【実施例】
【0013】
まず、本実施例に係る医用画像診断システムの概要について説明する。
図1は、本実施例に係る医用画像診断システムの概要を説明するための説明図である。同図に示すように、この医用画像診断システムは、医用画像診断装置10、医用画像保管装置20、レポート作成支援装置30および医用画像観察装置40がネットワーク50を介して接続されて構成されている。
【0014】
ここで、医用画像診断装置10は、例えば、X線CT装置やMRI装置などのモダリティであり、検査において被検体の医用画像を撮像する。また、医用画像保管装置20は、医用画像診断装置10によって撮像された医用画像を所定のデータ保管部に保管する。また、レポート作成支援装置30は、医用画像保管装置20によって保管された医用画像に基づいて読影レポートの作成を支援する。また、医用画像観察装置40は、操作者からの要求に応じて、医用画像保管装置20によって保管された医用画像を表示する。
【0015】
このような構成のもと、本実施例に係る医用画像診断システムでは、医用画像診断装置10によって医用画像が撮像された場合に、医用画像保管装置20が、当該医用画像に類似する医用画像をデータ保管部に保管された医用画像の中から検索し、検索した医用画像がキー画像として用いられている過去の読影レポートまたは症例に関する情報を収集し、収集した読影レポートまたは症例に関する情報を表示するようにしている。
【0016】
かかる医用画像診断システムによれば、過去に作成された読影レポートや症例情報の量が膨大であったとしても、今回の検査で撮像されたキー画像に基づいて、当該キー画像に類似するキー画像を用いた読影レポートや症例情報が自動的に収集される。そのため、本実施例に係る医用画像診断システムでは、医用画像の読影時やカンファレンスなどが行われる際に、参考になる過去の読影レポートや症例情報を容易に得ることができる。
【0017】
次に、本実施例に係る医用画像診断装置10の構成について説明する。
図2は、本実施例に係る医用画像診断装置10の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この医用画像診断装置10は、本発明に関連する機能部として、スキャン計画/画像生成部10a、共有オブジェクト生成部10bおよびデータ送信部10cを有する。
【0018】
スキャン計画/画像生成部10aは、被検体の医用画像を撮像する処理部である。具体的には、このスキャン計画/画像生成部10aは、操作者からの指示に応じて、医用画像保管装置20から検査対象の被検体に関する過去の共有オブジェクトを取得し、取得した共有オブジェクトの付帯情報に含まれる撮像条件情報を表示装置などに表示して、スキャン計画の設定を受け付ける。
【0019】
そして、表示した撮像条件情報をもとに、操作者によって撮像条件が設定されると、設定された撮像条件にしたがって被検体をスキャンして、当該被検体の医用画像を生成する。ここで生成される医用画像は、DICOM(Digital Imaging and COmmunications in Medicine)フォーマットの画像データとして生成される。
【0020】
共有オブジェクト生成部10bは、スキャン計画/画像生成部10aによって生成された医用画像および操作者によって設定された撮像条件に基づいて、共有オブジェクトを生成する処理部である。この共有オブジェクトは、上記したDICOMフォーマットの画像データとは分離した情報の実体(例えば、ファイルなど)として生成される。
【0021】
図3は、共有オブジェクトの一例を示す図である。同図に示すように、例えば、共有オブジェクト生成部10bは、画像情報と付帯情報とから構成される。ここで、画像情報には、撮像位置または撮像範囲を参照するための位置決め画像が設定される。また、付帯情報には、共有オブジェクトを一意に識別するためのオブジェクトUIDを含む「オブジェクト固有情報」や、座標情報や撮像範囲の大きさなどを含む「撮像条件情報」、読影時に設定される画像UIDを含む「キー画像情報」、読影時に設定されるレポートUIDを含む「レポート特定情報」などが設定される。
【0022】
かかる共有オブジェクトにおいて、付帯情報の「オブジェクト固有情報」および「撮像条件情報」は、共有オブジェクト生成部10bによって生成されたタイミングで設定されるが、「キー画像情報」および「レポート特定情報」は、医用画像の読影レポートが作成された際に、後述するレポート作成支援装置30から医用画像保管装置20へ診断結果情報が送信されたタイミングで、医用画像保管装置20によって、当該診断結果情報に基づいて設定または更新される。
【0023】
データ送信部10cは、スキャン計画/画像生成部10aによって生成された医用画像、および、共有オブジェクト生成部10bによって生成された共有オブジェクトを医用画像保管装置20に送信する処理部である。
