(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建物開口部に取り付けられるスクリーン枠と、該スクリーン枠の横枠にガイドされて摺動する可動框と、該可動框によって開閉操作されるスクリーンとを有し、上記可動框と、スクリーンを展張したときに該可動框が当接する受け框又は他の可動框との間に、鉤部を有するラッチと該鉤部が係合される係合孔を有するラッチ受けとから成るラッチ機構を備えた横引きスクリーン装置において、
上記スクリーンの展張時に当接する上記一対の框を構成する框材のうちの上記ラッチを設けた一方の框材と、上記ラッチ受けを設けた他方の框材との間に、上記ラッチとラッチ受けとを近接させて接合する際に、ラッチの鉤部をラッチ受けの係合孔に入れるように導くガイド機構が設けられ、
上記ラッチは、それを設けた一方の框材に上下に摺動自在に保持されて他方の框材側に向けて突出する突軸部に、先端に向けて次第に先細り形状をなす鉤部を備えると共に、該鉤部の基部にラッチ受けの受鉤部との係合間隙を介在させて上下方向に延設され、ラッチの昇降時に上記一方の框材の外面に沿って摺動するように配設されたガイド板を備え、
一方、上記ラッチ受けは、上記ラッチの鉤部が入るラッチ受けの係合孔の口部の下縁に、上記ラッチの鉤部が係合する上記受鉤部を備え、
上記ラッチ受けにおける上記係合孔の口部から側方に張り出している表面板に、上記ラッチを備えた框材に向かって突出し、ラッチとラッチ受けとの係合時に該ラッチのガイド板の両側において該框材に当接することにより、上記ガイド板に対してラッチ受け及びそれを設けた框材が接触するのを抑止する土手部を設けている、
ことを特徴とする横引きスクリーン装置。
上記ラッチ受けを設けた框材におけるスクリーン張設面の表裏両面側に位置する框側壁間に形成され、スクリーンの展張時に上記ラッチを設けた框材を受け入れる受入凹部を、スクリーン枠の横枠にガイドされて摺動する移動側の框材が上記横枠にガイドされながらもスクリーンの表裏両面側にずれ動く範囲内で受け入れる開口幅を有するものとし、
上記ラッチとラッチ受けの接合に際してラッチの鉤部をラッチ受けの係合孔に入れるように導く前記ガイド機構が、上記ラッチ受けにおける係合孔の口部から側方に張り出している表面板の少なくとも一側方の土手部の外側に形成されていて、上記受入凹部内に向けて傾斜するガイド面と、上記ラッチを設けた框材のスクリーンの表裏面側に設けられた框側壁で、該ガイド面に対向する側に位置しているガイド用の框側壁とにより形成され、
上記ガイド用の框側壁が上記ラッチ受けの傾斜するガイド面にガイドされ、あるいはガイドされることなく上記ガイド面とそれに対向する框側壁との間の受入凹部に受け入れられたときに、上記ラッチの鉤部の両側面がラッチ受けの係合孔の両内側面のいずれとも接することなく上記ラッチの鉤部が上記係合孔に挿入される寸法関係に設定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の横引きスクリーン装置。
上記ラッチの鉤部の基部の上下に、それぞれ上記ラッチ受けの受鉤部との係合間隙を介在させてガイド板を延設すると共に、上記ラッチ受けにおける係合孔の口部の上下縁に上記ラッチの鉤部が係合する上記受鉤部を備え、
上記ラッチ及び上記ラッチ受けからなるラッチ機構が上下に対称な形状をなし、スクリーン装置自体が、該ラッチ機構と共に上下反転状態で使用可能に形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の横引きスクリーン装置。
【背景技術】
【0002】
従来から、防虫や遮光、目隠し、断熱、装飾等を目的とした横引きスクリーン装置において、上下の横枠に沿って摺動可能な可動框と、可動框によって開閉操作されるスクリーンとを有し、スクリーンの巻取軸にスプリングを内蔵することで該スクリーンの収納方向にばね付勢され、それによって、巻取軸にスクリーンを巻取り可能に構成された自動収納式が一般的に知られている。
【0003】
