(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
大径の主管の内面にライニング管が施され、該主管に直交あるいは急傾斜角をもって接続される小径の接続管内へ挿入され、当該ライニング管により閉塞された接続部を穿孔する穿孔装置であって、
高圧水を導通するとともに所要の剛性を有する長尺の高圧水用可撓管と、
内部に導水通路を有する円盤状体よりなり、該円盤状体の前面の中心に先端の尖ったセンターピンが一定長をもって突設され、該円盤状体の他の前面に高圧水噴射口を有し、該円盤状体の後面の前記導水通路に連通して前記高圧水用可撓管の先端に装着固定され円筒体のねじ込み操作による留め具装置を介し、かつ該留め具装置の先端面と前記円盤状体の後面の導水通路の開口面とをテーパー当接させ、着脱可能に接続されるノズル部と、
前記ノズル部の後方位置で、前記接続管の管軸に一致する前記高圧水用可撓管回りに固定把持され、該可撓管の回転動を許容して前記接続管内に固定保持される位置保持機構部と、
前記高圧水用可撓管の後端部に接続され、該高圧水用可撓管の回転を許容するとともに該高圧水用可撓管内に高圧水を供給する高圧水ポンプと、該高圧水用可撓管の後端部近傍に連動し、該高圧水用可撓管に回転を付与する回転駆動部と、を少なくとも備えてなる動力部と、
からなることを特徴とする管路の高圧水穿孔装置。
ノズル部の円盤状体の前面部に、該ノズル部の高圧水噴射口及びセンターピンを残して該円盤状体の前面部の全面を覆い、環状体をなすとともに前記センターピンの先端より所定長を存して露出するに足る一定厚さを有し、周面が曲面状をなす装着体が取り付けられてなる請求項1に記載の管路の高圧水穿孔装置。
位置保持機構部は、高圧水用可撓管回りに固定把持し、該可撓管の回転動を許容する回転把持機構部と、接続管内に固定保持され、前記回転把持機構部を抱持固定する位置固定パッカーとからなり、
前記回転把持機構部は、
a)長尺の円筒状の外筒と短尺の円筒状の内筒との2重筒構成よりなり、内外筒間に該内筒の回転のみ許容する軸受が装着されてなる2重筒部、
b)前記外筒内にあって、前記内筒に一体に固定されるとともに、少なくとも2つ割をなす固定輪と押輪との挟着作用により挟着されるゴム体の内径が縮径されて前記高圧水用可撓管を固定把持する締付け部、
からなり、
前記位置固定パッカーは、前記回転把持機構部の外筒の外周に被着固定され、その袋体の膨張作用をもって接続管の内周面に圧接される、
ことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の管路の高圧水穿孔装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、この種の高圧水による管路の穿孔装置において、円盤状ノズル部を採用するとともに、現場での該円盤状ノズル部への高圧水用ホースの止水漏れのない確実な着脱を図り、併せて該円盤状ノズル部の旋回機構の改善をなすことを目的とする。
本発明はこのため、高圧水用継手の導入をなすとともに、当該高圧水用ホースの特性に着目し、その多機能化を図り、この目的を達成したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の管路の高圧水穿孔装置は具体的には以下の構成を採る。
本発明の第1の管路の高圧水穿孔装置(S)は請求項1に記載のとおり、大径の主管(P)の内面にライニング管(R)が施され、該主管に直交あるいは急傾斜角をもって接続される小径の接続管(Q)内へ挿入され、当該ライニング管(R)により閉塞された接続部(H)を穿孔する穿孔装置であって、
高圧水を導通するとともに所要の剛性を有する長尺の高圧水用可撓管(1)と、
内部に導水通路(6a)を有する円盤状体(6)よりなり、
該円盤状体の前面の中心に先端の尖ったセンターピン(8)が一定長をもって突設され、該円盤状体の
他の前面に高圧水噴射口(6b)を有し、該円盤状体の後面の
前記導水通路に連通して前記高圧水用可撓管の先端の円筒体の回動締込み操作による留め具装置(7)を介し、かつ該留め具装置の先端面(10d)と前記円盤状体の後面の導水通路の開口面(6c)とをテーパー当接させ、着脱可能に接続されるノズル部(2)と、
前記ノズル部の後方位置で、前記高圧水用可撓管回りに固定把持され、該可撓管の回転動を許容して前記接続管内に固定保持される位置保持機構部(3)と、
前記高圧水用可撓管の後端部に接続され、該高圧水用可撓管の回転を許容する(34)とともに該高圧水用可撓管内に高圧水を供給する高圧水ポンプ(33)と、該高圧水用可撓管の後端部近傍に連動し、該高圧水用可撓管に回転を付与する回転駆動部(5)と、を少なくとも備えてなる動力部(4)と、
からなることを特徴とする。
上記において、「高圧水」は100MPa(メガパスカル)以上をなし、本発明では100〜200MPaが使用される。「高圧水用可撓管」の可撓(屈撓)性は適度の長さにおいて曲げとして発揮されるものであり、またその剛性は管軸方向の剛性及びねじり剛性を含み、軸力及びねじり力に対抗する。また、「留め具装置」は、具体的には以下の実施形態に示される。
上記主たる構成において、
