【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、性能における上記の劣化が、少なくとも一部は、積層接着剤の体積抵抗率の変化によって引き起こされること、そしてその抵抗率が時間と共に大きく変化しない接着剤を使用することによって、電気泳動ディスプレイのこの性能の劣化が低減もしくは排除され、そしてこのようなディスプレイの耐用年数が増加することを発見した;類似の効果が、他の型の電気光学ディスプレイにおいて生じるようである。このような接着剤の使用はまた、ディスプレイの光状態における改善された反射率によって明示されるように、低温でのディスプレイの性能を改善することを見出している。したがって、本発明は、以下を提供する。
(1)
電気光学ディスプレイであって、該電気光学ディスプレイは、第1の基板および第2の基板、ならびに該第1の基板と第2の基板との間に配置された、積層接着剤層および固体電気光学材料の層を備え、該ディスプレイは、該積層接着剤層が、25℃および45%の相対湿度で1000時間保持された後に、増減の規模が3倍より大きく変化しない、10℃で測定される体積抵抗率を有することを特徴とする、電気光学ディスプレイ。
(2)
10℃で測定される、前記積層接着剤の体積抵抗率が、25℃および45%の相対湿度で1000時間保持された後に、増減の規模が2倍より大きく変化しないことを特徴とする、項目1に記載の電気光学ディスプレイ。
(3)
10℃で測定される、前記積層接着剤の体積抵抗率が、25℃および45%の相対湿度で1000時間保持された後に、増減の規模が1.5倍より大きく変化しないことを特徴とする、項目2に記載の電気光学ディスプレイ。
(4)
前記積層接着剤層が、本質的に可塑剤を含まないことを特徴とする、項目1〜3のいずれか1項に記載の電気光学ディスプレイ。
(5)
前記積層接着剤層が、示差走査熱量測定によって測定される場合、25℃および45%の相対湿度で1000時間保持された後に、2ジュール/グラム以下の、前記材料の任意の相転移に関連するエンタルピー変化を示すことを特徴とする、項目1〜4のいずれか1項に記載の電気光学ディスプレイ。
(6)
前記積層接着剤層が、25℃および45%の相対湿度で1000時間保持された後に、2未満の誘電率変化を示すことを特徴とする、項目1〜5のいずれか1項に記載の電気光学ディスプレイ。
(7)
前記積層接着剤が、少なくとも2種の材料のブレンドを含有することを特徴とする、項目1〜6のいずれか1項に記載の電気光学ディスプレイ。
(8)
前記積層接着剤が、少なくとも2種の積層接着剤のブレンドを含有し、該少なくとも2種の積層接着剤の少なくとも1つは、25℃および45%の相対湿度で1000時間保持された後に、増減の規模が3倍より大きく変化する、10℃で測定される体積抵抗率を有することを特徴とする、項目1〜7のいずれか1項に記載の電気光学ディスプレイ。
(9)
前記積層接着剤が、少なくとも1種のポリウレタンを含有することを特徴とする、項目1〜8のいずれか1項に記載の電気光学ディスプレイ。
(10)
前記積層接着剤が、少なくとも2種のポリウレタンのブレンドを含有することを特徴とする、項目9に記載の電気光学ディスプレイ。
(11)
前記積層接着剤が、非イオン的に安定化されたポリエステルベースのポリウレタンと、アニオン的に安定化されたポリエステルベースのポリウレタンとのブレンドを含有することを特徴とする、項目10に記載の電気光学ディスプレイ。
(12)
前記積層接着剤が、10℃で測定される場合、3×10
10Ωcm以下の体積抵抗率を有することを特徴とする、項目1〜11のいずれか1項に記載の電気光学ディスプレイ。
(13)
電気光学媒体が、回転二色性部材、エレクトロクロミック、カプセル化された液晶、またはミクロセル電気泳動媒体を含むことを特徴とする、項目1〜12のいずれか1項に記載の電気光学ディスプレイ。
(14)
電気泳動媒体が、複数のカプセルを含む電気泳動媒体を含むことを特徴とし、各カプセルが、カプセル壁および該カプセル壁内にカプセル化された内部相を備え、該内部相が、懸濁流体中に懸濁した荷電粒子を含み、該粒子は、該電気泳動材料への電場の印加の際に、該流体を通って移動し得る、項目1〜12のいずれか1項に記載の電気光学ディスプレイ。
