(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698745
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】モジュラー支持要素
(51)【国際特許分類】
A47C 27/14 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
A47C27/14 A
【請求項の数】32
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-522258(P2012-522258)
(86)(22)【出願日】2009年7月29日
(65)【公表番号】特表2013-500106(P2013-500106A)
(43)【公表日】2013年1月7日
(86)【国際出願番号】IB2009053301
(87)【国際公開番号】WO2011012928
(87)【国際公開日】20110203
【審査請求日】2012年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】507314730
【氏名又は名称】テクノゲル イタリア エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マソン,マッテオ
【審査官】
望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−296640(JP,A)
【文献】
特表平11−513259(JP,A)
【文献】
特表2000−511441(JP,A)
【文献】
実開平05−015860(JP,U)
【文献】
特開2007−222672(JP,A)
【文献】
特開平10−146247(JP,A)
【文献】
特開2003−071988(JP,A)
【文献】
特開2009−112601(JP,A)
【文献】
特開2005−052181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の支持面を有するモジュラー支持要素であって、
前記使用者の前記支持面に実質的に垂直な方向において変形するのに好適な複数の弾性モジュールを備え、各モジュールは、少なくとも側面および上部を有し、
前記モジュールは、前記側面が実質的に接触した状態で、または前記側面が弾性変形運動の際に前記モジュール同士の接触を妨げないような距離を置いた状態で、互いに並列配置されており、前記モジュール同士の間の摩擦による干渉を防ぐように前記モジュールの前記側面の一部に配置された減摩手段を備え、
前記弾性モジュールは、ゲル状の上層を含む頂部および可撓性フォームからなる下側本体、ならびに、前記頂部の前記ゲル状の上層に得られる空気の循環および流れのための手段を有し、前記手段は三次元の形状およびチャネルの少なくともいずれかを含む、モジュラー支持要素。
【請求項2】
前記モジュールは角柱または平行六面体の形状を有し、前記モジュールの前記側面同士の間に、隙間を実質的に形成することなく、または前記弾性変形運動の際に接触を妨げないように隙間を形成しつつ、互いに並列し得る、請求項1に記載の支持要素。
【請求項3】
前記モジュールは、前記側面の一部および前記上部に配置された減摩手段を含む、請求項1または2に記載の支持要素。
【請求項4】
前記モジュールは、前記支持要素自体の高さ寸法と実質的に同一の高さ寸法を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の支持要素。
【請求項5】
前記モジュールは、前記側面の全面および前記上部に配置された減摩手段を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の支持要素。
【請求項6】
互いに並列した前記モジュールを維持するのに好適な一体化手段を備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の支持要素。
【請求項7】
前記一体化手段は収納フードを含む、請求項6に記載の支持要素。
【請求項8】
前記一体化手段は減摩手段を含む、請求項6または請求項7に記載の支持要素。
【請求項9】
前記減摩手段は、格子型の水平壁のメッシュまたは仕切り状の垂直壁を含む、請求項8に記載の支持要素。
【請求項10】
前記一体化手段は、プラスチックまたは織物からなり得る板を含む、請求項6〜9のいずれか1項に記載の支持要素。
【請求項11】
前記一体化手段は、互いに並列した前記モジュールを締結するのに好適な締結手段を含む、請求項6〜10のいずれか1項に記載の支持要素。
【請求項12】
前記締結手段は、前記モジュール内に設けられたそれぞれのハウジング手段に嵌合するのに好適な釘手段、または、ねじ、自動スタッド、ファスナーおよびVelcro(登録商標)よりなる群から選ばれる他の同等手段を含む、請求項11に記載の支持要素。