このような自動収納式の横引きスクリーン装置は、スクリーンを展張してこれを全展張状態で位置保持する為に、可動框が当接する受け框又は他の可動框との間にラッチ機構を備えている。このラッチ機構としては、例えば、特許文献1に開示されているように、スクリーン取付枠部10に対向して配設された戸当り枠12に設けたラッチ35と、スクリーン取付枠部10の前面部に設けたハンガー39とからなるのが通例である。そして、スクリーン2を展張する際には、スクリーン取付枠部10を戸当り枠12までスライド移動させることにより、ハンガー39の開口38にラッチ35の係合部36が入り込み、その先端が開口38の縁部においてハンガー39に引っ掛かることによりロック状態になる。
【0004】
ところで、スクリーンを上記ロック状態に保持するにあたり、操作者がスクリーンの一面側、例えばスクリーンの室内側にいて、スクリーン取付枠部10を戸当り枠12側に操作すると、スクリーン取付枠部10にそれを戸当り枠12側に押す力を与える一方で、少なからず、スクリーン取付枠部10を他面側である室外側に対しても押圧することになって、スクリーン取付枠部10に対してはその方向の分力が作用することになる。そうすると、スクリーン取付枠部10は、上下のスライドガイド枠部15,16にガイドされて移動が制限されているために極端なズレ動きはないものの、スライドガイド枠部15,16との間にある程度の隙間があるから、少なくともその隙間の分だけスクリーン取付枠部10が上記他面側に偏倚することになる。
【0005】
そのため、上記特許文献1に開示されているような横引きスクリーン装置では、スクリーン2を展張方向に移動させて上記ロック状態にする際に、スクリーン取付枠部10がスクリーン2の操作者がいる面側とは反対面側に押され、ラッチ35とハンガー39との位置がスクリーンの表裏面方向にずれてしまい、ラッチ35の掛かりが悪くなってしまう不都合があった。スクリーン取付枠部10を手前側(上記操作者側)に引いて、ラッチ35とハンガー39の開口38との位置を考慮しながらスライド移動させれば、上述した問題は解消されるが、誰もがその移動操作に慣れるようにするのには困難性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の技術的課題は、可動框が当接する受け框又は他の可動框との間にラッチ機構を備えた横引きスクリーン装置において、可動框がスクリーンの展張操作に伴ってスクリーンの表裏面方向にずれ動くような場合でも、ラッチ受けに対するラッチの係合動作が確実で、しかも、スムーズに行えるようにした横引きスクリーン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明はによれば、建物開口部に取り付けられるスクリーン枠と、該スクリーン枠の横枠にガイドされて摺動する可動框と、該可動框によって開閉操作されるスクリーンとを有し、上記可動框と、スクリーンを展張したときに該可動框が当接する受け框又は他の可動框との間に、鉤部を有するラッチと該鉤部が係合される係合孔を有するラッチ受けとから成るラッチ機構を備えた横引きスクリーン装置において、上記スクリーンの展張時に当接する上記一対の框を構成する框材のうちの上記ラッチを設けた一方の框材と、上記ラッチ受けを設けた他方の框材との間に、上記ラッチとラッチ受けとを近接させて接合する際に、ラッチの鉤部をラッチ受けの係合孔に入れるように導くガイド機構が設けられ、上記ラッチは、それを設けた一方の框材に上下に摺動自在に保持されて他方の框材側に向けて突出する突軸部に、先端に向けて次第に先細り形状をなす鉤部を備えると共に、該鉤部の基部にラッチ受けの受鉤部との係合間隙を介在させて上下方向に延設され、ラッチの昇降時に上記一方の框材の外面に沿って摺動するように配設されたガイド板を備え、一方、上記ラッチ受けは、上記ラッチの鉤部が入るラッチ受けの係合孔の口部の下縁に、上記ラッチの鉤部が係合する上記受鉤部を備え、上記ラッチ受けにおける上記係合孔の口部から側方に張り出している表面板に、上記ラッチを備えた框材に向かって突出し、ラッチとラッチ受けとの係合時に該ラッチのガイド板の両側において該框材に当接することにより、上記ガイド板に対してラッチ受け及びそれを設けた框材が接触するのを抑止する土手部を設けていることを特徴とする横引きスクリーン装置が提供される。
【0009】
