特許第5698753号(P5698753)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698753
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】シート厚さ制御方法および装置
(51)【国際特許分類】
   C03B 17/06 20060101AFI20150319BHJP
   C03B 25/12 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   C03B17/06
   C03B25/12
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-534313(P2012-534313)
(86)(22)【出願日】2010年10月13日
(65)【公表番号】特表2013-508248(P2013-508248A)
(43)【公表日】2013年3月7日
(86)【国際出願番号】US2010052450
(87)【国際公開番号】WO2011047008
(87)【国際公開日】20110421
【審査請求日】2013年10月7日
(31)【優先権主張番号】61/251,481
(32)【優先日】2009年10月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】ボラタヴ,オルス エヌ
(72)【発明者】
【氏名】ゲイロ,キース アール
(72)【発明者】
【氏名】ミリロ,スティーヴン エム
【審査官】 相田 悟
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−112665(JP,A)
【文献】 特開2001−031434(JP,A)
【文献】 特開2008−133174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 17/00〜17/06,25/00〜27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスシートを作製する方法であって、
(i)2つの対向するエッジにより画成される幅を有しているガラスリボンを、ガラスが粘弾性挙動を呈する温度で提供するステップ、
(ii)前記ガラスが粘弾性挙動を呈している間、前記ガラスリボンを移動させるステップ、および、
(iii)前記ガラスリボンを加熱器要素のアレイで加熱するステップであって、該加熱器要素の出力が別々に調節可能なものであるステップ、
を含
前記ステップ(iii)が、
(iii−1)前記幅の範囲内で前記ガラスリボンの厚さ変動を測定するステップ、および
(iii−2)前記ガラスリボンが実質的に均一の厚さに延伸されるように、前記厚さ変動にしたがって前記幅の範囲内で区別をつけて前記ガラスリボンを加熱するステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
ステップ(iii)において、前記加熱器要素が、重複している視野を有するように配列されていることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
ステップ(iii−2)において、前記加熱器要素が、前記ガラスリボンの前記幅の範囲内で最も厚い厚さを有するエリアに、該範囲内で最も薄い厚さを有するエリアよりも、多くの熱を加えることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
ステップ(iii)において、アイソパイプの底部に到達する前の前記ガラスリボンに前記加熱器要素が熱を加えるように、該加熱器要素を配置することを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
ステップ(iii)において、前記アイソパイプの2つの面上の2つの前記ガラスリボンが、単一のガラスリボンを成形するために前記底部で結合する前に別々に加熱されるよう、前記加熱器要素のアレイを前記アイソパイプの各面の側に配置することを特徴とする請求項記載の方法。
【請求項6】
ステップ(iii)において、前記加熱器要素のアレイを、アイソパイプの底部よりも下方で前記ガラスリボンに熱を加えるように配置することを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項7】
ステップ(iii)において、アイソパイプの底部よりも下方で前記ガラスリボンの各面に熱を加えるよう、前記加熱器要素のアレイを該アイソパイプの各面の側に配置することを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、2009年10月14日に出願された、米国特許出願第61/251481号の優先権の利益を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般に、ガラスシートを成形する方法および装置に関する。より具体的には、本発明は、溶融ガラスから成形されるガラスシートの厚さを制御する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