1)ノズル部(2)の円盤状体(6)の前面部(6e)に、該ノズル部(2)の高圧水噴射口(6b)及びセンターピン(8)を残して該円盤状体(6)の前面部(6e)の全面を覆い、環状体をなすとともに前記センターピン(8)の先端より所定長を存して露出するに足る一定厚さを有し、周面(50a)が曲面状をなす装着体(50)が取り付けられてなること、
は適宜付加される有用な技術的事項である。
【0007】
(作用)
本管路の高圧水穿孔装置(S)の使用前においては、ノズル部(2)は高圧水用可撓管(以下「ホース」と略称する。)(1)の先端の留め具装置(7)から取り外されており、またホース(1)の後端では動力部(4)との接続が解除されている。
本穿孔装置(S)の使用において、地上部で接続管(Q)の管径に応じたノズル部(2)をホース(1)先端の留め具装置(7)を介して取り付け、またホース(1)の後端を動力部(4)に接続する。留め具装置(4)のノズル部(2)の取付けは、該留め具装置(7)の円筒体を回動締め込むことにより、該留め具装置(7)の先端面(10d)とノズル部(2)の後面の導水通路の開口面(6c)とが強い圧力でテーパー当接され、高い水密性を得る。留め具装置(7)の円筒体の締込み回動・その逆回動操作により、ノズル部(2)との着脱をなす。
ホース(1)を介してノズル部(2)を接続管内に挿入し、ノズル部(2)が閉塞接続部に到達した後、動力部(4)を駆動してホース()1内に高圧水を導入し、かつホース(1)を微速回転させ、ノズル部(2)を微速回転させて穿孔を行う。
ホース(1)の回転により、ホース(1)と一体となっているノズル部(2)も回転し、ノズル部(2)の噴射口(6b)からの噴射流は閉塞接続部を円を描いて切断する。位置保持機構部(3)ではこのホース(1)の回転動を許容し、接続管内に固定保持されており、ホース(1)を介して伝達されるノズル部(2)の噴射反力を受ける。
ノズル部(2)が閉塞された接続部に到達すると、当該先端の尖ったセンターピン(8)の先端が閉塞接続部の中央部に係止し、位置ずれがなく正確な円穿孔がなされ、また該センターピン(8)の長さにより高圧水噴射口(6b)との距離が一定に保持される。
また、前記主たる構成の付加事項1)においては、ホース(1)を介してノズル部(2)を接続管内に進入させるとき、装着体(50)はその周面(50a)をもって接続管内を円滑に滑り、接続管の曲がり部においても当該周面(50a)が曲がり部に沿って滑り、センターピン(8)の管壁への引っ掛かりがなく、円滑な進入がなされる。
【0008】
本発明の第2の管路の高圧水穿孔装置(S)は、上記第1発明において、
請求項3に記載のとおり、
位置保持機構部(3B)は、高圧水用可撓管(1)回りに固定把持し、該可撓管(1)の回転動を許容する回転把持機構部(3A)と、接続管内に固定保持され、前記回転把持機構部(3A)を抱持固定する位置固定パッカー(3B)とからなり、
前記回転把持機構部(3A)は、
a)長尺の円筒状の外筒(16)と短尺の円筒状の内筒(17)との2重筒構成よりなり、内外筒間に該内筒(17)の回転のみ許容する軸受(18)が装着されてなる2重筒部(14)、
b)前記外筒(16)内にあって、前記内筒(17)に一体に固定されるとともに、少なくとも2つ割をなす固定輪(22)と押輪(23)との挟着作用により挟着されるゴム体(25)の内径が縮径されて前記高圧水用可撓管(1)を固定把持する締付け部(15)、
からなり、
前記位置固定パッカー(3B)は、前記回転把持機構部(3A)の外筒(16)の外周に被着固定され、その袋体(29)の膨張作用をもって接続管の内周面に圧接される、
ことを特徴とする。
上記主たる構成において、
1)ノズル部(2)の円盤状体(6)の前面部(6e)に、該ノズル部(2)の高圧水噴射口(6b)及びセンターピン(8)を残して該円盤状体(6)の前面部(6e)の全面を覆い、環状体をなすとともに前記センターピン(8)の先端より所定長を存して露出するに足る一定厚さを有し、周面(50a)が曲面状をなす装着体(50)が取り付けられてなること、
2)内筒(17)の内径は高圧水用可撓管(1)の先端に装着される留め具装置(7)の最外径よりも大径とされること、
3)位置固定パッカー(3B)の袋体(29)に水抜き管(30)が配されること、
は適宜付加される有用な技術的事項である。
【0009】
(作用)
第1発明の作用に付加して、第2発明の管路の高圧水穿孔装置(S)においては、ノズル部(2)の接続管(Q)内への挿入につき、位置固定パッカー(3B)の袋体(29)の適宜の膨張により、ノズル部(2)は接続管(Q)内に円滑に進入する。ノズル部(2)が閉塞接続部(H)に到達した後は、袋体(29)を更に膨張させ、接続管(Q)の内周面に強固に圧接させ、回転把持機構部(3A)を固定する。
回転把持機構部(3A)の固定された状態で、締付け部(15)はホース(1)を把持しつつ内筒(17)とともにホース(1)の回転動を許容する。この回転動は軸受(18)を介するので円滑である。
