール等が挙げられる。具体的には、アンモニア;炭素数1〜20のアルキルアミン(ブチルアミン等)及びアニリン等のモノアミン;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン及びジエチレントリアミン等の脂肪族ポリアミン;ピペラジン及びN−アミノエチルピペラジン等の複素環式ポリアミン;ジシクロヘキシルメタンジアミン及びイソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン;フェニレンジアミン、トリレンジアミン及びジフェニルメタンジアミン等の芳香族ポリアミン;モノエタノ―ルアミン、ジエタノ―ルアミン及びトリエタノ―ルアミン等のアルカノ―ルアミン;ジカルボン酸と過剰のポリアミンとの縮合により得られるポリアミドポリアミン;ポリエーテルポリアミン;ヒドラジン(ヒドラジン及びモノアルキルヒドラジン等)、ジヒドラジッド(コハク酸ジヒドラジッド及びテレフタル酸ジヒドラジッド等)、グアニジン(ブチルグアニジン及び1−シアノグアニジン等);ジシアンジアミド等;並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0024】
カルボキシル基含有化合物としては、酢酸及びプロピオン酸等の脂肪族モノカルボン酸;安息香酸等の芳香族モノカルボン酸;コハク酸及びアジピン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;フタル酸及びトリメリット酸等の芳香族ポリカルボン酸;アクリル酸の(共)重合物等のポリカルボン酸重合体(官能基数2〜100)等が挙げられる。
【0025】
チオール基含有化合物としては、ポリチオール化合物が含まれ、2〜8価の多価チオールが挙げられる。具体的にはエチレンジチオール及び1、6−ヘキサンジチオール等が挙げられる。
リン酸化合物としては燐酸、亜燐酸及びホスホン酸等が挙げられる。
【0026】
これらの活性水素含有化合物(H)のうち、反応性の観点から、水酸基含有化合物及びアミノ基含有化合物が好ましく、特に好ましくは、水、1価のアルコール、多価のアルコール及びアミンである。
【0027】
活性水素含有化合物(H)に付加させるアルキレンオキサイド(以下、AOと略す)としては、炭素数2〜6のAO、例えば、エチレンオキサイド(以下、EOと略す)、1,2−プロピレンオキサイド(以下、POと略す)、1,3−プロピレオキサイド、1,2ブチレンオキサイド及び1,4−ブチレンオキサイド等が挙げられる。これらのうち、性状や反応性の観点から、PO、EO及び1,2-ブチレンオキサイドが好ましい。AOを2種以上使用する場合(例えば、PO及びEO)の付加方法としては、ブロック付加であってもランダム付加であってもよく、これらの併用であってもよい。
【0028】
活性水素含有化合物(H)のアルキレンオキサイド付加物としては、下記一般式(2)で表されるポリオキシアルキレンポリオール又はモノオールが含まれる。
【0029】
【化3】
【0030】
一般式(2)中、Rは、活性水素含有化合物(H)からm個の活性水素を除いたm価の基であり、mは(H)が有する活性水素の数であり、1(モノオール)又は2〜100(ポリオール)の整数である。
mは、(S)の粘度等の性状の観点から、50以下が好ましく、さらに好ましくは10以下である。
【0031】
上記一般式(2)中、Zは下記一般式(3)又は(4)で表される、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい炭素数2〜12のアルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
【0032】
【化4】
【0033】
【化5】
【0034】
一般式(3)及び(4)中、Rは水素原子、又はハロゲン原子若しくはアリール基で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を表す。
【0035】
Zとしては、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、クロロプロピレン基、フェニルエチレン基、1,2−シクロへキシレン基等及びこれらの2種以上の併用が挙げられ、これらのうち(S)の粘度等の性状の観点から、プロピレン基、ブチレン基及びエチレン基が好ましい。得られるポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール(S)の疎水性の確保を考慮に入れる場合は、プロピレン基、ブチレン基等を使用するか、又はエチレン基と他のアルキレン基とを併用すればよい。
【0036】
上記一般式(2)中、Aは下記一般式(5)又は(6)で表される、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい炭素数3〜12のアルキレン基又はシクロアルキレン基である。
【0037】
【化6】
【0038】
【化7】
【0039】
一般式(5)及び(6)中、Rはハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基を表す。
【0040】
Aとしては、具体的には、プロピレン基、ブチレン基、クロロプロピレン基、フェニルエチレン基1,2−シクロへキシレン基及びこれらの2種以上の併用が挙げられる。これらのうち(S)の粘度等の性状の観点から、プロピレン基及びブチレン基が好ましい。
【0041】
複数のZ又はAがある場合、それぞれは同一でも異なっていてもよい。
【0042】
一般式(2)において、p及びrは0又は1〜200の整数である。qは1〜200の整数である。ポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール(S)の粘度の観点から、p+q+rは1〜400の整数が好ましく、さらに好ましくは1〜200の整数である。
【0043】
一般式(2)で表されるもののうち、特にrが0であるものは、ポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール(S)の末端部分にEOが付加されていないことを表す。
【0044】
一般式(2)で表されるもののうち、一般式(2)中の(AO)qの部分のうち、末端に位置するAの構造の40%以上が、一般式(6)で表される構造であることが好ましく、さらに好ましくは60%以上、次にさらに好ましくは65%以上である。この範囲であると、数式(1)の関係を満たしやすくなる。
【0045】
本発明のポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール(S)は、末端に位置する水酸基の40%以上が上記一般式(1)で表される1級水酸基含有基である。
例えば、(S)が上記一般式(2)で表される場合、末端に位置する水酸基含有基としては、上記一般式(1)で表される1級水酸基含有基と、r=0の時に見られる下記一般式(10)で表される2級水酸基含有基の2種類が考えられるが、本発明の(S)は上記一般式(2)中のrの値に関係なく、末端に位置する水酸基の40%以上が上記一般式(1)で表される1級水酸基含有基である。
(S)において、その末端の全水酸基に対して、上記一般式(1)で表される1級水酸基含有基が占める比率(これを本明細書中、1級水酸基率とする。以下において同様である)は、ポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール(S)の全末端水酸基の量を基準として40%以上であり、(S)の反応性の観点から、好ましくは60%以上、さらに好ましくは65%以上である。1級水酸基率が40%未満の場合には、ポリオール成分としての反応性が不十分である。
【0046】
【化8】
【0047】
上記の一般式(1)中のRは水素原子又は、ハロゲン原子若しくはアリール基で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を表し、一般式(10)中のRはハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基を表す。
として、具体的には、水素原子;メチル基、エチル基及びプロピル基等の直鎖アルキル基;イソプロピル基等の分岐アルキル基;フェニル基及びp−メチルフェニル基等の置換フェニル基;クロロメチル基、ブロモメチル基、クロロエチル基及びブロモエチル基等の置換アルキル基;p−クロロフェニル基及びp−ブロモフェニル基等の置換フェニル基;シクロヘキシル基等の環状アルキル基等;並びにこれらの2種以上の併用が挙げられる。Rとして、具体的には、Rで例示した基のうち、水素原子以外のものが挙げられる。
【0048】
本発明において、1級水酸基率は、予め試料をエステル化の前処理した後に、H−NMR法により測定し、算出する。
【0049】
1級水酸基率の測定方法を以下に具体的に説明する。
<試料調製法>
測定試料約30mgを直径5mmのNMR用試料管に秤量し、約0.5mlの重水素化溶媒を加え溶解させる。その後、約0.1mlの無水トリフルオロ酢酸を添加し、分析用試料とする。上記重水素化溶媒としては、例えば、重水素化クロロホルム、重水素化トルエン、重水素化ジメチルスルホキシド及び重水素化ジメチルホルムアミド等であり、試料を溶解させることのできる溶媒を適宜選択する。
<NMR測定>
通常の条件でH−NMR測定を行う。
【0050】
<1級水酸基率の計算方法>
上に述べた前処理の方法により、ポリオキシアルキレンポリオール又はモノオールの末端の水酸基は、添加した無水トリフルオロ酢酸と反応してトリフルオロ酢酸エステルとなる。その結果、1級水酸基が結合したメチレン基由来の信号は4.3ppm付近に観測され、2級水酸基が結合したメチン基由来の信号は5.2ppm付近に観測される(重水素化クロロホルムを溶媒として使用)。1級水酸基率は次の計算式により算出する。
1級水酸基率(%)=[a/(a+2×b)]×100
但し、式中、aは4.3ppm付近の1級水酸基の結合したメチレン基由来の信号の積分値;bは5.2ppm付近の2級水酸基の結合したメチン基由来の信号の積分値である。
【0051】
本発明のポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール(S)の数平均分子量〔ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)による、とくに記さない限り以下の数平均分子量についても同じ〕は、(S)の用途、例えば製造するポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂の要求物性により適宜選択され、特に限定はされないが、ポリウレタン樹脂の物性の観点から、400〜100,000が好ましく、好ましくは400〜20,000である。
【0052】
ポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール(S)の具体例としては、水のPO付加物、メタノールのPO付加物、グリセリンのPO付加物、水のEO・PO共重合付加物、水のPO・ブチレンオキサイド共重合付加物、メタノールのEO・PO共重合付加物、メタノールのPO・ブチレンオキサイド共重合付加物、グリセリンのEO・PO共重合付加物、水のEO・PO・ブチレンオキサイドの共重合付加物、メタノールのEO・PO・ブチレンオキサイドの共重合付加物及びグリセリンのEO・PO・ブチレンオキサイドの共重合付加物等が挙げられる。
【0053】
下記一般式(11)で表される活性水素含有化合物(J)は、通常知られている方法で製造することができ、例えば活性水素含有化合物(H)に炭素数2〜12のアルキレンオキサイドを開環付加重合することにより製造でき、この重合の触媒は特に限定されない。