特許文献1は、溶融ガラスから成形されるシートの厚さを制御するシステムについて説明したものである。特許文献1のシステムでは、溶融ガラスが成形部材の対向面を流れ落ち、これが成形部材の楔状底部で融合してガラスシートを成形する。ガラスシートは、一対の対向しているハウジング間を通過するが、このハウジング夫々がガラスシートに面した前面壁を有している。この前面壁は、例えば炭化ケイ素など、高熱伝導性、低膨張性、および低放射率を有する材料から作られている。ハウジング内には流体導管が配列され、このとき流体導管のノズルは間隔を空けた位置関係で前面壁の背面に位置付けられている。各流体導管は関連する流量計を有し、この流量計は制御弁を備えかつマニホールドに接続されている。各流体導管は、隣接する前面壁の背面エリアに冷却流体または加熱流体を供給する。典型的には、供給される流体は空気である。ガラスシートの厚さを制御するために、ガラスシートと前面壁との間で熱放射による熱交換が起こる。ガラスシート幅を横切る特定エリアが所望厚さより厚いことをガラスシートの厚さ波形が示した場合には、このより厚いエリアに隣接する、ガラスシートのゾーンを冷却して、すなわちより薄いエリアを冷却して、厚さ波形を補正する。この隣接するゾーンに対応する流体導管を駆動させて、隣接ゾーン(すなわち、より薄いエリア)を冷却する。この特許では、冷却流体を供給する代わりに、前面壁の背面に加熱流体を供給することも提案している。この場合、加熱流体は、より厚いエリアに対応する流体導管から供給されることになる。これにより、より厚いエリアの粘度が減少し、その後このエリアが薄くなる。加熱流体は、電気巻線を流体導管と関連付けて供給してもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第3,682,609号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したシステムは、溶融ガラスから成形されるシートの厚さを制御するために長年にわたって使用されてきた。このシステムは効果的であるが、一方でこのシステムの使用に関していくつかの課題が存在している。例えば、典型的には空気であるが、流体導管から供給される冷却流体が、ガラスシートが位置している延伸部に時々漏れることがある。この漏れにより、ガラスシートで無制御の熱損失が生じ、その結果ガラスシートの厚さが不連続なものとなってしまうことがある。このシステムは自動制御に必要な数値制御装置やフィードバックシステムに簡単には適応できない。システムの視野範囲の分解能は、介在する壁が後にその熱伝導により効果を拡散させることから、この壁の対流冷却の使用により制限される。すなわちこの拡散のため、形作った熱シグネチャ(thermal signature)を生成しようとする試みは効果がない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明の第1の態様によれば、ガラスリボンの厚さプロファイルを制御する方法が提供される。この方法は、(A)粘性挙動を呈しているガラスリボンの選択されたストリップにおいて、このストリップに対するターゲット厚さから逸脱した厚さを有している、ストリップ内の1以上のエリアを発見するステップ、および(B)ストリップのこの1以上のエリアにおいてガラスの粘度を減少させるために、この1以上のエリアに放射熱をあてるステップ、を含む。
【0007】
本発明の第1の態様の特定の実施形態において、この方法は(C)粘性挙動を呈しているガラスリボンの異なるストリップに対して、ステップ(A)および(B)を繰り返すステップをさらに含む。
【0008】
本発明の第1の態様の特定の実施形態において、ステップ(A)では、この1以上の各エリアの厚さはターゲット厚さよりも厚く、かつステップ(B)では、この1以上の各エリアの厚さを減少させる。
【0009】
本発明の第1の態様の特定の実施形態において、ステップ(B)は、放射加熱器をストリップに隣接させて位置付け、かつ放射加熱器を、この1以上のエリアに放射熱をあてるように動作させるステップを含む。
【0010】
本発明の第1の態様の特定の実施形態において、ステップ(B)では、放射加熱器が放射加熱要素のアレイを含み、かつステップ(B)は、(D)アレイ内の隣接する放射加熱要素の視野を重複させるステップをさらに含む。
【0011】
本発明の第1の態様の特定の実施形態において、ステップ(D)では、放射加熱要素は直線状であり、かつガラスリボンの進む方向に対して傾斜している。
【0012】
本発明の第1の態様の特定の実施形態において、ステップ(B)では、放射加熱器が非線形形状を有し、放射加熱器とこの1以上のエリアとの間の放射形態係数を最大にする。
【0013】
本発明の第1の態様の特定の実施形態において、この方法は(E)溶融ガラスの分離流を成形部材の楔状底部で融合させることによってガラスリボンを成形するステップをさらに含む。