【0024】
次に、本実施例に係る医用画像保管装置20の構成について説明する。
図4は、本実施例に係る医用画像保管装置20の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この医用画像保管装置20は、データ保管部20a、データベース部20b、データ受信部20c、受信データ分析部20d、画像データ登録部20e、共有オブジェクト分析部20f、共有オブジェクト登録部20g、画像検索部20h、レポート表示受付部20i、カンファレンス表示受付部20j、医用情報収集部20k、医用情報表示部20l、保管データ配信部20mおよび画像選定部20nを有する。
【0025】
データ保管部20aは、医用画像診断装置10から送信された画像データおよび共有オブジェクトを保管する記憶部である。このデータ保管部20aは、画像データや共有オブジェクトを新たに保管したり変更したりした場合には、後述するデータベース部20bと通信を行って、データの保管場所や変更箇所などの管理情報をデータベース部20bに送る。なお、このデータ保管部20aは、HDDやNASによって実現され、医用画像保管装置20の外部に備えられていてもよい。
【0026】
データベース部20bは、各種管理情報を記憶する記憶部である。例えば、このデータベース部20bは、データ保管部20aによって保管された画像データや共有オブジェクトに関する管理情報を記憶する。そして、データ保管部20aからデータの保管場所や変更箇所などの管理情報が送られた場合には、データベース部20bは、その管理情報を記憶するとともに、後述する画像検索部20hへ医用画像の登録通知を送る。また、データベース部20bは、本発明に関連するものとして、画像関連情報テーブルおよび診断結果情報テーブルを記憶する。
【0027】
図5は、画像関連情報テーブルの一例を示す図である。同図に示すように、例えば、画像関連情報テーブルは、キー画像情報と関連キー画像情報とを対応付けて記憶する。ここで、キー画像情報には、医用画像の画像データを一意に識別する画像UIDが設定される。関連キー画像情報には、キー画像情報に設定された画像UIDの画像データに類似する画像データの画像UIDが設定される。かかる画像関連情報テーブルは、前述した医用画像の登録通知がデータベース部20bから画像検索部20hへ送られたタイミングで、画像検索部20hによって作成される。
【0028】
図6は、診断結果情報テーブルの一例を示す図である。同図に示すように、例えば、診断結果情報テーブルは、症例名、状態、症例関連情報、レポート情報、キー画像情報および撮像範囲情報をそれぞれ対応付けて記憶する。ここで、症例名には、例えば「結核」や「胃潰瘍」、「肺炎」など、症例を示す名称が設定される。状態には、例えば「かなり進行している」や「あまり進行していない」など、症状を示す名称が設定される。
【0029】
また、症例関連情報には、年齢や性別、診断名、ステージ、入院期間、問診情報、治療対処、治療結果、カンファレンス履歴情報、患者情報など、症例に関する情報が設定される。レポート情報には、読影レポートが作成された際に、読影レポートごとに一意に付与されるレポートUIDが設定される。
【0030】
また、キー画像情報には、レポート情報に設定されたレポートUIDの読影レポートにおいてキー画像として用いられた画像データの画像UIDが設定される。撮像範囲情報には、撮像が行われた際の座標情報や、撮像範囲の大きさ、撮像された部位など、撮像範囲に関する情報が設定される。
【0031】
かかる診断結果情報テーブルは、医用画像の読影レポートが作成された際に、後述するレポート作成支援装置30から診断結果情報が送信されたタイミングで、後述する保管データ配信部20mによって、当該診断結果情報に基づいて設定または更新される。
【0032】
データ受信部20cは、医用画像診断装置10から送信された画像データおよび共有オブジェクトを受信する処理部である。このデータ受信部20cは、画像データおよび共有オブジェクトを受信すると、それらを後述する受信データ分析部20dに送る。
【0033】
受信データ分析部20dは、データ受信部20cによって受信された画像データおよび共有オブジェクトを分析して適切な処理部へ振り分ける処理部である。具体的には、受信データ分析部20dは、データ受信部20cから画像データおよび共有オブジェクトが送られると、画像データについては、後述する画像データ登録部20eへ送り、共有オブジェクトについては、後述する共有オブジェクト分析部20fへ送る。
【0034】
画像データ登録部20eは、受信データ分析部20dから送られた画像データをデータ保管部20aに登録し、また、その画像データに関する管理情報をデータベース部20bに登録する処理部である。