ホース(1)の組付け加工につき、内筒(17)は先端に留め具装置(4)の装着されたホース(1)の挿入を確保し、加工作業の効率が向上する。また、締付け部(15)は2つ割により随時に組付け可能であり、直ちに内筒(17)に組付けられる。締付け部(15)のゴム体(25)の把持によりホース(1)の位置調整が可能であり、ノズル部(2)と該回転把持機構部(3A)との距離を調整することができる。
前記主たる構成の付加事項1)については、発明1の付加事項1)に準じる。
付加事項2)においては、回転把持機構部(3A)の内筒(17)を留め具装置(7)を装着した高圧水用可撓管(1)の先端から組みこむことができ、組付け加工が効率化し、更に、留め具装置(7)を内筒(17)内へ引き入れ得ることによりノズル部(2)の位置調整の幅が広がる。
付加事項3)においては、閉塞接続部Hと位置固定パッカー(3B)の前面との空間の高圧水噴射に伴う水量が増大して水圧が高まる場合に水抜き管(30)により排水される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の管路の穿孔装置によれば、
1)耐高圧可撓性導水管(高圧ホース)は、所要の可撓性をもって接続管の屈曲に追従し、また高圧水を導通することは勿論、長尺をなし、かつ所定の剛性(捩じり剛性、軸方向剛性)を有するものであり、多様な機能を発揮する。すなわち、その捩じり剛性により該ホースの末端部での回動により先端のノズル部の回動がなされ、フレキシブルシャフト等の回動要素が省略され、回動機構の簡単化に寄与する。また、その軸方向剛性により該ホースの押込み力の伝達、及びノズル部2の噴射反力の位置保持機構部への伝達をなす。
2)高圧水に耐える専用の留め具装置が使用されるので、高圧水用のノズル部のホースの先端への取付け・取外しが可能となり、接続管の管径に応じた高圧水穿孔工事が実施でき、施工の対応性が拡大する。
3)第2発明によれば、位置保持機構部によりホースを介してノズル部の中心が保持される。すなわち、該位置保持機構部はその外側の位置固定パッカーがその袋体を介して内側の回転把持機構を接続管に固定し、回転把持機構ではホースが中心位置を保って回転可能に把持されるから、ホースの先端のノズル部の中心軸が接続管の中心に合致して配される。
4)更に第2発明によれば、留め具装置の取り付けられたホースへの位置保持機構部の組付け加工につき、2重筒部の中筒の内径を留め具装置の外径(最大径)よりも余裕を持たせることができ、ホースの先端からの挿入操作が容易となり、内筒の装着後の組付け加工が円滑に行われる。
5)第2発明では、位置保持機構部の締付け部ではホースの把持位置を調整することができ、また内筒内には留め具装置の後端が引入れ可能であり、留め具装置の後端から位置保持機構部の締付け部の距離によりノズル部の位置調整が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の管路の高圧水穿孔装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜
図5は本発明の管路の高圧水穿孔装置S(以下「穿孔装置」と略記する。)の一実施形態を示す。すなわち、
図1は本管路の穿孔装置Sの全体の概略構成を示し、
図2〜
図5は本穿孔装置Sの各部の詳細構成を示す。また、
図6は施工工事の状況を示す。
これらの図において、本穿孔装置Sの進行方向(
図1、矢印イ)をもって、前部、後部とする。
【0013】
本管路の穿孔装置Sは、3つの主たる部分、すなわち高圧水用可撓管(ホース)1を介して連なる前部のノズル部2及び位置保持機構部3、後部の動力部4、からなる。
【0014】
以下、各部の詳細構造について説明する。
高圧水用可撓管(ホース)1
高圧水用可撓管としてのホース1は、可撓(屈撓)性の長尺体をなし、高圧水を導通するとともに所要の剛性を有する。この可撓性は適度の長さにおいて曲げとして発揮されるものであり、またその剛性は、軸方向の力を伝達するとともに、周方向の捩じり剛性をもって回転力を伝達するべく要請される。このホース1の具体例として、ナイロン12の内外管の間に金属補強層が介装されて屈曲自在とされた構成のもの、更には、合成樹脂製の管体の肉厚内に金属製螺旋コイルが一体に埋め込まれて屈曲自在とされた構成のものが挙げられる。
【0015】
ノズル部2(
図1、
図2参照)
ノズル部(切断機構部)2は、ホース1の前端部にノズルヘッド6が留め具装置7を介して取り付けられてなる。
ノズルヘッド6は、前部の肉厚の円盤状体と後部の円柱状体とからなり、円盤状体には内部に導水通路6aが形成され、前面に導水通路6aに連通する噴射口6bを有し、導水通路6aの後端の開口には円柱状体に連通するテーパー部6cが形成され、円柱状体には内面にねじが螺設されたねじ孔6dが形成されている。該ねじ孔6dはテーパー部6cに連通する。噴射口6bは平坦面をなす前面部6eの中心より放射状にかつ同心状を保って1又は複数(本実施形態では2)か所に配される。該噴射口6bは鉛直より若干の角度をもって外方に振られ(本実施形態では5°)、更に該噴射口6bの口径は0.1〜0.5mmを採り、本実施形態では0.4mmが採用される。また、円盤状体の前面部6eの中心には切頭円錐状の突起6fが、一体もしくは別体をもって、突設される。