【0014】
本発明の第1の態様の特定の実施形態において、ステップ(B)で放射加熱器は、楔状底部の近傍に位置付けられる。
【0015】
本発明の第1の態様の特定の実施形態において、ステップ(B)で放射加熱器は、赤外線加熱器である。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、ガラスリボンの厚さプロファイルを制御するためのシステムが提供される。このシステムは、ガラスリボンを成形するための成形部材であって、この成形部材の楔状底部で溶融ガラスの分離流が融合してガラスリボンを成形する、成形部材、および、粘性挙動とターゲット厚さから逸脱している厚さとを呈している、ガラスリボンの選択されたエリアに、放射熱を選択的にあてるよう配置された、放射加熱器、を備えている。
【0017】
本発明の第2の態様の特定の実施形態において、放射加熱器は楔状底部の近傍に位置付けられる。
【0018】
本発明の第3の態様によれば、ガラスシートを作製する方法であって、
(i)2つの対向するエッジにより画成される幅を有しているガラスリボンを、ガラスが粘弾性挙動を呈する温度で提供するステップ、
(ii)ガラスが粘弾性挙動を呈している間、ガラスリボンを移動させるステップ、および、
(iii)ガラスリボンを加熱器要素のアレイで加熱するステップであって、加熱器要素の出力が別々に調節可能なものであるステップ、
を含む方法が提供される。
【0019】
本発明の第3の態様の特定の実施形態において、ステップ(i)は、アイソパイプを用いてガラス溶融物からガラスリボンをフュージョン成形するステップを含む。
【0020】
本発明の第3の態様の特定の実施形態において、ステップ(iii)で加熱器要素は、重複している視野を有するように配列されている。
【0021】
本発明の第3の態様の特定の実施形態において、ステップ(iii)で加熱器要素は、リボンの幅に亘って一方のエッジから他方のエッジまで、リボンを区別をつけて加熱する。
【0022】
本発明の第3の態様の特定の実施形態において、ステップ(iii)は、
(iii−1)幅の範囲内でリボンの厚さ変動を決定するステップ、
(iii−2)リボンが実質的に均一の厚さに延伸されるように、この厚さ変動にしたがって幅の範囲内で区別をつけてリボンを加熱するステップ、
を含む。
【0023】
本発明の第3の態様の特定の実施形態において、ステップ(iii−2)で加熱器要素は、リボンの幅の範囲内で最も厚い厚さを有するエリアに、この範囲内で最も薄い厚さを有するエリアよりも、多くの熱を加える。
【0024】
本発明の第3の態様の特定の実施形態において、ステップ(iii)で加熱器のアレイは、本質的に直線状アレイである。
【0025】
本発明の第3の態様の特定の実施形態において、ステップ(iii)で加熱器要素のアレイは、ガラスリボンの全幅に熱を加えることができる。
【0026】
本発明の第3の態様の特定の実施形態において、ステップ(iii)で加熱器要素は、赤外線ビームの照射で熱を加える。
【0027】
本発明の第3の態様の特定の実施形態において、ステップ(i)は、アイソパイプを用いてガラス溶融物からガラスリボンを成形するステップを含み、かつステップ(iii)で加熱器要素は、アイソパイプの底部の近傍に位置付けられる。
【0028】
本発明の第3の態様の特定の実施形態において、ステップ(iii)では、アイソパイプの底部に到達する前のガラスリボンに加熱器要素が熱を加えるように、加熱器要素が位置付けられる。
【0029】
本発明の第3の態様の特定の実施形態において、ステップ(iii)では、アイソパイプの2つの面上の2つのガラスリボンが、単一のガラスリボンを成形するために底部で結合する前に別々に加熱されるよう、加熱器要素のアレイをアイソパイプの各面の側に位置付ける。
【0030】
本発明の第3の態様の特定の実施形態において、ステップ(iii)では、加熱器要素のアレイを、アイソパイプの底部よりも下方でガラスリボンに熱を加えるように位置付ける。
【0031】
本発明の第3の態様の特定の実施形態において、ステップ(iii)では、アイソパイプの底部よりも下方でガラスリボンの各面に熱を加えるよう、加熱器要素のアレイをアイソパイプの各面の側に位置付ける。
【発明の効果】
【0032】
本発明の利点および他の態様は、以下の説明および添付の請求項から明らかになるであろう。
【0033】
以下は、添付の図面に含まれている図に関する説明である。図は必ずしも原寸に比例したものではなく、さらに特定の特徴および特定の図は、明瞭かつ簡潔にするため、縮尺において、または概略的に、拡大して図示されている可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】厚さ制御されたガラスリボンを成形するシステムの概略図
図2図1のシステムの側面図
図3図2のシステムの線3−3に沿った断面図
図4】放射加熱要素のアレイを備えている放射加熱器を示す図