【0035】
共有オブジェクト分析部20fは、受信データ分析部20dから送られた共有オブジェクトを分析し、その共有オブジェクトから管理情報となる情報を抽出する。
【0036】
共有オブジェクト登録部20gは、共有オブジェクト分析部20fによって分析された共有オブジェクトをデータ保管部20aに登録し、共有オブジェクト分析部20fによって共有オブジェクトから抽出された情報をデータベース部20bに登録する。
【0037】
画像選定部20nは、医用画像の中から特徴のある医用画像を選定する処理部である。具体的には、この画像選定部20nは、後述する画像検索部20hからキー画像の候補となる医用画像を選定するよう指示されると、データ保管部20aに保管されている医用画像の中から今回の検査で撮像された医用画像を抽出し、さらに、抽出した医用画像の中から特徴のある医用画像をキー画像の候補として選定する。
【0038】
ここで、画像選定部20nは、例えば、公知のCAD(Computer-Aided
Diagnosis)の機能などを用いて、特徴抽出や経時差分算出、特徴量解析、画像位置または撮影範囲がほぼ同等なものを抽出するなどの方法で、キー画像の候補を自動的に選定する。または、画像検索部20hは、自動的にキー画像の候補を選定するのではなく、今回の検査で撮像された医用画像を表示して、操作者からキー画像の指定を受け付けるようにしてもよい。
【0039】
画像検索部20hは、特定の医用画像に類似する医用画像をデータ保管部20aに保管された医用画像の中から検索する処理部である。具体的には、この画像検索部20hは、データベース部20bから医用画像の登録通知が送られると、キー画像の候補となる医用画像を選定するよう画像選定部20nに指示する。そして、画像選定部20nによってキー画像の候補が選定されると、選定されたキー画像の候補または指定されたキー画像に類似する医用画像の画像データを、データ保管部20aに保管された画像データと比較し、類似度が高い画像データを検索する。
【0040】
ここで、画像検索部20hは、例えば、公知の特徴抽出や特徴量解析(ヒストグラムを比較するなど)、弛緩整合法などの技術を用いて、局所領域に分解された領域ごとに、画像データ間での輪郭や色の特徴量の対応関係を評価することによって、類似度が高い画像データを検索する。
【0041】
そして、画像検索部20hは、選定したキー画像の候補または指定されたキー画像の画像UIDをキー画像情報とし、検索した画像データの画像UIDを関連キー画像情報とし、それらを対応付けて、データベース部20bに保管された画像関連情報テーブルに登録する。これによって、データベース部20bに保管された画像関連情報テーブルが最新の状態に更新される。なお、かかる画像関連情報テーブルの更新は、装置の負荷などを考慮して、例えば、夜間にバッチ処理などによってまとめて行うようにしてもよい。
【0042】
さらに、画像検索部20hは、検索した画像データの画像UIDに基づいて、データ保管部20aに保管された診断結果情報テーブルあるいは共有オブジェクトの付帯情報を参照して、当該画像UIDに対応する過去の読影レポートのレポートUIDおよび症例に関する情報(症例名、状態、症例関連情報、撮像範囲情報など)を取得する。
【0043】
その後、画像検索部20hは、選定したキー画像の候補または指定されたキー画像の画像データと、取得したレポートUIDおよび症例に関する情報とをそれぞれ後述する医用情報収集部20kへ送る。ここで送られた画像データ、レポートUIDおよび症例に関する情報は、後述する医用情報収集部20kにおいて、医用情報を収集する際に用いられる。
【0044】
レポート表示受付部20iは、読影に関する情報の表示要求を受け付ける処理部である。このレポート表示受付部20iは、マウスやキーボードなどの入力装置(図示せず)を介して、読影医などの操作者から読影に関する情報の表示要求を受け付ける。
【0045】
カンファレンス表示受付部20jは、カンファレンスに関する情報の表示要求を受け付ける処理部である。このカンファレンス表示受付部20jは、マウスやキーボードなどの入力装置(図示せず)を介して、担当医などの操作者から読影に関する情報の表示要求を受け付ける。
【0046】
医用情報収集部20kは、画像検索部20hによって検索された医用画像と関連する過去の読影レポートまたは症例に関する情報を収集する処理部である。具体的には、この医用情報収集部20kは、画像検索部20hからキー画像の候補またはキー画像の画像データが送られると、それらの画像データを表示するよう後述する医用情報表示部20lに指示する。
【0047】
