特許第5698747号(P5698747)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698747
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】外装取外し器具
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/28 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
   A61M5/28
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-524221(P2012-524221)
(86)(22)【出願日】2010年8月10日
(65)【公表番号】特表2013-501556(P2013-501556A)
(43)【公表日】2013年1月17日
(86)【国際出願番号】EP2010061636
(87)【国際公開番号】WO2011018462
(87)【国際公開日】20110217
【審査請求日】2013年7月18日
(31)【優先権主張番号】0913907.2
(32)【優先日】2009年8月10日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】505333414
【氏名又は名称】オーウェン マンフォード リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OWEN MUMFORD LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イートン,マーク
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/029280(WO,A2)
【文献】 国際公開第2008/086004(WO,A1)
【文献】 米国特許第05527294(US,A)
【文献】 特開2001−054572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バレルおよび針を有する充填済みシリンジから外装を取外すための器具であって、外装は針のための滅菌カバーを備え、前記器具は、
− シリンジバレルを少なくとも部分的に囲むためのハウジングを含み、前記ハウジングは、囲まれたシリンジの外装が突出ることのできるような大きさの開口部を備えた注入端部を規定し、前記器具はさらに、
− ハウジングにシリンジを保持するためのシリンジバレル取付台を含み、シリンジバレル取付台は、ハウジングの注入端部付近の位置と注入端部から離れた位置との間においてハウジング内で軸方向に摺動可能であり、前記器具はさらに、
− ハウジングの注入端部から離れる方向に取付台を付勢するための付勢手段と、
− 前記取付台がハウジングの注入端部から離れる方向に摺動するのを防ぐために前記取付台をラッチ保持位置にラッチ保持するためのラッチ保持手段とを含み、ラッチ保持手段は、取付台を注入端部に向かって摺動させることによってラッチ保持位置から解放可能となる、器具。
【請求項2】
ラッチ保持手段は、ハウジング内にブッシングを含み、その内部で取付台が保持され、取付台はブッシング内で軸方向に移動可能である、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
ラッチ保持手段はさらに、前記ブッシングに接続された弾力性のあるビームを含み、
ラッチ保持手段はさらに、取付台上に突起を含み、
ビームは、ハウジングの注入端部に向かって軸方向に延在し、取付台上における突起との係合によって第1の位置へと偏向可能であり、これにより、ラッチ保持手段をラッチ保持位置においてラッチ保持する、請求項2に記載の器具。
【請求項4】
ビームは、ラッチ保持手段が解放されると第2の位置に戻ることができる、請求項2に記載の器具。
【請求項5】
ビームは、ハウジングの注入端部近傍の端部においてフックを含み、フックは、取付台に係合するよう径方向内側に延在し、これにより、注入端部に向かう方向への取付台の移動を制限する、請求項3または4に記載の器具。
【請求項6】
付勢手段はばねである、請求項1から5のいずれかに記載の器具。
【請求項7】
針、および針のための滅菌カバーを備えたブーツを有する充填済みシリンジと、シリンジからの薬剤の注入を支援するための手段とを含む注入装置であって、
前記装置は、請求項1から6のいずれかに記載の器具をさらに含む、注入装置。
【請求項8】
バレルおよび針を有する充填済みシリンジから外装を取外すための器具であって、外装は針のための滅菌カバーを備え、前記器具は、