(15)
前記電気光学媒体と、前記基板のうちの1つとの間に配置された、少なくとも1つの電極によって特徴付けられ、該電極が、該電気光学媒体に電場を印加するよう配置されている、項目14に記載の電気光学ディスプレイ。
(16)
前記電気光学媒体の反対側であって、該電気光学媒体と前記2つの基板との間に配置された、2つの電極によって特徴付けられ、該電極の少なくとも1つおよび隣接する基板は、光透過性であり、その結果、該電気光学媒体が、該光透過性の基板および電極を通して観察され得る、項目15に記載の電気光学ディスプレイ。
(17)
電気光学ディスプレイを調製するためのプロセスであって、該プロセスは、電気光学層および第1の基板を備える第1のサブアセンブリを提供する工程、第2の基板を備える第2のサブアセンブリを提供する工程であって、該サブアセンブリの少なくとも1つが電極を備える、工程、ならびに該電気光学層が該第1の基板と第2の基板との間に配置されるように、該2つのサブアセンブリを、積層接着剤を使用して互いに積層させる工程によるプロセスであり、該プロセスは、該積層接着剤が、25℃および45%の相対湿度で1000時間保持された後に、増減の規模が3倍より大きく変化しない、10℃で測定される体積抵抗率を有することを特徴とする、プロセス。
(18)
電気光学ディスプレイであって、該電気光学ディスプレイは、第1の基板および第2の基板、ならびに該第1の基板と第2の基板との間に配置された、積層接着剤層および固体電気光学材料の層を備え、積層接着剤が、以下:
(a)25℃および45%の相対湿度で1000時間保持された後に、増減の規模が3倍より大きく変化しない、10℃で測定される体積抵抗率を有すること;
(b)該積層接着剤と接触している電極材料からの、少なくとも2lb/インチの剥離強度を有すること;
(c)該積層接着剤の体積抵抗率が、10〜90%の相対湿度の範囲内で、10〜50℃の温度範囲にわたって、増減の規模が10倍未満で変化すること;
(d)該積層接着剤が、10〜20μmの範囲の厚さを有すること;
(e)該積層接着剤が、120℃において、1メガパスカル以下のせん断弾性係数を有すること;
(f)該積層接着剤の誘電率と体積抵抗率との積が、10〜90%の相対湿度の範囲内で、10〜50℃の温度範囲にわたって、電気光学媒体の誘電率と体積抵抗率との積以下であること;
(g)紫外線安定剤を含有すること;
(h)光吸収材料を含有すること、
のいずれか1つ以上によって特徴付けられる、電気光学ディスプレイ。
(19)
前記積層接着剤が、該積層接着剤と接触している電極材料からの、少なくとも4lb/インチの剥離強度を有することを特徴とする、項目32に記載の電気光学ディスプレイ。
(20)
前記積層接着剤の体積抵抗率が、10〜90%の相対湿度の範囲内で、10〜50℃の温度範囲にわたって、増減の規模が2倍未満で変化することを特徴とする、項目18または19に記載の電気光学ディスプレイ。
(21)
前記積層接着剤が、12〜約18μmの範囲の厚さを有することを特徴とする、項目18〜20のいずれか1項に記載の電気光学ディスプレイ。
(22)
前記積層接着剤が、13〜17μmの範囲の厚さを有することを特徴とする、項目21に記載の電気光学ディスプレイ。
(23)
前記積層接着剤が、120℃において、0.2メガパスカル以下のせん断弾性係数を有することを特徴とする、項目18〜22のいずれか1項に記載の電気光学ディスプレイ。
(24)
前記紫外線安定剤が、ヒンダードアミン光安定剤であることを特徴とする、項目18〜23のいずれか1項に記載の電気光学ディスプレイ。
(25)
前記光吸収材料が、色素を含有することを特徴とする、項目18〜24のいずれか1項に記載の電気光学ディスプレイ。
(26)
前記積層接着剤が、芳香族有機物質を本質的に含まないことを特徴とする、項目18〜25のいずれか1項に記載の電気光学ディスプレイ。
(27)
電気光学ディスプレイを調製するためのプロセスであって、該プロセスは、固体電気光学層および第1の基板を備える第1のサブアセンブリを提供する工程、第2の基板を備える第2のサブアセンブリを提供する工程であって、該サブアセンブリの少なくとも1つが電極を備える、工程、ならびに該電気光学層が該第1の基板と第2の基板との間に配置されるように、該2つのサブアセンブリを、積層接着剤を用いて互いに積層させる工程によるプロセスであり、該積層接着剤が、以下:
(a)25℃および45%の相対湿度で1000時間保持された後に、増減の規模が3倍より大きく変化しない、10℃で測定される体積抵抗率を有すること;
(b)該積層接着剤と接触している電極材料からの、少なくとも2lb/インチの剥離強度を有すること;
(c)該積層接着剤の体積抵抗率が、10〜90%の相対湿度の範囲内で、10〜50℃の温度範囲にわたって、増減の規模が10倍未満で変化すること;
(d)該積層接着剤が、10〜20μmの範囲の厚さを有すること;
(e)該積層接着剤が、120℃において、1メガパスカル以下のせん断弾性係数を有すること;
(f)該積層接着剤の誘電率と体積抵抗率との積が、10〜90%の相対湿度の範囲内で、10〜50℃の温度範囲にわたって、電気光学媒体の誘電率と体積抵抗率との積以下であること;
(g)紫外線安定剤を含有すること;
(h)光吸収材料を含有すること、
のいずれか1つ以上によって特徴付けられる、プロセス。
(28)
前記2つのサブアセンブリが一緒に積層される前に、前記積層接着剤が、液体または半固体の形態で、剥離シート上にコーティングされ、該剥離シート上で固体層に転換され、該剥離シートと積層接着剤との組み合わせが、電気光学層に積層され、その後、該剥離シートが該積層接着剤から除去されることを特徴とする、項目27に記載のプロセス。
(29)
電気泳動ディスプレイであって、該電気泳動ディスプレイは、第1の基板および第2の基板、ならびに該第1の基板と第2の基板との間に配置された、積層接着剤層および電気泳動材料の層を備え、該電気泳動材料が、複数のカプセルを含み、各カプセルが、カプセル壁および該カプセル壁内にカプセル化された内部相を備え、該内部相が、懸濁流体中に懸濁した荷電粒子を含み、該粒子は、該電気泳動材料への電場の印加の際に、該流体を通って移動し得、該積層接着剤が、以下:
(a)該積層接着剤の誘電率と体積抵抗率との積が、該懸濁流体の誘電率と体積抵抗率との積の0.01〜100倍であること;
(b)10〜50℃の温度範囲内で、該懸濁流体の誘電率に対する該積層接着剤の誘電率の比が、25℃における該比から2%より大きくは変化しないこと;
(c)10〜50℃の温度範囲内で、該懸濁流体の体積抵抗率に対する該積層接着剤の体積抵抗率の比が、25℃における該比から増減の規模が100倍より大きく変化しないこと;
(d)10〜50℃の範囲にわたって、該積層接着剤中への該懸濁流体の溶解度が、1%(重量/重量)を超えないこと;
(e)可動種を実質的に含まないこと;
のいずれか1つ以上によって特徴付けられる、電気泳動ディスプレイ。
(30)
前記積層接着剤の誘電率と体積抵抗率との積が、前記懸濁流体の誘電率と体積抵抗率との積の0.1〜10倍であることを特徴とする、項目29に記載の電気泳動ディスプレイ。
(31)
前記積層接着剤の誘電率と体積抵抗率との積が、前記懸濁流体の誘電率と体積抵抗率との積の0.5〜2倍であることを特徴とする、項目30に記載の電気泳動ディスプレイ。
(32)
10〜50℃の温度範囲内で、前記懸濁流体の誘電率に対する前記積層接着剤の誘電率の比が、25℃における該比から1%より大きくは変化しないことを特徴とする、項目29〜31のいずれか1項に記載の電気泳動ディスプレイ。
(33)
10〜50℃の温度範囲内で、前記懸濁流体の体積抵抗率に対する前記積層接着剤の体積抵抗率の比が、25℃における該比から増減の規模が10倍より大きく変化しないことを特徴とする、項目29〜32のいずれか1項に記載の電気泳動ディスプレイ。
(34)
10〜50℃の範囲にわたって、該積層接着剤中への該懸濁流体の溶解度が、0.1%(重量/重量)を超えないことを特徴とする、項目29〜33のいずれか1項に記載の電気泳動ディスプレイ。
(35)
前記積層接着剤が、可動のイオン性種、界面活性剤、有機溶媒、殺生物剤、および遊離モノマーのいずれの1つ以上も実質的に含まないことを特徴とする、項目29〜34のいずれか1項に記載の電気泳動ディスプレイ。
(36)