また、医用情報収集部20kは、レポート表示受付部20iによって読影レポートに関する情報の表示要求が受け付けられた場合には、後述するレポート作成支援装置30に対して、画像検索部20hから送られたレポートUIDに対応する読影レポートに関する情報を要求する。そして、読影レポートに関する情報が画像検索部20hから応答されると、医用情報収集部20kは、その情報を表示するよう後述する医用情報表示部20lに指示する。
【0048】
また、医用情報収集部20kは、カンファレンス表示受付部20jによってカンファレンスに関する情報の表示要求が受け付けられた場合には、画像検索部20hから送られた症例に関する情報を表示するよう後述する医用情報表示部20lに指示する。
【0049】
医用情報表示部20lは、医用情報収集部20kによって収集された読影レポートまたは症例に関する情報を表示する処理部である。具体的には、この医用情報表示部20lは、キー画像の候補となる画像データ、読影レポートまたは症例に関する情報を表示するよう医用情報収集部20kから指示されると、液晶ディスプレイなどの表示装置(図示せず)にそれらの画像データおよび情報を表示する。
【0050】
ここで、医用情報表示部20lが、画像選定部20nにより選定された医用画像をキー画像の候補として表示することによって、研修医など経験の浅い読影医が容易にキー画像の候補を探しだすことができるようになる。
【0051】
また、ここで、医用情報表示部20lは、医用情報収集部20kから指示された読影レポートに関する情報が複数あった場合には、それらをリスト化し、参考レポートのリストとして表示する。そして、操作者によってリストの中から一つの読影レポートが選択された場合には、医用情報表示部20lは、選択された読影レポートのみを表示する。
【0052】
保管データ配信部20mは、他の装置から送信された要求に応じて、データ保管部20aおよびデータベース部20bに保管された情報を要求元へ配信したり、他の装置から送信された情報に基づいて、データ保管部20aおよびデータベース部20bに保管された情報を更新したりする処理部である。
【0053】
具体的には、この保管データ配信部20mは、医用画像診断装置10から共有オブジェクトを要求された場合には、データ保管部20aおよびデータベース部20bを参照して、要求された共有オブジェクトを医用画像診断装置10へ配信する。また、保管データ配信部20mは、後述するレポート作成支援装置30から医用画像の画像データを要求された場合には、データ保管部20aおよびデータベース部20bを参照して、要求された画像データをレポート作成支援装置30へ配信する。
【0054】
また、保管データ配信部20mは、レポート作成支援装置30から診断結果情報が送信された場合には、送信された診断結果情報に基づいて、データ保管部20aに保管されている共有オブジェクトの付帯情報に含まれるキー画像情報およびレポート特定情報を更新し、ならびに、データベース部20bに保管されている診断結果情報テーブルに含まれる症例関連情報、レポート情報、キー画像情報および撮像範囲情報をそれぞれ更新する。
【0055】
次に、レポート作成支援装置30および医用画像観察装置40の構成について説明する。
図7は、レポート作成支援装置30および医用画像観察装置40の構成を説明するための機能ブロック図である。同図に示すように、レポート作成支援装置30は、本発明に関連する機能部として、レポートデータベース部30a、レポート作成/画像表示指示部30b、レポート情報収集部30cおよびレポート作成/表示部30dを有する。
【0056】
レポートデータベース部30aは、医用画像の読影時に作成された読影レポートに関する情報を保管する記憶部である。
【0057】
レポート作成/画像表示指示部30bは、マウスやキーボードなどの入力装置(図示せず)を介して、読影医などの操作者から読影レポートの作成準備および医用画像の表示要求を受け付ける処理部である。そして、各表示要求を受け付けると、レポート作成/画像表示指示部30bは、後述するレポート情報収集部30cに対して読影レポートの作成準備および医用画像の表示を行うよう指示する。
【0058】
レポート情報収集部30cは、読影レポートに関する情報および医用画像の画像データを収集する処理部である。具体的には、このレポート情報収集部30cは、レポート作成/画像表示指示部30bから読影レポートの作成準備を行うよう指示された場合には、レポート作成準備画面を表示するよう後述するレポート作成/表示部30dに指示する。
【0059】
また、レポート情報収集部30cは、レポート作成/画像表示指示部30bを介して、操作者から読影レポートに関する情報の表示を指示された場合には、指示された読影レポートに関する情報をレポートデータベース部30aから取得し、取得した情報を表示するよう後述するレポート作成/表示部30dに指示する。
【0060】
