特許第5698716号(P5698716)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東海理化電機製作所の特許一覧

<>
  • 特許5698716-スイッチ装置 図000002
  • 特許5698716-スイッチ装置 図000003
  • 特許5698716-スイッチ装置 図000004
  • 特許5698716-スイッチ装置 図000005
  • 特許5698716-スイッチ装置 図000006
  • 特許5698716-スイッチ装置 図000007
  • 特許5698716-スイッチ装置 図000008
  • 特許5698716-スイッチ装置 図000009
  • 特許5698716-スイッチ装置 図000010
  • 特許5698716-スイッチ装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698716
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 23/16 20060101AFI20150319BHJP
   H01H 23/00 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   H01H23/16 Z
   H01H23/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-197427(P2012-197427)
(22)【出願日】2012年9月7日
(65)【公開番号】特開2014-53188(P2014-53188A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2013年10月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】久田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】小林 真
(72)【発明者】
【氏名】北川 暢彦
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−303427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 23/00−23/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一平面上に互いに離間して配置される第1及び第2のスイッチ部と、
前記第1及び第2のスイッチ部の何れも押圧しない初期姿勢と、前記第1のスイッチ部のみを押圧した片側押圧姿勢と、前記第1及び第2のスイッチ部を押圧した両側押圧姿勢と、の間で姿勢を変えるプッシャと、
ユーザによって前記第1のスイッチ部側である操作方向に回動操作されることで、前記プッシャとの接触を通じて、前記プッシャを前記初期姿勢から前記片側押圧姿勢とし、この姿勢からさらに前記操作方向に回動操作されることで前記片側押圧姿勢から前記両側押圧姿勢とする操作ノブと、を備え、
前記プッシャにおける前記操作ノブとの接触面は、前記操作ノブから加えられた力を、前記プッシャを前記片側押圧姿勢から前記両側押圧姿勢とするための力に割り当てる、当該プッシャにおける左右方向の中央から左右両端側に向かうにつれて下側に下がる形状とされたスイッチ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチ装置において、
前記接触面は、前記操作ノブから前記プッシャに加えられる力に対する前記プッシャを前記片側押圧姿勢から前記両側押圧姿勢とするための力がその傾斜角度に応じて増大するとともに、前記第2のスイッチ部から離間するにつれて前記第1のスイッチ部に接近する態様で傾斜する傾斜面であるスイッチ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のスイッチ装置において、
前記プッシャは、前記操作ノブの回転軸に対して直交する方向に対称に形成されるスイッチ装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のスイッチ装置において、
前記傾斜角度は、2°〜5°であるスイッチ装置。
【請求項5】
請求項1に記載のスイッチ装置において、
前記接触面は、前記操作ノブから前記プッシャに加えられる力に対する前記プッシャを前記片側押圧姿勢から前記両側押圧姿勢とするための力がその曲率半径に応じて増大するとともに、前記第2のスイッチ部から離間するにつれて前記第1のスイッチ部に接近する態様で湾曲する曲面であるスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車両のパワーウインドウを開閉操作するスイッチ装置が車室内に設けられている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、この種のスイッチ装置は、図10に示すように、ノブ101と、プッシャ103と、マニュアルスイッチ105と、オートスイッチ106と、を備える。
