特許第5698667号(P5698667)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5698667カルボシロキサンデンドリマー単位を含むポリマーを含有する化粧料組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698667
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】カルボシロキサンデンドリマー単位を含むポリマーを含有する化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/89 20060101AFI20150319BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20150319BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   A61K8/89
   A61K8/25
   A61Q1/02
【請求項の数】11
【全頁数】50
(21)【出願番号】特願2011-525663(P2011-525663)
(86)(22)【出願日】2009年9月2日
(65)【公表番号】特表2012-502018(P2012-502018A)
(43)【公表日】2012年1月26日
(86)【国際出願番号】IB2009053831
(87)【国際公開番号】WO2010026538
(87)【国際公開日】20100311
【審査請求日】2012年8月23日
(31)【優先権主張番号】0855943
(32)【優先日】2008年9月4日
(33)【優先権主張国】FR
(31)【優先権主張番号】61/098,806
(32)【優先日】2008年9月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】アルノー パスカル
(72)【発明者】
【氏名】クラヴェル ユリエル
【審査官】 松本 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−063225(JP,A)
【文献】 特開2003−226611(JP,A)
【文献】 特開2007−320960(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/156375(WO,A1)
【文献】 特開2009−057308(JP,A)
【文献】 特開2008−303220(JP,A)
【文献】 特開2010−018612(JP,A)
【文献】 日本化粧品技術者会編,化粧品事典,日本,丸善株式会社,2003年12月15日,p.781-782,「マット」の項
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 90/00
Thomson Innovation
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚をメイクアップし及び/又はケアするための化粧料組成物であって、少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を持つ、少なくとも1種のビニルポリマー及び該組成物の全質量に対して、少なくとも2質量%のシリカを含有する、生理的に許容される媒体を含み、ポリマーシリカ質量比が1以上であり、ただし、21質量%のシクロペンタシロキサン、4質量%の、少なくとも30個の炭素原子を持つアルキル単位で置換されたプロピルシルセスキオキサンワックス、15質量%のアクリレート/ポリトリメチルシロキシメタクリレートコポリマー、2質量%のセチルPEG/PPG-10/1ジメチコーン、6質量%のジメチコーン及びジメチコーン/ポリグリセロール-3クロスコポリマー、3質量%のシリカ、1質量%のナイロン-12、5質量%のグリセロール、0.4質量%のフェノキシエタノール、32.6質量%の水及び10質量%の、シクロペンタシロキサン中に処方した顔料混合物を含有する組成物を除く、前記化粧料組成物、ここで該組成物はファンデーションである
【請求項2】
前記少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を持つビニルポリマーが、カルボシロキサンデンドリマー構造を含む分子側鎖を有し、かつ以下の成分の重合によって誘導される、請求項1記載の化粧料組成物:
(A) 0〜99.9質量部のビニルモノマー;及び
(B) 100〜0.1質量部の、以下の式で表される、ラジカル重合性有機基を含むカルボシロキサンデンドリマー:
【化1】
ここで、Yはラジカル重合性有機基を表し、R1は1〜10個の炭素原子を持つアルキル基又はアリール基を表し、及びXi以下の式で表されるシリルアルキル基を表し:
【化2】
ここで、R1は上記定義通りであり、R2は2〜10個の炭素原子を持つアルキレン基を表し、R3は1〜10個の炭素原子を持つアルキル基を表し、Xi+1は水素原子、1〜10個の炭素原子を持つアルキル基、アリール基、又は上で定義したシリルアルキル基を表し;iは1〜10なる範囲内の整数であって、該シリルアルキル基の世代数を表し、またaiは0〜3なる範囲の整数である;
また、該成分(B)中に含まれる該ラジカル重合性有機基は、以下に列挙するものから選択され:
下の式で表される有機基:
【化3】
又は
【化4】
ここで、R4は水素原子又はアルキル基を表し、R5は1〜10個の炭素原子を持つアルキレン基を表し、及び
下の式で表される有機基:
【化5】
ここで、R6は水素原子又はアルキル基を表し、R7は1〜10個の炭素原子を持つアルキル基を表し、R8は1〜10個の炭素原子を持つアルキレン基を表し、bは0〜4なる範囲の整数であり、またcは0又は1であり、但しcが0である場合には、-(R8)c-は結合を表す。
【請求項3】
前記少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を持つビニルポリマーが、以下の成分の共重合により誘導される、請求項1又は2記載の化粧料組成物:
(A) 分子中に有機フッ素原子含有基を含むビニルモノマー;
(B) 随意の、分子中に如何なる有機フッ素原子含有基をも含まないビニルモノマー;及び
(C) 以下の一般式(III)で表される、ラジカル重合性の有機基を持つカルボシロキサンデンドリマー:
【化6】
(III)

ここで、Yはラジカル重合性の有機基であり、R1は1〜10個の炭素原子を持つアルキル基又はアリール基であり、またXiは以下の式(II)で表されるシリルアルキル基であり:
【化7】
(II)

ここで、R1は上記定義通りであり、R2は1〜10個の炭素原子を持つアルキレン基であり、R3は1〜10個の炭素原子を持つアルキル基であり、Xi+1は水素原子、アリール基、1〜10個の炭素原子を持つアルキル基、及び上記のシリルアルキル基:Xiを含む群から選択され、ここで「i」は1〜10なる範囲内の整数であって、各カルボシロキサンデンドリマー構造において該シリルアルキル基の世代数を表し、前記式(III)の基:Xiに対して1から始まり、またインデックス「ai」は0〜3なる範囲の整数であり、
該ビニルポリマーは、(0.1〜100):(99.9〜0)(質量%基準)なる範囲の、該成分(A)対該成分(B)の共重合比及び(0.1〜99.9):(99.9〜0.1)(質量%基準)なる範囲の該成分(A)と成分(B)の和対該成分(C)の共重合比を持つ。
【請求項4】
前記成分(C)におけるラジカル重合性有機基Yが、以下に列挙するものを含む群から選択される、請求項3に記載の組成物:
・以下の一般式で表される、アクリル酸残基又はメタクリル酸残基を含む有機基:
【化8】
ここで、R4は水素原子又はメチル基であり、及びR5は1〜10個の炭素原子を持つアルキレン基であり、あるいは
【化9】
ここで、R4及びR5は、上記定義通りであり、
・以下の一般式で表される、アルケニルアリール基を含む有機基:
【化10】
ここで、R6は水素原子又はメチル基であり、R7は1〜10個の炭素原子を持つアルキル基であり、R8は1〜10個の炭素原子を持つアルキレン基であり、「b」は0〜4なる範囲の整数であり、また「c」は0又は1であり;及び
・2〜10個の炭素原子を持つアルケニル基。
【請求項5】
前記少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を持つビニルポリマーが、以下の式で表される1種に相当する、少なくとも一つのトリ[トリ(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチルシロキシ]シリルプロピルカルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を含む、請求項1〜4の何れか1項に記載の組成物:
【化11】
【請求項6】
前記少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を持つビニルポリマーが、前記組成物の全質量に対して2〜20質量%なる範囲の含有率にて存在する、請求項1〜5の何れか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記シリカが、沈降シリカ及びヒュームドシリカ及びこれらの混合物から選択される、親水性又は疎水性シリカである、請求項1〜6の何れか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記シリカが、5nm〜25μmなる範囲内の平均粒径を持つ粒子として存在する、請求項1〜7の何れか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を持つビニルポリマー及び前記シリカが、ポリマー/シリカ質量比で表して、1〜10なる範囲内の比にて存在する、請求項1〜8の何れか1項に記載の組成物。
【請求項10】
皮膚をメイクアップし及び/又はケアするための化粧料組成物における、該組成物に改善された艶消し維持能力を付与するための、少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を持つ少なくとも1種のビニルポリマー及び少なくとも2質量%のシリカの組合せの、1以上のポリマー/シリカ質量比での使用、ここで該組成物はファンデーションである
【請求項11】
皮膚をメイクアップし及び/又はケアするための非-治療的方法であって、該皮膚に、請求項1〜の何れか1項に記載の組成物の少なくとも一つの層を適用する、少なくとも一つの段階を含むことを特徴とする、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン物質、特に皮膚及び粘膜のケア及びメイクアップの分野に関するものである。より詳しくは、本発明は、艶消し効果を付与し、また該艶消しの長期に渡る、改善された維持能力を呈する、組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧料組成物、例えばファンデーションは、通常皮膚、特に顔面に、色彩及び美的効果を与えるために使用されている。これらのメイクアップ製品は、一般的にオイル、顔料、フィラー及び場合により添加剤、例えば化粧学的又は皮膚科学的に活性な剤を含んでいる。
当業者にとって、艶消し効果を得るためにフィラーを使用することは公知である。これらフィラーは、最も一般的には、その良好な皮脂吸収性及び/又はその光散乱能力に従って選択される。しかし、これらの皮膚に対する接着性は、特に皮膚上に皮脂が存在する際には、一般的に弱い。
そこで、これらフィラーの接着性を改善するために、また一日に及ぶ期間に渡る該艶消し効果の維持能力を高めるために、フィルム-形成性ポリマーを使用することができる。
これらのポリマーは、極めて多岐に渡る化学的特性を持つものであり、また該組成物の脂肪相又は水性相に保持させることが可能である。これらポリマーの例としては、シリコーン樹脂、ポリアクリレート、ラテックス等を挙げることができる。
そこで、US 6,887,859は、フィルム-形成性ポリマーとフィラーとの組合せを含む、皮膚のケア及びメイクアップ用組成物を記載している。
【0003】
これら処方物は、実際に、該化粧料組成物に、ある程度の艶消し効果維持能力特性を付与することができるが、該特性は、該製品の適用の際の違和感及び不快感(貧弱な延展性、粘着性、ベトツキ感等)又は適用後の一日に及ぶ期間中の違和感及び不快感(つっぱり感、仮面作用等)を伴う恐れがある。
FR 2 878 738及びEP 1 862 162も、カルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を含むビニルポリマー及びフィラーを含有する化粧料組成物を記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、艶消し性及び改善された艶消し維持能力を呈し、快適かつ容易に適用される、しかも同時に満足な適用快適性、即ち一日を通じてつっぱり感又は仮面作用を示さず、及び/又は適用した際に、ベトツキ感又は粘着性を誘発しない、化粧料組成物に対する需要が依然として存在する。
本発明の目的は、これらの要求を満たすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、皮膚をメイクアップ及び/又はケアするための化粧料組成物に係り、該化粧料組成物は、少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を含む、少なくとも1種のビニルポリマー及び該組成物の全質量に対して少なくとも2質量%のシリカを含む、生理的に許容される媒体を含み、ここでポリマーシリカ質量比は、1以上であり、上記組成物がファンデーションである。
予想外のことに、本発明者等は、少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を含むビニルポリマーとシリカとの組合せを、皮膚をメイクアップ及び/又はケアするための組成物に導入することにより、これら組成物に対して、極めて良好な艶消し性維持能力特性の付与が可能となり、しかも同時に適用時点における満足な快適性の維持が可能となることを見出した。さらに、これらの組成物は、一日中快適に塗布状態に維持される。
これまで、必要とされる含有率及び質量比での、本発明によるポリマーとシリカとの組合せが、化粧料組成物に艶消し性及び改善された艶消し性維持能力を与えることを可能とし、しかも同時に極めて満足な様式で、該組成物の適用の際及びその一日に及ぶ使用中に、快適な感触を与え得ることは、明らかにされていなかった。
【0006】
以下に記載される実施例により示されるように、少なくとも2%なる量での、フィラーとしての特定のシリカの選択、及びこれと少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を持つポリマーとの、1以上の質量比:ポリマー/シリカでの組合せは、該組成物に対して、艶消し性及びその維持能力に関する改善された特性を、付与することができる。
ダウコーニング社による、「リップスティック及び着色化粧品におけるシリコーンアクリレートコポリマー(Silicone acrylate copolymers in lipstick and color cosmetic)」と題するWO 03/045337及び文書RD 2005-495005は、夫々カルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を含むビニルポリマーとシリカとを含むマスカラ及びアイシャドーを記載している。
如何なる理論にも拘泥するつもりはないが、本発明者等は、少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を持つビニルポリマーの含有率が、該シリカの含有率よりも低い場合、上記艶消し性維持能力が良好ではなく、また該ポリマーの量が、該シリカの量と比較して多過ぎると、得られる組成物の化粧学的諸特性、特にその快適性及び粘着性が低下することを観測した。
