(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698797
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】注射装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/20 20060101AFI20150319BHJP
A61M 5/315 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
A61M5/20 510
A61M5/20 570
A61M5/315 500
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-131557(P2013-131557)
(22)【出願日】2013年6月24日
(62)【分割の表示】特願2010-519524(P2010-519524)の分割
【原出願日】2008年8月11日
(65)【公開番号】特開2013-215605(P2013-215605A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2013年6月27日
(31)【優先権主張番号】0715623.5
(32)【優先日】2007年8月10日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】510036366
【氏名又は名称】オーウェン マンフォード リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100067541
【弁理士】
【氏名又は名称】岸田 正行
(74)【代理人】
【識別番号】100103506
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 弘晋
(74)【代理人】
【識別番号】100126147
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 成年
(72)【発明者】
【氏名】ビックネル,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】イートン,マーク
【審査官】
田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2003/0105430(US,A1)
【文献】
特表平06−508773(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/036676(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
A61M 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジを収納するためのシリンジハウジングと、
前記シリンジハウジングの後端と連結及び分離するよう構成される前端を有する駆動ハウジングと、
前記シリンジは、針を有し、前記シリンジハウジングの前方の部分によって覆われる後方への位置と、1用量の放出のため、針が前記シリンジハウジングに前方に突き出る前方の位置と、の間の動作のために前記シリンジハウジングの中で搭載されており、
後方への位置の中で前記シリンジをロックし、前記シリンジの前方への動きを可能にするために解放可能であり、1用量の放出の後に後方の位置へ戻るように、リリースされた前記シリンジをラッチする操作が可能なロック手段と、
前記駆動ハウジング内に配置され、前記シリンジが前方に移動できるよう解放可能であるドライバー機構と、
を有し、
前記ロック手段は、前記駆動ハウジング及び前記シリンジハウジングの連結及び分離に応答するよう構成され、前記駆動ハウジング部と前記シリンジハウジング部の間の噛み合いの所定の範囲でリリースされ、
前記ロック手段は、前記駆動ハウジング及び前記シリンジハウジングの分離時には(i)後方の位置から前記シリンジの前方への動きを防ぎ、(ii)前方の位置から後方の位置へ戻る場合に前記シリンジをラッチするロック/ラッチ位置と、前記駆動ハウジング及び前記シリンジハウジングの連結時には前記シリンジが前進することを許容するアンロック位置と、の間で移動可能である、ことを特徴とする注射装置。
【請求項2】
前記シリンジは、シリンジホルダー手段の中に保持され、
前記ロック手段は、前記シリンジホルダーと協働することを特徴とする請求項1に記載の注射装置。
【請求項3】
前記ロック手段は、前記ロック/ラッチ位置と前記アンロック位置の間の前記シリンジに対してほぼ横方向に移動可能な少なくとも1つのラッチを含むことを特徴とする請求項1に記載の注射装置。
【請求項4】
前記各ラッチは、前記ロック/ラッチ位置と前記アンロック位置の間に、横方向に移動可能なそれぞれのアームで実行されることを特徴とする請求項3に記載の注射装置。
【請求項5】
前記複数のラッチは、ほぼ円筒状の弾力的に拡張可能なロックスリーブのそれぞれアーチ形の前記アーム上に備わることを特徴とする請求項4に記載の注射装置。
【請求項6】
前記ラッチスリーブは、軸の噛み合いによって解放可能であり、解放リングによって前記アームを移動することを特徴とする請求項5に記載の注射装置。
【請求項7】