【0003】
マニュアルスイッチ105及びオートスイッチ106は同一平面上に離間して配置される。プッシャ103における左下端部103lはマニュアルスイッチ105に対応して位置し、右下端部103rはオートスイッチ106に対応して位置する。
【0004】
ユーザによりノブ101が傾動操作されたときには、ノブ101の内部に形成される押圧部101aを通じてプッシャ103の上面左側が力Fpで押圧される。この力Fpは、プッシャ103の上面に対して垂直方向に作用する。この力Fpにより、プッシャ103は、僅かに反時計回りに傾いた状態となる。よって、マニュアルスイッチ105がプッシャ103の左下端部103lによって押圧されてオン状態となる。この状態から、さらにノブ101が傾動操作されたときには、押圧部101aからの力Fpを受けて、プッシャ103は上記傾きが是正される態様で上記時計回りに僅かに回転する。このとき、オートスイッチ106も、プッシャ103の右下端部103rによって押圧される。よって、マニュアルスイッチ105及びオートスイッチ106の両方がオン状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−202691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記スイッチ装置においては、押圧部101aを通じて、プッシャ103の上面に対して垂直方向の力Fpが加えられる。よって、プッシャ103に、その傾きが是正される力、すなわち、オートスイッチ106をオン状態とするための力が加わりづらい。よって、ユーザがオートスイッチ106をオン状態とするためには大きな操作力が必要であった。
【0007】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、より操作性を向上させたスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、同一平面上に互いに離間して配置される第1及び第2のスイッチ部と、前記第1及び第2のスイッチ部の何れも押圧しない初期姿勢と、前記第1のスイッチ部のみを押圧した片側押圧姿勢と、前記第1及び第2のスイッチ部を押圧した両側押圧姿勢と、の間で姿勢を変えるプッシャと、ユーザによって前記第1のスイッチ部側である操作方向に回動操作されることで、前記プッシャとの接触を通じて、前記プッシャを前記初期姿勢から前記片側押圧姿勢とし、この姿勢からさらに前記操作方向に回動操作されることで前記片側押圧姿勢から前記両側押圧姿勢とする操作ノブと、を備え、前記プッシャにおける前記操作ノブとの接触面は、前記操作ノブから加えられた力を、前記プッシャを前記片側押圧姿勢から前記両側押圧姿勢とするための力に割り当てる、当該プッシャにおける左右方向の中央から左右両端側に向かうにつれて下側に下がる形状とされたことをその要旨としている。
【0009】
同構成によれば、プッシャにおける操作ノブとの接触面は、プッシャに操作ノブから加えられた力を、プッシャを片側押圧姿勢から両側押圧姿勢とするための力に割り当てる、当該プッシャにおける左右方向の中央から左右両端側に向かうにつれて下側に下がる形状とされている。よって、ユーザはより小さい操作力にてプッシャを両側押圧姿勢とすること、ひいては第1及び第2のスイッチ部を押圧した状態とすることができる。よって、スイッチ装置の操作性が向上する。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスイッチ装置において、前記接触面は、前記操作ノブから前記プッシャに加えられる力に対する前記プッシャを前記片側押圧姿勢から前記両側押圧姿勢とするための力がその傾斜角度に応じて増大するとともに、前記第2のスイッチ部から離間するにつれて前記第1のスイッチ部に接近する態様で傾斜する傾斜面であることをその要旨としている。
【0011】
同構成によれば、プッシャにおける操作ノブとの接触面は、プッシャを片側押圧姿勢から両側押圧姿勢とするための力がその傾斜角度に応じて増大する傾斜面である。よって、傾斜面の傾斜角度を通じて、容易に、片側押圧姿勢から両側押圧姿勢とするためにプッシャに加わる力を調整することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のスイッチ装置において、前記プッシャは、前記操作ノブの回転軸に対して直交する方向に対称に形成されることをその要旨としている。
【0013】
同構成によれば、プッシャが操作ノブの回転軸に対して直交する方向に対称に形成される。すなわち、プッシャにおいて傾斜面が両側に形成される。よって、スイッチ装置におけるプッシャの組み付け方向が限定されない。従って、プッシャの組み付け性を向上させることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載のスイッチ装置において、前記傾斜角度は、2°〜5°であることをその要旨としている。