前記積層接着剤が、少なくとも1種のポリウレタンを含有することを特徴とする、項目29〜35のいずれか1項に記載の電気泳動ディスプレイ。
(37)
電気泳動ディスプレイを調製するためのプロセスであって、該プロセスは、第1の基板および電気泳動媒体の層を備える第1のサブアセンブリを提供する工程であって、該電気泳動媒体が、複数のカプセルを含み、各カプセルが、カプセル壁および該カプセル壁内にカプセル化された内部相を備え、該内部相が、懸濁流体中に懸濁した荷電粒子を含み、該粒子は、該電気泳動媒体への電場の印加の際に、該流体を通って移動し得る、工程、第2の基板を備える第2のサブアセンブリを提供する工程であって、該サブアセンブリの少なくとも1つが電極を備える、工程、ならびに電気光学層が該第1の基板と第2の基板との間に配置されるように、該2つのサブアセンブリを、積層接着剤を用いて互いに積層させる工程によるプロセスであり、該積層接着剤が、以下:
(a)該積層接着剤の誘電率と体積抵抗率との積が、該懸濁流体の誘電率と体積抵抗率との積の0.01〜100倍であること;
(b)10〜50℃の範囲にわたる温度内で、該懸濁流体の誘電率に対する該積層接着剤の誘電率の比が、25℃における該比から2%より大きくは変化しないこと;
(c)10〜50℃の範囲にわたる温度内で、該懸濁流体の体積抵抗率に対する該積層接着剤の体積抵抗率の比が、25℃における該比から増減の規模が100倍より大きく変化しないこと;
(d)10〜50℃の範囲にわたって、該積層接着剤中への該懸濁流体の溶解度が、1%(重量/重量)を超えないこと;
(e)可動種を実質的に含まないこと;
のいずれか1つ以上によって特徴付けられる、プロセス
ミクロセル電気泳動ディスプレイであって、複数の閉じた空洞が内部に形成された基板を備え、該空洞は、少なくとも部分的に、電気泳動媒体を充填されており、該電気泳動媒体は、懸濁流体中に懸濁された複数の荷電粒子を含み、該粒子は、該電気泳動媒体への電場の印加の際に、該懸濁流体を通って移動し得、該ミクロセル電気泳動ディスプレイは、少なくとも1つの電極、および該空洞と該電極との間に配置された積層接着剤の層をさらに備え、該積層接着剤は、以下:
(a)25℃および45%の相対湿度で1000時間保持された後に、増減の規模が3倍より大きく変化しない、10℃で測定される体積抵抗率を有すること;
(b)該積層接着剤と接触している電極材料からの、少なくとも2lb/インチの剥離強度を有すること;
(c)該積層接着剤の体積抵抗率が、10〜90%の相対湿度の範囲内で、10〜50℃の温度範囲にわたって、増減の規模が10倍未満で変化すること;
(d)該積層接着剤が、10〜20μmの範囲の厚さを有すること;
(e)該積層接着剤が、120℃において、1メガパスカル以下のせん断弾性係数を有すること;
(f)該積層接着剤の誘電率と体積抵抗率との積が、10〜90%の相対湿度の範囲内で、10〜50℃の温度範囲にわたって、電気光学媒体の誘電率と体積抵抗率との積以下であること;
(g)紫外線安定剤を含有すること;
(h)光吸収材料を含有すること、
(i)該積層接着剤の誘電率と体積抵抗率との積が、該懸濁流体の誘電率と体積抵抗率との積の0.01〜100倍であること;
(j)10〜50℃の範囲にわたる温度内で、該懸濁流体の誘電率に対する該積層接着剤の誘電率の比が、25℃における該比から2%より大きくは変化しないこと;
(k)10〜50℃の範囲にわたる温度内で、該懸濁流体の体積抵抗率に対する該積層接着剤の体積抵抗率の比が、25℃における該比から増減の規模が100倍より大きく変化しないこと;
(l)10〜50℃の範囲にわたって、該積層接着剤中への該懸濁流体の溶解度が、1%(重量/重量)を超えないこと;
(m)可動種を実質的に含まないこと;
のいずれか1つ以上によって特徴付けられる、ミクロセル電気泳動ディスプレイ。
【0019】
従って、1つの局面において、本発明は、時間と共に迅速に変化しない光学特徴を有する電気光学ディスプレイを提供することを試みており、その結果、このディスプレイは、改善された作動寿命を有する。
【0020】