本発明に係る横引きスクリーン装置の好ましい実施形態においては、上記ラッチ受けを設けた框材におけるスクリーン張設面の表裏両面側に位置する框側壁間に形成され、スクリーンの展張時に上記ラッチを設けた框材を受け入れる受入凹部を、スクリーン枠の横枠にガイドされて摺動する移動側の框材が上記横枠にガイドされながらもスクリーンの表裏両面側にずれ動く範囲内で受け入れる開口幅を有するものとし、上記ラッチとラッチ受けの接合に際してラッチの鉤部をラッチ受けの係合孔に入れるように導く前記ガイド機構が、上記ラッチ受けにおける係合孔の口部から側方に張り出している表面板の少なくとも一側方の土手部の外側に形成されていて、上記受入凹部内に向けて傾斜するガイド面と、上記ラッチを設けた框材のスクリーンの表裏面側に設けられた框側壁で、該ガイド面に対向する側に位置しているガイド用の框側壁とにより形成され、上記ガイド用の框側壁が上記ラッチ受けの傾斜するガイド面にガイドされ、あるいはガイドされることなく上記ガイド面とそれに対向する框側壁との間の受入凹部に受け入れられたときに、上記ラッチの鉤部の両側面がラッチ受けの係合孔の両内側面のいずれとも接することなく上記ラッチの鉤部が上記係合孔に挿入される寸法関係に設定される。
【0010】
また、上記横引きスクリーン装置においては、上記ラッチの鉤部の基部の上下に、それぞれ上記ラッチ受けの受鉤部との係合間隙を介在させてガイド板を延設すると共に、上記ラッチ受けにおける係合孔の口部の上下縁に上記ラッチの鉤部が係合する上記受鉤部を備え、上記ラッチ及び上記ラッチ受けからなるラッチ機構が上下に対称な形状をなし、スクリーン装置自体が、該ラッチ機構と共に上下反転状態で使用可能に形成される。
【0011】
上記構成を有する横引きスクリーン装置においては、ラッチを設けた一方の框材とラッチ受けを設けた他方の框材との間に、それらを近接させて接合する際にラッチの鉤部をラッチ受けの係合孔に入れるように導くガイド機構を設けているので、該ラッチは安定的にラッチ受けの係合孔に導くことができ、しかも、上記ラッチは、框材に上下に摺動自在の突軸部の先端に設けた鉤部の基部に上下方向に向くガイド板を延設し、それがラッチの昇降時に上記一方の框材の外面に沿って摺動するようにして、ラッチの姿勢の安定化を図り、また、上記ラッチの鉤部はラッチ受けの係合孔に嵌入したのちに該係合孔の口部下縁に係合するために下動するが、ラッチ受けにおける係合孔の口部から側方に張り出している表面板に、上記ラッチを備えた框材に向かって突出する土手部を設け、該土手部がラッチとラッチ受けとの係合時に該ラッチのガイド板の両側において框材に当接することにより、上記ガイド板に対してラッチ受け及びそれを設けた框材が接触するのを抑止するようにしているので、上記ガイド板の下動が妨げられるようなことがなく、スムーズにラッチをラッチ受けに係合させることができ、ラッチの離脱時の上動も容易に行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
以上に詳述した本発明によれば、可動框が当接する受け框又は他の可動框との間にラッチ機構を備えた横引きスクリーン装置において、可動框がスクリーンの一面側からの操作に伴い他面側に偏倚した場合であっても、該可動框が、ラッチとラッチ受けとの位置が合う正常位置にあるようにしている為、上記ラッチ受けに対するラッチの係合動作をスムーズに行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜
図8は、本発明に係る横引きスクリーン装置の実施の一例を示すものである。
図示した実施例の横引きスクリーン装置1は、建物開口部に取り付けられるスクリーン枠2と、該スクリーン枠2の上下の横枠3,4にガイドされて該横枠3,4に沿って摺動可能な可動框5と、該可動框5によって開閉操作されるスクリーン6とを備え、上記スクリーン枠2は、その左右の縦枠のうちの一方の縦枠を上記スクリーン6の収納枠7とし、他方の縦枠を上記スクリーン6の展張時に可動框5が当接する受け框9として構成している。このスクリーン枠2は、収納枠7と受け框9との上下部を上の横枠3及び下の横枠4によって連結することにより1つのユニットとして構成されたものである。
【0015】