同構成によれば、傾斜角度が2°〜5°に設定されることで、適切な操作力でプッシャを片側押圧姿勢から両側押圧姿勢とすることができる。この適切な操作力とは、プッシャを初期姿勢から片側押圧姿勢とするための操作力より大きく、かつユーザの操作負担とならない程度に小さい操作力である。
【0015】
請求項5に記載の発明は、前記接触面は、前記操作ノブから前記プッシャに加えられる力に対する前記プッシャを前記片側押圧姿勢から前記両側押圧姿勢とするための力がその曲率半径に応じて増大するとともに、前記第2のスイッチ部から離間するにつれて前記第1のスイッチ部に接近する態様で湾曲する曲面であることをその要旨としている。
【0016】
同構成によれば、曲面の曲率半径を通じて、容易に、片側押圧姿勢から両側押圧姿勢とするためにプッシャに加わる力を調整することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、スイッチ装置において、より操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態におけるスイッチ装置の分解斜視図。
図2】本発明の一実施形態におけるプッシャが初期姿勢にあるスイッチ装置の断面図。
図3】本発明の一実施形態におけるプッシャが片側押圧姿勢にあるスイッチ装置の断面図。
図4】本発明の一実施形態におけるプッシャが両側押圧姿勢にあるスイッチ装置の断面図。
図5】本発明の一実施形態におけるプッシャの受ける力を示す説明図。
図6】本発明の一実施形態におけるプッシャの正面図。
図7】本発明の一実施形態におけるプッシャが片側押圧姿勢にあるスイッチ装置の断面図。
図8】本発明の一実施形態におけるスイッチ装置の構成を示すブロック図。
図9】他の実施形態におけるスイッチ装置の構成を示す断面図。
図10】背景技術におけるスイッチ装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るスイッチ装置を具体化した一実施形態について図1図8参照しつつ詳細に説明する。本スイッチ装置は、車両のパワーウインドウ装置を構成するスイッチである。
【0020】
図1に示すように、スイッチ装置1は、接点基板2と、ベース3と、一対のプッシャ20a,20bと、スイッチボディ5と、操作ノブ6とを備えている。
接点基板2は、ガラスエポキシ樹脂等によって構成されたPCB基板である。接点基板2の表面には、2組のマニュアル固定接点11とオート固定接点12が一定の間隔で配設されている。
【0021】
ベース3は、シリコンゴム等の弾性変形可能な軟質性樹脂によって構成されるものであって、接点基板2の表面側に設けられる。このベース3には、マニュアル固定接点11と対向する箇所には第1のドーム部13が形成され、オート固定接点12と対向する箇所には第2のドーム部14が形成されている。
【0022】
図2に示すように、各ドーム部13,14は凸状に形成されるとともに、上側から押圧されると弾性変形する。これら第1及び第2のドーム部13,14の内部には導電性の第1及び第2の可動接点13a,14aがそれぞれ形成されている。これら可動接点13a,14aは、第1及び第2のドーム部13,14が弾性変形していない状態においては対応する固定接点11,12から離間し、第1及び第2のドーム部13,14が弾性変形している状態においては固定接点11,12に接触する。
【0023】
マニュアル固定接点11及び第1の可動接点13aによってマニュアルスイッチ部15が構成される。これらマニュアル固定接点11及び第1の可動接点13aが接触して導通すると、マニュアルスイッチ部15がオフ状態からオン状態となる。また、オート固定接点12及び第2の可動接点14aによってオートスイッチ部16が構成される。これらオート固定接点12及び第2の可動接点14aが接触して導通すると、オートスイッチ部16がオフ状態からオン状態となる。すなわち、プッシャ20a,20b毎にマニュアルスイッチ部15とオートスイッチ部16とが設けられている。
【0024】
図1に示すように、プッシャ20a,20b及びスイッチボディ5はベース3の上方に配置される。スイッチボディ5は、接点基板2及びベース3に対して移動しないように固定されている。
【0025】
スイッチボディ5は、上下方向に貫通した筒状の保持部5aを有する。保持部5a内には、プッシャ20a,20bが傾動可能に設けられる。また、保持部5aの上側から操作ノブ6がスイッチボディ5に対して傾動可能に嵌め込まれる。図2に示すように、この操作ノブ6は回転軸Aを中心に傾動する。
【0026】
図2に示すように、操作ノブ6は、その操作部6cが第1のドーム部13側に接近する第1の方向と、その操作部6cが第1のドーム部13側と離間する第2の方向とに回動操作が可能である。車両ウインドウを開く際には操作ノブ6は第1の方向に回動操作され、車両ウインドウを閉じる際には操作ノブ6は第2の方向に回動操作される。
【0027】