なお、該ノズルヘッド6は鋼、アルミ等の金属製を採り、導水通路は孔加工により形成される。したがって、該ノズルヘッド6は比較的重量のあるものとなる。
そして、センターピン8が前記突起6eの前面に重ねて配される。センターピン8は、前部の細長な円錐状のピン部8a、中間のナット部8b、後部のねじ杆部8cからなり、ピン部8a、ナット部8b、ねじ杆部8cは中心軸上にある。該センターピン8は突起6eのねじ孔又はボルト挿通孔及びノズルヘッド6のねじ孔にねじ込んで取り付けられる。センターピン8とノズルヘッド6とは中心軸を共有する。
【0016】
留め具装置7は、高圧水用の専用の継手機構を有し、ホース1の前端部にはホース1を強固に固定(かしめ固定)する円筒金具9を有し、該円筒金具9に第1の接続金具(押当て金具)10が一体に固定されている。該第1の接続金具10は内部に導水通路10aを有し、基部(後部)にナット部10bを有し、細径の円筒部10cを介して先端のテーパー部10dに至る。テーパー部10dのテーパー面は、前記した円盤状体の導水通路6aの入口端部のテーパー部6cのテーパー面に当接する。円筒部10cの外周面にはねじ10eが、全長もしくは基部10b側を残して、螺設される。
第2の接続金具(ねじ駒)11は直円筒体をなし、内周にねじが螺設され、外周面は円筒面をなす。該接続金具11は第1の接続金具10の円筒部10cのねじ10eに螺合され、適宜位置に配される。
該留め具装置7の第3の接続金具(押込み金具)12は、後部の大径部と前部の小径部との円筒体をなし、大径部はナット体12aをなし、小径部の外周面にはねじ12bが螺設され、小径部の内周には段部12cを介して前部の大径孔と後部の小径孔とが形成される。小径部の外周面のねじ12bはノズル部2の円柱状体のねじ孔6dに螺合され、小径部の内周の大径孔は第2接続金具11の外側に一定のすき間を存して緩嵌装され、段部12cは第2接続金具11の後端面に当接する。
該留め具装置7の組付けは、第1接続金具10にその前部より第3接続金具12を嵌装し、次いで第2接続金具11を、第3接続金具12の小径部の内周内に挿入しつつ、第1接続金具10に適宜位置まで螺合させて組み付ける。第3接続金具12のノズル部2のねじ孔6dへの螺合により、該第3接続金具12は前進し、その段部12cが第2接続金具11を介して第1接続金具10を前方へ押し込むことになる。
【0017】
位置保持機構部3(
図1、
図3参照)
位置保持機構部3は、前記ノズル部2の後方位置で、ホース1回りに固定把持され、該ホース1の回転動を許容して取付け管(接続管)内に固定保持される機能を担う。
具体的には、内筒及び外筒との2重筒構成をなし、内筒に取り付けられる締付け部(押輪機構)を有する回転把持機構3Aと、この回転把持機構3Aを取付け管内に固定保持する位置固定パッカー3Bと、からなる。
【0018】
((回転把持機構3A))(
図1、
図3参照)
回転把持機構3Aは、2重筒部14と締付け部15とからなる。
(2重筒部14)
2重筒部14は、長尺の直管をなす外筒16と、該外筒16内に配される内筒17と、該外筒16と内筒17との間に装着される軸受18との主要部からなる。
もっと詳しくは、外筒16は、剛性を有する円筒体をなし、その内周面には前端より、溝16a、段部16bが形成されている。
内筒17は、剛性を有する円筒体をなし、小径かつ短尺をもって該外筒16内の前部に配され、その後端部に鍔部17aを有し、該鍔部17aにボルト挿通孔17bが開設されている。ボルト挿通孔17bは複数をもって円環状の鍔部17aに等間隔に開設される。本実施形態では、6箇所及び60°間隔とされるが、この態様に限定されない。該内筒17の外周面には外筒16に対応して、前端より、溝17c、段部17dが形成されている。上記したボルト挿通孔17bには後記する締付け部15との固定をなす取付けボルト19が挿通される。
軸受18は、適宜数(本実施形態では3)をもって前記外筒16と内筒17との間に、それらの段部16b,17dに当接するまで挿入され、かつそれらの溝16a,17cにCリング20(外側Cリング20a,内側Cリング20b)
を嵌装して装着されるこの軸受18を介することにより内筒17は外筒16に対して回転自在となる。なお、本実施形態では軸受18は3個配されるが、その個数に限定されない。
【0019】
(締付け部15)
締付け部15は、前記2重筒部14の内筒17に連結され、その押輪機構の挟着作用により圧縮されるゴム体の内径が縮径してホース1を固定把持する。
詳しくは、固定輪22、押輪23及び締具(ボルト)24より押輪機構が構成され、固定輪22と押輪23とは互いに対向し、それらの間に装着される締具24の締込みによりゴム体25への挟着作用がなされる。なお、
図3は締具24が未回動の仮想状態を示し、実際には外筒16の嵌装された状態では既に回動締め込まれ、ゴム体25の縮径がなされている。
固定輪22は、二つ割の円環体をなし(すなわち二体が合して一つの円環体になる)、内径側の切頭円錐部22aと外径側のフランジ部22bとからなり、当該円環体はホース1に余裕をもって嵌装される。円錐部22aの内面22cは円錐面をなし、フランジ部22bは、前面側に前記した内筒17のボルト挿通孔17bに対応するねじ孔22dが螺設され、後面側に複数のねじ孔22eが螺設される。ねじ孔22eは本実施形態ではねじ孔22dと位置を違え、かつ中心対称軸より45°に4か所に形成されてなるが、この態様にのみ限定されるものではない。