また、レポート情報収集部30cは、レポート作成/画像表示指示部30bを介して、操作者から読影レポートに関する情報の入力を受け付けた場合には、入力を受け付けた情報をレポートデータベース部30aに保管するとともに、その情報に含まれる診断結果情報を医用画像保管装置20へ送信する。
【0061】
ここで送信される診断結果情報には、作成された読影レポートのレポートUIDや、その読影レポートで用いられたキー画像の画像UID、症例関連情報(年齢や性別、診断名、ステージ、入院期間、問診情報、治療対処、治療結果、カンファレンス履歴情報、患者情報など)、撮像範囲情報(撮像が行われた際の座標情報や、撮像範囲の大きさ、撮像された部位など)が含まれる。
【0062】
また、レポート情報収集部30cは、レポート作成/画像表示指示部30bを介して、医用画像の表示を行うよう指示された場合には、指示された医用画像の画像データを医用画像保管装置20から取得し、取得した画像データを後述する医用画像観察装置40へ送信する。
【0063】
レポート作成/表示部30dは、レポート情報収集部30cからの指示に基づいて、レポート作成準備画面および読影レポートに関する情報を、レポート作成支援装置30に備えられた液晶ディスプレイなどの表示装置(図示せず)などに表示する処理部である。
【0064】
一方、医用画像観察装置40は、関連する機能部として、画像表示部40aを有する。画像表示部40aは、レポート作成支援装置30から送信された画像データを、医用画像観察装置40に備えられた液晶ディスプレイなどの表示装置(図示せず)などに表示する処理部である。
【0065】
次に、本実施例に係る医用画像診断システムにおける処理の流れについて説明する。
図8は、本実施例に係る医用画像診断システムにおける処理の流れを説明するためのシーケンス図である。同図に示すように、この医用画像診断システムでは、まず、被検体の医用画像が撮像される場合に、医用画像診断装置10が、医用画像保管装置20に共有オブジェクトを要求する(ステップS101)。
【0066】
共有オブジェクトが要求されると、医用画像保管装置20は、要求された共有オブジェクトをデータ保管部20aから取得して、医用画像診断装置10へ配信する(ステップS102)。共有オブジェクトが配信されると、医用画像診断装置10は、操作者からスキャン計画の設定を受け付ける(ステップS103)。
【0067】
そして、操作者によってスキャン計画が設定されると、医用画像診断装置10は、スキャンを実施して医用画像を生成し(ステップS104)、さらに、共有オブジェクトを生成し(ステップS105)、生成した医用画像の画像データおよび共有オブジェクトを医用画像保管装置20へ送信する(ステップS106)。
【0068】
画像データおよび共有オブジェクトを受信すると(ステップS107)、医用画像保管装置20は、キー画像の候補を検索し(ステップS108)、検索したキー画像に基づいて、データ保管部20aに保管されている過去の読影レポートまたは症例に関する情報を収集する(ステップS109)。そして、医用画像保管装置20は、キー画像の候補と、収集した読影レポートまたは症例に関する情報を表示する(ステップS110)。
【0069】
続いて、撮像された医用画像の読影が行われる場合に、レポート作成支援装置30が、読影医などの操作者からレポート作成準備および画像表示の指示を受け付けると(ステップS111)、読影レポートに関する情報を収集し(ステップS112)、医用画像保管装置20に画像データを要求する(ステップS113)。
【0070】
画像データが要求されると、医用画像保管装置20は、要求された画像データをデータ保管部20aから取得して、レポート作成支援装置30へ配信する(ステップS114)。続いて、レポート作成支援装置30は、レポート作成準備画面を表示し(ステップS115)、配信された画像データを医用画像観察装置40へ送信する(ステップS116)。画像データが送信されると、医用画像観察装置40は、送信された画像データを表示する(ステップS117)。
【0071】
その後、レポート作成支援装置30は、レポート作成/画像表示指示部30bを介して、操作者から読影レポートに関する情報の入力を受け付けた場合には、入力された情報をレポートデータベース部30aに保管するとともに、その情報に含まれる診断結果情報を医用画像保管装置20へ送信する(ステップS118)。
【0072】
診断結果情報を受信すると、医用画像保管装置20は、受信した診断結果情報に基づいて、データ保管部20aに保管されている共有オブジェクトおよびデータベース部20bに保管されている診断結果情報テーブルを更新する(ステップS119)。一方、レポート作成支援装置30は、入力された読影レポートに関する情報をレポートデータベース部30aに保管する(ステップS120)。
