特許第5698799号(P5698799)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社トキオの特許一覧

<>
  • 特許5698799-ホッパー車 図000002
  • 特許5698799-ホッパー車 図000003
  • 特許5698799-ホッパー車 図000004
  • 特許5698799-ホッパー車 図000005
  • 特許5698799-ホッパー車 図000006
  • 特許5698799-ホッパー車 図000007
  • 特許5698799-ホッパー車 図000008
  • 特許5698799-ホッパー車 図000009
  • 特許5698799-ホッパー車 図000010
  • 特許5698799-ホッパー車 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698799
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】ホッパー車
(51)【国際特許分類】
   E01B 27/02 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
   E01B27/02
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-132748(P2013-132748)
(22)【出願日】2013年6月25日
(65)【公開番号】特開2015-7334(P2015-7334A)
(43)【公開日】2015年1月15日
【審査請求日】2013年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】504116722
【氏名又は名称】株式会社トキオ
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】近藤 修治
(72)【発明者】
【氏名】嘉屋 幸修
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55−32288(JP,U)
【文献】 実開平7−29001(JP,U)
【文献】 特開2000−226803(JP,A)
【文献】 米国特許第5097608(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 27/00
E01B 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
砕石を収容するホッパー(2)と、該ホッパー(2)の排出口(2a)から砕石を滑落させるための誘導勾配面(7)と、該誘導勾配面(7)と上記排出口(2a)の間を開状態と閉状態に切り換える扉部材(30)と、を備えたホッパー車に於て、
上記ホッパー(2)を横断面V字型とし、
上記扉部材(30)の裏面側に設けられた被ガイドローラ(30a)と、上記ホッパー(2)の下方の固定部(10)に形成され上記被ガイドローラ(30a)が差し込まれる上方凸状円弧型のガイド雌部(31a)と、を有する上方凸状円弧軌跡案内機構(Z)を設けて、上記扉部材(30)を円弧状に開閉揺動可能とし、
人力開閉操作レバー(38)によって回動する開閉動力伝達軸(34)に取着される揺動アーム(33)を設け、かつ、該揺動アーム(33)のアーム揺動軸心(La)を上記扉部材(30)の円弧軌跡中心(Q)よりも上方位置に偏心して設け、上記扉部材(30)と上記揺動アーム(33)を連動連結したことを特徴とするホッパー車。
【請求項2】
上記開閉動力伝達軸(34)を上記扉部材(30)が開状態となる方向に常時弾発付勢する開操作用引張コイルバネ(39)を設けた請求項1記載のホッパー車。
【請求項3】
上記誘導勾配面(7)の下半部に対応する側外方砕石誘導板(79)を上下揺動可能に設けると共に、上記側外方砕石誘導板(79)の傾斜角度(θ)を切換自在な誘導傾斜角度切換手段(5)を付設した請求項1又は2記載のホッパー車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホッパー車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道の軌道を走行して砕石(バラスト)を運搬するホッパー車は、ホッパーから砕石を排出して軌道周辺に散布するように構成している。