電気光学ディスプレイにおいて発生することが知られているが、以前に説明されていない他の問題としては、以下が挙げられる:明示されるように、ディスプレイが、とりわけディスプレイのコントラスト比(ディスプレイの2つの極端な光学状態の相対的な反射率または光の透過)における温度上昇に伴う低減によって最初に生成される場合でさえの、温度上昇に伴うディスプレイの性能の劣化、湿度上昇に伴うディスプレイの性能の類似の劣化、および「自己消却(self−erasing)」として公知の現象。例えば、Ota,I.ら、「Developments in Electrophoretic Displays」、Proceedings of the SID、18、243(1977)(ここで、自己消却が、カプセル化されていない電気泳動ディスプレイにおいて報告された)を参照のこと。特定の電気泳動ディスプレイを横切って印加される電圧が切られる場合、この電気泳動媒体は、その光学状態を逆転し得、そしていくつかの場合には、作動電圧よりも大きくあり得る逆転電位は、電極を横切って生じることが観察され得る。(本発明は、この考えによって決して限定されないが)自己消却現象は、ディスプレイの種々の構成要素間の電気的特性における不一致に起因するようである。明らかに、自己消却は、自己消却が、ディスプレイの所望の光学状態を逆転する(またはさもなければ、グレースケールディスプレイの場合には、歪める)点で、非常に所望されない。これらの問題の全てが、種々の環境条件での積層接着剤の電気的特性における変化に、少なくとも一部は寄与し得ること、そしてその全てが、使用される積層接着剤の特性の注意深い選択によって低減または排除され得ることが見出されている。
【0021】
従って、本発明はまた、電気光学媒体に悪影響を及ぼさない比較的低温での電気光学ディスプレイの積層において使用され得る積層接着剤を提供することを試みる。
【0022】
本発明はまた、最適な機械的特性を有する積層接着剤を用いて電気光学ディスプレイを提供することを試みる。
【0023】
本発明はまた、最適な電気的特性を有する積層接着剤を用いて電気光学ディスプレイを提供することを試みる。
【0024】
まとめると、本発明は、電気光学ディスプレイにおける使用に最も適切な製造特性、機械的特性、電気的特性、環境特性、化学的特性および一時的安定特性の組み合わせを有する積層接着剤を提供することを試みる。
【0025】
本発明はまた、この積層接着剤を、電気光学ディスプレイ中の積層接着剤としての使用に非常に適切にする特性を有する、新規のポリウレタン組成物を提供することを試みる。
【0026】
従って、1つの局面において、本発明は、第1の基板および第2の基板、ならびに第1の基板と第2の基板との間に配置された積層接着剤層および固体電気光学材料の層を備える電気光学ディスプレイを提供する。この積層接着剤層は、25℃および45%の相対湿度にて1000時間維持された後に、増減の規模が3倍より大きく変化しない、10℃で測定される体積抵抗率を有する。本発明のこの形態は、簡便さのために、本明細書中以降で、「抵抗安定性」発明といわれ得る。
【0027】
本発明はまた、電気光学ディスプレイを調製するためのプロセスを提供する。このプロセスにおいて、電気光学層および第1基板を備える第1サブアセンブリ、ならびに第2基板を備える第2サブアセンブリが提供され、少なくとも1つのサブアセンブリは、電極を備える。この2つのサブアセンブリは、積層接着剤を使用して互いに積層され、その結果、この電気光学層は、第1基板と第2基板との間に配置され、この積層接着剤は、10℃にて測定されるある体積抵抗率を有し、この体積抵抗率は、25℃および45%の相対的湿度にて1000時間維持された後に、増減の規模が3倍より大きくは変化しない。
【0028】
本発明はまた、第1および第2の基板、ならびに第1基板と第2基板との間に配置された積層接着剤層および固体電気光学材料層を備える、電気光学ディスプレイを提供する。この積層接着剤は、以下の特定のうち任意の1以上を有する:
(a)10℃にて測定されるある体積抵抗率を有し、この体積抵抗率は、25℃および45%の相対的湿度にて1000時間維持された後に、増減の規模が3倍より大きく変化しない;
(b)少なくとも2lb/インチの積層接着剤と接触した電極材料からの、ある剥離強度を有する;