上記スクリーン6の収納枠7は、それを上下の横枠3,4と連結する上下のコーナー部材の内部に、該収納枠7の内側に向く軸支部を備え、該軸支部により、内部にスクリーン6を巻取るための駆動源となるスプリングを内蔵した巻取軸8を回転自在に支持させている。なお、上記スクリーン6は、巻取軸8に巻かれるようにしたロールスクリーンであり、それを巻き戻すことでスクリーン枠2内に展張するようにしているが、このスクリーン6に代えて、一定幅で逆方向に折り畳むことによりアコーディオン状に形成したスクリーンを用い、該スクリーンの収納枠7への収納を、スクリーンに挿通したワイヤー等を介して可動框5に対しスクリーンの折り畳み方向への付勢力を付与するように構成することもできる。
【0016】
上記スクリーン6は、防虫に適したネット、遮光性に富んだネットまたはシート、目隠しに適したネットやシート等、用途に応じて適宜の材料で形成される。該スクリーン6はその一端が上記巻取軸8に固定され、該スクリーン6の他端は、
図3に示すように、取付部材10を介して可動框5に着脱自在に固定している。該スクリーン6の固定は、可動框5の框材11における上記収納枠7側に形成された上下方向に延びる取付溝11c内に、スクリーン6の一端係止部を挟持する弾性的拡開傾向をもった取付部材10を弾性的に圧嵌させることで行っている。
【0017】
また、上記可動框5と受け框9との間には、該可動框5を受け框9に保持させてスクリーン6を全展張状態に保つためのラッチ機構を備え、より具体的には、
図1、
図2及び
図6に示しているように、該可動框5に鉤部31を有するラッチ30を設け、受け框9に該鉤部31が係合する係合孔41を備えたラッチ受け40を設けている。
なお、図示の実施例では、スクリーン6を展張したときに上記可動框5が受け框9に当接してラッチ30がラッチ受け40に係合するようにした片開き式のスクリーン装置を示しているが、スクリーン枠2の左右の縦枠に両開きする一対のスクリーンを張設することもでき、この場合には、一方のスクリーンの可動框と他方のスクリーンの可動框との間に、上記ラッチ30とラッチ受け40とから成るラッチ機構を備えることになる。
【0018】
上記可動框5は、一定の断面形状を有する長尺な框材11の上下端に、上下横枠3,4にガイドされるエンド部材5a,5bを備えたものとして構成されている。上記框材11は、
図3及び
図4に示すように、スクリーン6の全展張状態において受け框9に対面する対向面11aを備え、また、該対向面11aの背面側に一対の対向壁11b,11bを突設して、それらの間に前記取付溝11cを形成すると共に、両対向壁11b,11bの外面側に、可動框5の開閉操作に供する一対の手掛け溝11d,11dを、上記框材11の長手方向に沿って設けている。
【0019】
次に、上記可動框5に設けているラッチ30の構成、及び可動框5の框材11に対する該ラッチ30の組み付け構造について具体的に説明する。
上記ラッチ30は、上記可動框5の框材11に上下方向に摺動自在に保持させたもので、
図3及び
図6に示すように、該可動框5の框材11内から受け框9側の框材12に向けて突出する板状の突軸部33の外端に、上下及び左右の四面において先端に向けて次第に先細り形状をなす鉤部31を備えると共に、該鉤部31の基部の上下に、ラッチ受け40の受鉤部44との係合間隙34を介在させて上下方向にほぼ同長に延設されたガイド板32を備えている。上記ガイド板32は、
図6から分かるように、框材11の外面である前記対向面11aに沿って摺動するように配設され、ラッチ30の昇降時に、該ラッチ30の姿勢を安定化させるものである。なお、上記ガイド板32の幅は、該ガイド板32に連なる鉤部31の基端の幅と略同一寸法に形成されている。
【0020】
上記ラッチ30の框材11に対する組み付けは、
図3及び
図4から分かるように、上記框材11の対向面11aと、その背面側に位置する一対の対向壁11b,11bを突設している面とに、これらの面を貫通する同形のガイド穴14a,14bを穿設し、これらのガイド穴にラッチ30の突軸部33を挿通しているが、上記ガイド穴14a,14bは、板状の突軸部33(