【0007】
本発明の課題は、また皮膚をメイクアップ及び/又はケアするための化粧料組成物に改善された艶消し性維持能力を付与するための、該化粧料組成物における、少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を持つ少なくとも1種のビニルポリマーと、少なくとも1種のシリカとの、1以上のポリマー/シリカ質量比における組合せによる使用にあり、ここで該組成物はファンデーションである。
本発明は、また皮膚をメイクアップ及び/又はケアするための非-治療的方法にも係り、該方法は、少なくとも、本発明の組成物の少なくとも1層を、該皮膚上に適用する工程を含む。
より詳しくは、本発明の組成物は、21質量%のシクロペンタシロキサン、4質量%の、少なくとも30個の炭素原子を含むアルキル単位で置換されているプロピルシルセスキオキサンワックス、15質量%のアクリレート/ポリトリメチルシロキシメタクリレートコポリマー、2質量%のセチルPEG/PPG-10/1ジメチコーン、6質量%のジメチコーン及びジメチコーン/ポリグリセロール-3クロスコポリマー、3質量%のシリカ、1質量%のナイロン-12、5質量%のグリセロール、0.4質量%のフェノキシエタノール、32.6質量%の水及び10質量%の、シクロペンタシロキサン中で処方された顔料の混合物を含む組成物とは異なる。
【0008】
一態様によれば、本発明の組成物は、該組成物の全質量に対して、4質量%未満の、少なくとも30個の炭素原子を含むアルキル単位で置換されているプロピルシルセスキオキサンワックスを含むか、あるいはより特定的にはこれを含まない。
もう一つの態様によれば、本発明の組成物は、少なくとも一つの非-熱可塑性物質で作られた容器内に収容することができる。
さらに別の態様によれば、本発明の組成物は、少なくとも1種の熱可塑性樹脂製の容器に収納することができる。
本発明の化粧料組成物は、ファンデーション、高温注型ファンデーション製品、リップスティック、ボディーメイクアップ製品、コンシーラ製品、あるいはアイシャドウの形状であり得る。該組成物は、無水ゲル形状、スティック又はロッド形状、又は軟質のペースト形状であってもよい。
本発明の組成物は、水又は親水性の相を含むことができ、従って特に水中油型又は油中水型エマルション又は特に該組成物がファンデーション又は着色クリームの場合には、W/O/W又はO/W/O型多相エマルションの形状であり得る。
本発明のケア用組成物は、特にサンタン製品又はデオドラントであり得る。
【発明を実施するための形態】
【0009】
艶消し性及び艶消し性維持能力
艶消し性及び艶消し性維持能力は、以下に記載するプロトコールによって測定することができる。
皮膚、例えば顔面の領域の艶消し性は、旋光測定カメラを用いて測定され、これは白黒旋光撮像システムであり、これによれば、平行(P)及び交叉(C)方向の偏光像が得られる。
これら2つの像の差(P-C)から得られる像を解析することにより、光輝度は、光輝領域に対応する、最も輝度の高い画素の5%なる、平均のグレーレベルを測定することにより定量される。
より詳しくは、これらの測定は、個々のパネル、例えば該テストの開始前の15分間、空調された(22℃±2℃)待合室に維持された16名の女性からなるサンプルについて行われる。該パネルは、そのメイクアップを除去し、その頬の一方の像を、該旋光測定カメラを用いて得る。この像は、メイクアップを適用する前のTOにおける、輝度の測定を可能とする。次いで、約100mgの化粧料組成物を、時計皿に秤取り、露出状態にある指で、TOにおける測定を行った、該顔面の半分に適用する。
【0010】
15分間の乾燥の後、メイクアップ処置した頬の像を、該旋光測定カメラを用いて得る。この像は、メイクアップを適用した直後の輝度(Timm)の測定を可能とする。次いで、これらのモデルは、3時間に渡り該空調された部屋に戻される。
最後に、3時間に及ぶ待ち時間の経過後のメイクアップ処置した頬の画像を、該旋光測定カメラを用いて得る。この画像は、メイクアップ処置の3時間後の輝度(T3h)の測定を可能とする。
これらの結果は、該メイクアップの効果の尺度となる、差:(Timm-TO)を算出することにより表示される。負の値は、該メイクアップが、皮膚の輝度を減じることを意味し、また結果として艶消しされていることを示す。
次に、この効果の維持能力の尺度となる差:(T3h-Timm)を算出する。得られるこの値は、できる限り低いものであるべきであり、これは、該メイクアップの艶消し性が、経時的に変動しないことを示す。
【0011】
カルボシロキサンデンドリマーでグラフトされたビニルポリマー
本発明の組成物の製造にとって適したビニルポリマーは、少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を含む。
該ビニルポリマーは、特に主鎖及び少なくとも一つの側鎖を持つことができ、これはカルボシロキサンデンドリマー構造を持つ、少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を含む。
本発明に係る該用語「カルボシロキサンデンドリマー構造」とは、高分子量の分岐した基を持つ分子構造を表し、該構造は、主鎖への結合から始まる放射方向において高い規則性を持つ。このようなカルボシロキサンデンドリマー構造は、日本国特許出願の9-171 154号において、高度に分岐したシロキサン-シリルアルキレンコポリマーとして記載されている。
本発明によるビニルポリマーは、以下の一般式で表されるカルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を含むことができる:
【0012】
【化1】
【0013】
ここで、R1はアリール基又は1〜10個の炭素原子を持つアルキル基を表し、またXiはシリルアルキル基を表し、ここで該シリルアルキル基は、i=1である場合、以下の式で表される:
【0014】
【化2】
【0015】
ここで、R1は上記定義通りであり、R2は2〜10個の炭素原子を持つアルキレン基を表し、R3は1〜10個の炭素原子を持つアルキル基を表し、Xi+1は水素原子、1〜10個の炭素原子を持つアルキル基、アリール基、又は上で定義した如きシリルアルキル基を表し、但しi=i+1であり;iは、該シリルアルキル基の世代を表す、1〜10なる範囲の整数であり、及びaiは0〜3なる範囲の整数であり;Yは以下に列挙するものから選択されるラジカル重合性の有機基を表し:
・以下の式で表される、メタクリル酸残基又はアクリル酸残基を含む有機基:
【0016】
【化3】
【0017】
及び
【0018】
【化4】
【0019】
ここで、R4は水素原子又はアルキル基を表し、R5は1〜10個の炭素原子を持つアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基又はブチレン基を表し、メチレン基及びプロピレン基が好ましく;及び
・スチリル基を含み、かつ以下の式で表される有機基:
【0020】
【化5】
【0021】
ここで、R6は水素原子又はアルキル基を表し、R7は1〜10個の炭素原子を持つアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基を表し、メチル基が好ましく、R8は1〜10個の炭素原子を持つアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基又はブチレン基を表し、エチレン基が好ましく、bは0〜4なる範囲の整数であり、またcは0又は1であって、cが0である場合には、-(R8)c-は単一の結合を表す。
一態様によれば、R1はアリール基又は1〜10個の炭素原子を持つアルキル基を表す。該アルキル基は、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基を表すことができる。該アリール基は、好ましくはフェニル基及びナフチル基を表すことができる。より特定的には、メチル基及びフェニル基が好ましく、またとりわけメチル基が好ましい。
少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を持つビニルポリマーは、カルボシロキサンデンドリマー構造を含む分子側鎖を持ち、また以下のような重合によって誘導することができる:
(A) 0〜99.9質量部のビニルモノマー;及び
(B) 100〜0.1質量部の、以下の式で表される、ラジカル重合性の有機基を含むカルボシロキサンデンドリマー:
【0022】
【化6】
【0023】
ここで、Yはラジカル重合性の有機基を表し、R1はアリール基又は1〜10個の炭素原子を持つアルキル基を表し、またXiは、i=1である場合には、以下の式で表されるシリルアルキル基を表し:
【0024】
【化7】
【0025】
ここで、R1は上記定義通りであり、R2は2〜10個の炭素原子を持つアルキレン基を表し、R3は1〜10個の炭素原子を持つアルキル基を表し、Xi+1は水素原子、1〜10個の炭素原子を持つアルキル基、アリール基、又は上で定義した如きシリルアルキル基を表し、但しi=i+1であり;iは、該シリルアルキル基の世代を表す、1〜10なる範囲の整数であり、及びaiは0〜3なる範囲の整数であり;
ここで、上記成分(B)に含まれる、該ラジカル重合性の有機基は、以下に列挙するものから選択され:
・以下の式で表される、メタクリル酸残基又はアクリル酸残基を含む有機基:
【0026】
【化8】
【0027】
及び
【0028】
【化9】
【0029】
ここで、R4は水素原子又はアルキル基を表し、R5は1〜10個の炭素原子を持つアルキレン基を表し、及び
・以下の式で表される、スチリル基を含む有機基:
【0030】
【化10】
【0031】
ここで、R6は水素原子又はアルキル基を表し、R7は1〜10個の炭素原子を持つアルキル基を表し、R8は1〜10個の炭素原子を持つアルキレン基を表し、bは0〜4なる範囲の整数であり、またcは0又は1であって、cが0である場合には、-(R8)c-は単一の結合を表す。
上記ビニルポリマーにおける成分(A)としての該ビニル型のモノマーは、ラジカル重合性のビニル基を含む美につ型のモノマーである。
このようなモノマーに関する特別な制限は全くない。
以下に列挙するものは、このビニル型のモノマーの例である:メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、又は類似の低級アルキルメタクリレート;グリシジルメタクリレート;ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert-ブチルアクリレート、tert-ブチルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、又は類似の高級アルキルメタクリレート;ビニルアクリレート、ビニルプロピオネート、又は低級脂肪酸類似体のビニルエステル;ビニルカプロエート、ビニル2-エチルヘキソエート、ビニルラウレート、ビニルステアレート、又は高級脂肪酸類似体のエステル;スチレン、ビニルトルエン、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、ビニルピロリドン、又は同様なビニル芳香族モノマー;メタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-メトキシメチルメタクリルアミド、イソブトキシメトキシメタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、又はアミド基を含むビニル型の同様なモノマー;ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、又はヒドロキシル基を含むビニル型の同様なモノマー;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸、又はカルボン酸基を含むビニル型の同様なモノマー;テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、エトキシジエチレングリコールメタクリレート、プロピレングリコールメタクリレート、プロピレングリコールモノメタクリレート、ヒドロキシブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、又はエーテル結合を持つビニル型の同様なモノマー;メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、分子末端の一方にメタクリル酸残基を含むポリジメチルシロキサン、分子末端の一方にスチリル基を含むポリジメチルシロキサン、又は不飽和基を含む同様なシリコーン化合物;ブタジエン;塩化ビニル;塩化ビニリデン;メタクリロニトリル;ジブチルフマレート;無水マレイン酸;無水コハク酸;メタクリルグリシジルエーテル;メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、又はフマール酸の有機アミン塩、アンモニウム塩及びアルカリ金属塩;スルホン酸基、例えばスチレンスルホン酸基を含むラジカル重合性不飽和モノマー;メタクリル酸由来の四級アンモニウム塩、例えば2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド;及び三級アミノ基を含むアルコールのメタクリル酸エステル、例えばジエチルアミンのメタクリル酸エステル。
【0032】
ビニル型の多官能性モノマーを使用することも可能である。
以下に列挙するものは、このような化合物の例に相当する:トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチルメタクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジメタクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリメタクリレート、両端にジビニルベンゼン基を含むスチリル基でキャップされた、ポリジメチルシロキサン、又は不飽和基を含む同様なシリコーン化合物。
上記成分(B)としてのカルボシロキサンデンドリマーは、以下の一般式で表すことができる:
【0033】
【化11】
【0034】
ここで、Yは上で定義した如きラジカル重合性有機基を表す。
以下に列挙するものは、ラジカル重合性有機基Yの好ましい例に相当する:アクリルオキシメチル基、3-アクリルオキシプロピル基、メタクリルオキシメチル基、3-メタクリルオキシプロピル基、4-ビニルフェニル基、3-ビニルフェニル基、4-(2-プロペニル)フェニル基、3-(2-プロペニル)フェニル基、2-(4-ビニルフェニル)エチル基、2-(3-ビニルフェニル)エチル基、ビニル基、アリル基、メタアリル基及び5-ヘキセニル基。
R1は上記定義通りである。
Xiは、iが1に等しい場合には、以下の式によって表される、シリルアルキル基を表す:
【0035】
【化12】
【0036】
ここで、R1は上記定義通りである。
R2は2〜10個の炭素原子を持つアルキレン基、例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、又は同様な直鎖アルキレン基;メチルメチレン基、メチルエチレン基、1-メチルペンチレン基、1,4-ジメチルブチレン基、又は同様な分岐鎖アルキレン基を表す。
エチレン基、メチルエチレン基、ヘキシレン基、1-メチルペンチレン基及び1,4-ジメチルブチレン基が、特に好ましい。
R3は1〜10個の炭素原子を持つアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びイソプロピル基を表す。