操作ノブ6の内部には、下側に突出するとともに、その下端が各プッシャ20a,20bの上面と接触可能な押圧部6a,6bが設けられている。
図2に示すように、プッシャ20aは、樹脂製で板状に形成されるとともに、左下端部23aが第1のドーム部13に対応して位置し、右下端部24aが第2のドーム部14に対応して位置する。
【0028】
図7に示すように、プッシャ20bは、樹脂製で板状に形成されるとともに、左下端部23bが第2のドーム部14に対応して位置し、右下端部24bが第1のドーム部13に対応して位置する。
【0029】
図6に示すように、プッシャ20a,20bの上面には、傾斜面21l,21rが形成されている。傾斜面21lはプッシャ20a,20bの上面中央から左側に形成され、傾斜面21rはプッシャ20a,20bの上面中央から右側に形成される。すなわち、プッシャ20a,20bの上面は中央から左右両端側に向かうにつれて下側に下がる態様で形成されている。プッシャ20a,20bは図中の左右方向に対称に形成されている。傾斜面21l,21rの傾斜角度αは、例えば2°〜5°に形成される。
【0030】
図2図4に示すように、プッシャ20aは、初期姿勢と、片側押圧姿勢と、両側押圧姿勢と、をとりうる。
図2に示すように、初期姿勢は、自身の両端部23a,24aが同一高さに位置するとともに、両端部23a,24aが第1及び第2のドーム部13,14を押圧しない姿勢である。
【0031】
図3に示すように、片側押圧姿勢は、左下端部23aが僅かに右下端部24aより下側に位置する態様で傾くとともに、左下端部23aのみが第1のドーム部13を押圧する姿勢である。
【0032】
図4に示すように、両側押圧姿勢は、右下端部24aが左下端部23aより下側に位置する態様で傾くとともに、両端部23a,24aが第1及び第2のドーム部13,14を押圧する姿勢である。
【0033】
プッシャ20bも同様に、初期姿勢と、片側押圧姿勢と、両側押圧姿勢と、をとりうる。なお、図7に示すように、プッシャ20bにおける片側押圧姿勢は、プッシャ20aと反対方向に傾いた姿勢である。
【0034】
操作ノブ6は、図示しない付勢手段を通じて、図2に示す初期位置に戻される。操作ノブ6が初期位置にあるとき、押圧部6a,6bはプッシャ20a,20bを押圧しない。
次に、図2図4を参照しつつ、スイッチ装置1の作用について説明する。
【0035】
図2に示すように、プッシャ20aが初期姿勢にある状態からユーザによって操作ノブ6が第1の方向に回動されたとする。すると、操作ノブ6の押圧部6aは、初期姿勢であるプッシャ20aにおける左側の傾斜面21lを押圧する。
【0036】
図3に示すように、プッシャ20aは、操作ノブ6の押圧部6aからの一定値以上の力F1を受けると、初期姿勢から片側押圧姿勢となる。プッシャ20aが傾くのに伴って、押圧部6aは傾斜面21lを摺動する。これにより、マニュアルスイッチ部15がオン状態となる。
【0037】
この状態から、さらにユーザによって操作ノブ6が第1の方向に回動されたとする。このとき、図5に示すように、プッシャ20aには、傾斜面21lに対して垂直な方向に力F1が加わる。この力F1は、主に左下端部23aを通じて第1のドーム部13に作用する力F2と、主に右下端部24aを通じて第2のドーム部14に作用する力F3とに分解される。この力F3がプッシャ20aを片側押圧姿勢から両側押圧姿勢とするための力に相当する。なお、この力F3は、傾斜面21lの傾斜角度αに応じて増大する。
【0038】
図4に示すように、プッシャ20aは、一定値以上の力F3を受けると、片側押圧姿勢から両側押圧姿勢となる。プッシャ20aが傾くのに伴って、押圧部6aは傾斜面21lを摺動する。これにより、両スイッチ部15,16がオン状態となる。
【0039】
一方、図7に示すように、ユーザが操作ノブ6を第2の方向に回動すると、プッシャ20bの傾斜面21rが押圧部6bを通じて押圧される。よって、上記と同様に、プッシャ20bは初期姿勢から片側押圧姿勢、ひいては片側押圧姿勢から両側押圧姿勢となる。この場合も、傾斜面21rの傾斜角度αを通じて、プッシャ20bを片側押圧姿勢から両側押圧姿勢とするための力が増大する。
【0040】
図8に示すように、電気的構成として、パワーウインドウ装置は、制御装置50と、マニュアルスイッチ部15と、オートスイッチ部16と、モータ51とを備える。制御装置50は、操作ノブ6が第1の方向に回動操作されることに伴い、マニュアルスイッチ部15のみがオン状態となったとき、その状態が維持されている期間に亘ってモータ51の駆動を通じて車両ウインドウを開動作させる。また、制御装置50は、マニュアルスイッチ部15がオン状態にあるとき、オートスイッチ部16もオン状態となると、モータ51の駆動を通じて車両ウインドウを全開状態とする。なお、操作ノブ6が第2の方向に回動操作されると、上記両スイッチ部15,16とは異なる両スイッチ部15,16のオンオフ状態が切り替わる。この場合、制御装置50は、これら異なる両スイッチ部15,16のオンオフ状態に応じて上記開動作に代えて車両ウインドウを閉動作させる。