前記シリンジハウジング及び前記駆動ハウジングは、ねじ状に噛み合うことが可能であり、前記駆動ハウジングはロックスリーブの係合のために解放リングを有することを特徴とする請求項5または6に記載の注射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は注射装置に関し、特に、だが排他的でなく、装置内のシリンジを前方に移動させる機構を有し、それにより、ニードルの先端が装置から突き出てそれから針を介して用量を放出する自動注射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの自動注射器が、ただ1用量分を放出して、それから、使用の後に廃棄されるよう設計されている。多くの場合、投薬された薬のコストは注射器装置のコストよりはるかに大きいが、ドラッグ・デリバリー・システムのコストを縮小することへの関心があり、さらに必要な場合には部品を再使用するという環境上の要望もある。
【0003】
そのため、我々は駆動機構が個別のモジュールとして備わり、再使用できる自動的な注射装置を設計した。それは、シリンジを含むハウジングに対してねじで留められるか、もしくは連結され、ドライバー・モジュールを何度も再使用することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、そのような装置のデザインは、前方部分に対して内部アクセスが可能であることを意味し、したがって、駆動モジュールと離れている場合には、ハウジング中のシリンジの動きを防ぐ何らかの手段を備えることが望ましく、それにより、使用の前又は使用の後の針を露出するようなハウジングの中で、シリンジが前方に押される可能性を防止する。
【0005】
他の手動操作の装置において、使用前後に注射器具を不能にするか安全にすることはさらに望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、1つの態様において、本発明は、
シリンジを収納するためのシリンジハウジングと、シリンジハウジングの後端と連結及び分離するよう構成される前端を有する駆動ハウジングと、シリンジは、針を有し、シリンジハウジングの前方の部分によって覆われる後方への位置と、1用量の放出のため、針がシリンジハウジングに前方に突き出る前方の位置と、の間の動作のためにシリンジハウジングの中で搭載されており、後方への位置の中でシリンジをロックし、シリンジの前方への動きを可能にするために解放可能であり、1用量の放出の後に後方の位置へ戻るように、リリースされたシリンジをラッチする操作が可能なロック手段と、駆動ハウジング内に配置され、シリンジが前方に移動できるよう解放可能であるドライバー機構とを有し、ロック手段は、駆動ハウジング及びシリンジハウジングの連結及び分離に応答するよう構成され、駆動ハウジング部とシリンジハウジング部の間の噛み合いの所定の範囲でリリースされ、ロック手段は、駆動ハウジング及びシリンジハウジングの分離時には(i)後方の位置からシリンジの前方への動きを防ぎ、(ii)前方の位置から後方の位置へ戻る場合にシリンジをラッチするロック/ラッチ位置と、駆動ハウジング及びシリンジハウジングの連結時にはシリンジが前進することを許容するアンロック位置と、の間で移動可能である注射装置を提供するものである。
【0007】
シリンジは、ロック手段と協働するシリンジホルダーの中でうまい具合に保持される。
【0008】
好ましくは、ロック手段は、(i)後方への位置からシリンジの前方への動作を防ぎ、(ii)前方の位置から後方への位置へ戻る場合には、前方に対するシリンジをラッチするロック/ラッチ位置と、シリンジが前進することを許容するアンロック位置と、の間で移動可能である。
【0009】
ロック手段は、ロック/ラッチ位置とアンロック位置の間のシリンジに関して、概して横に移動可能な、少なくとも1つのラッチ
を含んでもよい。ラッチ
はそれぞれ、ロック/ラッチ位置とアンロック位置の間に横に移動可能な各アームにより実行されてもよい。
【0010】
したがって、複数のラッチ
は、ほぼ円筒状の弾力的に拡張可能なロックスリーブのそれぞれアーチ形のアーム上に備わってもよい。ラッチスリーブは、軸の噛み合いによって好ましくは解放可能で、解放リング
によってアームを移動する。
【0011】
ここで、装置は、ハウジング
の後端との解放可能な噛み合いのための前方端を有する駆動ハウジングに配置されたドライバー機構を含む。
【0012】
ロック手段及びラッチ手段は、駆動ハウジングと
シリンジハウジング
の間の噛み合いの所定の範囲でリリースされるよう設計される。
【0013】
シリンジハウジング
及び駆動ハウジング
がねじ状に噛み合うことで、駆動部分は、ロックスリーブの係合のためのリング部を解放することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、シリンジを含む前方のハウジングの後端の上にねじで留められた個別の駆動モジュールを備えた自動注射器の側面図である。
【
図2】
図2は、
図1のII -II線上で得られた縦断面図である。
【
図4】
図4は駆動モジュールを後方に見た等角図である。
【
図5】
図5(a)及び(b)は、各々そのラッチ位置とオープン位置のラッチスリーブを示す拡大図である。
【
図6】
図6は、
図1に似ているが、発射された時の装置を示す図である。
【
図7】
図7は、使用の後に駆動モジュールから抜かれた前方の部分を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明が上に記述されているが、それは、上に述べられた特徴のすべての創造性のある組み合わせまで、或いは、以下の記載にまで及ぶ。本発明は様々な方法で行なわれうる。また、その実施形態は、以下の図面を参照した例として記述される。