【請求項13】
前記一体化手段は収納フードを含み、前記締結手段は前記収納フードに組込まれている、請求項11または12に記載の支持要素。
【請求項14】
前記締結手段は、前記モジュール内に設けられたそれぞれのハウジング手段に嵌合するのに好適な釘手段、または、ねじ、自動スタッド、ファスナーおよびVelcro(登録商標)よりなる群から選ばれる他の同等手段を含む、請求項13に記載の支持要素。
【請求項15】
前記モジュールは、前記モジュール自体の自己組立を決定する相補的な形状手段を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の支持要素。
【請求項16】
前記相補的な形状手段は、相補的な突出部および凹部を含む、請求項15に記載の支持要素。
【請求項17】
前記モジュールは、粘弾性フォームおよび可撓性フォーム、もしくはゲルおよび可撓性フォーム、もしくはハニカムゲルおよび可撓性フォーム、もしくは異密度可撓性フォームからなる材料、またはすべての前記材料、またはすべての前記材料とさらにゲル、粘弾性フォームおよび可撓性フォームよりなる群から選択される1つ以上との組み合わせを含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の支持要素。
【請求項18】
前記減摩手段は、膜、織物、不織物、コーティング、または自己皮膜フォーム材料を含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の支持要素。
【請求項19】
前記減摩手段は、エチレン酢酸ビニルまたはフォームEVA、シリコーンおよび熱可塑性エラストマーからなるグループから選択される1つ以上の材料を含む、請求項18に記載の支持要素。
【請求項20】
空気の循環および流れのための前記手段は、前記使用者と接触する面上に通路およびチャネルを形成するのに好適な、前記下側本体と比べて表面が小さい頂部を含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の支持要素。
【請求項21】
前記モジュールは、前記使用者と接触するのに好適な2つの頂部を含み、すなわち前記モジュールは上下逆対称性を有することによって、2つの対向する使用面を有する支持要素を作製することができる、請求項1〜20のいずれか1項に記載の支持要素。
【請求項22】
前記モジュールは、前記ゲル状の上層と、粘弾性フォームからなる中間層と、前記可撓性フォームからなる下側本体とを含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の支持要素。
【請求項23】
前記モジュールは、少なくとも前記頂部に、保護のための洗浄可能な低アレルギー誘発性の膜であるポリウレタン熱可塑性エラストマー(TPU)からなる膜を含む、請求項1〜22のいずれか1項に記載の支持要素。
【請求項24】
保護のための洗浄可能な低アレルギー誘発性の前記膜は、前記モジュールのポリウレタンフォームでオーバーモールドされているか、または接着によって前記モジュールに結合されている、請求項23に記載の支持要素。
【請求項25】
前記モジュールは金型またはブロックポリウレタンフォームの少なくとも一部を含み、40%での圧縮抵抗値が0.5〜10kPaに含まれ、この値はISO規格3386に従って測定される、請求項1〜24のいずれか1項に記載の支持要素。
【請求項26】
前記モジュールは、開放または閉鎖空洞を有する本体を含む、請求項1〜25のいずれか1項に記載の支持要素。
【請求項27】
前記本体は、熱可塑性エラストマーまたはTPE型、ポリウレタンまたはPU型、エチル酢酸ビニルまたはEVA型、シリコーン型および同様の材料の群の圧縮材料または膨張材料を含む、請求項26に記載の支持要素。
【請求項28】
前記モジュールは、少なくとも内部の開放もしくは閉鎖空洞、ならびに開口部および溝の少なくともいずれかを有する本体を含む、請求項1〜25のいずれか1項に記載の支持要素。
【請求項29】
少なくとも内部の開放または閉鎖空洞を有する前記本体は、少なくともばねを含む、請求項28に記載の支持要素。
【請求項30】
前記ばねは、前記本体と前記ばねとの共同変形運動を可能にする接続手段によって前記本体に接続される、請求項29に記載の支持要素。
【請求項31】
前記ばねは、前記本体の材料内に完全にまたは部分的に覆い隠されている、請求項29または30に記載の支持要素。
【請求項32】
前記モジュールは、前記支持要素自体の100%の厚みに実質的に等しい高さを有する、請求項1〜31のいずれか1項に記載の支持要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、たとえばマットレス、クッション、椅子や肘掛椅子の座面、乗物用サドルなどの、人体またはその一部に適応可能な態様の調和的な支持のためのモジュラー支持要素に関する。