本発明のポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール(S)は、(J)に炭素数3〜12のアルキレンオキサイドを触媒(C)の存在下で開環付加重合させ下記一般式(12)で表される活性水素化合物(K)とすることで得ることができる。また、必要により、その後、(K)の末端にEOを0〜30重量%開環付加重合してもよい。(K)にEOを開環付加重する際の方法は通常知られている条件で良く、特に触媒は限定されない。EOを(K)の末端に付加重合しない場合は、(K)が(S)であり、得られた(S)の水酸基価xと総不飽和度yが数式(1)の関係を満たしていればよい。
【0054】
【化9】
【0055】
【化10】
【0056】
一般式(11)中、R、Z、p、mは、一般式(2)と同じであり、上述のものを同様に例示することができる。
一般式(12)中、R、Z、A、p、q、mは、一般式(2)と同じであり、上述の物を同様に例示することができる。
【0057】
活性水素含有化合物(J)の具体例としては、pが0の場合は、活性水素含有化合物(H)として上述したものと同様のものが挙げられる。
【0058】
pが1以上の場合は、炭素数2〜12のアルキレンオキサイドを、前述のpが0のもの、すなわち(H)に付加させて得られる化合物が挙げられる。この付加反応時に使用する触媒は限定されない。
例えば、(J)の具体例としては、(H)への、EO、PO及びブチレンオキサイド等の付加物が挙げられ、さらに具体的には、水のEO付加物、水のPO付加物、メタノールのEO付加物、メタノールのPO付加物、グリセリンのEO付加物、グリセリンのPO付加物、アンモニアのエチレンオキサイド付加物、アンモニアのプロピレンオキサイド付加物、水のEO・PO共重合付加物、水のPO・ブチレンオキサイド共重合付加物、メタノールのEO・PO共重合付加物、メタノールのEO・ブチレンオキサイド共重合付加物、メタノールのPO・ブチレンオキサイド共重合付加物、グリセリンのEO・PO共重合付加物、グリセリンのEO・ブチレンオキサイド共重合付加物、グリセリンのPO・ブチレンオキサイド共重合付加物、アンモニアのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド共重合付加物、水のEO・PO・ブチレンオキサイドの共重合付加物、メタノールのEO・PO・ブチレンオキサイドの共重合付加物及びグリセリンのEO・PO・ブチレンオキサイドの共重合付加物、アンモニアのEO・PO・ブチレンオキサイドの共重合付加物等が挙げられる。
【0059】
活性水素含有化合物(K)としては上記活性水素含有化合物(J)に炭素数3〜12のアルキレンオキサイドを付加重合して得られる化合物が挙げられる。本発明のポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール(S)を得られやすいことから、この付加重合で用いられる触媒は触媒(C)であることが好ましい。
例えば(K)は、(J)へのPO、ブチレンオキサイド等の付加物が挙げられる。
【0060】
本発明におけるポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール(S)は、反応性の観点から、亜鉛、鉄、コバルト、クロム及びマンガンの合計含有量が2ppm以下であることが好ましく、より好ましくは1ppm以下である。
【0061】
触媒(C)は下記一般式(7−1)、(7−2)又は(7−3)で表される化合物である。これを用いて炭素数3〜12のアルキレンオキサイドを開環付加重合することにより、収率良く開環重合体が得られ、末端水酸基の1級水酸基率が高いポリオキシアルキレンポリオールが得られるものである。
【0062】
【化11】
【0063】
【化12】
【0064】
【化13】
【0065】
上記一般式(7−1)、(7−2)又は(7−3)中、それぞれ、Xはホウ素原子又はアルミニウム原子を表す。反応性の観点から、ホウ素原子が好ましい。
【0066】
一般式(7−1)、(7−2)又は(7−3)中のRは、下記一般式(8)で表される(置換)フェニル基又は下記一般式(9)で表される3級アルキル基を表し、Rが複数ある場合、複数のRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0067】
【化14】
【0068】
【化15】
【0069】
上記一般式(8)中のYは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を表し、同一でも異なっていてもよい。これらのうち、水素原子、ハロゲン原子及びシアノ基が好ましく、さらに好ましくは、ハロゲン原子及びシアノ基である。
また、kは0〜5の数を表す。
一般式(8)で表されるフェニル基又は置換フェニル基の具体例としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基、p−メチルフェニル基、p−シアノフェニル基及びp−ニトロフェニル基等が挙げられ、好ましくは、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基及びp−シアノフェニル基であり、さらに好ましくはフェニル基、ペンタフルオロフェニル基である。
【0070】
上記一般式(9)中のR、R又はRはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を表し、同一でも異なっていてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。一般式(9)で表される3級アルキル基の具体例としては、t−ブチル基及びt−ペンチル基等が挙げられる。
【0071】
触媒(C)としては、具体的にはトリフェニルボラン、ジフェニル−t−ブチルボラン、トリ(t−ブチル)ボラン、トリフェニルアルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン及びトリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムが挙げられる。
これらのうち触媒活性及び選択性の観点から、トリフェニルボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン及びトリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムが好ましい。
【0072】
活性水素含有化合物(J)に、触媒(C)の存在下で、アルキレンオキサイドを付加させて、活性水素化合物(K)を得る際の付加させるアルキレンオキサイドの付加モル数は、活性水素含有化合物(J)の活性水素当たり、1モル〜200モルが好ましく、さらに好ましくは1〜100モルであり、製造する開環重合体の分子量とその用途により適宜選択する。
【0073】
触媒(C)の使用量は特に限定されないが、製造する開環重合体に対して0.0001〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0.0005〜1重量%である。
【0074】
活性水素含有化合物(J)に、触媒(C)の存在下で、アルキレンオキサイドを付加させて、前述の一般式(12)で表される活性水素化合物(K)を得る際、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(t)を連続的又は断続的に除去することが、前述の数式(1)を満たす本発明の(S)が得られやすく、好ましい。除去する方法は、通常知られているいずれの方法で実施してもよい。例えば、(t)を反応混合物から加熱及び/又は減圧して除去する方法、反応槽内の気相を気相循環ポンプを用いて反応槽から抜き出し(t)を吸着剤で除去する方法、反応槽内の気相を気相循環ポンプを用いて反応槽から抜き出し(t)を触媒を用いて反応させて高沸点化合物として分離する方法、反応槽内の気相を気相循環ポンプを用いて反応槽から抜き出し(t)を蒸留により分離する方法等がある。
【0075】
圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(t)の具体例としては、ホルムアルデヒド(沸点−19℃)、アセトアルデヒド(沸点20℃)、プロピオンアルデヒド(沸点48℃)及びアリルアルコールにAOが0〜2モル付加した化合物等が挙げられる。(t)は、AOを付加する際に、ポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール(S)の重量を基準として、0.0001〜10重量%発生する場合が多い。
【0076】
AOを活性水素含有化合物(J)に付加させる際には、活性水素含有化合物(J)とAOと触媒(C)の3種類を一括で仕込んで反応させてもよいし、活性水素含有化合物(J)と触媒(C)との混合物にAOを滴下して反応させてもよいし、あるいは活性水素含有化合物(J)にAOと触媒(C)とを滴下して反応しても良い。反応温度の制御の観点から、活性水素含有化合物(J)と触媒(C)との混合物にAOを滴下する、あるいは、活性水素含有化合物(J)にAOと触媒(C)とを滴下する方法が好ましい。
【0077】
活性水素含有化合物(J)にAOを付加させる際の反応温度は、0℃〜250℃が好ましく、さらに好ましくは20℃〜180℃である。
【0078】
上記の方法で製造された活性水素化合物(K)は触媒(C)を含んでいるが、その用途により必要に応じて、触媒(C)の分解及び/又は除去処理を実施する。
【0079】
分解方法としては、水及び/又はアルコール化合物、必要によりアルカリ化合物等の塩基性物質を加える方法がある。アルコール化合物としては前述のアルコール及び/又はフェノールを用いることができる。アルカリ化合物としてはアルカリ金属水酸化物(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化セシウム等)、アルカリ金属アルコラート(カリウムメチラート、ナトリウムメチラート等)及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。これらのうち、生産性の観点から、アルカリ金属水酸化物が好ましい。分解に際して、分解温度は、10〜180℃が好ましく、さらに好ましくは80〜150℃である。分解は密閉状態で行ってもよく、真空源に接続して排気しながら行ってもよく、あるいは水又はアルコール化合物を連続して添加しながら行ってもよい。添加する水及び/又はアルコールは、液体の状態で添加してもよく、蒸気あるいは固体状態で添加してもよい。水及び/又はアルコール化合物の使用量は、得られる付加生成物の重量を基準として、0.1〜100重量%が好ましく、さらに好ましくは1〜20重量%である。アルカリ化合物の使用量は、得られる付加生成物の重量を基準として、0.1〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0.3〜2重量%である。
【0080】
除去方法としては、通常知られているいずれの方法で実施してもよい。例えば、ハイドロタルサイト系吸着剤{キョーワード500、キョーワード1000及びキョーワード2000等(いずれも協和化学工業社製)}や珪藻土等のろ過助剤{ラヂオライト600、ラヂオライト800及びラヂオライト900(いずれも昭和化学工業社製)}等を用いることができる。ろ過は、加圧ろ過、減圧ろ過のどちらでもよいが、酸素の混入を防止しやすいので加圧ろ過が好ましい。フィルターの材質は特に限定されない。例えば、紙、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、アクリル及びメタアラミド等が挙げられ、紙が好ましい。また、フィルターの保留粒子径は0.1〜10μmのものが好ましく。さらに1〜5μmのものが好ましい。