Xi+1は水素原子、1〜10個の炭素原子を持つアルキル基、アリール基又はシリルアルキル基を表し、但しi=i+1である。
aiは0〜3なる範囲の整数であり、iは世代数を示す、1〜10なる範囲の整数であり、これは該シリルアルキル基の繰返し数を表す。
【0037】
例えば、該世代数が1に等しい場合、該カルボシロキサンデンドリマーは、以下に示す第一の一般式によって表すことができ、そこでY、 R1、R2及びR3は上記定義通りであり、R12は水素原子を表すか、あるいはR1と同一であり;a1はaiに等しい。好ましくは、一分子中のOR3基の平均の総数は、0〜7なる範囲内にある。
該世代数が2に等しい場合、該カルボシロキサンデンドリマーは、以下に示す第二の一般式によって表すことができ、そこでY、R1、R2、R3及びR12は、上記定義通りであり;a1及びa2は、指定された世代数のaiを表す。好ましくは、一分子中のOR3基の平均の総数は、0〜25なる範囲内にある。
該世代数が、3に等しい場合、該カルボシロキサンデンドリマーは、以下に示す第三の一般式によって表すことができ、そこでY、R1、R2、R3及びR12は、上記定義通りであり;a1、a2及びa3は、指定された世代数のaiを表す。好ましくは、一分子中のOR3基の平均の総数は、0〜79なる範囲内にある。
【0038】
【化13】
【0039】
ラジカル重合性有機基を含むカルボシロキサンデンドリマーは、以下の平均的構造式で表すことができる:
【0040】
【化14】
【0041】
【化15】
【0042】
【化16】
【0043】
該カルボシロキサンデンドリマーは、日本国特許出願:特願平9-171 154に記載されている分岐鎖シラルキレンシロキサンの製法に従って製造することができる。
例えば、これは、ケイ素原子と結合した水素原子を含み、以下の一般式で表されるオルガノシリコン化合物及びアルケニル基を含むオルガノシリコン化合物を、ヒドロシリル化反応に付すことによって製造することができる:
【0044】
【化17】
【0045】
該一般式において、該オルガノシリコン化合物は、3-メタクリルオキシプロピルトリス(ジメチルシロキシ)シラン及び4-ビニルフェニルトリス(ジメチルシロキシ)シランにより代表され、3-アクリルオキシプロピルトリス-は、該カルボシロキサンデンドリマー-由来の単位が、(ジメチルシロキシ)シランとなるようなポリマーから選択することができる。アルケニル基を含む該オルガノシリコン化合物は、ビニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ビニルトリス(ジメチルフェニルシロキシ)シラン、及び5-ヘキシルトリス(トリメチルシロキシ)シランを代表的なものとして挙げることができる。
該ヒドロシリル化反応は、クロロ白金酸、ビニルシロキサンと白金との錯体、又は同様な遷移金属触媒の存在下で行われる。
少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を持つビニルポリマーは、カルボシロキサンデンドリマーの誘導体の該単位が、以下の一般式(I)で表されるカルボシロキサンデンドリマー構造となるようなポリマーから選択することができる:
【0046】
【化18】
【0047】
ここで、Zは二価の有機基であり、「p」は0又は1であり、R1は1〜10個の炭素原子を持つアルキル基又はアリール基であり、またXiは以下の一般式(II)で表されるシリルアルキル基であり:
【0048】
【化19】
【0049】
ここで、R1は前記定義通りであり、R2は1〜10個の炭素原子を持つアルキレン基であり、R3は1〜10個の炭素原子を持つアルキル基であり、またXi+1は水素原子、アリール基及び1〜10個の炭素原子を持つアルキル基、及びシリルアルキル基Xiを含む群から選択され、ここで「i」は、該式(I)における該基Xiに対して1なる値を持つ、各カルボシロキサンデンドリマー構造内で開始する、該シリルアルキル基の世代数を示す、1〜10なる範囲の整数であり、またインデックス「ai」は、0〜3なる範囲の整数である。
少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を持つビニルポリマーにおいて、上記成分(A)と成分(B)との間の重合比は、質量比(A)/(B)で表して、0/100〜99.9/0.1なる範囲、又はさらには0.1/99.9〜99.9/0.1なる範囲、及び好ましくは1/99〜99/1なる範囲内であり得る。0/100なる該成分(A)と該成分(B)との間の比は、該化合物が成分(B)のホモポリマーとなることを意味する。
少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を持つビニルポリマーは、該成分(A)と該成分(B)との共重合により、あるいは該成分(B)の単独の重合により得ることができる。
【0050】
この重合は、ラジカル重合又はイオン重合であり得るが、ラジカル重合が好ましい。
該重合は、溶液中で3〜20時間、ラジカル開始剤の存在下で、50〜150℃なる範囲の温度にて該成分(A)と該成分(B)とを反応させることにより行うことができる。
この目的にとって適当な溶媒は、ヘキサン、オクタン、デカン、シクロヘキサン又は同様な脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン又は同様な芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、又は同様なエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、又は同様なケトン;メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、又は同様なエステル;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール又は同様なアルコール;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン又は同様なオルガノシロキサンオリゴマーである。
【0051】
ラジカル開始剤は、標準的なラジカル重合反応に関して当分野において公知の、任意の化合物であり得る。このようなラジカル開始剤具体的な例は、2,2'-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、又はアゾビス型の同様な化合物;ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート又は同様な有機パーオキシドである。これらのラジカル開始剤は、単独で、又は2種又はそれ以上の組合せとして使用することができる。該ラジカル開始剤は、前記成分(A)及び(B)の100質量部当たり、0.1〜5質量部なる範囲の量で使用できる。連鎖移動剤を添加することができる。該連鎖移動剤は、2-メルカプトエタノール、ブチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピル基を含むポリジメチルシロキサン、又は同様なメルカプト型の化合物;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ブチルブロミド、3-クロロプロピルトリメトキシシラン又は同様なハロゲン化化合物であり得る。
該ビニル型のポリマーの製造において、重合後、残留する未反応のビニルモノマーは、真空下で加熱する条件の下で、除去することができる。
【0052】
化粧料製品の該出発物質を含む混合物の調製を容易にするために、カルボシロキサンデンドリマーを含む該ビニルポリマーの数平均分子量を、3,000〜2,000,000なる範囲、好ましくは5,000〜800,000なる範囲内で選択することができる。これは、液体、ガム、ペースト、固体、粉末又は任意の他の形状であり得る。好ましいその形状は、溶媒で希釈することにより製造される溶液、分散液又は粉末である。
該ビニルポリマーは、シリコーンオイル、有機オイル、アルコール又は水等の液体中に、該ポリマーの分子側鎖中にカルボシロキサンデンドリマー構造を持つビニル型のポリマーを分散させた分散液であり得る。
該シリコーンオイルは、トリメチルシロキシ基でキャップされた2つの分子末端を持つジメチルポリシロキサン、トリメチルシロキシ基でキャップされた2つの分子末端を持つジメチルシロキサンとメチルフェニルシロキサンとのコポリマー、トリメチルシロキシ基でキャップされた2つの分子末端を持つジメチルシロキサンとメチル-3,3,3-トリフルオロプロピルシロキサンとのコポリマー、又は同様な非-反応性線状シリコーンオイル、さらにはまたヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、又は同様な環状化合物であってもよい。該非-反応性シリコーンオイル以外にも、末端部又は分子側鎖内にシラノール基、アミノ基及びポリエーテル基等の官能基を含む変性ポリシロキサンを使用することも可能である。
【0053】
前記有機オイルは、イソドデカン、流動パラフィン、イソパラフィン、ヘキシルラウレート、イソプロピルミリステート、ミリスチルミリステート、セチルミリステート、2-オクチルドデシルミリステート;イソプロピルパルミテート、2-エチルヘキシルパルミテート、ブチルステアレート、デシルオレエート、2-オクチルドデシルオレエート、ミリスチルラクテート、セチルラクテート、ラノリンアセテート、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アボカド油、アーモンドオイル、オリーブ油、ココア油、ホホバ油、ガム油、ヒマワリ油、大豆油、ツバキ油、スクアレン、蓖麻子油、綿実油、ココナッツ油、卵黄油、プロピレングリコールモノオレエート、ネオペンチルグリコール2-エチルヘキサノエート、又は同様なグリコールエステル油;トリグリセリルイソステアレート、ココナッツ油由来の脂肪酸のトリグリセライド、又は多価アルコールエステルの同様なオイル;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル又は同様なポリオキシアルキレンエーテルであり得る。
上記アルコールは、化粧料製品用の出発物質と組合せて使用するのに適した、任意の型のものであり得る。例えば、該アルコールは、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール又は同様な低級アルコールであり得る。
該アルコールの溶液又は分散液は、10〜109mPaなる範囲の25℃における粘度を持つべきである。化粧料製品における官能的用途に係る諸特性を改善するためには、該粘度は、100〜5x108mPa.sなる範囲にあるべきである。
【0054】
上記溶液及び分散液は、シリコーンオイル及び有機オイル、アルコール又は水と、少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を含むビニルポリマーとを混合することによって容易に調製できる。該液体は、少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を含むビニルポリマーの重合段階において存在し得る。この場合、未反応の残留ビニルモノマーは、大気圧下又は減圧下において、該溶液又は分散液を熱処理することによって、完全に除去すべきである。
分散液の場合、該ビニル型ポリマーの分散性は、界面活性剤を添加することにより改善することができる。
【0055】
このような界面活性剤は、ヘキシルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、セチルベンゼンスルホン酸、ミリスチルベンゼンスルホン酸又はアニオン性界面活性剤、例えばこれらの酸のナトリウム塩;水酸化オクチルトリメチルアンモニウム、水酸化ドデシルトリメチルアンモニウム、水酸化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、水酸化オクチルジメチルベンジルアンモニウム、水酸化デシルジメチルベンジルアンモニウム、水酸化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、水酸化タロウ-トリメチルアンモニウム、水酸化ココナッツ油-トリメチルアンモニウム、又は同様なカチオン性界面活性剤;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、ポリオキシアルキレンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンのソルビトールエステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコールトリメチルノナノールのエチレンオキサイド付加物、及びポリエステル型のノニオン性界面活性剤、及びこれらの混合物であり得る。
【0056】
さらに、該溶媒及び該分散液は、化粧料製品と共に使用するのに適した酸化鉄、又は同様な顔料、及びさらには酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ケイ素、マイカ、タルク又は粉末形状にある同様な無機酸化物と組合せることができる。この分散液において、該ビニル型のポリマーの平均粒径は、0.001〜100μmなる範囲、好ましくは0.01〜50μmなる範囲内であり得る。というのは、この推奨される範囲外では、該エマルションと混合される化粧料製品が、皮膚に対して又は触れた際に十分満足な感触を与えず、あるいは十分な展開性又は快適な感触を示さないであろうからである。
該分散液又は該溶液中に含まれるビニルポリマーは、0.1〜95質量%なる範囲、好ましくは5〜85質量%なる範囲内の濃度を持つことができる。しかし、該混合物の取扱い及び調製を簡単化するためには、該濃度範囲は、好ましくは10〜75質量%なる範囲とすべきである。
【0057】
また、本発明にとって適したビニルポリマーは、特許出願EP 0 963 751の実施例において記載されているポリマーの一種であってもよい。
好ましい一態様によれば、カルボシロキサンデンドリマーでグラフトされたビニルポリマーは、以下の成分の重合により誘導することができる:
(A) 0.1〜99質量部の1種又はそれ以上のアクリレート又はメタクリレートモノマー;及び
(B) 100〜0.1質量部の、トリ[トリ(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチルシロキシ]シリルプロピルカルボシロキサンデンドリマーのアクリレート又はメタクリレート。
一態様によれば、少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を持つビニルポリマーは、以下の式に対応する、トリ[トリ(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチルシロキシ]シリルプロピルカルボシロキサンデンドリマー由来の単位を含むことができる:
【0058】
【化20】
【0059】
又は
【0060】
【化21】
【0061】
好ましい一態様によれば、本発明において使用する、少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を持つビニルポリマーは、少なくとも一つのブチルアクリレートモノマーを含む。
一態様によれば、ビニルポリマーは、また少なくとも一つの有機フッ素原子含有基を含むことも可能である。
該重合されたビニル単位が、該ポリマーの主鎖を構成し、カルボシロキサンデンドリマー構造及びさらには有機フッ素原子含有基が、側鎖に結合しているような構造が、特に好ましい。
該有機フッ素原子含有基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル及びオクタデシル基及び1〜20個の炭素原子を持つ他のアルキル基、及び同様に6〜22個の炭素原子を持つアルキルオキシアルキレン基の水素原子の全て又はその一部を、フッ素原子で置換することにより得ることができる。