【背景技術】
【0002】
マットレス、クッションまたは別の支持要素を構成するために組立てられた、一般に互いに同一の複数のモジュラー要素からなるマットレスおよび同様の支持要素が公知である。
【0003】
そのような製品の実施例は、たとえばWO 81/02384、EP 0208130、DE 3724233、EP 1854379、EP 0414586、WO 2005/099520、US 2009/0038080などから公知である。これらの文献に記載されているマットレスまたは支持要素は一般に、モジュラー要素を収容するのに好適な支持基部または要素と、すべての要素を収納するための保護包装またはケーシングとを含む。
【0004】
このような実施例の主な利点は、組立前の全体寸法が小さいことであり、これによって保管、運送が容易になり、最終使用者がマットレスを、または一般に上記の支持要素を独立して作製できる可能性が保証される。
【0005】
また、公知の種類の支持要素を構成するモジュラー要素は、さまざまな使用者、および、たとえば頭、背中、脚などの使用者の異なる支持部分に適応するために、さまざまな特性およびさまざまな寸法を有する変形可能な弾性素子からなり得る。
【0006】
したがって、これらのモジュラー要素からなるマットレスまたは支持要素は、人物自身の構造および特定の要件に応じて、支持面の形を人体に適応させることができる。
【0007】
公知の種類の実施例の欠点は、組立時のマットレスまたは支持要素の均一面を与えるために用いる、ポリウレタンフォーム、ラテックス、またはフェルト状などの材料からなる連続した上部シートの存在に起因する。
【0008】
このシートのために、単一モジュラー要素が提供すべき局部的な適応性は大幅に減少してしまう。なぜなら、シート自体の上部の連続性によって、個々のモジュラー要素の異なる弾性容量、積載容量および形状適応性のマスク効果が生じるためである。
【0009】
一方、上部シートが存在しない場合は、モジュラー要素は互いにある距離を置いているため、連続的な支持を使用者に提供することができず、不快感を生じさせてしまう。
【0010】
この欠点を克服するため、製造業者は、モジュラー要素の高さをマットレスの高さよりも低くして、低くなった高さを、基部として用いるフォームのブロックまたは別の要素で補っている。
【0011】
たとえばWO 81/02384のように、互いに完全に並列しているポリウレタンフォーム型のモジュラー要素の場合、単一モジュラー要素の異なる弾性容量および形状適応能力が、要素同士の間に発生する摩擦によって妨げられ、使用後、使用者を載せた面は不規則になってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
発明の目的
本発明の目的は、最新技術を改良することである。
【0013】
本発明の別の目的は、改良された弾性特性、クッション特性およびより高い適応性を有するモジュラー支持要素を作製することである。
【0014】
本発明の別の目的は、部分ごとに剛性の異なる複数のモジュールからなるモジュール支持要素を、モジュール同士の間に感知可能な影響がまったくないように作製することである。
【0015】
本発明の別の目的は、存在し得る被覆シートを唯一の例外として、全体として製品の厚みの100%に等しい高さを有するモジュールからなるモジュール要素を作製することである。
【0016】
本発明の別の目的は、熱調整特性および改良された蒸散可能性を有するモジュラー支持要素を作製することである。
【0017】
本発明のさらに別の目的は、最終使用者による組立が容易なモジュラー支持要素を開発することである。
【0018】
これらおよび他の目的はすべて、1つ以上の添付の請求項に係るモジュラー支持要素によって達成される。
【0019】
これらおよびさらなる利点は、非限定的な例として与えられる以下の説明および添付図面から、すべての当業者によってよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】一部が取外された状態の、本発明に係る複数の支持モジュールからなるマットレスの形態の支持要素の上方からの斜視図である。
【
図3】本発明に係る支持要素のいくつかのモジュールの上方からの斜視図である。
【
図4】
図3のモジュールの下方からの斜視図である。
【
図5】
図3および
図4のモジュールの下方からの斜視図である。
【
図6】本発明に係る支持要素を構成するためのモジュールの別の形態の上方からの斜視図である。
【
図8】断面平面Sが示された本発明に係る支持要素を構成するためのモジュールの上方からの斜視図である。