例えば、ホッパーの排出口の下方位置にベルトコンベアを設けて、軌道側外方に砕石を散布するものがある(特許文献1参照)。
しかし、ホッパーの下方位置にベルトコンベアを設けると、ホッパーが高位置となり、ホッパー車全体の重心が高くなって、ホッパー上部で作業者が作業する際に安全を確保することが困難という問題や、ベルトコンベア用の大きな駆動源が必要になるといった問題があった。
また、図10に示すようにホッパー92の横断面形状をV字状とし、ホッパー92の谷底部に排出口92a,92aを設けると共に、前後水平状の揺動軸心L9廻りに揺動して、排出口92a,92aを開状態と閉状態に切り換える扉部材93,93を設けたものが公知であった。
しかし、排出口92aの下方位置に、扉部材93,93を支持するアーム部材98,98や、アーム部材98の下端が取着された軸部材99,99、及び、軸部材99,99用の(図示省略の)軸受部材等を、配置するための空間が必要で、レール上面からホッパー92の上端縁92dまでの高さ寸法(ホッパー高さ寸法)Hが、2mを越えて背が高くなって(例えば、2.9mもあって)重心位置も高くなるといった問題があった。また、ホッパー92の排出口92aから砕石を滑落させる際に、アーム部材98,98や、軸部材99,99、軸受部材等に、砕石が塞き止められてスムーズに滑落できないといった問題があった。
そこで、図9に示すように、ホッパー92の横断面形状をW字状とし、2つの谷底夫々に排出口92a,92aを設けると共に、左右水平状にスライド移動して排出口92a,92aを開状態と閉状態に切り換える扉部材93,93を設けて、砕石を自重により軌道の左右側外方に滑落させて散布するようにして低重心化と小型化を図ったホッパー車が使用されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7−29001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、図9の従来のホッパー車は、ホッパー92の横断面形状がW字状のため、ホッパー92内の砕石が左右方向に2分され、軌道の片側へ全砕石の約半分しか散布できないといった問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、ホッパーの横断面形状をV字型として、大量の砕石を(ホッパー内の砕石のほぼ全部を)左右いずれ側へも散布可能としながらも、ホッパーの高さ寸法を低くできかつ低重心で、さらに、砕石をスムーズかつ容易に散布可能なホッパー車の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のホッパー車は、砕石を収容するホッパーと、該ホッパーの排出口から砕石を滑落させるための誘導勾配面と、該誘導勾配面と上記排出口の間を開状態と閉状態に切り換える扉部材と、を備えたホッパー車に於て、上記ホッパーを横断面V字型とし、上記扉部材の裏面側に設けられた被ガイドローラと、上記ホッパーの下方の固定部に形成され上記被ガイドローラが差し込まれる上方凸状円弧型のガイド雌部と、を有する上方凸状円弧軌跡案内機構を設けて、上記扉部材を円弧状に開閉揺動可能とし、人力開閉操作レバーによって回動する開閉動力伝達軸に取着される揺動アームを設け、かつ、該揺動アームのアーム揺動軸心を上記扉部材の円弧軌跡中心よりも上方位置に偏心して設け、上記扉部材と上記揺動アームを連動連結したものである。
また、上記開閉動力伝達軸を上記扉部材が開状態となる方向に常時弾発付勢する開操作用引張コイルバネを設けたものである。
また、上記誘導勾配面の下半部に対応する側外方砕石誘導板を上下揺動可能に設けると共に、上記側外方砕石誘導板の傾斜角度を切換自在な誘導傾斜角度切換手段を付設したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ホッパー内のほぼ全部の砕石を、左右いずれ側へも散布可能としながらも、ホッパー高さ寸法を低くできる。ホッパー高さ寸法が低く、ホッパー内での作業が容易になると共に、乗車部から作業者がホッパー内の砕石の残量を目視可能となる。ホッパー車全体の低重心化及び小型化を図りながらも、大量の砕石を、詰まりを発生させずに、確実かつスムーズに側外方へ散布できる。砕石散布作業を効率良く行うことができる。