【0081】
なお、触媒(C)がポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール(S)中に残存しても、従来のアルカリ系触媒と比較すると、その後の例えばウレタン化反応におけるポリオールとイソシアネートとの反応性には、大きな悪影響を及ぼさない。しかし、ポリウレタン樹脂の着色防止の観点から残存する触媒は分解及び/又は除去することが好ましい。
【0082】
本発明のポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール(S)(とくに2〜8価又はそれ以上のポリオキシアルキレンポリオール)は、各種用途に用いることができるが、発泡又は非発泡ポリウレタン樹脂を製造するのに好適に用いられる。
すなわち、ポリオール成分と有機ポリイソシアネート成分(V)とを、必要により添加剤の存在下反応させて、発泡又は非発泡ポリウレタン樹脂を製造する際、ポリオール成分の少なくとも一部として、ポリオキシアルキレンポリオールポリオール又はモノオール(S)を使用する。
【0083】
ポリオール成分の少なくとも一部として、(S)を用いることには、(S)中でビニルモノマー(g)を重合させて得られる重合体アルコール(W)を使用することも含まれる。
重合体アルコール(W)は、(S)中にポリマー粒子(P)が分散された重合体アルコールである。
重合体アルコール(W)は、(S)(好ましくはポリオキシアルキレンポリオール)中でビニルモノマー(g)を公知の方法で重合して製造することができる。例えば、(S)中で、ラジカル重合開始剤の存在下、ビニルモノマー(g)が重合され、得られた(g)の重合体が安定分散されたものが挙げられる。重合方法の具体例としては、米国特許第3383351号明細書及び特公昭39−25737号公報等に記載の方法が挙げられる。
(g)としては、スチレン及び/又はアクリロニトリルが好ましい。
【0084】
有機ポリイソシアネート成分(V)としては、従来からポリウレタン製造に使用されているものが使用できる。このようなイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらの変性物(例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基、又はオキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0085】
芳香族ポリイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く;以下のイソシアネートも同様)6〜16の芳香族ジイソシアネート、炭素数6〜20の芳香族トリイソシアネート及びこれらのイソシアネートの粗製物等が挙げられる。具体例としては、1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−及び/又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(粗製MDI)、等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜10の脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
【0086】
脂環式ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜16の脂環式ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数8〜12の芳香脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
変性ポリイソシアネートの具体例としては、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI等が挙げられる。
【0087】
本発明のポリウレタン樹脂の製造の際、必要により、以下に述べる添加剤の存在下で反応させてもよい。
ポリウレタンフォームを製造する場合には、発泡剤を使用する。
発泡剤としては、公知の発泡剤が使用でき、例えば、水、水素原子含有ハロゲン化炭化水素、低沸点炭化水素及び液化炭酸ガス等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
水素原子含有ハロゲン化炭化水素の具体例としては、塩化メチレンやHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)タイプのもの(例えばHCFC−123及びHCFC−141b);HFC(ハイドロフルオロカーボン)タイプのもの(例えば、HFC−245fa及びHFC−365mfc)等が挙げられる。
低沸点炭化水素は、沸点が通常−5〜70℃の炭化水素であり、その具体例としては、ブタン、ペンタン、シクロペンタンが挙げられる。
【0088】
ポリオール成分100部に対する発泡剤の使用量は、発泡剤が水の場合は、0.1〜30部が好ましく、さらに好ましくは1〜20部である。水素原子含有ハロゲン化炭化水素は、50部以下が好ましく、さらに好ましくは10〜45部である。低沸点炭化水素は、40部以下が好ましく、さらに好ましくは10〜30部である。液化炭酸ガスは、30部以下が好ましく、さらに好ましくは1〜25部である。
なお、上記及び以下において、部は重量部を意味する。
【0089】
さらに例えば、整泡剤(ジメチルシロキサン系、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン系等)、ウレタン化触媒{3級アミン系触媒(トリエチレンジアミン、N−エチルモルホリン、ジエチルエタノールアミン、N、N、N’、N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジアミノビシクロオクタン、1,2−ジメチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール及び1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデセン−7等)、及び/又は金属触媒(オクチル酸第一スズ、ジラウリル酸ジブチル第二スズ及びオクチル酸鉛等}、着色剤(染料及び顔料)、可塑剤(フタル酸エステル及びアジピン酸エステル等)、有機充填剤(合成短繊維、熱可塑性又は熱硬化性樹脂からなる中空微小球等)、難燃剤(リン酸エステル及びハロゲン化リン酸エステル等)、老化防止剤(トリアゾール及びベンゾフェノン等)、抗酸化剤(ヒンダードフェノール及びヒンダードアミン等)等公知の添加剤の存在下で反応させることができる。
【0090】
ポリオール成分100部に対するこれらの添加剤の使用量に関しては、整泡剤は、10部以下が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5部である。ウレタン化触媒は、10部以下が好ましく、さらに好ましくは0.2〜5部である。着色剤は、1部以下が好ましい。可塑剤は、10部以下が好ましく、さらに好ましくは5部以下である。有機充填剤は、50部以下が好ましく、さらに好ましくは30部以下である。難燃剤は、30部以下が好ましく、さらに好ましくは5〜20部である。老化防止剤は、1部以下が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.5部である。抗酸化剤は、1部以下が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.5部である。添加剤の合計使用量は、50部以下が好ましく、さらに好ましくは0.2〜30部である。
【0091】
本発明のポリウレタン樹脂の製造の際のイソシアネート指数(NCO INDEX)[(NCO基/活性水素原子含有基)の当量比×100]は、80〜150が好ましく、さらに好ましくは85〜135、特に好ましくは90〜130である。
【0092】
また、ポリオール成分と有機ポリイソシアネート成分(V)を反応させる条件は、通常用いられる公知の条件でよい。
一例を示せば、まず、ポリオール成分及び必要により添加剤を所定量混合する。次いで、ポリウレタン低圧又は高圧注入発泡機又は撹拌機を使用して、この混合物とポリイソシアネートとを急速混合する。得られた混合液を密閉型もしくは開放型のモールド(金属製又は樹脂製)に注入し、ウレタン化反応を行わせ、所定時間硬化後、脱型してポリウレタン樹脂を得る。
【実施例】
【0093】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0094】
<実施例1>
図2に示した態様のように、容量2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブと、酸化マグネシウム(顆粒、直径2〜0.1mm)を400g充填した反応塔(2)(ステンレス製円筒管、内径5.5cm、長さ30cmを2基使用)及び蒸留塔(3)(理論段数30段、ステンレス製円筒管、内径5.5cm、長さ2m)を、循環ライン(6)、(7)、(8)で接続した。
反応槽(1)に、グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gを仕込んだ後、オートクレーブ{反応槽(1)}と反応塔(2)及び循環ライン(6)、(7)、(8)内を0.005MPaまで減圧とした。原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が50〜60℃を保つように制御しながら連続的に液相に投入しつつ、ダイアフラムポンプを用いて反応槽(1)内の気相を5L/minの流量で、反応槽(1)→循環ライン(6)→反応塔(2)→循環ライン(7)→蒸留塔(3)→循環ライン(8)→反応槽(1)の順に循環させた。反応塔(2)を75℃、0.08〜0.15MPaとなるように制御しながら副生低沸点化合物を連続的に酸化マグネシウムと接触させて高沸点化合物とし、蒸留塔(3)にてPOと分離する事で系外に除去した。分離した高沸点化合物は蒸留塔(3)の釜下ライン(4)から抜き取った。オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が2000mlとなった時点でPOの投入を停止、気相循環を終了し、70℃で4時間熟成し、水を200g加え130〜140℃で1時間加熱した。1時間加熱後、水を2時間かけて常圧留去したのち、引き続いてスチームを通入しながら圧力を30〜50torrに保ちながら3時間かけて残りの水を減圧留去し液状のグリセリンPO付加物(S−1)を得た。
なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物は既知の方法で合成されたもの、つまり、水酸化カリウムを触媒としてグリセリンにプロピレンオキサイドを所定量付加した後、触媒除去のため、水と合成珪酸塩(協和化学社製 キョーワード600)を加えて加熱処理後、ろ過、減圧脱水したものである。
【0095】
<実施例2>
図3に示した態様のように、容量2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブと、蒸留塔(3)(理論段数50段、ステンレス製円筒管、内径5.5cm、長さ3m)とを、循環ライン(6)、(8)で接続した。