図7参照)を挿通できるだけでなく、ラッチ30の上下動を可能にする長さ範囲にわたって設けられている。そして、框材11における一対の対向壁11b,11bに設けた手掛け溝11d,11dに沿って上下に摺動自在の摘み部21,22の操作により、上記ラッチ30を昇降ができるようにしている。上記ラッチ30に設けたガイド板32は、該ラッチ30の昇降時に常に上記対向面11aのガイド穴14aを覆う長さに形成され、外部からガイド穴14aが見えないようにしてデザイン性の改善をも図っている。
【0021】
即ち、上記框材11の手掛け溝11d,11dの一方に沿って上下に摺動自在の摘み部21は、
図3に示すように、その背面側に係合板24が突設され、該係合板24が、上記框材11における一対の対向壁11b,11bの手掛け溝11d,11d内に穿設したそれらを貫通する穴14c,14dと、上記対向壁11b,11b間に位置する前記ラッチ30の突軸部33に設けた係合孔33aとに挿通したうえで、上記摘み部21とは反対側の対向壁11bから手掛け溝11d内に突出させ、該手掛け溝11dに沿って摺動自在の他方の摘み部22に設けた係止孔22aに挿通し、上記係合板24の先端部に設けた弾片24aを上記係止孔22aの孔縁に弾性的に係止させている。
また、上記手掛け溝11d,11d内に穿設した穴14c,14dについても、該手掛け溝11d,11dに沿って上下摺動自在の摘み部21,22により常に外部から見えないように、該摘み部の上下方向長さを設定し、上記ガイド穴14aを覆うラッチ30のガイド板32と同様に、デザイン性の改善を図っている。
【0022】
次に、上記可動框5がスクリーン6の展張に際して衝当する上記受け框9の構成及び該受け框9に取り付けられるラッチ受け40の構成について説明する。
上記受け框9は、
図5及び
図6に示すような一定の断面形状を有する長尺の框材12を備え、その上下端をコーナー部材で上下の横枠3,4に連結している。上記受け框9の框材12は、該框材12におけるスクリーン6の張設面の表裏両面側に位置する框側壁17a,17b間に形成されて、該スクリーン6の展張時に上記ラッチ30を設けた可動框5の框材11を受け入れ可能に形成した受入凹部18を備え、該受入凹部18内の中央に上記可動框5における框材11の対向面11aと対面する対向面12aを有し、該対向面12aの上記ラッチ30に対応する位置に、上記係合孔41が開口するラッチ受け40を嵌入するための嵌入孔12bが形成されている。
【0023】
上記框材12における框側壁17a,17bの間に形成され受入凹部18は、通常の操作力で可動框5を操作するときに、該可動框の框材11が上記横枠3,4にガイドされながらもスクリーン6の表裏両面側にずれ動く範囲内で受け入れる開口幅を有するものであり、そして、可動框5の框材11と、上記ラッチ受け40を設けた受け框9の框材12との間に、上記ラッチ30とラッチ受け40とを近接させて接合する際に、ラッチ30の鉤部31をラッチ受け40の係合孔41に入れるように導くガイド機構が設けられている。なお、上記ガイド機構については、詳細に後述すると共に、その具体的構成について
図8を参照して後述する。
【0024】
上記嵌入孔12bに嵌着したラッチ受け40は、
図6及び
図7からわかるように、上記ラッチ30の鉤部31が入る係合孔41の口部の周囲に、該係合孔41の口部の内外周縁に張り出す表面板43を備え、該表面板43の内側の上下縁に、上記ラッチ30の鉤部31がその係合間隙34において係合する内向きの上記受鉤部44を備えている。図示の実施例における上記表面板43は、ラッチ受け40と一体に形成したものであるが、別体のものであっても差し支えない。
なお、前記ラッチ30の鉤部31の基部に上記一対の係合間隙34を設けると共に、上記ラッチ受け40に上下一対の受鉤部44を設けているのは、後述するように、スクリーン装置自体を上下反転状態で使用可能に形成するためである。
【0025】
また、上記ラッチ受け40は、受け框9の上記嵌入孔12bの口部周囲に上記表面板43の外縁を当接させ、該ラッチ受け40の上下外面に設けた弾性係合子40aを上記嵌入孔12bの内縁に係合させることにより、上記框材12に保持させている。なお、上記表面板43における係合孔41の口部の上下に操作孔43aを設けているが、該操作孔43aは、それを通して先端が尖った細い離脱用ピン等を挿入することにより、上記弾性係合子40aを上記嵌入孔12bの内縁から離脱させるためのものである。
【0026】