(c)積層接着剤の体積抵抗率は、10〜90%の相対湿度範囲内かつ10〜50℃の温度範囲にわたって、増減の規模が10倍未満で変化する;
(d)積層接着剤は、10〜20μmの範囲の厚さを有する;
(e)積層接着剤は、120℃にて、1メガパスカル以下の剪断弾性係数を有する;
(f)積層接着剤の誘電率と体積抵抗率との積が、10〜90%の相対湿度範囲内かつ10〜50℃の温度範囲にわたる、電気光学媒体の誘電率と体積抵抗率との積以下である;
(g)紫外線安定剤を含む;
(h)光吸収材料を含む。
【0029】
本発明はまた、電気光学ディスプレイを調製するためのプロセスを提供する。このプロセスにおいて、電気光学層および第1基板を備える第1サブアセンブリ、ならびに第2基板を備える第2サブアセンブリが提供され、少なくとも1つのサブアセンブリは、電極を備える。この2つのサブアセンブリは、積層接着剤を使用して互いに積層され、その結果、この電気光学層は、第1基板と第2基板との間に配置され、この積層接着剤は、上記の段落(a)〜(h)において列挙された特性のうち、任意の1以上を有する。
【0030】
本発明はまた、第1および第2の基板、ならびに第1基板と第2基板との間に配置された積層接着剤層および固体電気光学材料層を備える、電気泳動ディスプレイを提供する。この電気泳動材料は、複数のカプセルを含み、各々のカプセルは、カプセル壁およびカプセル壁内にカプセル化された内部相を備え、この内部相は、懸濁流体中に懸濁され、そして電気泳動材料への電場の印加の際にこの流体を介して移動し得る、荷電した粒子を含む。この積層接着剤は、以下の特定のうち任意の1以上を有する:
(i)積層接着剤の誘電率と体積抵抗率との積が、この懸濁流体の誘電率と体積抵抗率との積の増減の規模が0.01〜100倍である;
(j)10〜50℃の温度範囲内の懸濁流体の誘電率に対する積層接着剤の誘電率の比が、25℃にて、この比から2%以上変化しない;
(k)10〜50℃の温度範囲内の懸濁流体の誘電率に対する積層接着剤の誘電率の比が、25℃にて、この比から増減の規模が100倍以上で変化しない;
(l)積層接着剤中の懸濁流体の溶解度が、10〜50℃の温度範囲にわたって、1重量%を越えない;
(m)可動の種を実質的に含まない。
【0031】
本発明はまた、電気泳動ディスプレイを調製するためのプロセスを提供する。このプロセスにおいて、第1基板を備える第1サブアセンブリおよび複数のカプセルを含む電気泳動媒体が提供され、各々のカプセルは、カプセル壁およびカプセル壁内にカプセル化された内部相を備え、この内部相は、懸濁流体中に懸濁され、そして電気泳動材料への電場の印加の際にこの流体を介して移動し得る、荷電した粒子を含む。第2基板を備える第2サブアセンブリもまた提供され;これらのサブアセンブリの少なくとも1つは電極を備える。この2つのサブアセンブリは、積層接着剤を使用して互いに積層され、その結果、この電気光学層は、第1基板と第2基板との間に配置され、この積層接着剤は、上記の段落(i)〜(m)において列挙された特性のうち、任意の1以上を有する。
【0032】
最後に、本発明は、ミクロセル電気泳動ディスプレイを提供し、このディスプレイは、形成された複数の閉空洞を有する基板を備え、この空洞は、懸濁流体中に懸濁され、そして電気泳動材料への電場の印加の際にこの流体を介して移動し得る、複数の荷電した粒子を含む電気泳動媒体によって少なくとも部分的に満たされ、このミクロセル電気泳動ディスプレイは、さらに、少なくとも1つの電極、およびこの空洞と電極との間に配置された積層接着剤の層をさらに備える。この積層接着剤は、上記の段落(a)〜(m)において列挙された特性のうち、任意の1以上を有する。
【0033】