反応槽(1)に、グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gを仕込んだ後、オートクレーブ{反応槽(1)}と反応塔(2)及び循環ライン(6)、(8)内を0.005MPaまで減圧とした。原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が50〜60℃を保つように制御しながら連続的に液相に投入しつつ、ダイアフラムポンプを用いて反応槽(1)内の気相を5L/minの流量で、反応槽(1)→循環ライン(6)→蒸留塔(3)→循環ライン(8)→反応槽(1)の順に循環させた。蒸留塔(3)にて副生低沸点化合物をPOと分離する事で系外に除去した。分離した副生低沸点化合物は蒸留塔(3)の釜下ライン(4)から抜き取った。オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が2000mlとなった時点でPOの投入を停止、気相循環を終了し、70℃で4時間熟成し、水を200g加え130〜140℃で1時間加熱した。1時間加熱後、水を2時間かけて常圧留去したのち、引き続いてスチームを通入しながら圧力を30〜50torrに保ちながら3時間かけて残りの水を減圧留去し液状のグリセリンPO付加物(S−2)を得た。
なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物は実施例1と同じ物を用いた。
【0096】
<実施例3>
図4に示した態様のように、2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブと、モレキュラーシーブ4Aを500g充填した吸着塔(9)(ステンレス製円筒管、内径5.5cm、長さ30cm)を、循環ライン(6)、(8)で接続した。
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gを仕込んだ後、オートクレーブ{反応槽(1)}と吸着塔(9)及びライン(6)、(8)内を0.005MPaまで減圧とした。原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が50〜60℃を保つように制御しながら連続的に投入しつつ、ダイアフラムポンプを用いて反応槽(1)内の気相を5L/minの流量で、反応槽(1)→減圧ライン(6)→吸着塔(9)→循環ライン(8)→反応槽(1)の順に循環させた。吸着塔(9)を25℃、0.1〜0.3MPaとなるように制御しながら副生低沸点化合物を連続的にモレキュラーシーブに吸着させ系外に除去した。オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が2000mlとなった時点でPOの投入を停止、気相循環を終了し、70℃で4時間熟成し、水を200g加え130〜140℃で1時間加熱した。1時間加熱後、水を2時間かけて常圧留去したのち、引き続いてスチームを通入しながら圧力を30〜50torrに保ちながら3時間かけて残りの水を減圧留去し液状のグリセリンPO付加物(S−3)を得た。
なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物は実施例1と同じ物を用いた。
【0097】
<実施例4>
図5に示した態様のように、2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブに、減圧ライン(10)を接続した。オートクレーブ{反応槽(1)}に、グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gとを仕込んだ後、原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が50〜60℃を保つように制御しながら投入した。但し、POの投入は10分間かけて投入した後、減圧ライン(10)より減圧(0.01MPa)とし、15分間低沸点の揮発成分を留去する工程を、20回繰り返して実施した。オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が2000mlとなるまで投入した時点でPOの投入を停止し、70℃で4時間熟成し、水を200g加え130〜140℃で1時間加熱した。1時間加熱後、水を2時間かけて常圧留去したのち、引き続いてスチームを通入しながら圧力を30〜50torrに保ちながら3時間かけて残りの水を減圧留去し液状のグリセリンPO付加物(S−4)を得た。
なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物は実施例1と同じ物を用いた。
【0098】
<実施例5>
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gを用いる代わりに、グリセリンのPO付加物(水酸基価168)666gを用いる以外は、実施例1と同様の方法で合成し、液状のグリセリンPO付加物(S−5)を得た。
なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物(水酸基価168)は既知の方法で合成されたもの、つまり、水酸化カリウムを触媒としてグリセリンにプロピレンオキサイドを所定量付加した後、触媒除去のため、水と合成珪酸塩(協和化学社製 キョーワード600)を加えて加熱処理後、ろ過、減圧脱水したものである。
【0099】
<実施例6>
図2に示した態様のように、容量2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブと、酸化マグネシウム(顆粒、直径2〜0.1mm)を400g充填した反応塔(2)(ステンレス製円筒管、内径5.5cm、長さ30cmを2基使用)、及び、蒸留塔(3)(理論段数30段、ステンレス製円筒管、内径5.5cm、長さ2m)を、循環ライン(6)、(7)、(8)で接続した。
反応槽(1)に、グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gを仕込んだ後、オートクレーブ{反応槽(1)}と反応塔(2)及び循環ライン(6)、(7)、(8)内を0.005MPaまで減圧とした。原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が50〜60℃を保つように制御しながら連続的に液相に投入しつつ、ダイアフラムポンプを用いてオートクレーブ{反応槽(1)}内の気相を5L/minの流量で、反応槽(1)→循環ライン(6)→反応塔(2)→循環ライン(7)→蒸留塔(3)→循環ライン(8)→反応槽(1)の順に循環させた。反応塔(2)を75℃、0.08〜0.15MPaとなるように制御しながら副生低沸点化合物を連続的に酸化マグネシウムと接触させて高沸点化合物とし、蒸留塔(3)にてPOと分離する事で系外に除去した。分離した高沸点化合物は蒸留塔(3)の釜下ライン(4)から抜き取った。オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1920mlとなった時点でPOの投入を停止、気相循環を終了し、70℃で4時間熟成し、水を170g加え130〜140℃で1時間加熱した。水を2時間かけて常圧留去した後、水酸化カリウム2gを加え130〜140℃にてスチームを通入しながら圧力を30〜50torrに保ちながら残りの水を減圧留去した。引き続き、原料供給ライン(5)を通じてEO80gを反応温度が130〜140℃を保つように制御しながら2時間かけて投入した後、2時間熟成した。90℃まで冷却した後、12gのキョーワード600(協和化学社製;合成珪酸塩)と水40gを加え1時間処理した。オートクレーブ{反応槽(1)}より取り出した後、1ミクロンのろ紙を用いてろ過した後、減圧脱水し、液状のグリセリンPOEO付加物(S−6)を得た。
なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物は実施例1と同じ物を用いた。
【0100】
<実施例7>
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gを用いる代わりに、グリセリンのPO付加物(水酸基価168)666gを用いる以外は、実施例6と同様の方法で合成し、液状のグリセリンPOEO付加物(S−7)を得た。
なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物は実施例5と同じ物を用いた。
【0101】
<実施例8>
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gを用いる代わりに、グリセリンのPO付加物(水酸基価280)240gを用いる以外は、実施例1と同様の方法で合成し、液状のグリセリンPO付加物(S−8)を得た。
【0102】
<実施例9>
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gを用いる代わりに、グリセリンのPO付加物(水酸基価168)400gを用いる以外は、実施例2と同様の方法で合成し、液状のグリセリンPO付加物(S−9)を得た。
なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物は実施例5と同じ物を用いた。
【0103】
<実施例10>
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gを用いる代わりに、グリセリンのPO付加物(水酸基価280)240gを用い、「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1920mlとなった時点でPOの投入を停止」の代わりに「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1800mlとなった時点でPOの投入を停止」すること、及び、「EO80g」の代わりに、「EO200g」とする以外は実施例6と同様の方法にて合成し、液状のグリセリンPOEO付加物(S−10)を得た。
【0104】
<実施例11>
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gを用いる代わりに、グリセリンのPO付加物(水酸基価168)400gを用いること以外は、実施例10と同様の方法で合成し、液状のグリセリンPOEO付加物(S−11)を得た。
なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物は実施例5と同じ物を用いた。
【0105】
<実施例12>
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gを用いる代わりに、プロピレングリコールのPO付加物(水酸基価280)400gを用いること以外は、実施例2と同様の方法で合成し、液状のプロピレングリコールPO付加物(S−12)を得た。
なお、プロピレングリコールのPO付加物(水酸基価280)は既知の方法で合成されたもの、つまり、水酸化カリウムを触媒としてプロピレングリコールにプロピレンオキサイドを所定量付加した後、触媒除去のため、水と合成珪酸塩(協和化学社製 キョーワード600)を加えて加熱処理後、ろ過、減圧脱水したものである。
【0106】
<実施例13>
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gを用いる代わりに、プロピレングリコールのPO付加物(水酸基価168)666gを用いること以外は、実施例2と同様の方法で合成し、液状のプロピレングリコールPO付加物(S−13)を得た。
なお、プロピレングリコールのPO付加物(水酸基価168)は既知の方法で合成されたもの、つまり、水酸化カリウムを触媒としてプロピレングリコールにプロピレンオキサイドを所定量付加した後、触媒除去のため、水と合成珪酸塩(協和化学社製 キョーワード600)を加えて加熱処理後、ろ過、減圧脱水したものである。