【0016】
図面を参照して、そこに示された注射装置の実施形態は、使用の準備ができている注射器を準備するためにシリンジハウジング12の後部へねじで留めることが可能である駆動モジュール10を含む自動注射装置である。
【0017】
装置はその後端に発射ボタン14を有し、シリンジハウジングの前端は、キャップ16によって最初はカバーされる。
【0018】
駆動モジュール10は、駆動スプリング20によって前方に付勢される駆動プランジャー18を摺動可能に支持する。
【0019】
後端では、プランジャー18から分割した矢じり構造22を有して作られ、それによって、プランジャーはモジュールケーシング中の内部壁の後ろのへりを反らせられた位置で、ラッチされることが可能である。
【0020】
装置の発射のため、発射ボタン14は、安全位置から準備完了位置へ回転し、その後、前方に押され、駆動スプリング20の影響下で、前方への移動のためにプランジャーをリリースする矢じりをともに押し込める。
【0021】
プランジャーの前方への動きは、駆動ハウジング10の端の壁と共に動く環状のリブ26によって制限されている。駆動プランジャー18の前方端は、シリンジ30の栓28の内に適合するよう縮小した直径を有する。
【0022】
その前端では、駆動モジュール10は、シリンジハウジング12の後部の対応するおねじ部34に通すことが可能であるめねじ部32を有する。
【0023】
シリンジハウジング12は、ハウジング12内で摺動可能な動きのために搭載され、圧縮ばね38によって後方へ付勢されたシリンジホルダー36を摺動可能に収容し、後方への動きは、シリンジホルダーのスナップフィット環状部40上の肩部によって抑制される。
【0024】
シリンジ30は、シリンジの後端のスカートの後ろをクリップするスナップ戻止機能37によってシリンジホルダー36内に同心状に保持され、そのため、
図2に示される後方への位置と
図6に示される前方への位置の間で軸方向に移動する。
【0025】
シリンジホルダー36及びスプリング38を同心状に囲むのは、その形状を
図3でよりはっきり理解することが可能である円筒状のラッチシェル42である。
【0026】
ラッチシェル42は、その円筒状の表面を6つのアーチ形の弾力的に変形可能なアーム44に分割するスロットを有し、各々は、それの端部の手前で内部に導かれたかかり部46を有する。
【0027】
48で示されるように、弾力のあるアーム44の自由端が面取りされる。
【0028】
ラッチスリーブ42は、駆動モジュールの前端上の解放リング部50によって作用し、その結果、駆動モジュールがシリンジハウジングの後部へねじで留められるので、解放リング部50は、
図5の中で示される、ロックする位置からそれらを上げるための弾力のあるアーム44を広げるために面取りされた部分48に接触する。
【0029】
ここで、それらが、
図5に示される広げられた位置へ、シリンジホルダー36の肩部52の移動の経路に接しブロックし、ここで、かかり部46が、シリンジホルダー36の動きの経路から離れるように、アームは外側にそらされる。
【0030】
解放リング部50及びラッチスリーブ42の協働は、シリンジハウジング12が駆動モジュール10から離れる場合には、スリーブは、かかり部46がシリンジキャリアー36の動きをブロックする、その緩んだ位置にあることを示す。
【0031】
さらに、使用の後に、駆動モジュール10がシリンジハウジングから抜かれた場合には、かかり部は、それらがラッチするためのロック位置に再び戻り、それがその後ろの位置へ返るので、使用済みシリンジの前方への動きを防ぐ。
【0032】
キャップ16は、内部に導かれるフィンガー部や適切な噛合面(不図示)を有してもよく、それは、初めにシリンジ針をカバーするさや部(不図示)をつかみ、そうでなければ、装置からのキャップの除去が、さらに針からさやを引くようにさや部を係合する。
【0033】
使用時において、駆動モジュールは撃鉄を起こされる。また、キャップはシリンジハウジングの前端から取り除かれる。その後、駆動モジュールはシリンジハウジングの後部へねじで留められる。
【0034】
ねじが切られた噛み合いの終端に向かって、解放リング部50は、溝48に係合し、動作のため、シリンジホルダー36を解放するためにラッチスリーブの腕を広げる。その後、装置は使用者の肌まで差し出される。
【0035】
ボタン14は発射位置に回転し、プランジャーを発射するために押される。プランジャーは、シリンジの内容物の圧縮不可能な性質により、前方にシリンジ30を駆動して放ち、その結果、針がハウジングの前方端を越えて突き出る。
【0036】
シリンジは拘束され、スプリング38は完全に圧縮される。また、その後、プランジャーは、1用量を放出するために栓28を前方に駆動する。このステージでは、構成要素は
図6に示される構成である。
【0037】
その後、ユーザーは、シリンジハウジング12から駆動モジュール10のネジを抜き、それが
図5に示される位置へ戻るように、解放リング50はラッチスリーブとの噛み合いから引き抜かれる。
【0038】
駆動モジュールのネジが抜かれるので、シリンジキャリアーはスプリング38によって後方へ付勢され、部分が分離し、駆動モジュール10が前方のハウジングから引き離される場合には、シリンジキャリアーは、かかり部46を通りすぎてはまり、それがその後方の位置に固定される。