本発明の種々の局面を詳細に記載する前に、積層接着剤が電気光学ディスプレイの製造において使用されるプロセスをより詳細に説明することが所望されるとみなされる。すでに説明したように、代表的なプロセスにおいて、2つのサブアセンブリが最初に製造され、1つのサブアセンブリは、電気光学層および第1基板を備え、そして第2のサブアセンブリは、第2基板を備え;これらのサブアセンブリの少なくとも1つ、そして代表的にはこれら両方が、電極を備える。また、すでに示されているように、アクティブマトリックスディスプレイを製造するために使用される、このようなプロセスの1つの一般的形態において、1つのサブアセンブリは、基板、単一の連続(「共通」)電極(この電極は、複数のピクセルそして代表的にはディスプレイの全体にわたって広がる)および電気光学層を備えるが、第2のアセンブリ(通常、「バックプレーン(backplane)」といわれる)は、基板、ピクセル電極のマトリックス(これは、ディスプレイの個々のピクセルを規定する)ならびにディスプレイを駆動する(すなわち、ディスプレイ上に所望の画像を提供するために必要な光学状態へと、種々のピクセルを切り替える)ために必要とされる電位をピクセル電極上に発生させるために使用される、非線形デバイス(代表的には、薄いフィルムトランジスタ)および他の回路を備える。積層接着剤は、第1サブアセンブリと第2サブアセンブリとの間に提供され、そしてこれらのサブアセンブリを一緒に接着して、最終的なディスプレイを形成する。
【0034】
理論的には、必要な物理的特性および機械的特性を有する積層接着剤を見出せれば、例えば、別個のロールから3つの構成要素を供給し、そしてロールからロールへの基礎原料(roll to roll basis)で積層を実施することによって、2つのアセンブリおよび積層接着剤を一緒にして、単一の作業でディスプレイを形成し得る。しかし、当該分野の現在の水準では、これは実用的ではなく、そして通常、積層接着剤は、2つのサブアセンブリのうち一方に最初に適用され、そしてその後サブアセンブリ/接着剤の組み合わせが他方のサブアセンブリに積層されて、最終的なディスプレイを形成する。この積層接着剤は、いずれかのサブアセンブリに適用され得るが、一般に、電気光学媒体を含むサブアセンブリに適用されることが好ましい。すでに言及したように、特定の電気光学媒体は、剛性基板または可撓性基板上に、印刷技術またはコーティング技術によって適用され得、従って、可撓性基板(例えば、ポリマー性フィルム)に、ロールからロールのプロセスによって安価に適用され得る。この様式で可撓性基板へと電気光学媒体をコーティングし、次いでこの電気光学媒体を積層接着剤および剥離シート(release sheet)で覆うことによって、広範な種々のバックプレーンへの積層に適切な部分を生成するために、所望の場合、次いで切断され得る、いわゆる「フロントプレーン(front plane)積層」を提供する。現在の技術水準では、ほとんどのバックプレーンは、コーティングのためにはあまり簡便でない個々のシートの形態である剛性基板上に調製されるので、積層接着剤をバックプレーンに適用することは、あまり簡便ではない(が、本発明は、この可能性を排除しない)。
【0035】
どのサブアセンブリが積層接着剤を受けるかにかかわらず、接着剤適用プロセスには、2つの主要なバリエーション(すなわち、直接的プロセスおよび間接的プロセス)が存在する。以下により詳細に記載されるように、積層接着剤は、代表的に、実際の積層の前に実質的な固体へと(溶媒もしくは分散剤の除去、またはいくつかの他の形態の硬化のいずれかによって)転換される必要がある、液体または半固体の溶液または分散物として供給される。直接的プロセスにおいて、積層接着剤は、1つのサブアセンブリへと直接的に適用され、そしてこのサブアセンブリ上で固体層に転換される。間接的プロセスにおいて、積層接着剤は、剥離シートに適用され、この剥離シート上で固体層に転換され、次いで、代表的には、熱および/または圧力を使用して、1つのサブアセンブリへと転換される。最後に、この剥離シートは、他のサブアセンブリへの最終的な積層の前に、積層接着剤の固体層から除去される。多くの市販の積層接着剤は、比較的可動の種(例えば、有機溶媒および/または遊離モノマー)(これは、接着剤が適用されるサブアセンブリに依存して、バックプレーンの電気光学媒体または回路のいずれかに有利に影響を与え得る)を含むので、一般に、間接的方法は、直接的方法よりも好ましい。積層接着剤がなお剥離シート上に存在したままで、これらの比較的可動の種が乾燥または類似のプロセスによって除去されるのを可能にすることによって、間接的プロセスは、これらの比較的揮発性の材料をバックプレーンの電気光学媒体または回路に接触させることの悪影響を回避する。