【
図9】先の図に示された平面Sに沿った断面を有するモジュールの一形態を示す図である。
【
図10】先の図に示された平面Sに沿った断面を有するモジュールの一形態を示す図である。
【
図11】先の図に示された平面Sに沿った断面を有するモジュールの一形態を示す図である。
【
図12】本発明に係る支持要素のさらなる形態の上方からの斜視図である。
【
図13】本発明に係る支持要素のさらなる形態の上方からの斜視図である。
【
図14】凹状上部を有するモジュールの別の形態を示す図である。
【
図15】凸状上部を有するモジュールのさらに別の形態を示す図である。
【
図16】腰部領域用のモジュールの位置を得るための、支持要素の縁端における、矩形基部を有するモジュールの適用例を示す図である。
【
図17】腰部領域用のモジュールの別の位置を得るための、支持要素の縁端における、矩形基部を有するモジュールの適用例を示す図である。
【
図18】腰部領域用のモジュールの別の位置を得るための、支持要素の縁端における、矩形基部を有するモジュールの適用例を示す図である。
【
図19】本発明に係る支持要素を構成可能なモジュールの他の形態を示す図である。
【
図20】本発明に係る支持要素を構成可能なモジュールの他の形態を示す図である。
【
図21】本発明に係る支持要素を構成可能なモジュールの他の形態を示す図である。
【
図22】本発明に係る支持要素を構成可能なモジュールの他の形態を示す図である。
【
図23】本発明に係る支持要素を構成可能なモジュールの他の形態を示す図である。
【
図24】本発明に係る支持要素を構成可能なモジュールの他の形態を示す図である。
【
図25】本発明に係る支持要素を構成可能なモジュールの他の形態を示す図である。
【
図26】本発明に係る支持要素を構成可能なモジュールの他の形態を示す図である。
【
図27】本発明に係る支持要素を構成可能なモジュールの他の形態を示す図である。
【
図28】本発明に係る支持要素を構成可能なモジュールの他の形態を示す図である。
【
図29】本発明に係る支持要素を構成可能なモジュールの他の形態を示す図である。
【
図30】本発明に係る支持要素を構成可能なモジュールの他の形態を示す図である。
【
図31】本発明に係る支持要素を構成可能なモジュールの他の形態を示す図である。
【
図32】本発明に係る支持要素を構成可能なモジュールの他の形態を示す図である。
【
図33】本発明に係る支持要素を構成可能なモジュールの他の形態を示す図である。
【
図34】本発明に係る支持要素を構成可能なモジュールの他の形態を示す図である。
【
図35】本発明に係る支持要素を構成可能なモジュールの他の形態を示す図である。
【
図36】本発明に係る支持要素を構成可能なモジュールのさらに別の形態を示す図である。
【
図37】本発明に係る支持要素を構成可能なモジュールのさらに別の形態を示し、本発明に係る支持要素を形成するために配置された、
図36のようなモジュールの群を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の実施例
図面を参照して、モジュラー支持要素の全体が1で示されており、当該要素は、本明細書中ではマットレスとして例示されるが、クッション、椅子や肘掛椅子の座面、乗物用サドルなどの他の支持要素を含み得、このために概して詳細を失うことなく、いずれの場合も常に本発明の範囲に含まれる。
【0022】
本発明に係るモジュラー支持要素1は複数のモジュール3、4、6を含み、各モジュールは少なくとも側面および上部5を有し、モジュール3、4、6は、側面が実質的に接触した状態で互いに並列配置される。
【0023】
図1は、全体的に角柱または平行六面体の形状の複数のモジュール3、4を含むマットレス2を示す。
【0024】
本発明のこの形態では、モジュール3はモジュール4とは異なる特性を有し、特に、モジュール4は、全体的にマットレスの使用者の体に対応する部分にあるため、使用者の体を支持するのに特に好適な容量および伝熱特性を有する。
【0025】
非限定的な例によると、モジュール4は、ゲル型、特にポリウレタンゲルの材料からなる上部5を含む。
【0026】
一方、モジュール3は、たとえば金型またはブロックポリウレタンフォームなどの単一弾性材料からなり得、40%での圧縮抵抗値は好ましくは0.5〜10kPaに含まれ、より好ましくは1.0〜3.5kPaに含まれ、これらの値はISO規格3386に従って測定される。
【0027】
こうして、優れた快適性を維持しつつ、および/またはこの解決策を周囲部分に使用しつつ、より節約することができる。
【0028】
図2は、多数のモジュール6を含むマットレスの別の形態を示しており、モジュール6は、たとえば腰部領域内に位置決めされ、使用者が使いやすいように特定の表面変形を得ることができる異なる形状を有している。