【0107】
<実施例14>
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gを用いる代わりに、プロピレングリコールのPO付加物(水酸基価280)400gを用い、「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1920mlとなった時点でPOの投入を停止」の代わりに、「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1400mlとなった時点でPOの投入を停止」すること、及び、「EO80g」の代わりに「EO600g」とする以外は実施例6と同様の方法で合成し、液状のプロピレングリコールPOEO付加物(S−14)を得た。
なお、プロピレングリコールのPO付加物(水酸基価280)は実施例12と同じ物を用いた。
【0108】
<実施例15>
プロピレングリコールのPO付加物(水酸基価280)400gを用いる代わりに、プロピレングリコールのPO付加物(水酸基価168)666gを用いること以外は、実施例14と同様の方法で合成し、液状のプロピレングリコールPOEO付加物(S−15)を得た。
なお、プロピレングリコールのPO付加物(水酸基価168)は実施例13と同じ物を用いた。
【0109】
<実施例16>
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gを用いる代わりに、ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価280)267gを用い、「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1920mlとなった時点でPOの投入を停止」の代わりに「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1840mlとなった時点でPOの投入を停止」すること、及び「EO80g」の代わりに、「EO160g」とすること以外は、実施例6と同様の方法で合成し、液状のペンタエリスリトールPOEO付加物(S−16)を得た。
なお、ペンタエリスリトールPO付加物(水酸基価280)は既知の方法で合成されたもの、つまり、水酸化カリウムを触媒としてプロピレングリコールにプロピレンオキサイドを所定量付加した後、触媒除去のため、水と合成珪酸塩(協和化学社製 キョーワード600)を加えて加熱処理後、ろ過、減圧脱水したものである。
【0110】
<実施例17>
ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価280)267gを用いる代わりに、ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価160)466gを用いること以外は、実施例16と同様の方法で合成し、液状のペンタエリスリトールPOEO付加物(S−17)を得た。
なお、ペンタエリスリトールPO付加物(水酸基価160)は既知の方法で合成されたもの、つまり、水酸化カリウムを触媒としてプロピレングリコールにプロピレンオキサイドを所定量付加した後、触媒除去のため、水と合成珪酸塩(協和化学社製 キョーワード600)を加えて加熱処理後、ろ過、減圧脱水したものである。
【0111】
<実施例18>
ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価280)400gを用いる代わりに、ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価280)200gを用いること以外は、実施例16と同様の方法で合成し、液状のペンタエリスリトールPOEO付加物(S−18)を得た。
【0112】
<実施例19>
ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価280)200gを用いる代わりに、ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価160)350gを用いること以外は、実施例18同様の方法で合成し、液状のペンタエリスリトールPOEO付加物(S−19)を得た。
なお、ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価160)は実施例17と同じ物を用いた。
【0113】
<比較例1>
図6に示した態様のように、2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブに、グリセリン80gと水酸化セシウム4.0gを仕込んだ後、原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が90〜100℃を保つように制御しながら投入した。但し、POの投入は6時間かけて連続して実施した。オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が2000mlとなるまで投入した後、100℃で3時間熟成した。次に、30gの合成珪酸塩(キョーワード600、協和化学製)と水40gを加えて90℃で1時間処理した。オートクレーブ{反応槽(1)}より取り出した後、1ミクロンのフィルターで濾過した後2時間脱水し、液状のグリセリンPO付加物を得た。得られたグリセリンPO付加物1530gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gを再びオートクレーブ{反応槽(1)}に仕込んだ後、原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が70〜80℃を保つように制御しながら3時間かけて投入した。オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が2000mlとなるまで投入し、70℃で3時間熟成した。引き続いて、水を200g加え130〜140℃で1時間加熱した。1時間加熱後、水を2時間かけて常圧留去したのち、引き続いてスチームを通入しながら圧力を30〜50torrに保ちながら3時間かけて残りの水を減圧留去し液状のグリセリンPO付加物(n−1)を得た。
【0114】
<比較例2>
水酸化セシウム4.0gの代わりに水酸化カリウムを4.0g用いる以外は比較例1と同様の方法で液状のグリセリンPO付加物(n−2)を得た。
【0115】
<比較例3>
図6に示した態様のように、2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブに、グリセリン61gと水酸化カリウム4.0gを仕込んだ後、原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が90〜100℃を保つように制御しながら投入した。但し、POの投入は6時間かけて連続して実施した。オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が2000mlとなるまで投入した後、100℃で3時間熟成した。次に、30gの合成珪酸塩(キョーワード600、協和化学製)と水40gを加えて90℃で1時間処理した。オートクレーブ{反応槽(1)}より取り出した後、1ミクロンのフィルターで濾過した後2時間脱水し、液状のグリセリンPO付加物(n−3)を得た。
【0116】
<比較例4>
図6に示した態様のように、2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブに、グリセリン84gと水酸化セシウム4.0gを仕込んだ後、原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が90〜100℃を保つように制御しながら投入した。但し、POの投入は6時間かけて連続して実施した。オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が2000mlとなるまで投入した後、100℃で3時間熟成した。次に、30gの合成珪酸塩(キョーワード600、協和化学製)と水40gを加えて90℃で1時間処理した。オートクレーブ{反応槽(1)}より取り出した後、1ミクロンのフィルターで濾過した後2時間脱水し、液状のグリセリンPO付加物を得た。得られたグリセリンPO付加物1460gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gを再びオートクレーブ{反応槽(1)}に仕込んだ後、原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が70〜80℃を保つように制御しながら3時間かけて投入した。オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1920mlとなった時点でPOの投入を停止し、70℃で4時間熟成し、水を170g加え130〜140℃で1時間加熱した。水を2時間かけて常圧留去した後、水酸化カリウム2gを加え130〜140℃にてスチームを通入しながら圧力を30〜50torrに保ちながら残りの水を減圧留去した。引き続き、原料供給ライン(5)を通じてEO80gを反応温度が130〜140℃を保つように制御しながら2時間かけて投入した後、2時間熟成した。90℃まで冷却した後、12gのキョーワード600(協和化学社製;合成珪酸塩)と水40gを加え1時間処理した。オートクレーブ{反応槽(1)}より取り出した後、1ミクロンのろ紙を用いてろ過した後、減圧脱水し、液状のグリセリンPOEO付加物(n−4)を得た。
【0117】
<比較例5>
水酸化セシウム4gの代わりに水酸化カリウムを4g用いる以外は比較例4と同様の方法で液状のグリセリンPOEO付加物(n−5)を得た。
【0118】
<比較例6>
図6に示した態様のように、2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブに、グリセリン61gと水酸化カリウム4.0gを仕込んだ後、原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が90〜100℃を保つように制御しながら投入した。但し、POの投入は6時間かけて連続して実施した。オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1860mlとなるまで投入した後、100℃で3時間熟成した。引き続き、原料供給ライン(5)を通じてEO140gを反応温度が130〜140℃を保つように制御しながら2時間かけて投入した後、2時間熟成した。90℃まで冷却した後、12gのキョーワード600(協和化学社製;合成珪酸塩)と水40gを加え1時間処理した。オートクレーブ{反応槽(1)}より取り出した後、1ミクロンのろ紙を用いてろ過した後減圧脱水し、液状のグリセリンPOEO付加物(n−6)を得た。
【0119】
<比較例7>
グリセリン80gの代わりにグリセリン42gを用いること及び反応槽(1)に仕込むグリセリンPO付加物1530gをグリセリンPO付加物1720gとすること以外は比較例1と同様の方法でグリセリンPO付加物(n−7)を得た。
【0120】
<比較例8>
グリセリン80gの代わりにグリセリン42gを用いること及び反応槽(1)に仕込むグリセリンPO付加物1530gをグリセリンPO付加物1720gとすること以外は比較例2と同様の方法でグリセリンPO付加物(n−8)を得た。
【0121】
<比較例9>
グリセリン61gの代わりにグリセリンを37g用いる以外は比較例3と同様の方法でグリセリンPO付加物(n−9)を得た。