− シリンジバレルを囲むためのハウジングを含み、前記ハウジングは、囲まれたシリンジの外装が突出ることのできるような大きさの開口部を備えた注入端部を規定し、前記器具はさらに、
− ハウジングにシリンジを保持するための手段と、
− 外装取外し手段とを含み、前記外装取外し手段は1つ以上のボタンを含み、前記1つ以上のボタンは、1つ以上の協働するくさび部をハウジング内で作動させて、シリンジバレルの肩部と前記肩部に隣接する外装の端部との間の隙間に押込むことができるように
位置決めされ、くさび部は、シリンジ肩部に対して嵌合するよう形作られており、くさび部が径方向内側に押込まれるのに伴って針から外装を推し進めるよう適合された好適な端縁または傾斜を備える、器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
この発明は、シリンジから外装を取外すための器具に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
患者(人または動物)への薬剤の注入を支援するためのさまざまなタイプの注入装置が利用可能であり、これらの注入装置は、注入針が先端に取付けられた標準的な充填済みのガラスまたはプラスチック製シリンジを収容するよう構成されている。これらの装置は、投与量設定機構と、針を通じて薬剤を押出すためにプランジャをシリンジに押込むための主駆動ばねとを有し得る。注入装置は、主駆動源ばねを作動させて薬剤を押出す前に針を装置ハウジングから押出して患者の皮膚に差込むためのさらなるばねを含み得る。
【0003】
使用前に滅菌性を維持したり、「刺し」傷を回避したりするために、充填済みシリンジは、針を覆う「外装」として公知であるゴムまたはプラスチックのキャップが付いた状態で注入装置アセンブラに備えられる。外装は、針を収容するための内部空間と、シリンジバレルの隣接する端部に当接してその内部空間を封止する封止端部とを有する。
【0004】
使用する直前に、使用者(たとえば医療従事者または患者)は、外装を取外して針の覆いを取らなければならない。これは、典型的には、使用者によって装置の注入端部に挿入される外装取外し器具を用いて達成される。この器具は1組のばね状指部を備えており、この1組のばね状指部は、器具が装置に押込まれるのに伴って外装を乗り越えてこの外装に沿って移動する。これらの指部はさらに、シリンジ端部と外装との間の接合部に嵌まり込む。次いで、使用者は、外装を付けたままで器具を引抜くことができる。
【0005】
特に、高価な薬剤の場合には、組立てられた注入装置の故障率を最低限に抑えることが非常に重要である。上の段落で概要を述べた外装取外し方法を考慮すると、外装の後部における接合部を覆い隠すのに十分な力をもたらしつつも指部が確実に外装を乗り越えて移動できるようにするために、指部においてちょうど適切な程度の可撓性を実現することは困難であるかもしれない。
【0006】
GB2438593(Cilag)、US2206/010588A1(Brunnberg他)、WO2007/047200A1(EIi Lilly)、およびUS2006/0270986A1(Hommann他)はすべて、シリンジを収容しそこから外装を取外すための装置を開示している。US2001/0031949A1(Asbaghi)は、外装の取外しには関連していないが、注入後におけるシリンジの偶発的な再使用の防止や、その際の「刺し」傷の防止に関連している。ガード、ガード本体およびばねが開示される。装置は、針の先端を覆うように収容するガードをロックすることによって、注射後の露出した針を受動的にカバーして保護する。これは、線形のスロットおよび協働するプラグ構成によって達成される。スロットは、スロット端部とロック用切欠きとの間にラッチ保持用切欠きを有する。ロック用切欠きは、装置の注入端部に位置決めされ、使用後に、ガードをガード本体にロックして、ガードが針先端部を完全に覆うことを確実にする。ばねは、ガードをガード本体に対して装置の注入端部の方に押し進めるために設けられているが、この注入端部への移動は、ラッチ保持用切欠きによって制限されている。外装を取外すために、シリンジは、ラッチ保持用切欠きによって適所に保持される。外装が取外されると、装置は、針先端部がガードを越えて部分的に露出されるように配置される。注射後、ロック用切欠きは、針先端部をガードで覆ったままに維持する役割を果たす。
【0007】