図5】デッドゾーンをなくすように配列された放射加熱要素アレイを備えている放射加熱器と放射加熱要素を選択的に動作させるためのコントローラとを示す図
図6】重複している放射ビームを示した、図5のシステムの断面図
図7】非線形形状を有している放射加熱要素を示す図
【発明を実施するための形態】
【0035】
ここで本発明について、添付の図面を参照して詳細に説明する。この詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多くの具体的詳細が明記されるであろう。しかしながら、これらの具体的詳細のいくつかまたはその全てを含むことなく本発明を実施し得ることは、当業者には明らかであろう。他の例では、本発明を不必要に不明瞭にしないよう、周知の特徴および/または処理ステップについて詳細に説明しないことがある。さらに、共通のまたは類似の要素を識別するために、同様のまたは同一の参照数字を使用する可能性がある。
【0036】
図1は、厚さが制御されたガラスリボン113を成形するためのシステムおよびプロセスを示したものである。米国特許第1,829,641号明細書および同第3,338,696号明細書において示されているような既知の構成のダウンドロー成形部材101が、楔状底部107を終端とする合流面103、105を有している。ガラスリボン113は最初に、成形部材101の合流面103、105を流れ落ちる2つの溶融ガラス流109、111として始まり、その後楔状底部107の位置で融合してガラスシートを成形する。溶融ガラス115を成形部材101の溝117に供給し、そして溶融ガラス115を既知の手法で溝117から溢れさせることによって溶融ガラス流109、111は形成される。この手法については、米国特許第1,829,641号明細書および同第3,338,696号明細書に記されている。ガラスリボン113はシート状の状態で楔状底部107から延伸される。ガラスリボン113が延伸されるとき、ガラスが粘性状態から弾性状態に転移するようガラスリボン113は冷却される。粘性状態のガラスリボン113の冷却パターンが、弾性状態のガラスリボン113の厚さプロファイルに影響を与える。粘性状態での冷却が一様でない場合には、弾性状態での厚さは制御されていない(例えば、均一でない)状態になり得る。図1のプロセスでは、ガラスリボン113の選択されたエリアからの熱損失を低減させることを利用して、ガラスリボン113の冷却パターンを修正し、ガラスリボン113の厚さを制御する。これについて以下で説明する。
【0037】
図1では、ガラスリボン113の表面121に隣接して放射加熱器119が設けられている。放射加熱器119は、線123で示されている放射熱を、ガラスリボン113の選択されたエリアにあてるものである。放射熱をあてるエリアを選択する基準については以下で後に論じる。ガラスリボン113が楔状底部107から延伸されるにつれて、放射熱123はクロスハッチエリア125で示したようにガラスリボン113とともに移動する。ガラスリボン113上の放射熱跡が、被加熱エリア125の幅127を決定する。放射加熱器119と表面121との間の間隔、そして放射加熱器119の形状および出力は、表面121に所望の量の放射熱を供給するよう適切に選択される。図1において放射加熱器119は、楔状底部107よりも上方でガラスリボン113に放射熱をあてることができる位置に位置付けられている。これに代わる配置として、放射加熱器119を、楔状底部107よりも下方でまたは楔状底部107の位置でガラスリボン113に放射熱をあてることができる位置に位置付けてもよい。一般に放射加熱器119は、ガラスリボン113が粘性の挙動を呈しているエリアに放射熱をあてることができるよう位置付けられることになる。一般に、ガラスリボン113が粘性の挙動を呈しているエリアは、楔状底部107の近傍となる。第2の放射加熱器(分かれて図示されていない)をガラスリボン113の反対面の側に設け、かつ第1の放射加熱器119と同じ手法で使用してガラスリボン113に放射熱をあてるようにしてもよい。
【0038】
ガラスリボン113の厚さを制御するために、(ガラスリボン113の幅に沿った)ガラスリボンのストリップが選択される。典型的には、ガラスリボン113のストリップは、ガラスリボン113を成形するプロセス中の任意の所与の時点で放射加熱器119と隣接しているガラスリボン113の部分ということになる。説明のため、図2図1のシステムの側面図を示す。図2では、ストリップ201を破線で区切り、また放射加熱器119はストリップ201と対向した位置関係にある。図3は、図2のシステムの、ストリップ201に沿った断面を示している。ストリップ201には、ストリップ201のターゲット厚さまたは通常の厚さを逸脱した厚さを有している、異常エリア301が存在している。典型的には、エリア301の厚さがストリップのターゲット厚さまたは通常の厚さよりも厚いことからエリア301が「逸脱している」と見なされる。ストリップ201は、一般に、1以上のこのような異常エリアを有し得るし、あるいは異常エリアを含まないこともある。ガラスリボン113の厚さを制御するプロセスは、ストリップ201において任意の異常エリアを発見するステップを含む。異常エリアを発見するステップは、ストリップ201上でのアクティブ計測を含むものでもよいし、あるいは、プロセス設定およびパラメータの特定の組を用いて得られる過去データに基づくものでもよい。