また、開閉動力伝達軸を扉部材が開状態となる方向に常時弾発付勢する開操作用引張コイルバネを設けることで、扉部材の開操作が容易で(開閉レバーが軽く動いて)、作業者の疲労を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の一形態の側面図である。
図2】断面正面図である。
図3】要部平面図である。
図4】要部拡大断面正面図である。
図5】要部拡大断面平面図である。
図6】要部拡大断面正面図である。
図7】要部断面正面図である。
図8】傾斜規制手段の他の例を示す要部正面図である。
図9】従来例を示す断面正面図である。
図10】他の従来例を示す断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図示の実施形態に基づき本発明を詳説する。
本発明に係るホッパー車は、図1及び図2に示すように、左右一対のレール部材r,rで形成された軌道Rを走行可能な車体1に、道床用の砕石(バラスト)を収納可能なホッパー2を設けて砕石の運搬と散布を行うためのものであって、車体1の前後一端部に主乗車部18を設け、前後他端部に副乗車部19を設け、主乗車部18と副乗車部19の間に、走行方向Nに沿ったホッパー2を配設している。
【0010】
ホッパー2は、横断面V字型であって、底部近傍の左右の傾斜側壁部23,23を夫々貫通して開口方向が側外方下方となる排出口2a,2aを有している。
排出口2aを、走行方向Nに沿って複数(4つ)設けている。各排出口2aの下方位置に、排出口2aから砕石を滑落させるための側外方下傾状の誘導勾配面7と、誘導勾配面7と排出口2aの間を開状態(開放状態)と閉状態(塞止状態)に切り換える扉部材30と、を備えている。
【0011】
図4及び図5に示すように、扉部材30の裏面側(の扉前後面30d夫々)に複数(2つ)突設され前後水平状軸心廻りに回転自在な被ガイドローラ30aと、ホッパー2の下方の(ホッパー2の下方で扉部材30の扉前後面30d夫々に対面状に配設された)固定部10に形成され被ガイドローラ30aが差し込まれる上方凸状円弧型のガイド雌部(ガイド用細長窓部)31aと、を有する上方凸状円弧軌跡案内機構Zによって、扉部材30を上方凸型円弧状の軌跡をもって開閉揺動するように設けている。
【0012】
固定部10とは、図例に於ては、ホッパー2の下方に配設された固定部材11に、ボルトナット結合等の固着手段によって固着されると共に、上方凸状円弧型の長孔から成るガイド雌部31aが前後方向に貫設され扉前後面30d夫々と対面状に配設されるガイド板31である。なお、固定部材11とは、ホッパー2の下方に配設された壁状部材や補強部材等、車体1の基枠部材に固定されている部位等が相当する。
【0013】
ここで、図1図3に示すように、主乗車部(主操作席部)18に、扉部材30を開閉操作するための人力開閉操作レバー38を設けている。
人力開閉操作レバー38の基端部38aは、レバー操作力をホッパー2の下方へ伝達するための開閉動力伝達軸34に取着され、人力開閉操作レバー38の先端部を左右方向に揺動させることで開閉動力伝達軸34が軸心廻りに回動するように構成している。
【0014】
図3及び図4に示すように、ホッパー2の下方において開閉動力伝達軸34に基端部33aが取着される揺動アーム33を設け、開閉動力伝達軸34の回動によって、揺動アーム33の先端部33bが(開閉動力伝達軸34の軸心廻りに)揺動するように設けている。つまり、開閉動力伝達軸34の軸心を揺動アーム33のアーム揺動軸心Laとしている。
【0015】
さらに、揺動アーム33のアーム揺動軸心La(開閉動力伝達軸34の軸心)を、扉部材30の円弧軌跡中心Qよりも上方位置に偏心させて設け、かつ、揺動アーム33と扉部材30をリンク部材32によって連結して、揺動アーム33の作動に扉部材30を連動させて、開状態と閉状態に切り換わるように設けている。
言い換えると、揺動アーム33と扉部材30を連結すると共に、揺動アーム33の揺動軸心Laを扉部材30の円弧軌跡中心Qよりも上方位置に偏心させるためのリンク部材32を備えている。
【0016】
図5に示すように、揺動アーム33の先端部33bに、リンク部材32の一端部32aを枢着し、扉部材30の扉前後面30d近傍(寄り)に設けた前後取付片部30eに、リンク部材32の他端部32bを枢着して連結している。つまり、上方凸状円弧軌跡案内機構Z及び揺動アーム33は、1つの扉部材30に対して、前方側と後方向側夫々に設けている。
【0017】