【0122】
<比較例10>
グリセリン84gの代わりにグリセリン48gを用いること、「得られたグリセリンPO付加物1460g」の代わりに「得られたグリセリンPO付加物1520g」とすること、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒としたPO付加反応時のPO投入を「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1920mlとなった時点でPOの投入を停止」する代わりに「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1800mlとなった時点でPOの投入を停止」すること及びEO80gの代わりにEOを200g用いること以外は、比較例4と同様の方法で合成し、液状のグリセリンPOEO付加物(n−10)を得た。
【0123】
<比較例11>
グリセリン84gの代わりにグリセリン48gを用いること、「得られたグリセリンPO付加物1460g」の代わりに「得られたグリセリンPO付加物1520g」とすること、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒としたPO付加反応時のPO投入を「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1920mlとなった時点でPOの投入を停止」する代わりに「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1800mlとなった時点でPOの投入を停止」すること及びEO80gの代わりにEOを200g用いること以外は、比較例5と同様の方法で合成し、液状のグリセリンPOEO付加物(n−11)を得た。
【0124】
<比較例12>
グリセリン61gの代わりにグリセリン37gを用いること、POの投入を「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1860mlとなるまで投入した後」の代わりに「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1400mlとなるまで投入した後」にすること、EO140gの代わりにEOを600g用いること以外は比較例6と同様の方法にてグリセリンPOEO付加物(n−12)を得た。
【0125】
<比較例13>
グリセリン80gの代わりにプロピレングリコール120gを用いること及び反応槽(1)に仕込むグリセリンPO付加物1530gをプロピレングリコールPO付加物1540gとすること以外は比較例1と同様の方法にてプロピレングリコールPO付加物(n−13)を得た。
【0126】
<比較例14>
グリセリン80gの代わりにプロピレングリコール120gを用いること及び反応槽(1)に仕込むグリセリンPO付加物1530gをプロピレングリコールPO付加物1540gとすること以外は比較例2と同様の方法にてプロピレングリコールPO付加物(n−14)を得た。
【0127】
<比較例15>
グリセリン61gの代わりにプロピレングリコール72gを用いること以外は比較例3と同様の方法でグリセリンPO付加物(n−15)を得た。
【0128】
<比較例16>
グリセリン84gの代わりにプロピレングリコール153gを用いること、「得られたグリセリンPO付加物1460g」の代わりに「得られたプロピレングリコールPO付加物940g」とすること、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒としたPO付加反応時のPO投入を「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1920mlとなった時点でPOの投入を停止」する代わりに「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1400mlとなった時点でPOの投入を停止」すること及びEO80gの代わりにEOを600g用いること以外は、比較例4と同様の方法で合成し、液状のプロピレングリコールPOEO付加物(n−16)を得た。
【0129】
<比較例17>
グリセリン84gの代わりにプロピレングリコール153gを用いること、「得られたグリセリンPO付加物1460g」の代わりに「得られたプロピレングリコールPO付加物940g」とすること、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒としたPO付加反応時のPO投入を「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1920mlとなった時点でPOの投入を停止」する代わりに「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1400mlとなった時点でPOの投入を停止」すること及びEO80gの代わりにEOを600g用いること以外は、比較例5と同様の方法で合成し、液状のプロピレングリコールPOEO付加物(n−17)を得た。
【0130】
<比較例18>
グリセリン61gの代わりにグリセリン72gを用いること、POの投入を「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1860mlとなるまで投入した後」の代わりに「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1400mlとなるまで投入した後」にすること及びEO140gの代わりにEOを600g用いること以外は比較例6と同様の方法にてグリセリンPOEO付加物(n−18)を得た。
【0131】
<比較例19>
グリセリン84gの代わりにペンタエリスリトール59gを用いること、「得られたグリセリンPO付加物1460g」の代わりに「得られたペンタエリスリトールPO付加物1530g」とすること、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒としたPO付加反応時のPO投入を「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1920mlとなった時点でPOの投入を停止」する代わりに「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1840mlとなった時点でPOの投入を停止」すること及びEO80gの代わりにEOを160g用いること以外は、比較例4と同様の方法で合成し、液状のペンタエリスリトールPOEO付加物(n−19)を得た。
【0132】
<比較例20>
グリセリン84gの代わりにペンタエリスリトール59gを用いること、「得られたグリセリンPO付加物1460g」の代わりに「得られたペンタエリスリトールPO付加物1610g」とすること、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒としたPO付加反応時のPO投入を「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1920mlとなった時点でPOの投入を停止」する代わりに「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1840mlとなった時点でPOの投入を停止」すること及びEO80gの代わりにEOを160g用いること以外は、比較例5同様の方法で合成し、液状のペンタエリスリトールPOEO付加物(n−20)を得た。
【0133】
<比較例21>
グリセリン61gの代わりにペンタエリスリトール45gを用いること、POの投入を「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1860mlとなるまで投入した後」の代わりに「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1840mlとなるまで投入した後」にすること及びEO140gの代わりにEOを160g用いること以外は比較例6と同様の方法にてペンタエリスリトールPOEO付加物(n−21)を得た。
【0134】
<比較例22>
グリセリン84gの代わりにペンタエリスリトール42gを用いること、「得られたグリセリンPO付加物1460g」の代わりに「得られたペンタエリスリトールPO付加物1610g」とすること、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒としたPO付加反応時のPO投入を「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1920mlとなった時点でPOの投入を停止」する代わりに「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1840mlとなった時点でPOの投入を停止」すること及びEO80gの代わりにEOを160g用いること以外は、比較例4と同様の方法で合成し、液状のペンタエリスリトールPOEO付加物(n−22)を得た。
【0135】
<比較例23>
グリセリン84gの代わりにペンタエリスリトール42gを用いること、「得られたグリセリンPO付加物1460g」の代わりに「得られたペンタエリスリトールPO付加物1610g」とすること、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒としたPO付加反応時のPO投入を「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1920mlとなった時点でPOの投入を停止」する代わりに「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1840mlとなった時点でPOの投入を停止」すること及びEO80gの代わりにEOを160g用いること以外は、比較例5と同様の方法で合成し、液状のペンタエリスリトールPOEO付加物(n−23)を得た。
【0136】
<比較例24>
グリセリン61gの代わりにペンタエリスリトール34gを用いること、POの投入を「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1860mlとなるまで投入した後」の代わりに「オートクレーブ{反応槽(1)}内液量が1840mlとなるまで投入した後」にすること及びEO140gの代わりにEOを160g用いること以外は比較例6と同様の方法にてペンタエリスリトールPOEO付加物(n−24)を得た。
【0137】
実施例1〜19のポリオキシアルキレンポリオールの分析結果を表1に示した。
従来技術であるポリオキシアルキレンポリオールが満足する特許文献4(特許3688667号公報)記載の式1(下記、数式(4))についての検証結果も記載した。
【0138】
y≦(1.9×10−8)w(4)
数式(4)は水酸基当量wと総不飽和度yの関係を表す式であり、本発明における数式(1)、(3)に対応する形、つまり、(S)の水酸基価xと総不飽和度yの関係式に変形すると数式(4’)となる。
y≦60×x−2 (4’)
【0139】
【表1】
【0140】
比較例1〜24のポリオキシアルキレンポリオールの分析結果を表2に示した。上記数式(4)についての検証結果も記載した。
【0141】
【表2】
【0142】
製造したポリオキシアルキレンポリオールの水酸基価及び総不飽和度の測定方法並びにこれらの単位を以下に示す。
水酸基価:JIS K1557 に準拠、単位はmgKOH/g
総不飽和度:JIS K1557に準拠、単位はmeq/g
【0143】
表1、2の中で水酸基当量とは、下数式(5)で定義されるものであり、具体的には、水酸基価xを測定し、56100/水酸基価xにより求めたものである。