上記ラッチ受け40における上記係合孔41の口部から側方に張り出している表面板43には、該係合孔41の左右両側に沿って、上記ラッチ30を備えた框材11に向かって突出し、ラッチ30とラッチ受け40との係合時に該ラッチのガイド板32の両側において該框材11の対向面11aに当接することにより、上記ガイド板32に対してラッチ受け40及びそれを設けた框材12が接触するのを抑止する左右一対の土手部45,46を突設している。これらの土手部45,46は、それぞれ連続した一条の凸条によって形成され、
図7及び
図8にからわかるように、表面板43からの突出長さhが上記ガイド板32の板厚tよりも大きく形成されている。従って、ラッチ受け40に対してラッチ30を係脱するときには、土手部45,46間において表面板43とガイド板32との間に、上記土手部の突出長さhと上記ガイド板32の板厚tの差に相当する隙間cが存在して、ガイド板32が框材12等に無接触であり、重力等で昇降するラッチ30の上下動を制限したり、その動作を不安定にしたりすることはない。
【0027】
図7の(a)(b)を参照して、ラッチ受け40に対するラッチ30の係合動作について説明すると、
図7の(a)に示すように、先端に向けて次第に先細り形状をなすラッチ30の鉤部31の下側斜面が、上記受け框9のラッチ受け40の係合孔41の孔縁に乗り上げると、該係合孔41の孔縁によりその鉤部31が押し上げられ、その孔縁を完全に超えたところで、
図7の(b)のように、鉤部31がその重力により下動して受鉤部44に係止される。このラッチ受け40に対するラッチ30の係止に際し、上記ガイド板32が土手部45,46間に無接触でラッチ30の係合間隙34が受鉤部44に嵌入し、ラッチ30の上下動が円滑であることは上述したとおりである。
【0028】
また、上記可動框5と受け框9との間には、前述したように、上記ラッチ30とラッチ受け40の接合に際して、ラッチ30の鉤部31をラッチ受け40の係合孔41に入れるように導くガイド機構を設けているが、このガイド機構は、上記框材12における框側壁17a,17b間に設けた框材11を受け入れる受入凹部18が、前述の開口幅を有することを前提として、上記ラッチ受け40における係合孔41の口部の表面板43の一方の土手部45から側方に張り出すようにガイド面47を連設すると共に、該ガイド面47と、可動框の框材11におけるスクリーン6の張設面の表裏両面側に位置するガイド用の框側壁15a,15bのうちの上記ガイド面47に対向する框側壁15aとが、以下に説明するような位置的関係にあるように設定している。
【0029】
なお、ここでは上記ラッチ受け40における表面板43の一側方の土手部45の外側にガイド面47が形成されている場合について説明するが、該表面板43の両側方の土手部45,46の外側にガイド面47が形成されたものとすることもでき、この場合には、それぞれのガイド面に対し、可動框の框材11のスクリーン6の表裏面側に設けられた框側壁15a,15bが所定の位置的関係を持ってそれらのガイド面に対面するように構成する必要がある。
【0030】
上記ガイド機構について更に具体的に説明すると、上記ラッチ受け40における係合孔41の口部に設けた表面板43は、上記係合孔41から側方に張り出している表面板43の一側方の土手部45の外側に、該土手部45に一体に連なった状態で、上記受入凹部18の内部に向けて傾斜すような態様で側方に張り出すガイド面47が連設され、該ガイド面47と、上記可動框5の框材11に設けた框側壁15a,15bで、該ガイド面47に対向する側に位置している框側壁15aとの位置的関係により、上記ガイド機構が構成されている。
上記ガイド面47と上記ガイド用の框側壁15aとの間に必要な位置的関係とは、上記ガイド用の框側壁15aが上記ラッチ受け40のガイド面47にガイドされ、あるいはガイドされることなく、上記ガイド面47とそれに対向する框側壁15aとの間の受入凹部18に受け入れられたときに、上記ラッチ30の鉤部31の両側面がラッチ受け40の係合孔41の両内側面のいずれとも接することがなく、上記ラッチ30の鉤部31が上記係合孔41に挿入される寸法関係に設定されていることである。
【0031】
次に、