そして、図4に実線で示すように、扉部材30は閉状態(塞止状態)で、扉部材30の円弧状の表て面(上面)30kが側内方(車体左右内方)へ下傾する傾斜状に配設され、扉部材30の側内方端部(車体1の左右方向中心線S寄りの端部)30jが誘導勾配面7の上部7aに当接(乃至砕石が通過不可能な間隙をもって接近)して、排出口2aからの砕石が誘導勾配面7を滑落するのを塞き止めている。
また、図4に二点鎖線で示す扉部材30の開状態(開放状態)は、側内方端部30jが誘導勾配面7の上部7aから所定の間隙寸法をもって離間し、側内方端部30jが排出口2aの上縁部20に接近して配設され、排出口2aからの砕石が誘導勾配面7を滑落可能となる。
【0018】
また、図6に示すように、開閉動力伝達軸34を扉部材30が開状態となる方向に常時弾発付勢する開操作用引張コイルバネ39を設けている。
開操作用引張コイルバネ39は、一端39aが人力開閉操作レバー38に取着され、他端39bが車体1の基枠部材や壁部材等の固定部に取着されている。
作業者の人力開操作を補助するためのバネを引張式とし、(扉部材30が閉状態である)閉位置の人力開閉操作レバー38に対して、強い引張力が作用するように設けると共に、そのバネ引張力のみでは人力開閉操作レバー38が作動しないように(扉部材30が開状態とならないように)設けている。
つまり、閉状態では、扉部材30は上方向へ大きく移動しつつ開く必要があり、扉部材30の自重が、扉部材30を開操作するための負荷となっているが、開状態に近づくにつれて、扉部材30が水平移動となり、自重が、負荷としてかからなくなる。そこで、開操作用引張コイルバネ39を、扉部材30を開く際に最も大きな引張力を発揮させると共に、扉部材30が開いてくると引張力も少なくなるようにして、開操作全体として(開操作の始めから終わりにわたって)、作業者が操作に必要な力(操作にかかる負荷)が、あまり変化しない(大きく、極端に変化しない)ように構成している。
また、人力開閉操作レバー38は、図1に示すように、副乗車部19にも設けている。つまり、開閉動力伝達軸34の両端部夫々に、人力開閉操作レバー38を取着している。
【0019】
次に、図7に示すように、誘導勾配面7の下半部に対応する側外方砕石誘導板(フラップ)79を、前後水平状軸心Ld廻りに揺動自在に枢設し、側外方砕石誘導板79の下端部(側外方端部)79aを上下揺動可能としている。つまり、レール部材rに、側外方砕石誘導板79の下端部79aを接近・離間可能に構成している。
【0020】
さらに、側外方砕石誘導板79の傾斜角度θ(側外方砕石誘導板79の表て面79kと道床側の水平状平面の間の角度)を切換自在な誘導傾斜角度切換手段5を付設している。
誘導傾斜角度切換手段5は、主乗車部18に設けた傾斜切換操作部50と、傾斜切換操作部50を操作することで発生する駆動力を軸心Le廻りに回動して主乗車部18側からホッパー2の側外方へ伝達する角度切換動力伝達軸54と、ホッパー2の下方で基端部53aが固着され角度切換動力伝達軸54の回動によって軸心Le廻りに揺動する揺動部材53(図3参照)と、揺動部材53の先端部53bに上端部59aが枢着されると共に下端部59bが側外方砕石誘導板79から上方に突設された連結片部78に枢着されるリンク部材59と、を備えている。
【0021】
傾斜切換操作部50は、人力(手回し)ウインチ装置51と、人力ウインチ装置51によって巻取り可能かつ送り出し可能に設けられ先端部52aが車体1の固定部に取着されたワイヤーロープ等の可撓線材52と、人力ウインチ装置51による可撓線材52の巻取り操作によって上昇するように、かつ、人力ウインチ装置51による可撓線材52の送り出し操作によって降下するように、可撓線材52に懸架された滑車部材57と、滑車部材57と連結され滑車部材57の昇降に伴って角度切換動力伝達軸54を回動させる連結部材55と、を備えている。
連結部材55は、正面視L字状に形成された板状部材から成り、一端部55aが滑車部材57に連結され折曲中間部55cが角度切換動力伝達軸54に固着されている。
【0022】
つまり、人力ウインチ装置51の手回しハンドル51aを操作して、滑車部材57を昇降させ、連結部材55の一端部55aを上下揺動させて角度切換動力伝達軸54を回動させ、その回動で、揺動部材53の先端部53bを上下揺動させて、側外方砕石誘導板79の下端部79aを上下揺動操作するように設けている。
【0023】