【0029】
図2aは、腰部領域および/または使用者の他の支持部におけるさらに他の支持効果を得るために、たとえば凹状または凸状などの、使用者のための非平面の支持面を有する多数のモジュール6を含むマットレスのさらなる形態を示す。
【0030】
モジュール6の上部5の形のさらなる詳細が
図14および
図15に示される。
図14ではモジュール6は凹状上部5を有するが、
図15では上部5は凸状である。
【0031】
一般的に、本発明に係る支持要素1は、使用者の要件に応じて、特性の異なるモジュールのいずれか1つの組合せを有し得る。
【0032】
たとえば、マットレス2は使用者の体の異なる部分用のさまざまなモジュールを含み得、すなわち、腰部領域用、脚領域用、胴領域用、頭領域用などに特定のモジュールを有することも可能である。
【0033】
一般的に、以下の説明およびさらに詳細な
図19〜32によると、モジュール3、4および6は単密度材料または多密度材料、たとえば、粘弾性フォームおよび可撓性フォーム材料、もしくはゲルおよび可撓性フォーム、もしくは多密度可撓性フォーム、またはすべての上記材料とさらに他のもの:ゲル、粘弾性フォーム、可撓性フォームなどとの組合わせからなり得る。
【0034】
図3および
図4によると、モジュール3、4、6は、一体化手段7によって締結され、互いに並列し得る。
【0035】
たとえば、そのような手段は、プラスチック材料や織物などからなり得る板7によって作製され得る。
【0036】
板7はさらに、モジュール3、4、6の基部の要素10内に設けられたそれぞれのハウジング9に嵌合するのに好適な釘8、または、ねじ、自動スタッド(automatic stud)、ファスナー、Velcro(登録商標)などの他の同等手段を有する。
【0037】
図12および
図13によると、他の一体化システムまたは手段が収納フードに組込まれ得るか、格子型の水平壁のメッシュ34(
図12)または仕切り状の垂直壁のメッシュ35(
図13)であり得る。
【0038】
よりよく示される
図6および
図7によると、一体化手段7はなくてもよく、モジュール3、4、6を所定の位置に維持するために、モジュール自体の自己組立を決定するたとえば相補的な突出部18および凹部19などの、相補的な形状手段が存在する。
【0039】
本発明のさらに他の形態によると、モジュール3、4、6は、モジュール要素の本質的に安定した形状のおかげで、互いに並列し続けることができる。実際、基部表面と高さとの比(S/h)が好ましくは5よりも大きく、より好ましくは8よりも大きいモジュールは独立して安定しており、互いに並列し続けるために一体化手段7を必要としないことが分かっている。
【0040】
非限定的な例として、本質的に安定したモジュールの多数の寸法が与えられる。各モジュールは、側面16cmおよび高さ20cmの四角形基部、または側面13cmおよび高さ10cmの四角形基部を有し得る。
【0041】
なお、板7の可撓性および薄さのおかげで、またはモジュール同士の間に接続手段が全く存在しないおかげで、マットレス2全体が、リクライニングベットにも使用可能であるような可撓性を有する。
【0042】
本発明の重要な特徴は、少なくともモジュール3、4、6の側面の一部に配置された減摩手段11の存在である。いくつかの形態では上記減摩手段11はモジュールに結合され得、他の形態では減摩手段11はモジュールに結合されずにモジュール自体の一部を形成し得るか、支持要素の他の部分に含まれ得、たとえばモジュール収納フードに含まれ得るか、そうでなければ完全に独立し得る。
【0043】
図8〜11を参照して、減摩手段11は、モジュール3、4、6の全面に(
図9)、上面と側面の一部もしくは全体とに(
図10)、またはモジュール3、4、6の側面の一部もしくは全体に(
図11)配置され得る。
【0044】
モジュールに結合されている形態および結合されていない形態の両方において、モジュールの一部を形成する減摩手段11の中には気流を妨げるものがあり得るため、モジュール3、4、6の少なくとも基部は部分的または完全に開放しておいて、モジュールが自由に変形できるように、およびモジュール自体の内部に空気が流れるようにする必要がある。
【0045】
減摩手段11は、自己皮膜(self-skin)フォーム型、すなわち、あるモジュールが隣接モジュールに対して垂直方向に変形して運動したときに摩擦を発生させないように自身の外面に膜を生成するプラスチックフォーム材料からなる、ポリウレタン(PU)型またはエチレン酢酸ビニル(EVA)型の、膜、織物、非織物、コーティングまたは材料を含み得る。モジュールの表面同士の間に滑りを提供する熱可塑性材料、シリコーン、微小細胞ポリウレタンを含むモジュールを用いて、他の減摩手段も得ることができる。
【0046】