図8の(a)〜(c)を参照して、上記ラッチ30とラッチ受け40とを近接させて接合する際に、上記ガイド機構によりラッチ30の鉤部31をラッチ受け40の係合孔41に入れるように導く態様について具体的に説明する。
まず、同図(a)は可動框5が横枠3,4にガイドされながらも室外側(図の上側)にずれた状態で受け框9への接合を開始した状態を示しているが、可動框5が室外側にずれる限界は、可動框の框材11が受入凹部18に受け入れられる範囲内、つまり、框材11の框側壁15bが受け框9の框材12の框側壁17bの内側に接して受け入れられる範囲内であり、この場合には、框材11の框側壁15bが框材12の框側壁17bの内側に接すると同時に、可動框の框材11における框側壁15aの先端が、表面板43の土手部45に連接した傾斜するガイド面47の最外端に接するように形成される。
【0032】
上記
図8の(a)の状態でラッチ30の鉤部31の先端がラッチ受け40の上記係合孔41への嵌入を開始した後は、該鉤部31が上記係合孔41に嵌入する過程において該係合孔41の口部に接触することがないように形成され、そして、可動框5の框材11における框側壁15aの先端が、表面板43の土手部45に連接したガイド面47に沿って移動しながら、可動框の框材11が受け框の受入凹部18への進入を継続し、最終的には、
図8の(b)に示すように、可動框のラッチ30の鉤部31がラッチ受け40における受鉤部44に係合するに至る。このようにしてラッチの鉤部31がラッチ受け40における上記係合孔41に嵌入する過程では、該鉤部31の側面が係合孔41の口部に接触することはない。そのため、ラッチ30のラッチ受け40に対する係合が円滑に行われる。
【0033】
一方、可動框5が室内側にずれる限界は、
図8の(c)に示すように、可動框5の框側壁15aが受け框9における框側壁17aの内側に接する状態にあるときの該可動框5の位置である。可動框5の框側壁15aが、このような状態で該可動框5の框材11が受け框9の框材12に嵌入したときには、そのまま該框材11が進行しても、ラッチ30の鉤部31がラッチ受け40における上記係合孔41に対して、該鉤部31の側面が係合孔41の口部に接触することなく嵌入するように形成され、そのため、ラッチ30の鉤部31を特にガイドしなくても、ラッチ受け40に対して円滑に係合させることができる。
【0034】
なお、上記横引きスクリーン装置においては、上記ラッチ30の鉤部31の基部の上下に、それぞれ上記ラッチ受け40の受鉤部44との係合間隙34を介在させてガイド板32を延設すると共に、上記ラッチ受け40における係合孔41の口部の上下縁に上記ラッチの鉤部が係合する上記受鉤部44を備え、上記ラッチ30及び上記ラッチ受け40からなるラッチ機構が上下に対称な形状をなし、スクリーン装置自体が、該ラッチ機構と共に上下反転状態で使用可能に形成される。そのため、スクリーン装置の上下を反転させるだけでスクリーンの開閉の左右勝手を選択することができる。
【0035】
上記構成を有する横引きスクリーン装置においては、ラッチ30を設けた可動框5の框材11とラッチ受け40を設けた受け框9の框材12との間に、それらを近接させて接合する際にラッチ30の鉤部31をラッチ受け40の係合孔41に入れるように導くガイド機構を設けているので、該ラッチ30を安定的にラッチ受け40の係合孔41に導くことができ、しかも、上記ラッチ30は、框材11に上下に摺動自在の突軸部33の先端に設けた鉤部31の基部に上下方向に向くガイド板32を延設し、それがラッチの昇降時に上記框材11の外面に沿って摺動するようにして、ラッチの姿勢の安定化を図り、また、上記ラッチ30の鉤部31はラッチ受け40の係合孔41に嵌入したのちに該係合孔41の口部下縁に係合するために下動するが、ラッチ受け40における係合孔41の口部から側方に張り出している表面板43に、上記ラッチ30を備えた框材11に向かって突出する土手部45,46を設け、該土手部がラッチ30とラッチ受け40との係合時に該ラッチ30のガイド板32の両側において框材11に当接することにより、上記ガイド板32に対してラッチ受け40及び框材12が接触するのを抑止しているので、上記ガイド板32の下動が妨げられるようなことがなく、スムーズにラッチ30をラッチ受け40に係合させることができ、ラッチの離脱時の上動も容易に行うことが可能になる。