【0062】
式:-(CH2)x-(CF2)y-R13によって表される基は、例えばアルキル基の水素原子をフッ素原子で置換することにより得られるフルオロアルキル基の存在によって示唆される。この式において、インデックス「x」は、0、1、2又は3であり、また「y」は、1〜20なる範囲の整数であり、R13は水素原子、フッ素原子、-(CH(CF3)2-又はCF(CF3)2から選択される原子又は基である。このようなフッ素-置換アルキル基の例は、以下に与えられる式で表される、直鎖又は分岐したポリフルオロアルキル又はパーフルオロアルキル基である:
-CF3、-C2F5、-nC3F7、-CF(CF3)2、-nC4F9、CF2CF(CF3)2、-nC5F11、-nC6F13、-nC8F17、CH2CF3、-(CH(CF3)2、CH2CH(CF3)2-CH2(CF2)2F、-CH2(CF2)3F、-CH2(CF2)4F、CH2(CF2)6F、CH2(CF2)8F、-CH2CH2CF3、-CH2CH2(CF2)2F、-CH2CH2(CF2)3F、-CH2CH2(CF2)4F、-CH2CH2(CF2)6F、-CH2CH2(CF2)8F、-CH2CH2(CF2)10F、-CH2CH2(CF2)12F、CH2CH2(CF2)14F、-CH2CH2(CF2)16F、-CH2CH2CH2CF3、-CH2CH2CH2(CF2)2F、-CH2CH2CH2(CF2)2H-CH2(CF2)4H、及びCH2CH2(CF2)3H。
【0063】
式:-CH2CH2-(CF2)m-CFR14-[OCF2CF(CF3)]n-OC3F7によって表される基は、アルコキシアルキレン基の水素原子を、フッ素原子で置換することにより得られる、フルオロアルキルオキシフルオロアルキレン基として示される。この式において、「m」は、0又は1であり、「n」は0、1、2、3、4又は5であり、またR14はフッ素原子又はCF3である。このようなフルオロアルキルオキシフルオロアルキレン基は、以下に示す式によって表されるパーフルオロアルキルオキシフルオロアルキレン基によって例示される。
-CH2CH2CF(CF3)-[OCF2CF(CF3)]n-OC3F7、-CH2CH2CF2CF2-[OCF2CF(CF3)]n-OC3F7
本発明において使用する該ビニルポリマーの数平均分子量は、3,000〜2,000,000なる範囲、及びより好ましくは5,000〜800,000なる範囲の値であり得る。
この型のフッ素化ビニルポリマーは、
・分子内に如何なる有機フッ素含有基をも含まないビニルモノマー(B)を、
・分子(A)内に有機フッ素含有基を含むビニルモノマー、及び
・以下の一般式(III)で表されるラジカル重合性の有機基を含むカルボシロキサンデンドリマー(C)
に付加することによって得ることができ:
【0064】
【化22】
【0065】
ここで、Yはラジカル重合性の有機基であり、またR1及びXiは、上記定義通りであり、あるいは上記化合物を共重合に欠けることによっても得ることができる。
従って、一態様によれば、本発明の組成物は、少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を持つビニルポリマーを含むことができる。また、該ビニルポリマーは、以下の成分の共重合により誘導される:
(A) 分子内に有機フッ素原子含有基を含むビニルモノマー;
(B) 分子内に如何なる有機フッ素原子含有基をも含まない、随意のビニルモノマー;及び
(C) 以下の一般式(III)で表される、ラジカル重合性の有機基を含むカルボシロキサンデンドリマー:
【0066】
【化23】
【0067】
ここで、Yはラジカル重合性の有機基であり、R1は1〜10個の炭素原子を持つアルキル基又はアリール基であり、またXiは以下の一般式(II)で表されるシリルアルキル基である:
【0068】
【化24】
【0069】
ここで、R1は上記と同様であり、R2は1〜10個の炭素原子を持つアルキレン基であり、R3は1〜10個の炭素原子を持つアルキル基であり、またXi+1は水素原子、1〜10個の炭素原子を持つアルキル基又はアリール基、及び上記シリルアルキル基Xiを含む群から選択され、ここで「i」は各カルボシロキサンデンドリマー構造において開始する上記シリルアルキル基の世代数を示す1〜10なる範囲の整数であり、但し上記式(III)における基Xiに対しては1なる値を持ち、またインデックス「ai」は、0〜3なる範囲の整数であり、
該ビニルポリマーは、質量%で表した比で、(0.1〜100):(99.9〜0)なる範囲の、成分(A)/成分(B)の重合比を持ち、また質量%で表した比で、(0.1〜99.9):(99.9〜0.1)なる範囲の、[成分(A)+成分(B)]/成分(C)の重合比を持つ。
分子内に有機フッ素原子含有基を含む該ビニルモノマー(A)は、好ましくは以下の一般式:(CH2)=CR15COORfで表されるモノマーである。
該式において、R15は水素原子又はメチル基であり、Rfは、上記のフルオロアルキル基及びフルオロアルキルオキシフルオロアルキレン基で代表される、有機フッ素原子含有基である。以下に列挙する各式で表される化合物は、該成分(A)の具体例として示されるものである。以下の各式において、「z」は1〜4なる範囲内の整数である:
【0070】
CH2=CCH3COO-CF3、CH2=CCH3COO-C2F5、CH2=CCH3COO-nC3F7
CH2=CCH3COO-CF(CF3)2、CH2=CCH3COO-nC4F9
CH2=CCH3COO-CF(CF3)2、CH2=CCH3COO-nC5F11
CH2=CCH3COO-nC6F13、CH2=CCH3COO-nC8F17、CH2=CCH3COO-CH2CF3
CH2=CCH3COO-CH(CF3)2、CH2=CCH3COO-CH2CH(CF3)2,
CH2=CCH3COO-CH2 (CF2)2F、
CH2=CCH3COO-CH2(CF2)2F、CH2=CCH3COO-CH2(CF2)4F、
CH2=CCH3COO-CH2(CF2)6F、CH2=CCH3COO-CH2(CF2)8F、
CH2=CCH3COO-CH2CH2CF3、CH2=CCH3COO-CH2CH2(CF2)2F、
CH2=CCH3COO-CH2CH2(CF2)3F、CH2=CCH3COO-CH2CH2(CF2)4F、
CH2=CCH3COO-CH2CH2(CF2)6F、CH2=CCH3COO-CH2CH2(CF2)8F、
CH2=CCH3COO-CH2CH2(CF2)10F、CH2=CCH3COO-CH2CH2(CF2)12F、
CH2=CCH3COO-CH2CH2(CF2)14F、CH2=CCH3COO-CH2-CH2-(CF2)16F、
CH2=CCH3COO-CH2CH2CH2CF3、CH2=CCH3COO-CH2CH2CH2(CF2)2F、
CH2=CCH3COO-CH2CH2CH2 (CF2)2H、CH2=CCH3COO-CH2 (CF2)4H、
CH2=CCH3COO-(CF2)3H、
CH2=CCH3COO-CH2CH2CF(CF3)- [OCF2-CF(CF3)]z-OC3 F7
CH2=CCH3COO-CH2CH2CF2CF2-[OCF2-CF(CF3)]z-OC3 F7
CH2=CHCOO-CF3、CH2=CHCOO-C2F5、CH2=CHCOO-nC3F7、CH2=CHCOO-CF(CF3)2
CH2=CHCOO-nC4F9、CH2=CHCOO-CF2CF(CF3)2、CH2=CHCOO-nC5F11
CH2=CHCOO-nC6F13、CH2=CHCOO-nC8F17、CH2=CHCOO-CH2CF3
CH2=CHCOO-CH(CF3)2、CH2=CHCOO-CH2CH(CF3)2、CH2=CHCOO- CH2(CF2)2F、
CH2=CHCOO-CH2(CF2)3F、CH2=CHCOO-CH2(CF2)4F、CH2=CHCOO-CH2(CF2)6F、
CH2=CHCOO-CH2 (CF2)8F、CH2=CHCOO-CH2CH2CF3
CH2=CHCOO-CH2CH2 (CF2)2F、
CH2=CHCOO-CH2CH2(CF2)3F、CH2=CHCOO-CH2CH2(CF2)4F、
CH2=CHCOO-CH2CH2(CF2)6F、CH2=CHCOO-CH2CH2(CF2)8F、
CH2=HCOO-CH2CH2(CF2)10F、CH2-CHCOO-CH2CH2-(CF2)12F、
CH2=CHCOO-CH2CH2(CF2)14F、CH2=CHCOO-CH2CH2(CF2)16F、
CH2=CHCOO-CH2CH2CH2CF3、CH2=CHCOO-CH2CH2CH2(CF2)2F、
CH2=CHCOO-CH2CH2CH2 (CF)2H、CH2=CHCOO-CH2(CF2)4H、
CH2=CHCOO-CH2CH2(CF2)3H、
CH2=CHCOO-CH2CH2CF(CF3)- [OCF2-CF(CF3)]Z-OC3 F7
CH2=CHCOO-CH2CH2CF2CF2(CF3)-[OCF2-CF(CF3)]2-OC3 F7
【0071】
これらの中で、以下に与えられる式で表されるビニルポリマーが好ましい:
CH2=CHCOO-CH2CH2(CF2)6F、CH2=CHCOO-CH2CH2(CF2)8F、
CH2=CCH3COO-CH2CH2(CF2)6F、CH2=CCH3COO-CH2CH2(CF2)8F、
CH2=CHCOO-CH2CF3、CH2= CCH3COO-CH2CF3
以下に与えられる式で表されるビニルポリマーが、特に好ましい:
CH2=CHCOO-CH2CF3、CH2=CCHCOO-CH2CF3
【0072】
分子中に如何なる有機フッ素原子含有基をも含まない上記ビニルモノマー(B)は、ラジカル重合性ビニル基を含む任意のモノマーであり得、その例は、例えばメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルアクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、及びその他の低級アルキルアクリレート又はメタクリレート;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート;n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert-ブチルアクリレート、tert-ブチルメタクリレート、n-ヘキシルアクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、n-ヘキシルアクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、及びその他の高級アクリレート及びメタクリレート;ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、及びその他の低級脂肪酸ビニルエステル;ビニルブチレート、ビニルカプロエート、ビニル2-エチルヘキサノエート、ビニルラウレート、ビニルステアレート、及びその他の高級脂肪酸エステル;スチレン、ビニルトルエン、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、ビニルピロリドン、及びその他のビニル芳香族モノマー;ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、及びその他のアミノビニルモノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルメタクリルアミド、イソブトキシメトキシアクリルアミド、イソブトキシメトキシメタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、及びその他のビニルアミドモノマー;ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリル酸ヒドロキシプロピルアルコール、メタクリル酸ヒドロキシプロピルアルコール、及びその他のヒドロキシビニルモノマー;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸、及びその他のビニルカルボン酸モノマー;テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ヒドロキシブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル及びその他のエーテル結合を含むビニルモノマー;アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、末端の一方にアクリル又はメタクリル基を含むポリジメチルシロキサン、末端の一方にアルケニルアリール基を含むポリジメチルシロキサン及び不飽和基を含むその他のシリコーン化合物;ブタジエン;塩化ビニル;塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル;ジブチルフマレート;無水マレイン酸;無水ドデシルコハク酸;アクリルグリシジルエーテル、メタクリルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸、及びその他のラジカル重合性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、及び有機アミン塩;スルホン酸基を含むラジカル重合性不飽和モノマー、例えばスチレンスルホン酸、さらにはまたそのアルカリ金属塩、そのアンモニウム塩及びその有機アミン塩;アクリル酸又はメタクリル酸から誘導される四級アンモニウム塩、例えば2-ヒドロキシ-3-メタクリロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、三級アミンアルコールのメタクリル酸エステル、例えばメタクリル酸のジエチルアミンのエステル及びその四級アンモニウム塩である。
【0073】
さらに、該ビニルモノマー(B)として、多官能性ビニルモノマーを使用することも可能であり、その例としては、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチルメタクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジメタクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリメタクリレート、分子鎖の両末端がアルケニルアリール基で保護されている、ポリジメチルシロキサン、及び不飽和基を含むその他のシリコーン化合物が例示される。
【0074】
前記成分(A)と前記成分(B)とが共重合されている場合の、上記比に関連して、該成分(A)対該成分(B)の質量比は、0.1:99.9〜100:0なる範囲、及び好ましくは1:99〜100:0なる範囲内にあるべきである。
前記カルボシロキサンデンドリマー(C)は、上記一般式(III)によって表される。
該成分(C)において、Yはラジカル重合性有機基であり得、その型は、如何なる特別な制限をも受けないが、但し、該基がラジカル付加反応を行うことのできる有機基であることを条件とする。
Yは、例えばアクリル酸基又はメタクリル酸基を含む有機基、アルケニルアリール基を含む有機基、又は2〜10個の炭素原子を持つアルケニル基から選択することができる。
該アクリル酸基又はメタクリル酸基を含む有機基は、以下の一般式によって表すことができる:
【0075】
【化25】
【0076】
及び
【0077】
【化26】
【0078】
該アルケニルアリール基は、以下の一般式で表すことができる:
【0079】
【化27】
【0080】
上記式において、R4及びR6は、水素原子又はメチル基であり、R5及びR8は、1〜10個の炭素原子を持つアルキレン基であり、またR7は、1〜10個の炭素原子を持つアルキル基である。インデックス「b」は、0〜4なる範囲の整数であり、また「c」は0又は1である。