(水酸基当量)=(数平均分子量)/(平均水酸基数) (5)
【0144】
表1及び表2の実施例及び比較例中、EO含有量zが0のものについて、図1にグラフで示した。図1に記載しているグラフの軸、符号、曲線について、以下に説明する。
X軸:ポリオキシアルキレンポリオール又はモノオールの水酸基価x
Y軸:ポリオキシアルキレンポリオール又はモノオールの総不飽和度y
○印:本発明の実施例記載のポリオキシアルキレンポリオールであり、末端にEOを含有していないものを表す。
×印:比較例記載のポリオキシアルキレンポリオールであり、末端にEOを含有していないものを表す。
曲線1:本発明の数式1を表す。
曲線2:本発明の数式3を表す。
曲線3:従来技術であるポリオキシアルキレンポリオールに関する特許文献4(特許3688667号公報)記載の式1(数式4’)を表す。
【0145】
<実施例20>
2500mlの攪拌装置、温度制御装置付きの4つ口フラスコに、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(商品名:ミリオネートMT、日本ポリウレタン工業(株)製)162g、実施例12で得たポリオキシアルキレンポリオール(S−12)(分子量2000)412g、エチレングリコール26g、ジメチルホルムアミド1390gを仕込み、70℃でイソシアネートの反応率(消費率)が100%となるまで反応させた。得られたポリウレタン樹脂溶液をガラス板上に伸ばした後、−0.1MPa、60℃で6hr加熱することでウレタン樹脂を得た。反応中のイソシアネート基の反応率は、2時間後に60%、6時間後に89%、8時間後に100%であった。
【0146】
<実施例21>
ポリオキシアルキレンポリオール(S−12)の代わりに、ポリオキシアルキレンポリオール(S−13)を用いる以外は、実施例20と同様の方法でウレタン樹脂を合成した。反応中のイソシアネート基の反応率は、2時間後に59%、6時間後に90%、8時間後に100%であった。
【0147】
<比較例25>
ポリオキシアルキレンポリオール(S−12)の代わりに、ポリオキシアルキレンポリオール(n−13)を用いる以外は、実施例20と同様の方法でウレタン樹脂を合成した。反応中のイソシアネート基の反応率は、2時間後に60%、4時間後に88%、8時間後に100%であった。
【0148】
<比較例26>
ポリオキシアルキレンポリオール(S−12)の代わりに、ポリオキシアルキレンポリオール(n−14)を用いる以外は、実施例20と同様の方法でウレタン樹脂を合成した。反応中のイソシアネート基の反応率は、2時間後に60%、4時間後に88%、8時間後に100%であった。
【0149】
<比較例27>
ポリオキシアルキレンポリオール(S−12)の代わりに、ポリオキシアルキレンポリオール(n−15)を用いる以外は、実施例20と同様の方法でウレタン樹脂を合成した。反応中のイソシアネート基の反応率は、2時間後に30%、4時間後に60%、8時間後86%、16時間後に96%、24時間後に100%であった。
【0150】
実施例20及び21並びに比較例25〜27で得られたポリウレタンエラストマーの物性値を表3に示す。
【0151】
【表3】
【0152】
表3において、本発明実施例20及び21のウレタンエラストマーは、従来技術により得られる比較例25〜27のウレタンエラストマーよりも、機械強度(特に破断伸度、引張破断強度)が向上することが判った。
特に、特許3688667号公報記載の式1(数式4’)を満足する従来技術であるポリオキシアルキレンポリオールを用いて得られるウレタンエラストマー(比較例25)と比較しても、本発明により得られるウレタンエラストマーの機械強度は向上している。
【0153】
<実施例22>
ポリオキシアルキレンポリオール(S−12)の代わりに、ポリオキシアルキレンポリオール(S−14)を用いる以外は、実施例20と同様の方法でウレタン樹脂を合成した。反応中のイソシアネート基の反応率は、2時間後に69%、6時間後に94%、8時間後に100%であった。
【0154】
<実施例23>
ポリオキシアルキレンポリオール(S−12)の代わりに、ポリオキシアルキレンポリオール(S−15)を用いる以外は、実施例20と同様の方法でウレタン樹脂を合成した。反応中のイソシアネート基の反応率は、2時間後に71%、6時間後に95%、8時間後に100%であった。
【0155】
<比較例28>
ポリオキシアルキレンポリオール(S−12)の代わりに、ポリオキシアルキレンポリオール(n−16)を用いる以外は、実施例20と同様の方法でウレタン樹脂を合成した。反応中のイソシアネート基の反応率は、2時間後に70%、4時間後に94%、8時間後に100%であった。
【0156】
<比較例29>
ポリオキシアルキレンポリオール(S−12)の代わりに、ポリオキシアルキレンポリオール(n−17)を用いる以外は、実施例20と同様の方法でウレタン樹脂を合成した。反応中のイソシアネート基の反応率は、2時間後に73%、4時間後に93%、8時間後に100%であった。
【0157】
<比較例30>
ポリオキシアルキレンポリオール(S−12)の代わりに、ポリオキシアルキレンポリオール(n−18)を用いる以外は、実施例20と同様の方法でウレタン樹脂を合成した。反応中のイソシアネート基の反応率は、2時間後に64%、4時間後に90%、8時間後100%であった。
【0158】
実施例22及び23並びに比較例28〜30で得られたポリウレタンエラストマーの物性値を表4に示す。
【0159】
【表4】
【0160】
表4において、本発明実施例22及び23のウレタンエラストマーは、従来技術により得られる比較例28〜30のウレタンエラストマーよりも、機械強度(特に破断伸度、引張破断強度)が向上することが判った。
特に、特許3688667号公報記載の式1(数式4’)を満足する従来技術であるポリオキシアルキレンポリオールを用いて得られるウレタンエラストマー(比較例28)と比較しても、本発明により得られるウレタンエラストマーの機械強度は向上している。
【0161】
<実施例24>
ポリオキシアルキレンポリオール(S−12)の代わりに、ポリオキシアルキレンポリオール(S−8)690gを用いる以外は、実施例20と同様の方法でウレタン樹脂を合成した。反応中のイソシアネート基の反応率は、2時間後に69%、6時間後に94%、8時間後に100%であった。
【0162】
<実施例25>
ポリオキシアルキレンポリオール(S−12)の代わりに、ポリオキシアルキレンポリオール(S−9)690gを用いる以外は、実施例20と同様の方法でウレタン樹脂を合成した。反応中のイソシアネート基の反応率は、2時間後に71%、6時間後に94%、8時間後に100%であった。
【0163】
<比較例31>
ポリオキシアルキレンポリオール(S−12)の代わりに、ポリオキシアルキレンポリオール(n−7)690gを用いる以外は、実施例20と同様の方法でウレタン樹脂を合成した。反応中のイソシアネート基の反応率は、2時間後に70%、4時間後に95%、8時間後に100%であった。
【0164】
<比較例32>
ポリオキシアルキレンポリオール(S−12)の代わりに、ポリオキシアルキレンポリオール(n−8)690gを用いる以外は、実施例20と同様の方法でウレタン樹脂を合成した。反応中のイソシアネート基の反応率は、2時間後に73%、4時間後に93%、8時間後に100%であった。
【0165】
<比較例33>
ポリオキシアルキレンポリオール(S−12)の代わりに、ポリオキシアルキレンポリオール(n−9)690gを用いる以外は、実施例20と同様の方法でウレタン樹脂を合成した。反応中のイソシアネート基の反応率は、2時間後に28%、4時間後に59%、8時間後87%、16時間後に95%、24時間後に100%であった。
【0166】
実施例24及び25並びに比較例31〜33で得られたポリウレタンエラストマーの物性値を表5に示す。
【0167】
【表5】
【0168】
表5において、本発明実施例24及び25のウレタンエラストマーは、従来技術により得られる比較例31〜33のウレタンエラストマーよりも、機械強度(特に破断伸度、引張破断強度)が向上することが判った。
特に、特許3688667号公報記載の式1(数式4’)を満足する従来技術であるポリオキシアルキレンポリオールを用いて得られるウレタンエラストマー(比較例31)と比較しても、本発明により得られるウレタンエラストマーの機械強度は向上している。
【0169】
ポリウレタンエラストマー物性の測定方法及び単位を以下に示す。
引張破断強度 :JIS K6251に準拠、単位はkgf/cm
破断伸度:JIS K6251に準拠、単位は%
100%モジュラス:JIS K6251に準拠、単位はkgf/cm
【0170】
<実施例26〜32、比較例34〜39>
表6及び7に示した発泡処方に従って、下記の発泡条件によりポリウレタンスラブフォームを発泡し、一昼夜放置後ポリウレタンスラブフォームの諸物性を測定した。物性の測定値も表6及び7にそれぞれ記載した。
【0171】
(発泡条件)
BOX SIZE:30cm×30cm×30cm天空き箱
材質:木材
ミキシング方法:ハンドミキシング
【0172】
実施例及び比較例におけるポリウレタンスラブフォームの原料は次の通りである。
1.ウレタン化触媒(c)
(1)ウレタン化触媒(c−1):日東化成(株)社製「ネオスタン U−28」(スタナスオクトエート)
(2)ウレタン化触媒(c−2):東ソー(株)社製「TOYOCAT ET」(ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルの70重量%ジプロピレングリコール溶液)
(3)ウレタン化触媒(c−3):エアプロダクツジャパン(株)社製「DABCO−33LV」(トリエチレンジアミンの33重量%ジプロピレングリコール溶液)
【0173】
2.発泡剤(d)
(1)発泡剤(d−1):水
(2)発泡剤(d−2):塩化メチレン
【0174】
3.整泡剤(e)
(1)整泡剤(e−1):東レ・ダウコーニング(株)社製「L−540」
【0175】
4.イソシアネート
TDI:日本ポリウレタン工業(株)社製「コロネート T−80」(トリレンジイソシアネート)
【0176】
【表6】
【0177】
【表7】
【0178】
・フォーム物性の測定方法及び単位を以下に示す。
コアー密度 :JIS K6400に準拠、単位はkg/m
硬さ(25%−ILD):JIS K6400に準拠、単位はN/314cm
引張強度:JIS K6400に準拠、単位はkgf/cm
伸び率:JIS K6400に準拠、単位は%
引裂強度:JIS K6400に準拠、単位はkgf/cm
圧縮残留歪率 :JIS K6400に準拠、単位は%
湿熱圧縮残留歪率 :JIS K6400に準拠、単位は%
【0179】
表6において、本発明実施例26〜30のウレタンフォームは、従来技術により得られる比較例34〜36のウレタンフォームよりも、フォーム物性、特にフォーム硬さや湿熱圧縮残留歪率が向上する。
特に、特許3688667号公報記載の式1(数式4’)を満足する従来技術であるポリオキシアルキレンポリオールを用いて得られるウレタンフォーム(比較例34)と比較しても、本発明により得られるウレタンフォームのフォーム物性は向上している。
【0180】
表7においても、本発明実施例31〜32のウレタンフォームは、従来技術により得られる比較例37〜39のウレタンフォームよりも、フォーム物性、特にフォーム硬さや湿熱圧縮残留歪率が向上する。
特に、特許3688667号公報記載の式1(数式4’)を満足する従来技術であるポリオキシアルキレンポリオールを用いて得られるウレタンフォーム(比較例37)と比較しても、本発明により得られるウレタンフォームのフォーム物性は向上している。