押輪23は、固定輪22と対称構成を採り、固定輪22と同様に2つ割をなすとともに、切頭円錐部23a、フランジ部23b、円錐面状の内面23cを有するが、前記した固定輪22のねじ孔22dに対応するねじ孔はなく、また前記したねじ孔22eに対応してボルト挿通孔23dが貫通状に開設されてなる。
締具24は、ボルト頭部24aとボルト杆24bとからなり、ボルト杆24bを押輪23のボルト挿通孔23dから固定輪22のねじ孔22eに螺合装着される。
ゴム体25は、二つ割の円環体をなし、押輪機構の固定輪22と押輪23との内面(傾斜面)22c、23cに挟持される。このため、該ゴム体25は断面が台形状をなし、前後の側面25a、25bが押輪機構の内面(傾斜面)22c、23cに当接するとともに、外径側面25cより内径側面25dが長くなっている。
ゴム体25は、適度の硬度を有し、通常にはウレタンゴム製の硬度50〜60のものが使用される。このものは、押輪機構の固定輪22と押輪23との内面(傾斜面)22c、23cの挟着作用を受けて内径方向へ縮径され、ホース1を摩擦をもって挟着・把持する。更に、ゴム体25は1つ割でもよい。
【0020】
当該締付け部15は、外筒16の装着のない状態で、2重筒部14の内筒17のボルト挿通孔17bと当該固定輪22のねじ孔22dとを合致させ、両孔17b、22dへ嵌装される取付けボルト19の螺合をもって2重筒部14内へ取り付けられる。
また、締具24の締込みにより押輪23は固定輪22側に押し込まれ、該固定輪22と押輪23との内面(傾斜面)22c、22cに挟持されたゴム体25は、その前後側面25a、25bが内面(傾斜面)22c、23cからの挟圧作用を受けて内径を縮径させる。
これにより、ゴム体25はホース1の外周面を把持し、同時にノズル部2の位置決めをなす。すなわち、ノズル部2の留め具装置7の円筒金具9の後端面が締付け部15の固定輪22の前端に当接する位置(L=0、
図1参照)を最短とする。
【0021】
((位置固定パッカー3B))(
図1参照)
位置固定パッカー3Bは、回転把持機構3Aを取付管(接続管)内に自在に固定する機能をなし、
図1に断面形状をもって示すとおり、回転把持機構3Aの外筒16の外周に被嵌される薄肉の把持筒27、把持筒27を外筒16に固定する固定バンド28、把持筒27に一体に固定される袋体29、袋体29に貫通状に配される水抜き管30、からなる。
詳しくは、把持筒27は、若干の弾性を示す耐引張り材の薄肉筒よりなり、その内周長は回転把持機構3Aの外筒16の外周長に実質的に等しく、該外筒16の外周に密着して被嵌される。固定バンド28は、この把持筒27の前後をその締付け作用をもって回転把持機構3Aの外筒16に固定する。
袋体29は、把持筒27回りに一体に固定され、環状体をなし、その後部の通気口29aより内部に充填される空気(圧縮空気)をもって膨張・収縮され、膨張状態においては外径が取付け管(接続管)の内径よりも大きくなる。32はこの袋体29の通気口29aに接続される空気導入用のホースであり、外部にまで引き出され、圧縮空気の供給部に接続される。なお、袋体29内への充填は空気に替え、水などの液体であってもよい。
水抜き管30は、剛性管よりなり、袋体29を前後に貫通して配される。該水抜き管30は、複数本が通常には袋体29に等間隔に配されるが、その間隔及び配置は特に限定されない。また該水抜き管30は1本であってもよい。
【0022】
動力部4(
図1、
図4、
図5参照)
動力部4は、前記ホース1の後端部に接続され、該ホース1を回動するとともに、該回転動されるホース1内に高圧水を供給する。
詳しくは、動力部4は、駆動モータ32に連動する高圧ポンプ33を備え、該高圧ポンプ33は貯水槽(図示せず)からの水の供給を受けるとともに駆動モータ32の駆動力により高圧の水流を吐出し、その吐出口33aに公知の回転管継手34を介してホース1の後端との接続がなされる。
ホース1には、更に、回転を付与する回転駆動部が動力部4の一部として付加される。
図5に機械駆動による回転駆動部5の一例を示す。すなわち、動力部4に近接して二つ割の取付け環36をホース1にその両端部のフランジ相互間に締具(締付けボルト・ナット)37の締込みをもって固定し、先に挿入した大歯車38を取付け環36の前端部フランジ36aに当接させ、両者(取付け環36と大歯車38)の取付け孔間に装着した取付けボルト・ナット39を締め込んで大歯車38を取り付ける。大歯車38の円孔38aはホース1の径よりも大きく、回転管継手34へのホース1の接続に先立って、ホース1の端部から容易に嵌装される。一方、大歯車38に噛合する小歯車40は駆動モーター41の駆動軸41aに取り付けられ、減速機構付き駆動モーター41の駆動により小歯車40を介して大歯車38は回転駆動される。図において、Wは水流を示す。