こうして、あるモジュールの隣接モジュールに対する完全な運動の自由度が得られ、すなわち、圧縮力が取除かれると、1つのモジュールの材料の弾性によって当該モジュール自体がその当初の位置に戻ることができ、この動作を妨げることができる他のモジュールの壁は存在しない。
【0047】
減摩手段のおかげで、モジュールは、モジュール同士の間に特定の寸法の隙間がない状態で、互いに並列配置され得る。
【0048】
モジュール同士の間の隙間は、たとえばポリウレタンフォーム、または摩擦を発生可能な他の材料からなるモジュールの場合は、変形運動の際にモジュール同士の間の接触を防止するため、およびしたがってモジュール同士の間の摩擦を防止するために、少なくとも中心部に必要となるであろう。
【0049】
実際、公知の種類の実施例では、各モジュールに自由な変形運動をさせるため、特に各モジュールの垂直方向における弾性および変形性の運動をさせるために、モジュール同士の間に大きな隙間が必要である。一方、これらの隙間によってモジュールの垂直方向の不安定性も生じ、および/またはモジュールの高さを最終製品、すなわちたとえばマットレスの厚みよりも低くしなければならない。
【0050】
さらに、モジュール同士の間に隙間がある場合は、使用者が隙間を貫通しないようにするために使用者に向けられた表面用シート部も使用しなければならず、使用しなければ、変形性がより低いフォーム、すなわちかなり剛性があり、したがって使用者にとって快適性が劣るモジュールを採用しなければならない。
【0051】
したがって常に減摩手段のおかげで、モジュールは、最終的なエルゴノミクスを最適化し、市場に求められるすべての寸法を満たすように、製品の全長に沿って延在することができ、異なる高さおよび表面を有することもできる。
【0052】
図6および
図7は、寸法LおよびHを有する矩形基部を有するモジュールを示す。これによって、たとえばマットレスでは、使用者の異なる身長およびサイズに応じて異なる弾性および積載容量を用いて、モジュール6を腰部部分について正確に位置決めすることができる。
【0053】
図16〜18は、矩形基部および/または異なる形状を有するこれらのモジュールのいくつかの適用例を示す。これによって、3つの異なる使用者サイズについての腰部部分の異なる位置を得ることができ、特にこの例では、全長Cを有するマットレスが示される。
【0054】
図16は、小柄な人物に好適な位置に1列以上の腰部支持用モジュールを有する、本発明に係るマットレスの第1の形態を示す。
【0055】
モジュールは、支持要素の上縁(図中左側)から距離T1を置いて配置される。
腰部領域を支持するためのモジュールの正確な位置を得るために、長さSの通常のモジュール3、4、6に加えて、寸法L1の1列のモジュールが支持要素の上側周囲部分に配置され、寸法L2の1列のモジュールが支持要素の下側周囲部分(図中右側)に配置される。
【0056】
図17は、中柄な人物に好適な位置に1列以上の腰部支持用モジュールを有する、本発明に係る支持要素の第2の形態を示す。このようなモジュールは、支持要素の上縁(図中左側)から距離TNを置いて配置される。
【0057】
この場合、長さSの通常のモジュール3、4、6は、既に、上縁からの正確な距離TNに1列以上の腰部支持用モジュールを得る準備ができている。
【0058】
最後に、
図18は、大柄な人物に好適な位置に1列以上の腰部支持用モジュールを有する、本発明に係る支持要素の第3の形態を示す。このようなモジュールは、支持要素の上縁(図中左側)から距離T2を置いて配置される。
【0059】
正確な距離T2に腰部支持用モジュールの位置を得るために、長さSの通常のモジュール3、4、6に加えて、長さL2の1列のモジュールが支持要素の上側周囲部分に配置され、長さL1の1列のモジュールが支持要素の下側周囲部分(図中右側)に配置される。
【0060】
なお、
図16および
図18に示される例によると、上側周囲部分および下側周囲部分の長さL1およびL2のモジュールの位置を切替えることによって、逆の場合も同様に、小柄および大柄用の1列以上の腰部支持用モジュールを正しく位置決めすることができる。
【0061】
これらは、腰部支持モジュールについての3つの位置の実施例に過ぎず、当然、マットレスの上側周囲部分および下側周囲部分に位置決めされるさらに別の寸法の他のモジュールを用いてより多くの位置を得ることができる。
【0062】
モジュールは当然、モジュールが各部分に提供しなければならない支持によって異なる歪みを有し得、減摩手段のおかげで、各モジュールの特性は隣接モジュールの特性の影響を受けない。
【0063】
たとえば、最終製品、すなわちマットレスやクッションなどのいずれかの測定値を埋合わせるために、周囲部分のモジュール3(
図1)は、他の隣接モジュール4の運動の可能性に悪影響を及ぼすことなく、より安価なブロックフォームで作製され得る。または、たとえば異なる長さなどの異なる形状を有するモジュールを用いてもよく、いずれの場合も、たとえば詳細な