このようなラジカル重合性有機基の例としては、アクリロキシメチル、3-アクリロキシプロピル、メタクリロキシメチル、3-メタクリロキシプロピル、4-ビニルフェニル、3-ビニルフェニル、4-(2-プロペニル)フェニル、3-(2-プロペニル)フェニル、2-(4-ビニルフェニル)エチル、2-(3-ビニルフェニル)エニル(enyl)、ビニル、アリル、メタアリル及び5-ヘキセニルが推奨される。
1〜10なる範囲内の整数である、上記式(II)における「i」は、該シリルアルキル基の世代数であり、換言すれば該シリルアルキル基が繰り返される回数である。
従って、世代数1を持つこの成分の該カルボシロキサンデンドリマーは、以下の一般式で表される:
【0081】
【化28】
【0082】
ここで、Y、R1、R2及びR3は、上記の通りであり、またR12は水素原子又は上記したR1と同様である。インデックス「a1」は、0〜3なる範囲の整数であり、1分子当たりの「a1」の総和の平均は、0〜7なる範囲内にある。
世代数2を持つこの成分のカルボシロキサンデンドリマーは、以下の一般式で表されるものである:
【0083】
【化29】
【0084】
ここで、Y、R1、R2、R3及びR12は、上記の通りであり、またインデックス「a1」及び「a2」は、0〜3なる範囲の整数であり、1分子当たりの「a1」及び「a2」の総和の平均は、0〜25なる範囲内にある。
世代数3を持つこの成分のカルボシロキサンデンドリマーは、以下の一般式で表されるものである:
【0085】
【化30】
【0086】
ここで、Y、R1、R2、R3及びR12は、上記の通りであり、またインデックス「a1」、「a2」及び「a3」は、0〜3なる範囲の整数であり、1分子当たりの「a1」、「a2」及び「a3」の総和の平均は、0〜79なる範囲内にある。
前記成分(C)としては、以下の式で示される平均の組成に係る式で表される、カルボシロキサンデンドリマーを例示することができる:
【0087】
【化31】
【0088】
【化32】
【0089】
【化33】
【0090】
特に、該カルボシロキサンデンドリマー-由来の単位は、以下に列挙する式の一つに相当する、少なくとも一つのトリ[トリ(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチルシロキシ]シリルプロピルカルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を含む:
【0091】
【化34】
【0092】
上記成分(C)のカルボシロキサンデンドリマーは、文献:EP 1 055 674に記載されている、シロキサン/シリルアルキレン分岐鎖コポリマーの製法を用いて、製造することができる。
例えば、これらは、有機アルケニルシリコーン化合物とケイ素原子に結合した水素原子を含み、以下の一般式で表されるシリコーン化合物とを、ヒドロシリル化反応に掛けることによって製造することができる:
【0093】
【化35】
【0094】
ここで、R1及びYは、上記定義通りである。
例えば、3-メタクリロキシプロピルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、3-アクリロキシプロピルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、及び4-ビニルフェニルトリス(ジメチルシロキシ)シランが、上記式で表されるケイ素化合物として使用される。ビニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ビニルトリス(ジメチルフェニルシロキシ)シラン、及び5-ヘキセニルトリス(トリメチルシロキシ)シランが、オルガノシリコンアルケニル化合物として使用される。さらに、該ヒドロシリル化反応を、遷移金属触媒、例えばクロロ白金酸及び白金/ビニルシロキサン錯体の存在下で行うことが好ましい。
化合物(A)及び化合物(B)の全質量に対する質量比で表した、該成分(C)の重合比は、0.1:99.9〜99.9:0.1なる範囲、好ましくは1:99〜99:1なる範囲、及びより好ましくは5:95〜95:5なる範囲内の値とすべきである。
該成分(B)中に含まれる、アミノ基を含むビニルモノマー、例えばジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート及びジエチルアミノエチルメタクリレートを用いて、アミノ基を該ビニルポリマーの側鎖に導入し、次いでカリウムアセテートモノクロリド、アンモニウムアセテートモノクロリド、モノクロロ酢酸のアミノメチルプロパノール塩、モノブロモ酢酸のトリエタノールアミン塩、ナトリウムモノクロロプロピオネート、及びその他のハロゲン化された脂肪酸のアルカリ金属塩により変性することができ;あるいはまた該成分(B)中に含まれる、カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸及びマレイン酸等の基を含むビニルモノマーを用いて、カルボン酸基を該ビニルポリマーの側鎖に導入し、次いで得られる生成物を、トリエチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン及びその他のアミンによって中和することができる。
【0095】
フッ素化ビニルポリマーは、特許出願WO 03/045337の実施例において記載されているポリマーの一つであり得る。
好ましい一態様によれば、本発明の目的にとって、グラフト化ビニルポリマーは、オイル、又はオイル混合物、好ましくは揮発性オイル、特にシリコーンオイル及び炭化水素を基本とするオイル及びこれらの混合物から選択されるオイル中に保持することができる。
特定の一態様によれば、本発明にとって適したシリコーンオイルは、シクロペンタシロキサンであり得る。
もう一つの特別な態様によれば、本発明にとって適した炭化水素を基本とするオイルは、イソドデカンであり得る。
本発明にとって特に適した、少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー由来の単位でグラフトした該ビニルポリマーは、ダウコーニング(Dow Corning)社によりTIB 4-100、TIB 4-101、TIB 4-120、TIB 4-130、TIB 4-200、FA 4002 ID(TIB 4-202)、TIB 4-220及びFA 4001 CM(TIB 4-230)なる名称の下に市販されているポリマーである。
【0096】
本発明の組成物は、少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー由来の単位を持つビニルポリマーを、本発明の組成物の全質量に対して、2〜20質量%なる範囲、好ましくは3〜15質量%なる範囲、及び有利には4〜13質量%なる範囲、より好ましくは5〜12質量%なる範囲の活性物質に関する含有率にて、該少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー由来の単位を持つビニルポリマーの活性物質を含むことができる。
シリカ
本発明の組成物は、少なくとも、粒状の状態で導入されたシリカを含む。
本発明にとって適したシリカは、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、及びこれらの混合物から選択される、親水性又は疎水性シリカである。
本発明にとって適したシリカは、その形状において球形又は非-球形であり得、また多孔質又は非-多孔質のものであり得る。
好ましくは、本発明にとって適したシリカは、球状かつ多孔質のものである。
シリカ粒子の気孔は、外部に対して開放状態にあるものであっても、また中心部における空洞の形状であってもよい。
本発明にとって適したシリカは、nm又はμmオーダーの平均径を持つ粒子の形状であり得る。
【0097】
特に、本発明にとって適したシリカは、5nm〜25μmなる範囲、好ましくは20nm〜20μmなる範囲、及びより特定的には1,000nm(又は1μm)〜10μmなる範囲の平均粒径を持つ粒子形状にあるものであり得る。
シリカは、その性質において親水性又は疎水性であり得る。後者の場合において、該シリカの表面は、その上のシラノール基数を減じる目的で、化学反応によって化学的に変性される。
本発明の組成物は、有利には疎水性シリカを含む。
該シリカ粒子は、トリメチルシロキシ基を得るために、ヘキサメチルジシラザンで、あるいはジメチルジクロロシランにより、あるいはさらにポリジメチルシロキサンで処理することができる。
本発明にとって適したシリカの市販品の例としては、ミヨシ(Miyoshi)社により、シリカビーズ(Silica Beads) SB 150及びSB 700なる参照名の下で市販されている、5μmなる平均粒径を持つシリカ、及びアサヒガラス(Asahi Glass)社によりサンスフェアーズ(Sunspheres) H33、H51及びH53なる参照名の下で市販されている、夫々3、5及び5μmなる平均粒径を持つシリカを挙げることができる。
本発明の組成物は、ヒュームドシリカ粒子を含むことができる。
本発明の実施にとって適したヒュームドシリカ粒子は、親水性であっても、あるいは疎水性とすべく表面処理されていてもよい。
【0098】
該親水性ヒュームドシリカは、酸化還元(oxhydric)炎内で揮発性ケイ素化合物を高温加水分解し、微粉化されたシリカを製造することにより得ることができる。該親水性シリカは、その表面上に多数のシラノール基を持っている可能性がある。
このような親水性シリカは、例えばデグッサ(Degussa)社によって「エーロシル(Aerosil) 90TM」、「エーロシル(Aerosil) 130TM」、「エーロシル(Aerosil) 150TM」、「エーロシル(Aerosil) 200TM」、「エーロシル(Aerosil) 255TM」、「エーロシル(Aerosil) 300TM」及び「エーロシル(Aerosil) 380TM」なる名称の下に、またカボット(Cabot)社により「CAB-O-SIL HS-5TM」、「CAB-O-SIL EH-5TM」、「CAB-O-SIL LM-130TM」、「CAB-O-SIL MS-55TM」及び「CAB-O-SIL M-5TM」なる名称の下に市販されている。
上記疎水性ヒュームドシリカは、該シリカの表面を、シラノール基の減少をもたらす化学反応によって変性することにより得ることができ、この変性は、これらのシラノール基を、特に疎水性の基で置換することを可能とする。
該疎水性の基は、以下に列挙するものであり得る:
【0099】
・トリメチルシリル基:これらは、特にヒュームドシリカをヘキサメチルジシラザンの存在下で処理することにより得られる。このようにして処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995)によれば、「シリカシリレート(Silica Silylate)」と呼ばれている。これらは、例えばデグッサ(Degussa)社により「エーロシル(Aerosil) R202」、「エーロシル(Aerosil) R805」及び「エーロシル(Aerosil) R812TM」なる参照名の下に、またカボット(Cabot)社により「CAB-O-SIL TS-530TM」なる参照名の下に市販されている。
・ジメチルシリルオキシ又はポリジメチルシロキサン基:これらは、特にヒュームドシリカをポリジメチルシロキサン又はジメチルジクロロシランの存在下で処理することにより得られる。このようにして処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995)によれば、「シリカジメチルシリレート(Silica Dimethyl Silylate)」と呼ばれている。これらは、例えばデグッサ(Degussa)社により「エーロシル(Aerosil) R972TM」及び「エーロシル(Aerosil) R974TM」なる参照名、及びカボット(Cabot)社により「CAB-O-SIL TS-610TM」及び「CAB-O-SIL TS-720TM」なる参照名の下に市販されている。
一態様によれば、該シリカは、好ましくは脂肪相内に維持される。
本発明の組成物は、該組成物の全質量に対して、2〜15質量%なる範囲、特に3〜10質量%なる範囲、及びより一層特定的には該組成物の全質量に対して、3.5〜7質量%なる範囲の量でシリカを含むことができる。
【0100】
本発明の一態様によれば、該組成物は、少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー-由来の単位を持つ少なくとも1種のビニルポリマー及び少なくとも1種のシリカを、1以上かつ10以下、特に1以上かつ8以下、とりわけ1.5〜5なる範囲、及びより特定的には1.5〜3なる範囲の質量比にて含むことができる。
生理的に許容される媒体
上記化合物に加えて、本発明の組成物は、生理的に許容される媒体を含むことができる。
該用語「生理的に許容される媒体」とは、本発明の組成物を皮膚又は口唇に適用するのに特に適した媒体を表すものとする。
該生理的に許容される媒体は、一般に本発明の組成物を適用する該支持体の性質にとって適したものであり、また本発明の組成物が状態調節すべき方法にとっても適したものである。
本発明の組成物は、分散液又はエマルションであり得る。
分散液は、水性相として又は油相として調製することができる。
エマルションは、油性又は水性の連続相を持つことができる。このようなエマルションは、例えば逆エマルション(W/O)又は直接エマルション(O/W)あるいはまた多相エマルション(W/O/W又はO/W/O)であり得る。
エマルションの場合、逆エマルション(W/O)が好ましい。
【0101】
水性相
本発明の組成物は、水性相を含むことができる。
該水性相は水を含む。本発明にとって適した水は、フローラルウォータ(floral water)、例えばコーンフラワーウォータ、及び/又はミネラル水、例えばビッテル(Vittel)ウォータ、ルーカス(Lucas)ウォータ、又はラロッシュポセイ(La Roche Posay)ウォータ及び/又は湧水であり得る。
該水性相は、また水-混和性(周囲温度:25℃において)の有機溶媒、例えば2〜6個の炭素原子を持つモノアルコール、例えばエタノール又はイソプロパノール;特に2〜20個、好ましくは2〜10個及び有利には2〜6個の炭素原子を持つポリオール、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール又はジエチレングリコール;グリコールエーテル(特に3〜16個の炭素原子を持つもの)、例えばモノ-、ジ-又はトリ-プロピレングリコール(C1-C4)アルキルエーテル、モノ-、ジ-又はトリ-エチレングリコール(C1-C4)アルキルエーテル、及びこれらの混合物を含むこともできる。
該水性相は、また安定剤、例えば塩化ナトリウム、塩化マグネシウム及び硫酸マグネシウムを含むこともできる。
該水性相は、また水性相と相溶性の、水溶性又は水-分散性の任意の化合物、例えばゲル化剤、フィルム-形成性ポリマー、増粘剤、界面活性剤及びこれらの混合物を含むこともできる。
【0102】
特に、本発明の組成物は、該組成物の全質量に対して、1〜80質量%なる範囲、特に5〜50質量%なる範囲及びより特定的には10〜45質量%なる範囲の含有率にて、水性相を含むことができる。
他の態様によれば、本発明の組成物は、無水であり得る。
無水組成物は、該組成物の全質量に対して、5%未満の水、及び特に3%未満、とりわけ2%未満、及びより特定的には該組成物の全質量に対して、1質量%未満の水を含むことができる。
より特定的には、無水組成物は水を含まなくてもよい。
脂肪相
本発明による化粧料組成物は、少なくとも1種の液体及び/又は固体状態にある脂肪相を含むことができる。
特に、本発明の組成物は、少なくとも1種の液状脂肪相、特に以下において述べるような少なくとも1種のオイルを含むことができる。