【0041】
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)プッシャ20a,20bにおける操作ノブ6との接触面は、プッシャ20a,20bに操作ノブ6から加えられた力を、プッシャ20a,20bを片側押圧姿勢から両側押圧姿勢とするための力に割り当てる傾斜面21l,21rとして形成されている。よって、ユーザはより小さい操作力にてプッシャ20a,20bを両側押圧姿勢とすること、ひいては両スイッチ部15,16を押圧した状態とすることができる。よって、スイッチ装置1の操作性が向上する。
【0042】
(2)プッシャ20a,20bにおける操作ノブ6との接触面は、プッシャ20a,20bを片側押圧姿勢から両側押圧姿勢とするための力がその傾斜角度αに応じて増大する傾斜面21l,21rである。よって、傾斜面21l,21rの傾斜角度αを通じて、容易に、片側押圧姿勢から両側押圧姿勢とするためにプッシャ20a,20bに加えられる力を調整することができる。
【0043】
さらに、傾斜面21l,21rはその形成が比較的容易である。また、その傾斜角度αを計測するのも容易である。よって、目標とする傾斜面21l,21rが形成されているか否かを簡易に判断することができる。
【0044】
(3)プッシャ20a,20bが操作ノブ6の回転軸Aに対して直交する方向(図2等の左右方向)に対称に形成される。すなわち、プッシャ20a,20bにおいて傾斜面21l,21rが両側に形成される。よって、スイッチ装置1におけるプッシャ20a,20bの組み付け方向が限定されない。従って、組み付け性を向上させることができる。また、プッシャ20a,20bが1種類で済む。
【0045】
(4)傾斜面21l,21rの傾斜角度αが2°〜5°に設定されることで、適切な操作力でプッシャ20a,20bを片側押圧姿勢から両側押圧姿勢とすることができる。この適切な操作力とは、プッシャ20a,20bを初期姿勢から片側押圧姿勢とするための操作力より大きく、かつユーザの操作負担とならない程度に小さい操作力である。これにより、スイッチ部15,16のオンオフ状態が切り替わる際に、ユーザに適度な節度感覚を与えることができる。
【0046】
(5)傾斜面21l,21rがなく、プッシャ20a,20bの上面が左右方向に水平な従来構成では、押圧部6a,6bからプッシャ20a,20bに直接作用する力F1に対するプッシャ20a,20bを片側押圧姿勢から両側押圧姿勢とするための力F3が小さくなる。よって、プッシャ20a,20bを片側押圧姿勢から両側押圧姿勢とするためにプッシャ20a,20bに加える力F1を大きくする必要があった。その点、上記実施形態では、より小さい力F1で済むため、押圧部6a,6bからの押圧力によるプッシャ20a,20bの磨耗を抑制することができる。これにより、スイッチ装置1の寿命を延ばすことができる。
【0047】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記実施形態においては、プッシャ20a,20bは左右対称に、プッシャ20a,20bの上面には2つの傾斜面21l,21rが形成されていたが、押圧部6a,6bが接触しない側の傾斜面21l,21rを省略してもよい。この場合、何れかの傾斜面21l,21rが水平に形成される。
【0048】
・上記実施形態におけるプッシャ20a,20bの上面は傾斜面21l,21rでなくてもよい。
例えば、図9に示すように、プッシャ20a,20bの上面を曲面25に形成してもよい。この曲面25も、傾斜面21l,21rと同様に、プッシャ20a,20bにおける左右方向の中央から左右両端側に向かうにつれて下側に下がる態様で形成されるとともに、押圧部6aから加えられた力を、片側押圧姿勢から両側押圧姿勢とするための力F3により多く割り当てる。曲面25の曲率半径が小さくなるにつれて力F3が大きくなる傾向がある。曲面25として形成することで、プッシャ20a,20bが傾く際に生じる、その曲面25と押圧部6aとの摩擦抵抗を低減することができる。よって、操作ノブ6の操作力を小さくすることができる。
【0049】
・上記実施形態においては、スイッチ装置1は車両パワーウインドウ用であったが、その他の制御対象を制御可能としてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…スイッチ装置、2…接点基板、3…ベース、5…スイッチボディ、5a…保持部、6…操作ノブ、6a…押圧部、6b…押圧部、6c…操作部、11…マニュアル固定接点、12…オート固定接点、13…第1のドーム部、13a…第1の可動接点、14…第2のドーム部、14a…第2の可動接点、15…マニュアルスイッチ部、16…オートスイッチ部、20a,20b…プッシャ、21l,21r…傾斜面、23a,23b…左下端部、24a,24b…右下端部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10