さらに、傾斜切換操作部50は、連結部材55の他端部55bに当接して、側外方砕石誘導板79が降下するような角度切換動力伝達軸54の回動を阻止する当りピン61を有すると共に、連結部材55の他端部55bの(揺動範囲)近傍に設けられ当りピン61が抜き差し可能な差込孔62を複数有している。
【0024】
差込孔62は、連結部材55を挟むように連結部材55の前後位置に配設された2枚の板状の操作部固定部材(プレート)58,58(図3参照)に貫設され、2枚の操作部固定部材58,58に橋架状に当りピン61を差し込むことで連結部材55の他端部55bの揺動を規制するように設けている。
複数のピン差込孔62から、1つのピン差込孔62を選択して当りピン61を差し込むことで、角度切換動力伝達軸54が所定の回動中心角度を越えて回動するのを規制し、側外方砕石誘導板79の傾斜角度θが、所定の角度となるようにしている。
【0025】
複数のピン差込孔62は、側外方砕石誘導板79の傾斜角度θが、第1傾斜角度θ1となる位置で連結部材55の他端部55bに当りピン61が当接するように配設された第1差込孔62Aと、第1傾斜角度θ1よりも大きい(急勾配となる)第2傾斜角度θ2となる位置で他端部55bに当りピン61が当接するように配設された第2差込孔62Bと、第2傾斜角度θ2よりも大きい第3傾斜角度θ3となる位置で他端部55bに当りピン61が当接するように配設された第3差込孔62Cと、第3傾斜角度θ3よりも大きい第4傾斜角度θ4となる位置で他端部55bに当りピン61が当接するように配設された第4差込孔62Dと、第4傾斜角度θ4よりも大きい第5傾斜角度θ5となる位置で他端部55bに当りピン61が当接するように配設された第5差込孔62Eと、である。
【0026】
つまり、側外方砕石誘導板79を、所定の傾斜角度範囲内で、傾斜角度θが異なる複数段階に切換(位置決め)可能としている。例えば、傾斜角度θが20〜75度の間で、複数段階に切換可能に構成するのが好ましい。より好ましくは、傾斜角度θが30〜65度の間で切換可能であって、第1傾斜角度θ1は30度、第2傾斜角度θ2は40度、第3傾斜角度θ3は50度、第4傾斜角度θ4は60度、第5傾斜角度θ5は65度に設定する。
【0027】
また、図示省略するが、連結部材55の揺動を規制するロックピンを設けると共に、ロックピンを抜き差し自在なロック用孔を設けている。ロック用孔は、操作部固定部材58と連結部材55を連通する貫孔、或いは、操作部固定部材58を貫通して橋架状に差し込まれたロックピンが連結部材55の揺動を規制するように当接するように設けても良い。又は、当りピン61をロックピンとし、所定の差込孔62(例えば、第3差込孔62C)をロック孔として併用するも良い。
そして、ロックピンに鍵機構を付設している。つまり、鍵を解除しないと、ロックピンをロック用孔から抜くことができず、所定の作業者の意図的な鍵の解除によってのみ側外方砕石誘導板79の揺動を可能としている。つまり、所定の作業者以外の人や、不用意な接触等によってロックピンが外れ、側外方砕石誘導板79が揺動可能状態となるのを防いでいる。
特に、走行中に、鉄道走行規則や工事規則等によって規制されている所定の車両下側限界位置を越えて、側外方砕石誘導板79の下端部79aが車体下方へ突出するようなことを(道床やレール部材rに接近するようなことを)防止し、規則に準拠した安全な走行と砕石散布作業を実現できる。
また、側外方砕石誘導板79の最大傾斜位置(第5傾斜角度θ5)で、側外方砕石誘導板79の裏面側に当接する当り部材16を設けている。
【0028】
つまり、図7に示すように、当りピン61を差込孔62に差し込むことで、側外方砕石誘導板79の下端部79aが所定の車両下側限界位置を越えて下がらないようにする傾斜規制手段を備えている。
この傾斜規制手段は、例えば、図8に示すように、操作者手前側となる操作部固定部材58(58A)に、蝶番部材70の一方片部(固定片部)70aを固着し、蝶番部材70の他方片部(自由片部)70bを、左右水平状軸心廻りに揺動自在とし、他方片部70bを連結部材55の他端部55bの揺動範囲内へ倒すことで、連結部材55の揺動を阻止し、蝶番部材70の他方片部70bを、連結部材55の他端部55bの揺動範囲外へ揺動させる(開く)ことで、連結部材55の揺動規制を解除して(揺動自由状態として)、側外方砕石誘導板79の揺動を規制及び解除するように構成しても良い。