WO01/68164A1(International Technology Group)は、針の「刺し」傷を防ぐための、内部シリンジ本体用の管状の外部保護カバースリーブを備えた安全シリンジを提供する。GB2451665A(Cilag)は、キャップによって覆われた出射口を備えたハウジングと、シリンジキャリヤと、針外装と、ロック構成要素とを有する注入装置を開示する。使用時に、ロックがキャップとともに作動する。キャップが取外されると、ロックが自動的に解放される。ロックは、解放されるまで、シリンジの前進移動を防ぐことによって使用前にシリンジが破損するのを防ぐ役割を果たす。(Cilagによる)GB2451662Aは、とりわけ、作動前にシリンジキャリヤの前進移動を防ぐように駆動ばねを抑制したり作動させたりするための作動およびロック機構を備えた自動注入装置を開示する。回動するトリガスイッチは、ハウジング上で駆動ばねとシリンジキャリヤとの間に搭載される。作動させると、ピストンによって接続された2つのロッドによって、時間遅延をもたらすようにシリンジに推進力が伝達される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
概要
この発明の目的は、外装を取外すことのできる器具であって、注入装置の故障率を低下させつつも使用し易く確実性の高い器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の第1の局面に従うと、バレルおよび針を有する充填済みシリンジから外装を取外すための器具が提供される。外装は、針のための滅菌カバーを備える。当該器具は、
− シリンジバレルを囲むためのハウジングを含み、当該ハウジングは、囲まれたシリンジの外装が突出ることのできるような大きさの開口部を備えた注入端部を規定する。当該器具はさらに、
− ハウジングにシリンジを保持するためのシリンジバレル取付台を含み、当該シリンジバレル取付台は、ハウジングの注入端部付近の位置と注入端部から離れた位置との間においてハウジング内で軸方向に摺動可能であり、当該器具はさらに、
− ハウジングの注入端部から離れる方向に取付台を付勢するための付勢手段と、
− 取付台がハウジングの注入端部から離れる方向に摺動するのを防ぐために上記取付台をラッチ保持位置にラッチ保持するためのラッチ保持手段とを含み、ラッチ保持手段は、取付台を注入端部の方に摺動させることによってラッチ保持位置から解放可能となる。
【0010】
ラッチ保持手段は、ハウジング内部に固定されたブッシング本体を含んでいてもよく、その内部に取付台が保持され得る。ブッシング本体は、ハウジングの注入端部付近に前方端部と、ハウジングの注入端部から離れたところに後方端部とを有し得る。上記端部はともに、取付台がブッシング本体内で上記端部間において軸方向に摺動可能となるように上記取付台と部分的に重なり合う。
【0011】
ラッチ保持手段はまた、弾力性のあるビームを含み得る。弾力性のあるビームは上記ブッシングに接続されてもよい。ビームは、ハウジングの注入端部に向かって軸方向に延在し得る。ビームはまた、ラッチ保持手段がラッチ保持位置にある場合、取付台によって第1の位置へと偏向され得る。ビームは、ラッチ保持手段が解放されると第2の位置に戻り得る。
【0012】
ラッチ保持手段はさらに、取付台上に位置決めされた突起を含み得る。突起は、ラッチ保持手段のラッチ保持によってビームが第1の位置に偏向されるように、取付台上でビームに対して間隔を空けて配置され得る。これにより、ビームの端部が突起に寄りかかり、こうして、ラッチ保持手段を解放することなく、突起によりビームが第2の位置に戻るのが防止される。したがって、ビームは、取付台上における突起との係合によって第1の位置へと偏向可能となり、これにより、ラッチ保持手段をラッチ保持位置においてラッチ保持し得る。
【0013】
ビームが突起に当接することにより、取付台がラッチ保持手段内において摺動してハウジングの注入端部から遠ざかるのが防止される。突起は、ビームの端部を適切に収容するよう形作られた「U」字型であってもよい。突起は取付台と一体的に形成されてもよい。
【0014】
突起はまた、第2の位置にあるビームが突起を通り過ぎて摺動することができるように、間隔をあけて配置されてもよい。ラッチ保持手段が解放されると、取付台は、ハウジングの注入端部から遠ざかる方向に摺動し、これにより、ビームが、取付台の前方端部を越えて前方位置にまで延在し得る。
【0015】
ビームは、ハウジングの注入端部付近の一方端部にフックを含み得る。フックは、ハウジングに対して径方向内側に延在し得る。フックおよびビームは、上記前方位置から取付台の前方端部に係合するよう配置され得る。フックおよび取付台の前方端部の構成を合わせたビームの長さは、フックが取付台と係合すると、針が予め定められた量だけハウジングの開口部を越えて延在するように設定され得る。この量は、針が患者の皮膚に突き刺さるのに適した分の深さに対応し得る。
【0016】