ここで、該用語「オイル」とは、周囲温度(20-25℃)及び大気圧下で、液体状態にある任意の脂肪物質を意味する。
本発明の組成物は、該組成物の全質量に対して、1〜90質量%なる範囲、特に5〜80質量%なる範囲、とりわけ10〜70質量%なる範囲、及びより特定的には20〜50質量%なる範囲内の含有率にて、液状脂肪相を含むことができる。
【0103】
本発明による化粧料組成物の製造に適した該油相は、炭化水素を基本とする、シリコーン、フルオロ又は非-フルオロオイル、又はこれらの混合物を含むことができる。
該オイルは揮発性又は不揮発性のものであり得る。
これらは、動物、植物、鉱物又は合成起源のものであり得る。
本発明の目的にとって、該用語「揮発性オイル」とは、周囲温度及び大気圧下で、1時間未満の間に、皮膚と接した際に蒸発し得るオイル(又は非-水性媒体)を意味するものとする。該揮発性オイルは、周囲温度において、液体である揮発性の化粧料用オイルであり、これは特に周囲温度及び大気圧下で零ではない蒸気圧を有し、とりわけ0.13Pa〜40,000Pa(10-3〜300mmHg)なる範囲、及び好ましくは1.3Pa〜13,000Pa(0.01〜100 mmHg)なる範囲、及び有利には1.3Pa〜1,300Pa(0.01〜10mmHg)なる範囲内の蒸気圧を持つ。
本発明の目的にとって、上記用語「不揮発性オイル」とは、0.13Pa未満の蒸気圧を持つオイルを意味するものとする。
本発明の目的にとって、上記用語「シリコーンオイル」とは、少なくとも一つのケイ素原子及び特に少なくとも一つのSiO基を含むオイルを意味するものとする。
上記用語「フルオロオイル」とは、少なくとも一つのフッ素原子を含むオイルを意味するものとする。
【0104】
上記用語「炭化水素を基本とするオイル」とは、主として水素及び炭素原子を含むオイルを意味するものとする。
該オイルは、場合により酸素、窒素、硫黄及び/又はリン原子を、例えばヒドロキシル基又は酸基として含むことができる。
揮発性オイル
該揮発性オイルは、8〜16個の炭素原子を持つ炭化水素を基本とするオイル、及び特にC8-C16アルカン(イソパラフィンとしても知られている)、例えばイソドデカン(また2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られている)、イソデカン又はイソヘキサデカン、及び例えばアイソパーズ(IsoparsTM)又はパーメチルズ(PermethylsTM)から選択することができる。
同様に、揮発性オイルとしては、揮発性シリコーン、例えば揮発性直鎖又は環状シリコーンオイル、特に≦8cSt(センチストークス)(8x10-6m2/s)なる粘度及び特に2〜10個のケイ素原子及びとりわけ2〜7個のケイ素原子を持つものを使用することができ、これらのケイ素原子は、場合により1〜10個の炭素原子を持つアルコキシ基又はアルキル基を含む。本発明において使用できる揮発性シリコーンオイルとしては、特に5及び6cStなる粘度を持つジメチコーン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、デカメチルペンタシロキサン、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0105】
また、揮発性フルオロオイル、例えばノナフルオロメトキシブタン又はパーフルオロメチルシクロペンタン、及びこれらの混合物を使用することもできる。
一態様によれば、本発明の組成物は、該組成物の全質量に対して、1〜80質量%なる範囲、5〜70質量%なる範囲、又はさらに10〜60質量%なる範囲、及び特に15〜50質量%なる範囲内の量の揮発性オイルを含むことができる。
不揮発性オイル
該不揮発性オイルは、特に不揮発性炭化水素を基本とするオイル、フルオロオイル及び/又はシリコーンオイルから選択することができる。
不揮発性炭化水素を基本とするオイルとしては、特に以下に列挙するオイルを挙げることができる:
・動物起源の炭化水素を基本とするオイル、例えばパーヒドロスクアレン;
・植物起源の炭化水素を基本とするオイル、例えばフィトステアリルエステル、例えばフィトステアリルオレエート、フィトステアリルイソステアレート及びラウロイル/オクチルドデシル/フィトステアリルグルタメート(味の素(Ajinomoto)社製のエルドゥ(Eldew) PS203)、グリセロールの脂肪酸エステルで構成される、特に該脂肪酸がC4-C36及び特にC18-C36なる範囲の鎖長を持つこれらエステルで構成されるトリグリセライド(これらのオイルは、直鎖又は分岐した、飽和又は不飽和のものであり得る);これらのオイルは、特にヘプタン酸トリグリセライド又はオクタン酸トリグリセライド、シアオイル、アルファルファオイル、ポピー種子油、カボチャ種子油、キビ油、オオムギ油、アカザ油、ライムギ油、ククイノキ油、トケイソウ油、シアバター、アロエ油、甘扁桃油、桃種子油、グランドナッツ油、アルガン(argan)油、アボカド油、バオバブ油、ボラージ(borrage)油、ブロッコリー油、キンセンカ油、ツバキ油、カノーラ(canola)油、キャロット油、紅花油、大麻オイル、菜種油、綿実油、ココナッツ油、インゲン豆種子油、麦芽油、ホホバ油、ユリ油、マカダミア油、コーン油、メドウフォーム(meadowfoam)油、セントジョーンズボート(St. John's Wort)油、モノイ(monoi)油、ヘーゼルナッツ油、杏仁油、ナッツ油、オリーブオイル、マツヨイグサ油、パーム油、クロフサスグリ種子油、キーウィ種子油、グレープシード油、ピスタチオ油、カボチャ種子油、ウインタスカッシュ(winter squash (カボチャ))油、アカザ油、ヤマイバラ油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、蓖麻子油、及びスイカ種子油、及びこれらの混合物、又はさらにカプリル酸/カプリン酸トリグリセライド、例えばステアリネリデュボア(Stearineries Dubois)社により市販されているもの又はダイナマイトノーベル(Dynamit Nobel)社によりミグリオール(Miglyol) 810 TM、812TM及び818TMなる名称の下に市販されているものであり得る;
【0106】
・無機又は合成起源の直鎖又は分岐鎖炭化水素、例えば流動パラフィン及びその誘導体、石油ゼリー、ポリデセン、ポリブテン、水添イソブテン、例えばパーリーム(Parleam)、スクアラン;
・10〜40個の炭素原子を持つ剛性エーテル;
・合成エステル、例えば式:R1COOR2で表されるオイル、ここでR1は1〜40個の炭素原子を含む直鎖又は分岐した脂肪酸残基を表し、またR2は、特に1〜40個の炭素原子を含む炭化水素を基本とする鎖を表すが、R1+R2≧10であることを条件とする。該エステルは、特に脂肪酸とアルコールとのエステル、例えばセトステアリルオクタノエート、イソプロピルアルコールエステル、例えばイソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、エチルパルミテート、2-エチルヘキシルパルミテート、イソプロピルステアレート又はイソステアレート、イソステアリルイソステアレート、オクチルステアレート、ヒドロキシル化エステル、例えばイソステアリルラクテート、オクチルヒドロキシステアレート、ジイソプロピルアジペート、ヘプタノエート、及び特にイソステアリルヘプタノエート、アルコール又はポリアルコールオクタノエート、デカノエート又はリシノレエート、例えばプロピレングリコールジオクタノエート、セチルオクタノエート、トリデシルオクタノエート、2-エチルヘキシル4-ジヘプタノエート及びパルミテート、アルキルベンゾエート、ポリエチレングリコールジヘプタノエート、プロピレングリコール2-ジエチルヘキサノエート、及びこれらの混合物、C12-C15アルキルベンゾエート、ヘキシルラウレート、ネオペンタン酸エステル、例えばイソデシルネオペンタノエート、イソトリデシルネオペンタノエート、イソステアリルネオペンタノエート、又はオクチルドデシルネオペンタノエート、イソノナン酸エステル、例えばイソノニルイソノナノエート、イソトリデシルイソノナノエート及びオクチルイソノナノエート、ヒドロキシル化エステル、例えばイソステアリルラクテート及びジイソステアリルマレエート;
【0107】
・ポリオールエステル及びペンタエリスリトールエステル、例えばジペンタエリスリチルテトラヒドロキシステアレート/テトライソステアレート;
・ジオールダイマーと二酸ダイマーとのエステル、例えばニッポンファインケミカル(Nippon Fine Chemical)社により市販されており、また特許出願US 2004-175338に記載されているラスプラン(Lusplan) DD-DA5TM及びラスプラン(Lusplan) DD-DA7TM
・ジオールダイマー及び二酸ダイマー及びこれらのエステルのコポリマー、例えばジリノレイルジオールダイマーとそのエステルとのコポリマー、例えば市販品プランドール(Plandool)-G;
・ポリオール及び二酸ダイマー、及びこれらのエステルのコポリマー、例えばハイラッセント(Hailuscent) ISDA、又はジリノール酸/ブタンジオールのコポリマー;
・12〜26個の炭素原子を持つ分岐した及び/又は不飽和の炭素鎖を持つ、周囲温度にて液体の脂肪アルコール、例えば2-オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノール及び2-ウンデシルペンタデカノール;
・C12-C22高級脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸又はリノレン酸、及びこれらの混合物;
・2つのアルキル鎖が同一でも異なっていてもよい、ジアルキルカーボネート、例えばコグニス(Cognis)社によりセチオール(Cetiol) CCTMなる名称の下で市販されている、ジカプリリルカーボネート;
【0108】
・特に約400〜約10,000 g/molなる範囲、特に約650〜約10 000 g/molなる範囲、特に約750〜約7,500 g/molなる範囲、及びより特定的には約1,000〜約5,000 g/molなる範囲内の高分子量を持つオイル:本発明において使用できる高分子量のオイルは、特に以下に列挙するオイルから選択することができる:
・親油性ポリマー;
・35〜70なる範囲の全炭素原子数を持つ、直鎖脂肪酸エステル;
・ヒドロキシル化エステル;
・芳香族エステル;
・C24-C28分岐鎖脂肪酸又は脂肪アルコール;
・シリコーンオイル;
・植物起源のオイル;及び
・これらの混合物。
・場合により部分的に炭化水素を主成分とし及び/又はシリコーンを主成分とするフルオロオイル、例えば文献:EP-A-847 752に記載されているフルオロシリコーンオイル、フッ素化ポリエステル又はフッ素化シリコーン;
【0109】
・シリコーンオイル、例えば不揮発性であり、また直鎖又は環式のポリジメチルシロキサン(PDMS);ペンダントであるか、あるいは該シリコーン鎖の末端にある、アルキル基、アルコキシ基又はフェニル基を含むポリジメチルシロキサンであって、該基が2〜24個の炭素原子を持つもの;フェニル化シリコーン、例えばフェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン又は(2-フェニルエチル)トリメチルシロキシシリケート;及び
・これらの混合物。
特定の一態様によれば、本発明による組成物の該脂肪相は、揮発性化合物の身を含むことができる。
親油性構造生成剤
本発明の組成物は、ワックス、ペースト状化合物及びこれらの混合物から選択される、少なくとも1種の液状脂肪相を構成するための薬剤を含むことができる。
特に、本発明にとって適したワックスは、とりわけ動物、植物、鉱物及び合成起源のワックス、及びこれらの混合物から選択することができる。
本発明に従って使用できるワックスの例としては、以下に列挙するワックスを挙げることができる:
【0110】
・動物起源のワックス、例えばミツロウ、鯨ロウ、ラノリンワックス及びラノリン誘導体、植物起源のワックス、例えばカルナウバロウ、キャンデリラロウ、オリキュリー(ouricucury)ワックス、ウルシ、ココアバター、コルク繊維ワックス又はサトウキビワックス;
・鉱物ワックス、例えばパラフィンワックス、ワセリンワックス、リグナイトワックス又はオゾケライト;
・合成ワックス、特にポリエチレンワックス、及びフィッシャー-トロプシュ(Fisher-Tropsch)合成により得られるワックス;
・シリコーンワックス、特に置換された線状ポリシロキサン;例えばシリコーンポリエーテルワックス、16〜45個の炭素原子を持つアルキルジメチコーン又はアルコキシジメチコーン、アルキルメチコーン、例えばダウコーニング(Dow Corning)社により「AMS C 30」なる商品名の下に市販されている、C30-C45アルキルメチコーンを挙げることができる;
・25℃にて固体の水添オイル、例えば水添蓖麻子油、水添ホホバ油、水添パーム油、水添タロウ又は水添ココナッツ油、及び25℃にて固体の脂肪エステル、例えばコスターケーネン(Koster Keunen)社により「ケスターワックス(Kester Wax) K82H」なる商品名の下に市販されているC20-C40アルキルステアレート;及び/又は
・これらの混合物。
【0111】
好ましくは、ポリエチレンワックス、ミクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、水添ホホバ油、キャンデリラロウ、ミツロウ及び/又はこれらの混合物が使用される。
本発明の組成物は、少なくとも1種のペースト状化合物を含むことができる。
ペースト状化合物の存在は、本発明の組成物をケラチン繊維状に堆積した際に、改善された快適性を有利に付与することを可能とする。
このような化合物は、有利にはラノリン及びその誘導体;ポリマー型又は非-ポリマー型のシリコーン化合物;ポリマー型又は非-ポリマー型のフルオロ化合物;ビニルポリマー、特にオレフィンホモポリマー;オレフィンコポリマー;水添ジエンホモポリマー又はコポリマー;好ましくはC8-C30アルキル基を持つ、アルキル(メタ)アクリレートの線状又は分岐した、かつホモ-又はコポリマー型のオリゴマー;C8-C30アルキル基を持つ、ビニルエステルのホモ-又はコポリマー型のオリゴマー;C8-C30アルキル基を持つ、ビニルエーテルのホモ-又はコポリマー型のオリゴマー;1種又はそれ以上のC2-C100、特にC2-C50ジオール間のポリエーテル化により得られる油溶性ポリエーテル;脂肪酸又はアルコールエーテル;及びこれらの混合物から選択することができる。
これらのエーテルとしては、特に以下に列挙するものを挙げることができる:
【0112】
・オリゴマーグリセロールのエステル、特にジグリセロールのエステル、例えばポリグリセリル-2トリイソステアレート、グリセロールのヒドロキシル基の一部が、脂肪酸、例えばステアリン酸、カプリン酸、ステアリン酸及びイソステアリン酸及び12-ヒドロキシステアリン酸の混合物と反応させた、アジピン酸とグリセロールとの縮合物、例えば特にサソール(Sasol)社によりソフティサン(Softisan) 649なる商標の下に市販されている製品、又は例えばビスジグリセリルポリアシルアジペート-2;アルゾ(Alzo)によりワクセノール(Waxenol) 801なる商標の下に市販されているアラキジルプロピオネート;フィトステロールエステル;脂肪酸及びその誘導体のトリグリセライド、例えば水添ココグリセライド;直鎖又は分岐したC4-C50ジカルボン酸又はポリカルボン酸と、C2-C50ジオール又はポリオールとの間の重縮合により得られる架橋されていないポリエステル;脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステルと脂肪族カルボン酸とのエステル化によって得られるエステルの脂肪族エステル;脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステルとポリカルボン酸とのエステル化により得られるポリエステル(ここで該エステルは、少なくとも2つのヒドロキシル基を持つ)、例えばリソカスト(Risocast) DA-HTM及びリソカスト(Risocast) DA-LTM;及びこれらの混合物。