また、傾斜規制手段は、図7及び図8に例示した構成に限らず、操作部固定部材58に着脱自在、あるいは、操作部固定部材58に対して揺動自在に設けた規制部材(例えば、図7では当りピン61であり、図8では蝶番部材70の自由片部70b)を備え、規制部材を、連結部材55の揺動範囲内に配設することで、側外方砕石誘導板79の降下(連結部材55の揺動)を阻止し、連結部材55の揺動範囲外に配設することで、側外方砕石誘導板79の昇降(連結部材55の揺動)が自由になるように構成したものであれば良い。
【0029】
また、図4に示すように、砕石の散布を、軌道Rの側外方(左右外方)と、軌道Rの側内方(レール部材rとレール部材rの間)と、に切り換えるためのシュート切換機構8を備えている。
シュート切換機構8は、誘導勾配面7において上半部側かつ閉状態の扉部材30よりも砕石滑落方向下流側に設けている。
【0030】
シュート切換機構8は、誘導勾配面7を貫通するシュート用の窓部81と、窓部81を開状態と閉状態に切り換える切換板82と、切換板82の基端部82aが固着され切換板82を開状態と閉状態に切換揺動するための動力を伝達するシュート切換動力伝達軸84と、を備えている。
切換板82は、閉状態で、窓部81を塞いで誘導勾配面7の上半部の一部を形成し、排出口2aからの砕石を側外方砕石誘導板79に誘導し、開状態で、排出口2aからの砕石が側外方砕石誘導板79へ滑落するのを阻止するように二点鎖線で示すように起立状となり、窓部81を介して、砕石をレール部材rとレール部材rの間に散布するように設けている。
【0031】
また、図1及び図3に示すように、主乗車部18に人力シュート切換レバー88を設けている。また、人力シュート切換レバー88の基端部が固着されそのレバー88の操作によって回動する操作力伝達軸87と、操作力伝達軸87とシュート切換動力伝達軸84を連動連結させるシュート用動力リンク機構86と、を備えている。
人力シュート切換レバー88の操作力を受けて操作力伝達軸87が前後水平状軸心回りに回動し、その回動をシュート用動力リンク機構86によって、シュート切換動力伝達軸84に伝達して、切換板82が前後水平状軸心Lb(シュート切換動力伝達軸84の軸心)廻りに揺動して窓部81を開状態と閉状態に切り換えるように構成している。
【0032】
次に、本発明に係るホッパー車の使用方法(作用)について説明する。
閉状態の扉部材30は、砕石の重量を傾斜状姿勢で受けるため、大きな砕石荷重の一部を水平方向に逃がすことができ、扉部材30を(図9の従来技術のような水平状姿勢で受ける扉部材93よりも)大型や高強度にする必要がないため、扉部材30の軽量化に貢献すると共に製造が容易となる。
【0033】
また、扉部材30の閉状態では、人力開閉操作レバー38に、砕石の重量及び扉部材30の重量により、開操作開始時にその荷重に抗する(扉部材30を上方向へ持ち上げる)大きな操作力が必要となるが(操作者への負担が最も大きいが)、開操作用引張コイルバネ39によって、閉状態(閉位置)での人力開閉操作レバー38に、開操作方向への引張力が常時作用して補助するため、操作者への負担を軽減し、容易に開操作できる。
【0034】
また、被ガイドローラ30aが、ガイド雌部31aに差し込まれてガイドされることで、確実かつスムーズに扉部材30の開閉揺動が可能になると共に、砕石の重量を受けることで発生する扉部材30の浮き上がりや拗れも防止する。
【0035】
そして、扉部材30が開状態となって、砕石が誘導勾配面7を滑落する際に、扉部材30の円弧軌跡中心Qよりも上方位置にアーム揺動軸心Laがあるため(開閉動力伝達軸34が排出口2aの延長線上にないため)、走行方向Nに沿った長い開閉動力伝達軸34が砕石の滑落を妨害することがなく、スムーズかつ確実な滑落を実現可能としている。さらに、シュート切換用の切換板82(前後水平状軸心Lb)を、排出口2aに接近させて(アーム揺動軸心Laよりも側内方へ)設けることができ、低重心化(レール上面からホッパー2の上端縁25までのホッパー高さ寸法Hを2m以下に低く)できると共に小型化に貢献する。
【0036】
そして、砕石を軌道Rの側外方かつレール部材rの近傍に滑落させたい場合は、人力ウインチ装置51を送り出し操作して、側外方砕石誘導板79の下端部79aを降下させ、傾斜角度θを90度寄りにする(レール部材rに接近させる)。
砕石を軌道Rの側外方かつレール部材rから離れた位置(遠く)に滑落させたい場合は、人力ウインチ装置51を巻き上げ操作して、側外方砕石誘導板79の下端部79aを上昇揺動させ、傾斜角度θを0度寄りにする(レール部材rから離間させる)。