装置は、ハウジングの注入端部から遠ざかる方向に取付台を付勢するための付勢手段を含む。付勢手段はばねであってもよい。付勢手段は、取付台のうち、ハウジングの注入端部から離れた位置にある後方端部と、ブッシングの後方端部付近にあるかまたは後方端部にある好適な地点との間に位置決めされ得る。
【0017】
ビームの面にはすべて弾力性があってもよい。いくつかの実施例においては、ビームは、取付台から径方向外側に向かって弾力性がある。ビームは、ブッシング本体から離れた位置にある端部に傾斜を備え得る。傾斜に付けられる角度は、取付台の前方端部上のリップに対する傾斜の作用によってビームが取付台から径方向に遠ざかる方向に偏向されるように設定されてもよい。
【0018】
突起は、位置決め隆起を備え得る。位置決め隆起は、ビームの長手方向軸と平行に配向されてもよい。この隆起は、取付台に面するビームの下側にある対応する溝と協働し得る。これにより、取付台の前方端部によるフックの位置決めが支援される。
【0019】
ハウジングの注入端部は、外装およびシリンジが装置内に囲まれ、かつラッチ保持手段がラッチ保持位置に位置する場合に、針外装がハウジングの注入端部における開口部を越えて少なくとも部分的に露出されるように適合される。
【0020】
使用者が外装を取外すことにより、患者への注射の準備ができた装置が作動する。しかしながら、ハウジング、取付台およびラッチ保持手段は、ラッチ保持手段が解放されたときに針がハウジングの注入端部における開口部を越えて露出されないように配置され得る。
【0021】
また、シリンジからの薬剤の注入を支援するための器具および手段を含む注入装置が提供される。
【0022】
この発明のさらなる局面に従うと、バレルと、針と、針のための滅菌カバーを備えた外装とを有する充填済みシリンジのための注入装置が提供される。
【0023】
当該装置は、シリンジバレルを把持するよう適合された、取付台を囲むシリンジのためのハウジングを含む。
【0024】
取付台は、ハウジング内部に固定されたブッシング本体内に保持され、ハウジングの注入端部近傍に前方端部と、ハウジングの注入端部から遠位側に後方端部とを有する。上記端部はともに、取付台がブッシング本体内において上記端部間で軸方向に摺動可能となるように上記ブッシング本体と部分的に重なり合う。
【0025】
ブッシングはさらに、ハウジングの注入端部に向かって軸方向に延在する弾力性のあるビームを含み、当該ビームは、ブッシング本体から遠位側にある一方端部において、径方向内側に延在するフックを含む。
【0026】
取付台はさらに突起を含む。当該突起は、ビームの端部が、第1の位置へと偏向されたときに突起に寄りかかり、これにより、取付台がハウジングの注入端部から遠ざかる方向に摺動するのを防ぐように、ビームに対して間隔を空けて配置される。
【0027】
当該突起はさらに、ビームが第2の位置に戻ったときに当該ビームが突起を越えて摺動可能となり、これにより、取付台がハウジングの注入端部から遠ざかる方向に摺動することを可能にして、ビームが取付台の前方端部を越えて延在するように、間隔を空けて配置される。
【0028】
フックおよびビームは、ビームが取付台の前方端部を越えて延在したとき、その後にハウジングの注入端部に向かって取付台が摺動することによりフックが取付台の上記前方端部と係合されるように、適合される。
【0029】
この発明のさらなる局面に従うと、バレルおよび針を有する充填済みシリンジから外装を取外すための器具が提供される。外装は、針のための滅菌カバーを備える。当該器具は、
− シリンジバレルを囲むためのハウジングを含み、当該ハウジングは、囲まれたシリンジの外装が突出ることのできるような大きさの開口部を備えた注入端部を規定し、当該器具はさらに、
− ハウジングにシリンジを保持するための手段と、
− 外装取外し手段とを含み、外装取外し手段は1つ以上のボタンを含み、当該1つ以上のボタンは、1つ以上の協働するくさび部をハウジング内で作動させて、シリンジバレルの肩部と上記肩部に隣接する外装の端部との間の隙間に押込むことができるように位置決めされる。くさび部は、シリンジ肩部に対して嵌合するよう形作られており、くさび部が径方向内側に押込まれるのに伴って針から外装を推し進めるよう適合された好適な端縁または傾斜を備える。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】外装がシリンジ針を覆っているシリンジを示す図である。
図2】外装取外し器具が取付けられたシリンジを示す部分破断図である。
図3図1のシリンジとともに使用される外装取外し器具を示す図である。
図4図2および図3の器具の取付台およびブッシングを最初のロックされた構成で示す斜視図である。