この回転駆動部5において、取付け環36と大歯車38との対応するの取付け孔は、例えば、取付け環36の取付け孔は長孔とされ、大歯車38の取付け孔は小円孔とされ、ワッシャーを介して、又は介さずして、両者(取付け環36と大歯車38)の位置調整が可能となっている。また、駆動モーターには減速機構が組み込まれ、ホース1の微速回転を確実にする。
【0023】
その余の設備
上記の穿孔装置Sに付加して、以下の該穿孔装置Sの附属設備が適宜使用される。
(空気圧縮機)
前記した位置固定パッカー3Bの袋体29への空気導入のため、地上において空気圧供給装置としての空気圧縮機(図示せず)が設置され、送気用ホース32の他端部に接続される。
(空気吸引機)
位置固定パッカー3Bの袋体29内の空気吸引のため、地上において空気吸引機(図示せず)が設置され、送気用ホース32の他端部に接続される。なお、本空気吸引機は必要に応じて使用され、本発明において必須のものではない。
【0024】
諸元
本実施形態の管路の穿孔装置Sの諸元の一例を示す。
水圧は超高圧水域の100MPa(メガパスカル)〜200MPaが適用される。耐圧ホース1は外径が15.2mm、内径が8.0mmのものが使用され、このものの最小曲げ半径は16.5cmを採る。ノズルヘッド6の噴射口6bの口径は0.4mmを採る。位置保持機構部において、内筒17は内径31mmを採る。
【0025】
組立て
以下、ホース1への位置保持機構部3の組付けについて述べる。
1)先端に留め具装置7(円筒金具7、第1の接続金具(押当て金具)10、第2の接続金具(ねじ駒)11、第3の接続金具(押込み金具)12を含む)を取り付けたホース1を、分解された位置保持機構部3の回転把持機構3Aの2重筒部14の内筒17内に挿入する。このとき、留め具装置7の最大外径は2重筒部14の内筒17の内径よりも小さく設定されているので、格別の分解作業を要することなく容易になされる。
2)次いで、該内筒17の後に、その鍔部17aを介して締付け部15を組み付ける。すなわち、鍔部17aのボルト挿通孔17bと締付け部15の固定輪22のねじ孔22dとを一致させ、取付けボルト19を回動螺合して固定する。
この状態で、ゴム体25を挟み込みつつ、締具24をもって押輪23を固定輪22に取り付ける。すなわち、固定輪22のフランジ22bのねじ孔22eと押輪23のフランジ部23bのボルト挿通孔23dとを合致させ、締具24を挿通螺合して取り付ける。
3)締具24を更に回動締め込んで押輪23を前進させ、固定輪22と押輪23とのテーパー面22e,23cによりゴム体25を挟圧し、該ゴム体25の内径を縮小させてホース1を強固に把持する。このとき、留め具装置7の円筒金具9の後端面と締付け部15の固定輪22の前端との距離L(
図1参照)の長さを調整して、後で取り付けられるノズル部2の出入長さの調整をなす。
4)以上の組立て体(留め具装置7付きホース1、内筒17、締付け部15)に外筒16を嵌装させ、内筒17と外筒16との前端を揃え、軸受18を内筒17と外筒16との空間部に挿入し、Cリング20a,20bを溝16a,17cに嵌め込んで軸受18を固定する。
5)更に、外筒16に位置固定パッカー3Bを組み付ける。すなわち、外筒16に袋体29を一体に組み付けた把持筒27を被嵌させ、固定バンド28をもって固定する。これにより、ノズル部2と位置保持機構部3とが一体に組み付けられる。
【0026】
管路内の穿孔工事
本切断装置Sを使用して管路内の穿孔工事は、以下のようになされる。
図6は本穿孔工事が実施される下水道管渠における取付け管の接続部への適用例を示す。図において、Pは地中に設置された下水道用管渠すなわち下水道本管、Rは該下水道本管P内に施されたライニング管、Tは地表部に配される雨水枡(もしくは汚水枡)、Uは地表部の路面、Vは歩道部である。雨水枡Tと下水道本管Pとは取付け管Qをもって繋がれている。Hは取付け管Qと下水道本管Pとの閉塞接続部、Iは取付け管Qと雨水枡Tとの接続口である。この取付け管Qは下水道本管Pの直近部で直交部Jをもって取り付けられている。
なお、本発明での主管は当該工事例図での下水道本管Pに、接続管は取付け管Qに対応する。
【0027】
図6では、取付け管Qの下水道本管Pへの取付け態様は直交状となっているが、急傾斜の取付け態様も含むものである。
そして、図ではライニング管Rが下水道本管P内に施工された直後の状態を示し、取付け管Qと下水道本管Pとは閉塞された状態すなわち閉塞接続部Hとなっている。
【0028】
以下、施工手順に従って説明する。
地上において、高圧ポンプ、空気圧縮機、及び駆動源(電動あるいは油圧モータ、水タンク)が用意される。
(1) 地上において、位置保持機構部3を装着したホース1を用意し、該位置保持機構部3のパッカー3Bの袋体29から延設された送気用ホース32に空気圧縮機(コンプレッサー)を接続する。更に、該ホース1に留め具装置7を介してノズル部2を装着する。ノズル部2は取付け管Qの内径に応じたものが選ばれる。また、このとき、取付け管Qの接続部の直交部分の状況が予め分かり、直交部分Jが短い場合はLが短くされ、直交部分Jが長い場合はLを長くされている。