図16〜18によると、必要な最終測定値が得られる。
【0064】
モジュール3、4、6は頂部12および下側本体13を含み得る。モジュール3、4、6は、三次元の形状、溝など、および水平チャネル14に接続されて空気循環を促進する垂直チャネル20を有し得る。
【0065】
特に、使用者に向けられた上部において、水平チャネル14は、上記チャネル14を形成するためのモジュールの頂部12の溝によって、および/または下側本体13の横表面よりも低い横表面の頂部によって得られ(
図6)、垂直チャネル20は、垂直方向の半孔および/またはモジュールの角部に大径接続部を作製することによって得られる(
図4)。
【0066】
図36および
図37に示される形態によると、モジュール3、4、6はさらに大きいチャネル14を有する。これらのチャネルは、下側本体13の横表面よりも小さい横表面と、各側の中間部に大きな弓型部分31を有する表面設計との両方を有する頂部12を用いて得られる。
【0067】
たとえば、
図36、
図37に示されるような4つの側を有する頂部12の場合、頂部12はほぼ四葉形状を有する。
【0068】
さらに、ここでは図示されない本発明のさらなる形態によると、モジュール3、4、6は2つの対向する頂部を有し得、すなわちモジュールは上下逆対称性を有することによって、2つの対向する使用面を有する支持要素1を作製することができる。
【0069】
図3および
図6によりよく示される本発明の形態によると、モジュール3、4、6はゲル状の上層15と、粘弾性フォーム、または弾性および積載容量特性の異なる別の種類のフォームからなる中間層16と、最後に可撓性フォームからなる本体13とを含む。
【0070】
下側本体13は、既述のモジュール3と同様に、金型またはブロックポリウレタンフォームからなる部分を含み得、40%圧縮抵抗値が好ましくは0.5〜10kPaであり、より好ましくは1.0〜3.5kPaであり、これらの値はISO規格3386に従って測定される。
【0071】
図19〜26および
図33〜35は、本発明に係る支持要素を構成するモジュール4、6の他の形態を示す。
【0072】
特に、
図19、
図20のモジュール4、6では、弾性および変形性は、フォーム製ではなく、コードTPE(熱可塑性エラストマー)、シリコーン、圧縮(compact)エラストマーポリウレタン(PU)によって示される種類の非膨張プラスチック材料、または微小細胞ポリウレタン型、フォームEVA(エチル酢酸ビニル)の若干膨張したプラスチック材料を含み、開口部21および/または少なくとも内部空洞22(
図20)が設けられ得る本体13を用いて得られる。
【0073】
図21、22のモジュール4、6では、この場合も熱可塑性材料からもなり得る本体13は、空洞22および/または溝23を有する。
【0074】
開口部21および溝23の両方によって、モジュール4、6の所望の弾性および積載容量特性を得るための、本体13のより大きな局部的な変形性が可能になる。
【0075】
図33〜35では、モジュール4、6は
図19、
図20のモジュールと実質的に同様であるが、
図21、
図22に示されるモジュールからも派生し得る。この場合、熱可塑性材料からなり得る本体13は、空洞22に嵌合し、かつ接続手段33によって本体13に接続された、少なくともばね32を有し、本体13とばね32との共同変形運動を可能にする。
【0076】
ここには図示されないモジュール本体の形態では、ばね32は、本体自体の材料に完全にまたは部分的に覆い隠されていてもよい。
【0077】
したがってばね32が存在しているおかげで、本体13の変形性をより効果的に制御および調整することができる。
【0078】
ばね32は螺旋型、または軸方向の変形に好適な別の形であり得、たとえば重ねられたベルビルワッシャーが用いられ得る(図示せず)。
【0079】
ばねは、たとえばピアノ線などの金属製であり得るか、たとえばエポキシ樹脂を有する炭素繊維、ケブラー(登録商標)などの複合材料などの他の非金属弾性材料製であり得る。
【0080】
図23、24は、同一の本体13およびフォーム層16を有する点で
図21、22のモジュールと実質的に同様のモジュール4、6の別の形態を示すが、たとえばゲル、またはたとえばTPE(熱可塑性エラストマー)などの他の適切な材料からなるハニカム構造を有する上層24が存在する。
【0081】
上層24のハニカム構造は、弾性および積載容量特性を制御するのに好適な開放構造の一例に過ぎず、当然、多角形状に基づいた他の形状も用いることができる。
【0082】
図25、26はモジュール4、6のさらなる形態を示しており、本体13は開放空洞25(
図25)または閉鎖空洞26(
図26)を有する。
【0083】