図5図2および図3の器具の取付台およびブッシングを第2の構成で示す斜視図である。
図6】取付台およびブッシングの詳細をさまざまな動作状態で示す斜視図である。
図7】取付台およびブッシングの詳細をさまざまな動作状態で示す斜視図である。
図8】取付台およびブッシングの詳細をさまざまな動作状態で示す斜視図である。
図9】外装とシリンジ本体との間でくさび部を推し進めるボタンを有する代替的な外装取外し器具を示す斜視図である。
図10図9の器具を示す破断図である。
図11図9および図10のボタンをより詳細に示す図である。
図12図9の器具を用いた外装取外しの第1段階を示す図である。
図13図9の器具を用いた外装取外しの第2段階を示す図である。
図14図9の器具を用いて外装が完全に取外された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
詳細な説明
ここで、充填済みシリンジの針を覆う外装またはキャップを容易かつ確実に取外すことを可能にする器具を説明する。先に概略を述べたように、注入装置のアセンブラ(たとえば自動注入器など)は、典型的には、サプライヤから充填済みシリンジを得ることとなる。アセンブラは、外装を含むシリンジの設計に対してはほとんどまたは全く影響を及ぼさない可能性があり、このため、その装置設計および組立工程にシリンジ設計との互換性をもたせることを確実にする必要があるかもしれない。
【0032】
図1は、薬剤を収容するバレル2と、バレル内に位置するピストン3とを備える従来のシリンジ1を示す。ピストン3は、バレルから外方向に延在し得るプランジャ(図示せず)と協働し得る。シリンジ1はさらに、肩部分4と、翼状部5と、バレルの反対側の端部に連結された皮下注射針6とを含む。実質的に固形であるゴムまたはプラスチックの外装7は、針6を覆い、シリンジバレル2の肩部4の周りを封止する。
【0033】
ここで、外装取外し器具およびその動作の簡潔な概要を図2から図5に関連付けて述べることとする。図2から分かるように、器具8は、開口部11を有する注入端部10を備えたハウジング9を含む。シリンジがハウジング9に搭載されると、外装が開口部11を通って突出し、プランジャ12がハウジングのうち反対側にあるプランジャ端部13から延在する。ブッシング14はハウジング9の内部に不動に固定され、ブッシング内には取付台15が摺動可能に配置されている。ばね16は、図2から分かるように、一方側がブッシング14の端部を押し、他方側が取付台15の端部を押して、取付台をハウジング10の注入端部から離れるように後方へと付勢するようにしている。
【0034】
充填されたシリンジのバレル2は取付台15内に保持される。取付台はバレルのために締りばめをもたらすが、シリンジの翼状部5も(ハウジング9の注入端部10とは反対側における)取付台15の後方端部17の背後でロックするので、シリンジと取付台とが一緒に移動する傾向がある。器具にシリンジが搭載されると、図3から分かるように、外装が、ハウジング9の注入端部10の開口部11を通じて露出される。
【0035】
ビーム18は、ブッシングからハウジングの注入端部に向かって延在する。ビームの長さと注入時のその長さの妥当性とについては以下でさらに述べる。ビームは、いくつかの方法で取付台と相互作用する。これらの方法のうち第1の方法は、ビームが第1の位置19へと偏向される場合に用いられる。これは図4に詳細に示される。この方法により、ブッシング14および取付台15がラッチ保持されて、取付台がハウジングの注入端部付近の前方位置20において保持され、こうして、取付台がばね16の付勢を受けてハウジングの注入端部から遠ざかる方向に摺動するのを防ぐ。ビームは、取付台上の突起21によってこの第1の位置19に保持される。
【0036】
外装を取外すために、使用者が外装を引っ張る。この動作により、ハウジングの注入端部の方に取付台を移動させることによってラッチが解放される。これにより、結果として、取付台上における突起21とビーム18との接触が断たれ、こうして、図5に示されるように、ビームがその第2の位置22に戻ることが可能となる。取付台は、このとき、ばね16によって推し進められて、ハウジングの注入端部から離れるように(図5における矢印Dの方向に)自由に摺動することができる。これにより、結果として、針6がハウジングの注入端部内に格納されることとなる。
【0037】
ここで、器具についてより詳細に説明する。図3は、器具8のハウジング9を示す。囲まれたシリンジの外装7およびプランジャ12も、ハウジング8の注入端部10およびプランジャ端部13と同様に示される。
【0038】