留め具装置7を介するノズル部2の装着は、ホース1の先端において第3の接続金具(押込み金具)12をそのねじ孔12bをノズルヘッド6のねじ孔6dへ螺合し、その回動締込みにより段部12cを介して第2の接続金具(ねじ駒)11を前方へ押し込む。これにより、第1の接続金具(押当て金具)10の先端のテーパー部10dがノズルヘッド6のテーパー部6cに押し当てられ、両テーパー面が密着し、強固な水密性を保持する。
【0029】
(2) 上記の先端にノズル部2及び位置保持機構部3を装着したホース1を、手作業をもって地上より雨水桝Tの接続口Iより取付け管Q内に挿入し、その先端のノズル部2を閉塞接続部Hまで進入させる。この挿入作業中、空気圧縮機の駆動により位置保持機構部3のパッカー3Bの袋体29はその内圧をもって取付け管Qの内径よりもやや小さ目にされ、取付け管Q内の進入の案内をなし、取付け管Q内の進入が円滑になされ、先端のノズル部2も中心位置を保って取付け管Q内を進入する。なお、空気圧縮機に替え、空気吸引機を使用してパッカー3Bの袋体29の内圧を負圧にし、袋体29の径を縮径する態様を採ることもできる。
ホース1の可撓性は取付け管Qの曲がりに良好に対応し、本切断装置Sの取付け管Q内の進入を円滑になす。また、ホース1の軸方向剛性は地上からの押込み力をノズル部2に伝達する。
ノズル部2及び位置保持機構部3は取付け管Qの曲がりを経由して最後に直交部Jに至り、直交部J内に進入する。
ノズル部2の先端のセンターピン8が閉塞接続部Hに当接するとき、この挿入作業は停止される。センターピン8は閉塞接続部Hの中心もしくは中心近傍に当接する。
【0030】
(3) 位置固定パッカー3Bの袋体29に空気圧縮機の駆動により更に圧縮空気を導入し、袋体29を膨張させ、取付け管Qの内面に圧接させて固定する。これにより、位置保持機構部3は中心位置にホース1を回転可能に把持し、取付け管Q内に固定される。
【0031】
(4) 地上において、ホース1の端部を動力部4の回転継手34を介してポンプ33に接続する。同時に、ポンプ33に連動する駆動モータ32、水タンクも接続される。更に、回転駆動部5の組付けもなされ、大歯車38へ連動する駆動モータ41の取付けもなされる。
【0032】
(5) 動力部4及び回転駆動部5を駆動し、ホース1を介して高圧水をノズル部2に送るとともにホース1に回転を付与する。ホース1は位置保持機構部3において、軸受18を介して回転のみを許容して固定されており、ホース1の回転とともにノズル部2もセンターピン8を中心として回転し、かつノズル部2の噴射口6bより高圧水(例えば、200MPa)が噴出し、閉塞接続部Hを穿孔する。
回転は微速でなされ、噴射口6bから高圧水が噴出され、閉塞接続部Hを所定の径の軌跡をもって穿孔し、仕上げ面のよい穿孔作用をなす。この穿孔中、噴射口6bから高圧水の反力は、位置固定パッカー3Bの取付け管Qへの押付け力(摩擦力)をもって対抗する。また、噴射水がノズル部2回りに充満し、更に位置保持機構部3に至り、該位置保持機構部3に圧力を及ぼすとき、パッカー3Bの袋体29に貫通状に配される水抜き管30によって排水され、圧力の高まり(過剰圧)を防止する。
【0033】
(6) ノズル部2の半回転をもって閉塞接続部Hへの穿孔がなされると、パッカー3Bの袋体29を減圧して該袋体29の径を縮小し、位置保持機構部3の取付け管Qからの固定を開放し、地上部において手作業にてホース1を引き戻し、本ノズル部2及び位置保持機構部3を装着したホース1を取付け管Qから引き上げて本穿孔工事を終了する。
【0034】
(本実施形態の効果)
以上のように、本実施形態の高圧水穿孔装置Sによれば、以下の効果を有する。
1)本耐高圧ホースすなわち耐高圧可撓性導水管1は、高圧水を導通することは勿論、長尺をなし、かつ所定の剛性(捩じり剛性、軸方向剛性)を有するものであり、多様な機能を発揮する。すなわち、その捩じり剛性により該ホース1の末端部での回動により先端のノズル部2の回動がなされ、フレキシブルシャフト等の回動要素が省略され、回動機構の簡単化に寄与する。また、その軸方向剛性により該ホース1の押込み力の伝達、及びノズル部2の噴射反力の位置保持機構部3への伝達をなす。
2)高圧水に耐える専用の留め具装置7が使用されるので、高圧水用のノズル部2のホース1の先端への取付け・取外しが自在であり、取付け管Qの管径に応じた高圧水穿孔工事が実施でき、施工の対応性が拡大する。
すなわち、留め具装置7は、ねじ、ナットの形成された円筒体を基体とし、ノズル部へのねじ込み操作により該円筒体のテーパー面をノズル部のテーパー面に当接させてなる継手構成を採ることにより、高圧水に耐える所期の作用を発揮するものである。
3)位置保持機構部3によりホース1を介してノズル部2の中心が保持される。すなわち、該位置保持機構部3はその外側の位置固定パッカー部3Bがその内側の回転把持機構3Aを取付け管Qに固定し、回転把持機構3Aではホース1が中心位置を保って回転可能に把持されるから、ホース1の先端のノズル部2の中心軸が取付け管Qの中心に合致される。
4)留め具装置7の取り付けられたホース1への位置保持機構部3の組付け加工につき、位置保持機構部3の各部材は分解可能なものとなっており、先ず2重筒部14の中筒17の内径が留め具装置7のナット(最大径)よりも余裕を持ったものとされており、ホース1の先端からの挿入操作が容易となり、2重筒部14の装着後の組付け加工(締付け部15の組付け、軸受18の組付け、外筒16の挿入・固定等)が円滑に行われる。