これらの形態でも、空洞25、26によって本体13のより高い変形性が得られ、モジュール4、6の必要な弾性および積載容量特性を得ることができる。
【0084】
この場合も、
図19〜26および
図33〜35のモジュール4、6は、別の材料からなる頂部を有さずに完全に単一材料で単純化された形態で作製されて、
図1に示されるモジュール3と同様に、支持要素の周辺部に用いられ得る。
【0085】
上記本体13は、熱可塑性エラストマーまたはTPE型、ポリウレタンまたはPU型、エチル酢酸ビニルまたはEVA型、シリコーン型および同様の材料の群の圧縮材料または膨張材料も含み得る。
【0086】
図27〜32は、本発明に係る支持要素を構成するモジュール4、6の他の形態を示す。
【0087】
図27は、ゲル状の、または使用者を支持するのに好適ないずれかの他の材料からなる上層15と、可撓性フォームからなる下部27およびたとえば粘弾性フォームなどの異密度フォームからなる上部28を有する本体13とを含むモジュール4、6の横断面を示す。
【0088】
図28は、可撓性フォームまたは同様の材料からなる本体13と、たとえば粘弾性フォームなどの異密度フォームからなる上層29とを含むモジュール3、4、6の単純化された形態を示す。
【0089】
図29は、可撓性フォームまたは同様の材料からなる本体13と、
図23および
図24のモジュールの上層と同様であって、たとえばゲル、または他の適切な材料、たとえばTPE(熱可塑性エラストマー)からなるハニカム構造を有する上層30とを含むモジュール3、4、6の別の単純化された形態を示す。
【0090】
図30〜32は、可撓性フォームからなる本体13と、たとえば粘弾性フォームなどの異密度フォームまたはゲルなどからなり得る上層15と、一例として
図31にのみ示され、たとえば粘弾性フォームなどの異密度フォームからなる、存在し得る中間層16とを含むモジュール3、4、6のさらに他の形態を示す。
【0091】
本体13の内部には、たとえば粘弾性フォームなどの異密度フォームからなる別のブロックも存在しており、本体13自体の内部に収納されており、異なる形状およびサイズを有し得、特に
図30〜32に示されるように異なる高さを有し得る。
【0092】
一般に、本発明に係るモジュール3、4、6は、異なるフォームを用いることによって、異なる形およびサイズ、ならびに/または表面形状、ならびに/または異なる内部の凹部もしくは空洞を用いて、異なる程度の弾性および/または変形性を達成可能である。
【0093】
図9および10に示されるようにモジュールの上部が覆われている場合、モジュールは、特にポリウレタン熱可塑性エラストマー膜(コードTPU)を用いることによって、洗浄可能であり、低アレルギー誘発性である。
【0094】
図9〜11に示される上記膜は、モジュール3、4、6のポリウレタンフォームでオーバーモールドされ得るか、たとえば接着などによっていずれかの他の方法でモジュールに結合され得る。
【0095】
金型によって決まる特定の形状を有する一体式モジュールを作製することによって、部分ごとのモジュール性によって達成されるエルゴノミクス的な快適さに悪影響を及ぼすことなく、高度の空気循環、およびしたがって高度の気候快適性を提供する垂直および/または水平の通気チャネル14、20を得ることができる。
【0096】
本発明は運送および組立が容易であり、使用者が姿勢の配置を変更した場合、時間とともに単一要素を元の位置に戻すこともできる。
【0097】
最終構造は、単一モジュールが収納フード17(
図1および
図2)の内部に一体化されたときに達成する安定性によって決定され、単一モジュールの変形性および可撓性を妨害することなく、一体化メッシュも提供され得る(図示せず)。本発明のさらなる形態によると、上記の一体化メッシュは、モジュールが挿入される中間面を有し、そのような中間面は、モジュール同士の間の減摩機能も有する。したがってこの場合、減摩手段はモジュールに結合されておらず、特にモジュールの側面に結合されていない。
【0098】
収納フード17は、たとえば、人工および天然の両方の、繊維に充填材が入ったキルト織物、またはフォーム、または他の充填材料、三次元織物、単一織物などの、マットレスの製造に用いる一般材料からなり、フォームおよびゲルはポリウレタンからなり、天然材料処理派生物も含み得る。
【0099】
ゲルの密度または単位体積当たりの重量は、0.4〜1.5g/cm
3であり得る。フォームおよびゲルは、ポリウレタン分野で一般に用いられる顆粒状または繊維状の固体添加剤、たとえばコルク、ココナッツ、中空もしくは中実のプラスチックもしくはガラス玉、または他の天然もしくは人工の材料処理派生物を含み得る。
【0100】
本発明を好ましい実施例に従って説明したが、以下の請求項によって与えられる保護範囲から逸脱することなく同等の変形例が考えられ得る。