【0039】
一旦異常エリアがストリップ201上で発見されると、この異常エリアに放射熱をあてるように放射加熱器119が制御される。図3に示した例では、放射加熱器119は、クロスハッチエリア303で示したように異常エリア301に放射熱をあて、異常エリア301に供給された放射熱がエリア301を加熱することになる。これが異常エリア301の粘度を低下させ、そして異常エリア301の厚さを減少させる。この厚さの減少により、修正後の異常エリア301の厚さを、ストリップ201のターゲット厚さまたは通常の厚さとここで一致させることができる。典型的には、この加熱はストリップ201に亘る温度分布を修正することになり、例えば、異常エリア301を放射加熱器119で加熱する前よりも、変更後の温度分布は均一なものにすることができる。この修正後のまたはより均一な温度分布は、ガラスリボン113の進む方向に沿ってストリップ201とともに移動することになる。しばらく経つと、ガラスリボン113の別のストリップが放射加熱器119に隣接することになる。異常エリアを探しかつ異常エリアに放射熱をあてる上述のプロセスを、この別のストリップや、さらに放射加熱器119に隣接する他のさらなるストリップに対して繰り返してもよい。ただし、これは放射加熱器119が固定されていなければならないことを意味するものではない。異常エリアが粘性挙動を呈していることを条件に、ガラスリボン113がこのような異常エリアを有している他の部分を熱処理するために必要に応じて放射加熱器119を再配置してもよい。
【0040】
図1〜3を参照して上述したように「直接」の放射熱を利用してガラスリボン113の厚さ制御を行なうと、延伸部への流体の漏れに起因するガラスリボン113表面での煙突効果が、ガラスリボン113の厚さ制御に流体が使用されていないため回避することができる。「直接」ということは、放射加熱器119とガラスリボン113との間の熱交換が、背景技術で説明したシステムにおいて使用されている前面壁などの構造物によって遮られていないことを意味する。加熱効率を最大にするため、放射加熱器119をガラスリボン113の表面に極近づけて設置することもできる。また、放射加熱器119の形状や、放射加熱器119のガラスリボン113表面からの間隔を活用して、分解能の高い放射視野を達成することができる。図1〜3を参照して上述したシステムは、さらに自動制御にも適したものであり、これについて以下に説明する。
【0041】
図1〜3において、放射加熱器119は、ガラスが放射熱を吸収して粘度を減少させることができるよう、ガラスリボン113の吸収特性に適合する波長で電磁放射を生成する。典型的な放射加熱器119は赤外線放射加熱器であろう。放射加熱器119は、単一の放射加熱要素を含むものでもよいし、または放射加熱要素アレイを含むものでもよい。放射加熱要素は、Pt、Pt合金、タングステン、MoSi2などの耐熱性金属で、あるいはSiCなどのセラミック材料で、作製したものとしてもよい。加熱要素は、タングステンワイヤーなどのフィラメントワイヤーや、またはセラミック板などの放射板の形をとるものでもよい。典型的には、フィラメントワイヤーで作製される放射加熱要素は、放射熱を生成する表面エリアを増加させるため、ワイヤーの巻回ループを含んだものであろう。放射加熱要素は、石英製エンクロージャなど、透明なエンクロージャ内に配置してもよい。ガラスリボン113に供給される放射熱の量を増加させるため、エンクロージャを反射性材料でコーティングしてもよい。放射加熱器119は、電気放射加熱器でもよいし、または誘導による放射加熱器でもよい。放射加熱器119はガラスリボン113の幅(図2の203)に亘って延在するものでもよいし、あるいは延在しないものでもよい。複数の放射加熱器119をガラスリボン113の幅(図2の203)に亘って設置し、放射熱を複数の異常エリアにあてるように動作させてもよい。
【0042】
図4は、放射加熱要素401のアレイを含んでいる放射加熱器119を示したものである。放射加熱要素401は直線状の放射加熱要素である。これらの放射加熱要素401は、矢印403で示されているガラスリボン113の進む方向に関して、間隔を空け、かつ一列に並んだ状態となっている(図4には簡単のためガラスリボン113の関係する部分のみが示されている)。ガラスリボン113の進む方向403に関して、放射加熱要素401間に間隔が設けられ、さらに一列に並んでいるため、直接の放射熱を受けないことになる部分(放射加熱要素401間の間隙404に対応する)がガラスリボンに存在することになる。これらの部分を「デッドゾーン」と称する。デッドゾーンをなくすため、放射加熱要素401をその視野(すなわち、ガラスリボン113上の放射熱跡)が重複するように配列させることができる。