5)位置保持機構部3の内筒17内には留め具装置7が挿通自在であり、したがって、留め具装置7の円筒金具9の後端が位置保持機構部3の締付け部15に当接する位置にまで引き入れることができ、該円筒金具9の後端から位置保持機構部3の締付け部15の前端までの距離L(
図1参照)によりノズル部2の位置調整が可能である。
すなわち、組立て加工時において、ノズル部2を位置保持機構部3から引離して取り付ける場合には留め具装置7の距離Lを大きく採り、締付け部15を締め込んでホース1を固定し、その後ノズル部2のノズルヘッド6を装着する。また、ノズル部2を位置保持機構部3に引き込んで取り付ける場合には留め具装置7の距離Lを0又は小さく採り、締付け部15を締め込んで固定する。また、現場にてノズル部2の位置調整をする場合には、ホース1を固定していた締付け部15の締具24を一旦緩め、距離Lを調整し、その後締付け部15の締具24を締め込んで再びホース1を固定する。
6)ノズル部2のノズルヘッド6を交換する場合には、既に取り付けられているノズルヘッド6につき、ホース1を固定していた締付け部15の締具24を緩め、ノズル部2の留め具装置7を位置保持機構部3内から引き出し、留め具装置7のナット部12a,10bを緩めて当該ノズルヘッド6を取り外す。次いで、新たなノズルヘッド6を留め具装置7のナット部12a,10bを締め込んで取り付け、ノズル部2を位置保持機構部3内に引き込み、締付け部15の締具24を締め付けてホース1を固定する。
【0035】
(他の態様)
図7及び
図8にノズル部2における別な態様を示す。
本態様では、ノズルヘッド6の前面にノズルヘッド装着体(以下単に「装着体」)50が固定装着されてなる。すなわち、該装着体50は、所定厚さ(t)を有し周面50aが曲面状の円環体をなす。本態様では周面50aは四分円をなしその曲率半径rは厚さtに等しいものである。
該装着体50の厚さtはセンターピン8の先端より後退し、該先端を十分に露出するに足る長さとされ、その後面50bはノズルヘッド6の前面部6eの全体に当接し、その前面50cは後面50bに平行となる。円環体の円孔部50dはセンターピン8及びノズルヘッド6の突起6eを十分に囲む大きさを採る。
該装着体50のノズルヘッド6への取付けは取付けボルト51によってなされる。詳しくは、該装着体50に取付けボルト51用のボルト挿通孔52が3か所に穿設され、ノズルヘッド6には該ボルト挿通孔52に対応してねじ孔53が螺設される。該取付けボルト51はボルト挿通孔52を介してノズルヘッド6のねじ孔53に螺合され、該装着体50をノズルヘッド6に固定する。本実施形態では放射状に3か所とされるが、2か所又は4か所以上であってもよい。
該装着体50にはノズルヘッド6の噴射口6bに対応して2つの噴射孔55が開設される。該噴射口6bは前記したとおりノズルヘッド6の前面部6eの端部に形成されるものであり、該噴射孔55はこれに対応して図例のとおり周面50aに形成されることになる。
該装着体50は硬質でかつ軽量な素材(目安としてノズルヘッド6と同等の硬さで、かつそれよりも軽いもの)が好ましいものとして選ばれるが、そのような素材としてエンジニアプラスチック(例えば、MCナイロン(日本ポリぺンコ社製、登録商標))が耐久性・成形性も含め好適である。
【0036】
(作用効果)
本装着体50を取り付けた本穿孔装置Sを取付け管Q内に挿入し進入させるとき、本穿孔装置Sは取付け管Qの直管部の進入において、その周面50aが管壁の凹凸を滑り、引っ掛かりがなく、本穿孔装置Sを円滑に前進させる。また、取付け管Qの曲がり部において、その周面50aが曲がり部に沿って滑り、センターピン8の管壁への引っ掛かりを阻止し、本穿孔装置S全体を曲がりに沿って円滑に前進させる。
なお、本穿孔装置Sを地上部より雨水桝Tへ、更に雨水桝Tの接続口Iより取付け管Q内へ挿入する際にも、本装着体50により雨水桝T及び接続口Iでの引っ掛かりがなく、円滑な挿入作業がなされる。
このように、本穿孔装置Sの取付け管Q内への進入において、装着体50を取り付けた本穿孔装置Sは取付け管Q内で停滞することなく円滑な挿入作業が実現できる。
【0037】
該装着体50は上記した態様に限らず、次の態様を含む。
1)装着体50のノズルヘッド6への取付けは、本態様では取付けボルト51を用いたが、装着体50の高面50bとノズルヘッド6の前面部6eとに凹凸部を設け、その凹凸係合(強嵌合)によりなすこと。
2)噴射孔55につき、孔に替えて切欠き凹部とすること。
【0038】
本発明は叙上の実施の形態にのみ限定されるものではなく、本発明の基本的技術思想の範囲内で種々設計変更が可能である。すなわち、以下の態様は本発明の技術的範囲内に包含される。
1)位置固定パッカー3Bの水抜き管30を適宜省略することは可能である。この場合、ノズル部2と位置保持機構部3との距離Lは最短状態より長めに設定される。
2)ノズル部2と位置保持機構部3との距離Lを常時最短状態に保持する態様。この態様によれば、ノズル部2と位置保持機構部3との一体性が高まる。