図4に図示のとおり、取付台15はブッシング14内に保持され、ブッシング内で摺動可能である。図4の取付台15およびブッシング14は図3の器具と同じ向きで示される。したがって、ハウジング9の注入端部10に向かう取付台15の移動は、矢印Aの方向に対応する。取付台の内径はシリンジバレル2のまわりに嵌まるよう適合される。シリンジの翼状部5がまたブッシング14の後方端部に当接すると、シリンジ1および取付台15がともに移動する。
【0039】
取付台は、前方端部24および後方端部17を備えた円筒形の取付台本体23を含む。前方端部24は、通路25と、径方向外側に延在するリップ26とを備える。取付台の後方端部17は、環状の取付リングまたはスピゴット27を備える。リップ26および環状リング27は、ブッシング14内での取付台15の摺動運動のための終点として機能する。
【0040】
ブッシング14は、前方端部29および後方端部30を有する実質的に円筒形の本体28を含む。後方端部30は、環状のブッシングリングまたはスピゴット31を備える。円筒形本体28はまた、ねじ山32を備える。ねじ山32は、(図2に図示のとおり)ハウジングと、上述したようにハウジング9の注入端部10に向かうブッシングのさらなる移動に抵抗するための止め部を提供する環状のブッシングリング31とねじ式に係合させるためのものである。止め部はまた、ブッシング14がハウジング9にねじ込まれる際の過剰な締付けを防ぎ得る。
【0041】
ビーム18は、ブッシング本体28の前方端部29から、円筒形の取付台本体23の外面に沿って延在する。ビーム33の一方端部がブッシング本体28に取付けられ、自由端34がブッシング本体からハウジングの注入端部に向かって延在する。ビーム18の自由端34には第1の傾斜35が設けられている。この第1の傾斜35は、以下に説明するように、取付台15のリップ26と協働してビーム18を径方向に偏向させる。ビームにはさらに、第2の傾斜36が設けられている。第2の傾斜36は、以下に説明するように、突起21と協働して、ビーム18を、偏向された第3の位置37に偏向させる。
【0042】
第1の傾斜35および第2の傾斜36は切れ目なく続いているが、これら傾斜が別々の方向にビーム18を偏向させるように互いに対して角度が付けられている。
【0043】
ビーム18は、(以下にさらに説明するように)径方向外側に、かつ図4に図示のとおり横方向に偏向するように変形し得るという点で弾力性がある。ここでは、ビームは一方側に偏向されるが、ビームは、依然として、取付台15上の突起21の上面38に載るようにブッシング14の本体28と実質的に同じ面に位置している。これは、外装7の取外し手順を開始する前のビーム18の最初の位置に該当する。取付台15がブッシング14に挿入されると、ビームをこの偏向された第1の位置22に設定することができる。
【0044】
ばね16(図2に図示)は、取付台15の後方端部18とブッシング15の環状リング31との間に位置決めされて、取付台15を矢印Bの方向に、すなわち、ハウジング9の注入端部10から遠ざかる方向に、付勢することにより、(ハウジングの注入端部内に)針を引っ込ませる。
【0045】
取付台15の前方端部24および後方端部17は、ブッシング本体28の前方端部29およびブッシング本体28の後方端部30を越えて延在する。端部24および17が部分的に重なり合うものであるので、取付台15がブッシング本体28内において上記端部間で軸方向(矢印AまたはBの方向)に摺動することが可能となる。この移動はばね16の影響を受けており、以下に説明するように、ビーム18の作用によってさらに制限される可能性がある。取付台15の前方端部29にはリップ26が設けられている。これは、取付台が矢印Bの方向に移動するのを制限する役割を果たす。というのも、リップが取付台の前方端部24に接触して取付台のこの後方移動に制限を課すからである。
【0046】
取付台15をブッシング14に挿入するのを支援するために、取付台本体23は、互いに対向し圧縮可能な隙間39および40を備える。ブッシング14に対する取付台15の位置合わせを助け、その回転を防ぐために、ガイド隆起41が、(矢印AまたはBによって表わされるように)取付台15およびブッシング14の長手方向軸と平行に、取付台本体23の外面に沿って設けられる。このガイド隆起41は、ブッシング本体28の下側にある対応する切欠き42と協働する。
【0047】
これにより、ビーム18がその偏向された第1の位置19にあるときに取付台15の(矢印Bの方向への)後方移動が防止される。というのも、取付台がこの方向に移動することによってビーム18が突起21に当接するからである。
【0048】