砕石をレール部材rとレール部材rの間に滑落させたい場合は、人力シュート切換レバー88を操作して切換板82を開状態(窓部81を開口状態)とする。
このように様々な現場の要求に迅速かつ容易に対応できる。
また、上述の構成は、車両左右方向中心線Sに関して左右対称(線対称)に設けているため、軌道Rの左右一方側の砕石散布作業と、左右他方の砕石散布作業を、個別に行うことが可能である。
【0037】
また、横断面形状をV字型としたことで、砕石散布作業に十分な収納量(積載量)を得ながらも、ホッパー2の下方の空間が広く得られ、開閉動力伝達軸34や揺動アーム33等の扉開閉機構を配設して有効利用でき、車両全体の低重化及び小型化を実現している。また、ホッパー2に収容した砕石のほとんどを、軌道Rの左右一方側のみ或いは他方側へのみ散布でき様々な散布作業を実現している。
なお、本発明において、ホッパー2の「横断面V字型」とは、図4に示すように、底部が、砕石の残留を防止するように凸状(山型)に形成され、その頂部21が、排出口2aの上縁部20よりも低位置にある横断面形状と、底部が谷状に形成された(凸状に形成されていない)横断面形状と、を包括するV字形状である。言い換えると、頂部21が、排出口2aの上縁部20の高さ以上に突出している横断面形状はW型と言える。
【0038】
なお、本発明は、設計変更可能であって、車体1にホッパー2を複数設けても良い。ホッパー2の左右の傾斜側壁部23、23夫々に排出口2aを1つとするも良い。副乗車部19に、傾斜切換操作部50や、人力シュート切換レバー88を設けても良い。
【0039】
以上のように、本発明のホッパー車は、砕石を収容するホッパー2と、ホッパー2の排出口2aから砕石を滑落させるための誘導勾配面7と、誘導勾配面7と排出口2aの間を開状態と閉状態に切り換える扉部材30と、を備えたホッパー車に於て、ホッパー2を横断面V字型とし、扉部材30の裏面側に設けられた被ガイドローラ30aと、ホッパー2の下方の固定部10に形成され被ガイドローラ30aが差し込まれる上方凸状円弧型のガイド雌部31aと、を有する上方凸状円弧軌跡案内機構Zを設けて、扉部材30を円弧状に開閉揺動可能にし、人力開閉操作レバー38によって回動する開閉動力伝達軸34に取着される揺動アーム33を設け、かつ、揺動アーム33のアーム揺動軸心Laを扉部材30の円弧軌跡中心Qよりも上方位置に偏心して設け、扉部材30と揺動アーム33を連動連結したので、ホッパー車全体の低重心化及び小型化(ホッパー高さ寸法Hを低くできる。)大量の砕石を(ホッパー内の砕石のほぼ全部を)左右いずれ側へも確実かつ容易に左右側外方へ散布できる。扉部材30を容易かつスムーズに開閉でき、砕石散布作業を効率良く行うことができる。開閉動力伝達軸34や揺動アーム33が砕石の滑落を妨害することがなく、スムーズかつ確実な滑落を実現可能とし、さらに、シュート切換用の切換板82を、(開閉動力伝達軸34や揺動アーム33と干渉しないため)排出口2a(扉部材30)に接近させて設けることができ、小型化及び低重化できる。
【0040】
また、開閉動力伝達軸34を扉部材30が開状態となる方向に常時弾発付勢する開操作用引張コイルバネ39を設けたので、扉部材30を上方凸状円弧型の揺動としながらも、手動にて容易かつスムーズに開操作でき、作業性を向上できると共に全体の機構を簡素化できる。
【0041】
また、上記誘導勾配面7の下半部に対応する側外方砕石誘導板79を上下揺動可能に設けると共に、側外方砕石誘導板79の傾斜角度θを切換自在な誘導傾斜角度切換手段5を付設したので、軌道Rの側外方において、レール部材rの近傍(車体1の足下)と、レール部材rから離れた位置(車体1から遠くへ)容易かつ確実に滑落させることができ、砕石散布作業を効率良く行うことができる。
【符号の説明】
【0042】
2 ホッパー
2a 排出口
5 誘導傾斜角度切換手段
7 誘導勾配面
10 固定部
30 扉部材
30a 被ガイドローラ
31a ガイド雌部
33 揺動アーム
34 開閉動力伝達軸
38 人力開閉操作レバー
39 開操作用引張コイルバネ
79 側外方砕石誘導板
La アーム揺動軸心
Q 円弧軌跡中心
Z 上方凸状円弧軌跡案内機構
θ 傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10