図5は、これを成し得る手法を示したものである。図5では、矢印508で示したガラスリボン113の進む方向に対し、4つの放射加熱要素501、503、505、507が間隔を空けかつ傾斜した状態となっており、そのため、例えば、放射加熱要素501により生成された放射ビームが放射加熱要素503により生成された放射ビームと重複するなど、1つの放射加熱要素により生成された放射ビームは、隣接する放射加熱要素により生成された放射ビームと重複する。図6は、放射加熱要素501、503、505、507に対応した、重複している放射ビーム601、603、605、607を示したものである。放射ビームのクロスハッチの密度は、単に1つの放射ビームを次のビームと区別するための視覚的なツールとして使用されているものであることに留意されたい。
【0043】
放射加熱要素アレイはコントローラに接続させてもよい。これについては図5に示されており、ここで放射加熱要素501、503、505、507は、コントローラ509と接続されて(あるいは通信して)いる。コントローラ509は、放射加熱要素501、503、505、507を個々に作動させたり停止させたりするよう操作することができる。コントローラ509は、511で示したように外部入力を受けてもよい。一例の外部入力511として挙げられるのは、ガラスリボン113のストリップに亘る厚さプロファイルまたは温度プロファイルであろう。コントローラ509は、この情報を利用し、ガラスリボン113のストリップに亘ってターゲットとする厚さ分布または温度分布を達成するために、放射加熱要素501、503、505、507のうちのいずれを作動させ、またいずれを停止させるかを決定してもよい。これは進行中の処理とすることもでき、この場合、厚さプロファイルまたは温度プロファイルがガラスリボン113を横切る特定の位置で測定され、さらに放射加熱要素501、503、505、507が、測定された厚さプロファイルまたは温度プロファイルに基づいてガラスリボン113の所望のストリップに熱を供給するよう制御されることに留意されたい。光学センサまたは温度センサを、夫々厚さプロファイルまたは温度プロファイルを測定するために使用してもよい。ガラスリボン113を目視で検査して、放射加熱要素501、503、505、507のうちいずれを作動または停止させるかを決定することもまた可能である。目視検査で得られた情報を利用して、コントローラ509を操作してもよい。
【0044】
図1で説明した放射加熱器119は、単一の放射加熱要素を含むものでもよいし、あるいは放射加熱要素アレイを含むものでもよいことに留意されたい。複数の放射加熱器119をシステムで使用してもよいし、あるいは放射加熱要素アレイを備えている単一の放射加熱器119をシステムで使用してもよい。放射加熱器119の幅は、ガラスリボン113の幅に及ぶものでもよいし、あるいはガラスリボン113の幅より小さくてもよい。放射加熱要素アレイを使用する場合には、コントローラを使用して、任意の時点でいずれの放射加熱要素を動作させるかを個々に制御することができる。コントローラは、さらに放射加熱要素の出力を調節するためにも使用することができる。放射加熱要素は、例えば図4、5、および6に示したような直線状の放射加熱要素に限定されるものではないことに留意されたい。放射形態係数を最大にまたは増加させるために、非線形形状を有する放射加熱要素を使用してもよい。放射形態係数は、第1の物体の表面を離れて第2の物体の表面へと到達する、熱エネルギーの割合であり、全体的に幾何学的考察から決定される。図7では、楕円形の放射加熱要素701および任意形状の放射加熱要素703を示している。要素703は任意形状であり、また要素703は、具体的に形状を生成することで、補正を必要とする特性を有している部分の形状に対処するのに本発明がいかに役立つかを示すことを目的としている。例えば「L」字型の要素を、Lの水平セグメントではより幅広くより拡散した効果を得、これに対しLの垂直セグメントでは集中した加熱効果を生成し得るよう、位置付けてもよいであろう。最終的に、ガラスに非対称の効果をもたらすことになる。一般にこの非線形形状は、放射加熱器で加熱するガラスリボンのエリアの典型的な形状に基づいて選択され得る。
【0045】
本発明について、限られた数の実施形態を参照してこれまで説明してきたが、本書において開示した本発明の範囲から逸脱しない他の実施形態を考案できることは、本開示から利益を得る当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の請求項によってのみ限定されるべきである。
【符号の説明】
【0046】
101 成形部材
107 楔状底部
109,111 溶融ガラス流
113 ガラスリボン
119 放射加熱器
201 ストリップ
301 異常エリア
401 放射加熱要素
501,503,505,507 放射加熱要素
509 コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7