突起21はリップ26に隣接している。また、突起21は、ビーム18が突起21の上面38に載ると、ビーム18が取付台15およびブッシング14の長手方向軸から遠ざかる方向に偏向されるように位置決めされる。ビームが偏向されない場合、すなわち、ビームがその真っすぐな第2の位置22に戻った場合、ビームは、その全長にわたって上記長手方向軸と実質的に平行になる。
【0049】
ビーム18の幅および突起21の位置は、ビーム18がその真っすぐな第2の位置22にある場合にビームが突起22の下面43の下方にある通路25を、わずかであるが偏向しながら、通過し得るように設定される。以下に説明するように、このわずかな偏向は、突起21に対する第2の傾斜36の作用によってもたらされる。
【0050】
取付台本体23に面するビーム18の下側には溝44が設けられる。これは、取付台145の突起21上において位置決め隆起45と協働する。図6を参照されたい。
【0051】
図5は、外装7の取外しの第1の段階における取付台15およびブッシング14を示す。使用者が患者への注射を所望する場合、最初に外装7を取外すことが必要である。これは、たとえば、使用者が外装7およびハウジング8をともに把持して針6から外装7を推し進めることによって達成され得る。外装7が摩擦嵌合によって針6に固定されると、その取外しに対していくらかの抵抗が生じる。したがって、この作用により、取付台15がハウジング9の注入端部10の方(矢印Cの方向)に引っ張られ、こうして、ばね16が圧縮される。ブッシング14がハウジング9に固定されると、取付台は、ブッシング14に対して前方(矢印Cの方向)に摺動する。こうして、ビーム18と突起21との接触が断たれ、ビーム18が後方(矢印Dの方向)に移動すると、ビームは跳ね返ってその真っすぐな第2の位置22へと戻る。こうして、ビーム18は、取付台15およびブッシング14の長手方向軸と実質的に平行に(これにより、矢印CおよびDによって表わされる取付台15およびブッシング14の移動と平行に)なる。
【0052】
針6から外装7を取外すのに必要な力が、ばね16を圧縮するのに必要な力よりも大きくなければならず、そうでない場合、取付台が必要に応じて前方に摺動し得ないことが理解されるだろう。
【0053】
ビーム18は、このとき、突起21の下面43の下方を自由に通過することができる。これは、外装がうまく取外され、取付台が、ばね16の影響を受けてハウジング9の注入端部10から遠ざかるように後方(矢印Dの方向)に移動するときに起こる。これにより、結果として、針が、ハウジング9の注入端部10の開口部11内に実質的に(または少なくとも部分的に)引込められることとなる。
【0054】
図6図8は、外装7が取外されて、針6が露出されている作動段階を示す。図6は、取付台15がばね16によって後方に推し進められるのに伴って、ビーム18がハウジング9の注入端部10の方(矢印E)に向かって、取付台15に対して前方に摺動する図を示す。ビーム18が取付台15のリップ26に当たると、ビーム上の第1の傾斜35がリップと協働し、ビームが径方向外側に偏向して、ビームがリップを乗り越えて図7に図示される第4の位置47に達することが可能となる。
【0055】
ビーム18が径方向外側に偏向してリップ26を乗り越えたのと同時にまたはその前後に、第2の傾斜36が突起21と協働して、ビーム18を、偏向した第3の位置37へと横方向に偏向させる。これは図6において矢印Fによって表わされる。この偏向は、図4に示される突起21の上面38へのビーム18の偏向に比べて比較的小さいものであり、逆の方向に向けられている。この偏向は、突起21上において位置決め隆起41に対してビーム18を位置決めする役割を果たすことを目的としている。ビーム18の自由端33上の第2の傾斜36が突起21を越えて通り過ぎると、ビーム18は、図8に図示のとおり、径方向および横方向に偏向した状態から元に戻り、こうして、位置決め隆起41に嵌まってビーム18の下側にある溝44に収まる。このように、ブッシング14内における取付台15のさらなる摺動は、突起21上において位置決め隆起41が溝44を通るのに伴って起こる。
【0056】
フック46は、ビーム15の自由端34において形成される。取付台がハウジング9の注入端部10に向かって摺動すると、フック46が取付台15のリップ26に引っ掛かる。こうして、図8に図示のとおり、フックは、取付台がこの第5の位置48を越えてハウジングの注入端部に向かって摺動するのを防ぐ。
【0057】
使用者が作動させなくても、ばね16の付勢により、取付台15はハウジング9の注入端部10から離れるよう後方に推し進められる。こうして、ビーム18は、図2に図示のとおり、取付台15のリップ26を越えてさらに延在する。この構成においては、針6はハウジング9の注入端部10を越えて露出されることはない。これにより、不所望な「刺し」傷または滅菌針6の汚染といったリスクが低減される。