該構造形成剤は、本発明の組成物中に、該組成物の全質量に対して、0.1〜30質量%なる範囲の含有率で、より好ましくは0.5〜20質量%なる範囲の含有率で存在し得る。
【0113】
増粘剤
達成することが望ましい該組成物の流動性に依存して、1種又はそれ以上の増粘剤又はゲル化剤を、本発明の組成物に配合することができる。
本発明にとって適した増粘剤又はゲル化剤は、親水性、即ち水溶性又は水-分散性であり得る。
親水性ゲル化剤としては、特に水溶性又は水-分散性の増粘性ポリマーを挙げることができる。該ポリマーは、特に以下に列挙するポリマーから選択することができる:変性又は未変性のカルボキシビニルポリマー、例えばグッドリッチ(Goodrich)社によりカルボポール(Carbopol:CTFA名:カーボマー(carbomer))なる名称の下で市販されている製品;ポリアクリレート及びポリメタクリレート、例えばガーディアン(Guardian)社によりラブラジェル(Lubrajel)及びノルゲル(Norgel)なる名称の下にあるいはヒスパノキミカ(Hispano Chimica)社によりヒスパゲル(Hispagel)なる名称の下で市販されている製品;ポリアクリルアミド;場合により架橋され及び/又は中和されている、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマー及びコポリマー、例えばクラリアント(Clariant)社により「ホスタセリン(Hostacerin) AMPS」(CTFA名:アンモニウムポリアクリルジメチルタウラミド)なる名称の下で市販されている、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸);W/Oエマルション形状にある架橋されたアニオンセイアクリルアミド/AMPSコポリマー、例えばセピック(SEPPIC)社によって、セピゲル(Sepigel) 305(CTFA名:ポリアクリルアミド/C13-14イソパレフィン/ラウレス(Laureth)-7)及びシムゲル(Simulgel) 600(CTFA名:アクリルアミド/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート80)なる名称の下で市販されている製品;多糖バイオポリマー、例えばザンタンガム、グアーガム、キャロブガム、アカシアガム、スクレログルカン、キチン誘導体、及びキトサン誘導体、カラギーナン、ゲラン(gellans)、アルギネート、又はセルロース、例えばミクロクリスタリンセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース;及びこれらの混合物。
【0114】
本発明にとって適した増粘剤又はゲル化剤は、親油性であり得、またこれは無機又は有機物質であり得る。
親油性増粘剤としては、例えば以下に列挙するものを挙げることができる:変性クレイ、例えば変性マグネシウムシリケート(レオックス(Rheox)社から入手できるベントン(Bentone)ゲルVS38)、変性ヘクトライト、例えばC10-C22脂肪酸アンモニウムクロリドで変性されたヘクトライト、例えばジステアリルジメチルアンモニウムクロリドで変性されたヘクトライト、例えばエレメンティス(Elementis)社によってベントン(Bentone) 38VTMなる名称の下で市販されている製品、又はレオックス(Rheox)社によってベントン(Bentone) 38 CEなる名称の下で市販されている製品、又はエレメンティス(Elementis)社によりベントンゲル(Bentone Gel) V5 5Vなる名称の下で市販されている製品。
【0115】
上記ポリマー型有機親油性ゲル化剤は、例えば部分的に又は完全に架橋された、3次元構造を持つエラストマーオルガノポリシロキサン、例えばシンエツ(Shin-Etsu)社により、KSG6TM、KSG16TM及びKSG18TM、ダウコーニング()社によりトレフィル(Trefil) E-505CTM及びトレフィル(Trefil) E-506CTM、グラントインダストリーズ(Grant Industries)社によりグランシル(Gransil)SR-CYCTM、SR DMF10TM、SR-DC556TM、SR 5CYCゲルTM、SR DMF 10ゲルTM及びSR DC 556ゲルTM及びゼネラルエレクトリック(General Electric)社によりSF 1204及びJK 113なる名称の下に市販されている製品、エチルセルロース、例えばダウケミカル(Dow Chemical)社によってエトセル(EthocelTM)なる名称の下に市販されている製品;少なくとも32個の炭素原子を含むジカルボン酸とアルキレンジアミン、及び特にエチレンジアミンとの間の縮合により得られるポリアミド型の重縮合物(ここで、該ポリマーは、12〜30個の炭素原子を含む、少なくとも一つのモノアミン又は少なくとも1つのモノアルコールでエステル化又はアミノ化された、少なくとも一つの末端カルボン酸基を含む)、及び線状かつ飽和の、及び特にエチレンジアミン/ステアリルジリノレエートコポリマー、例えばアリゾナケミカル(Arizona Chemical)社によりユニクリアー(Uniclear) 100 VGTMなる名称の下で市販されている製品;単糖1個当たり1〜6個及び特に2〜4個のヒドロキシル基を含み、飽和又は不飽和のアルキル鎖で置換されたガラクトマンナン、例えばC1-C6及び特にC1-C3鎖でアルキル化されたグアーガム及びこれらの混合物である。ポリスチレン/ポリイソプレン又はポリスチレン/ポリブタジエン型の「ジブロック」、[トリブロック]又は「ラジアル」型のブロックコポリマー、例えばバスフ(BASF)社によりルビトール(Luvitol) HSBTMなる名称の下に市販されているポリスチレン/コポリ(エチレン-プロピレン)型のもの、例えばシェルケミカル社(Shell Chemical Co,)により、名称:クラトン(KratonTM)の下で市販されているもの、その他のポリスチレン/コポリ(エチレン-プロピレン)型のもの、イソドデカン中のトリブロック及びラジアル(星型)コポリマーブレンド、例えばペンレコ(Penreco)社によりベルサゲル(VersagelTM)なる名称の下に市販されているもの、例えばイソドデカン中のブチレン/エチレン/スチレントリブロックコポリマーとエチレン/プロピレン/スチレン星型コポリマーとの混合物(ベルサゲル(Versagel) M 5960)。
【0116】
本発明の化粧料組成物において使用できる上記親油性のゲル化剤としては、デキストリンと脂肪酸とのエステル、例えばデキストリンパルミテート、特にチバフラワー(Chiba Flour)社によりレオパール(Rheopearl) TLTM又はレオパール(Rheopearl) KLTMなる名称の下で市販されているゲル化剤、水添植物油、例えば水添蓖麻子油、脂肪アルコール、特にC8-C26及びより特定的にはC12-C22脂肪アルコール、例えばミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコールをも挙げることができる。
一態様によれば、本発明の組成物は、増粘剤を、その活性物質に関する含有率として、該組成物の全質量に対して、0.01〜40質量%なる範囲、とりわけ0.1〜20質量%なる範囲、特に0.3〜15質量%なる範囲で含むことができる。
着色剤
本発明の組成物は、また少なくとも1種の着色剤を含むことができる。
本発明の化粧料組成物は、有利には、以下に列挙されるものから選択される少なくとも1種の着色剤を配合することができる:有機又は無機着色剤、特に例えば化粧料組成物において従来から使用されている顔料又は真珠箔顔料、油溶性又は水溶性着色剤、特定の光学的作用を持つ物質、及びこれらの混合物。
該用語「顔料」とは、白色又は着色された、水性媒体に対して不溶性の粒子であり、また生成するフィルムを着色し及び/又は不透明化するための、有機又は無機粒子を意味するものと理解すべきである。
【0117】
該顔料は、該組成物中に、その全質量に対して、0.1〜40質量%なる範囲、とりわけ1〜30質量%なる範囲、及び特に5〜15質量%なる範囲内の割合で存在し得る。
本発明において使用できる無機顔料としては、二酸化チタン、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム、またさらには酸化亜鉛、酸化鉄又は酸化クロム、鉄青、マンガンバイオレット、群青及びクロムハイドレートを挙げることができる。
該顔料は、また例えばセリサイト/褐色酸化鉄/二酸化チタン/シリカ型のものであり得る、構造を持つ顔料であり得る。このような顔料は、例えばケミカルズ&キャタリスツ(Chemicals and Catalysts)社により参照名:カバーリーフ(Coverleaf) NS又はJSの下に市販されており、約30なるコントラスト比を有している。
該着色剤は、また例えば酸化鉄を含有するシリカ微小球型のものであり得る、構造を持つ顔料を含むこともできる。この構造を持つ顔料の例は、ミヨリ()社により参照名:PCボール(PC Ball) PC-LL-100 Pの下に市販されており、この顔料は、黄色酸化鉄を含有するシリカ微小球で構成されている。
本発明において使用できる上記有機顔料としては、カーボンブラック、D & C顔料、コチニールカーミンを主成分とする、バリウム、ストロンチウム、カルシウム又はアルミニウムを主成分とするレーキ、あるいはまた文献:EP-A-542 669、EP-A-787 730、EP-A-787 731及びWO-A-96/08537に記載されているジケトピロロピロール(DPP)を挙げることができる。
【0118】
前記用語「真珠箔顔料」とは、任意の形状の真珠光沢を持つ又はこれを持たない着色粒子を意味するものと理解すべきであり、これらは、特にある種の貝類によりその貝殻内等において生成又は合成され、またこれらは、光学的な干渉を通して着色効果を呈する。
該真珠箔は、真珠箔顔料、例えば酸化鉄で被覆したチタンマイカ、ビスマスオキシクロリドで被覆したチタンマイカ、酸化クロムで被覆したチタンマイカ、有機染料で被覆したチタンマイカ、及びビスマスオキシクロリドを主成分とする真珠箔顔料から選択することができる。これは、また表面を、金属酸化物及び/又は有機着色剤の少なくとも2種の連続する層を積層した、マイカ粒子を含むこともできる。
真珠箔の例としては、同様に酸化チタンで、酸化鉄で、天然顔料で、又はビスマスオキシクロリドで被覆した天然産のマイカを挙げることもできる。
市場で入手できる真珠箔顔料としては、エンゲルハード(Engelhard)社によって市販されている、真珠箔であるティミカ(Timica)、フラメンコ(Flamenco)、及びデュオクロム(Duochrome)(マイカを主成分とする)、メルク(Merck)社により市販されているティミロン(Timiron)真珠箔顔料、エッカート(Eckart)社によって市販されているプレスティッジマイカを主成分とする(Prestige mica-based)真珠箔顔料及びサンケミカル(Sun Chemical)社によって市販されている合成マイカを主成分とする真珠箔顔料サンシャイン(Sunshine)を挙げることができる。
該真珠箔顔料は、より詳しくは黄色、桃色、赤色、ブロンズ色、オレンジ色、褐色、金色及び/又は赤銅色又は輝きをも持つことができる。
【0119】
本発明との関連で使用することのできる真珠箔顔料の例としては、特にエンゲルハード(Engelhard)社によって、ブリリアント(Brillant)ゴールド212G[ティミカ(Timica)]、ゴールド(Gold) 222C[クロワッサン(Cloisonne)]、スパークル(Sparkle)ゴールド[ティミカ(Timica)]、ゴールド(Gold) 4504[クロマライト(Chromalite)]及びモナーク(Monarch)ゴールド233X[クロワッサン(Cloisonne)]なる名称の下に市販されている金色の真珠箔顔料;特にメルク(Merck)社によってブロンズ(Bronze)ファイン(17384)[カラロナ(Colorona)]及びブロンズ(Bronze) (17353) [カラロナ(Colorona)]なる名称で、エンゲルハード(Engelhard)社によって、スーパー(Super)ブロンズ[クロワッサン(Cloisonne)]なる名称での下で市販されているブロンズ色の真珠箔;特にエンゲルハード(Engelhard)社によって、オレンジ(Orange) 363C[クロワッサン(Cloisonne)]及びオレンジ(Orange) MCR 101[コスミカ(Cosmica)]なる名称の下で、及びメルク(Merck)社によってパッション(Passion)オレンジ[カラロナ(Colorona)]及びマット(Matte)オレンジ(17449)[ミクロナ(Microna)]なる名称の下で市販されているオレンジ色の真珠箔;特にエンゲルハード(Engelhard)社によりヌ-アンティック(Nu-antique)カッパー340XB[クロワッサン(Cloisonne)]及びブラウン(Brown) CL4509[クロマライト(Chromalite)]なる名称の下で市販されている褐色ががった真珠箔顔料;特にエンゲルハード(Engelhard)社によりカッパー(Copper) 340A[ティミカ(Timica)]なる名称の下で市販されている銅の輝きを持つ真珠箔顔料;特にメルク(Merck)社によってシエンナ(Sienna)ファイン(17386)[カラロナ(Colorona)]なる名称の下で市販されている赤色の輝きを持つ真珠箔顔料;特にエンゲルハード(Engelhard)社によってイエロー(Yellow) (4502) [クロマライト(Chromalite)]なる名称の下で市販されている黄色の輝きを持つ真珠箔顔料;特にエンゲルハード(Engelhard)社によりサンストーン(Sunstone) G012 [ジェムトン(Gemtone)]なる名称の下で市販されている金色の輝きを持ち赤色を帯びた真珠箔顔料;特にエンゲルハード(Engelhard)社によりタン(Tan)オパールG005[ジェムトン(Gemtone)]なる名称の下で市販されているピンク色の真珠箔顔料;特に、エンゲルハード(Engelhard)社によってヌ-アンティック(Nu-antique)ブロンズ240 AB[ティミカ(Timica)]なる名称の下で市販されている金色の輝きを持つ黒色の真珠箔顔料;特に、メルク(Merck)社によってマット(Matte)ブルー(17433) [ミクロナ(Microna)]なる名称の下で市販されている青色の真珠箔顔料;特にメルク(Merck)社によってキシロナシルバー(Xirona Silver)なる名称の下で市販されている銀色の輝きを持つ白色の真珠箔顔料;及び特にメルク(Merck)社によってインディアン(Indian)サマー[キシロナ(Xirona)] なる名称の下で市販されている緑-金色のピンクがかったオレンジ色の真珠箔顔料;及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0120】
本発明の化粧料組成物は、また水溶性又は油溶性の染料をも含むことも可能である。該油溶性の染料は、例えばスーダン(Sudan)レッド、DCレッド(Red)17、DCグリーン(Green) 6、β-カロチン、大豆油、スーダン(Sudan)ブラウン、DCイエロー(Yellow)11、DCバイオレット(Violet)2、DCオレンジ(Orange)5及びキノリンイエローである。該水溶性染料は、例えばビート根ジュース及びカラメルである。