【0073】
次に、本実施例に係る医用画像保管装置20における処理の流れについて説明する。
図9は、本実施例に係る医用画像保管装置20における処理の流れを説明するための図である。なお、ここで説明する処理の流れは、
図8で説明した処理の流れにおけるステップS107〜S110に対応する。
【0074】
同図に示すように、この医用画像保管装置20では、データ受信部20cが画像データおよび共有オブジェクトを受信すると(ステップS201,Yes)、受信データ分析部20dが、受信した画像データおよび共有オブジェクトを分析する(ステップS202)。
【0075】
そして、画像データ登録部20eが、画像データをデータ保管部20aおよびデータベース部20bに登録し(ステップS203)、共有オブジェクト登録部20gが、共有オブジェクトをデータ保管部20aに登録するとともに(ステップS204)、共有オブジェクト分析部20fによって共有オブジェクトから抽出された情報をデータベース部20bに登録する(ステップS205)。
【0076】
これに続いて、画像選定部20nが、特徴のある医用画像データの画像データをキー画像の候補として選定し(ステップS206)、画像検索部20hが、画像選択部20nにより検索されたキー画像の候補に類似する画像データをデータ保管部20aから検索して(ステップS207)、関連画像情報テーブルを更新する(ステップS208)。
【0077】
そして、レポート表示受付部20iが読影に関する情報の表示要求を受け付けた場合には(ステップS209,Yes)、医用情報収集部20kが、画像検索部20hによって検索された医用画像がキー画像として用いられている過去の読影レポートに関する情報を収集する(ステップS210)。
【0078】
一方、カンファレンス表示受付部20jがカンファレンスに関する情報の表示要求を受け付けた場合には(ステップS211,Yes)、医用情報収集部20kが、画像検索部20hによって検索された医用画像がキー画像として用いられている過去の症例に関する情報を収集する(ステップS212)。
【0079】
そして、医用情報表示部20lが、キー画像の候補と、レポート表示受付部20iによって収集された読影レポートまたはカンファレンス表示受付部20jによって収集された症例に関する情報とをそれぞれ表示する(ステップS213)。
【0080】
上述してきたように、本実施例では、医用画像保管装置20において、画像検索部20hが、特定の医用画像に類似する医用画像をデータ保管部20aに保管されている医用画像の中から検索し、医用情報収集部20kが、画像検索部20hによって検索された医用画像と関連する過去の読影レポートまたは症例に関する情報を収集し、医用情報表示部20lが、医用情報収集部20kによって収集された読影レポートまたは症例に関する情報を表示するので、医用画像の読影時やカンファレンスなどが行われる際に、参考になる過去の読影レポートや症例情報を容易に得ることができる。
【0081】
また、本実施例では、レポート表示受付部20iが、読影に関する情報の表示要求を受け付け、医用情報収集部20kが、レポート表示受付部20iによって読影に関する情報の表示要求が受け付けられた場合に、読影レポートに関する情報を収集するので、医用画像の読影時に、参考になる過去の読影レポートを容易に得ることができる。
【0082】
また、本実施例では、カンファレンス表示受付部20jが、カンファレンスに関する情報の表示要求を受け付け、医用情報収集部20kが、カンファレンス表示受付部20jによってカンファレンスに関する情報の表示要求が受け付けられた場合に、症例に関する情報を収集するので、カンファレンスが行われる際に、参考になる過去の症例情報を容易に得ることができる。
【0083】
また、本実施例では、キー画像選定部20nが、医用画像の中から特徴のある医用画像を選定し、画像検索部20hが、キー画像選定部20nにより選定された医用画像に類似する医用画像を医用画像保管装置20によって保管されている医用画像の中から検索するので、特徴のある医用画像に類似する医用画像を自動的に検索することが可能になり、参考になる過去の読影レポートをさらに容易に得ることができる。
【0084】
また、本実施例では、キー画像選定部20nが、操作者が特定の医用画像を選定するために用いられ、画像検索部20hが、キー画像選定部20nにより選定されたキー画像に類似する医用画像を医用画像保管装置20によって保管された医用画像の中から検索するので、操作者によって重要であると判断された医用画像に類似する医用画像をもとに、参考になる過去の読影レポートを得ることができる。
【0085】
なお、本実施例において図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。