【0058】
使用者が患者に注射する場合、ハウジングの注入端部が患者の皮膚に対して適切な注射部位に配置される。針はまだハウジング内に格納されたままである。次いで、プランジャ12が押下げられる。シリンジの液状内容物に対するプランジャの作用により、シリンジバレル2がさらにハウジング9の注入端部10に向かって推し進められる。当然ながら、同時に、針6がハウジングの注入端部の方に推し進められてハウジングの注入端部を越える。プランジャが押下げられるのに伴って、針がハウジングの注入端部を通り過ぎて、患者の皮膚に突き刺さる。
【0059】
シリンジ本体を移動させると、取付台の環状リング27に対して翼状部5が作用するために取付台が同じ方向(すなわち、ハウジングの注入端部の方)に移動する。しかしながら、取付台のこの方向への移動範囲は制限される。というのも、取付台は、フック46が取付台のリップと係合するまで単にブッシング内においてこの方向に摺動することができるにすぎないからである。こうして、取付台のリップとビームのフック46との相互作用により、取付台がハウジングの注入端部に向かってさらに移動するのが防止される。したがって、プランジャが押下げられると、フックによって、取付台がハウジングの注入端部に向かってさらに移動するのが制限される。
【0060】
注入深さは、所期の薬剤送達部位によって決定されてもよい。フックおよび取付台のリップの構成を合わせたビームの長さは、所望の注入深さを達成するよう設定されてもよい。
【0061】
ビーム18が不注意に突起を乗り越えていくのを確実に防ぐために、偏向された第1の位置19にあるビーム18と突起21との接触点には傾斜が設けられていないことが認識されるだろう。
【0062】
リップ26に対するフック46の作用は、位置決め隆起41の端部がビーム18の自由端34の最至近箇所で取付台15の突起21に引っ掛かることによって高められ得る。
【0063】
器具は硬質のプラスチック材料で作られていてもよい。器具はまた、患者への注射に適した注入位置に取付台をロックするための手段を備え得る。この注入位置では、取付台がハウジング9の注入端部10付近に位置決めされ、これにより、針がハウジング9の注入端部10の開口部を越えて露出し得る。この注入位置は、フックと取付台との係合位置にあってもよい。
【0064】
器具は、注入装置において、(針および外装を有する)充填済みシリンジと、シリンジからの薬剤の注入を支援するための手段とともに用いられてもよい。
【0065】
図9図14は代替的な外装取外し器具を示す。当該器具は、バレルおよび針を有する充填済みシリンジから外装を取外すためのものであり、外装は、図1に図示のとおり針のための滅菌カバーを備えている。器具は、シリンジバレルを囲むためのハウジングを含み、ハウジングは、囲まれたシリンジの外装が突出ることのできるような大きさの開口部を備えた注入端部を規定する。器具はまた、ハウジングにシリンジを保持するための手段を含む。外装取外し手段も設けられる。これらは1つ以上のボタンを含み、当該1つ以上のボタンは、1つ以上の協働するくさび部をハウジング内で作動させて、シリンジバレルの肩部と上記肩部に隣接する外装の端部との間の隙間に押込むことができるように位置決めされる。くさび部は、シリンジ肩部に対して嵌合するよう形作られており、くさび部が径方向内側に押込まれるのに伴って針から外装を推し進めるよう適合された好適な端縁または傾斜を備える。
【0066】
図9は、外装7を囲むハウジング49の概要を示す。2個の作動ボタン50が示される。図10においては、ボタンを押すことにより、くさび部51が針に向かって径方向内側に、図示される矢印の方向に、ばね52の付勢に対抗して推し進められることが分かるだろう。バレル2の肩部53も、隙間54および針6と同様に示される。端縁55は湾曲して鋭い先端をなす。
【0067】
図11は、隙間に推し込むための端縁55を備えたボタン50をより詳細に示す。図12は、部分的に押し下げられたボタンを示す。端縁55は、使用者によってボタン50が押されると外装7と外装7の肩部53との間に位置する。図13に図示のとおり、ボタン50が完全に押下げられると、図14に示されるように、対向するくさび部51の先端56同士が一体となり、外装7が針から外れるよう推し進められる。外装の取外しを支援するためにカラー56が設けられる。
【0068】
当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、上述の実施例に対するさまざまな変更例が実現可能であることを認識するだろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
図14