本発明の化粧料組成物は、また少なくとも1種の、特定の光学作用を持つ物質を含むこともできる。
この作用は、簡単な従来の色付け作用、即ち従来の着色剤、例えば単色顔料によって生出される類の、統一されかつ安定化された効果とは異なる。本発明の目的にとって、該用語「安定化」とは、観測角度によって、あるいは温度変化に応答して、様々に変動する色彩効果がないことを示す。
例えば、この物質は、金属光輝性を持つ粒子、ゴニオクロマチック(goniochromatic)着色剤、回折性顔料、サーモクロマチック剤、光学的増白剤、及びフィラー、特に干渉型のフィラーから選択することができる。勿論、これら様々な物質は、本発明の2つの効果あるいはさらには新たな効果をも同時に与えるように組み合わせることができる。
【0121】
本発明において使用できる該金属光輝性粒子は、特に以下に列挙するものから選択することができる:
・少なくとも1種の金属及び/又は少なくとも1種の金属誘導体;
・少なくとも部分的に、少なくとも1種の金属及び/又は少なくとも1種の金属誘導体を含む、少なくとも一つの金属光輝性を持つ層で被覆された、有機又は無機支持体、単一の物質又は複数の物質を含む粒子;及び
・これら粒子の混合物。
該粒子中に存在し得る該金属としては、例えばAg、Au、Cu、Al、Ni、Sn、Mg、Cr、Mo、Ti、Zr、Pt、Va、Rb、W、Zn、Ge、Te、Se及びこれらの混合物又は合金を挙げることができる。Ag、Au、Cu、Al、Zn、Ni、Mo、Cr及びこれらの混合物又は合金(例えば、青銅及び黄銅)が好ましい金属である。
該用語「金属誘導体」とは、金属から導かれる化合物、特に酸化物、フッ化物、塩化物及び硫化物を表す。
該粒子の例としては、例えばアルミニウム粒子、例えばサイバーライン(Siberline)社によりスターブライト(Starbrite) 1200 EACTMなる名称の下で市販されている、またエッカート(Eckart)社によりメタルアー(MetalureTM)なる名称の下で市販されているアルミニウム粒子を挙げることができる。
【0122】
同様に、銅又は合金混合物の金属粉末、例えばラジウムブロンズ(Radium Bronze)社により市販されている参照名2844を持つもの、金属顔料、例えばアルミニウム又は青銅、例えばエッカート(Eckart)社によりロトセーフ(Rotosafe) 700なる名称の下で市販されているもの、エッカート(Eckart)社によって名称:ビジョネールブライトシルバー(Visionaire Bright Silver)の下に市販されているシリカ-被覆アルミニウム粒子、及び金属合金粒子、例えばエッカート(Eckart)社によってビジョネールブライトナチュラルゴールド(Visionaire Bright Natural Gold)なる名称の下で市販されているシリカ-被覆青銅(銅及び亜鉛合金)をも挙げることができる。
該問題とする粒子は、またガラス支持体、例えば日本シートガラス(Nippon Sheet Glass)社によりマイクロガラスメタシャイン(Microglass Metashine)なる名称の下に市販されているガラス支持体を含む粒子であり得る。
該ゴニオクロマチック着色剤は、例えば多層干渉構造及び液晶着色剤から選択することができる。
【0123】
本発明に従って製造される組成物中で使用できる対称型多層干渉構造の例は、例えば以下のような構造にある:Al/SiO2/Al/SiO2/Al(この構造を持つ顔料は、デュポンドゥネモアーズ(Dupont de Nemours)社により市販されている);Cr/MgF2/Al/MgF2/Cr(この構造を持つ顔料は、フレックス(Flex)社によりクロマフレア(Chromaflair)なる名称の下に市販されている);MoS2/SiO2/Al/SiO2/MoS2;Fe2O3/SiO2/Al/SiO2/Fe2O3及びFe2O3/ SiO2/Fe2O3/SiO2/Fe2O3(これらの構造を持つ顔料は、バスフ(BASF)社によりシコパール(Sicopearl) なる名称の下に市販されている);MoS2/SiO2/マイカ-オキサイド/ SiO2/ MoS2;Fe2O3/SiO2/マイカ-オキサイド/SiO2/Fe2O3;TiO2/SiO2/TiO2及び TiO2/Al2O3/ TiO2;SnO/TiO2/SiO2/TiO2/SnO;Fe2O3/SiO2/Fe2O3;SnO/マイカ/TiO2/SiO2/TiO2/マイカ/SnO(これらの構造を持つ顔料は、メルク(Merck)社(ダルムシュタット)によりキシロナ(Xirona) なる名称の下に市販されている)。例として、これらの顔料は、シリカ/酸化チタン/酸化スズ構造を持つ、メルク(Merck)社によりキシロナマジック(Xirona Magic)なる名称の下に市販されている顔料、シリカ/褐色酸化鉄構造を持つ、メルク(Merck)社によりキシロナインディアンサマー(Xirona Indian Summer) なる名称の下に市販されている顔料、及びシリカ/酸化チタン/マイカ/酸化スズ構造を持つ、メルク(Merck)社によりキシロナカリビーンブルー(Xirona Carribean Blue) なる名称の下に市販されている顔料であり得る。同様に、シセイドウ(Shiseido)社から入手できるインフィナイトカラー(Infinite Colors)を挙げることもできる。様々な相の厚み及び特性に依存して、様々な効果が得られる。即ち、該Fe2O3/SiO2/Al/SiO2/Fe2O3構造を用いた場合、320〜350nmなる範囲のSiO2層に関して、緑-金色から赤-グレーへの色彩変化;380〜400nmなる範囲のSiO2層に関して、赤から金への色彩変化;410〜420nmなる範囲のSiO2層に関して、紫から緑への色彩変化;430〜440nmなる範囲のSiO2層に関して、赤銅から赤への色彩変化を示す。
【0124】
ポリマー多重層構造を持つ顔料の例としては、3M社によりカラーグリッター(Color Glitter) なる名称の下に市販されているものを挙げることができる。
使用可能な液晶型のゴニオクロマチック粒子の例は、チェニックス(Chenix)社により市販されているもの、及びワッカー()社によりヘリコーン(HeliconeTM) HCなる名称の下に市販されている製品を含む。
フィラー
本発明の組成物は、また有機又は無機特性の少なくとも一つのフィラーをも含むことができ、該フィラーは、特に該組成物に、艶消し性、被覆力、及び/又は浸出及び適用後の移動防止特性に関する改善された安定性等の追加の諸特性を付与することを可能とする。
該用語「フィラー」とは、任意の形状を持つ無色又は白色の固体粒子を意味するものと理解すべきであり、これは、該組成物の媒体に対して不溶性であるか、あるいは該媒体中に分散されている。無機又は有機特性を持つ、これらは、該組成物の量感又は合成を付与し、及び/又は柔軟性、及びそのメイクアップに均一性を与えることを可能とする。
【0125】
本発明の組成物において使用されるフィラーは、層状、小球状又は球状形態であり得、あるいは繊維形状、又はこれら定義した形状間の中間的な任意の形状を持つことができる。
本発明による該フィラーは、表面被覆されていても表面被覆されていなくてもよく、また特に該フィラーは、シリコーン、アミノ酸、フルオロ誘導体又は該フィラーの該組成物への分散性及びこれに対する相溶性を高める任意の他の物質で、表面処理することができる。
本発明による組成物において使用できる該フィラーとしては、タルク、マイカ、カオリン、ベントン、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、ガラス又はセラミックスマイクロカプセル、シリカと二酸化チタンとの複合体、例えば日本シートガラス(Nippon Sheet Glass)社により市販されているTSGシリーズ、ポリアミド粉末[アトケム(Atochem)社のナイロン(NylonTM)オルガゾル(Orgasol)]、ポリ-β-アラニン粉末及びポリエチレン粉末、ポリテトラフルオロエチレン粉末[テフロン(TeflonTM)]、ラウロイルリジン、デンプン、エクスパンセル(Expancel)[ノーベルインダストリー(Nobel Industrie)]等の中空ポリマー微小球、8〜22個、好ましくは12〜18個の炭素原子を持つ有機カルボン酸由来の金属石鹸、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、マグネシウムミリステート、ポリポア(PolyporeTM) L 200 [ケムダルコーポレーション(Chemdal Corporation)]、シリコーン樹脂のマイクロビーズ(例えば、トウシバ(Toshiba)社製のトスパール(TospearlTM))、ポリウレタン粉末、特にコポリマー含有架橋ポリウレタンの粉末(ここで、該コポリマーは、トリメチロールヘキシルラクトンを含む)を挙げることができる。特に、該フィラーは、ヘキサメチレンジイソシアネート/トリメチロールヘキシルラクトンのポリマーであり得る。このような粒子は、特に例えばトシキ(Toshiki)社によりプラスチックパウダ(Plastic Powder) D-400TM又はプラスチックパウダ(Plastic Powder) D-800TMなる名称の下で、及びこれらの混合物として市販品として入手できる。
【0126】
活性薬剤
本発明の組成物は、また少なくとも、1種の化粧学的に活性な薬剤及び/又は1種の皮膚科学的に活性な薬剤をも含むことができる。
本発明にとって適した化粧学的に活性な及び/又は皮膚科学的に活性な薬剤の非-限定的な例として、以下に列挙するものから選択される活性薬剤を挙げることができる:
・水和剤、落屑剤、バリア機能促進剤、色素除去剤、酸化防止剤、皮膚弛緩剤、アンチグリケーション剤、皮膚及び/又は表皮巨大分子合成促進及び/又はその分解を防止するための薬剤、線維芽細胞又はケラチノサイトの増殖及び/又はケラチノサイトの分化を刺激する薬剤、角質外被の成熟を促進する薬剤、NO-シンターゼ阻害剤、末梢ベンゾジアゼピンレセプタ(PBR)アンタゴニスト、皮脂腺の活性を高める薬剤、細胞のエネルギー代謝を刺激する薬剤、伸張剤、脂肪再構築剤、減量剤、皮膚微小循環系刺激剤、鎮静及び/又は刺激防止剤、皮脂調整又は抗-脂漏薬、収斂薬、瘢痕形成促進剤、抗炎症薬、及び抗-アクネ薬;
・艶消し剤、ソフト-フォーカス(soft-focus)フィラー、蛍光剤、皮膚の自然なピンク色を高める薬剤、及び研磨又は剥離フィラー;及び
・これらの混合物。
本発明にとって適した化粧学的に及び/又は皮膚科学的に活性な薬剤は、特に特許出願:EP 1 847 247において述べられている薬剤から選択することができる。
該活性薬剤及びその含有率を、ケラチン物質に対する所定の効果の関数として、及び本発明の組成物の化粧学的諸特性に悪影響を与えないように選択することは、当業者の能力の一部を構成する。
【0127】
例として、該活性薬剤は、該組成物中に、その全質量に対して、0.01〜20質量%なる範囲、好ましくは0.01〜10質量%なる範囲、及びより好ましくは0.05〜1質量%なる範囲内の含有率で存在し得る。
添加剤
本発明による化粧料組成物は、また今関連している分野において通常使用されるあらゆる添加剤、例えばガム、アニオン性、カチオン性、両性又はノニオン性界面活性剤、シリコーン界面活性剤、ガム、樹脂、分散剤、半-結晶性ポリマー、酸化防止剤、精油、保存剤、香料、中和剤、防腐剤、抗-UV保護剤、化粧学的活性剤、例えばビタミン、水和剤、皮膚軟化剤又はコラーゲン-保護剤、及びこれらの混合物から選択される添加剤を含むことができる。
当業者は、本発明による組成物中に存在するこれら添加剤の特性及び量を、通常の操作によって、これら組成物にとって望ましい化粧学的諸特性及び安定性が、これらの添加によって影響されないように、調節することができる。
本発明の組成物は、特に皮膚又は口唇をメイクアップ及び/又はケアするための組成物形状、特にファンデーション形状であり得る。
【実施例】
【0128】
本発明を、以下に記載する実施例において、より一層詳細に説明するが、これら実施例は単に本発明を例証するために提示されるものであり、本発明を限定するためのものではないと理解すべきである。
実施例1:艶消し維持能力に及ぼすポリマーの特性の影響
以下の流体状のファンデーション例1A(本発明)及び1B〜1D(比較例)は、少なくとも一つのカルボシロキサンデンドリマー由来の単位を持つビニルポリマー(1A)が、艶消し維持能力に関して、他のポリマー(1B、1C、1D)と比較して、より良好な結果を与えることを示している。
実施例1の一般的な処方:
【0129】
【表1】
【0130】
【表2】
【0131】
操作プロトコール
相A1の構成成分を主ビーカーに秤取り、該ブチルパラベンが溶解するまで、75℃にて加熱する。
次に、相A2及びA3を、周囲温度にて、モリッツ(Moritz)攪拌機(1000rpm)を用いて攪拌しつつ添加する。この分散液が、完全に均一となった際に、相A4を添加し、一方で攪拌を継続する。
別途、顔料及びシクロヘキサシロキサンの混合物を、三本ロールミル内で3回に渡り粉砕することによって、相A5を調製する。
次いで、攪拌を継続しつつ、この層A5を添加する。相A6、A7及びA8についても同様である。
また、該PEG-20を、引続き該メチルパラベン及び該硫酸マグネシウムをビーカー内に秤取り、水性相としての相Bを別途調製し、95℃に予備加熱した水を添加する。
該水性相を、磁気バーを用いて、これら3種の成分が溶解するまで攪拌し、次いでフェノキシエタノールを40℃にて添加する。
周囲温度にて、エマルションを調製する:即ち、水性相としての相Bを、攪拌速度を4,500rpmまで徐々に高めつつ(モリッツ攪拌機)、該脂肪相に注込む。この攪拌を10分間維持する。
次に、相C(エタノール)を、最終的に添加する。
得られたこの製品は、レイネリ(Rayneri)ミキサ(ブレード型ミキサ)で攪拌し、この攪拌を100rpmにて10分間行う。
艶消し性及び艶消し維持能力の測定:
艶消し性及び艶消し維持能力は、以前に示されたプロトコールに従って、16名の女性からなるパネルについて評価する。
コンパウンドA〜Dについて得られた結果を、以下の表に与える:
【0132】
【表3】
艶消し性及び艶消し維持能力: + 低い;++ 中程度;+++ 良好;++++ 極めて良好。
【0133】
実施例 2:艶消し性維持能力に及ぼす、フィラーの特性の影響
一方で、流体ファンデーション2A及び2B、他方で流体ファンデーション2E及び2Dは、艶消し性維持能力に関して、シリカが、他のフィラーよりも良好な結果を与えることを示すことができる。
実施例2の一般的な処方:
【0134】
【表4】
【0135】
操作プロトコール
この操作プロトコールは、実施例1に記載したものと同一であるが、実施例のこの第二のシリーズにおいては、相A8は存在しない。
【0136】
【表5】
艶消し性又は艶消し維持能力: + 低い;++ 中程度;+++ 良好;++++ 極良好
【0137】
実施例3:艶消し維持能力に及ぼすフィラーの量の影響:
実施例3A及び3Bの組成物は、艶消し維持能力が、フィラーの量に依存することを示している。
実施例3の一般的な処方:
【0138】
【表6】
【0139】
操作プロトコール及び艶消し性及び艶消し維持能力の測定は、実施例1について示した通りに実施する。
結果:
【0140】
【表7】
艶消し性及び艶消し維持能力:+ 低い;++ 中程度;+++ 良好;++++ 極良好
【0141】
得られたこれら結果は、比較例3A(シリカの割合(%):0.3 %、即ち<2%)の艶消し維持能力は、本発明による実施例3B(シリカの割合(%):5.5%、即ち>2%)の艶消し維持能力よりも低いことを示している。
さらに、比較例3Aの艶消し性は、本発明による実施例3Bの艶消し性よりも低い。
シリカの量に関する2%という限界値は、本発明の組成物に、艶消し性及び艶消し維持能力に関する改善された特性を付与するために、決定的であると考えられる。