【0181】
<実施例33〜36、比較例40〜45>
表8及び9に示した発泡処方に従って、下記の発泡条件により軟質ポリウレタンフォームを金型内で発泡してフォームを形成後、金型から取り出し一昼夜放置後の軟質ポリウレタンフォーム諸物性を測定した。物性の測定値も表8及び9にそれぞれ記載している。
【0182】
(発泡条件)
金型SIZE:40cm×40cm×10cm(高さ)
金型温度:65℃
金型材質:アルミ
ミキシング方法:高圧ウレタン発泡機(ポリマーエンジニアリング社製)ポリオールプレミックスとイソシアネートとを15MPaで混合
【0183】
実施例33〜36及び比較例40〜45における軟質ポリウレタンフォームの原料は、ポリウレタンスラブフォームの実施例及び比較例で示した物を使用し、それ以外の物は次の通りである。
3.整泡剤(e)
(2)整泡剤(e−2):東レ・ダウコーニング(株)社製「SZ−1346」
【0184】
4.イソシアネート
日本ポリウレタン工業(株)社製「CE−729」(TDI−80(2,4−及び2,6−TDI、2,4−体の比率が80%/粗製MDI(平均官能基数:2.9)=80/20(重量比))
【0185】
5.ポリオール(p)
(1)ポリオール(p−1):グリセリンにPOとEOをブロック付加させて得られた平均官能基数3.0、水酸基価34、EO単位の合計=20%のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール
(2)重合体ポリオール(p−2):グリセリンにPOとEOをブロック付加させて得られた平均官能基数3.0、水酸基価34、EO単位の合計=14%のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール中で、スチレンとアクリロニトリル(重量比:30/70)を共重合させた重合体ポリオール(重合体含量30%)水酸基価24
(3)ポリオール(p−3):グリセリンにPOとEOをランダム付加させて得られた平均官能基数3.0、水酸基価24、EO単位の合計=72%のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール
(4)ポリオール(p−4):ソルビトールにPOを付加させて得られた平均官能基数6.0、水酸基価1250のポリオキシプロピレンポリオール
(5)ポリオール(p−5):トリエタノールアミン
(6)ポリオール(p−6):グリセリンにPOとEOをブロック付加させて得られた平均官能基数3.0、水酸基価28、EO単位の合計=16%のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール
(7)ポリオール(p−7):エチレングリコール
【0186】
【表8】
【0187】
【表9】
【0188】
・フォーム物性の測定方法及び単位を以下に示す。
コアー密度 :JIS K6400に準拠、単位はkg/m
硬さ(25%−ILD):JIS K6400に準拠、単位はN/314cm
引張強度:JIS K6400に準拠、単位はkgf/cm
伸び:JIS K6400に準拠、単位は%
引裂強度:JIS K6400に準拠、単位はkgf/cm
反発弾性:JIS K6400に準拠、単位は%
圧縮残留歪率 :JIS K6400に準拠、単位は%
湿熱圧縮残留歪率 :JIS K6400に準拠、単位は%
【0189】
表8において、本発明実施例33及び34のウレタンフォームは、従来技術により得られる比較例40〜42のウレタンフォームよりも、フォーム物性、特にフォーム硬さや湿熱圧縮残留歪率が向上する。
特に、特許3688667号公報記載の式1を満足する従来技術であるポリオキシアルキレンポリオールを用いて得られるウレタンフォーム(比較例40)と比較しても、本発明により得られるウレタンフォームのフォーム物性は向上している。
【0190】
表9においても、本発明実施例35及び36のウレタンフォームは、従来技術により得られる比較例43〜45のウレタンフォームよりも、フォーム物性、特にフォーム硬さや湿熱圧縮残留歪率が向上する。
特に、特許3688667号公報記載の式1を満足する従来技術であるポリオキシアルキレンポリオールを用いて得られるウレタンフォーム(比較例43)と比較しても、本発明により得られるウレタンフォームのフォーム物性は向上している。
【0191】
<実施例37,38、比較例46〜48>(ハンドルの製造と評価)
表10に示した発泡処方に従って、予め鉄心をセットした金型内で下記の発泡条件により密度0.5g・cmの半硬質ポリウレタンフォームを得た。性能試験の評価結果を表10に示す。ハンドルの全体図は図7図7中の破線部での断面図を図8で示した。
【0192】
(発泡条件)
金型内寸:内径28mm
金型温度:40℃
金型材質:アルミ
ミキシング方法:高圧ウレタン発泡機(ポリマーエンジニアリング社製)ポリオールプレミックスとイソシアネートとを15MPaで混合
【0193】
実施例37及び38並びに比較例46〜48における半硬質ポリウレタンフォームの原料は、これまでの実施例及び比較例で示した物を使用し、それ以外は次の通りである。
1.ウレタン化触媒(c)
(4)ウレタン化触媒(c−4):東ソー(株)社製「TOYOCAT ETF」
【0194】
4.イソシアネート
ポリプロピレングリコール(Mn=2000)で変性したMDI、NCO%=26.5の有機ポリイソシアネート
【0195】
5.ポリオール
(8)重合体ポリオール(p−8):グリセリンにPOとEOをブロック付加させて得られた平均官能基数3.0、水酸基価34、EO単位の合計=14%のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール中で、アクリロニトリルを重合させた重合体ポリオール(重合体含量20%)水酸基価24
【0196】
【表10】
【0197】
ハンドルの物性測定方法及び単位を以下に示す。
<ハンドルの試験>
<1>:注入150秒後に脱型したときのフォームのC硬度
<2>:注入210秒後に脱型したときのフォームのC硬度
<3>:成形1日後のフォームのC硬度
<4>:注入150秒後に脱型した時のハンドルの太さ(mm)
<5>:注入219秒後に脱型した時のハンドルの太さ(mm)
なお、<1>〜<5>を測定した部分の鉄心の太さは13mm、型の内寸は28mmである。
硬化性の判定:注入150秒後に脱型したときに成形したフォームが
ハンドルの形状を維持できる場合 ;○
ハンドルの形状を維持できない場合;×
脱型時膨れ判定:注入150秒後に脱型した時に成形したハンドルの太さが
29mm未満;○
29mm以上;×
【0198】
表10において、本発明実施例37、38のウレタンフォームは、従来技術により得られる比較例46〜48のウレタンフォームよりも、フォーム硬さ、膨れ性共に向上する。
特に、特許3688667号公報記載の式1を満足する従来技術であるポリオキシアルキレンポリオールを用いて得られるウレタンフォーム(比較例46)と比較しても、本発明により得られるウレタンフォームのフォーム物性は向上している。
【0199】
<実施例39,40、比較例49〜51>(インスツルメントパネルの製造と評価)
表11に示した発泡処方に従って、予め表皮材と芯材をセットした金型内で下記の発泡条件により密度0.16g・cmの半硬質ポリウレタンフォームを得た。性能試験の評価結果を表11に示す。インスツルメントパネルの全体図は図9図9中の破線部での断面図を図10で示した。
【0200】
(発泡条件)
金型温度:45℃
金型材質:アルミ
ミキシング方法:高圧ウレタン発泡機(ポリマーエンジニアリング社製)ポリオールプレミックスとイソシアネートとを15MPaで混合
【0201】
実施例39及び40並びに比較例49〜51における半硬質ポリウレタンフォームの原料は、これまでの実施例及び比較例で示した物を使用し、それ以外は次の通りである。
1.ウレタン化触媒(c)
(5)ウレタン化触媒(c−5):サンアプロ(株)社製「U−CAT 1000」(N,N,N‘,N’−テトラメチルエチレンジアミン)
【0202】
4.イソシアネート
粗製MDI;NCO%=31の有機ポリイソシアネート
【0203】
【表11】
【0204】
インスツルメントパネルの物性測定方法及び単位を以下に示す。
<6>:注入120秒後に脱型したときの表皮上のC硬度
<7>:成型1日後のフォームの表皮上のC硬度
<8>:注入120秒後に脱型した時の成形品厚み(mm)
<9>:成形1日後のフォームの引張強さ(kgf/cm
<10>:耐熱試験(110℃、2000時間)後のフォームの引張強さ(kgf/cm
なお<6>〜<8>を測定した部分の表皮の厚みは1mm、芯材の厚みは5mm、型の内寸は15mmである。
硬化性の判定:注入120秒後に脱型した時に成形したフォームが
インスツルメントパネルの形状を維持できる場合 ;○
インスツルメントパネルの形状を維持できない場合;×
脱型時収縮判定:注入120秒後に脱型した時に成形したインスツルメントパネルの厚みが
14mm以上;○
14mm以下;×
(<9>、<10>はJIS K−6301に準拠した)
【0205】
表11において、本発明実施例39及び40のウレタンフォームは、従来技術により得られる比較例49〜51のウレタンフォームよりも、フォーム硬さ、耐久性が共に向上する。
特に、特許3688667号公報記載の式1を満足する従来技術であるポリオキシアルキレンポリオールを用いて得られるウレタンフォーム(比較例49)と比較しても、本発明により得られるウレタンフォームのフォーム物性は向上している。
【産業上の利用可能性】
【0206】
本発明のポリオキシアルキレンポリオール(S)を使用して得られるポリウレタン樹脂はフォーム、エラストマー、コーティング材等、様々な応用が可能である。フォームとしては自動車用クッション材、遮吸音材、ハンドル等など、エラストマーとしては注型ポッティング材、コーティング材としては接着材、塗料等などが挙げられる。また、本発明のポリオキシアルキレンポリオール又はモノオール(S)は繊維処理用の油剤や洗浄剤、消泡剤などの界面活性剤組成物の原料としても有用である。
本発明のポリオキシアルキレンポリオール(S)を使用したポリウレタンエラストマーやポリウレタンフォームは従来技術によって得られるポリオキシアルキレンポリオールを使用した場合に比べ総じて樹脂物性(引張強度、硬さ、硬化性、耐湿性、耐久性)に優れる。
従って、本発明のポリウレタン樹脂は接着剤、シーリング材、コーティング材、断熱材、合成木材等として広く用いることが出来る。
本発明の発泡ポリウレタン樹脂のうち、軟質ポリウレタンフォームは、従来の物に比較して、硬さ、フォーム強度、耐久性に優れる。従って、本発明の発泡ポリウレタン樹脂、特に軟質ポリウレタンフォームは、クッション材、衝撃吸収剤、緩衝材、遮吸音材等に広く利用できる。
本発明の発泡ポリウレタン樹脂のうち、半硬質ポリウレタンフォームは、従来の物に比較して、硬化性に優れ、且つ、脱型時の膨れや収縮が小さく、フォーム強度が大きい。従って、本発明の発泡ポリウレタン樹脂、特に半硬質ポリウレタンフォームは、自動車用内装材(ハンドル、インスツルメントパネル、サンバイザー、ドアトリム、シート、ピラー等)や、衝撃吸収材、緩衝材として広く利用できる。
【符号の説明】
【0207】
1:反応槽
2:反応塔
3:蒸留塔
4:釜下ライン
5:原料供給ライン
6:循環ライン
7:循環ライン
8:循環ライン
9:吸着塔
10:減圧ライン
11:ハンドル
12:ウレタンフォーム
13:鉄心
14:インスツルメントパネル
15:表皮材
16:ウレタンフォーム
17:芯材
図1
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図10